新型コロナウイルス感染症に関する菅内閣総理大臣記者会見

令和3年5月28日
 
テロップ版手話版(政府広報オンライン)

【菅総理冒頭発言】

 先ほど新型コロナ対策本部を開催し、北海道、東京都、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県、岡山県、広島県、福岡県について、緊急事態宣言を延長し、6月20日までとすること。また、埼玉県、千葉県、神奈川県、岐阜県、三重県について、まん延防止等重点措置の期間を延長して、同じく6月20日までとすることを決定いたしました。
 全国の新規感染者数は、全体として減少に転じる一方、依然として増加傾向にある地域もあり、予断を許さない状況です。関西では感染者数の減少が続いていますが、大阪、兵庫を中心に病床はひっ迫し、非常に厳しい状況にあります。首都圏では感染者数は横ばいから減少傾向にありますが、東京では依然としてステージ4の水準にとどまっております。その他の宣言地域でも高い水準にあります。また、全国の重症者数、死亡者数は高止まりの状況が続いています。こうした状況の中で、6月20日までの延長を判断いたしました。
 警戒すべきは、変異株の影響です。いわゆる英国株の割合は全国で8割を超え、また、いわゆるインド株については海外渡航歴のない方からも確認されています。強い感染力を持つとされる変異株への置き換わりが進む中で、実施される対策が感染者数の減少につながるまで、以前より長い時間を必要としております。
 今月末を緊急事態宣言の期限として皆様に御協力いただき、対策を進めてきました。この結果、新規感染者数が減少したとはいえ、宣言を解除する段階にまでは至っておらず、ワクチン接種を加速化することと併せて、今しばらく感染を抑えるための対策を徹底する必要があります。度重なる延長は大変に心苦しい限りでありますが、これからの3週間は感染防止とワクチン接種という二正面の作戦の成果を出すための極めて大事な期間と考えております。皆様の御理解と御協力を心よりお願い申し上げます。
 感染防止の具体策ですが、引き続きそれぞれの自治体と協力し、飲食店の時間短縮や、お酒やカラオケの提供の停止などを改めて強くお願いいたします。かねてより、飲食やお酒を伴う会合などでの感染リスクを下げることが対策の急所と指摘されてきました。長きにわたり御協力いただいている皆様に心から感謝申し上げ、その御労苦のほどを深くお察しいたします。
 多くの方々がワクチンを接種され、感染が収束に向かい、飲食や宿泊がかつてのにぎわいを取り戻すまでの間、支援策を着実に実施してまいります。また、皆様の切実な声に、引き続き耳を傾けてまいります。今回の宣言の延長を踏まえ、雇用調整助成金については7月も特別措置を継続することとし、雇用を守ってまいります。また、日本公庫等による実質無利子・無担保融資については、当面、年末まで延長することとし、事業者の資金繰り支援に万全を期してまいります。
 変異株への監視を強化いたします。インド、パキスタン及びネパールからの入国者に対しては、これまで入国後6日間としてきた待機措置を強化し、本日から入国後10日間に延長するなど、水際対策を徹底します。
 効果的な調査と対策で感染を抑え込んでいる地域があります。福井県では、4月の陽性者の98パーセントの感染経路を特定し、その85パーセントがマスクなしの会話が原因であると分析されております。これを踏まえ、飲食店などにおいても会話をする際にはマスクを着用することが徹底され、極めて低いレベルに感染が抑えられております。こうした地域の結果も踏まえれば、会食時も含めた会話の際にもマスクの着用という基本的な対策が有効です。
 皆さんに改めて、マスク、手洗い、3密の回避、基本的対策、いわゆる会話をする際にはマスクを着用することの重要性を御認識いただき、その徹底をお願いいたします。たとえ変異株であっても対策に変わりはありません。
 感染を防止し収束へ向かわせる切り札が、ワクチンです。世界の国々でもその効果ははっきりと現れております。医療従事者を対象とする接種に加え、ほぼ全国の市町村で高齢者への接種が開始され、接種回数は1日に40万回から50万回となり、これまでに1,100万回を超える接種が行われました。全国の市町村では多くの集団接種会場と医療機関で接種が行われ、さらに、先日視察した自衛隊による大規模接種センターに加え、3つの都道府県において既に大規模接種センターが設置されています。こうした関係者の皆さんの御協力の結果、全国の大多数の市区町村で7月末までに高齢者の接種を終える予定となっております。全国の自治体や医療関係者の方々には、心から感謝申し上げます。
 そして、多数の医療機関や接種会場が追加され、多くの都道府県で大規模接種センターを開設する動きが続々と出ております。さらに、多くの企業や、Jリーグ、プロ野球などの施設、あるいは全国の大学から、会場を提供したいというありがたい申し出を頂いております。一日も早く接種を進めて新型コロナに打ち勝つ。そうした協力の輪が全国に広がりを見せていることを、実感しております。改めて、皆様に感謝を申し上げる次第でございます。
 一方で、全国の現場では、打ち手の方々がまだ足りないとの声や、接種費用には上乗せ支援が必要などの意見が聞かれます。医師、看護師に加えて、新たに歯科医師に接種を行っていただいており、さらに救急救命士、臨床検査技師が接種を行うことができるように、また、薬剤師が診断に御協力いただけるよう、取り組んでおります。国としては、しっかりと財政支援を行います。できることは全てやります。
 1日100万回を目指して、日々の接種回数を増やし、まずは希望する高齢者の接種にめどをつけます。そして来月中には、予約状況などを踏まえ、高齢者への接種の見通しがついた市町村から、基礎疾患がある方々を含めて、広く一般にも接種を開始いたします。併せて、皆さんの職場や大学でも接種を進めてまいります。十分な量のワクチンは既に確保しております。6月末までに1億回分が供給され、9月までには更に1億回を上回るワクチンが確保できる予定です。
 東京オリンピック・パラリンピック大会については、多くの方々から不安や懸念の声があることは承知しています。そうした声をしっかりと受け止め、関係者と協力しながら、安全・安心の大会に向けて取組を進めております。
 具体策としては、まずは、来日人数削減の徹底です。当初18万人の計画が7万8,000人と半分以下に絞られており、更に合理化を進めます。また、大会に参加する選手や関係者には、徹底した検査とワクチンの接種が行われます。そして、宿泊先を制限し、移動は専用車両に限定いたします。一般の国民と交わることがないようにし、悪質な違反には、資格剝奪を含め、徹底した行動管理を行います。テスト大会も実施され、万全の感染防止に努めています。引き続きIOC(国際オリンピック委員会)、IPC(国際パラリンピック委員会)、組織委員会、東京都が調整を進め、国としてもしっかりと協力して、国民の命を守ってまいります。
 感染を封じ込めながらワクチン接種を加速するというこれまでにない新たな挑戦に立ち向かい、一日も早く安全・安心な日常を取り戻すために、内閣の総力を挙げて取り組んでまいります。私たちの力を結集すれば、必ずウイルスに勝つことができます。私自身、その先頭に立ってやり遂げてまいります。改めて、皆様方の御理解と御協力をお願いします。
 私からは以上です。

