正論大賞贈呈式
令和5年2月27日、岸田総理は、都内で開催された第38回正論大賞贈呈式に出席しました。
総理は、挨拶で次のように述べました。
「皆さんこんばんは。御紹介にあずかりました、内閣総理大臣の岸田文雄でございます。本日は第38回目の正論大賞贈呈式が盛大に開催されますことをお慶(よろこ)び申し上げます。
大賞を受賞された織田先生、新風賞を受賞された松原さん、この度は栄えある受賞、誠におめでとうございます。そして、大賞特別賞を受賞されました安倍元総理には改めて心からの敬意を表したいと思いますし、本日は代わりに御出席されている昭恵夫人にとっても、感慨もひとしおではないかと御推察申し上げる次第でございます。
また長年にわたり、自由と民主主義のために戦うという理念の下で、正論大賞を始めとする各賞を継続してこられたフジサンケイグループの皆様に心より敬意を表し申し上げたいと思います。
さて、既に様々な方々から御紹介があったことと思いますが、今回大賞を受賞された織田先生は、元自衛官として専門的な見地から、大きく変化する国際情勢に対し鋭い評論を行ってこられた、このことが高く評価されたと伺っております。
また、松原さんについては、新たに策定された安保関連3文書においても重視した新たな戦略分野でありますサイバーセキュリティについて精通され、今後の活躍が期待される新進気鋭の研究者の方だと伺っております。
2人とも、それぞれのお立場から更なる言論活動に励まれることを大いに期待させていただきたいと思っております。そして、今回特別賞を受賞された安倍元総理、改めて申し上げることはいたしませんが、安倍元総理ほど正論大賞という趣旨にふさわしい方はおられないと信じております。
安倍元総理は何度も正論で取り上げられ、もし御存命であれば正論の執筆メンバーとなることも内定されていた、こういった話を伺っております。安倍元総理ほどではありませんが、有り難いことに叱咤(しった)と激励の両面で、私も正論に取り上げていただくことが増えてまいりました。
最近目を引いたのは、先日発売された月刊正論の最新号の巻頭コラムでありました。かつてこの正論大賞を受賞されました田久保先生が、私の安全保障政策を評して、宏池会(こうちかい)を否定した岸田首相、というタイトルをつけておられました。
私自身は決して宏池会を否定したつもりなど全くありませんが、これは激励していただいたと受け止めておるところであります。宏池会はリベラルなグループだと言われることが多いのですが、その本質は徹底的な現実主義を追求するという政策集団であり、私も戦後最も厳しく複雑な安全保障環境という現実に対峙(たいじ)するための判断を行ってまいったところであります。
安倍元総理が愛したこの国を更にすばらしい国として次の世代に引き継いでいく、これが私の使命だと心得て、これからもこの国のかじ取りという重責を果たしてまいりたいと考えております。
最後に本日受賞されました織田先生、松原さんの今後ますますの御活躍を、またお集まりの皆様方の御健勝を心からお祈り申し上げて、私の御挨拶とさせていただきます。本日は誠におめでとうございます。」