人づくりは、国づくり。教育再生への取組み始まる~教育再生実行会議
(最終更新日:令和3年6月3日)
このページは、過去の特集ページを保存しているものであり、掲載情報は、更新されておりませんので、ご注意ください。
経済再生と並ぶ日本国の最重要課題として、21世紀の日本にふさわしい教育体制を構築し、教育の再生を実行に移していきます。
目次
- 第十二次提言「ポストコロナ期における新たな学びの在り方について」が取りまとめられました。(令和3年6月3日)
- これまでの提言
- 「いじめの問題等への対応について」(第一次提言)(平成25年2月26日)
- 「教育委員会制度等の在り方について」(第二次提言)(平成25年4月15日)
- 「これから大学教育等の在り方について」(第三次提言)(平成25年5月28日)
- 「高等学校教育と大学教育の接続・大学入学者選抜の在り方について」(第四次提言)(平成25年10月31日)
- 「今後の学制等の在り方について」(第五次提言)(平成26年7月3日)
- 「「学び続ける」社会、全員参加型社会、地方創生を実現する教育の在り方について」(第六次提言)(平成27年3月4日)
- 「これからの時代に求められる資質・能力と、それを培う教育、教師の在り方について」(第七次提言)(平成27年5月14日)
- 「教育立国実現のための教育投資・教育財源の在り方について」(第八次提言)(平成27年7月8日)
- 「全ての子供たちの能力を伸ばし可能性を開花させる教育へ」(第九次提言)(平成28年5月20日)
- 「自己肯定感を高め、自らの手で未来を切り拓く子供を育む教育の実現に向けた、学校、家庭、地域の教育力の向上」(第十次提言)(平成29年6月1日)
- 「これまでの提言の実施状況について(報告)」 (平成30年5月31日)
- 「第十一次提言中間報告について」(平成31年1月18日)
- 「技術の進展に応じた教育の革新、新時代に対応した高等学校改革について」(第十一次提言)(令和元年5月17日)
- 会議概要
- 関連リンク
第十二次提言「ポストコロナ期における新たな学びの在り方について」が取りまとめられました。
令和3年6月3日、菅総理は、第十二次提言「ポストコロナ期における新たな学びの在り方について」を受け取りました。
新型コロナウイルス感染症は、世界各地で人々の生命や生活、価値観や行動、さらには経済や文化など社会全体に広範かつ多面的な影響を与えており、我が国においてもコロナ禍で喫緊に対応すべき課題だけでなく、従来認識されながら解決に至らなかった様々な課題も浮き彫りにしました。
教育再生実行会議では、ポストコロナ期における新たな学びの在り方を考えていくに当たって、コロナ禍を機に改めて考えるべき課題を解決するためには、一人一人の多様な幸せであるとともに社会全体の幸せでもあるウェルビーイング(Well-being)の理念の実現を目指すことが重要であるとの結論に至りました。この幸せとは、経済的な豊かさだけでなく、精神的な豊かさや健康も含まれます。そして、このような幸せが実現される社会は、多様性と包摂性のある持続可能な社会でもあります。
こうした社会を実現していくためには、一人一人が自分の身近なことから他者のことや社会の様々な問題に至るまで関心を寄せ、社会を構成する当事者として、自ら主体的に考え、責任ある行動をとることができるようになることが大切です。
こうした個人を育むためには、我が国の教育を学習者主体の視点に転換していく必要があります。そのためには、教師をはじめとする教育関係者が学習者主体の視点へ転換をするという意識改革を図り、新たな学びの着実な定着、教師の質の向上と数の確保、デジタル化への対応などを総合的に進めていく必要があります。
特に、現在、政府を挙げて積極的に取り組んでいるデジタル化の推進とも軌を一にして、今後、教育においてもデジタル化に適切に対応しつつ、データ駆動型に転換していく必要があります。これによって、子供・保護者にとっては、学びの機会や質がより多様で充実していくことにつながり、教師・学校にとっては、指導方法の充実のみならず働き方改革にも資することになり、さらに国・教育委員会など行政にとっては、現状把握に基づく効果的な政策立案が可能になることが期待されます。
教育再生実行会議では、このような問題意識の下、「ポストコロナ期における新たな学びの在り方について」をテーマに、昨年7月より、2つのワーキング・グループと1つのタスクフォースを設けて検討を重ね、今般、これまでの検討結果を第十二次提言として取りまとめました。
概要は以下のとおりです。
これまでの提言
「いじめの問題等への対応について」(第一次提言)(平成25年2月26日)
<第一次提言の概要>
- 心と体の調和の取れた人間の育成に社会全体で取り組む。道徳を新たな枠組みによって教科化し、人間性に深く迫る教育を行う。
- 社会総がかりでいじめに対峙していくための法律の制定
- 学校、家庭、地域、全ての関係者が一丸となって、いじめに向き合う責任のある体制を築く。
- いじめられている子を守り抜き、いじめている子には毅然として適切な指導を行う。
- 体罰禁止の徹底と、子どもの意欲を引き出し、成長を促す部活動指導ガイドラインの策定
「教育委員会制度等の在り方について」(第二次提言)(平成25年4月15日)
<第二次提言の概要>
- 首長が任免を行う教育長が、教育行政の責任者として教育事務を行い、教育行政の責任体制を明確化します。
- 教育委員会は、教育の基本方針などについて審議し、教育長に大きな方向性を示し、また、教育長による教育事務の執行状況もチェック。
- 教育の基本方針や教育内容に関わる事項は、教育委員会で審議するなどの制度作りを行い、政治的中立性などを確保します。
「これからの大学教育の在り方について」(第三次提言)(平成25年5月28日)
<第三次提言の概要>
1.グローバル化に対応した教育環境づくりを進める
○主な内容
- 徹底した国際化を断行し、世界に伍して競う大学の教育環境をつくる。
- 海外トップクラスの大学の教育プログラムや教員等の誘致や、日本の大学の海外展開の拡大のため、制度面・財政面の環境を整備する。
- 外国人教員を積極採用し、海外大学との連携、英語のみで卒業可能な学位課程の拡充を行い、国際化を断行するスーパーグローバル大学(仮称)を重点的に支援する。
- 今後10年で世界大学ランキングトップ100に10校以上ランクインさせる。
- 地域社会のグローバル化を担う大学の取組を支援する。
- 意欲と能力のある全ての学生の留学実現に向け、日本人留学生を12万人に倍増し、外国人留学生を30万人に増やす。
- 大学入試等におけるTOEFL等の活用を進める。
- 企業等との協力による奨学金等を含む留学支援の新たな仕組みを創設する。
- ギャップターム等を活用した留学や海外での体験活動などに対する支援を強化する。
- 初等中等教育段階からグローバル化に対応した教育を充実する。
- 小学校の英語学習の抜本的拡充(早期化、時間増、教科化、専任教員配置等)を検討する。少人数での英語指導体制を整備する。
- グローバル・リーダーを育成する、スーパーグローバルハイスクール(仮称)を指定し、英語を使う機会の拡大、幅広い教養や問題解決力等の国際的素養の育成を支援する。
- 国際バカロレア(※)認定校を大幅に増加(16校→200校)させる。
- 日本人としてのアイデンティティを高め、日本文化を世界に発信する。
- 国語教育や、我が国の伝統・文化についての理解を深める取組を充実する。
- 特区制度の活用などによりグローバル化に的確に対応する。
※国際バカロレア・・・国際バカロレア機構が実施する教育プログラム。このうち、高校レベルの「ディプロマプログラム」は、最終試験の合格で国際的な大学入学資格を取得可能 。詳しくは、「国際バカロレアについて」(文部科学省HP)をご覧ください。
2.社会を牽引するイノベーション創出のための教育・研究環境づくりを進める
○主な内容
- イノベーション創出人材の効果的な育成のため、10~20年後を見据えた「理工系人材育成戦略」(仮称)を策定する。また、「産学官円卓会議」(仮称)を設置し、戦略を推進する。