【質疑応答】

(内閣広報官)
 それでは、これから皆様より御質問いただきます。
 尾身会長におかれましては、所定の位置にお進みください。御質問の内容によりまして、尾身会長にも御説明いただきます。
 指名を受けられました方は、近くのスタンドマイクにお進みいただきまして、所属とお名前を明らかにしていただいた上で、1問ずつ御質問をお願いいたします。
 まず、幹事社2社から御質問いただきます。
 共同通信の吉浦さん、どうぞ。

(記者)
 共同通信の吉浦です。よろしくお願いします。
 東京都や関西圏に3回目の緊急事態宣言が発令されて1か月余りが経過しました。長期化している宣言の期間を、更に6月20日まで延長、再延長せざるを得なくなった原因や理由について、総理はどのようにお考えでしょうか。今後、感染状況が改善して宣言を解除する際に、宣言の対象地域をまん延防止等重点措置に移行する可能性があるかどうかも併せてお聞きします。

(菅総理)
 今回の緊急事態宣言により、多くの都道府県において感染傾向が減少に転じており、この効果が見られていると、このように思っています。しかし、東京の新規感染者数は依然として緊急事態宣言のレベルとされますステージ4の基準より高いところです。さらに、大阪などでは病床がひっ迫しております。解除するまで時間が必要だという判断をいたしました。
 こうした中で、感染力が強いと言われる変異株、その影響も考慮し、十分な時間を取って、知事の要請や専門家の意見も踏まえて、延長を判断いたしました。政府としては、まずは宣言の対象地域において、飲食店のお酒やカラオケの提供の停止や、テレワークの促進など、その対策を引き続いて徹底していきたいと思います。その上で、その後の対応についてでありますけれども、感染状況などを踏まえた上で、そこの時点で判断したい。このように思っています。
 尾身さんもよろしいですか。

