令和3年5月25日


閣議後定例記者会見


冒頭発言

 おはようございます。まず、今日ちょっとお知らせが多い日で申し訳ありませんが、先に聞いてください。
 まず1件目は、大会関係者へのワクチン接種についてです。日本政府が調整して、ファイザー社から各国選手団に無償提供されることになったワクチンについて。
 まずこれは、各競技団体のチームドクターなどによって、日本選手団の接種を行うことになりましたが、6月上旬を目途に、ナショナルトレーニングセンターを中心に実施すると聞いております。
 また加えて、各国選手団と一体となって活動する大会関係者について、ファイザー社のワクチンの無償提供の対象とし、接種を行うことを検討するよう、IOCから大会組織委員会に対して、提案がありました。
 ファイザー社からは、先に発表のあった選手用の分と併せて、おおむね2万人分のワクチンが無償提供されることになると伺っております。
 主催国として、安心・安全の大会を実現するため、審判、そのほか各国選手に頻繁に接触するスタッフについても、ファイザー社からのワクチンの提供を受けて、接種を行えるよう、調整を行ってまいります。
 続いて二つ目ですが、先日橋本会長の調整委員会後のご発言について、フォローさせていただきます。
 先日21日のIOC調整委員会の終了後の会見において、組織委員会の橋本会長から、3徹という、3つで徹底するというお話がありますが、一つは、来日人数削減の徹底。二つ目が、行動制限の徹底。三つ目は、医療体制見直しの徹底ということです。
 まず第1の、アスリート以外の大会関係者の来日人数。その削減の徹底については、延期前の計画に比べて、約18万人が7.8万人と、半分以下に絞っているというお話がありましたが、これは今後も引き続き、さらなる削減に努めていただきたいというお願いをしております。  それから第2の、行動管理の徹底については、ホテルで外出先を限定して、一般の国民とは交わらないように動きを分ける。頻繁な検査を行う。ルールに違反した場合には、アクレディテーションの剥奪を行うなどの対策によって、徹底した行動管理を行うとご説明がございました。
 これらの取組が絵に描いた餅にならないように、実効性のある取組を進めてくださいということも、私どもから重ねてお願いをしております。
 それから第3の、医療体制の見直しについてです。組織委員会の方で、必要人数の合理化を進めていただいた結果、現時点では医師は一日あたり最大で230人程度、看護師については一日あたり最大310人程度を想定していて、このうちおおむね全体の8割程度については見通しが立っている状況にあるという説明がありました。
 大会時の医療体制については、引き続き、調整が必要だということも伺っております。特に地域の医療への支障が生じないように、国としても必要な支援、また調整を、組織委員会とともに行っていきたいと思います。
 そして3点目は、中央防災会議で、男女共同参画局に関する点です。本日の閣議後に中央防災会議が開催されました。この中で、防災基本計画が修正されました。その中で、地方公共団体が、地方防災会議の委員に占める女性の割合を高めるように取り組むこと。また市町村が、避難所における性暴力やDVの発生を防止することなどが新たに付け加えられました。小此木大臣としっかり連携して、地方公共団体の取組を促してまいります。
 なお、この中央防災会議においても、新たに女性委員が2名増えました。小此木大臣においても、大変積極的に前向きに捉えて取り組んでいただいております。
 また、女性の視点からの防災の取組、政府としても強化をしてきております。今年度から、新たにこの中央防災会議の幹事や、災害対策本部等の構成メンバーに、男女共同参画局長を加えていただきました。
 また、男女共同参画局にも、災害支援を担当する係を作り、定員を増やしました。加えて、地方公共団体において、女性の視点からの災害対応が行えるように、国として実践的学習プログラムを開発して、今地方公共団体において活用いただけるよう、周知を図っているところです。
 間もなく6月に向けて、女性活躍、男女共同参画の重点方針、これを固めていく議論が進んでいきますけれども、しっかりこの中に具体策を盛り込んで、実行してまいりたいと思います。
 すみません、長くなりました。以上です。

質疑応答

(記者)
 平井デジタル改革担当大臣が、23日のテレビ番組で、選手らが利用するオリパラアプリについて、GPS機能を搭載しないことを明らかにしました。
 政府はコロナ調整会議の中間報告で、位置情報の保存を防疫措置の一つとして明記しておりましたが、なぜ導入を見送ったのでしょうか。