- 産業界と大学が一体となって新産業の創出を図るため、大学発ベンチャー支援ファンド等への国立大学による出資を可能にする。
- 体系的な博士課程教育の構築など大学院教育の充実を図る。
- 初等中等教育段階の理数教育を強化(専科指導や少人数教育、習熟度別指導のための教員配置や設備等の充実、スーパーサイエンススクール等の取組の促進など)する。
3.学生を鍛え上げ社会に送り出す教育機能を強化する
○主な内容
- 社会人基礎力、基礎的・汎用的能力等の社会人として必要な能力の育成のため、学生の能動的な活動を取り入れた授業や学習法など教育方法の質的転換を図る。教育課程の体系化、組織的教育の確立など教学マネジメントの改善を行い、厳格な成績評価を行う。
- 大学・専門学校等は、地域の人材育成ニーズに応えた実践的な教育プログラムを提供し、それに対して国が支援する。
4.大学等における社会人の学び直し機能を強化する
○主な内容
- 大学・専門学校等は、職業上必要な高度な知識や、新たな成長産業に対応したキャリア転換に必要な知識の習得など、オーダーメイド型の教育プログラムを開発・実施をする。
- 国は、大学・専門学校等で学び直しをする者や社会人受講者の数の5年間での倍増(12万人→24万人)を目指し、社会人への支援措置、事業主への経費助成を行う。
5.大学のガバナンス改革、財政基盤の確立により経営基盤を強化する
○主な内容
- 国立大学全体の改革工程の策定。年俸制の本格導入などの人事給与システムの見直し、運営費交付金の戦略的・重点的配分などを実施する。
- 学長・大学本部の独自予算の確保、学長を補佐する役職員の強化など、学長がリーダーシップをとれる体制整備を進める。教授会の役割の明確化など法令改正も含めたガバナンス改革を行う。
- 大学の財政基盤の確立、基盤的経費のメリハリある配分を実施する。国の公募型資金への間接経費措置を行い、資金の効果的な活用を図る。民間資金調達のための税制を検討する。
- 私立大学における建学の精神に基づく質の高い教育、全学的な教育改革を重点支援するとともに、教育の質を保証する総合的な仕組みを構築する。
- 学長、知事、産業界の代表等で構成する総理主催の「大学将来構想サミット」(仮称)を開催し、大学の機能強化に取り組む。
「高等学校教育と大学教育の接続・大学入学者選抜の在り方について」(第四次提言)(平成25年10月31日)
<第四次提言の概要>
○主な内容
- 全ての生徒が身に付けるべき資質・能力の育成
国は、高等学校において身に付けるべき目標を明確化し、学校は、基礎的能力を確実に育成する。生徒が能動的に学び自己を確立できるよう、キャリア教育を充実する。 - 生徒の多様性を踏まえた学校の特色化
生徒の多様性を踏まえ、例えば、次のような特色化を推進する。- グローバル・リーダーとなるための国際的素養と総合力を育成する学校
- 科学技術人材としての素養の育成を目指し、先進的な理数系教育を行う学校
- 産業構造の変化等に対応した専門的な知識・技能を育成する学校 など
- 学習成果や教育活動の把握・検証による教育の質の向上(達成度テスト(基礎レベル)(仮称)の導入)
基礎的・共通的な学習の達成度を客観的に把握し、各学校における指導改善等に活かすための試験の仕組み(達成度テスト(基礎レベル))を創設する。同テストは高等学校在学中に複数回受験できる仕組みとすることを検討する。
2.大学の人材育成機能の強化
○主な内容
- 大学は、その多様性を踏まえ、例えば、知識基盤社会やイノベーション創出を担う人材を養成するなど、教育機能の強化を図る。
- 大学は、教育課程の点検・改善を行い、学習意欲を向上させるための教育内容や教育方法の改善に取り組むとともに、厳格な成績評価・卒業認定等を行っていく。
- 学生の能動的な活動を取り入れた授業や学習法、双方向の授業展開など教育の質的転換を図る。また、個々の教育課程やその体系を徹底して公開することにより、教育内容や教育方法、成績評価基準等が外部からも見えるようにする。
- 幅広い教養を身に付け、また、学習ニーズに応じて柔軟に学ぶことができるようにする観点から、大学入学後の進路変更が柔軟にできるようにする。
3.能力・意欲・適性を多面的・総合的に評価・判定する大学入学者選抜への転換・高等学校教育と大学教育の連携強化
○主な内容
- 大学教育を受けるために必要な能力判定のための新たな試験(達成度テスト(発展レベル)(仮称))の導入
- 大学教育を受けるために必要な能力の判定のための新たな試験(達成度テスト(発展レベル))を導入し、各大学の判断で利用可能にする。試験として課す教科・科目をどうするかなどを考え合わせて、複数回挑戦を可能とすることを検討する。
- 達成度テスト(発展レベル)は、その結果をレベルに応じて段階的に示すことや、各大学において多面的な入学者選抜を実施する際の基礎資格として利用することを促進することなど、知識偏重の1点刻みの選抜から脱却できるよう利用の仕方を工夫する。
- 多面的・総合的に評価・判定する大学入学者選抜への転換
- 大学入学者選抜は、各大学のアドミッションポリシー(入学者受入方針)に基づき、能力・意欲・適性を多面的・総合的に評価・判定するものに転換する。大学は、養成する人材像を明確化するとともに、教育を再構築し、それを踏まえたアドミッションポリシーを具体化する。
- 各大学が求める学力水準の達成度の判定には、達成度テスト(発展レベル)の積極的な活用が図られるようにする。各大学が個別に行う学力検査については、知識偏重の試験にならないよう積極的に改善を図る。
- 各大学は、面接、論文、活動歴等の丁寧な選抜による入学者割合の大幅な増加を図る。
- 推薦入試やAO入試における基礎学力の判定に際しては、達成度テスト(基礎レベル)の結果の活用も可能とし、国は、各大学の判断による活用を促進する。
- 高等学校教育と大学教育の連携強化
- 大学及び高等学校は、教育目標や教育内容等についての相互理解を図るため、相互の協議、交流を促進する。
- 高校生を対象とした大学レベルの教育機会の提供(大学教員や社会人が高等学校に出向いて行う授業など)について、ICT等も活用しつつ推進する。
- 高等学校と大学の協力により大学入学前の準備教育を実施する。
- 短期大学、専門学校から4年制大学への編入学や専門高校から大学への進学の拡大を図る。高等学校専攻科修了者について、大学編入学への途を開く。
(参考)「達成度テスト(仮称)」に関する提言内容
名称(仮称) | 達成度テスト | |
基礎レベル | 発展レベル | |
目的 | 高等学校教育の質の確保・向上、大学の人材育成機能の強化、能力・意欲・適性を多面的・総合的に評価する大学入学者選抜への転換を図る改革を行う。その一環として、高等学校段階における学習の達成度を把握し、高等学校の指導改善や大学入学者選抜に活用する新たなテストとして導入 | |
機能・大学入学者選抜での活用 | 高等学校の基礎的・共通的な学習の達成度を客観的に把握し、学校における指導改善に活かす 推薦・AO入試における基礎学力の判定に際しての活用を促進 |
大学が求める学力水準の達成度の判定に積極的に活用 各大学で基礎資格としての利用を促進 利用する教科・科目や重点の置き方を柔軟にするなど弾力的な活用を促す |
受験回数 | 高等学校在学中に複数回受験できる仕組みとすることを検討 | 試験として課す教科・科目を勘案し、複数回挑戦を可能とすることを検討 |
試験内容等 | 基礎的・共通的な教科・科目 知識・技能の活用力、思考力・判断力・表現力も含めた幅広い学力を把握し、指導改善につなげる 高等学校の単位及び卒業の認定や大学入学資格のための条件とはしないが、できるだけ多くの生徒が受験 |
大学教育に必要な能力の判定という観点から教科・科目や出題内容を検討 知識偏重の1点刻みの選抜にならないよう、試験結果はレベルに応じて段階別に表示 |
試験運営 | 大学入試センター等が有するノウハウ、利点を活かしつつ、相互に連携して一体的に行う |
「今後の学制等の在り方について」(第五次提言)(平成26年7月2日)
<第五次提言の概要>
【主な内容】
(1)質の高い幼児教育を保障するための無償教育、義務教育の期間の見直し