(尾身会長)
 それでは、今度の再延長の理由というのは、現象的には総理がおっしゃったとおりだと思っています。それの背景に何があるかということで、私は3点あると思います。
 1つは、3度目の緊急事態宣言ということで、人々の慣れということもあって、なかなか人々の協力が得られにくくなっているというのは、これは一つの現実だと思います。
 それから2つ目は、当然のことながら変異株の影響というのがあったと思います。
 それから3点目は、これは少し私は強調させていただきたいのですけれども、都道府県の中に、時短や重点措置について、検討から要請、それから実施までの時間が少し掛かってしまったということで、こうした総理との会見という場を借りて、私自身、お願いを申し上げたいのは、重点措置の発令のプロセスですね。これが非常に重いプロセスになっているので、これを何とか簡略化していただければということで、大体3つの理由が私は今回はあったと思います。

(内閣広報官)
 それでは、続きまして、東京新聞の清水さん、どうぞ。

(記者)
 東京新聞、中日新聞の清水です。
 東京五輪・パラリンピックについて伺います。IOCのコーツ調整委員長は、先週、緊急事態宣言下でも五輪を開催できると明言されました。開催国の総理大臣として、緊急事態宣言下でも五輪を開催できるとお考えでしょうか。
 また、各種世論調査では、この夏の五輪開催に反対の声が多数です。国民の命を守ることに責任を持っているのはIOCではなく日本政府ですので、国民が納得できるよう、感染状況がどうなれば開催し、どうなれば開催しないか、具体的な基準を明示すべきではないでしょうか。お考えを伺います。
 なお、記者会見での総理の御回答が正面からお答えいただけなかったり、曖昧なものが多くて、見ている国民の方が不満を抱いていたりしています。是非明確にお答えいただけるようお願い申し上げます。

(菅総理)
 まず、国民の命と健康を守るのは、これは当然、政府の責務です。
 オリンピックについて様々な声があることは承知しています。そうした声に耳を傾けながら、指摘をしっかり受け止めて取り組んでいるところです。まず当面は、緊急事態宣言を解除できるようにしたいと思います。そうした中で、選手や大会関係者の感染対策をしっかり講じて安心して参加できるようにするとともに、国民の命と健康を守っていく、これがまずは前提です。
 そうした中にあって、具体的な対策を3点申し上げます。第1に、入国する大会関係者の絞り込みです。当初は18万人が来日する予定でしたけれども、オリンピックが5万9,000人、パラリンピックが1万9,000人まで絞っております。更に削減を要請いたします。
 次に、ワクチンの接種です。入国する選手や大会関係者の多くはワクチン接種が行われ、ワクチンが広く行き渡るよう日本政府の調整の結果として、ファイザーからIOCを通じて、日本人を始め各選手団にはワクチンが無償で提供されることになっています。
 そして、日本国民との接触、これの防止です。海外の報道陣を含めて、大会関係者は組織委員会が管理するホテルに宿泊先を集約し、事前に登録された外出先に限定し、移動する手段は専用のバスやハイヤーに限定します。また、入国前に2回、入国時に加え、入国後3日目までは全員毎日検査し、その後も定期的に検査いたします。こうした関係者と一般国民が交わることがないように、完全に動きを分けます。外出して観光したり街中へ出入りすることはない。こうした対策により、テスト大会も国内で4回開催いたしました。大会期間中、悪質な違反者については国外退去を求めたいと思っています。
 この3つの対策について、組織委員会、東京都、政府と、水際対策を始め国民の安全を守る立場から、しっかり協力して進めていきたい、このように考えています。

(記者)
 緊急事態宣言下でもできるとお考えでしょうか。

(菅総理)
 テスト大会も国内で4回開催しています。今、申し上げましたように、こうしたことに配慮しながら準備を進めております。

(内閣広報官)
 それでは、幹事社以外の方から御質問を頂きたいと思います。
 御質問を希望される方は挙手をお願いいたします。こちらで指名させていただきますので、マイクにお進みください。
 また、なるべく多くの方に御質問いただくためにも、質問は1問、簡潔にお願いしたいと思います。御協力をお願いいたします。
 それでは、TBSの後藤さん。

(記者)
 TBSの後藤と申します。よろしくお願いします。
 私もオリンピックについてお尋ねします。この緊急事態宣言が延長されるに当たって、国際社会は果たして日本でオリンピック開催ができるのかと危ぶむ声が出ています。そうした中で、先ほど総理は、このオリンピックに当たって具体的にどういうふうな対策を取り組むということを例示されましたけれども、国内の感染状況がどのように落ち着いた、ここまで落ち着いているから大丈夫だというような科学的なエビデンスに基づいた説明というものを、どのようにお考えなのでしょうか。例えば来月、総理は恐らくイギリスであるG7サミット、出席されると思うのですけれども、そういった場で、国際社会の各国首脳にどういったそういうエビデンスを持って説明をなさるお考えなのか、お願いします。

