令和元年10月18日(金)午後
中東地域の平和と安定について
中東地域の平和と安定は、我が国を含む国際社会の平和と繁栄にとって極めて重要であります。中東における緊張緩和と情勢の安定化に向けて、安倍総理が6月のイラン訪問や9月の国連総会時の日米首脳会談、日イラン首脳会談を行うなど、政府として外交的な取組をしっかり進めてまいりました。同時に、世界における主要なエネルギーの供給源である中東地域において、航行の安全を確保することは非常に重要であります。こうした観点から、米国が「海洋安全保障イニシアティブ」を提案しているほか、フランスは欧州のイニシアティブを検討すると承知しており、インドも独自の艦船を派遣しています。我が国としても、これまで航行安全対策を講じてきました。このような中、国家安全保障会議などにおいて、総理を含む関係閣僚の間で行った議論を踏まえ、我が国として中東地域における平和と安定及び我が国に関係する船舶の安全の確保のために、独自の取組を行っていくこととし、政府として、以下の方針を確認をいたしました。「中東の緊張緩和と情勢の安定化に向け更なる外交努力」、「関係業界との綿密な情報共有を始めとする航行安全対策の徹底」、「情報収集態勢強化のための自衛隊アセットの活用に係る具体的な検討の開始」。以上の3つの方針のうち、自衛隊アセットの活用については、以下の考え方を基本として、今後具体的に検討をしていきます。米国が提案する「海洋安全保障イニシアティブ」には参加せず、日本独自の取組を適切に行っていきますが、引き続き米国とは緊密に連携していく考えであります。自衛隊のアセットについては、新規アセットとしての艦艇派遣や既存の海賊対処部隊の活用の可能性について、今後、検討をしていきます。活動の地理的範囲については、オマーン湾・アラビア海の北部の公海及びバブ・エル・マンデブ海峡の東側の公海を中心に検討をします。今回の派遣の目的は情報収集態勢の強化であり、防衛省設置法上の「所掌事務の遂行に必要な調査及び研究」として実施することを考えます。現在、直ちに自衛隊アセットによる我が国に関係する船舶の防護の実施を要する状況にはありませんが、いずれにせよ、我が国に関係する船舶の安全確保のために必要な更なる措置について検討をしていきます。今後、この方針に基づき、政府一体となって取組を進めていくとともに、検討を進めてまいります。詳細は防衛省を始めとする関係各省にお尋ねをいただきたいと思います。