令和5年8月4日岸田内閣総理大臣記者会見終了後の書面による質問に対する回答
【毎日新聞】
ALPS(多核種除去設備)処理水に関する国内外の理解及び国内関係者への総理自らによる説明について
(回答)
ALPS処理水の海洋放出について、国内外で、丁寧に説明を続けているところであり、特に漁業関係者については、西村経産大臣をはじめ、地元との対話を重ねてきているところです。
なお、自らが説明することについて何ら決まっているものはありませんが、引き続き、政府を挙げて、安全性の確保と風評対策について、丁寧に説明を重ねていきます。
【中国新聞】
中国電力による山口県上関町への使用済み核燃料の中間貯蔵施設の建設調査申し入れ及び上関原発の必要性について
(回答)
今後も、安定的かつ継続的に原子力発電を利用する上で、使用済燃料の貯蔵能力の拡大が重要な課題です。
中間貯蔵施設に関する今般の中国電力による申し入れについては、こうした課題に対する取組として、意義があると考えています。
使用済燃料の再処理を含む核燃料サイクルの実現に向けては、六ヶ所再処理工場の竣工(しゅんこう)に向けた取組やプルサーマルを推進することなどを、「エネルギー基本計画」に明示しており、政府として、着実に進めてまいります。
また、上関(かみのせき)原子力発電所については、事業者による検討や自治体との調整、ご地元からの要請が行われてきた経緯があると承知しており、今後とも関係者における検討状況を注視していきたいと思います。
いずれにせよ、エネルギーを取り巻く国際環境が激変する中で、再エネ、原子力、水素など、あらゆる脱炭素電源を強力に推進していくことが、我が国の安全と豊かさを維持するために不可欠であり、その実現に向けて、着実にエネルギー政策を進めてまいります。
【テレビ東京】
インボイス制度に関する懸念払しょくについて
(回答)
インボイス制度は、複数税率の下で適正な課税を確保するために必要なものです。
インボイス制度に関する中小零細企業やフリーランスの方々のご懸念について、様々な声に耳を傾け、政府一体で連携して丁寧に課題を把握しながら、きめ細かく対応していきます。
具体的には、
・免税事業者をはじめとした事業者の取引について、公正取引委員会をはじめとした関係省庁が連携して、取引環境の整備に取り組むとともに、
・昨秋の総合経済対策において、IT(情報技術)導入補助金や持続化補助金などの支援策の充実を行い、デジタル化を含め、事業者によるインボイス対応のための準備を支援し、
・更に、令和5年度税制改正において、免税事業者がインボイス発行事業者となった場合に新たに生じる消費税の転嫁が難しいのではないかといったご懸念に対応するため、納税額を売上税額の2割に軽減する3年間の新たな負担軽減措置を講じた
ところです。
政府一体となって、フリーランスも含め、個別業界ごとにきめ細かく状況を把握し、適切な対応が図られるようフォローアップしているところであり、引き続き、本年10月に制度を円滑に実施できるよう、万全の対応を図っていきます。
【TBSラジオ】
新たに起こされた黒い雨訴訟、長崎の雨域調査及び一般論としての裁判中の事案への対応などについて
(回答)
いわゆる「黒い雨」に遭った方への対応として、昨年4月から運用を開始した認定基準に基づき、「黒い雨に遭った方で、11種類の障害を伴う一定の疾病にかかっている方」について、被爆者健康手帳を交付しているところです。係争中の裁判については、その行方を注視したいと考えています。
また、お尋ねの長崎につきましては、過去の裁判例との整合性に課題があり、そのため、「黒い雨」が降った地域の存在を示す客観的な資料の有無等を整理する必要があると考えています。長崎県・長崎市の意見をよく聞きながら、議論を続けてまいります。
なお、一般論として、裁判中の事案についての政府の対応については、一概にはお答えできないと考えています。
【新潟日報社】
柏崎刈羽原発の再稼働に関する東京電力への不信感等について
(回答)
原子力発電所については、原子力規制委員会が新規制基準に適合すると認めた場合のみ、その判断を尊重し、国が前面に立って、地元の理解を得ながら、再稼働を進めるというのが政府の方針です。
東京電力柏崎刈羽原子力発電所においては、原子力規制委員会により、核物質防護に係る検査に加えて、原子力発電所を運営する適格性についての検査も行われているところです。東京電力は、原子力事業者としての適格性に関する厳しい指摘も真摯に受け止め、核物質防護体制の再構築はもちろんのこと、組織改革の着実な遂行、不断の安全向上、地域・社会からの信頼回復に全力をあげて取り組んでいくことが不可欠と承知しています。
その上で、安全確保を大前提として、国としても、原子力の必要性や意義について、新潟県などの立地自治体の関係者の理解と協力を得られるよう、丁寧に説明してまいります。
【信濃毎日新聞】
マイナカード関係の点検に関する自治体への具体的支援策について
(回答)
マイナンバー情報総点検の実施に当たっては、「マイナンバー制度及びマイナンバーカードに関する政策パッケージ」に基づき、点検作業を行う地方自治体や保険者などの実施機関に無理が生じないよう、丁寧に点検作業を進めていく必要があります。
今後、総点検実施機関に対して、各機関の実情も伺いながら、
・デジタル庁をはじめ関係省庁からの点検マニュアルの提示
・個別データにおける住所の表記揺れなどを補正した上で照合できる支援ツールの提供
・社会保険診療報酬支払基金が行うマイナンバー照会費用の無料化 等
の支援を行い、原則として秋までに個別データの点検を実施してまいります。