(菅総理)
 東京大会の開催に当たって、具体的な感染対策については今、私が申し上げたとおり、ここは徹底していきたいと思います。こうした対策を徹底すること、そして、外国人の観客を受け入れない、こうしたことも諸外国に対して説明して、理解を得たい、このように思っています。
 こうした対策の策定に当たっては、専門家の立場も交えて議論を重ねてきております。昨年9月から東京都、組織委員会、各省庁の調整会議を開催しており、感染症の専門家2名にアドバイザーとして毎回御出席いただいて意見を伺っており、引き続き透明性を持って丁寧に説明していきたい、このように思います。

(内閣広報官)
 それでは、奥の列から、毎日放送、三澤さん、どうぞ。

(記者)
 毎日放送、三澤と申します。総理、よろしくお願いいたします。
 総理は先ほど、ワクチンの効果ははっきりと現れているというふうにおっしゃいました。諸外国の例、例えばイギリスとかイスラエルの例を見ていましても、やはり接種率が上がると感染率がだんだん下がってくる、相関関係が見られます。そういった観点からすると、例えば日本国民の半分、50パーセントの接種ということを考えたときに、総理はいつまでにこれが完了するというふうに見ていらっしゃるでしょうか。総理は高齢者の接種期限7月末と非常に野心的な目標を掲げられました。この50パーセントの目標についても明確な期限を示していただきたいというふうに思います。
 尾身先生にもお伺いしたいのですが、この集団免疫の観点から、接種率がどれぐらいまで行けば感染率は下がってくるのか、日本の場合はどうなのか、専門的な見地から御解説を頂ければというふうに思います。よろしくお願いします。

(菅総理)
 まず私からお答えします。
 まずは7月末までに高齢者の皆さんへの2回の接種を終えるべく、接種の加速化、ここは進めています。総務省からも、全国の数多くの、大多数の自治体で2回を終えられる予定という報告を受けています。
 その上で、来月中をめどに高齢者の接種の見通しがついた自治体から、基礎疾患のある方も含めて広く一般の国民にも接種を開始していくことを考えております。具体的な開始の時期については、高齢者の接種の状況を見て判断をしたいというふうに思っています。いずれにしろ、こういう接種を行っていくことによって、こうした重症化のリスクは大幅に減少するというふうに思っています。
 それで、50パーセントということでありましたけれども、高齢者の人が約3,600万人います。この2回を7月一杯で終えたいということを私は申し上げています。さらに、今、多くの大規模接種会場が、全国から続々とこうしたものをやりたいという御要望がありますので。あるいは大学からもあります、企業からもあります。そうしたこともしっかり進めていきたいというふうに思っています。
 今、政府がこの6月一杯には1億回分を超えるワクチンを用意していますし、その先も9月までには更に1億を大幅に上回るワクチンも用意しています。
 そういう中で、海外は1回を早く打っているのですね。イギリスなんかそうですけど、1回目を5割打ったら大体ものすごい効果が出たということで、今、マスクなしにしていますけれども、日本はまずは高齢者の方にしっかり2回打ちたい。これは尾身先生を始め、専門委員会の皆さんからのお話を伺った上で行っています。そこは違うと思いますけれども、今、具体的に申し上げることは控えますけれども、高齢者の皆さんが2回、そのプラスというのは、かなり多くあることは申し上げたいというふうに思います。

(尾身会長)
 私にも質問があったので、集団免疫がいつ頃達成されるかということですけれども、実は皆さん、最近、外国の、特にワクチンの接種率が高い欧米の国を見て、ワクチンの接種率が上がったと同時に急激に感染者が減っているというカーブを見ると、比較的まだ接種率が低いところで感染者が下がっているというふうに感じられると思いますけれども、実は、欧米の今話したような国では、実はロックダウンをした時期、終わった後に打っているということもあるし、それから、国民というか、その国の多くの人がもう感染しているという中であったというようなことがあって、そのまま外国の例を日本に持っていくことは私はできないと思っています。
 その上で、どのぐらいというのは、これはまだまだ今、まだサイエンティフィックにはっきりした、日本の場合に何パーセントというのは言えませんが、このワクチンは実は当初、我々も去年、分科会でこのプライオリティーなんか優先順位を議論したときの提言では、基本的にはこれは発症予防、それから重症化予防というのがメインであるというふうに、我々はそういう前提で話していましたけれども、ここに来て、外国のいろいろなデータなんかを見ますと、いわゆる発症予防に加えて感染の予防ですね。これについてもかなり効果があるのではないかという指摘がなされている。そうなると、今、高齢者がある程度希望者がいった後になるべく早く、それ以外、65歳以下の人に、なるべく早くワクチンをやることによって、高齢者の場合には重症化予防ですけれども、感染予防というのもどうも我々が思っていたよりも期待されるということで、もうなるべく早く、高齢者がある程度打てたら、弾力的にいろんな接種のチャンネルを増やして、チャンネルを増やすということが非常に重要で、若い人たちにもなるべく早く打つということで。集団免疫というか、日本の感染をということが今、求められて、いつということを、だけれども、半分ぐらいになると少しは効果が出てくると。ともかく早く、若い、65歳以下の人にも打つということで、そのためには、一番大事なことは、ワクチンの接種のチャンネルを多様にするということが非常に重要なので、そういうことで、集団免疫というような状況、そのような状況ですよね。感染がどんどん下がるというような状況がなるべく早くするために、オールジャパンで努力すべき、今、時期だと思います。

