菅内閣総理大臣記者会見
【菅総理冒頭発言】
先ほど新型コロナ対策本部を開催し、北海道、東京都、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県、岡山県、広島県、福岡県について、6月20日をもって緊急事態宣言を解除することとし、沖縄県については、7月11日まで延長することを決定いたしました。あわせて、まん延防止等重点措置について、北海道、東京都、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県、福岡県を新たに対象とし、期間は7月11日までとすること、埼玉県、千葉県、神奈川県については、7月11日まで延長すること、岐阜県、三重県については、6月20日をもって終了することを決定いたしました。
全国の感染者数は、5月中旬以降、減少が続いています。ほとんどの都道府県において新規感染者数はステージ4を下回っています。全国の重症者数も減少が続き、病床の状況も確実に改善されてきております。しかしながら、地域によっては感染者数に下げ止まりが見られるほか、変異株により感染の拡大が従来よりも速いスピードで進む可能性が指摘されております。
こうした状況の下に、今後何よりも警戒すべきことは、大きなリバウンドを起こさないことです。大事なことは、緊張感を持って対策を継続し、感染者数の上昇をできるだけ抑えることであり、同時に、一日も早く希望する方へのワクチン接種を進め、医療崩壊を起こさないことです。
このため、東京、大阪など7つの都道府県については、3週間のまん延防止等重点措置を実施し、依然として感染者数がステージ4を上回る沖縄県については、緊急事態宣言を延長することといたします。
多くの皆様に引き続き制限をお願いすることは大変心苦しい限りですが、安心できる日常を取り戻すため、御理解と御協力を心からお願い申し上げます。
今回、緊急事態宣言を延長した地域では、これまでの対策を継続します。重点措置の地域でも、引き続き飲食を中心とした対策を講じることとし、飲食店の20時までの時間短縮をお願いいたします。酒類についてでありますが、感染防止策の徹底などの要件を満たす店舗では、19時まで提供できることとします。ただしその上で、都道府県の判断により、感染状況に応じ、酒類の停止を要請することも可能とし、飲食の制限が長引く中にあっても、実効的な対策を進めてまいります。
また、スポーツなどのイベントの人数制限については、重点措置の期間は、これまでと同様に5,000人の上限を設けた上で、その後、一月間についても厳しい制限をお願いすることとし、1万人を上限とする経過措置を設けることとします。
今後とも高い警戒感を持って対策を続けてまいります。再拡大により医療のひっ迫の兆しが見られた場合には、酒類提供の一律停止や、より厳格なイベントの開催制限など、対策の強化も含め、機動的に対処いたします。
皆様には、マスク、手洗い、3密の回避という基本的な感染対策を徹底すること。取り分け、会話の際にはマスクを着用するという感染防止への御協力を、心からお願い申し上げます。
ワクチンの接種は、この1週間で合計730万回、1日平均100万回を超えるペースで増加しています。累計の接種回数は2,700万回を超え、1度でも接種した人の数は2,000万人を超えました。自治体や医療関係者などの御協力に、心から感謝いたします。
今回のG7で首脳たちと様々なことを語り合いました。新型コロナについては、いずれの首脳たちも経済との両立などに思い悩みながら、試行錯誤を繰り返し、結局はワクチンの接種が進むことで状況は大きく改善したとのことでした。
今月末には4,000万回を超える見込みであり、全ての市町村で、7月末には希望する高齢者への2回の接種が完了する見込みとの報告を受けております。これにより、高齢者を中心とした重症者の発生が大幅に減り、医療への負荷も大きく軽減されることが期待されます。
企業や大学での接種も21日から本格的に始まる予定であります。既に新規感染者に占める高齢者や医療従事者の割合が低下しているとの指摘もあります。昨日の東京の新規感染者数は501人でした。そのうち65歳以上の感染者は33人に対し、20代、30代は240人と半分近くを占めております。若い世代での感染拡大に留意が必要だという指摘もあり、今後、若い方々も含め、希望する全ての対象者への接種に、政府を挙げて取り組んでまいります。
昨日、通常国会が閉会いたしました。この国会は、緊急事態宣言のさなかに始まり、新型コロナと闘い続けてきた150日間でした。
与野党の方々の御協力を得て、新型コロナの特措法を早期に成立させていただき、実効性が伴う感染対策を機動的に行うことが可能となりました。事業と雇用を守り、困難にある方々を支えるための第3次補正予算も成立しました。飲食店の協力金については手元に届くのが遅いとの多くの声を伺っており、政府としても自治体と緊密に連携し、速やかな支給をできるよう進めてまいります。こうした感染症への対応を最優先としながら、長年の課題に答えを出すべく、この国会においても様々な改革を実現してまいりました。
9月1日にはデジタル庁が始動いたします。行政の縦割りを打破し、大胆な規制改革を断行することで、地方にいても都会と同じサービスを受けられる社会を実現します。男性の育児休業の取得促進や、40年ぶりの大改革である35人学級が実現しました。不妊治療は助成額を大幅に拡充した上で、この1月からスタートさせました。来年4月には保険適用します。若者の負担上昇を抑え、一定以上の所得がある高齢者には、2割の負担をしていただくための健康保険法の改正が成立しました。全ての世代が安心できる社会保障制度に向けた大きな一歩であり、今後も改革を進めてまいります。また、長年の懸案でありました重要土地等調査法や国民投票法も成立しました。数多くの法案や予算の成立に向け御協力いただいた皆様に、心から感謝申し上げます。
