新しい資本主義実現会議
令和6年6月7日、岸田総理は、総理大臣官邸で第28回新しい資本主義実現会議を開催しました。
会議では、新しい資本主義2024年改訂版案の決定について議論が行われました。
総理は、本日の議論を踏まえ、次のように述べました。
「本日は、新しい資本主義実行計画の改訂案を取りまとめました。
新たな官民連携、社会的課題解決と経済成長の二兎(にと)の実現を引き続き掲げ、物価高を乗り越えるために、今年、物価上昇を上回る所得を実現し、来年以降に、物価上昇を上回る賃上げを定着させるべく、政府を挙げて取組を強化してまいります。
第1に、中小・小規模企業で働く労働者の賃上げです。
労務費の価格転嫁の徹底を図るとともに、下請代金法について、改正の検討も含め、厳正な対処を行います。また、来年の春季労使交渉に向けて、地方版政労使会議の定着を図ります。
他方で、AI(人工知能)・ロボットなど自動化技術の利用拡大プランを人手不足の業種ごとに策定するとともに、自動化技術を用いる現場労働者のリ・スキリングを進めます。
第2に、三位一体の労働市場改革の早期実行です。
20社の企業に御協力いただき、ジョブ型人事の導入範囲、等級・報酬制度、労使関係などが具体的に分かるように整理したジョブ型人事指針をこの夏公表し、個々の企業の実態に応じたジョブ型人事の導入を進めます。あわせて役職定年の見直しや、スタートアップに関する裁量労働制の運用明確化を図ります。
所得向上に向け、現場人材のスキルの評価制度を民間に作っていただき、スキル向上に向けた支援を政府が行う、官民連携制度を進めてまいります。
また、諸外国を参考に、官民の求人情報を政府が収集してキャリアコンサルタントに提供し、キャリアコンサルティングの充実を図ります。
第3に、企業の参入・退出の円滑化です。
スタートアップ育成5か年計画の強化とともに、中小・小規模企業の事業承継やM&A(買収と合併)・グループ化を進めるため、仲介事業者の手数料の開示や、M&Aの際に経営者保証を見直す枠組みを導入します。あわせて、事業承継税制の要件緩和の検討を図ります。
第4に、コンテンツ産業活性化戦略を定めました。
政府の司令塔として、コンテンツ産業官民協議会と映画戦略企画委員会を設置するとともに、一貫的で強力な支援のため、文科省・経産省の施策をクリエイター支援基金に統合します。
加えて、海外展開を図るとともに、クリエイターやアーティストを対象に、労働慣行や取引慣行是正を図るため、音楽、放送番組、映画、アニメの分野の実態調査を行い、独禁法上の指針の策定を行います。
第5に、国内投資の推進です。
DX(デジタル・トランスフォーメーション)投資、AI、半導体、健康・医療、量子技術、フュージョンエネルギー、次世代素材、蓄電池、バイオものづくり、などについて、国内投資の拡充を図ります。
第6に、GX(グリーン・トランスフォーメーション)については、2040年を視野に入れたGX国家戦略を策定するとともに、循環型のサーキュラーエコノミーへの移行を進めます。
第7に、資産運用立国を推進し、イデコ(iDeCo)について大胆な改革を検討するとともに、運用側のアセットオーナーに対する共通のプリンシプルをこの夏策定いたします。
今月下旬の閣議決定に向け、新藤大臣を中心に、与党とも調整を進め、関係大臣が協力して取りまとめ作業を加速していただくようお願いいたします。」