こども・子育て政策

児童手当は、次代を担う全てのこどもの育ちを支える基礎的な経済支援として位置付けを明確化するため、所得制限を撤廃し、支給期間を高校生年代まで延長します。具体的には、全てのこども・子育て世帯へ、0歳から3歳未満は月額15,000円、3歳から高校生までは月額10,000円を給付します。さらに、多子世帯では経済的支援の必要性が高いことから、第３子以降は月額3万円を給付します。あわせて、子育て世帯にきめ細かく児童手当を支給することができるよう、支払月を年３回から、隔月（偶数月）の年６回とします。

2023年４月から、出産育児一時金を42万円から50万円へ大幅に引き上げるとともに、低所得の妊婦への初回産科受診料の費用助成を実施したところです。また、2024年度より、遠方の分娩取扱施設で出産する必要がある妊婦に対する交通費等の費用助成を開始します。
さらに、2024年春を目途に出産費用の見える化を本格的に稼働し、こうした取組を進めた次の段階として、2026年度を目途に、出産費用の保険適用の検討を進めます。

教育費の負担が理想のこども数を持てない大きな理由の一つとなっているとの声があり、特に喫緊の課題とされる高等教育費の負担軽減を進めます。
具体的には、2024年度に、①授業料等減免・給付型奨学金の多子世帯（こども3人以上を扶養する世帯）や私立理工農系の学生等の中間層への対象拡大や、②大学院修士段階における授業料後払い制度の創設、③奨学金の返済が負担となって、結婚・出産・子育てをためらわないよう、貸与型奨学金における毎月の返還額を減額する制度の年収要件等の柔軟化等を行います。
さらに、子育てや教育にかかる費用により理想のこどもの数を持てない状況は、3人以上を理想とする夫婦で特に顕著であることから、2025年度から多子世帯の学生等について、所得制限なく、国が定める一定の額まで大学等の授業料・入学金を無償とします。

いわゆる 「年収の壁（106 万円・130 万円）」を意識せずに働くことが可能となるよう、短時間労働者への被用者保険の適用拡大、最低賃金の引上げに引き続き取り組みます。こうした取組と併せて、人手不足への対応が急務となる中で、壁を意識せずに働く時間を延ばすことのできる環境づくりを後押しするため、当面の対応策として、2023年10月より実施している「年収の壁・支援強化パッケージ」を着実に実行します。また、「年収の壁」を意識せずに働くことが可能になるよう、制度の見直しに取り組みます。

子育て世帯の住宅が課題であるとの声が多くあることから、子育てにやさしい住宅支援を強化します。
公営住宅等や空き家を活用し、子育て世帯等向けの住宅を今後10年間で約30万戸用意します。併せて、子育て世帯等が良質な住宅を取得する際の負担を軽減するため、フラット３５について、こどもの人数に応じて住宅ローン金利を引き下げる制度（フラット３５子育てプラス）を開始しました。

全ての妊婦・子育て家庭が安心して出産・子育てができるようにするため、「伴走型相談支援」を強化します。
お住まいの市区町村にて、（１）妊娠届時、（２）妊娠８か月頃、（３）出産後の３回、面談を行います。１回目と３回目の面談を受けると、合計10万円相当のギフトがもらえます。
また、産後ケア事業の更なる利用拡大に向けて、支援を必要とする全ての方が利用できるようにするための提供体制の確保に向けた取組を進めるなど、子育て家庭の産前・産後の心身の負担軽減を図る観点から実施体制の強化等を行います。

待機児童対策の推進により、保育の量の拡大は一定の成果が得られました。これからは、量から質の向上へと政策の重点を移します。
具体的には、職員配置基準について、保育士１人が見る１歳児を6人から5人へ、４・５歳児は30人から25人へと改善します。また、保育士等の処遇改善に取り組みます。

全ての子育て家庭への支援を強化するため、働いているかどうかを問わず、時間単位で柔軟に利用できる「こども誰でも通園制度」を創設します。2024年度から試行的事業を開始・拡充させ、2025年度からの制度化に向けて取り組みます。