- 幼稚園教育要領について小学校との接続を意識した見直しを行う。
- 3~5歳児の幼児教育について、無償化を段階的に推進する。
- 幼児教育の機会均等と質の向上、段階的無償化を進めた上で、次の段階の課題として5歳児の就学前教育について、より柔軟な新たな枠組みによる義務教育化を検討する。
- フリースクールやインターナショナルスクール等の位置づけについて、就学義務や公費負担の在り方を含め検討する。夜間中学の設置を促進する。
- 特に低所得者層を対象として高等学校等の就学支援策、大学の授業料減免や所得連動返還型奨学金等の支援策を一層推進する。専修学校についても就学支援に取り組む。
(2)小中一貫教育の制度化
- 小中一貫教育学校(仮称)を制度化し、教育課程の区分の弾力的な設定など柔軟かつ効果的な教育を行うことができるようにする。
- 一貫教育の成果と課題等を踏まえつつ、5-4-3、5-3-4、4-4-4等の新たな学校段階の区切りの在り方について引き続き検討する。
(3)実践的な職業教育を行う高等教育機関の制度化、高等教育機関における編入学等の柔軟化
- 質の高い職業人の育成並びに専門高校卒業者の進学機会や社会人の学び直しの機会の拡大に資するため、実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関を制度化する。
- 大学への飛び入学の実態等も踏まえて高校の早期卒業を制度化するとともに、国際化に対応できるよう、大学及び大学院入学資格における12年又は16年の課程の修了要件を緩和する。
2.教員免許制度の改革及び教師の養成や採用、研修等の在り方の見直し
【主な内容】
- 教師が教科等の専門性に応じ複数の学校種で指導可能な教科ごとの免許状の創設や、複数学校種の免許状の取得促進のための要件見直しなどの改革を行う。
- 採用前又は後に学校現場で行う実習・研修を通じて教師の適性を厳格に評価する仕組み(教師インターン制度(仮称))の導入を検討する。
- 教師が教育活動に専念できる事務体制の充実、スクールカウンセラー等の配置や活用のため、制度面・財政面の整備を行う。人材確保法の初心に立ち返った処遇を確保する。
3.教育を「未来への投資」として重視し、世代を超えて全ての人たちで子供・若者を支える
【主な内容】
- 教育の質の向上や教育費負担の軽減等の教育政策について、「未来への投資」と位置付けて重視し、教育財源の確保に当たり、資源配分の重点を高齢者から子供・若者へ大胆な移行を図る。
- 寄附の促進等による民間資金の活用等も含め、世代を超えて全ての人たちで子供・若者を支える安定的な教育財源を確保する取組を推進する。
- 国、地方公共団体、産業界、教育界の代表等による「教育サミット(仮称)」を開催し、社会総がかりで子供・若者を支える意識や環境の醸成を図る。
今後、具体的な制度の在り方については、文部科学大臣から中央教育審議会に諮問するなど、順次、改革の実現に取り組んでいきます。
「「学び続ける」社会、全員参加型社会、地方創生を実現する教育の在り方について」(第六次提言)(平成27年3月4日)
<第六次提言の概要>
【主な内容】
(社会人の多様なニーズに対応する教育プログラムの充実)
- 大学、専修学校等は社会人等のニーズに応じた実践的・専門的な教育プログラムの提供を推進。大学等における実践的・専門的プログラムを認定、奨励する仕組みを構築。
(学びやすい環境の整備)
- 大学等でのe-ラーニングを活用した教育プログラムの提供を推進。放送大学において、資格関連科目の増設、オンライン授業科目の開設等を推進。
- 社会人の学びに対する経済的支援のため、日本学生支援機構の奨学金や教育訓練給付金制度の活用推進。社会人等のニーズに合った更なる方策を検討し、支援を充実。
(教育行政と労働、福祉行政の連携強化)
- 教育行政と労働、福祉行政の連携を一層強化。事業主の協力も得て、一旦仕事を離れ、あるいは、仕事と両立しながら学んだり、子育てや介護に従事中やそれを終えた後も学び続けたりできるようにするための支援策などを検討。
2.多様な人材が担い手となる「全員参加型社会」へ
【主な内容】
(女性の活躍支援等)- 女性のスキルアップと、職場復帰や再就職等を支援する実践的なプログラムの提供を推進。大学における保育環境の整備、休学期間や在学期間の弾力的な運用を推進。
(高齢者等の活躍支援)
- 高齢者の活躍支援のため、シニア層向けの教育プログラムの提供を推進。ミドル・シニア社員等が現役中から地域活動に参画できる仕組みづくりを推進。
(障害のある児童生徒に対する支援等)
- 障害のある子供が可能な限り障害のない子供と共に教育を受けられるよう、特別支援教育支援員等の充実、教員の専門性の向上等を推進。
(不登校、中退、ニート等の若者への支援)
- 不登校、中退、ニート等の若者への支援を強化。フリースクールなどにおける多様な学びへの対応を含めた抜本的な不登校等への対策。中退者に対する学び直し支援を充実。
(貧困家庭への支援)
- 貧困の連鎖を断ち切るため、夜間補充教室などの学習支援の取組を支援、促進。子供の成長段階に応じた経済的支援を充実。
3.教育がエンジンとなって「地方創生」を
【主な内容】
(地域を担う人材の育成)- 子供たちが、一定期間、地方での集団生活や自然体験などの豊かな体験活動を行えるよう、長期滞在型を含む農山漁村体験活動を支援。
(学生等の地方への定着等)
- 地方にある大学等への進学、地元企業への就職等を行う者を対象に、奨学金の優先枠(地方創生枠(仮称))を設けたり、返還額を軽減したりする措置を講じる。入学定員超過に対する基盤的経費の取扱いの更なる厳格化など、大都市圏における入学定員超過の適正化について検討。
(教育機関を核とした地域活性化)
- コミュニティ・スクールの拡大のため、制度面の改善や財政面の措置も含め、全ての学校がコミュニティ・スクール化に取り組むための抜本的な方策を講じるとともに、コミュニティ・スクールの仕組みの必置について検討を進める。
- 過疎地域等では、学校の場を活用して、地域住民の生涯学習や健康、福祉等に関する機能をも集積していくことが考えられることを踏まえ、その仕組みの在り方について検討し、取組を進める。
- 高齢者が大学の近隣等に居住し、医療・生活支援サービスを受けながら、大学での生涯学習等に参加できるコミュニティ(日本版大学連携型CCRC(Continuing Care Retirement Community))を形成することについて検討し、モデル事業等を通じて全国展開。
(地域、家庭の教育力や、スポーツ・文化をいかした地域活性化)
- 地域スポーツコミッション等の活動を促進し、障害者スポーツを含め、スポーツ大会やアスリートなどのスポーツ資源を活用した地方創生の取組を推進。
- 新たに「日本遺産」を認定する仕組みの創設、劇場、音楽堂等における文化芸術活動の活性化など、文化資源を活かした地方創生を推進。
「これからの時代に求められる資質・能力と、それを培う教育、教師の在り方について」(第七次提言)(平成27年5月14日)
<第七次提言の概要>
1.これからの時代を生きる人たちに必要とされる資質・能力 ~求められる人材像~
2.これからの時代を見据えた教育内容・方法の革新 ~求められる資質・能力を教育によっていかに培うか~
- 学習指導要領等の示し方を工夫し、意見発表(プレゼンテーション)、討論・話合い(ディベート、ディス カッション、ネゴシエーション)、課題学習、事例研究などの学習・指導方法を導入。
- 体験型・課題解決型学習として、持続可能な開発のための教育、オリンピック・パラリンピックに関する 教育、政治や選挙に対する関心を高める教育等を充実。
- 学習指導要領の在り方について、指導方法が硬直的にならないよう留意。高校について、必履修科目の在り方など見直し。
- グローバル人材育成を志向する大学は、国際競争力のあるカリキュラムを編成。海外大学との共同学位プログラムなど学生が国内外を行き来しながら学べる環境を整備。GPA制度(※1)など厳格な成績評価の上、早期卒業を推進。
など
(2)ICT活用による学びの環境の革新と情報活用能力の育成
