政労使の意見交換
令和5年1月22日、岸田総理は、総理大臣官邸で政労使の意見交換に出席しました。
会議では、令和5年11月15日に開催した政労使の意見交換を受けて、中小企業の労務費の転嫁対策の徹底状況などをフォローアップし、2024年春季労使交渉の開始に先立って、労使の方々との意見交換が行われました。
総理は、本日の意見交換を踏まえ、次のように述べました。
「本日は、春季労使交渉の開始に先立って、労使の代表の皆さんと意見交換の場を持ちました。
我が国経済は、30年余り続いたコストカット型経済から、所得増と成長の好循環による新たな経済へ移行するチャンスを迎えています。
このチャンスをつかみ取るためには、我が国経済に、物価上昇を上回る構造的な賃上げを実現しなければなりません。
こうした民の努力を官としても強力に後押しするため、所得減税など政策を総動員してまいります。
第1に、本日御参加の経済界の皆さんには、今年の春季労使交渉について、物価動向を重視し、昨年を上回る水準の賃上げをお願いいたします。
この夏には、賃上げと所得減税を組み合わせることで、可処分所得の伸びが物価上昇を上回る状態を官民で確実に作り上げます。
第2に、中小企業・小規模企業における賃上げです。
我が国全体で賃金を引き上げていくためには、全従業員数の7割が働く中小企業・小規模企業における賃金引上げが不可欠です。
そのためには、労務費の価格転嫁を通じて、賃上げの原資を確保することが鍵になります。
政府としては、賃上げ税制の拡充や、カタログから商品を選ぶように簡単に補助を受けられる省力化投資補助金などの賃上げ促進策を実行に移すとともに、労務費の価格転嫁対策に全力で取り組みます。
昨年末に決定した、労務費の転嫁のための価格交渉に関する指針に定めた12の行動指針に沿った行動の徹底を産業界に強く要請するとともに、独占禁止法等に基づく厳正な対処を行います。
適切な価格転嫁を、我が国の新たな商習慣として、中小企業間を含めて、サプライチェーン全体で定着させます。
このため、合計1,873の業界団体に対し、指針の徹底と取組状況のフォローアップを要請しました。
さらに、コストに占める労務費の割合が高い、あるいは、労務費の転嫁率が低いといった、特に対応が必要な22業種については、各団体に対し、自主行動計画の策定や、転嫁状況の調査・改善を要請いたします。
フォローアップのため、村井官房副長官をヘッドとして関係省庁連絡会議を設置いたします。実行あるのみです。
第3に、医療・福祉・障害福祉分野などの公的価格の引上げです。官としても公的賃上げが確実に現場に行き渡るような仕組みを実行してまいります。
第4に、非ホワイトカラー職の賃金の引上げです。
非ホワイトカラー職全般について、広く業界団体の協力を得て、スキルの評価制度を作り、賃金上昇が図られる仕組みを作り上げます。
さらに、本日のような政労使の議論が地方にも波及していくよう、厚生労働大臣は、経済産業大臣や公正取引委員会委員長と協力しながら、地方版政労使会議の開催を一層積極的に進めてください。
日本経済がデフレに後戻りするか、デフレ完全脱却の道に向かうかの、正念場です。
脱デフレのチャンスをつかみ取るため、労使の皆様の御協力をお願いいたします。」