 なお、プレイブックで導入が義務づけられている接触確認アプリでは、デバイス同士の接触しか記録されず、行動の把握は限定的になります。
 その辺踏まえてお答えいただければと思います。よろしくお願いします。
(大臣)
 ありがとうございます。まず、内閣官房IT総合戦略室において開発している、統合型入国者健康情報等管理システムが、東京大会の関係者の日々の健康情報の登録等に使用することが想定されていますが、そのご指摘の位置情報の確認を行うGPS機能については、開発スケジュール等も含めて総合的に検討した結果、仕様に含まれなったと承知をしております。
 このGPS機能を用いた位置情報確認については、個人情報管理に係る課題があることから、IOC、組織委員会と調整することが必要だと考えております。
 なお、現在の水際措置で行われている、Googleなどの位置情報サービスを用いた、位置情報保存。分かりにくいんですが、位置情報確認と位置情報保存は異なりまして、位置情報確認というのは、そのときそのときの位置情報が確認できるというものです。位置情報保存というのは、どのように動かれたかということを保存しておいて、後で確認できるという仕組みです。
 今現在水際措置で、Googleの位置情報サービスをオンにしている人、よく報道されているのは、これは位置情報保存であります。これについては、オリパラの入国者についても同様に適用をいたします。
 これは何に役立つかというと、陽性者が判明した場合に、さかのぼって保存された位置情報で行動を確認できるというものです。
 なお、アプリはこれからまだ議論が必要だということになりますが、東京大会に参加する選手や関係者については、受入責任者による厳格な管理監督のもとで、行動範囲や宿泊先を用務先に限定をし、国内在住者と交わらない環境下に置いて、徹底した行動管理を行うこととしております。
 政府としては、引き続き、この行動管理の徹底が進むように支援を行い、また調整を進めてまいりたいと考えております。
(記者)米国務省が、日本への渡航警戒レベルの最高レベルの4に引き上げて、渡航中止を勧告しました。オリンピックへの影響があるかどうか、お答えいただければと思います。
(大臣)今回のCDC、また米国国務省における措置については、日本における新型コロナウイルスの感染状況等を踏まえて、疾病の予防管理のために決定、周知したものと承知をしております。
 今回の引き上げでは、日本への渡航回避が勧告されてはいるものの、必要な場合の渡航まで禁止されているものではないと承知をしております。いずれにしても、私どもとしては、安全・安心な環境を確保するということを最優先に考えて、国内外の感染状況の把握に努めたいと思います。
 既に皆さんご承知のことだと思いますけれども、CDCの旅行健康情報の引き上げについては、過去28日間の10万人あたりの新規感染者数の累計が100を超える場合はレベル4です。直近の日本の数値は、120と推計されたものです。
 ちなみに、どういう国がレベル4かと言いますと、ヨーロッパにおいてはイギリス以外ほぼレベル4です。という状況で、世界のうちの日本を含む141の国と地域が含まれるということでありますので、疾病管理上のものということです。
 加えて、アメリカのオリンピック委員会においても、米国代表の出場に影響はないと、声明をお出しになられているということでございますので、私どもも影響は特に、何か今のところ見込まれるということはございません。
(記者)
 関係者のワクチン接種についてなんですが、頻繁に接触するスタッフというのは、現時点でどのような方を念頭に置いておられるかと、それから選手のワクチンは各国のNOCを通じて提供される仕組みになっていたと思うんですけど、関係者のワクチン提供は、どういったようなことで提供されるかを教えてほしいです。
(大臣)
 まず後の方の質問からお答えをしたいと思うのですが、選手とどのように交わるか、接触があるかということについては、組織委員会が一番把握をしておられるので、まずどの方が接種を受けることになるかというのは、組織委員会の方で取りまとめをしていただくことになるのではないかと思っています。
 ただ、その方たちを、どこでどのようにということ、まだ全く、これから調整する状況でありますので、そのことについては、まず誰に提供するかということも含めて、我々としては、IOC、組織委員会でまず調整をしていただいて、その後どこで、いつ、という話になると、スポーツ庁、厚労省が加わってくるということになろうかと思います。
 業務の開始時期をある程度踏まえないといけないと思いますので、そこはその調整に含めていただきたいと思っています。
(記者)
