令和6年8月14日岸田内閣総理大臣記者会見終了後の書面による質問に対する回答
【RCC中国放送】
核軍縮・不拡散分野での実績と今後について
(回答)
唯一の戦争被爆国である日本は、「核兵器のない世界」に向けた国際社会の取組を主導する歴史的使命を負っており、自分は被爆地広島出身の政治家として、ライフワークとしてこれに取り組んできました。
2022年には、日本の総理大臣として初めて核兵器不拡散条約(NPT)運用検討会議に出席し、「核兵器のない世界」という「理想」と「厳しい安全保障環境」という「現実」を結びつけるための現実的なロードマップの第一歩として、「ヒロシマ・アクション・プラン」を提示しました。以降、この「ヒロシマ・アクション・プラン」の下での取組を一つ一つ実行し、「核兵器のない世界」に向けた現実的かつ実践的な取組を継続・強化してきました。
例えば、2022年9月の国連総会の際は、包括的核実験禁止条約(CTBT)フレンズの会合を、初めて首脳級で開催し、CTBTの普遍化及び早期発効、検証体制の強化の重要性を世界に向け発信しました。
昨年5月のG7広島サミットでは、核軍縮に関する初めてのG7首脳独立文書となる「核軍縮に関するG7首脳広島ビジョン」を発出することで、G7として「核兵器のない世界」へのコミットメントを再確認し、核軍縮に向けた国際的な機運を高める成果を達成しました。
昨年9月の国連総会では、私が主催してFMCT(核兵器用核分裂性物質生産禁止条約)ハイレベル記念行事を実施し、FMCTの早期交渉開始に向けた国際社会の政治的な関心を再び集めました。また、本年3月にはFMCTに対する政治的関心の維持・強化及びFMCT交渉開始に向けた支持拡大への貢献を目的として、「FMCTフレンズ」の立ち上げを表明しました。
さらには、核軍縮に向けたあらゆる取組の原点でもある、被爆の実相の理解促進についても、G7広島サミットにおいて、世界中の指導者や若者の被爆地広島・長崎訪問を促しました。その成果はさっそく、昨年度の広島平和記念資料館への訪問者が過去最高の約198万人に上るという形で現れています。これに加え、本年、日本政府の拠出により国連が立ち上げた「ユース非核リーダー基金」プログラムが本格的に始動し、このプログラムを通じ、核兵器国・非核兵器国の双方の未来のリーダーが、広島及び長崎を訪問します。
来年には、私自身のイニシアティブで立ち上げた「核兵器のない世界」に向けた国際賢人会議が、2026年NPT運用検討会議に向けて提言をまとめることになっています。今後も、被爆地広島出身の政治家として、「核兵器のない世界」を何としても実現するという揺るぎない決意と信念をもって、尽力していく考えです。
【東京新聞】
「核なき世界」と核抑止について
(回答)
我が国を取り巻く安全保障環境が益々(ますます)厳しさを増す中にあって、いついかなる状況下にあっても、必ず日本国民の生命・財産を守り抜くためには、我が国自身の防衛努力に加え、米国の拡大抑止を含む万全の防衛態勢が必要不可欠です。また、そのようにして、我が国の安全保障を確保していくことと、「核兵器のない世界」という目標に向かって努力していくことは、決して矛盾するものではなく、ともに取り組んでいくべきものです。
核兵器禁止条約については、「核兵器のない世界」への出口とも言える重要な条約であるが、同条約には核兵器国は一か国も参加しておらず、未(いま)だその「出口」に至る道筋は立っていないのが現状です。こうした中で、我が国は、唯一の戦争被爆国として、核兵器国を関与させるよう努力していかなければなりません。
このための具体的な取組として、私は、2022年9月の国連総会の際に、CTBTフレンズの会合を、初めて首脳級で開催しました。また、昨年9月の国連総会では、私が主催してFMCTハイレベル記念行事を実施しました。
引き続き、「核軍縮に関するG7首脳広島ビジョン」を強固なステップ台としつつ、「ヒロシマ・アクション・プラン」の下での取組を一つ一つ実行していくことで、「核兵器のない世界」の実現に向けて、現実的かつ実践的な取組を継続・強化していきます。
【TBSラジオ】
自民党総裁選不出馬と自民党議員の政倫審出席及び先送りできない課題への対応について
(回答)
