平成24年3月30日内閣官房長官コメント(北朝鮮による「人工衛星」と称するミサイル発射の発表に関する対応について)
北朝鮮の「人工衛星」と称するミサイル発射の発表については、政府としてはその中止を強く北朝鮮に求めているところですが、北朝鮮が発射をする場合、我が国への影響について、政府は以下のように評価しております。
まず、不具合なく発射が行われた場合は、第1段目が韓国南部の全羅道の西方沖合に設定された落下区域に、また、第2段目が太平洋上のフィリピン島の東方沖合に設定された落下区域に落下すると考えています。
次に、発射が失敗する場合についてですが、第1段目の切り離し以前に不具合が発生するようなケースでは我が国まで届かず、我が国領域への影響は生じません。また、第2段目のロケットが燃焼開始すれば、通常、我が国領空の上を越えて飛翔することとなります。ただし、通常は考えにくいものの、第2段目の燃焼開始後、燃焼が中断するようなケースでは、一部が我が国領域内に落下することも全く考えられないわけではありません。
したがって、政府が第一に備えるべきは不具合なく発射が行われる場合についてであると考えており、船舶・航空機の運航者におかれては、発出済みの航行警報及び関係国から発出された航空情報(ノータム)に従い、4月12日から16日までの7時から12時までの間、設定された落下区域内に入ることは控え、注意して航行して下さい。
何らかの物体が我が国領域内に落下してくるケースは、通常は起こらないわけですが、政府としては万万が一に備え、弾道ミサイル防衛能力を有する自衛隊の部隊を展開させ、警戒態勢をとらせることとします。さらに念のため、一部が我が国領内に落下した場合に備え、関係機関が緊密に連携し、住民等の安全を速やかに確保することが出来るよう、自衛隊・警察・消防・海上保安庁が所要の態勢をとることとします。なお、仮に、国民の皆様が落下物らしき物を発見した場合には、決して近寄らず、警察・消防に連絡して下さい。
各交通機関を含め、国民の皆様におかれては、北朝鮮が発射に関し事前通報している時間帯においても、平常通りの生活・業務を続けて下さい。
今後とも政府は、国民、地方公共団体及び報道機関等に対し、可能な限り情報提供してまいります。また、北朝鮮が発射した場合、エムネットやJアラートも活用し、速やかに必要な情報をお伝えいたしますので、テレビ・ラジオ等の情報にも注意して下さい。
なお、本日、政府は、防衛大臣が自衛隊法第82条の3の第3項にいう緊急対処要領に従った命令を予め発するとの方針を確認いたしました。これは、「人工衛星」と称するミサイルが我が国に向けて飛来するおそれがあるとは言えないものの、万が一、発射後に不具合が発生した場合等に備える必要があるとの考えによるものであります。