令和6年能登半島地震に関する非常災害対策本部会議(第6回)
令和6年1月7日、岸田総理は、総理大臣官邸で第6回令和6年能登半島地震に関する非常災害対策本部会議を開催しました。
総理は、本日の議論を踏まえ、次のように述べました。
「発生からおおむね6日が過ぎ、確認された死者は120名を超えました。改めて、お亡くなりになられた方々の御冥福をお祈りするとともに、被災された全ての方々に対し、心よりお見舞い申し上げます。
救出部隊の懸命な努力は今、この瞬間も続いています。発災から120時間以上経過した昨夜8時半頃には、消防・警察の部隊とDMAT(災害派遣医療チーム)が連携し、珠洲(すず)市内の倒壊家屋から90代の女性を救出しました。厳しい現場環境の中で、希望の光となる出来事です。決して諦めず、粘り強く救出活動に当たっている全ての皆様に、改めて敬意を表するとともに、心から感謝申し上げます。
瓦礫(がれき)の下でまだ助けを待っている方のため、引き続き、懸命の救出活動をお願いいたします。
能登半島北部では、まだ、孤立集落が広範囲にわたり多数残っています。引き続き、徒歩、ヘリ(ヘリコプター)を含めたあらゆる手段でアクセスし、状況把握に努めるとともに、アクセスルートの緊急復旧工事のほか、ヘリによる孤立地域からの救出や、徒歩を含めた支援物資の搬入等、それぞれの状況を踏まえた支援を関係機関が連携して行い、生命・身体の安全の確保と一刻も早い孤立状態の解消に全力を尽くしてください。
自衛隊、建設業者など、現場の皆様の御努力により、幹線道路を中心に通行が可能となりつつある一方で、当該路線に車両が殺到して渋滞が生じ、支援物資や資材、要員の輸送遅延が生じています。本日から、被災地域に向かう、のと里山海道の一部区間で、一般車両の通行禁止規制を開始しました。私自身もSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)で自動車利用を控える呼びかけを行いました。
交通規制と利用自粛の広報啓発を強化し、緊急輸送路の交通流の円滑化を実現してください。
被災者の生活確保と災害関連死の防止のためにも、ライフラインの復旧は喫緊の課題です。能登半島北部では、いまだ大規模な停電・断水が続いています。
現場の皆様の懸命な御努力により、大規模避難所の7割以上が通電済みとなりましたが、このような流れを更に加速させなければなりません。
関係省庁のリエゾン、地方公共団体、関係事業者等が現場で緊密に協議する場を設け、実動部隊の調整を行わせることにより、復旧優先箇所の選定、復旧現場までのアクセスルートの緊急復旧等を一体的かつ計画的に行い、迅速なライフラインの復旧を実現してください。
また、ライフラインの復旧が長期化する避難所等についても、希望者に対する2次避難を進めるほか、国交省(国土交通省)所有の照明車を応急的に電源車として活用するなど、被災者の生活を支えるため、各省庁が持てる力を最大限に発揮した取組を進めてください。
特に、水の不足は極めて深刻な問題です。昨日から開始された自衛隊の入浴支援活動は非常に好評と聞きますが、トイレや入浴、炊事、洗濯がままならず、衛生環境の悪化が懸念される避難所が多数あります。
水道の復旧工事は長期化する可能性があると報告を受けており、当面は応急給水で支える必要があります。水はいくらあっても足りません。
関係大臣が水道関係団体に直接働きかけるなど、あらゆる手段を講じて全国の給水車を可能な限り多く被災地に集結させるほか、海水や河川の水を浄水できる可搬型浄水装置も投入して、一刻も早く被災者に水を届けてください。その上で、全国から派遣する水道事業者を大幅に増やし、復旧を加速してください。
また、震災に便乗した空き巣や高額請求事案が発生し、治安に不安を覚えるとの声を聞きます。警察を始めとする関係機関・団体が連携して、的確な情報提供や、避難所での防犯相談、巡回パトロールの強化等を行い、被害の防止と不安解消に努めてください。
被災者が生活や生業(なりわい)の再建に専念できる環境を早期に構築することも重要です。運転免許証や飲食店営業許可の有効期間延長などの措置を講ずるべく、今般の災害を特定非常災害に指定いたします。関係大臣にあっては、閣議決定等に向けた手続きを速やかに進めてください。
震災対応としてやるべきことは山積しています。各閣僚は、夕方から大雪も予想される中、現場で対応に当たる方々の体調管理・安全管理に十分配意しつつ、被災地・被災者のためにやれることは全てやる、との姿勢で、各種対策を全力で進めてください。以上です。」