認知症と向き合う「幸齢社会」実現会議
令和5年11月13日、岸田総理は、総理大臣官邸で第3回認知症と向き合う「幸齢社会」実現会議を開催しました。
会議では、有識者ヒアリング及び意見交換が行われました。
総理は、本日の議論を踏まえ、次のように述べました。
「本日も、有識者の方々を含め、皆様方から大変貴重な御意見を承りました。御協力に心から感謝を申し上げます。
様々な先進的な取組のお話を伺いましたが、まず、認知症になっても働き続けたい、地域に貢献したいという希望をかなえる場所が身近にあることは重要です。地域社会や仲間とのつながりを維持できる居場所を全国に広げる必要があります。この方針を認知症基本法に基づく国の計画に盛り込み、自治体の計画づくりにいかしていきたいと思います。
また、認知症の方が住み慣れた地域で普通に暮らし続けられるよう、障壁を減らす認知症バリアフリーの取組を進めることが必要です。既に、小売業を始め、一部の業種で、業種ごとの手引が作成されていますが、本日お話を伺ったようなリーディングカンパニーの協力も得ながら、業界内での普及を図るとともに、宿泊・飲食、金融サービス、情報通信サービスなど、より幅広く個別の業種で手引が作成され、普及するよう、武見大臣を中心に、関係府省で連携して、取組を進めてください。
介護離職者数が10万人を超える一方で、家族の介護をしている労働者のうち、介護休業を利用している方は1.6パーセント、介護休暇を利用している方は4.5パーセントにとどまっています。仕事と介護の両立支援制度の周知と併せ、働く家族の方が制度を利用しやすい環境を整備することが喫緊の課題です。現在、厚生労働省の審議会で、こうした介護離職を防止するための仕事と介護の両立支援制度の仕組みづくりについて検討が進められていますが、次期通常国会での法案提出に向け、早急に結論をまとめていただくようお願いいたします。あわせて、本日伺った先進的な企業のみならず、幅広い企業が前向きに両立支援に取り組めるよう、企業向けの適切(注)な情報提供・効果的な発信を含めて、関係府省で連携をして、検討を深めてください。
さらに、身寄りのない高齢者の生活上の課題については、本日御紹介いただいたように、万が一に備えた金銭管理の心配や、住み替え問題といった目に見える具体的な課題も重要ですが、それだけでなく、その背景にある高齢者が抱える多様で複雑化している課題に寄り添うことが大切です。そのためにどのような支援や体制が必要となるのか、先般立ち上げた内閣官房の調整チームを中心に、課題の整理を急いでください。
引き続き、年末の取りまとめに向けて、皆様の一つ一つの御意見を大切に積み重ねていきたいと考えています。今後とも忌憚(きたん)のない御意見をお願い申し上げます。本日も誠にありがとうございました。」
(注)「親切」と発言しましたが、正しくは「適切」です。