外交面においては、新型コロナ、気候変動、経済回復、そして権威主義との競争など、国際社会が様々な課題に直面する中で、世界の結束を促し、ポストコロナの国際秩序づくりをリードしてまいります。インド太平洋について、我が国が先頭に立って「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けた取組を戦略的に進めてまいりました。史上初となる3月の日米豪印首脳会議の開催に続き、4月にはバイデン政権発足後初の外国首脳として訪米し、日米同盟の固い絆(きずな)を国際社会に力強く示すことができました。今回の英国でのG7においても、自由、民主主義、人権、法の支配といった普遍的価値を共有するチームの一員として温かく迎え入れていただき、率直な意見交換を通じてリーダー同士の結束を確認できました。そして、その成果をしっかりと首脳宣言に反映できました。
東京オリンピック・パラリンピックについては、G7としての開催への支持が表明され、首脳宣言にも明記されました。世界のおよそ40億人がテレビなどを通じて大会を観戦すると言われています。東日本大震災から復興を遂げた姿を世界に発信し、子供たちに夢や感動を伝える機会になります。57年前の東京大会では、パラリンピックの名称が初めて使われ、障害者の方々が社会で活躍していこうという契機になったと思います。再びこの東京の地で、頑張ることによって壁を乗り越える、そのことができることの大切さや、障害のある方もない方も、お年寄りも若者も、みんなが助け合って共に生きるという共生社会の実現に向けた、心のバリアフリー精神を、しっかりと大会を通じて伝えたいと思います。人類が新型コロナという大きな困難に直面する今だからこそ、世界が団結し、人々の努力と英知でこの難局を乗り越えていくことを日本から世界に発信したいと考えています。そのためには、東京大会は安全・安心に開催すること、そして大会期間中、日本国内の感染拡大を抑え、大会終了後の感染拡大防止にもつなげていくことが不可欠であると考えています。皆様には、家でのテレビ観戦などを通じ、アスリートを応援していただきたいと思います。
明日には、私の内閣になって初めての骨太方針を決定いたします。ポストコロナにふさわしい、安心できる社会と強い経済を早急につくり上げていきます。国が主導して、病床や医療人材を迅速に確保し、治療薬やワクチンを早期に実用化するための法的措置を速やかに講じ、感染症によって揺らぐことのない強靱(きょうじん)な体制を整えます。グリーン、デジタル、活力ある地方づくり、少子化対策、この4つを成長の原動力として、スピード感を持って改革を進めてまいります。
尖閣(せんかく)諸島周辺を始め、日本の空と海は世界の中でも最も緊迫しており、過去の例にない状況にあります。必要な警備力、防衛力を強化し、我が国の領土、領海、領空を守り抜いていきます。
私は、この国会の冒頭、国民の皆さんの安心を取り戻し、希望を実現すると申し上げました。感染防止とワクチン接種の2正面作戦に全力を挙げ、一日も早い安心の日常を取り戻します。
そして、長年の課題に答えを出し、ポストコロナの強い経済をつくり上げていくことで、希望をお届けいたします。これが、国民のために働く内閣の使命であり、誠心誠意取り組んでまいります。皆様の御理解と御協力をお願い申し上げます。
【質疑応答】
(内閣広報官)
それでは、これから皆様より御質問を頂きます。
尾身会長におかれましては、所定の位置にお進みください。御質問の内容によりまして、尾身会長にも御説明を頂きます。
指名を受けられました方は、お近くのスタンドマイクにお進みいただきまして、所属とお名前を明らかにしていただいた上で、1問ずつ御質問をお願いいたします。
まず、幹事社から御質問を頂きます。東京新聞の清水さん、どうぞ。
(記者)
東京新聞、中日新聞の清水です。
東京五輪・パラリンピック開催のリスクの認識について伺います。総理は、東京五輪・パラリンピックを安全・安心に開催すると繰り返されていますが、開催に伴い感染リスクがどれだけ増大するかについてはこれまで説明されていません。選手や大会関係者に限らず、国内全体で人の移動が増えるリスクや観客を入れた場合のリスクを、どう考えられますか。安全・安心の根拠を示さずに開催を強調されても、開催に不安を感じる国民は納得できません。国民の命に責任を持つ政府として、安全・安心との言葉を繰り返すのではなくて、総理としてのリスクの認識、評価をお示しください。
なお、今回も各社からの再質問があった場合、応じていただけるようお願い申し上げます。
(菅総理)
まず、安全・安心大会を実現するために感染対策をしっかり講じて、安全リスクを可能な限り小さくすべく取り組んでいく。そのために専門家の意見もお伺いしながら具体的対策を詰めているところです。
まず、東京大会のために海外から来る選手や大会関係者については、国内の感染を拡大させることがないように、人数を極力限定し、半分以下にしています。検査、ワクチン接種を徹底し、行動を厳しく制限し、一般国民と交わることがないようにしっかり遮断したいと思います。
一方で、国内の人の動きであります。急に人流が増えることがないよう、スポーツイベント等の人数制限について、今後、まん延防止等重点措置が解除された後も人流を抑えることとし、東京大会の人数上限というのはこうしたルールに基づくことを基本として決定される、こういうふうに思います。
