令和3年6月17日菅内閣総理大臣記者会見終了後の書面による質問と回答

(質問)
 五輪、パラリンピック開催について伺います。菅総理が国民の安全を守りつつ開催が可能と判断したのは、きちんと科学的なシミユレーション、エビデンスに基づいた結果なのでしょうか。菅総理はこの日の会見で、大会、マスコミ関係者の行動制限など様々な対策に言及されましたが、開催判断に至った具体的な科学的根拠、エビデンスについてはおっしゃいませんでした。「中止したら日本の国際的地位が低下する」「IOC(国際オリンピック委員会)が中止できないと言っている」といった理由もささやかれますが、こうした理由で開催され、感染リスクが増大するのであれば国民はたまったものではありません。菅総理は会見で、安全安心な大会の開催は自らの責任だとおっしゃいました。であるならば、総理が安全に開催できると判断した科学的根拠、エビデンスを御紹介ください。【西日本新聞】

(回答)
  東京大会のために海外から日本に来る選手や大会関係者については、国内の感染を拡大させることがないよう、人数を極力限定し、検査、ワクチン接種を徹底し、行動を厳しく制限し、一般国民と交わることがないようにすることとしています。
 観客については、21日のIOC、IPC(国際パラリンピック委員会)、組織委員会、東京都との5者協議において、人数の上限を定め、会場内でのマスクの常時着用、大声の禁止、直行直帰などを求めることが合意されました。
 こうした感染対策については、昨年9月より、組織委員会、東京都、国の関係各省からなる調整会議において、個別の場面ごとの具体的な対策を協議しています。調整会議には、感染症の専門家である岡部先生、齋藤先生も参加しています。
 また、組織委員会においても、新型コロナ対策ラウンドテーブルにおいて専門家の御意見を聞きつつ、具体的な対策を検討してきたところです。

(質問)
 五輪訪日要人の感染症対策について伺います。オリンピック、パラリンピックに当たっては、外国の要人も来日する予定です。こうした要人たちが例えば、防疫措置遵守の誓約書を守らなかったり、事前提出する訪日日程に行動を取った場合、ワクチンを接種していても、なんらかのペナルティが課されるのでしょうか。選手や大会関係者は参加資格はく奪や、国外退去という処分もあるそうですが、要人に対して同様な措置を行うことは現実的なのでしょうか。【ジャパンタイムズ】

(回答)
 東京大会の開催に当たり、訪日する要人を含め、関係者の感染対策をしっかり講じ、国民の命と健康を守ってまいります。
 要人の訪日の際に求められる防疫措置については、これまでも、在京の各国大使館などに対して、度重ねて説明してきています。
 また、要人の訪日期間中も、政府職員などを要人一行に同行させることなどを通じて、行動管理をしっかりと行ってまいります。
 政府としては、こうした取組を徹底し、御指摘のような事案の発生を未然に防ぎつつ、感染対策に万全を期してまいります。

(質問)
 IOCのコーツ副会長がすでに来日し、バッハ会長も来月、来日と報じられています。バッハ会長らIOC幹部が、天皇陛下への面会を求めた場合、総理は面会に同意されるお考えでしょうか。また、五輪の実施をめぐっては、国民の意見は分裂している上、天皇御夫妻はコロナ禍において御活動を控えられ、「四大行幸啓」の1つである植樹祭もリモートで参加されている状況です。そんな中、五輪では両陛下に会場にお越しいただくお考えでしょうか。イエスであれば、具体的にどのような役割をお願いするのでしょうか。 開会宣言以外に、IOC関係者のおもてなしなどもしていただくのでしょうか。総理御自身のお考えをお聞かせください。【江川紹子氏(フリーランス)】