お尋ねの政治倫理審査会(いわゆる「政倫審」)については、規程上、議員の政治的・道義的責任の有無を審査するためのものであり、弁明を行うか否かについては、議員の意思が尊重されるものと承知をしていますが、党による明確な説明責任の履行の求めにより、多くの議員が、政倫審や会見等の場で説明を行ってきたものと認識しています。
それぞれの議員には、国民の疑問がある場合には、引き続き、それぞれの状況に応じた適切な方法により可能な限り丁寧な説明を行い、信頼回復に向けた努力を続けてもらいたいと思います。
いずれにしても、党としては、関係議員に対して明確な説明責任の履行を求めるとともに、聴き取り調査等による事実関係の把握、関係議員の厳正な処分、再発防止のための政治資金規正法の改正等を行ってきたところです。残されたのは組織の長としての責任の取り方であり、このたび、自民党が変わる姿を分かりやすくお示しし、けじめをつけるためにも、来る総裁選への不出馬を表明したものです。
これまで、先送りのできない課題に全力で取り組み、一つ一つ結果を出していくことに専念してきたところですが、引き続き、国の内外において難局に直面している中にあって、政策を強力に前に進めていくためにも、真剣勝負の議論を通じて、国民の共感や信頼を得られる新たな総理・総裁を選出することが重要であると考えています。
【CBCテレビ】
地方の政治改革について
(回答)
今般の政治資金規正法の改正内容のうち、政治資金パーティーの対価支払者の氏名等の公開基準の引下げや、政治資金パーティーの対価の支払方法を口座振込に原則として義務化することについては、地方議員に関するものを含む全ての政治団体に関係があるものであり、地方においても政治資金の透明化が進むことが期待されます。
また、その他の法制上の措置についても、改正政治資金規正法の附則に基づき、国会において、改正法の施行状況等を踏まえつつ、必要な議論が行われるものと認識しています。
【信濃毎日新聞】
デジタル田園都市国家構想について
(回答)
デジタル田園都市国家構想では、地方からデジタルの実装を進め、
また、昨年10月には、デジタル行財政改革会議を立ち上げ、人口減少下で、利用者起点で我が国の行財政の在り方を見直し、デジタルを最大限活用して、公共サービス等の維持・強化と地域経済の活性化を図っているところです。
このような取組を通じて、デジタル田園都市国家構想に基づく取組が全国で具体的に進められています。「デジタル田園都市国家構想総合戦略」で定めた「デジタル実装に取り組む地方公共団体数」のKPI(重要業績評価指標)については、「2027年度までに1,500団体」と掲げたものが、本年3月現在で約1,750団体と、目標を大きく上回って、全国の98%(パーセント)の団体がデジタル実装に取り組んでいます。
また、個別の分野でも、住民票等のコンビニ交付、自治体の「書かない窓口」、母子健康保険手帳の電子化などの成果を挙げており、デジタルを活用した住民サービスの向上が国民に実感されつつあると考えています。
一方、これまでの地方創生の取組について、自見地方創生担当大臣のもとで取りまとめた報告書において、
地方創生の取組は、長きにわたり進められてきましたが、東京圏への転入超過は今なお続いています。とりわけ、就職や進学を契機として、若年層、特に女性の流入が続いています。このため、デジタルを活用しながら、女性を含め、若い世代が地方の魅力を感じられるような「働き場」や「学びの場」を創出するとともに、子育てしやすい環境をつくり、地方への人の流れを強化することが重要です。
引き続き、地方創生とデジタル田園都市国家構想の実現に向けた政府の取組を加速化していくことが重要であると承知しています。
【沖縄タイムス】
沖縄の基地負担軽減について
(回答)
沖縄県民の皆様に大きな基地負担を担っていただいていることを重く受け止めており、沖縄の基地負担軽減を、政権の最重要課題の一つとして取り組んでまいりました。
米軍機の飛行の安全や、騒音の問題についても、地元への影響を最小限にとどめるよう、米側に働きかけるとともに訓練移転などの施策を進めてまいりました。
これまでも累次申し上げているとおり、普天間飛行場の固定化は絶対に避けなければなりません。これは、政府と地元の皆様との共通認識であると考えます。政府としては、辺野古移設が唯一の解決策であるという方針に基づき着実に工事を進めていくことが、普天間飛行場の1日も早い全面返還を実現し、その危険性を除去することにつながると考え、全力で取り組んできたところです。