- 反転授業や協働学習など、ICTを活用した学習を推進。教科書デジタル化に向けて、専門的な検討を実施。大学はMOOC(大規模公開オンライン講座)の戦略的な活用を推進。
- 各学校段階を通じて、プログラミング、情報セキュリティ、情報モラルなどの指導を充実。
- 1人1台タブレットPC、無線LAN整備など、学校のICT環境整備を推進。ICT支援員の養成、学校への配置を推進。その際、地方公共団体間等の整備状況の格差に留意。
など
(3)新たな価値を生み出す創造性、起業家精神の育成
- 小学校段階から、地域の企業等との連携によるプロジェクト活動など起業家精神を育成する取組を推進。
- 文科省と経産省の連携を強化し、産学官や金融機関の連携により、起業に挑戦する若者を支援。創業支援施設の提供や、起業支援人材の紹介などの取組を充実。
など
(4)特に優れた才能を有する人材の発掘・育成
- 義務教育段階からの習熟度別指導を拡充。大学・大学院への飛び入学を推進。
- 発達障害や不登校などの子供のため、フリースクール等における多様な学びを支援。その中で、将来、大きく開花する可能性を秘めた、優れた才能を見出して伸ばす取組を支援。
- 特に優れた才能を有する人材を発掘・育成しやすくするため、教育課程特例校制度等の一層の活用を推進。国際バカロレア・ディプロマ・プログラム(※2)に取り組みやすくするための学習指導要領の緩和措置を実施。
など
3.教師に優れた人材が集まる改革 ~教育の革新を実践できる人材に教壇に立ってもらうために~
- 教師のキャリアステージに応じた育成指標を策定し、教員評価を充実。
- 教師の養成・採用・研修を通じた育成支援の方針を共有し、共同の取組が進むよう、地方公共団体、大学、学校等からなる協議の仕組みを整備。
(優れた人材の獲得)
- 教職を、優れた人材にとって魅力ある職とするため、長期研修の機会の提供や、人材確保法の初心に立ち返った処遇の確保などを実施。
- 教師が授業に専念できるよう、事務職員の充実や、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、部活動指導員、ICT支援員等の配置により、「チーム学校」を実現。授与手続きの簡素化等により特別免許状の積極的な活用を推進。
(教職課程の改革)
- 真に教職を目指す学生に質の高い教育を集中して行う形に、教職課程を見直し、質保証の仕組みを構築。実習等を通じ適性を評価する、教師インターン制度(仮称)の検討を推進。
- 教職大学院について、現場実践に即した教育内容や、学校マネジメントに係る学修を充実。修了者へインセンティブを付与する環境を整備。
(現職研修の改革)
- 高大接続改革に対応した教育への転換を図るためには、現職研修の改革が不可欠であり、全国的な 教員研修のハブ機能を整備するとともに、教師教育全体を体系化。
- 現職研修が計画的に実施されるよう、教師の育成指標に基づく研修指針を策定。
(教育長の資質・能力の向上)
- 新教育委員会制度の下、大きな権限と責任を持つ教育長の資質向上を図る研修を充実
- 教師の資質・能力の開発・向上のための取組を国として支援するための拠点を整備。都道府県・政令指定都市が教員採用選考に当たり活用できる、共同試験の実施を検討。
など
「教育立国実現のための教育投資・教育財源の在り方について」(第八次提言)(平成27年7月8日)
<第八次提言の概要>
- 教育の革新による日本創生・経済再生
- 公平・公正な社会の実現
- 教育費負担を軽減し、少子化を克服
- 将来の経済成長や社会保障・社会治安等の歳出削減に貢献
2.これからの時代に必要な教育投資
以下の取組のうち、特に、「幼児教育の段階的無償化及び質の向上」、「高等教育段階における教育費負担軽減」については、優先的に取り組む必要。
(1)全ての子供に挑戦の機会が与えられる社会を実現する- 具体的な施策と試算の例
- 幼児教育の段階的無償化及び質の向上 約1兆円
- 高等学校教育段階における教育費負担軽減 約0.5兆円
- 高等教育段階における教育費負担軽減 約0.7兆円
- フリースクールを含めあらゆる子供の教育機会を確保するための支援
- 具体的な施策と試算の例
- 教職員体制の整備や「チーム学校」の推進など教育体制の構築
- 教育の革新を実践できる教師の養成・採用・研修の改革 約0.2兆円
- 高等学校教育・大学教育・大学入学者選抜の一体的改革
- ICT活用による学びの環境の革新 約0.2兆円
- 具体的な施策の例
- 卓越大学院の形成など大学・大学院等の機能強化
- 留学促進及び優秀な外国人留学生の戦略的な受入れ
- 実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の制度化
- 具体的な施策と試算の例
- コミュニティ・スクールを核とした地域とともにある学校づくりの推進
- 「放課後子ども総合プラン」の実現
- 安全・安心で質の高い国公私立学校施設の整備 約1.8兆円
3.教育財源確保のための方策
教育投資の充実は、我が国の厳しい財政状況の中で、「経済・財政再生計画」との整合性を図りながら、進めていくことが必要。
まず、
- 既存の施策や制度の効果的・効率的な実施の観点からの見直し
- 地方財政措置が講じられている経費の、地方公共団体における着実な予算化の推進
- 寄附金税制、ふるさと納税等の教育への一層の活用を促進。国立大学法人における個人からの寄附に係る税制の拡充など、寄附金税制を一層拡充。
- 進学支援等のために資金を提供する個人や団体を称え、社会に広く認知されるよう、寄附者の名称等を冠した奨学金設立の取組を広報、支援。
- 大学への民間資金の導入拡大のため、民間企業との共同研究、クロスアポイントメント制度の導入を促進。国立大学の資産運用の弾力化について検討。
(2)税制の見直しと教育投資
- 子ども子育て支援などの観点を踏まえ、個人所得課税の在り方を見直し。資産格差が教育の機会格差につながることを避ける観点から、資産課税の在り方を見直し。
- 中長期的には、幅広く国民の理解を得た上で、税を通じて広く社会全体で教育財源を負担することも検討。
- 例えば、将来的に、消費税の見直しが検討されるのであれば、受益と負担のバランスのとれた社会保障制度を構築したうえで、税収の使途を年金・医療・介護・少子化対策に加え、「教育」にも拡げることを検討。
4.国民の理解を得るための方策
- 世代ごとの国民負担と各種サービスに係る公財政支出の状況を開示。公財政支出の世代間の配分見直しの促進方策について検討。
- 各種教育施策について、その効果を専門的、多角的に分析、検証するための体制を整備。施策間の優先順位付けを実施。
- 教育投資の効果や必要性について理解を醸成するため、国民との対話やシンポジウムを全国各地で開催。社会全体で教育投資のための負担を分かち合うことの理解を醸成。
「全ての子供たちの能力を伸ばし可能性を開花させる教育へ」(第九次提言)(平成28年5月20日)
<第九次提言の概要>
- (1)発達障害など障害のある子供たちへの教育
- 発達障害の早期発見・早期対応のための就学時健診等の見直し
- 個別の支援情報に関する資料の作成・引き継ぎの仕組みの構築
- 教員養成で特別支援教育に関する科目の必修化、特別支援学校教諭の同免許状保有の必須化
- 高校での通級指導の制度化と高校への特別支援学級の導入検討
など
- (2)不登校等の子供たちへの教育
- 全小中学校へのスクールカウンセラー、全中学校区へのスクールソーシャルワーカーの配置
- 都道府県による不登校特例校の設置支援
など
- (3)学力差に応じたきめ細かい教育
- 教育内容の配当学年にこだわらない、よりきめ細かい習熟度別少人数指導の推進
- 個々の子供の学習課題に対応できるデジタル教材の積極的な活用
- 「地域未来塾」など地域の協力も得た学習の場の充実
など
- (4)特に優れた能力を更に伸ばす教育、リーダーシップ教育
- 大学・民間等による突出した能力のある小中学生を対象とした新たな教育プログラムの創設
- 優れた能力を有する不登校等の課題を抱える子供の能力を伸ばす取組の拡大
など
- (5)日本語能力が十分でない子供たちへの教育
