日露ビジネス対話 安倍総理スピーチ

平成30年5月25日
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 尊敬するプーチン大統領、そして御列席の皆様、日露ビジネス対話の開催に当たり御挨拶を申し上げます。
 ピョートル大帝はサンクトペテルブルクを世界に開き、ロシアの窓にしようと思い描いていました。その構想のとおり国際都市となったこの地にこうして日本とロシアのビジネスリーダーの皆様と集うことができ、大変うれしく思います。
 日露関係は大きな可能性を秘めています。その潜在力を現実のものとするため、ちょうど2年前、私は、プーチン大統領に8項目の協力プランを提案しました。ロシアは豊かな資源、1億人を超える市場、優れた人材に恵まれています。そこに日本の知見と技術を組み合わせた協力が、芽を出し花を開きつつあります。この協力プランに基づくプロジェクトは既に130を超え、その半数が契約などの形になり、現実に動き始めています。
 プーチン大統領は2024年までの戦略的な課題を発表しました。6年後にロシアが目指している未来の姿、それは健康寿命の伸長、住宅環境の改善、生産性の高い輸出指向産業の創出、デジタル経済の普及です。
 こうした生活の向上を重視する課題の多くは、私たちの推進してきた協力プランの内容と、軌を一にします。私たちはこの協力プランにコミットしており、引き続き日本ならではの技術や知見をいかした協力を進めていく考えです。
 医療、保健の分野では今月上旬にウラジオストクでリハビリセンターが開院しました。小児がんや内視鏡、健康づくり、予防医療分野でも専門家間の協力が進んでいます。具体的な協力が始まっている医療品分野も将来性が期待されます。
 都市環境ではヴォロネジでパイロット事業が始まっており、日本のスマート信号が設置された通りでは渋滞が約3割緩和されました。都市鉄道整備の取組も進んでいます。ウラジオストクの開発コンセプトの作成でも協力が行われました。
 伝統的な協力分野であるエネルギーにおいてもサハリンでのプロジェクトに加え、ヤマルLNGに日本企業がプラント建設や融資で貢献しています。
 またアジア太平洋地域への輸出拡大を可能にするカムチャツカにおけるLNG積替ターミナルの事業にも期待がかかっています。
 生産性向上はロシア企業の生産性診断、そしてロシアのビジネスマンの効率研究が行われ、その結果、ロシアの生産現場では作業時間の短縮や不良品率の低減が実現しました。
 この地で現地生産を行っているトヨタ自動車や日産自動車も日本企業の技術とノウハウをロシア企業に浸透させるために活躍しています。両社とも工場稼働から間もない時期に景気後退によるロシア自動車市場の縮小という厳しい現実に直面しながら、ロシア市場にしっかりと根を下ろしてきました。
 この2社の他にも数多くの日本企業がロシアの製造業に投資し、輸出の振興や雇用の拡大に貢献しています。
 輸出先の産業基盤の強化にも貢献しながら地元と一体となってプロジェクトを実現していくのが日本企業の特色です。日本とロシアの企業が手を携えれば、両国の人々の生活に大きな恩恵をもたらすプロジェクトが実現するでしょう。そして日露両国に明るい未来をもたらすと確信をしています。
 今回のビジネス対話がこのような未来に向けた有意義な場となることを期待しております。御清聴ありがとうございました。

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