令和4年3月24日(木)午後
北朝鮮による弾道ミサイル発射について
北朝鮮は、本日(24日)14時33分頃、北朝鮮西岸付近から1発の弾道ミサイルを東方向に発射しました。詳細については現在分析中ですが、発射された弾道ミサイルは、約71分飛翔し、15時44分頃、北海道渡島半島の西方約150キロメートルの日本海、我が国の排他的経済水域(EEZ)内に落下したものと推定されます。飛翔距離は約1,100キロメートル、また、最高高度は6,000キロメートルを大きく超えると推定をされます。今般の発射は、我が国の安全保障に対する深刻な脅威です。また、何らの事前の通報もなく、我が国EEZ内に着弾させたことは、航空機や船舶の安全確保の観点から、極めて問題のある危険な行為であり、深刻な懸念を表します。また、付近を航行する航空機や船舶への情報提供を行ったところ、現時点において被害報告等の情報は確認されていません。総理には、本件について直ちに報告を行い、情報収集・分析に全力を挙げ、国民に対して迅速・的確な情報提供を行うこと、航空機、船舶等の安全確認を徹底すること、不測の事態に備え、万全の体制をとること、との指示がありました。また、政府においては、官邸危機管理センターに設置している「北朝鮮情勢に関する官邸対策室」において、関係省庁間で情報を集約するとともに、緊急参集チームを招集し、対応について協議を行いました。私(官房長官)も発射後、政府専用機搭乗中の総理と電話で連絡を取り、事実関係の報告を行ったところ、総理からは、国家安全保障会議を開催するよう指示がありました。これを受け、先ほど国家安全保障会議4大臣会合を開催をしたところであります。今般のような、事態を更に緊迫化させる弾道ミサイル発射を含め、一連の北朝鮮の行動は、我が国、地域及び国際社会の平和と安全を脅かすものです。国際社会がロシアによるウクライナ侵略に対応している中にあっても、国際社会に対する挑発を一方的にエスカレートさせるような発射を強行しており、重ねて、断じて容認できません。関連する安保理決議に違反し、国際社会に背を向ける行為にほかならず、強く非難します。北朝鮮に対して、大使館ルートを通じて厳重に抗議を行いました。国民の生命・財産を守り抜くため、引き続き、情報の収集・分析及び警戒監視に全力を挙げ、今後追加して公表すべき情報を入手した場合には、速やかに発表することとしたいと考えております。
旧優生保護法国家賠償請求訴訟の東京高裁判決について
次に、旧優生保護法国家賠償請求訴訟の東京高裁判決に関して申し上げます。本件判決につきましては、除斥期間の法律上の解釈・適用に関して、先般上訴した大阪高裁判決と同様、旧優生保護法に関する本件事案にとどまらない、法律上の重大な問題を含んでおり、また、東京高裁判決と大阪高裁判決は、除斥期間の適用を制限する根拠と範囲に大きな違いがあることから、除斥期間の法律上の解釈・適用に関する論点について最高裁の判断を仰ぐため、上訴せざるを得ないとの判断に至りました。しかし、旧優生保護法について、この法律に基づき、あるいはこの法律の存在を背景として、多くの方が特定の疾病や障害を理由に生殖を不能にする手術等を受けることを強いられ、心身に多大な苦痛を受けてこられたことについて、政府として真摯に反省し、心から深くお詫びする気持ちにいささかも変わりはございません。この点については、超党派の議員連盟において一時金支給法が取りまとめられ、平成31年4月、議員立法により、全会一致で成立をしています。政府としては、この法律に基づき、一時金を円滑かつ確実に支給することで責務を果たしてきたところであります。今般、東京高裁判決、大阪高裁判決において、一時金の金額を超える認容額が示されたことを重く受け止め、一時金支給法が全会一致で制定された経緯も踏まえ、同法に基づく一時金の水準等を含む今後の対応の在り方について、国会と御相談をし、御議論の結果を踏まえて対応を検討してまいりたいと考えております。いずれにいたしましても、全ての国民が疾病や障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に向けて、引き続き、政府として最大限の努力を尽くしてまいります。私(官房長官)からは以上でございます。