さらに、東京大会においては、多くの方が御自宅から観戦になると思いますが、会場に来られる観客は、常時マスクをして、大声の応援は禁止されることになると承知しています。会場に直行直帰する、このことも大事だと思います。こうしたことを含めて、組織委員会がガイドラインをつくるというふうに承知しています。
さらに、例えばJリーグでは、新型コロナ対応のガイドラインで、観客に対し、できる限り直行直帰、時差来場を呼び掛ける、そうしたものを十分に参考にしながら、感染リスクを防いでいきたいというふうに思います。
また、今、ワクチン接種が進んでおります。大会中は、高齢者を中心とした重症者が減少してくるというふうに思います。その中で、医療の負荷も大幅に軽減される、このように考えています。
(内閣広報官)
続きまして、共同通信の手柴(てしば)さん、どうぞ。
(記者)
共同通信の手柴です。よろしくお願いいたします。
新型コロナ対策についてお伺いします。総理は、今回、10都道府県に発令している緊急事態宣言について、沖縄県のみを延長し、7都道府県はまん延防止等重点措置に移行するという判断をされました。これから1か月余りで東京五輪の開会式を迎えますが、宣言と重点措置の解除に向けた出口戦略をどのようにお考えでしょうか。お聞かせください。
(菅総理)
まず、緊急事態宣言は多くの都道府県で解除しますが、変異株の影響も懸念される中でありますので、当面はリバウンドを防ぐために飲食店の20時の時間短縮を始めとする感染防止対策、ここはしばらく徹底していきたいというふうに思います。
同時並行でワクチン接種を進めていきます。ワクチン接種は、発症や重症化予防の高い効果が見込まれています。医療への負荷は確実に減っていくものと考えております。関係者の皆さんの大変な御努力によって、極めて速いペースで接種が進んでいると思います。先ほど申し上げましたように、直近1週間では730万回、接種が増えています。平均しますと、1日100万回を超えております。さらに、高齢者にワクチン接種を7月末までに行うということをお約束させていただきました。先日、総務省から全国の全ての自治体についてそうした方向で進んでいるということも受けました。さらに、この21日からは職域や大学、そうしたところでも接種が始まるわけでありますので、高齢者以外の方にも、先ほど申し上げましたように、若い人は感染者数が増えていますので、そうした方ができるようにしっかり取り組んでいきたいというふうに思います。
こうした感染防止対策とワクチン接種、正にこの2正面作戦を進めながら、この緊急事態宣言、まん延防止等重点措置の扱い、こうしたものについては感染状況を見て判断していきたい、このように思っています。
(内閣広報官)
それでは、幹事社以外の方から御質問を頂きたいと思います。
御質問を希望される方は挙手をお願いいたします。こちらで指名をさせていただきますので、マイクにお進みください。
それでは、時事通信の中西さん、どうぞ。
(記者)
時事通信社の中西です。よろしくお願いします。
内閣改造についてお伺いしたいのですけれども、政権の体制を強化するため、衆院解散総選挙までに内閣改造、自民党役員人事を行う考えはありますでしょうか。又は今の体制のまま総選挙に臨むお考えでしょうか。よろしくお願いします。
(菅総理)
私自身、これまで何回となく申し上げていますように、まずは新型コロナ対策、全力で取り組んで、国民の皆さんの命と健康を守る、ここに政府総力を挙げて取り組んでいきたいというふうに思っています。また同時に、外交、安全保障、経済、このことについても全体を見ながら、今、取り組んでいるところであります。
いずれにしろ、この秋までのどこかで解散総選挙というのは必要があるわけでありますので、様々な状況を考えながら自分でしっかり判断していきたい、このように思います。
(内閣広報官)
それでは、神奈川新聞の石川さん、どうぞ。
(記者)
神奈川新聞社の石川です。
総理に伺います。新型コロナ対応に伴う歳出拡大が続く中、財源をどう確保するかという議論も避けられないと思います。総理は国会答弁などで財政健全化の旗を降ろさないと明言されています。雇用の創出や税収増などが不可欠と考えますが、消費税を含めた今後の国民負担の在り方についてどのようにお考えでしょうか。
また、このコロナ禍において総理の地元神奈川や出身地秋田など、総理が掲げる活力ある地方をつくるにはどのような取組が必要だとお考えでしょうか。念頭にある構想にはカジノを含む統合型リゾート、IRも含まれるのか、御見解を伺います。
(菅総理)
まず、経済財政の基本的な考え方です。政府としては、経済あっての財政である、そうした考え方に基づいて、まずは新型コロナを収束させる、成長志向の政策を進めて経済再生に取り組んでいく、こうした姿勢の下に、財政健全化の旗は降ろすことなく、これまでの歳出歳入の改革努力を続けていきたいというふうに思っています。
取り分け地方経済の底上げ、所得を向上して日本経済を活性化していく、そのためには極めて重要だという認識を持っています。地方においても農産品の輸出の促進だとか観光の促進、こうしたものを私自身、官房長官当時から全力で取り組んできました。また、このカーボンニュートラル、そういう政策の中で、例えば洋上風力などの再生可能エネルギー、こうしたことは秋田の沿岸でも数年前から始まっていることも、これは事実だというふうに思っています。いずれにしろ、海外に向けて、人口減少の中で成長を目指して日本経済を牽引(けんいん)していきたい、こういうように思います。IRについては、観光の観点から整備法に基づいて準備を進めていきたいと、こういうふうに思っています。
