令和5年2月24日岸田内閣総理大臣記者会見終了後の書面による質問に対する回答

【朝日新聞】
 「ウクライナは、明日の東アジアかもしれない」との認識について

(回答)
 日本を取り巻く安全保障環境は、東シナ海・南シナ海における力による一方的な現状変更の試みや、北朝鮮による核・ミサイル活動の活発化など、戦後最も厳しく複雑な状況にあります。こうした状況の中で、ロシアによるウクライナ侵略を目の当たりにし、これは日本にとっても決して他人事ではないと考えました。
 こうしたことも踏まえ、昨年末に、新たな国家安全保障戦略等を策定し、防衛力の抜本的強化を決断しました。同時に、先ず優先されるのは外交であり、首脳レベルも含め、引き続き現実的な外交を積極的に進めていきます。こうした取組を通じ、内閣総理大臣として、国民の生命、財産、暮らしを守り抜いていく考えです。

【東京新聞】
 世田谷区の私立和光小学校の児童からの安保戦略に関する手紙について

(回答)
 官邸には様々な御意見をいただいており、その一つ一つにお返事を出すことは困難ではありますが、安全保障政策について、国民の皆さんの御理解を得られるよう努めていきます。

【ニッポン放送】
 賃上げについて(政労使会議、中小企業賃上げ)

(回答)
 成長と分配の好循環の実現に向け、国も政策を総動員して、賃上げに向けた環境整備に取り組んでいきます。
 具体的には、賃上げ税制や補助金等における賃上げ企業の優遇などの取組に加え、公的セクターや政府調達に参加する企業で働く方の賃金引き上げなどに取り組んでいきます。
 2月24日には、「第7回物価・賃金・生活総合対策本部」を開催し、雇用の70%をしめる中小企業についても、賃上げができる限り広がるよう、それぞれのサプライチェーンで、原材料のみならず、賃上げ原資の確保も含めた適正な価格転嫁が行われるよう、政府を挙げて最大限努力していくことを申し上げました。
 また、賃上げを進めるにあたり、政府として、経済界・労働界とコミュニケーションをとりながら進めていくことは大切と考えており、労使の方とコミュニケーションをとりながら取り組んでいきます。

【新潟日報】
 原子力発電所の再稼働に向けた具体的取組について

(回答)
 原子力発電所については、原子力規制委員会が新規制基準に適合すると認めた場合のみ、その判断を尊重し、安全を最優先に、国が前面に立ち、地元の理解を得ながら、再稼働を進めるというのが政府の方針です。
 柏崎刈羽地域においては、現在、関係省庁や関係自治体が参画する「柏崎刈羽地域原子力防災協議会」の枠組みの下、豪雪時の原子力災害対応について検討を行っており、国としても、関係自治体と一体となって豪雪時の対応を含む避難計画の策定に取り組んでいきます。
 その上で、立地自治体など関係者の理解と協力を得られるよう、原子力の必要性や意義について丁寧に説明してまいります。

【犬飼淳氏(フリーランス)】
 入管法改正について

(回答)
 現在検討中の法案について、具体的内容や検討状況等をお答えすることは困難ですが、政府としては、共生社会の実現に向けて、出入国在留管理制度全体を適正に機能させ、真に庇護(ひご)を必要とする方々を適切に保護するとともに、送還忌避・長期収容問題という喫緊の課題を一体的に解決するため、今国会に入管法改正法案を提出することとしています。

【江川紹子氏(フリーランス)】
 同性婚の法制化について

(回答)
 同性婚制度や同性カップルに婚姻に準ずる地位を認める法律上の制度の導入については、国民生活の基本に関わる問題、国民一人一人の家族観とも密接に関わるものであり、その意味で、全ての国民に幅広く関わるものと認識しています。
 このように、社会が変わっていく問題であるからこそ、国民とともにしっかりと議論を深めていく必要があると考えており、まずは、国民各層の意見、国会における議論の状況、同性婚に関する訴訟の動向、地方自治体におけるパートナーシップ制度の導入や運用の状況等を注視していく必要があると考えています。
 言うまでもなく、性的指向、性自認を理由とする不当な差別や偏見はあってはならず、政府として、多様性が尊重され、全ての人々がお互いの人権や尊厳を大切にし、生き生きとした人生を享受できる社会の実現に向け、引き続き、様々な国民の声を受け止め、しっかりと取り組んでまいります。

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