- 日本語能力が十分でない子供を対象とした特別な教育課程の活用の促進、高校への拡大検討
- 企業や地域とも連携した高校段階でのキャリア教育、進路指導の充実
など
- (6)家庭の経済状況に左右されない教育機会の保障
- 学習塾等に行かなければ希望する大学等へ進学できる学力が身につかないということがないよう、貧困により学力に課題のある学校への重点支援など公教育の充実と高大接続改革の実現
- 幼児教育無償化の段階的推進、私立中学校生徒への支援検討、大学等での無利子奨学金の拡充、所得連動返還型奨学金制度の具体化、給付型奨学金の検討など教育費負担の軽減
など
- (7)これらの取組を効果的に推進するための体制の整備
- 様々な教育施策の分析・検証や実証的な調査等を行う体制の強化
- 新たな施策や先進的な取組の効果等を専門的に検証し、高い効果が認められたものについて全国展開や支援の充実等につなげる「教育再生先導地域(仮称)」の仕組みの検討
2.これまでの提言の確実な実行(提言のフォローアップ)
- (1)提言に基づき、既に法令改正等がなされた事項
- 「教育再生」は制度を作って終わりではなく、その狙いが真に達成されているか、制度が形骸化していないかを継続的に確認し、必要なら速やかに軌道修正や見直しを図るべき。
- (2)提言の確実な実行に向けての、当面の特に重要な課題
- 当面、特に次の重要事項について、政府における着実な推進を求める。
- 「選挙権年齢引下げ」への適切な対応
- 学校教育の中核である教師の資質向上、学校の組織運営改革、学校と地域の連携協働
- 日本の教育を変える「高大接続」改革、大学入学者選抜制度改革
- 日本の「知」を牽引すべき大学の教育研究力の強化
- 教育投資・教育財源の充実
「自己肯定感を高め、自らの手で未来を切り拓く子供を育む教育の実現に向けた、学校、家庭、地域の教育力の向上」(第十次提言)(平成29年6月1日)
<第十次提言の概要>
(1)学校、家庭、地域の役割分担
- 学校、家庭、地域がそれぞれの立場から子供の教育に責任を持ち、その機能を発揮し、相互に連携・協力しながら子供を育むことが重要であり、教育基本法においても、それぞれに係る規定を置き、理念を明示
- 教育基本法の理念を実現するべく、情報技術の発展や就業構造の変化等により生じている家庭や地域の課題をはじめ、今日の社会状況を冷静に、客観的に捉えた上で、具体的な取組を進めることが大切
- (将来にわたっての議論の必要性)
- 一方で、IoTやAIの進展等に伴い生じるライフスタイルの変化等は、家庭や地域、学校に対して確実に影響を与え、家庭や地域は更に変容する可能性
- 今後、家庭や地域の教育力の向上にとって更なる課題が生じることが予想される中、「日本型学校教育」を維持・発展させるには、学校への更なる資源投入が不可欠であり、将来を見据えた国民的議論が必要
- 幼児教育の段階的無償化の取組を可及的速やかに推進
- 教育・福祉の包括的・一体的支援の確実な実施に向け、文科省と厚労省による連携・協力を実質化
- 妊娠期から就学期以降までの切れ目のない支援の実現に向け、子育て支援施策との連携等による地域における総合的な家庭教育支援や、訪問型家庭教育支援を推進
- 地域ごとの学校休業日の分散化等を通じた、子供が家族や地域で過ごすための環境づくり
- 社会総がかりでの教育の実現に向け、コミュニティ・スクールの導入促進、関連法令改正の趣旨を踏まえた地域学校協働活動の推進
- 地域住民が自然と集う魅力的なコミュニティ・スペースとして学校を整備・活用することで、地域の力を学校に呼び込み、地域とともに子供を育む環境づくりを実現
- 「学校応援週間」などの取組を通じ、保護者、地域住民、教師が協力して子供を育む雰囲気づくり
- 「教師の日」(ユネスコ制定)を設け、学校、家庭、地域のそれぞれがお互いに尊敬・信頼し合えるような環境の構築
- 高校中退者等に対する、就学等のための学習支援や就労等に向けた切れ目ない支援体制の構築
(2)家庭、地域の教育力の向上
- (家庭の教育力)
- 教育基本法で求められている家庭の役割を、各家庭がしっかりと果たせるよう、家庭教育支援を充実
- 全ての子供たちが夢と志に向かって頑張ることができるよう、様々な困難を抱える家庭やその子供に対し、教育と福祉の連携・協力の実効性の向上等を通じ、これまでの取組の更なる充実が重要
- (地域の教育力)
- 地域のつながりの希薄化といった課題に対応するべく、地域の教育力を掘り起こし、教育基本法において求められている地域の役割を着実に推進
- 学校、家庭、地域の交流の場として学校を活用し、地域の教育力を学校に呼び込むという視点も重要
- 「地域学校協働活動」の推進等を通じて、地域の大人が子供と関わり、コミュニティを再生
- (チーム学校の実現)
- 生徒指導主事や特別支援教育コーディネーターがその業務に専念するための教師の配置の充実
- 教師とスクールソーシャルワーカーなどの専門スタッフが円滑に連携・協力できるよう、教師が連携に必要となる基本的な知識を身に付けられることを目的とした研修等の充実
- スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの配置促進による教育相談機能の強化
- (学校部活動改革、学校事務の効率化等を通じた教師の負担軽減)
- 「学校による部活動」から「地域による部活動」に転換するべく、部活動指導員の配置の促進のほか、指導者の資格の在り方や地域単位での部活動を行える環境づくりについて検討
- 統合型校務支援システムの導入などICT化の推進や事務の共同実施による学校事務の効率化
- 専科指導の導入や、専門的な知識等を持つ外部人材活用の推進等による学校指導体制の充実
(3)学校の教育力の向上のための教師の働き方改革
- 日本の教師は、教科指導、生徒指導、部活動指導等を一体的に行い、幅広い業務を担っていることが特徴
- 「日本型学校教育」の維持・発展に向け、将来的な社会状況の変化を見据え、人的資源の充実や、学校マネジメントの確立を通じた組織力の強化等の観点からの充実が必要
- (限界に来ている学校教育の現場)
- 今日の学校現場は、いじめや不登校など複雑化・多様化する諸課題への対応が必要
- 平成28年度の教員勤務実態調査(速報値)によると、中学校の「部活動指導」の時間が特に増加しているなど、教師の長時間勤務に支えられている状況は既に限界に来ており、業務負担軽減は喫緊の課題
- 国は、教師が担うべき業務の精選・明確化等を通じ、スピード感を持って、教育の質の向上や教師の負担軽減に向けた教師の働き方改革について総合的に検討
2.子供たちの自己肯定感を育む
- 各学校が、改訂学習指導要領の前文で示された理念を踏まえ、子供のたちの自己肯定感を育むことを目標として掲げつつ、日頃の教育活動を行っていくことが大切
- 子供たちが自信をもって成長し、より良い社会の担い手となるよう、子供たちの自己肯定感を育む取組を進めていくことが必要
- 自己肯定感は、以下の2つの側面から捉えることが可能
- 勉強やスポーツ等を通じた競い合いなど、自らの力の向上に向けて努力することで得られる達成感などを通じて育まれる自己肯定感
- 自分のアイデンティティに目を向け、短所を含めた自分らしさや個性を冷静に受け止めることで身に付けられる自己肯定感
- 何事にも積極的に挑戦し、自らを高めていく姿勢を身に付けることと、「自分らしさ」を見失うことなく、リラックスして臨み、自らの力を最大限発揮できるようになることの両方が重要
- 良いところは積極的に褒め、叱るべきときは叱るなど、大人が愛情を持って関与することが重要
- 幼児教育センターの設置や幼児教育アドバイザーの配置等を通じた推進体制の構築
- 「早寝早起き朝ごはん」など、全ての子供の生活習慣改善に向けた家庭教育支援の推進
- 地域学校協働活動推進員の配置や研修を促進し、地域の教育資源の活用を進めること等により、学校内外での多世代交流・異年齢交流等を推進
- 青少年教育施設などの地域資源の活用や、民間機関等との連携による体験活動の積極的推進
- 民間事業者と協働した「ネットいじめ」への相談体制の構築
- 様々な課題を抱える子供など全ての子供が安全・安心に学べる放課後等の居場所づくりの推進