さらに、これらと併せて、先ほど申し上げましたけれども、今度の国会で社会保障改革、ここも進めています。一定以上の所得のある高齢者の皆さんから医療費の2割負担、これも長年の課題でありましたけれども、今度の国会で成立させていただくことができました。いずれにしろ、給付は高齢者、負担は若者世代、こうしたことでなくて、負担できる人は高齢者の方でも負担しながら若者の負担を軽減していく、そうした社会にしたいというふうに思います。持続可能な社会保障をしっかりとこれからも続けていくために、こうしたこともしっかり進めていきたい、こう思います。
(内閣広報官)
それでは、後ろの列、文化放送、山本さん、どうぞ。
(記者)
文化放送の山本です。
総理にワクチンに関連してお話をお伺いしたいと思います。先ほど、総理が1週間で730万回を超えて1日平均で総理が目標に掲げた100万回を達成したと明らかにされました。また、職域接種もスタートし、今後は若い人も含めて接種を加速するお考えのようですが、そうなりますと、国民の5割接種も視野に入ってきたのではないかと考えられます。いつ頃5割接種実現する見通しなのか、その点についてお聞かせいただきたいのと、また、インド株への懸念があるものの、5割接種が実現できれば、様々制限を受けている社会経済活動に具体的にどのような希望の光が見えてくるのか、総理の見解をお聞かせください。
(菅総理)
まず、ワクチン接種については、関係者の皆さんの多大な御協力いただく中で、極めて速いペースで進捗しているというふうに理解しております。先ほど申し上げましたように、直近1週間では730万回、1日平均100万回を超えるペースで増え続けています。昨日までに2,700万回を超えております。
希望する国民の半分の方が接種される時期については、現時点で明確な数字を持っているわけではありませんので、ただ、今のペースで増え続けた場合、今月中に4,000万回を超える見込みであり、7月末までに希望する高齢者の皆さんには2回接種できる、こうした報告も受けています。
さらに、これ21日から大学や職域、産業医の先生方を中心に、そうしたところで接種も始まります。一番新しい数字では既に3,123か所、1,280万人分、そうした申請もあるというふうに報告を受けました。
いずれにしろ発症や重症化予防の高い効果というのは、このワクチンには世界の例からしても見込まれますので、いずれにしろ重症化リスクの高い高齢者の皆さんへの接種が進むことで、医療の負荷というのは大幅に減るだろうと、こういうふうに予測しております。
さらに、ワクチン接種が進むことで状況が一変して皆さんが街に出てにこやかな顔で食事している、そうした海外の映像を見る度に、一日も早く、ああした日を日本も取り戻すことができればなという、そういう思いの中で、私自身、全力で取り組んでおります。
先生、ちょっとよろしいですか。
(尾身会長)
ワクチン接種が進むと、私は今、総理がおっしゃったように、重症化する人の数は随分減ると思います。それから、かなりの、希望する人のほとんどが接種をした場合には、今まで我々は去年、当初2月、3月の頃に思っていたこのコロナウイルスに対する人々の意識、不安感というものは、これはかなり私は変わると思います。そういう意味では、さらに、このワクチンがそれだけの数の人が打つと感染対策もしやすくなる、感染対策の効果が出やすくなるということは期待できると思います。
そういう中で、ただ、全員が打つわけではないのでということもあるし、ワクチンの効果というのは皆さん御承知のように100パーセントではないので、随分安心感という意味では今までとは違ったレベルに来ると思いますけれども、かなりの多くの人が打ったから、じゃあもうこれでガードを下げていいということには、まだ少し私は早い。これはだから両面あって、恐らく多くの人が打つとコロナウイルスに対する感じ方、安心感というのは、これは随分変わると思いますけれども、だからといって一方、それで全てのガードを下げるというには少しまだ早いので、少し慎重に、マスクなんかもすぐに取るということではなくて、しばらくの間は、しかし、ワクチンが接種がどんどんどんどん加速すれば、随分気持ちの上では変わる。ただし、感染対策を、全くガードを下ろすというのには、少しまだ早いというのが我々の判断です。
(内閣広報官)
それでは、NHKの大谷さん、どうぞ。
(記者)
NHKの大谷と申します。
衆議院の解散総選挙についてお伺いします。来月から東京オリンピック・パラリンピックが行われます。一方で、新型コロナウイルス対策では、総理が指摘されたとおり、リバウンドを警戒すべき状況は依然続くと思います。まずは新型コロナ対策ということですが、先ほど、総理から秋までのどこかでという御発言がありましたが、こうした状況を踏まえると、総理としては、解散時期はパラリンピック終了後を想定されているということでしょうか。お尋ねいたします。
(菅総理)
まず、新型コロナ対策に全力で取り組んでいく。そういう中で、私の任期もこの秋で決まっていますから、それまでのどこかでタイミングを見た形でそうしたことは判断しなければならないというように思っています。まずはこのコロナ対策を全力でやって、その中でも状況が見えてくるだろうというふうに思います。そうしたことをしっかりと見極めた上で、自分で判断したい、このように思います
(内閣広報官)
それでは、朝日新聞、星野さん、どうぞ。
(記者)
朝日新聞の星野です。よろしくお願いします。
総理は先ほど五輪における感染対策をいろいろおっしゃられていましたけれども、それをやることでどれだけ感染を減らすことができるか、できれば定量的なデータ等あれば示していただきたいのと、尾身先生にお伺いしますが、先ほどの総理の対策で、再度の宣言や重点措置を防げるかどうかというのを、どのようにお考えでしょうか。
(菅総理)
では、私からよろしいですか。
