日加共同記者会見
【安倍総理冒頭発言】
トルドー首相、そして、カナダ国民の皆様、温かく歓迎をいただき深く感謝申し上げます。まず冒頭、カナダ東部における洪水の被害に、お見舞いを申し上げます。今般の私の訪問は、約2か月後に迫ったG20大阪サミットの成功に向けた各国との協力の確認を目的としたものであります。その締めくくりとして、昨年のG7(先進7か国首脳会議)議長国であったカナダを訪問することができ、大変うれしく思います。本日の首脳会談で、ジャスティンと両国が大阪サミットの成功に向けて、緊密に協力していくことを確認しました。目下の国際社会の最重要課題は、自由貿易体制の堅持です。G20が自由貿易の推進やWTO(世界貿易機関)改革に向けて一致して力強いメッセージを国際社会に発出すべくカナダと連携していくことで一致いたしました。
また、経済成長の源泉としてデータの重要性がますます高まる中、私が1月のダボス会議で打ち出した、データ・ガバナンス、特に電子商取引に焦点を当て議論する大阪トラックの立ち上げに向けて、カナダの力強い支援を要請しました。さらに、女性の活躍推進については、女性の労働参画、女児教育、女性起業家支援の重要性につき認識を共有するとともに、海洋プラスチックごみ問題については、世界全体での取組が不可欠であることについて一致いたしました。
本年は、カナダが東京に公館を設置し、日本がカナダの太平洋側における最初の外交上のパートナーとなって90周年に当たります。近年、日本とカナダは、CPTPPの発効や北朝鮮による瀬取り対処のためのカナダ航空機、艦艇の派遣、貿易協力のための物品役務相互提供協定の締結など経済、安全保障両面での協力を飛躍的に強化しています。本日の会談では、こうした二国間関係の進展を踏まえ、更なる関係強化に向けてトルドー首相と議論を行いました。また、北朝鮮情勢について安保理決議に基づき、北朝鮮による全ての大量破壊兵器及びあらゆる射程の弾道ミサイルの完全な、検証可能な、かつ不可逆的な廃棄を実現すべく、緊密に連携していくことで一致いたしました。最重要課題である拉致問題の早期解決に向けた理解と協力を求め、トルドー首相の支持を得たところであります。また、この度、瀬取り対策についてカナダ側が2年間の延長を決定したことを評価したいと思います。
経済分野においては、昨年末のCPTPPの発効により日加間の貿易投資が拡大していることを両国首脳で確認しました。CPTPPは、二国間の経済関係のみならず、21世紀型の自由で公正なルールを論じていく観点からも重要な意義があります。トルドー首相とは引き続き、CPTPPの着実な実施と参加国地域の拡大を進めていくことで一致しました。
また、先ほどイノベーション分野を含めた両国の関係強化に資する覚書が、署名されたことを歓迎します。
自由で開かれたインド太平洋構想についても議論しました。世界人口の半数以上を擁する世界の活力の中核であるインド太平洋において、法の支配に基づく自由で開かれた海洋秩序を維持、強化することは日本とカナダ双方の平和と繁栄にとって重要であると確信しています。本日の会談では、トルドー首相との間で自由で開かれたインド太平洋のビジョンの下で、日本とカナダが日本とカナダの戦略的パートナーシップを強化していくことで一致しました。日加修好90周年の節目の年に当たり、トルドー首相から自由で開かれたインド太平洋というビジョンを支持していただいたことを感謝いたします。今回は、トルドー首相御夫妻を始めとするカナダ国民の皆様に温かくお迎えをいただき、また、本日は日曜日であるにもかかわらず、トルドー首相から大変温かい対応をしていただいたことに感謝申し上げたいと思いますし、加えて昨晩、ジャスティンとソフィー夫人に、すばらしい夕食会の機会をつくっていただいたことに感謝申し上げたいと思います。次は、ジャスティンを大阪にお迎えすることを楽しみにしています。ありがとうございました。