令和5年3月27日
「知財投資・活用戦略の有効な開示及びガバナンスに関する検討会」(座長:加賀谷哲之一橋大学商学部教授、事務局:内閣府知的財産戦略推進事務局・経済産業省経済産業政策局産業資金課)は、今般、「知財・無形資産の投資・活用戦略の開示及びガバナンスに関するガイドライン」(略称:知財・無形資産ガバナンスガイドライン)Ver.2.0を策定しましたので、公表します。
2021年6月のコーポレートガバナンス・コード改訂を受け、企業がどのような形で知財・無形資産の投資・活用戦略の開示やガバナンスの構築に取り組めば、投資家や金融機関から適切に評価されるかについて分かりやすく示すために、本ガイドラインVer.1.0が2022年1月に公表されました。
本ガイドラインVer.1.0の公表以降、企業は知財・無形資産の投資・活用戦略やその開示、ガバナンスについての取組に前向きかつ真摯に取組み始めていますが、取組を進める中で試行錯誤する点、投資家・金融機関からの評価につながらない点など様々な意見が出ている状況となっています。また、知財・無形資産の投資・活用戦略への理解を投資家・金融機関に促すうえでは課題も多く、日本企業は米国に次いで特許出願件数では世界3位であるにもかかわらず、従来から問題視されているPBR1倍割れの企業が多い状況が続いています。さらに、「価値協創ガイダンス2.0」(経済産業省「価値協創のための統合的開示・対話ガイダンス2.0−サステナビリティ・トランスフォーメーション(SX)実現のための価値創造ストーリーの協創−」、2022年8月策定)などサステナビリティ・トランスフォーメーション(SX)を加速化するためのガイダンス整備の実施、EUやIFRS財団での非財務情報開示についてのルール整備等の国際的な環境変化等も生じています。
本ガイドラインVer.2.0は、Ver.1.0で提示した5つの原則、7つのアクションは堅持しつつも、これらの状況を踏まえ、主に企業と投資家・金融機関の思考構造のギャップを埋め、投資家に期待される役割を整理することを通じ、企業による知財・無形資産にかかる取組・開示が、企業価値として顕在化する環境整備を目指し策定されたもので、企業と投資家との間の対話や情報開示の質を高めるためのコミュニケーション・フレームワークを提示しています。
本ガイドラインは、企業と投資家との間の対話や情報開示の質を高めるための基本的な枠組みを提示した「価値協創ガイダンス」(経済産業省「価値協創のための統合的開示・対話ガイダンス」、2017年5月策定。最終改訂版は上述の「価値協創ガイダンス2.0」)と併せて活用して頂くことにより、企業の情報開示や投資家等との対話の質を高めるための「共通言語」として効果的に機能することが期待されます。
本ガイドラインは、大企業を中心とする上場会社の取締役を含む経営陣、その他の経営戦略、事業戦略に携わる方々や、企業の知財・無形資産の投資・活用戦略を支える社内の幅広い部門の方々が、戦略を構築・実行し、投資家等との対話を進める際に活用することを想定しています。また、中小・スタートアップを始めとする上場会社以外の企業が、金融機関等と対話する際に活用されることや、投資家や金融機関が企業と対話する際に活用されることも期待しています。さらに、知財・無形資産の専門調査・コンサルティング会社や弁護士、弁理士、会計士等においても、本ガイドラインの活用が期待されます。
内閣府知的財産戦略推進事務局
電 話:03-3581-1854(直通)