(回答)
 お尋ねについては、正式に決定した事項以外、お答えは差し控えさせていただきます。

(質問)
  新型コロナウイルス対策の新たな措置について、中部圏と首都圏の対応の違いについて伺います。6月20日まで緊急事態宣言の対象となっている10の都道府県のうち、7都道府県が、21日から7月11日までまん延防止等重点措置の対象となりますが、このうち、下げ止まりの傾向も見られる東京都に加え、特に、中部圏の愛知と北海道について、昨日のアドバイザリーボードで、注視が必要との意見が出たと聞きました。 一方、20日までまん延防止等重点措置の対象だった5県のうち、岐阜と三重については、20日で終了、首都圏の埼玉、千葉、神奈川の3県は7月11日まで措置が継続となりました。このように、首都圏3県が継続されることについて、今朝の分科会で、西村大臣は、東京都との一体性という点も考慮されたという趣旨の発言をされました。 一体性という観点からは、中部圏では愛知、岐阜、三重の関係は強く、愛知と岐阜の一部は特に密接性が高いという見方もあります。こうした中で、中部圏について、愛知をまん延防止等重点措置の対象とし、岐阜と三重を終了とする理由について、首都圏との対応の違いも含めて教えてください。【CBCテレビ】

(回答)
 埼玉県、千葉県及び神奈川県については、新規陽性者数の減少傾向が鈍化し横ばいになってきていることや、東京都との三県の一体性を考え、まん延防止等重点措置を7月11日まで延長することとしました。
 岐阜県及び三重県については、感染状況も落ち着き、病床も安定していることから、期限どおり、6月20日をもって、まん延防止等重点措置の対象区域から除外することとしました。
 こうした方針について、6月17日に、専門家で構成される基本的対処方針分科会にも諮った上で、政府として最終的に決定しました。

(質問)
 記者会見の冒頭発言の中で「何よりも警戒すべきは大きなリバウンドを起こさないこと」という言及がありましたが、兵庫や大阪では前回、緊急事態宣言の解除直後に感染が急拡大し、まん延防止等重点措置でも抑えきれず、宣言の再発令に至りました。今回も例えば兵庫の直近1週間の新規感染者数は前回の宣言解除時よりも高水準であり、感染力の強い新たな変異株も出てきており、楽観できる状況ではありません。同様の事態を繰り返さないため、これまでの検証や反省を対策にどういかすのか、具体的にお聞かせください。【神戸新聞】

(回答)
 国民の命と暮らしを守ることが政治の最大の責務であり、模範解答のない未知のウイルスへの対応に当たって、常にこのことを最優先し、国民生活への影響を抑えながら、感染対策を進めてきました。
 会見でも申し上げたとおり、重要なことは、緊張感を持って対策を継続し、感染者数の上昇をできるだけ抑えること、そして、医療崩壊を起こさないことです。特に、諸外国でも、ワクチン接種が進むことで状況は大きく改善しており、一日も早く希望する方へのワクチン接種を進めることが重要です。
 こうした中で、東京、大阪など7つの都道府県については、3週間のまん延防止等重点措置を実施し、今後とも高い警戒感を持って対策を続けてまいります。
 感染の再拡大により医療のひっ迫の兆しが見られた場合には、酒類提供の一律停止や、より厳格なイベントの開催制限など、対策の強化も含め、機動的に対処いたします。
 また、ワクチン接種に今、政府は総力を挙げて取り組んでいるところであり、関係者の皆さんの多大な御協力をいただき、極めて速いペースで進捗しております。企業や大学での接種も21日から本格的に始まっており、希望される国民の皆様に、身近な場所で一日も早くワクチンを接種いただけるよう、ワクチン接種の更なる加速化に取り組みます。
 感染防止とワクチン接種の2正面作戦に全力を挙げ、一日も早い安心の日常を取り戻します。多くの皆様に引き続き制限をお願いすることは大変心苦しい限りですが、御理解と御協力を心からお願い申し上げます。

(質問)
 運転開始から40年を超えた福井県の関西電力美浜原発三号機が今月23日に再稼働する見通しです。予定どおり再稼働すれば、東京電力福島第一原発事故後に「原則40年、最長で延長20年」のルールができて以降、国内で初めての再稼働となります。総理はこの再稼働についてどう受け止めていますか。
  一方で、隣接する滋賀県は知事が「再稼働を容認できる環境にない」とし、資機材や備蓄品の配備など増大する対策費への財政措置や、福井県内の原発に関する「立地自治体並み」の権限付与を繰り返し求めています。再稼働への同意権がない「被害地元」からの切実な訴えを、総理はどのように捉えていますか。【京都新聞】

