令和5年6月13日岸田内閣総理大臣記者会見終了後の書面による質問に対する回答
【東京新聞】
マイナンバーカードを巡るトラブルについて
(回答)
マイナンバーについては、13日の記者会見で明らかにしたとおり、①関連するデータやシステムの総点検、②今後、新たな誤り事案が生じないようにするための仕組み作り、③国民の不安払拭のための丁寧な対応、の3つの基本方針に基づいて、対応してまいります。
マイナンバーカードを健康保険証として利用することにより、御自身の健康・医療データに基づいたより良い医療を受けていただくことが可能になる、医療制度全体の効率化につながるなど、患者、医療機関、保険者にとって、様々なメリットがあります。
このため、河野大臣を中心に、関係省庁が連携して、速やかに関連データの総点検や、カード取得環境の整備などを進めているところであり、必要な環境整備を行った上で、現行の保険証を廃止することとしています。
この点、発行済みの保険証については、来年(2024年)秋の廃止後も、最大1年間有効とみなす経過措置が設けられており、再来年(2025年)秋まで使用可能にできることを丁寧に説明し、国民の皆さんが安心して医療を受けられるよう、この間に万全の対応をとり、円滑な移行に取り組んでまいります。
また、健康保険証の廃止後は、マイナンバーカードでの受診を基本としつつ、オンライン資格確認を受けることができない方は、「資格確認書」により受診していただけることとしています。
この「資格確認書」は、現行の国民健康保険や後期高齢者医療制度の保険証の有効期間(1年間)を参考として、1年を限度として各保険者が設定する仕組みとしています。
【西日本新聞】
LGBTなど性的少数者に関する認識について
(回答)
いわゆる理解増進法案については、議員立法であることから、各党による協議の経緯等について、政府の立場から何か申し上げることは差し控えます。
同性婚については、国民生活の基本に関わる問題、国民一人一人の家族観とも密接に関わるものであり、その意味で、全ての国民に幅広く関わるものと認識しています。
まずは、国民各層の意見、国会における議論の状況、同性婚に関する訴訟の動向、地方自治体におけるパートナーシップ制度の導入や運用の状況等を注視していく必要があると考えています。
いずれにせよ、政府としては、多様性が尊重され、全ての人々がお互いの人権や尊厳を大切にし、生き生きとした人生を享受できる社会の実現に向け、引き続き、様々な国民の声を受け止め、しっかりと取り組んでまいります。
【中国新聞】
G7広島サミットでの各国首脳による原爆資料館訪問について
(回答)
各国のハイレベルを含め、国際社会に対して被爆の実相をしっかりと伝えていくことは、核軍縮に向けたあらゆる取組の原点として重要です。
広島サミットでは、日程全体を通して時間的な制約がある中でも、効果的に被爆の実相に対する理解を深めていただくべくG7首脳が揃(そろ)って平和記念資料館を訪問し、資料館の主な展示テーマに即した形で、重要な展示品を見ていただきました。また、私自ら展示内容について説明するとともに、被爆者・小倉桂子さんとも対話しました。
さらに、各首脳にはありのままの心で被爆の実相と向き合ってもらうため、各国との準備・調整の中で、資料館訪問の内容や、やり取りを非公開とし、首脳に限った形での視察としました。
こうした工夫や努力の結果、各首脳が揃って、静謐(せいひつ)かつ厳粛な雰囲気の中、被爆の実相への理解を深めてもらえる、歴史的な、貴重な機会とすることができました。
この資料館視察も踏まえ、「核兵器のない世界」の実現に向けたG7首脳の決意を改めて確認し、核軍縮に焦点を当てたG7初の独立首脳文書である「核軍縮に関するG7首脳広島ビジョン」の発出に至りました。また、この背景にある各国首脳の受けとめについても、各首脳が資料館訪問後に記した芳名録におけるメッセージの内容にも明確に表れていると感じています。
【新潟日報】
柏崎刈羽原発など、原発の再稼働について
(回答)
原子力発電所については、原子力規制委員会が新規制基準に適合すると認めた場合のみ、再稼働を進めるというのが大前提です。
東京電力柏崎刈羽原子力発電所においては、原子力規制委員会による検査中であり、核物質防護体制の再構築はもちろんのこと、組織改革の着実な遂行と、地域・社会からの信頼回復に全力をあげて取り組んでいくことが不可欠と承知しています。
その上で、安全確保を大前提として、国として前面に立って、原子力の必要性や意義等について、新潟県などの立地自治体の関係者の理解と協力を得られるよう、丁寧に説明してまいります。
【信濃毎日新聞】
若者、特に若い女性の首都圏への流出対策について
(回答)
若い世代が地方から東京圏へ流入することの背景としては、進学や就職が一つの契機となっていると考えられます。
一方で、新型コロナ等を契機として、東京に住む若い世代の地方移住への関心も高まっています。
こうした状況を踏まえ、地方の魅力を高め、女性を含め、若い世代が能力を発揮できる学びの場や働き場を創出するとともに、子育てしやすい環境をつくることが重要です。
そのような観点から、「デジタル田園都市国家構想」の下、