その際、総点検実施機関に追加の支援が必要と判断すれば、ちゅうちょなく必要な対策を講じていきます。
各自治体や関係者の皆様におかれては、引き続き、総点検へのご協力をお願いしたいと思います。
【文化放送】
総理のマイナンバーカード取得時期、利用した所感について
(回答)
マイナンバーカードについては、交付が開始された2016年頃に取得しました。
これまでの実体験としては、マイナカードを利用して、
・歯科医院の窓口で、マイナ保険証として利用しました。
・スマホで、新型コロナワクチンの接種証明書を発行しました。
・スマホのアプリとマイナカードを連携して、お薬手帳として利用しています。
マイナ保険証の利用は極めてスムーズでした。また、ワクチン証明書は、役所の窓口に行かずに入手できたし、お薬手帳としてスマホで過去のお薬情報を確認できるのは大変便利だと感じました。
さらに、視察でお伺いした福岡市や群馬県では、マイナカードの活用により、
・行政手続きのオンライン化
・地域交通の割引サービス
等に取り組んでおり、今後の更なる可能性を感じたところです。
私自身、マイナカードについて不安を持っているわけではありませんが、マイナカードに対する国民の不安を払しょくするために、一つ一つの課題を洗い出し、着実に対応していきます。
【河北新報社】
東京電力福島第1原発の処理水について
(回答)
ALPS処理水の海洋放出の時期は、本年春から夏頃と見込むとお示ししており、これに変更はありません。
具体的な放出時期は、安全性の確保や風評対策の取組の状況等を政府全体で確認し、判断していきます。
【ドワンゴ】
木原官房副長官に関する一部週刊誌報道と当該事案の再捜査等について
(回答)
個別の案件について、政府としてコメントすることは差し控えますが、捜査当局が法と証拠に基づき中立・公正な立場から適切に対応するものと考えています。
【日刊ゲンダイ】
マイナ保険証に関するコスト・事務負担の減少や、マイナ保険証の保有状況の確認方法等について
(回答)
国民皆保険の下で、現行の健康保険証からマイナ保険証への移行期においても、デジタル対応とアナログ対応の併用期間を設け、保険者がマイナ保険証を保有していない方、全てに申請によらず資格確認書を交付することで、全ての国民が安心して保険診療を受けられるようにすることとしています。
従来の全ての加入者の方に保険証を発行してきた取扱いを改め、マイナ保険証を保有していない方全員に申請によらず交付する運用とすることで、現行の健康保険証に比べ、発行コストや保険者の事務負担などが、減少すると考えています。
具体的には、
①マイナンバーカードを保有している方が7割に上る中で、資格確認書の交付対象となる、マイナ保険証を保有していない方は、現状で、保険証を保有している方の5割程度であること、
②資格確認書の有効期間については、被用者保険の平均加入期間や、現行の国民健康保険や後期高齢者医療の有効期間(1年又は2年)など、現行の保険証の発行事務などを踏まえ、5年以内で保険者が設定できることとし、保険者の実務への影響に配慮していること、
③カードの形状や記載事項について、現行の健康保険証を踏まえたものとすることで、保険者の既存のシステムを最大限活(い)かすことができるようにし、追加費用が生じないような仕組みとすることとしています。
その実現に向け、保険者がマイナ保険証の保有状況を確認できる仕組み等を含め、資格確認書の発行などについて具体的に検討していきます。
【犬飼淳氏(フリーランス)】
総理のマイナ保険証の所有及び使用の有無について
(回答)
私は、マイナンバーカードを所有しており、歯科医院の窓口で、マイナ保険証として利用したことがあります。
【大川豊氏(フリーランス)】
障がい者や認知症の方等のマイナ保険証の取得、利用について
(回答)
マイナンバーカードの取得に課題がある方についても、円滑にカードを取得していただくための環境整備に取り組んでいくことが重要と考えています。例えば、本年3月には、病気や身体の障害等やむを得ない理由により、申請者が庁舎等に出向くことが困難な場合における代理交付の仕組みについて、事務処理要領の改訂を行い、活用できるケースの拡充・明確化などを行いました。
また、認知症などで暗証番号の設定に不安がある方が安心してカードを利用できるよう、暗証番号の設定が不要なカードの申請受付・交付について、本年11月頃から開始できるように検討を進めています。
引き続き、カードを取得していただくための環境整備を進めてまいります。
また、医療・介護・福祉などの現場においては、オンライン資格確認の受付時等において、意思決定に困難を抱えるとされる方々について、家族、成年後見人、医療・福祉従事者等が、適切な情報提供の下、障害や症状の態様等に応じて個別具体的に最終的な本人の意思決定をサポートしていただいているものと考えています。
これらの点について、政府においては、福祉関係者やご家族の方々などの声を聴いた上で、8月7日に「福祉施設・支援団体の方向けマイナンバーカード取得・管理マニュアル」を作成し、周知したところであり、今後も、障害をお持ちの方等がご本人の希望に応じてマイナンバーカードを取得し、健康保険証として利用いただけるような環境づくりに努めてまいります。
なお、現行の健康保険証を廃止する際にも、全ての国民が円滑に医療を受けられるよう、マイナ保険証を保有していない方全員に資格確認書を発行し、その有効期間やカードの形状も現行の健康保険証を踏まえたものとするなど、きめ細かい対応を徹底いたします。これにより、マイナ保険証を保有していない方も、現行の健康保険証を廃止してもなお、これまでどおり保険医療を受けることができます。