 緊急事態宣言の絡みで質問なんですけども、政府はこれまで、緊急事態宣言の解除や延長の判断に、五輪は全く関係ないとおっしゃってきていますが、コロナ禍でのオリンピック開催に国民が不安を抱く中、安全で安心な大会のためには、感染者を最大限抑え込むべきだとして、緊急事態宣言を延長すべきという声がありますが、こうした考えについては、どのようにお考えでしょうか。
(大臣)
 私の立場からは、最終的には政府全体でお取りまとめいただくことでありますけれども、安全・安心な環境を作るという方向で、議論が進むことを期待しております。
(記者)
 東京大会のパブリック・ビューイングの会場となる代々木公園で、会場設営のために木の伐採をするように進められるそうなんですけれども、それに反対する署名活動が現在行われています。この件に関する受止と、またコロナ禍において、人が集まってしまうような状況を作るパブリック・ビューイングの設営について、大臣の受止をお願いいたします。
(大臣)
 大変恐縮なんですが、私もそれは報道で見ただけで、どの辺りにどういうふうに作るのかとか、入場制限はどのようになさるのかということは全くまだ把握しておりませんので、また確認をしっかりしたいと思います。
(記者)
 関係者へのワクチン接種なんですけれども、今全国的にやっぱり打ち手の不足が問題視されてると思うんですけれど、現時点で、その辺りはどんなふうに解決していくというか、どういうふうにしてらっしゃいますか。
(大臣)
 少なくとも、選手の皆さんに関しては、スポーツドクターなり、チームドクターなり、スポーツの関連で、普段は選手周りにいらっしゃる方たちとか、そういうのでご相談をしていると伺っています。恐らく、今後の関係機関と調整する中で、チームドクター等の協力をいただいて、今の医療体制に影響を与えない形で接種を進めていくということになるのではないかと見通しています。
(記者)
 スケジュール的には、もう6月ぐらいから受けたら、多分間に合わないと思うんですけれども、一方でまだ高齢者の方などの接種が進んでいて、実質的にはボランティアの方等への優先接種ということになるんでしょうか。
(大臣)
 ボランティアの中でもいろいろいらっしゃるんですね。我々、基本的には選手に直接、今回の水際措置、オリンピックの水際措置で、海外から入ってこられる方と近いところで、ある程度の時間一緒に過ごすということが想定されている方に限るので、例えボランティアの方でも、そうした方の、例えば誘導とか通訳とか、そういうことにあたる方だけを想定しています。
 ですので、先ほどどなたが接種するかということをまずリストアップすることが必要だと申し上げたのは、かなり、逆に言うと、一定程度絞られるということになります。
(記者)
 正直な話、大臣、反対の人たち、ものすごい私の心の中に苦しいですね、なぜこういうこと起きたんですね。私から、4年前、日本決まってから今までにずっと100%オリンピック応援しますので、一生懸命、前向きな記事書きます。
 それでうちのニュースは一日少なくても、アクセスの方が4,000万人なんですが、一日。少ないんですけれども、人口比べたら6分の1ですね。その以外のほかのメディアが、ほとんどあげたら、英語で発信したニュース、翻訳して英語、インドネシア語のニュースになります。
 ほぼ英語のニュースが微妙ですね。翻訳したらもっと微妙になります。インドネシア語のニュースですね。オリンピック大丈夫でしょうか、リチャード、やめるでしょうか、そういうニュースがものすごく広がりますね。インドネシアの中で。
 大臣、日本のオリンピックは安全・安心であるということは、日本国外の人たち含めて、外国からの人とか、アスリートの人たちとかの危機管理のモチベーション、十分に伝えたでしょうか。そういう十分な宣伝が足りるでしょうか。よろしくお願いいたします。
(大臣)
 ありがとうございます。正確な情報発信、そしてそれが届く形で伝えるということはとても大切だと思っています。おっしゃるように、いろんなご意見もおありになると思いますし、そうした中で、必ずしも十分情報が伝わっていないと感じることもたくさんあります。私たちとしては、もっともっとたくさん、安全・安心を担保する情報をお伝えしていきたいと思いますが、何しろステークホルダーが、私ども以外にも複数いるわけでございまして、特にIOCと組織委員会と東京都、それぞれに立場がある中で、きちんと調整が整ったものでなければお伝えできないという、私どもの苦しさもございます。