・国内投資の活性化とそれによる良質な雇用の増加
・地方大学・高校の魅力向上や、地方大学を核としたイノベーションの創出
・テレワークや移住の推進
・遠隔教育や遠隔医療の推進などによる医療や福祉、教育・子育て環境の整備
などに総合的に取り組み、「全国どこでも誰もが便利で快適に暮らせる社会」を実現していきます。
【ニッポン放送】
少子化対策の財源確保に向けた歳出改革について
(回答)
少子化対策の財源確保に向けた歳出改革については、先般(1日)公表した「こども未来戦略方針」案においてお示ししたとおり、全世代型社会保障を構築する観点から、歳出改革の取組を徹底することとしております。
歳出改革に当たっては、全世代型社会保障という観点から、高齢者や企業も含めて社会全体で子育て世帯を支えるという視点が重要となりますが、それだけでなく、サービス提供側の質の向上と効率化、例えば、医療提供体制の効率化や介護分野におけるITの活用など、幅広い取り組みが考えられます。
こうしたことも含めて、歳出改革の具体的な内容については、具体的な改革工程表を策定する中でお示しした上で、2028年度までの毎年度の予算編成過程において、実施して積み上げてまいります。
少子化対策のための歳出改革は、全体として国民の負担を軽減することを目指して実施してまいります。
【RADIO FRANCE(西村カリン氏)】
少子化問題について
(回答)
これまでの自公政権においては、その時々のニーズを踏まえつつ、保育の受け皿整備、幼児教育・保育の無償化などライフステージに応じた支援を進めてまいりました。
その結果、少子化対策関係の予算額は、平成25年度の約3.3兆円から令和4年度の約6.1兆円へと大きく増加し、例えば、いわゆる保育所待機児童は、平成29年の約2.6万人から昨年は約3千人まで減少するなど、一定の成果があったと考えております。
一方で、少子化・人口減少には歯止めがかかっておりません。少子化の背景には、個々人の結婚や出産、子育ての希望の実現を阻む様々な要因が絡み合っており、社会経済情勢が大きく変化する中で、取り組むべき子育て政策の内容が変化しております。
効果のある少子化対策が求められており、小倉大臣の「試案」取りまとめの過程や、こども未来戦略会議において議論を重ねるとともに、私自身、各地での「こども政策対話」を通じて当事者の方々から様々な意見をお聞きしてきたところです。
今回、次元の異なる少子化対策を実現するに当たって、私は三つのポイントを重視し、この戦略方針を決定しました。
第一のポイントは、経済成長実現と少子化対策を「車の両輪」とした大きなパッケージをお示し、実行することです。この両輪を通じて、若者・子育て世代の所得を伸ばすことに、全力を傾注します。構造的な賃上げや労働市場改革とセットで、児童手当をはじめとした経済的支援に重点を置いて、抜本的に強化します。
第二のポイントは、2030年代までがラストチャンスであることを踏まえた、3兆円半の規模の確保です。我が国のこども・子育て予算は、子供一人当たりの家族関係支出で見て、OECD(経済協力開発機構)トップのスウェーデンに達する水準となり、画期的に前進します。
第三のポイントは、スピード感です。2030年の節目に遅れることがないよう、「加速化プラン」の大宗は、今後3年間で着実に実施に移してまいります。賃上げの取組、少子化対策を先行し、その間の財源不足はこども特例公債を発行します。
政策の内容の柱としては、いま申し上げた、経済的支援に加えて、社会全体の構造や意識を変えることを重要な柱としました。
職場の文化・雰囲気、働き方を抜本的に変え、男女ともに、希望どおり、気兼ねなく育休が取れるようにしてまいります。あわせて育休制度の予算を倍増させて、抜本的に強化します。これらを通じて、「こどもと過ごせる時間」を作ることに初めて本格的に取り組みます。
これらの、これまでとは次元の異なる取組を推進し、社会全体の意識を変え、効果のある少子化対策としていきたいと考えております。
【岩上安身氏(インターネット協会)】
ノルドストリーム・パイプラインの破壊に関する報道について
(回答)
天然ガス・パイプラインという重要インフラについて生じた本件事案については、エネルギー供給や周辺海域への環境面でのあり得べき影響を含め、懸念をもって受け止めています。
報道の一つ一つにコメントすることは差し控えたいと思いますが、いずれにせよ、当該事案の原因等については、引き続き、関係国が調査を続けているものと承知しており、その調査の行方を見守りたいと思います。
【犬飼淳氏(フリーランス)】
入管法改正について
(回答)
今般成立した、出入国管理及び難民認定法の改正法は、出入国在留管理制度を、外国人の人権を尊重しつつ、適正な出入国在留管理を実現するバランスのとれた制度とし、日本人と外国人が互いを尊重し、安全・安心に暮らせる共生社会の実現のための基盤を整備しようとするものです。
今回の改正について様々な御意見があることは承知していますが、入管法の改正内容及び重要性について、広く国民の皆様に御理解を頂くべく、法務省・出入国在留管理庁において、引き続き丁寧に説明していくことが重要であると考えています。