「ふるさとづくりの推進」を担当する秋葉内閣総理大臣補佐官は、令和元年10月8日(火)から9日(水)の日程で、地域の資源を活かした「ふるさとづくり」や、「ふるさとづくり」に取り組む現場の声を直接聞くために、鹿児島県を訪問しました。
ジャパンアスリートトレーニングセンター大隅は、県立高校の跡地に鹿児島県が整備し、平成31年4月1日に供用開始された陸上競技のトレーニング施設であり、日本陸上競技連盟から国内初となる室内競技場の公認を受けた施設です。秋葉内閣総理大臣補佐官は、全天候舗装の「陸上競技場」、国内最長となる150メートルの直走路を有する「室内競技場」、複数種目を同時に練習できる専用の「投てき練習場」等を視察しました。この施設で事前合宿を行ったトリニダード・トバゴのリレーチームが「IAAF世界リレー2019横浜大会」で金メダルを獲得するなど、トップアスリートが、天候に左右されずにトレーニングを行える施設として活用しています。当該施設を核に大隅地域に国内外からトップアスリートが集まり、陸上競技合宿の拠点として地域が活性化されることが期待されています。
大崎町にある「そおリサイクルセンター」では、近隣の地方公共団体もあわせて10万人の資源ゴミを扱っています。秋葉内閣総理大臣補佐官は各資源ゴミの分別や再資源化のための作業工程等について、そおリサイクルセンターの室田辰三リーダーから説明を受けながら施設内を視察しました。
大崎町では、既存埋立処分場の延命化を図るために、大崎町リサイクルシステムに取り組んでいます。埋立ゴミから資源ゴミへのシフトを図るため、住民の協力を得て27品目の分別を実施しています。平成29年度には平成10年度比で約84%埋立ゴミが削減されました。平成29年度の大崎町におけるリサイクル率は82%(全国平均は20.2%)であり、12年連続リサイクル率日本一を達成しています。
こうした取組が評価され、大崎町は、第2回ジャパンSDGsアワード内閣官房長官(副本部長)賞を受賞、また、令和元年度SDGs未来都市に選定されました。
秋葉内閣総理大臣補佐官は鹿屋市柳谷町内会(やねだん)を訪問して、自治公民館館長で平成30年度ふるさとづくり大賞総理大臣賞を受賞された豊重哲郎さんから、これまでの行政に頼らない地域づくりについて説明をいただきました。「やねだん」は、豊重さんの強力なリーダーシップの下で、集落で栽培したさつまいもを使ったオリジナルの焼酎を販売したり、微生物を使った肥料(土着菌)を開発したりすることで自主財源を確保し、行政による補助金に頼らない地域づくりを行っています。こうした自主財源制度が、集落が息長く発展してきた秘訣です。
「やねだん」の皆さんから、家畜の糞尿による臭いの問題について住民によって土着菌を生み出し、土着菌を活用することで畜産環境の改善等に取り組んできた経緯や、空き家を活用し県内外から芸術家を呼び込む「迎賓館」を建設、集落内の遊休地を活用してさつまいもを栽培し、そのさつまいもを使ったオリジナル焼酎「やねだん」を開発したことなど、住民が一体となり独自の地域づくりについて当時の状況や苦労話を交えたお話しをお聞きしました。
また、巣立った子どもたちが「やねだん」に戻ってくるので若い世帯が多いというお話や、高齢者を孤立させないための住民同士の助け合いなどについてお話がありました。
「やねだん」の皆さんには遅くまでお付き合いいただき、貴重なご意見をいただきました。施策の参考にしていくべきヒントを多くいただき、有意義な意見交換を行うことができました。
南九州市は平成19年12月に近隣3町が合併した人口約3.6万人の自治体です。全国的にも高い評価を得ている知覧茶の生産地です。市町村単位では茶の生産面積が日本一ですが、少子高齢化の影響もあって、近年ICTを活用した農業に取り組んでいる事例等についてご紹介いただくなど、ふるさとづくりについて意見交換をしました
知覧武家屋敷庭園群は曲折ある道路に沿って連なる石垣と生け垣の美しさが見事であり、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されています。
今でも屋敷には住民が暮らしていて、住民たちは景観を守るため、組合を作って自ら武家屋敷群の管理や清掃等を行っています。秋葉内閣総理大臣補佐官は、地区内を視察しながら地域の資源を活用したふるさとづくりの取組について説明をいただきました。
知覧特攻平和会館の語り部である川床剛士知覧特攻平和会館参事から特攻の講話や特攻隊員たちの遺書・手紙の紹介等を通じて、平和の尊さ・命の大切さ、家族との絆について貴重なお話をいただきました。
三反園知事から、鹿児島県では中山間地域等集落活性化推進本部を立ち上げて、中山間地域が少子高齢化の中でいかに生き残っていくか取り組んでいるところであり、そのモデルが「やねだん」にあることや、地域の中で自分が必要とされていると言われると頑張れる、生きがいが生まれて元気になっていくといったように、少子高齢化の中で年をとることは辛いことではなく、年をとることは素晴らしいことだと思えるようなものを作っていくことが重要であること等のお話しがありました。
また、農畜産業に若者を引き込んでいく手法としてスマート農業を推進することで若者が稼げる農業を推進していること等の紹介がありました。
秋葉内閣総理大臣補佐官からは、今回の視察や意見交換を通じて、行政に頼らないやねだんの取組や鹿児島県の魅力についてそのすばらしさを実感したことや、地域の素晴らしい取組をもっと参考にしてもらうために、政府として、効果的で有効な情報の発信の強化ということに努めていくこと等のお話しがあり、ふるさとづくりの推進について意見交換がされました。