- 主体的・対話的で深い学びの実現に向けた、学習指導体制の充実や業務改善の推進
3.これまでの提言の確実な実行に向けて(提言のフォローアップ)
- 教育再生実行会議では、これまで九次にわたる提言を行うとともに、その提言が着実に、かつスピード感を持って実行されているかどうかの観点からフォローアップを実施
- 第一次提言から今日まで、実行会議の提言を基に、法令改正や予算事業化といった様々な形で教育再生の実現に向けた取組が進められており、一定の成果を挙げているところ
- 一方で、子供たちの誰もが夢に向かって頑張ることができる国創りを真に実現するには、法令改正等をして終わりではなく、提言の理念が教育現場に浸透し、日々の教育活動に反映されているか等を不断に検証し、フォローアップを続けていくことが大切
- (1)提言に基づき、既に法令改正等がなされた事項
- 教師の養成・採用・研修の一体改革(第五次、第七次提言)
- 学校運営協議会の設置(コミュニティ・スクールの導入)の努力義務化及び地域学校協働活動の推進(第六次提言)
- 大学の教育研究力強化に向けた「指定国立大学法人制度」(第三次提言)
- 実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の創設(第五次提言)
- 給付型奨学金の創設
- 障害のある児童生徒や日本語能力に課題のある児童生徒への特別の指導を担当する教職員の基礎定数化
- 都道府県による「不登校特例校」及び「夜間中学」の設置の促進 (以上、第九次提言)
- (2)提言の確実な実行に向け、特に注視する必要のある重要事項
- 制度を作って終わりではなく、教育再生が真に実行あるものとなるよう、特に次の事項について、政府において着実に取組が推進されることを期待
- 教育投資・教育財源の充実
- 学習指導要領の改訂・着実な実施
- 学校教育の中核である教師の資質向上、学校の組織運営改革、学校と地域の連携・協働
- 全ての子供たちの能力を伸ばし可能性を開花させる教育
- 日本の教育を変える「高大接続」改革、大学入学者選抜制度改革
- 日本の「知」を牽引すべき大学の教育研究力の強化
- 「選挙権年齢引下げ」への適切な対応
「これまでの提言の実施状況について(報告)」の概要(平成30年5月31日)
- 教育再生実行会議では、これまで十次にわたる提言をとりまとめ。提言事項の中でさらに取組を進める必要があることが期待される重要事項を選定し、その取組状況をフォローアップ。
- (1)いじめ問題等への対応、教育委員会制度改革(第一次、第二次提言関連)
【これまでの取組】
- 「いじめ防止対策推進法」(平成25年9月施行)の施行後3年見直し規定を受け、国の基本方針の改定及びいじめの重大事態の調査に関するガイドラインを策定(平成29年3月)。
- 学習指導要領の一部を改正(平成27年3月)し、小学校は平成30年度、中学校は平成31年度から、検定教科書を導入して「特別の教科 道徳科」を実施。
- 「地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律」(平成27年4月施行)により、教育委員長と教育長を一本化し、責任体制を明確化するとともに、教育長の任命責任を首長が直接負うこと等、抜本的な改革を実行。
【今後の取組が期待される事項】
- いじめ防止対策推進法施行後も、いじめが関係しているとみられる子供の自殺は起きていることから、全ての学校現場での意識改革、取組の徹底に不断に取り組むこと。
- 学校における「特別の教科 道徳」の着実な実施を通じて、児童生徒の生命を大切にする心や他人を思いやる心、規範意識、自主性や責任感などの人間性・社会性を育むこと。
- 総合教育会議の在り方等について引き続き状況を確認するとともに、優れた取組を行う地方公共団体の事例を取り上げ、他の地方公共団体に対して優良事例として共有すること。
- (2)学習指導要領の円滑な実施等に向けた指導体制の構築(チーム学校の実現)、教師の資質向上(第七次、第九次、第十次提言関連)
【これまでの取組】
- 学習指導要領を改訂し、小学校は2020年度から、中学校は2021年度から、高等学校は2022年度から新学習指導要領を全面実施。
- 障害に応じた特別の指導や外国人児童生徒等への指導を担当する教師などを基礎定数化。
- スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、部活動指導員の職務を法令上規定。
- 「教育公務員特例法等の一部を改正する法律」(平成29年4月施行)により、教育委員会と大学が協議会を設け、文部科学大臣が策定する指針を参酌した上で、任命権者が教師の資質向上に関する「指標」や「教員研修計画」を策定するなどの新たな制度を施行。
【今後の取組が期待される事項】
- 新学習指導要領の円滑な実施を進めるとともに、教師の持ち時間数の削減等の業務の見直しを図りつつ、学校の指導・事務体制の効果的な強化等を推進すること。
- 原則として、スクールカウンセラーについては、全公立小中学校、スクールソーシャルワーカーについては、全中学校区への配置を進め、それ以降は、配置状況も踏まえ、配置時間の充実等学校における専門スタッフとしてふさわしい配置条件の実現を目指すこと。
- 制度改正を含めた教師の資質向上に関するこれまでの改革が着実に実行されるように、国は地方公共団体と綿密に連携を取り、適切にフォローアップを行うこと。
- (3)高等学校教育と大学教育との接続・大学入学者選抜の在り方(第四次提言関連)
【これまでの取組】
- 中央教育審議会での検討を経て、「高大接続システム改革会議」の「最終報告」(平成28年3月)を踏まえ、「高校生のための学びの基礎診断」実施方針、「大学入学共通テスト」実施方針及び「平成33年度大学入学者選抜実施要項の見直しに係る予告」を策定(平成29年7月)。
【今後の取組が期待される事項】
- 「高大接続改革の実施方針」(平成29年7月)では、高校生の学びの基礎診断の結果の入試等への活用、大学入学共通テストのCBT方式の導入や複数回受検などの点について引き続き検討課題とされているが、提言の趣旨を見失うことのないよう、これらの点について実現するべく取組を進めること。
- (4)日本の知を牽引すべき大学の教育研究力の強化と社会人の学び直し(第三次、第五次、第六次提言関連)
【これまでの取組】
- 「学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律」(平成27年4月施行)により、大学運営における学長のリーダーシップの確立等のガバナンス改革を促進。
- 「国立大学法人法の一部を改正する法律」(平成29年4月施行)により、世界最高水準の教育研究活動の展開に向け、「指定国立大学法人制度」を創設。
- 「学校教育法の一部を改正する法律」(平成31年4月施行予定)により、専門職大学及び専門職短期大学を制度化。
【今後の取組が期待される事項】
- 大学は、その運営に多様な意見を取り入れるために、付与される権限に応じた責任の在り方に留意しつつ、外部人材の積極的な活用を図ること。
- 国立大学法人運営費交付金や私学助成について、大学改革や教育研究の質の向上のためのメリハリを強化し、適切な措置を図りつつ、多様な財務基盤を確保するよう引き続き取り組むこと。
- (5)新たな時代を見据えたICT活用による教育の革新と理工系人材の育成(第三次提言、第七次提言関連)
【これまでの取組】
- 新学習指導要領において、情報モラルを含む情報活用能力を「学習の基盤となる資質・能力」と位置付けるとともに、小学校におけるプログラミング教育の必修化等、新たな時代を見据えた教育の在り方について明記。
【今後の取組が期待される事項】
- 教育のICT化を推進するために、学校種間で大きな差異が生じないようにICT環境の整備を進めるとともに、デジタル教材などのコンテンツの充実に係る取組を加速させること。
- 国及び大学は、地方公共団体等とも連携しつつ、理工系に進学する女性の割合の向上に努めるとともに、女性研究者が出産などのライフイベントを経験してからも引き続き教育・研究の第一線で活躍できるような環境整備を進めること。