先ほど私が申し上げましたように、まず日本に来る外国人の選手、関係者、そうした方については、先ほど申し上げましたように、PCR検査もしっかりやって、ワクチンも打っている方。そうした中で、例えばメディアの方についても完全に隔離して行動するような体制を採っておりますので、そこはしっかり行っていくということです。
それと、人流でありますけれども、この会場も、先ほど申し上げましたように、例えばまん延防止等重点措置が解除された後も、一定の、厳しい人数を抑える。そういう中で、いわゆる5団体、東京都と組織委員会と国とIOC(国際オリンピック委員会)、IPC(国際パラリンピック委員会)、この5者で、今、国内で行われていることと同じような、同様の中で行うということを決定する、そうした会合が開かれることになっていますので、今の国内の状況と同じだというふうに思っています。それと同時に、プロ野球とかJリーグ、これはずっと人数を入れながら今日まで来ています。そして、クラスターというのはほとんど発生していないわけですから、そうしたことも参考にしながらしっかりやっていくと。
それと同時に、ワクチン接種も予定どおり順調に進んでおります。先ほど申し上げましたけれども、昨日は東京で65歳以上の方というのは501人のうち33人、極めて低い状況にもなってきています。こうしたこともしっかりワクチン接種、拍車を掛けていきたい、このように思って、感染リスクを軽減しながら進めていきたい、このように思います。
(尾身会長)
私にも、重点措置なんかを出して、どうやってリバウンドを防ぐかという御質問ですけれども、私は、まず一番大事なことは、今、リバウンドが起きる要素があるのだということをしっかり認識することだと思います。例えば東京では、皆さん御承知のように高止まりになっているということもあるし、実は人流の増加というのはもうこの直近5週間ずっと続いているのですよね。それから、先週今週比というのがございますけれども、これは実効再生産数とほぼ同じような指標ですけれども、これも少しずつ1に、一回かなり下がりましたけれども、また1に近づいているということがあるし、それから、お盆や夏休みという恒例行事になると、日本のこれが感染拡大の誘因になるということはもう経験上分かっている。それから、例のデルタ株という変異株の影響。こういうことを考えますと、下げる要因、感染の拡大を下げる要因というのはワクチンというのがある。しかし、上げる要因というのはかなりあるのですね。
したがって、私は、これからどうやってリバウンドを防ぐかというのは極めて重要で、1番目は、今、国全体が地方自治体と真剣にやっているワクチンの接種率を早く上げるという、これはもう非常に、言ってみれば一丁目一番地だと思います。しかし、その接種率を上げるということと同時に、実はこれはうまく弾力的にワクチンの接種のチャンネルを多様化する中で、実はしっかりと今決まったところを、いわゆる大規模な接種とか職域とか学校、こういうものと同時に、クラスターの起きやすい、そういう場所、あるいは集団にも、これは戦略的にワクチンと同時に検査をやるということも私は非常に重要だと思います。
そうしたワクチン戦略と同時に、今、つい最近の分科会でも合意したことですけれども、ワクチンがテクノロジー、サイエンスの最先端、一番のリーダーとして、それに伴って、その他のテクノロジー、科学、例えばQRコードを使うとか、ICTを使って疫学調査を迅速にするとか、それとか下水の調査とか、そういうことをすると同時に、もう1つは飲食店のことですけれども、飲食店の経営者が大変だという思いがあるので、ここはしっかりと感染対策をしたお店が報われるようなことをすることがものすごく重要で、しっかりしたCO2のモニターをするとか、距離をちゃんと空けてお客さんを入れるとか、そういうようなことをしっかりした店をちゃんと認証して報われる。そうしたことで、ワクチン接種というのをリーダーとして、その他必要なことを全体的に、しかも強く押すという、打つということがこれからの感染拡大、リバウンドの防止に必要だと私は思います。
(記者)
今の対策で十分かどうかという。
(尾身会長)
私は、今、政府自治体はもう一生懸命やってきたと思います。今までは、やはりどちらかというと緊急事態宣言なんかでは人々に協力をお願いするということをしてきましたよね。もちろん国はかなりのお金を、いろいろな意味で経済支援ということでやってきていただいたのですけれども、私は、今、また非常に重要な時期に差し掛かっているので、国民に、これから一般の市民にお願いをするというときに、国や自治体が、今、私が申し上げたようなことですよね。検査をする、それからQRコードを使う、そうした科学技術をフルに使ったこと、今まで以上に国と自治体がリーダーシップをとってやるのだと、その上で国民にお願いをするということで、今までよりももう一歩強い国のリーダーシップ、自治体のリーダーシップが、私は今この時期に求められていると思います。
(内閣広報官)
続きまして、国際メディアからRADIO FRANCEの西村さん。
また、自席からの発言はお避けくださいますようお願いいたします。どうぞ。
(記者)
RADIO FRANCEの西村と申します。総理大臣に質問させていただきます。
総理は何度もワクチンを前提にせずに安心・安全な大会が可能だと言いましたが、結局、ワクチンなしには無理でした。でも、ワクチンがあっても100パーセント安全性を確保することはできません。したがって、マスコミも選手たちも自己責任で参加します。
