令和6年11月11日石破内閣総理大臣記者会見終了後の書面による質問に対する回答

【中国新聞】
 核兵器禁止条約へのオブザーバー参加について

(回答)
 我が国周辺では、核・ミサイル戦力を含む軍備増強が急速に進展するなど、我が国は戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面しています。
 加えて、核兵器禁止条約は、「核兵器のない世界」への出口とも言える重要な条約ですが、同条約には核兵器国は一か国も参加しておらず、未だその「出口」に至る道筋は立っていないのが現状です。
 こうした中で、我が国は、唯一の戦争被爆国として、核兵器国を関与させるよう努力していかなければなりません。NPT(核兵器不拡散条約)体制は、核兵器国、非核兵器国が広く参加する唯一の、「核兵器のない世界」に向けた、普遍的な枠組みです。我が国は、運用検討会議においてリーダーシップを発揮することを含め、NPT体制の下で、現実的かつ実践的な取組が一歩一歩進められるよう取り組んでおります。
 政府としては、抑止力を維持・強化し、安全保障上の脅威に適切に対処していくとの大前提に立ちつつ、NPT体制を維持・強化し、核軍縮に向けた国際社会の機運を改めて高め、「核兵器のない世界」に向けた現実的で実践的な取組を維持・強化してまいります。

【信濃毎日新聞】
 マイナ保険証について

(回答)
 マイナ保険証は、患者本人の健康・医療情報に基づき、より良い医療の提供に大きく寄与するものであり、1人でも多くの皆様に、マイナ保険証を御利用いただくことが重要であると考えています。
 一方で、マイナ保険証が使えないといった国民の皆様の不安には、迅速に答え、丁寧に対応する必要があります。
 健康保険証については、法に定められたスケジュールにより12月2日で新規発行が終了しましたが、マイナ保険証をお持ちでない方には資格確認書を速やかにお届けすることで、健康保険証とマイナ保険証、資格確認書のいずれによっても、これまで通り保険診療が受けられるようにしています。

【新潟日報】
 特定失踪者について

(回答)
 政府としては、拉致被害者として認定された17名以外にも、北朝鮮による拉致の可能性を排除できない行方不明者が存在するとの認識の下、認定の有無にかかわらず、全ての拉致被害者の安全確保及び即時帰国のために全力を尽くしています。
 拉致の可能性を排除できない行方不明者の方々の御家族に対しては、拉致問題担当大臣が直接お会いしてお話をお伺いしているところであり、面会の結果等については、総理大臣も拉致問題担当大臣から報告を受けています。
 今後とも、情報提供や要望の聴取等、御家族に対する丁寧な対応に努めてまいります。

【TBSラジオ】
 選択的夫婦別氏制度等について

(回答)
 夫婦の氏に関する制度の在り方については、国民の間に様々な意見があると承知しています。また、選択的夫婦別氏制度の導入を求める立場の中にも、制度の具体化に当たっては、様々な考え方があるものと認識しています。
 家族の在り方の根幹に関わる問題でもあり、令和3年の最高裁決定においても、国会で論ぜられ、判断されるべき事柄であるとの指摘がなされています。
 政府としては、選択的夫婦別氏制度については、国民各層の意見や国会における議論の動向等を踏まえ、必要な検討を行ってまいりたいと考えておりますが、現行制度下においても、婚姻により改姓した人が不便さや不利益を感じることのないよう、旧姓の通称使用の拡大やその周知に引き続き取り組んでまいります。
 また、日本保守党の百田尚樹代表の発言に関する質問をいただきましたが、個々の政治家の発言について、政府としてコメントすることは差し控えます。

【CBCテレビ】
 政治資金問題以外の政治不信について

(回答)
 政治資金の問題にとどまらず、我が国の政治の在り方に対して、国民の皆様から厳しい視線が向けられているとの御指摘については、真摯に受け止める必要があります。
 政治は国民のものです。政治に携わる者は、国民に対する畏敬と感謝の念を常に持ちながら、お一人お一人に真摯に向き合い、国民の負託に応えていかなければなりません。
 民主主義のあるべき姿とは、多様な国民の声を反映した各党派が、丁寧に政策を協議し、よりよい成案を得ることであると考えています。政権運営に当たっては、できる限り多くの党の御理解を得て、丁寧に、謙虚に、国民の皆様の安全と安心を守る取組を進めてまいります。
 このようにして一つ一つ成果を出していくことが、政治に対する国民の皆様の信頼につながるものであると考えています。

【AP通信】
 APEC、G20について

(回答)
 選挙結果については謙虚に受け止めています。その上で、外交・安全保障については、今後、国会を含む様々な場において議論を重ね、政府の外交・安全保障政策への理解を得ていくことで、我が国の外交力が遺憾なく発揮されるよう努めて参ります。
 その上で、我が国は戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面しています。日本を守り抜くためには、外交力と防衛力の両輪をバランスよく強化していくことが待ったなしの課題です。
 そうした中、私は、現実的な国益を踏まえた外交により、我が国の外交・安全保障の基軸である日米同盟の更なる強化や、同志国との連携強化に取り組んでいきます。
 また、今回のAPEC(アジア太平洋経済協力)・G20(金融・世界経済に関する首脳会合)でも議論した、貧困、保健、防災といった国際社会が直面する様々な課題への対応において、引き続きリーダーシップを発揮していきます。その際には、いわゆるグローバル・サウスとも緊密に協力をしていきます。
 我が国は、APECを通じ、アジア太平洋地域の持続可能かつ包摂的な経済成長の推進を主導してきました。また、G20議長国であるブラジルが重視する飢餓・貧困との闘いや、食糧供給の安定化、気候変動・エネルギー移行、防災等の課題にも、我が国は、長年にわたり取り組んできました。
 そうした取組を通じ、我が国の平和、地域の安定と繁栄を実現していくとともに、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持・強化に向けた取組を主導していきます。

【深月ユリア氏(フリーランス)】
 公認・非公認の扱いについて

(回答)
 自民党の選挙活動の在り方については、党の内部運営に関わることであり、詳細について説明することは差し控えますが、一般論として申し上げれば、公職選挙法上、候補者届出政党の届出候補者(いわゆる公認候補者)については、いわゆる非公認候補者とは異なり、通常葉書、ビラ、ポスター、新聞広告、政見放送等の手段を用いた候補者届出政党による選挙運動が認められているところです。

【大川豊氏(フリーランス)】
 能登半島地震の被災建物の復旧について

(回答)
 住家の被害認定調査は、個々の住家に係る「被害の程度」を6段階で判定するものであり、その結果は罹災(りさい)証明書として交付され、被災者向けの支援策を適用する際に活用されています。
 内閣府においては、被害認定調査が迅速に行われるよう、調査の方法などを技術的助言として自治体に示しているところであり、例えば、杭(くい)基礎の場合、外観調査により、外壁又は柱の傾斜が1/60以上となるなどの場合に全壊と判定することとしているほか、被災者から依頼があった場合は、2次調査として、より詳細に調査することとしています。
 また、被災した建築物の復旧に際しては、復旧の要否を専門家が判断する「震災建築物の被災度区分判定」((一財)日本建築防災協会)を活用する方法もあります。
 引き続き、これらの制度について、被災者に対する丁寧な説明や適切な情報提供に努めてまいります。

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