 ただ、できる限りのことはしたいと思いまして、私からも様々な働きかけを行っているところでありまして、一歩一歩ではありますけれども、皆さま方に、少なくともここまでは大丈夫だなというような確信を持ってもらえる情報というのを、一つ一つ、日本国民の皆さまはもちろんですけれども、この大会の行く末について注目をしていただいている世界のスポーツを愛する皆さま方に、またコロナの対応ということで言うと、これはもう世界中のあらゆる人たちが注目をしているわけでありますので、安心していただける材料を情報として、より一層お届けしていきたいと考えています。
(記者)
 行動管理についてなんですが、大会関係者の行動管理について、現在想定される人数や、対策など、決まっていれば教えてください。
 また、民間委託などの可能性があれば。
(大臣)
 今まさに精査をしていただいているところですので、大変恐縮ですが、今申し上げたばかりですので、きちんと調整が整って、おおよそ見えたところでまたお伝えをしたいと思います。
(記者)
 IOCのバッハ会長が、関係者に向けて、我々は犠牲を払わなければならないという発言をされました。IOCの広報が、日本国民に向けてではないと釈明をされましたが、やっぱり五輪ありきではないかという批判も高まる中で、大臣はこの発言をどのように受け止められましたか。
(大臣)
 IOCバッハ会長の発言の原文というのを頂戴しました。その冒頭というのは、Everyone in the Olympic Community has to make sacrificesとなっていて、オリンピックコミュニティの中にいる人たちは犠牲を払わなければならないと明確におっしゃっています。
 このオリンピックコミュニティというのは、IOC、IF、NOCです。ですので、日本の国民に対して発言されたものでないということは明確です。
 ただ一方、メディアからメディアに伝わっていく間に、こうしたことが抜け落ちてしまうということもままございますので、バッハ会長の発言は、私もしっかり原文でこれからも手に入れたいなと思いますし、IOCにおかれては、私どももそうですが、日本国民の思いをしっかり受け止めながら、取り組んでいただきたいと思っております。
(記者)
 IOCのコーツ副会長が調整委員会後の会見で、緊急事態宣言下でも五輪は可能だという発言をしているんですが、これ政府としても同じ見解ということでいいんでしょうか。
(大臣)
 まず、多くの国民の皆さまがこの発言を聞いて、反発を覚えたのは、自然なことではないかと思います。やはり、日本国のことは日本国民が決めるということを多くの国民の皆さま、当然思っていらっしゃると思いますので、そのことについては、その感情については私もむべなるかなという思いです。
 一方で、なぜこの発言をしたのかと言えば恐らく、緊急事態宣言下でもテストイベントでかなりの国の数の選手が参加して、無事にできたという思いがあったのではないかと、その背景を推察いたします。
 私たちとしては、まず新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止が第一です。この感染拡大防止に全力を尽くして、国民の皆さまが安心して東京大会を迎えられると思っていただけるようにすること。そのことが重要だと思っています。
(記者)
 先ほど、緊急事態宣言の延長と、オリンピック開催の安全性の関連についての質問に対して、大臣の回答をちょっと確認したいんですけど、「私の立場からは安全・安心という方向で議論が進むことを期待している」とおっしゃいましたが、この安全・安心というのは、五輪の安全・安心という観点ですか。
(大臣)
 日本国民の安全・安心です。
(記者)
 日本国民ですか。分かりました。ありがとうございます。
(記者)
 先ほどコーツ副会長に関連してですけれども、大臣の方から、例えばコーツさんとか、IOCの方に、日本政府として懸念みたいなものをお伝えする考えはありますか。
(大臣)
 前回の五者協議でも私、今あの当時はまだ東京は比較的変異株の割合は少ない状況でした。他方大阪の方は変異株がどんと増えてきて、あの時点で確保してる病床を、重症患者が上回っているという状況にありましたので、その状況もお伝えをさせていただきましたし、医療の体制の確保に、国民は大変大きな関心と懸念を持っているということは、3回にわたって申し上げました。
 ですので、例えばドクター派遣しましょうという話も今回出てきたのかなということも話しておりますし、また調整委員会の方でも改めて医療体制の確保について、調整を行うということを宣言してくださったんだと思います。
 引き続き、私はこれからどういう会議が開かれるか分かりませんけれども、機会を捉えて、日本国民の懸念や関心というものについては、しっかりとお伝えをしていきたいと思っています。
 
                
 以上