- (6)子供の自己肯定感を高める教育の実現に向けた学校・家庭・地域の教育力の向上、学校における働き方改革のための運営体制の強化(第十次提言関連)
【これまでの取組】
- 地方教育行政の組織及び運営に関する法律及び社会教育法が改正され(平成29年4月施行)、学校運営協議会設置(コミュニティ・スクール導入)を努力義務化するとともに、「地域学校協働活動」に関する連携協力体制の整備等に関する規定を整備。
- 教師の働き方改革について、平成29年7月より、中央教育審議会初等中等教育分科会「学校における働き方改革特別部会」において議論。同年12月に「中間まとめ」を公表し、学校・教師が担う業務の明確化・適正化について整理。
【今後の取組が期待される事項】
- コミュニティ・スクールの導入をより一層推進するとともに、地域学校協働活動を全国的に推進すること。
- 職員室のICT化、外部人材の活用、外部人材の質の確保など、教師の授業以外の業務負担を軽減するための取組や検討を進めること。
- (7)教育投資の充実及び教育財源の確保(第八次提言関連)
【これまでの取組】
- 低所得の多子世帯などの幼児教育保護者負担軽減(第2子の無償化)や給付型奨学金の創設のほか、大学等奨学金事業の充実や授業料減免の充実等を実施。
- 「新たな経済政策パッケージ」(平成29年12月8日)に基づき、2019年10月に予定される消費税率10%への引き上げによる財源を活用し、引き上げを前提として、人材への投資の抜本的な拡充が行われる予定。
【今後の取組が期待される事項】
- 「新しい経済政策パッケージ」(平成29年12月8日)を踏まえ、消費税率10%への引上げを前提に、国民の理解を得ながら、幼児教育、高等教育の無償化・負担軽減などの取組を着実に進めること。
「第十一次提言中間報告」の概要(平成31年1月18日)
- 人口減少や少子・高齢化が急速に進む中で、地方創生を進めることが重要。また、人生100年時代において、高齢者から若者まで全ての人が活躍できる社会を築くため、人づくり革命を進めることが必要。さらに、AIやIoTなどの技術の急速な発展に伴うSociety5.0が到来するとともに、グローバルな競争が激化。
- 今後、これらの変化に対応し活躍できる資質・能力を子供たちに育成することが大切であり、新たな時代を見据えた教育再生を大胆に進めることが必要。
- このような観点から、「技術の進展に応じた教育の革新」及び「新時代に対応した高等学校改革」をテーマに、昨年8月にワーキング・グループを設けて議論を進め、今般中間的に取りまとめたもの。
- 背景
- 技術革新は、一人一人の能力等に応じた個別最適化された学びや、場所や時間に制約されず主体的に学び続けることができる環境を実現しうる。
- 教師に求められる役割や資質・能力も変化。こうした変化に対応するため、養成・採用・研修の全体を通じた教師の育成が必要。働き方改革も重要。
- 学校のICT環境は脆弱であり、教育の発展にとって危機的な状況。ICTは教育の「マストアイテム」であり、関係者が意識を高め、整備の加速化が必要。
- 主な提言事項
- プログラミングやデータサイエンスに関する教育等も含めた基盤的な学力や情報活用能力の育成
- STEAM教育の推進
- 情報モラル教育の充実
- 社会の変化に対応するための教育課程や教科書も含めた学習指導の不断の見直し
- 社会の変化や技術の急速な進展を踏まえた養成・採用・研修の全体を通じた教師の資質・能力の向上
- 教員養成を先導するフラッグシップ大学の創設
- 免許外教科担任が多い教科(高等学校の情報など)の免許取得の促進に向けた免許制度の改善
- 特別免許状の積極的・弾力的な活用等による外部人材の積極的な配置・活用
- 全ての小・中・高等学校等で遠隔教育を活用できるよう推進
- スタディ・ログ等を活用した個別最適化された学びの実現に向けた実証研究の推進
- デジタル教科書の効果・影響の検証や企業等との連携・協働による多様なデジタル教材等の作成の推進
- 校務の情報化や、各種表簿の電子化等による働き方改革の推進
- 障害のある児童生徒への指導の効果を高めるための支援機器等教材の効果的な活用の促進
- 通学が困難な児童生徒や帰国・外国人生徒等のための活用も含め、全ての小・中・高等学校等で遠隔教育を活用できるよう推進
- 地方財政措置(単年度1,805億円)が講じられている学校のICT環境整備について、地方公共団体間で差が生じている要因等の分析と、必要な対応の実施
【参考】
普通教室の無線LAN整備率:静岡県68.6% 福岡県9.4%
教育用コンピュータ1台当たりの児童生徒数:佐賀県1.8人 埼玉県7.9人 - 必要十分な機能を有するICT機器等を費用を低減して調達するためのガイドブックの作成
- クラウドサービスの普及を見据えた教育用ネットワーク環境の在り方の検討
- 全国学力・学習状況調査の改善の検討
- 協議会等の定期的な開催による関係省庁の連携・協働の促進
- 総合教育会議の活用等による首長と教育委員会が一体となった教育の情報化の推進
- 企業等による、便利で安価なICT機器やネットワーク環境の開発等、魅力的な教材の開発、技術的ノウハウの提供、人材供給、EdTechを活用した事例創出等への積極的な協力を期待
- 背景
- 高等学校は、中学校を卒業したほぼ全ての子供が進学。社会の中で自立し、他者と連携・協働しながら生き抜く力を育成することが必要。
- 高校生の能力、適性、興味・関心、進路等が多様化し、高等学校が対応すべき教育上の課題は複雑化。
- また、少子高齢化、就業構造の急速な変化、グローバル化、SDGsの推進、AI・IoT等の技術革新の進展によるSociety5.0の到来など大きな社会の変化。
- こうした中、高等学校においては、Society5.0を生き抜くための力や生徒一人一人が能動的に学ぶ姿勢を身に付けさせることが求められており、子供の能力を最大限引き出す多様な学びの実現や文理両方をバランスよく学ばせることにより、Society5.0をたくましく生きる人材の育成を図ることが重要。
- なお、各学校における改革の取組は、教師の意識改革や人事配置等の工夫、地域の関係者の参画等により、継続性を維持し定着させることが必要。
- 主な提言事項
- 学習の方向性に基づいて学科を類型化すること等、普通科の在り方の検討
- 文系・理系科目をバランスよく学ぶ仕組みの構築
- 専門学科が地域の自治体や産業界等と協働できる仕組みの普及
- 専門学科及び総合学科の在り方や学科の区分の在り方の検討
【参考】
生徒数(平成29年度)普通科 239万人(73%)専門学科 71万人(22%)総合学科 18万人(5%)
- 新高等学校学習指導要領の着実な実施
- 社会の変化に対応するための教育課程や教科書も含めた学習指導の不断の見直し
- 全ての高等学校等で遠隔教育を活用できるようグッドプラクティスの全国的普及
- 多様な背景を持つ生徒の受け皿となっている実態を踏まえた教育の質の向上
- 広域通信制高等学校の第三者評価の実証研究結果等を踏まえた更なる質の確保・向上
- 校内研修の充実、研修の適切な評価、管理職のマネジメント力の向上、ベテランから若手教師への知識技能の伝承
- 教職に強い大学と教科に強い大学が共同して質の高い教員養成ができる仕組みの構築
- 特別免許状の弾力的な活用等による、外部人材の活用
- 特色ある教育活動を推進している校長の在職期間の長期化など、人事異動の在り方の再点検
- 働き方改革の推進
- 高等学校と市町村、産業界、大学等が協働した地域課題の解決等を通じた学びの実現
- 高等学校におけるコミュニティ・スクールの導入と地域学校協働活動の実施の推進
- 高等学校と地域をつなぐコーディネーターの役割やその在り方の検討
- 地方創生の観点からの地域の関係機関による高等学校の支援方策の検討
- 文理両方を学ぶ人材の育成の観点や学科の在り方の検討を踏まえた入学者選抜を含む中高・高大接続の在り方等の検討、進路指導やキャリア教育等の充実
- 不登校等の多様な課題を抱える生徒に対応するためのスクールカウンセラー等の専門人材の配置状況の把握と、適正な配置・活用に向けた方策の検討