こどもの貧困を解消し、貧困の連鎖を断ち切るため、こどもの生活支援、学習支援を更に強化するとともに、ひとり親家庭に対し、児童扶養手当の拡充のほか、就業支援、養育費確保支援などを多面的に強化します。

子育てに困難を抱える世帯やヤングケアラー等への支援を強化するため、こども家庭センターの全国展開を図るなど、包括的な相談支援体制の構築等を着実に実施していきます。
また、社会的養護の質の向上や社会的養護経験者等の自立支援に取り組んでいきます。
さらに、こども・若者視点での新たなニーズに応じた対応や、子育て世帯・学生等へのアウトリーチ型支援などを強化します。

障害の有無にかかわらず、安心して共に暮らすことができる地域づくりを進めるため、地域における障害児の支援体制の強化や保育所等におけるインクルージョンを推進していきます。
また、医療的ケア児など、専門的支援が必要なこどもたちへの対応のため地域における連携体制を強化するとともに、医療的ケア児について一時的に預かる環境の整備や保育所等における受入れ体制の整備を進めます。
さらに、2024年４月から障害児に関する補装具費支給制度の所得制限を撤廃します。

こどもや子育て世帯を社会全体で支える気運を醸成するため、妊婦の方やこども連れの方が窓口で苦労して並ぶことがないよう優先案内や専用レーンを設置するなどの取組をスタートさせました。また、公共交通機関でのベビーカー使用者のためのフリースペースの設置の取組を始め、こども・子育てにやさしい社会づくりのための意識改革を広げていきます。さらに、「こどもまんなか」の趣旨に賛同いただいた企業・個人・地方自治体などに「こどもまんなか応援サポーター」となる旨宣言していただき、「今日からできること」を実践し、SNSなどで発表いただく取組を開始しております。
加えて、こども・子育てを応援する地域や企業の好事例の共有・横展開や各地域でリレーシンポジウムの開催を行っているところであり、今後も「こどもまんなかアクション」を展開していきます。

企業において、職場の文化・雰囲気を抜本的に変え、男女ともに希望どおり、気兼ねなく育児休業がとれるよう、育児休業取得率目標を大幅に引き上げ、2030年に85％の男性が育児休業を取得することを目標とします。
各企業の取組は、企業公表文書等で見える化します。また、育児休業取得職員の業務を代替する周囲の社員への応援手当支給などに対する助成措置を拡充し、育児休業取得推進に熱心な企業ほど多く支援が行われるような仕組みにします。

出生後一定期間内に両親ともに育児休業を取得することを促進するため、給付率を現行の67％（手取りで８割相当）から、80％（手取りで10 割相当）へと引き上げます。2025年度からの実施を目指します。

子育てとキャリア形成との両立を可能にするため、こどもが3歳以降小学生就学前までの場合、短時間勤務・テレワーク・フレックスタイム制・新たな休暇など柔軟な働き方を選択できる制度を創設します。

男女ともに時短勤務を選択しやすくなるよう、「育児時短就業給付」を創設し、こどもが２歳未満の期間に、時短勤務を選択した場合に、時短勤務時の賃金の10％を支給することとします。2025年度からの実施を目指します。

こども・子育て予算の財源確保に当たっては、歳出改革を徹底し、既定予算の最大限の活用を図ります。歳出改革と賃上げによって実質的な社会保険負担軽減の効果を生じさせ、その範囲内で子ども・子育て支援金制度を構築することで、全体として、実質的な負担は生じないこととしています。
この支援金制度は、将来を担うこどもたちや子育て世帯を全世代・全経済主体で支える仕組みです。
また、2028年度にかけて安定財源を確保するまでの間に財源不足が生じないよう、必要に応じ、つなぎとして子ども・子育て支援特例公債を発行します。

「加速化プラン」の予算規模は、現時点の見込みでは３.６兆円程度です。「加速化プラン」を実施することにより、こども・子育て予算はこども1人当たりの家族関係支出で見て、OECDトップのスウェーデンに達する水準となります。また、「加速化プラン」を実施することにより、こども家庭庁の予算は約５割増加すると見込まれます。2030年代初頭までに、こども家庭庁予算の倍増を目指します。