例えば無償でマスクを確保するのは難しい。ホテルも隔離施設ではなく、そのノウハウとか徹底した対策を採るのは無理があります。参加者の行動をGPSで管理すると言われても、あくまでスマホの位置情報であり、人間の行動と異なります。結局、感染対策が不十分だと言う専門家が多い。なぜ、感染拡大のリスクや死者が出るリスクがあっても総理大臣は開催するのは大丈夫と思っていますか。その理由は何ですか。ノーと言えないことでしょうか。それともプライドでしょうか。又は経済の理由であるでしょうか。よろしくお願いします。
(菅総理)
ノーも、プライドも、経済でもありません。しっかり、日本においては、そうした外国から来られた方を、感染対策を講じることができるからであります。選手の皆さんはワクチンを打って来られます。選手を始め関係者の皆さんは来られる。そうした人たちも日本に入る前に2回PCR検査、入国時に検査、それから3日間、また、選手は毎日検査します。それだけ厳しい、まず対応をするということが1つです。
それと同時に、メディアの方です。メディアの方は1つのホテルに集約を、貸切りのホテルに入っていただいて、そこで組織委員会でそのメディアの人たちに対応する職員によって。さらにまた、移動については車両で移動する、その車両の運転手についてもワクチンを接種して、心配のないような形、あるいはアクリル板で運転席と客席を離したところでやる。そういう対応をしっかりやります。これについて守ってくれない人は国外退去もしてもらいたい、もらいます。そうしたことをしっかりやりますから、リスクは、海外から来られた方というのは、非常に少ないと、このように思います。
(内閣広報官)
それでは、テレビ東京、篠原(しのはら)さん、どうぞ。
(記者)
テレビ東京、篠原です。
総理と尾身先生にお伺いいたします。総理は、先日の党首討論で、11月までには希望する人全てのワクチン接種を完了させるとのめどを示されましたが、この時点で集団免疫は獲得できるという認識でしょうか。
また、諸外国ではマスクを取り始めたような生活というのが報道され始めていますが、日本でマスクを外して暮らせるめどというのをどのようにお考えでしょうか。総理と尾身先生、それぞれお願いいたします。
(菅総理)
まず私からでありますけれども、今回のワクチンについては発症予防や重症化予防の効果が期待されており、正に感染対策の切り札だと言っても言い過ぎではないと思います。一方で、ワクチンの感染予防効果については現時点で明らかになっていないものの、前向きな評価や調査研究があるというふうに承知しています。
そういう中で、ワクチン接種に今、政府は総力を挙げて取り組んでいるところであり、先ほど申し上げましたけれども、直近1週間、7日間で730万回、1日に直せば100万回を超えることが、平均で増えているということも事実です。さらに、昨日までに2,700万回を超えております。ですから、今の状況ですと1日100万を超えていく、そして21日から、また職場や大学等で職域接種、皆さんの会社でも始まるところが多いと思いますけれども、そうしたものが始まります。現在、申込みは3,123か所です。さらに、累計で1,280万人の方に打ちたい、そういう申込みが来ております。ですから、来週21日から本格的に開催されます。今後、若い方も含めて、希望のある方には、そういう意味で接種が続くというふうに思います。
ですから、例えば7月でも、1週間で(1日平均)100万回は今、超えていますから、それがこうした新しい職域が始まると更に変わってきて、集団免疫というのは、まず尾身先生に聞いて、専門家の先生はあまり申し上げていないのですけれども、そうした体制にはどんどんどんどんと近づいていくと、こういうふうに思っています。
先生、どうぞ。
(尾身会長)
御質問は集団免疫についてですけれども、実は集団免疫というのは一体どういう状況かというと、これは我々専門家が考えていることを少し翻訳すると、こんなことではないかと思います。
1つは、自然に感染した人がいますよね。これは欧米なんかでは、ワクチンを接種した人と同様、かなりの数は自然にもう感染をした人、その上にワクチンを打った人がいるわけです。したがって、この自然に感染した人とワクチンを打った人、どちらかで免疫を獲得した人が、その地域の中で何パーセントということはなかなか各国の状況によっても違うからはっきりは言えませんけれども、かなりという言い方しかできませんけれども、そういう人が何らかの形で免疫を獲得し、その結果、特にマスクをしたり注意をしなくても、ふだんの生活ができるような状況を集団免疫というふうに、我々は、一般的な言葉で言うとそういうことになると思います。
そういう中で、10月、11月、今かなり政府、自治体の努力のおかげで、かなりワクチンの接種率が上がっていますよね。そういう中で多くの人が、どれだけワクチンの接種をするかは分かりませんけれども、そうすると、先ほど私が申し上げたように、多分3つのことが起こると思います。感染しても重症化が前よりも少なくなるということと、それから、もう先ほども、人々の安心感というものがある。それから、あるクラスターなんかが起きても、前よりも感染の防御がしやすくなるということがあると思います。
しかし、だからといって一方、そうなると、日本の10月、11月、かなりは行ったとしても、それで小さなクラスターが起きないかというと多分そうではなくて、小さなクラスターは時々起きる可能性がある。それはなぜかというと、特に若い人が、恐らく高齢者ほどワクチンを接種するということは、たくさんの人に打ってもらいたいと私は個人的には思いますけれども、多分、高齢者ほど接種率は上がらないということがあると思いますし、そもそもワクチンは非常に優れたワクチンですけれども、100パーセント、そういう意味では、時々あるいは、そういう意味では感染が完全に下火になってコントロールできるというのは、まだ私は早いと思います。ただし、安心感という意味で、そういう意味では、先ほど申し上げましたように、ガードを完全に下ろすという時期は、もうしばらく先になるのではないかと思います。