- 障害のある生徒の自立と社会参加に向けた学校と関係機関等の連携
- 日本語指導が必要な帰国・外国人生徒等の受入れ体制の充実
- 少子化が進む中、地域における高等学校の役割も十分踏まえた、新たな時代の高等学校にふさわしい教育環境の在り方の検討
「技術の進展に応じた教育の革新、新時代に対応した高等学校改革について」(第十一次提言)(令和元年5月17日)
<第十一次提言の概要>
- 人口減少や少子・高齢化が急速に進む中で、地方創生を進めることが重要。さらに、人生100年時代を迎える中、AIやIoTなどの技術の急速な発展に伴うSociety5.0が到来するとともに、グローバルな競争が激化。これらの変化に対応し活躍できる人材育成が急務であり、新たな時代を見据えた教育再生を大胆に進めることが必要。
- このような観点から、昨年8月より「技術の進展に応じた教育の革新」及び「新時代に対応した高等学校改革」をテーマに審議。今般提言を取りまとめるもの。
- 背景
- 技術革新は、社会構造全体までも変えるインパクト。教育においても、一人一人の能力等に応じて公正に個別最適化された学びや、場所や時間に制約されずに主体的に学び続けることができる環境を実現し得るもの。教育内容、教科書、教員養成など、全般的な対応が急務。
- 一方、学校のICT環境は脆弱であり、危機的な状況。ICTは教育の「マストアイテム」であるとの認識を関係者が共有し、整備の加速化が急務。
- 主な提言事項
- 基礎的読解力や数学的思考力をはじめ、データサイエンス等に関する教育等も含めた基盤的な学力や情報活用能力の育成
- STEAM教育の推進
- 学習指導要領の一部改訂など、教育課程の不断の見直しを進め、中長期的な観点から教科書の弾力的見直しについても検討
- 社会の変化や技術の急速な進展を踏まえた養成・採用・研修の全体を通じた教師の資質・能力の向上
- 教員等の資質の向上に関する指標や教員研修計画へ、ICT活用指導力の育成について明確に位置付け
- 教員養成を先導するフラッグシップ大学の創設
- 専門性の高い外部人材の積極的配置・活用、免許外教科担任が多い教科の免許取得の促進
- 全ての小・中・高等学校等で遠隔教育を活用できるよう、大学・民間企業等と協働したプラットフォームの構築や、特例校制度による指導法研究
- スタディ・ログ等を活用した個別最適化された学び等の実現に向け実証研究
- スタディ・ログの収集・管理・分析等について整理
- 高等教育機関における遠隔教育の推進
- 校務の情報化や、各種表簿の電子化等による働き方改革の推進
- 全ての大学生がAI・数理・データサイエンスの基礎的な素養を身に付けられるよう標準カリキュラムの作成
- 高等専門学校において、大学と連携した高度な専門教育によるハイブリッド型の連携教育プログラムの導入を促進
- 障害のある児童生徒への指導の効果を高めるための支援機器等教材の効果的な活用の促進
- 通学が困難な児童生徒や帰国・外国人生徒等のための活用も含め、全ての小・中・高等学校等で遠隔教育を活用できるよう推進
- 地方財政措置(単年度1,805億円)が講じられている学校のICT環境整備について、地方公共団体間で差が生じている要因等の分析と、必要な対応の実施
≪参考:平成30年3月時点のICT環境整備状況≫
普通教室の無線LAN整備率:静岡県68.6% 福岡県9.4%
教育用コンピュータ1台当たりの児童生徒数:佐賀県1.8人 埼玉県7.9人 - 競争的な環境で安価にICT機器等を調達できるよう、価格の相場観などモデルの提示やガイドブックの作成
- 世界最高速級の学術通信ネットワーク「SINET」を、初等中等教育段階に開放
- 全国学力・学習状況調査の改善の検討
- 高齢者や障害者、外国人等の図書館利用が容易となるよう、先端技術を活用した点字・視聴覚資料等の活用事例について調査
- 総合教育会議の活用等による首長と教育委員会が一体となった教育の情報化の推進
- 企業等による、便利で安価なICT機器やネットワーク環境の開発等、魅力的な教材の開発、技術的ノウハウの提供、人材供給、EdTechを活用した事例創出等への積極的な協力を期待
- 背景
- 高等学校は中学校を卒業したほぼ全ての生徒が進学。一方、高校生の能力、適性、興味・関心、進路等が多様化。高等学校が対応すべき教育上の課題は複雑化。
- 少子高齢化、就業構造の変化、グローバル化、AIやIoTなどの技術革新の急速な進展によSociety5.0の到来など、高等学校を取り巻く状況は激変。
- これからの高等学校においては、生徒一人一人が能動的に学ぶ姿勢を身につけさせるとともに、文理両方をバランスよく学ぶこと等を通じ、Society5.0をたくましく生きる力を育成。
- 主な提言事項
- 全ての高等学校において、生徒受入れに関する方針、教育課程編成・実施に関する方針、修了認定に関する方針を策定
- 国は、普通科の各高等学校が、教育理念に基づき選択可能な学習の方向性に基づいた類型の枠組みを提示
<類型の例>- キャリアをデザインする力の育成重視
- グローバルに活躍するリーダーの素養の育成重視
- サイエンスやテクノロジーの分野等におけるイノベーターとしての素養の育成重視
- 地域課題の解決等を通じた探究的な学びの重視
- 類型の種類や履修・指導体制の在り方について、中央教育審議会等において専門的・実務的に検討
- 文系・理系科目をバランスよく学ぶ仕組みの構築
【参考】
生徒数(平成29年度)普通科 239万人(73%)専門学科 71万人(22%)総合学科 18万人(5%)
- 新高等学校学習指導要領の着実な実施
- 社会の変化に対応するための学習指導要領の一部改訂の実施、標準的な授業時間の在り方を含む教育課程の在り方の見直し
- 技術革新の進捗が早い分野の教科・科目に係る教科書の弾力的見直しを検討
- 定時制・通信制課程における生徒のキャリア形成に必要な社会的スキル等の育成方策について検討
- 通信制課程において「高校生のための学びの基礎診断」の活用促進等による質の確保・向上
- 広域通信制高等学校の第三者評価の実証研究結果等を踏まえた更なる質の確保・向上
- 校内研修の充実、ベテランから若手教師への知識技能の伝承
- 教師の資質の向上に関する指標について学校種ごとに記述
- 特別免許状の弾力的な活用等による、ポスドク、企業人材、アスリート、芸術家などの外部人材の活用
- 特色ある教育活動を推進している校長の在職期間の長期化など、人事異動の在り方の再点検
- 高等学校と市町村、産業界、大学等が協働した地域課題の解決等を通じた学びの実現
- 高等学校におけるコミュニティ・スクールの導入と地域学校協働活動の実施の推進
- 高等学校と地域をつなぐコーディネーターの役割やその在り方の検討
- 文理両方を学ぶ人材の育成の観点から、文系・理系に偏った試験からの脱却を目指し、大学入学者選抜の在り方の見直し
- 入学者選抜改革やカリキュラム改善等、教育の質向上に取り組む大学の支援の充実
- 高等学校卒業者の職業選択である「一人一社制」について、よりよいルールとなるよう検討
- 不登校などの多様な課題を抱える生徒に対応するためのスクールカウンセラーなどの専門人材の配置状況の把握と、適正な配置・活用に向けた方策の検討、SNSを活用した教育相談体制の充実
- 高等学校における通級による指導の充実、高等学校入学者選抜における合理的配慮
- 障害のある生徒の自立と社会参加に向けた学校と関係機関等の連携
- 日本語指導が必要な帰国・外国人生徒等の受入れ体制の充実
- 離島・中山間地域等の小規模な高等学校において、ICT等の導入や高等教育機関との連携強化により学習の多様性や質の高度化を図る
- 都道府県における検討に資するよう、都道府県における高等学校の再編や小規模校の活性化の状況や事例を情報提供
会議概要
「教育再生実行会議」とは?
21世紀の日本にふさわしい教育体制を構築し、教育の再生を強力に進めていくための会議として設置されました。
この会議のメンバーは、内閣総理大臣、内閣官房長官及び文部科学大臣兼教育再生担当大臣並びに有識者で構成されています。
設置根拠、会議概要等については、こちらをご覧下さい。