(内閣広報官)
 それでは、読売新聞、黒見さん、どうぞ。

(記者)
 読売新聞の黒見です。
 ワクチンの接種で関連でお伺いいたします。総理は先ほどもおっしゃられたように、1日100万回の目標を掲げていらっしゃいますけれども、大規模接種の設置とかが相次いで、今後、100万回になる見通しというのはいつ頃になるというふうに見ていらっしゃいますでしょうか。よろしくお願いします。

(菅総理)
 まず、諸外国の例を見ても、やはりワクチンは感染防止の切り札だというふうに思っています。ですから、政府としては総力を挙げて、このワクチン接種に全力を挙げているところであります。
 こうした中で、接種の際の打ち手がいない。そうした根詰まりの部分については、政府で地方自治体の皆さんにも手伝いをさせていただいているところであります。
 現在、1日40万回から50万回でありますけれども、6月に入って中旬以降は、打ち手も含めて100万に対応できるような、そうした体制が中旬以降にはできてくる。このように思っています。
 とにかくワクチン接種に全力を挙げて、感染対策を行うと同時に、コロナとの闘いに私自身が先頭になって取り組んで、何としても国民の皆さんが安心・安全の暮らしを、かつての日常を取り戻すことができるように、全力で取り組んでいきたい、このように思っています。

(内閣広報官)
 それでは、奥のテレビ東京、篠原(しのはら)さん、どうぞ。

(記者)
 テレビ東京の篠原です。
 私も五輪についてお伺いいたします。開催に当たって、やはり世界各国から、削減したとはいっても数万人単位の人が訪れます。また、もし観客ありでやる場合は、国内でも多くの人が東京に集まるということが予測されるわけで、人流が加速化されるわけですね。そうした場合の新型コロナ感染拡大のリスクを、政府としてはどういうふうに分析していますでしょうか。
 また、国外から来ることに対しての防止策というのは今、総理、お話しになりましたけれども、国内の人流に対しての防止策とか感染防止策というのはどのようにお考えでしょうか。

(菅総理)
 今、我が国では、緊急事態宣言下ではありますけれども、野球や、あるいはサッカーなど、一定の水準の中で感染拡大防止をしっかり措置した上で行っていることもこれは事実だというふうに思っています。政府として、こうした点も十分にそれぞれ学習していますので、そうした中で対応することはできるというふうに思います。ですから、入場を何人にするとかそういうことは、今、5,000人規模ですか、宣言下でやっています。そうしたいろいろなことを参考にしながら、これは考えられるというふうに思っています。対応はできると思っています。

(内閣広報官)
 それでは、国際メディアから、香港フェニックスのリさん、どうぞ。

(記者)
 香港フェニックステレビのリ・ミャオと申します。
 外国人の新規の入国についてお尋ねしたいと思います。現状では、日本がほとんどの全世界の国々からの新規の入国を認めていないということだと思うのですけれども、しかし、例えば中国や多くの外国では、やはり日本に行って留学したい、日本で生活したい人たちはたくさんいるのですが、こうした中で、海外でワクチンの接種が進んでいる国もありますけれども、ワクチンの接種済みの人たちに対して、例えば優先的に日本への入国を認めるとか、そういったワクチンパスポートの検討を今されていると伺っているのですが、総理のお考えをお伺いしたいと思います。そして、このワクチンパスポートがもし実現できた場合、どのような時期を想定されますでしょうか。

(菅総理)
 いわゆるワクチンパスポートの導入については、諸外国で様々な議論、そして動きがある、そうしたことは当然承知しております。その導入に当たっては、ワクチンの感染予防効果だとか、あるいは効果が持続する期間などに関する科学的評価のほかに、接種を受けない方への不当な差別につながらないようにする、こうしたことの様々な論点があるというふうに思っています。このため、政府としては、官房長官の下で全体の調整を行う体制を今、整えており、引き続いて国内外の議論や各国の状況を収集しながら検討を進めていきたい、このように思っています。