そんなところで、安心感はある。コントロールしやすいけれども、既に全員が、実は皆さん御承知のようにイギリスはワクチンの接種率が非常に高いですよね。しかし、そこで急にロックダウンなんかを解除すると、あっという間に新規の感染者が増えていますから、あれだけの接種率をやっても、人々の行動次第では、たまたまイギリスはまだ重症者とか死亡者は抑えられていますけれども、ともかく新規の感染者は、あれだけ行っていてもですよね。社会の行動、人々の意識あるいは政府の対応の仕方、自治体の対応の仕方ではすぐに行ってしまうので、私は、そこは、安心はするのだけれども、急に解除みたいなことはしないでやった方がいいと思います。
(内閣広報官)
それでは、中国新聞の下久保さん、どうぞ。
(記者)
中国新聞の下久保です。よろしくお願いします。
総理にお尋ねします。歳費法の改正ですが、今通常国会では実現しませんでした。ではありますが、自民党の検討プロジェクトチームは次の臨時国会で成立を目指すそうです。総理は自民党総裁として、この歳費法についてどのようなお考えか。
また、この歳費法の改正論議というのがそもそも河井克行、河井案里夫妻の大規模買収事件に端を発するものです。さきの会見で中国新聞は、この1億5,000万円についてお尋ねしました。当時の総裁である安倍晋三前首相、二階幹事長に、総理は、自民党総裁として説明責任を求めるか、安倍前首相に説明責任を求めるお考えがあるか尋ねましたが、かみ合わない答えが書面で返ってきました。改めてお伺いします。菅総理は、安倍前首相にこの説明責任について求めるかどうかということについても併せてお尋ねします。
(菅総理)
まず、国会議員の歳費の在り方については、政治活動の自由と密接に関連していることなどから、各党、各会派がそれぞれのお考えを持ち寄って、ここは議論いただくべきものだというふうに思います。ただ、私自身、自民党総裁としてあえて申し上げれば、党内での議論が進むようにそこは促していきたい、こういうふうに思っています。
それと、先般、御指摘を頂きました河井夫妻の資金使途の詳細について、そのときにも申し上げましたけれども、現在、検察に押収されている関係書類が返還され次第、党の公認会計士が内規に照らして監査を行い、しっかりチェックしてもらう、そうしたことになっております。
(記者)
すみません、提供の支出決定は誰がしたのかということをお尋ねしているのですけれども、安倍前首相に説明責任を求めるお考えはありますか。
(菅総理)
そこは安倍総理というよりも、当時の総裁、幹事長、そういう中で行われているということは事実じゃないでしょうか。
(内閣広報官)
自席からの御発言はできる限りお避けください。
それでは、続きまして、ビデオニュースの神保さん、どうぞ。
(記者)
ありがとうございます。ビデオニュースの神保です。
総理、緊張する米中関係と日本の役割についてお伺いしたいのですけれども、今、米中関係はかつてないほどに緊張感を増しているというふうに言われています。専門家の中には、いつ軍事衝突が起きてもおかしくないとまで言う人もいるようですが、そうすれば当然、日本の目の前でそのようなことが起きることになって、日本も無傷ではいられないというか他人事ではないのは言うまでもないわけですけれども、ただ、4月の日米首脳会談、それから今週のG7サミットを見ても、日本はアメリカと歩調を合わせるということはこれまで明確にやってきていますが、緊張緩和に向けたイニシアチブというものを日本がとっているということが今のところ見えていないようなのです。日本にとっては明らかにステークホルダーであるにもかかわらず、日本のそういう動きがちょっと見えないことについて総理にお伺いしたいのですけれども、日本は黙ってアメリカの後をついていくだけで本当にいいのか、それとも、こじれた米中関係の平和的な解決のために、日本としてできることがあるのか、何ができるのか、できるとすれば、総理はそれをやるお覚悟があるのかどうかというのをお伺いしたいと思います。
それから、総理、すみません、我々くじ引きで、何回かに1回しか会見に出れないので、どうしてもこれだけは確認したいのですけれども、今回オリンピックが開催されれば、これは内閣総理大臣の責任において開催されるという理解でいいのか。つまり、主催者が誰かとかそんなことはどうでもいいのですが、日本の国内でオリンピックが開かれるということは、内閣総理大臣の責任において開催されるのか、あるいはそうじゃないとすれば、誰の責任において開催されるのか、それだけすいませんが追加でお願いします。
(菅総理)
まず、オリンピックですけれども、東京都、組織委員会、そして国、IOC、IPC、この5者で全体を相談しながら進めているわけでありますけれども。最終決定はIOCにありますけれども、日本国民の安全・安心、命と健康を守るのは、これは内閣総理大臣として私の仕事ですから、そこは私が責任を持って行うと、そういうことであります。
それと、日米同盟、日本にとっては唯一の同盟国であります。ここを基本としながら、中国ですけれども、また中国も隣国であり、そして大国であり、このアジアだけでなく世界にも日中が果たす役割というのは極めて大きなものがあるというふうに思っています。ですから、日米の首脳会談でも、とにかく意思疎通はそれぞれしっかり果たしていくと。さらに、日本は日本として、米国は米国として、また、日米で果たす、日米一つになって、そうしたことは当然しっかり進めていく。言うべきことははっきり申し上げる。こうしたことが大事だというふうに思います。
