日本経済団体連合会定時総会
令和5年5月31日、岸田総理は、都内で開催された日本経済団体連合会定時総会に出席しました。
岸田総理は、挨拶で次のように述べました。
「御紹介いただきました内閣総理大臣の岸田文雄でございます。第12回日本経済団体連合会の定時総会にお招をきいただき、誠にありがとうございます。多くの方々の御参加の下、盛大に総会が開催されますことを、心よりお慶(よろこ)び申し上げます。
先日、G7広島サミットが無事閉会いたしました。経団連の皆方様におかれましては、B7における御提言を始め、様々な御協力を頂きましたことを、改めて心から感謝申し上げます。
世界が歴史の転換点を迎える中、こうした時代認識は、G7各国、インド、ブラジルなどのアウトリーチ8か国の首脳の共通のものであるということ、これを確信いたしました。その上で、世界が直面する様々な課題に正面から向き合い、平和への結束と決意を示した今回のサミットは、主催国日本として、歴史に名を刻むものとなったのではないかと感じております。
法の支配に基づく、自由で開かれた国際秩序の強化や、G7とグローバルサウスとの連携強化を進めるとともに、広島という平和を象徴する地で、核軍縮・不拡散の機運を盛り上げ、力による一方的な現状変更は許さない、との平和と繁栄に向けたメッセージを、強く発信することができました。また、B7から頂いた、経済財政、貿易投資、GX(グリーン・トランスフォーメーション)・DX(デジタル・トランフォーメーション)、医療・保健など、幅広い分野についての前向きな御提言についても、できる限り首脳コミュニケなどの成果に反映させていただきました。改めて感謝を申し上げます。
国内に目を転ずると、日本経済は、成長と分配の好循環が本格的に動き始める兆候を示しています。2期目を迎えられる十倉会長には、多くの政府の会議で多大な御貢献を頂いておりますが、まずは賃上げです。経済界、あるいは労働界の皆様方の御協力によって、今年の春闘は、30年ぶりの高水準となりました。非正規雇用の皆様方にも、過去最高水準の処遇改善の動きが広がっています。
第2に、設備投資。先日も、官邸の会議で、十倉会長から、過去最高水準となる2027年度に115兆円、政策強化でさらなる高みへとの意欲的な目標をお示しいただきました。
第3に、インバウンド。インバウンド観光の復活だけではありません。海外投資家も、日本企業にこれまで以上に高い関心を寄せ、株価に反映してきています。また、先日、世界の半導体関連企業のトップに集まっていただいた場でも、数社から、巨額の対日直接投資の表明がありました。
一方、長い目で見ると、世界は、産業構造の激動期を迎えています。半導体、AI(人工知能)、量子、バイオなどの技術革新。地政学的な競争と経済安全保障。急速に進む気候危機・食糧危機。これら大きな変化を背景として、世界のどの国も21世紀型の産業構造への変革を突き付けられています。
新しい資本主義の実行においては、着眼大局、着手小局、この構えで臨んでまいります。数十年単位の産業構造の激動期を乗り越え、地球規模課題の解決に日本らしい貢献をし、国際的な信頼を積み上げていく。こうした大局観をしっかり持った上で、現在生まれつつある、幾つもの前向きな動きを持続的なものにするため、省庁もフル稼働させて、きめ細かく、包括的な政策を講じてまいります。GXやDXなどの成長分野での国内投資。スタートアップの支援強化。構造的賃上げのための三位一体の労働市場改革。子育て世代の所得向上に重点をおいたこども未来戦略の推進。我が国民の2000兆円の資産をフル稼働させる資産所得倍増。これら柱となる分野で、制度・投資の両面にまたがる、幅広い政策パッケージを実行してまいります。新しい資本主義の実行にあたっては、官民の連携、これがこれまで以上に重要になります。
着眼については、時代の変わり目であるからこそ、政府と経済界の間で、将来ビジョンについての率直な意見交換と、戦略のすり合わせを緊密にさせていただきたいと思います。また、日本が直面する難局を乗り超えるために、大局に立った御協力を何とぞよろしくお願いいたします。そして、着手についても、きめ細かく制度を作り、インフラ投資を行っていく上で、新しい官民連携の形が必須です。企業の活力や知見と、政府の公的立場を組み合わせていく工夫を、いろいろな分野で行ってまいります。皆様方の御協力を心からお願い申し上げます。
そして、最後になりましたが、日本経済団体連合会の、ますますの御発展、そして、お集まりの皆様方の御活躍・御健勝を心からお祈り申し上げまして、私からの御挨拶とさせていただきます。誠にありがとうございました。」