(回答)
 原子力発電所の再稼働については、安全最優先、すなわち、原子力規制委員会が、世界で最も厳しい水準の新規制基準に適合すると認めた原発のみ、地元の理解を得ながら進めていく、という方針に変わりはありません。これは、法律に基づいて運転期間の延長が認められた美浜発電所三号機についても、同様です。
 また、隣接する自治体の皆様にも、丁寧に理解を得ながら進めてまいります。最新の科学的知見や、地域の状況を踏まえながら、隣接自治体の住民も含めた安全・安心を第一として、原子力安全対策と防災体制の充実・強化を進めます。

(質問)
 首相は「安心、安全の五輪」「国民の命を守る」と説明されていますが、東京の感染者の下げ止まりや、専門家によるリバウンドがあり得るとの試算を踏まえると、人の流れの活発化で大会中に感染拡大の可能性があると思います。国民の命を一人でも危険にさらさないという判断をするなら、中止や無観客という判断をすべきだと思いますが、どうお考えになりますか。理由もお伺いします。首相が五輪の観客入りの開催にこだわる理由として、大会成功の勢いで衆院選に臨みたいからだとの見方がありますが、実際にそう考えているのでしょうか。【北海道新聞】

(回答)
 東京大会の観客については、21日のIOC、IPC、組織委員会、東京都との5者協議において、全ての会場で観客数の上限を「収容定員50パーセント以内で1万人」とすること、7月12日以降、緊急事態宣言又はまん延防止等重点措置が発動された場合の取扱いについては、無観客も含め当該措置が発動されたときの措置内容を踏まえた対応を基本とすることが合意されました。
 また、観客に対して、会場内でのマスクの常時着用、大声の禁止、分散退場、直行直帰などを求めることとしています。
 観客数の上限については、こうした中で決定されたものであり、国民の命と健康を守り、安全・安心な大会を実現するために、準備を進めてまいります。

(質問)
 イギリスでは6万人の3密ライブ実験、スペインでも5,000人の観客実験が行われております。弊社では感染症専門家の指導の下、長時間カメラ等で人流による高頻度接触面などを確認し消毒、換気実験しており二酸化炭素濃度などデータに基づく安心安全を確保しています。オリンピック会場ごとの観客、選手、スタッフ、プレス、など人流等、実験研究などを行い、医学的エビデンスに基づいた安心、安全なオリンピック、パラリンピックを発信するお考えはありますでしょうか。また、知的障害の方々が参加されるスペシャルオリンピックがあり、国民に情報があまり伝わっておりません。今回のオリンピック、パラリンピックとの連携など、新たな取り組みとして日本から世界に向けて発信するお考えはありますでしょうか。【大川豊氏(フリーランス)】

(回答)
 東京大会のために海外から日本に来る選手や大会関係者については、国内の感染を拡大させることがないよう、人数を極力限定し、検査、ワクチン接種を徹底し、行動を厳しく制限し、一般国民と交わることがないようにすることとしています。
 観客については、21日のIOC、IPC、組織委員会、東京都との5者協議において、人数の上限を定め、会場内でのマスクの常時着用、大声の禁止、直行直帰などを求めることが合意されました。
 こうした感染対策については、昨年9月より、組織委員会、東京都、国の関係各省からなる調整会議において、個別の場面ごとの具体的な対策を協議しています。調整会議には、感染症の専門家である岡部先生、齋藤先生も参加しています。
 また、組織委員会においても、新型コロナ対策ラウンドテーブルにおいて専門家のご意見を聞きつつ、具体的な対策を検討してきたところです。
 また、スペシャルオリンピックスは、知的障害者のスポーツへの参画を推進する上で大きな意義を有するものと認識しており、東京大会の機会をとらえて、パラリンピック選手の活躍とともにスペシャルオリンピックスの活動の発信も支援してまいります。

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