(内閣広報官)
 それでは、NHKの長内さん、どうぞ。

(記者)
 NHKの長内と申します。
 総理にお伺いします。先ほどのワクチンの効果についてのお話もありましたが、来月20日までの宣言の解除を検討するに当たっては、このワクチン接種の進捗状況も考慮されるのでしょうか。もしそうであるとすれば、ワクチンの接種率であるとか件数などの目安があるのでしょうか。教えてください。

(菅総理)
 まず、緊急事態の解除については、基本的対処方針に書かれていますように、感染状況だとか医療のひっ迫状況、こうしたことを踏まえて、専門家の意見を聴きながら総合的に判断する、こういうことになっております。具体的には、緊急事態宣言のレベルであるステージ4をまずは脱却してステージ3になること、ここが目安だというふうに考えています。
 ワクチン接種の進捗状況自体を解除の基準とはしていませんが、接種が進むことによって新規感染者数や病床使用率が減少する、こうしたことが期待されておりますので、引き続きこのワクチン接種の加速化に全力で取り組んでいきたい、そういう環境をつくっていきたい、このように思っています。
 先生、御意見はございますか。

(尾身会長)
 ワクチンの接種が解除の条件に加味されるかという話ですけれども、私はワクチンの接種率そのものが今のステージの分類に代わるという必要はないと思います。むしろワクチンの接種が進むと、簡単に言いますと解除がしやすくなるというふうに思います。例えば高齢者が今どんどん進んでいますと、このワクチンは高齢者の重症化予防をかなり期待できますので、そうすると、高齢者の重症化というのが減ってきて、入院する人も減るということで、感染者はまだ比較的多くても、医療の体制の方の負荷というのがかなり取れてくるので、いわゆる、今までにいう解除の条件というものに達するのが比較的早くなって、これが今度、感染予防の方にもなるともっと簡単になるわけですけれども、少なくとも重症化予防という高齢者に対する効果が出てくると、感染者の数はもう多くても、医療への負荷が取れてきますから、解除する場合には医療の負荷というのをより優先にしてやりますので、今までよりも解除しやすい、解除の時期が早まるということはあり得ると思っています。

(内閣広報官)
 それでは、フジテレビの鹿嶋(かしま)さん、どうぞ。

(記者)
 フジテレビの鹿嶋です。
 ワクチン接種とマスクの着用に関する関係性についてお聞きしたいと思います。先日、韓国政府がワクチンを1回でも接種した人に関して、7月以降、屋外でマスクを着けなくてもいいよと、義務化を外すということを発表されました。今、国によって状況、前提はもちろん違うと思いますけれども、日本政府としてそうしたこと、措置、マスクはもう着けなくてもいいですよというのが、ある程度接種が進んだらアナウンスする可能性があるのか、あるいはまだまだ時期尚早と考えるのか。ワクチン接種と社会活動の再開の関係性についてどういうふうに考えているのか、お聞かせください。

(菅総理)
 まず、今回のワクチンについては、発症予防や重症化リスク、またその予防に効果がある、そうしたことが期待されています。一方で、感染を予防する効果については、効果を示すような調査研究はありますけれども、現時点においては明らかにはなっていないということです。
 また、マスクの着用でありますけれども、冒頭の挨拶の中で申し上げましたけれども、福井県の調査では、感染経路を特定できた感染者のうち85パーセントがマスクなしの会話をしていた、そういう分析がなされております。ですから、ワクチンを接種した人であっても、マスクの着用を始め基本的な感染防止対策、マスク着用して、手洗いして、3密を避ける、こうしたことは、現時点においては私自身は必要だというふうに思っています。
 ただ、諸外国において、ワクチン接種によって社会経済活動を行っている国もあります。先ほど尾身会長からお話がありましたけれども、ロックダウンをしていて、どうしても感染拡大を防ぐことができなかった中で、ワクチンによって回復をしているということも、これは事実であります。いずれにしろ、政府としてこのワクチン接種に今、全力を挙げていますから、どんどんどんどん進んでいくというふうに思っています。そういう段階の中で、やはり専門家の先生方に御相談させていただきながらの判断ということになるだろうというふうに思います。

(内閣広報官)
 それでは、ブルームバーグのノブヒロさん、どうぞ。

(記者)
 ブルームバーグのノブヒロと申します。
 現在、ポストコロナの経済を考える上で各国が重要視しています半導体の確保について、総理にお尋ねします。国内でも半導体の不足によって自動車の生産に影響が出るなどしている状況なのですが、日本政府として、今後半導体の確保に向けてどのような戦略を持って取り組まれるお考えでしょうか。

