内閣総理大臣
(1)基本的地位
内閣総理大臣は、「内閣の首長」として、内閣を代表する地位にあると同時に、内閣全体の統一性及び一体性を確保する役割を有している。
内閣総理大臣は、衆議院の解散や衆議院議員の任期満了により国会議員の地位を失っても、次の内閣総理大臣が任命されるまでの間は、その地位を失うことはない(憲法第71条)。
(2) 権限
合議体である内閣が、行政権の担当者として統一ある行動を執り、国会に対して連帯責任を果たすためには、内閣総理大臣に強固な統率力が必要とされる。その内閣総理大臣が内閣の外に向かって、内閣を代表して行動する必要があることから、内閣総理大臣には、憲法上、国務大臣の任免権のほか、内閣を代表して議案を国会に提出すること、一般国務及び外交関係について国会に報告し、並びに行政各部を指揮監督することなどの権限が、また、内閣法上、閣議の主宰権のほか、主任の大臣の間で権限の疑義がある場合は、閣議にかけてこれを裁定することなど、様々な権限が認められている。
(3) 内閣総理大臣の臨時代理
内閣法は、「内閣総理大臣に事故のあるとき、又は内閣総理大臣が欠けたときは、その予め指定する国務大臣が、臨時に、内閣総理大臣の職務を行う」 (第9条)と定めている。この規定による指定を受けた国務大臣が、内閣総理大臣が海外出張や病気等により職務遂行ができない場合の職務代行者となる。
内閣総理大臣の職務代行者として予め指定を受けた国務大臣は、一般に、「内閣総理大臣臨時代理」と呼ばれているが、特に、内閣の発足時などに指定された者は、俗称として「副総理」と呼ばれている。
(4) 主任の大臣としての内閣総理大臣
内閣府設置法では「内閣府の長は、内閣総理大臣とする。」「内閣総理大臣は、内閣府に係る事項についての内閣法にいう主任の大臣とし、第4条第3項に規定する事務を分担管理する」 (第6条)と定め、また復興庁設置法では「復興庁の長は、内閣総理大臣とする。」「内閣総理大臣は、復興庁に係る事項についての内閣法にいう主任の大臣とし、第四条第二項に規定する事務を分担管理する」(第6条)と定めており、内閣総理大臣は、行政機関の一つである内閣府及び復興庁の長であり、主任の大臣としての地位を有している。
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