新しい資本主義

現在、企業経由が中心となっている在職者への学び直しの支援について、５年以内を目途に、個人経由での直接支援を拡充します。
また、「人への投資」施策パッケージのフォローアップと施策の見直しを行うほか、雇用調整助成金について、休業よりも教育訓練による雇用調整を選択しやすくなるよう助成率などの見直しを行います。

職務給の日本企業の人材確保上の目的、人材の配置・育成・評価方法、リスキリングの方法、賃金制度、労働条件変更と現行法制・判例との関係などについて事例を整理し、個々の企業が制度導入の参考となるよう、2023年内に事例集を取りまとめます。

成長分野への労働移動を円滑化するため、自らの選択による離職の場合でも、すみやかに失業給付を受けられるよう、要件の見直しを行います。また、自己都合退職の場合の退職金減額といった労働慣行の見直しのため、「モデル就業規則」の改正を実施しました。さらに退職所得課税制度の見直しを行います。

今年の賃上げ率は約30年ぶりの高水準となりました。この流れの維持・拡大のため、中小企業が賃上げできる環境の整備のほか、最低賃金の引き上げ、同一労働・同一賃金制の施行の徹底と必要な制度見直しを通じて非正規雇用労働者の処遇改善を促し、国全体の賃金の底上げにより家計所得の増大に取組みます。

家計における貯蓄から投資へのシフトを促進しつつ、中間層を中心に安定的な資産形成の実現を目指します。長期的には、資産運用収入の倍増も見据えて取組みます。
具体的には、口座開設期間の恒久化、非課税の年間投資枠の引き上げ(一般NISA120万・つみたてNISA40万→成長投資枠240万・つみたて投資枠120万の計360万)、非課税保有期間の無期限化などNISAの抜本的拡充・恒久化を行います。

三位一体の労働市場改革と併せて、多様な人材がその能力を最大限にいかして働くことができるよう多様な働き方を支える雇用のセーフティーネットを構築します。
具体的には、副業・兼業の促進や、選択的週休３日制度の普及等に取組みます。

2023年5月、ＧＸ法案（ＧＸ推進法、ＧＸ脱炭素電源法）を成立させました。
2030年度の温室効果ガス46％削減（2013年度比）、2050年カーボンニュートラルの実現に向け、今後10年間で、150兆円規模の官民ＧＸ投資を目指します。これにより、エネルギー安定供給と脱炭素分野で新たな需要・市場を創出し、日本経済の産業競争力強化・経済成長につなげます。

（再生可能エネルギーの導入促進）
Ｓ＋３Ｅ（※）を大前提に、地域との共生を図りつつ、主力電源として最優先の原則の下で最大限の導入に取り組みます。
具体的には、再エネ普及のための送電網整備の加速化、電力系統用蓄電池の導入拡大などの投資、再生可能エネルギーの導入支援に取り組んでいます。
※安全性（Safety）を大前提に、安定供給（Energy Security）、経済効率性（Economic Efficiency）、環境適合（Environment）のバランスを取り続けるというエネルギー政策の大原則

（原子力の活用）
安全の確保と地域の理解を大前提として、原子力発電所の再稼働、運転期間の一定期間の延長、次世代革新炉の開発・建設を進めます。今後とも、高い独立性を有する原子力規制委員会が厳格に規制を行っていくという方針は変わりません。
また、国は、政府一丸となって、かつ、政府の責任で、最終処分に向けて取組を進めていきます。

（水素・アンモニアの社会実装）
日本が強みを持つ水素エネルギー活用の基盤を整えるとともに、水素と化石燃料の価格差に着目した支援制度などについて早急に整備を進めます。

（自動車の電動化推進）
2035 年までに、乗用車新車販売でいわゆる電動車 （電気自動車、燃料電池自動車、プラグインハイブリッド自動車及びハイブリッド自動車）を100％とする目標等を実現するため、購入補助や充電・水素充てんインフラの整備により、クリーンエネルギー自動車の集中的な導入を図ります。

（パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略）
我が国の2050年カーボンニュートラルに向けたビジョン等を示すものとして、パリ協定の規定に基づき策定したものです。
地球温暖化対策は経済成長の制約ではなく、経済社会を大きく変革し、投資を促し、生産性を向上させ、産業構造の大転換と力強い成長を生み出す、その鍵となるもの、という基本的考え方を示しています。

（地域における脱炭素）
脱炭素先行地域の創出や重点加速化事業等により、地域の魅力と質を向上させる地方創生に資する地域脱炭素を推進しています。

（サステナブルファイナンスの推進）
2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、3,500兆円ともいわれる内外の環境投資資金を呼び込みます。そのための金融市場の枠組みをつくり、我が国のグリーン国際金融センターとしての機能向上に取り組みます。

新たな産業構造への転換を進め、持続的な成長を確保していくため、2022年11月に策定した「スタートアップ育成５か年計画」に基づき、新たな参入と再チャレンジの障壁を低くし、スタートアップが成長できる環境の整備に取組みます。
スタートアップへの投資額を「2027年度に10倍を超える規模にする」という目標を目指し、①スタートアップ創出に向けた人材・ネットワークの構築、②スタートアップのための資金供給の強化と出口戦略の多様化、➂オープンイノベーションの推進の３本柱の取組を進めます。
具体的には、例えば、ストックオプション※について、国内での更なる活用を進めるため、会社法制上の措置を講じるとともに、スタートアップフレンドリーな制度となるよう税制を見直し、利便性の向上を図ります。
※ストックオプションとは、役員や社員に対して、あらかじめ決められた価格で自社株を取得する権利を与える仕組み。
インパクトスタートアップに対する支援策を含め、民間主導の公益活動をさらに活性化し、公益法人等による社会的課題への取組を推進します。

科学技術・イノベーションへの投資を通じ、社会課題を経済成長のエンジンへと転換し、持続的な成長を実現します。
ＡＩ、量子技術、健康・医療、フュージョンエネルギー、バイオものづくり分野において、官民連携による科学技術投資の抜本拡充を図り、科学技術立国を再興します。

2025年に向けて観光のV字回復を確かなものとするため、「新時代のインバウンド拡大アクションプラン」に基づき、従来の観光にとどまらず、日本を舞台とした国際交流の回復や国際頭脳循環の確立を目指し、ビジネスや教育・研究、文化芸術・スポーツ等の広い分野で、取組を深化させていきます。

我が国経済の持続的かつ健全な発展と国民の幸福な生活の実現に寄与するデジタル社会の形成に向け、デジタル３原則等を基本原則としつつ、政府全体で行政のデジタル化を着実に推進します。

デジタルの力を全面的に活用し、一人一人にきめ細かいサービスをスピーディーに行うため、国がデジタルによって地方を支える仕組みに転換します。
デジタル社会の基盤であるマイナンバーやパスポートであるマイナンバーカードについてデジタル社会のパスポート「マイナンバー、マイナンバーカード」について、制度の安全と信頼の確保に努めます。また、マイナンバーカードがほぼ全国民に行きわたりつつある状況を踏まえ、様々な領域での利活用拡大など、マイナンバーカードの利便性・機能を向上させます。

「デジタル田園都市国家構想」は、デジタル技術の活用により、地域の個性を活かしながら、地方を活性化し、持続可能な経済社会を目指すものです。全国どこでも誰もが便利で快適に暮らせる社会を目指し、従来の地方創生の取組にデジタルの力を活用して加速させるとともに、「新時代に地域力をつなぐ国土」の実現に向け、デジタルとリアルが融合した地域生活圏の形成や交通とデジタルによるネットワークの強化を進め、デジタル田園都市国家構想を国土形成に展開します。

AIについては、利用の促進・リスクへの対応・開発力の強化の３本柱に沿って取組みます。AIの不適切な使用を防ぎ、人間中心の信頼できるAIを活用することが重要です。Ｇ７議長として創設した広島AIプロセスの下、信頼できるAIに向けた国際的な議論を深め、リスクに対応していきます。