(菅総理)
 デジタル化が進む中で、自動車や家電、コンピューター、こうしたものに使用される半導体は、経済社会を支える重要な部品だというふうに認識しています。そして、国際競争が正に大激化しています。サプライチェーンの強靱(きょうじん)化や経済成長のために、日本の半導体の製造、その能力を確保し競争力を上げていくために、国を挙げて取り組む必要があるというふうに考えております。
 現在、半導体戦略を策定しているところでありますけれども、これまでの技術開発の支援に加えて更なる政策を早急に検討して、今、与党で取り組んでもらっていますので、与党のそうした議論も踏まえつつ、政府の成長戦略の重要な1つとして考えていきたい、このように思います。

(内閣広報官)
 それでは、日経新聞の重田さん、どうぞ。

(記者)
 日本経済新聞の重田です。よろしくお願いします。
 ワクチンの接種についてお伺いします。総理は先日、日本薬剤師会の会長と会談されました。薬剤師によるワクチンの接種の可能性については、現時点でどうお考えになりますでしょうか。また、歯科医師や救急救命士を打ち手とすることには法律的な壁があり、方向性を出すのにやや時間を要した面があると思います。総理は病床やワクチン承認の在り方について、緊急時の法整備の必要性に言及されていらっしゃいますが、今回、課題が浮かび上がった医師法などに関しても見直しが必要との認識はありますでしょうか。

(菅総理)
 まず、現状、ワクチン接種を加速させていくためには、いわゆる医療従事者の確保が極めて重要な課題であり、あらゆる選択肢、打つことのできる、そこは排除すべきではないというふうに考えています。
 そういう中で、歯科医師の先生方にも、今、ワクチン接種を行っていただいています。さらに臨床検査技師の皆さんや救急救命士の皆さんは日常、注射器を利用していただいておりますので、検査技師の人や救急救命士の皆さんにはお願いする方向で、今、行っております。調整を既に始めております。
 また、薬剤師の先生方でありますけれども、薬剤師の先生方というのは諸外国においては、平素からワクチン接種を行っている国もあるのです。日本はそうしたことが行われていませんので、事前にワクチンを接種しやすいような段取りをとっていただいたり、あるいは今、予診でかなり時間を要していますので、予診を事前に整理して、何の薬とか、非常に詳しいですから、医師の人が即座に判断できるような予診の協力、そうしたことお願いするとか、いろいろなお願いの仕方があるというふうに思っていますので、協力をお願いしたいと、こういうふうに思っています。

(内閣広報官)
 それでは、大変恐縮ですが、あと2問とさせていただきます。
 西日本新聞、湯之前(ゆのまえ)さん、どうぞ。

(記者)
 西日本新聞の湯之前といいます。
 先ほど総理が冒頭の発言の中で、今回の宣言を最後にすると、今までは言うことが多かったと思うのですが、今回はおっしゃっていませんでした。このところ毎週のように宣言の延長とか地域の追加とかを繰り返されて、これが国民が宣言を信用しなくなっている要因となっていると思います。
 延長後、より強い措置で人流とかあるいは人の接触を減らすといったような対策も先ほどの説明では特にありませんでした。これで本当に6月20日に解除できるのでしょうか。政府は今回の延長を本当に最後にすると、そういうような覚悟があるおつもりなのか。そのためにはより強い人出の制限などの対策が必要ではないのか。菅総理と、あと尾身先生に見解を伺いたいと思います。

(菅総理)
 まず私から申し上げます。
 変異株の影響もあり、宣言の期間が長くなっているというふうに思っています。国民の皆さんの間には自粛疲れや慣れが出ていると承知しており、こうしたことも配慮しながら、効果的なものに的を絞って対策を講じてきました。特に専門家の皆さんから、やはり飲食は徹底して注意するようにという御指摘を頂いておりましたので、そうしたことを行ってきました。
 今回はワクチンという感染対策の切り札、そうしたことで、正にワクチン接種というものに全力で尽くす、そして同時に従来の感染防止策を行う、そういう中でこの感染拡大を防ぐ、減少させる。従来と違って、ある意味では、今回ワクチン接種の状況でありますので、そこは従来とは違ってきているというふうに思っています。こうしたことを国民の皆さんにお伝えしながら、このワクチン接種、円滑にいくように政府として全力で取り組んでいます。
 今日までも1,100万回を超える接種が行われています。これから、どんどんと申込みも来ています。例えば企業とか学校、職域と言いますか、そういう中で来ていますし、地方自治体からも集団接種会場を設置したい。ここも冒頭、私、申し上げましたけれども、どんどんそうした自治体が出ているということもこれは事実でありますので、今回は二正面の対応で何としても封じ込めたい。このように思っています。

