令和5年9月13日岸田内閣総理大臣記者会見終了後の書面による質問に対する回答

【毎日新聞】

 女性閣僚の割合の評価、「女性ならではの感性や、あるいは共感力」との発言について

(回答)

 人事は、本人の人格・識見を踏まえ、適材適所の考え方で行っており、今回の内閣改造に当たっても、閣僚、副大臣、政務官、総理補佐官など、全体として、適材適所を徹底して人事を行った結果、ご覧のような老壮青、男女等のバランスとなったところです。
 また、御指摘のご発言については、
・政策決定における多様性の確保が重要であることや、
・今回任命された女性大臣に、その個性と能力を十分に発揮して職務に取り組んでいただきたい
 という趣旨を述べたものです。

【中国新聞】

 中国、北朝鮮、ロシアに関する外交方針・「核兵器のない世界」への取組について

(回答)

(中国について)
 日中関係全般については、日本として主張すべきは主張し、中国に対し責任ある行動を強く求めつつ、諸懸案も含め、対話をしっかりと重ね、共通の課題については協力する、「建設的かつ安定的な関係」の構築を双方の努力で進めていくというのが、私の一貫した方針です。これは今後も、変わらず引き継いでいきます。引き続き中国との間では、ハイレベルを含む、あらゆるレベルで緊密に意思疎通を図っていきたいと考えています。
(北朝鮮について)
 日朝平壌宣言に基づき、拉致、核、ミサイルといった諸課題を包括的に解決し、不幸な過去を清算して、日朝国交正常化の実現を目指すという政府の方針に変わりはありません。
 とりわけ、拉致被害者御家族も御高齢となる中で、時間的制約のある拉致問題は、ひとときもゆるがせにできない人権問題と認識しています。全ての拉致被害者の一日も早い御帰国を実現するべく全力で果断に取り組んでいきます。
 その上で、日朝間の懸案を解決し、両者が共に新しい時代を切り開いていくという観点からの私の決意を、あらゆる機会を逃さず金正恩委員長に伝え続けるとともに、首脳会談を早期に実現すべく、私直轄でのハイレベルでの協議を進めていきたいと思います。
(ロシアについて)
 ロシアについては、ウクライナ侵略を一刻も早く止めさせ、対話への道筋を作るため、G7を含む国際社会と連携しつつ、強力な対露制裁を講じるとともに、ウクライナへの支援を継続していきます。
 また、日露関係は、ロシアによるウクライナ侵略により厳しい状況にありますが、我が国としては、引き続き、領土問題を解決し、平和条約を締結するとの方針を堅持します。
(「核兵器のない世界」への取組について)
 先般のG7広島サミットでは、G7首脳に被爆の実相に触れていただき、その上で、核軍縮に関する初めてのG7首脳独立文書となる「G7首脳広島ビジョン」を発出しました。「核兵器のない世界」の実現に向けた国際社会の機運を高めることができました。
 他方、ロシアによるウクライナ侵略等により国際安全保障環境はその厳しさの度合いを増しており、また、核軍縮をめぐる各国立場の違いやロシアによる核兵器による威嚇(いかく)なども相まって、「核兵器のない世界」に向けた道のりが厳しさを増していることは否定できません。
 しかし、そのような状況にあるからこそ、G7広島サミットにおいて一致したように、「核兵器のない世界」への確たる決意の下、現実的かつ実践的な取組を着実に進めていく必要があるとの思いを強くしています。G7広島サミットで発出した「G7首脳広島ビジョン」を強固なステップ台としつつ、「ヒロシマ・アクション・プラン」の下での取組を一つ一つ実行していくことで、現実的で実践的な取組を継続・強化していきたいと思います。

【CBCテレビ】

 女性の政治参加、特に、子育て中の女性の地方議会活動について

(回答)

 政治分野における男女共同参画の推進は、政治に民意をより一層反映させる観点から重要です。
 令和2年度に、地方議会議員を対象に行った調査では、議員活動を行う上での課題について、「議員活動と家庭生活との両立が難しい」ことなどが挙げられていると承知しています。
 政府では、「第5次男女共同参画基本計画」に基づき、各地方議会の議長会に、育児等に伴う欠席規定の整備など両立支援に係る標準会議規則の改正を要請するなど、議員活動と家庭生活との両立が可能な環境整備を促す取組を進めてきたところです。
 今後とも、各地方議会における取組状況の見える化や、優良事例の情報提供などを通じて、政治分野における男女共同参画を積極的に推し進めてまいります。

【新潟日報社】

 拉致問題担当大臣の任免及び拉致問題への対応方針について

(回答)

 人事については適材適所で判断しています。また、拉致問題については政府一丸となった取組が重要であることから、内閣の重要政策を総合調整する内閣官房長官に拉致問題担当大臣を兼務させることは適当であると考えております。
 拉致問題は岸田政権の最重要課題です。先日の会見(9月13日の会見)でもお答えしたとおり、日朝間の懸案を解決し、両者が共に新しい時代を切り開いていくという観点からの私の決意を、あらゆる機会を逃さず金正恩委員長に伝え続けるとともに、首脳会談を早期に実現すべく、私直轄でのハイレベルでの協議を進めていきたいと考えています。

【信濃毎日新聞】

 地方の人手不足・人材不足への対応

(回答)

 地方における人手不足への対応は、日本全体の成長を持続的なものとするために重要です。
 例えば、デジタル人材については、昨年12月に閣議決定した「デジタル田園都市国家構想総合戦略」に基づき、専門的なデジタル知識・能力を有し、デジタル実装による地域の社会課題解決をけん引する人材の育成・確保に、関係省庁が連携しながら取り組んでいます。
 具体的には、2026年度末までに230万人のデジタル人材を育成することを目指し、経済産業省のデジタル人材育成プラットフォームによる育成、厚生労働省の職業訓練におけるデジタル分野の重点化、文部科学省の高等教育機関におけるデジタル人材育成の教育プログラム認定等によりデジタル人材育成の取組を進めています。
 また、総務省において、各自治体におけるデジタル化の取組の中核を担う自治体職員の育成に係る経費や、都道府県等における市町村支援のためのデジタル人材の確保に要する経費について、今年度から新たに特別交付税措置を講じています。
 さらに、副業・兼業人材を含めたデジタル人材の地方への還流を促進するため、地域の金融機関や各道府県のプロフェッショナル人材戦略拠点において、地方の企業等の経営課題解決に必要なデジタル人材等のマッチングを支援する取組を進めているところです。
 また、人手不足など厳しい環境の中でも果敢に挑戦する、地域の中小企業・小規模事業者を応援するため、事業再構築補助金、ものづくり補助金、IT導入補助金等を通じた生産性向上を進めていきます。
 今後取りまとめる新たな経済対策においても、省人化・省力化投資の支援措置などの抜本強化を図るとともに、地方において賃上げが可能となるよう、中堅・中小企業による投資促進策を強化します。

【日刊ゲンダイ】

 国民目線に乏しい人事とのご意見について

(回答)

 我々は数十年に一度ともいえる、時代を画する構造的な変化に直面しています。
 こうした中、安定した政権運営をしつつ、「経済」、「社会」、「外交・安全保障」の3つを、政策の柱として、総力を挙げて取り組んでいきます。このため、政権の骨格を維持しながら、政権の重要課題を実行するための担当の変更や、政策課題に精通した実行力のあるメンバーの入閣を含む、内閣改造を行いました。
 人事については適材適所で検討しました。「変化を力にする内閣」として、国民の期待に応えていくことができる内閣だと考えています。

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