それと同時に、この間サミットの中で、やはり保障したのは、国際社会における普遍的価値です。正に自由、民主主義、人権、法の支配、こうしたものは、やはりどこの国であっても保障されなきゃならない、そういうふうに思っています。そうしたことにG7はしっかり対応していこうということを、この間の会合の中で、ここについてもG7の中で合意をしたということです。
いずれにしろ、日本にとっては正に隣国であり、極めて重要な中国については、安定した関係を日本としてはつくっていく、ここは大事だというふうに思います。ただ、言うべき点は、今、申し上げたことはしっかり主張する。これもまた世界のために大事だというふうに思っています。
(内閣広報官)
それでは、大変恐縮ですが、あと2問とさせていただきます。テレビ朝日の吉野さん、どうぞ。
(記者)
テレビ朝日の吉野です。よろしくお願いします。
先ほど幹事社の質問に対して、菅総理、まん延防止等重点措置解除後も人流を抑えるとおっしゃっていましたけれども、来月といいますと、世の中的には夏休みにも入るわけですよね。となると、我々国民が夏休みに旅行ですとかレジャーをすることに対しては、総理はどのようにお考えになりますでしょうか。
(菅総理)
まず、基本的については、そのときの感染状況とか医療のひっ迫状況、こうしたことに考慮しながら、専門家の皆さんの意見も踏まえてここは判断することになるというふうに思います。いずれにしろ、手洗いとか3密の回避、基本的なこの感染対策をしっかりやってもらうと同時に、やはり話すときは、会話するときはマスクをして会話してほしい、そうした基本的なことをしっかり行った上で、その夏休みの状況というのはどうなっているか分かりませんから、そうした感染状況とかを見ながらそこは対応すべきだというふうに思います。政府としても、必要であれば緊急事態宣言とかまん延防止等重点措置とか、そうしたことについては必要であれば行うということは変わらないわけですから、いずれにしろその状況を見なければ分からないと、こういうふうに思います。
(内閣広報官)
それでは、フリーランスの岩上さん、どうぞ。
(記者)
インターネット報道メディアのIWJの代表をしております岩上と申します。よろしくお願いします。
先ほど、G7サミットの質問もありましたが、私もそのサミットに関連して質問させていただきます。
総理は、先ほど、G7サミットで民主主義国家が結束したと、このようにおっしゃられました。しかしG7サミット直前の6月10日に、フランスのマクロン大統領は、記者会見において、インド太平洋戦略に関連して、我々は米国と連携しない、中国のしもべにもならないと、EU(欧州連合)と米国の対中外交の違いを説明したとロイターが報じております、バイデン大統領が対中強硬姿勢に傾くのに対して、EUが距離を置くと姿勢を示した、インド太平洋を米中対決で粉砕してはならないと、このように述べたとロイターは伝えています。ちなみに、このマクロン大統領の発言を報じた国内メディアはわずか産経のみでした。
ここで疑問が湧くのですが、サミットでは本当に対中包囲網について結束が図られたのでしょうか。サミットの共同声明を読みますと、台湾有事については確かに言及されているのですが、中国を名指しで非難することは慎重に避けられております。これはG7では分裂は避けられたものの、妥協が図られたというのが実情ではないのかというふうに思います。
菅政権は、今国会で重要土地規制法に見られるように、総理の権限を異常なまでに強化しようとしております。これは内閣独裁を実現する改憲による緊急事態条項の先取りと思われます。なぜかくも、戦時独占体制の確立を急ぐのか。ミサイル配備もそうですけれども、日本国民には十分な説明もありませんし、同意もありません。また、もし内閣独裁体制となれば、日本は先ほど総理がおっしゃった普遍的な価値を重んじる民主主義国家のグループから脱落することを意味してしまいます。
(内閣広報官)
すみません、御質問をお願いいたします。
(記者)
米国の覇権を守るため、中国との戦争の先兵となることを自ら買って出るような、原発を抱えたまま破滅的な戦争に挑むというのは避けるべきではないかと思います。EUのように米中対立に冷静に距離を置く、そうした道というものも探るべきではないかと考えますが、それがまた従属国ではなく、主権国家の在り方ではないかと思いますが、総理のお考えをお聞かせください。
(菅総理)
私は、正に主権国家の内閣総理大臣として、G7サミットに参加して、先ほど申し上げました国際社会の普遍的価値、このことについては、そこはG7の中で、全ての国々との中で共有しているものであります。
それと、マクロン大統領とも私、個別会談をしました。そこについては、対中包囲網など私もつくりませんから、まず。そこについてやはり普遍的価値を共有する国というのは極めて大事なわけでありますから、そこはしっかり対応していこうということで一致しております。
それと、土地問題ですけれども、独裁国家みたいな話がありましたけれども、これは国会で堂々と国家として必要だから法案を提出して、国会で議論いただいて、決定したわけでありますから、極めて民主的な中で行われていることだというふうに思いますし、自らの国を自ら守るということは、ある意味で独立国家として当たり前のことだというふうに思います。
(内閣広報官)
それでは、ただ今挙手をされている皆様におかれましては、恐縮でございますけれども、この後、1問をメールでお送りいただきたいと思います。後日、回答を総理より書面の形でお返しさせていただくとともに、ホームページで公開させていただきます。どうぞ御理解と御協力をよろしくお願いいたします。
それでは、以上をもちまして、本日の記者会見を終了させていただきます。
御協力ありがとうございました。