(尾身会長)
 これから人の行動を更に抑制するのかどうかという話だと思いますけれども、私は今、この我々日本の社会は変異株の出現で新たなチャレンジに直面していると思います。緊急事態宣言の効果がなかなか効かなくなっているということと、もう既に東京でも、まだ緊急事態宣言が発出中ですけれども、人流がまた戻ってきているというようなことがあるので、これからどうするかというのは、私は2つの側面に分けたら、考えたら、いいと思います。
 人々の行動変容をお願いするというところですけれども、今までのは単にステイホームということ、もちろんこれからも一般の我々市民は協力する必要がありますね。今、非常に重要な。そのときに、単にステイホームというお願いということではなくて、もう少し納得感のある感染対策というのをお願いする。
 これは1つの例で言えば、今、新しいウイルスのために、より、今までより換気というのが大事になってきています。これは明らかに。そういう中では、飲食店なんかにCO2のセンサーを置くとか、二酸化炭素の濃度、こういうことを徹底的にやって、なるほどそういうところなら安心だからといって、そっちに一般の人も行ってもらう。そういう納得感のある行動変容というのをお願いするというのが1つで。
 もう1つは、ここに来ると、私は、これも単に人にお願い、これからも協力していただく必要がありますけれども、単に国や自治体はお願いということじゃなくて、今はサイエンス、テクノロジーをフルに活用する時期に来たと思います。それの1つがワクチンですよね、これはもう言う必要ない。それともう1つは、やっとここにきて抗原の検査キットなど、検査が非常に潤沢に来ていますから、PCRも。これを徹底的に戦略的に使うということが2つ。テクノロジーです。もう1つのテクノロジーは、実はデジタルテクノロジーで、実は今、皆さん御承知のように、我々も感染を早く、東京で言えば50にしたい100にしたいという、誰でもそう思いますけれども、なかなかそうはいかない可能性がある。その理由は何かというと、これはもう再三去年から申し上げていますけれども、地方では、ある県では、ほとんどが接触的な疫学調査で、どこで誰が感染、ほとんど分かっちゃっている。だけど都会では、その分かっている部分が少ない。その少ないというのは何を意味するかというと、実は感染の現場、起きている現場が、まだ完全には把握し切れていないのです。そのことで知らずに他のところに感染が、うつっているということが、実はあると私たちは思っています。
 これを解決するのには、保健所はもう疲弊していますから。ここには私は、今までもいろいろトライしたことがあるのです。例えばQRコードを飲食店。これがなかなか、様々な理由でうまくいかなかったのですけれども、私はもうここに来ると、1つの例ですよ、1つの例ですけれども、飲食店にQRコードを置いて、お店に行く人はそこでタッチするということで。万が一感染が起きたときには、個人情報の名前を公表することは、もっともそんなことは絶対にないのですけれども、どういう人がどういうところで感染をしたということがある程度分からないと、とてもこの感染を、今、下げ止まりになっているのを下にするということは難しいと思うので。
 ここに来てワクチンが、今、国全体でやっている、検査をやる。それに加えて、私はデジタルITテクノロジーを使って、感染がどこにあるのかということを各自治体で共有できる。これが今、日本では非常に難しかった。1年間これをずっと言っていたのですけれども、うまくいかなかったです、様々な理由で。これはもうそろそろ、ワクチンの接種と同時に私は解決する強い意志でやってもらいたいと思います。

(内閣広報官)
 それでは、朝日新聞出版社の飯塚さん、これを最後とさせていただきます。

(記者)
 朝日新聞出版の飯塚と申します。
 現時点で東京都を始めとする多くの学校で、オリンピックを観戦する計画が組まれていますけれども、このコロナ禍で、そのたくさんの子供たちが学校行事として参加することへの意義やリスクについて、総理としてはどのような見解を持たれているのか伺いたいです。

(菅総理)
 東京都の児童生徒の東京大会の観戦については、新型コロナが感染拡大する前に組織委員会が募集したというふうに聞いております。この計画の取扱いについて、現在どうするかということが検討されておるということであります。いずれにしろ、具体的な感染状況や対策を踏まえた上で、組織委員会において判断することになるというふうに思っております。
 いずれにしろ、新型コロナの中の学校活動、これは課外活動になりますから、この活動に対しては、政府の基本的対処方針、こうしたものを踏まえて、都道府県の教育委員会において判断しております。この件を含めて、子供の安全と安心を守ること、ここは第一に対応するのではないかなというふうに思っております。そこを第一に考えて行うだろうというふうに思っています。

(内閣広報官)
 それでは、ただ今挙手されている皆様におかれましては、恐縮でありますが、この後、1問をメールでお送りいただきたいと思います。後日、総理の回答を書面でお返しいただくとともに、ホームページでも公開させていただきます。どうぞ御理解と御協力をよろしくお願いいたします。
 それでは、以上をもちまして、本日の記者会見を終了させていただきます。
 御協力に感謝申し上げます。ありがとうございました。

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