令和3年5月14日


閣議後定例記者会見


質疑応答

(記者)
 もともとオリンピック好きが多かったこの日本において、ここまで開催について反対論が多かったり、選手へ批判の矛先が向かってしまっているのは、政府や組織委員会、東京都の、開催が可能と考える具体的な科学的根拠とか、数字を示してないからじゃないでしょうか。
 総理の会見を聞いても、通り一辺倒の発言を繰り返すだけで、とても国民の疑問に答えているとは思えません。
 大臣は、政府がオリンピック開催するための説明責任を十分に果たしているとお考えでしょうか。よろしくお願いします。
(大臣)
 まず、先日の質問、大きな記事で取り上げていただいてありがとうございました。私にとっても、オリンピックの根本に立ち返る大会になるんじゃないかなということを思っております。
 特にこのコロナに伴う延長で、大会経費の削減ということが大きなテーマになりました。今までオリンピックはどんどんビジネスとともに肥大化しているということの中で、今回の大会では、恐らく過去になかった水準で、オリンピックファミリーを含む関係者の皆さま方の接遇というものを大幅にカットし、まさにそもそも競技をし、同じフィールドの上で選手の皆さんが最高のパフォーマンスをお互いに見せるという、そういう根本の部分に削り込んでいくという作業をずっとしてきております。
 そういう意味で言うと、オリンピズムの原点に返っていく大会というものを、私たち東京でまず始めていくということの中から、新しいオリンピックの姿というものがつくられていくのかなという思いでいます。
 そして、ご質問いただいた件ですが、私は私のできる立場からできる限り数字をお示しして、国民の皆さまに何をやろうとしているのか、対策は特にどこに重点を置こうとしているのかという説明をしているつもりです。
 ただ、ご承知のように、私どもは全ての数字を持っているわけではなく、組織委員会がお持ちになっている数字もあれば、民民の契約で出していただけない部分もあるわけです。
 それから東京都にももちろん投げかけしておりますが、東京都も緊急事態宣言でちょっと待ってくれという部分もありまして。
 なかなかそれぞれのご事情もおありになるという中で、これみんなでやっていることでありますので、相手が言ってくれるなという数字を我々が勝手に公表することもできません。足並みが乱れたという世論のご指摘を受けるところもありますので、ここはしっかり相手も準備が整って、皆さんに公表できるという状況になったところで、数字を公表させていただいたり、施策、対策、こういうことをやりますということを言わせていただいております。
 これからも、できる限り私たちの立場から、安全・安心を確信していただけるような対策について、なるべく早く国民の皆さま方にお伝えできるようにしていきたいと思っておりますので、また叱咤激励をいただければありがたいと存じます。
(記者)
 今の冒頭の最初の質問で、オリンピックの原点に返るということをおっしゃいましたけれども、ちょうど今日で大会開催予定日まで70日という切羽詰まった事態となっておりますけれども、大臣は先日の記者会見で、分断された人々の間に絆を取り戻すという、大会開催の意義をおっしゃっていました。この発言については、開催の賛否が国民の間で大きく分かれている中で、絆という言葉はどうなんだと。むしろ使い方としてふさわしくないんじゃないかというような声がたくさん届いています。
 例えば、JOCの理事の山口香さんは、このまま開催をすれば、負の遺産として歴史に残ってしまうんじゃないかと。それからアスリートにワクチンを優先するというのは、倫理上の問題まであるんじゃないかというようなことまでおっしゃっている。
 今の時点で、大臣の開催の意義についてのご見解をお聞きしたい。
(大臣)
 ワクチンの話は、正直、体制を整えるのはなかなか容易ではないので、国民の皆さまもそうですけれども、アスリートの皆さんも、そんなに簡単に体制が整わないと思いますので、実質優先するというほど早く打てるのかどうかというのは、まだちょっと私たちには何とも申し上げられない状況であります。
 ただ、スポーツを愛するドクターの皆さま方が、非常に熱心にご支援をしてくださっていることは事実でございますので、そういう話の中で、接種場所もどうなるかちょっとよく分かりませんけれども、世界のアスリートが全て打ってくるということは、これでなろうかと思います。特にファイザーが全てのアスリートに供給しますと言って、自分たちでその国まで持っていきますということまで言ってくださっているので、そうした中で日本の選手だけ打たないということになると、逆にコンタクト系のスポーツにおいては、相手の国から安心安全とは思っていただけないという部分も生じてくるのではないかなと思っております。
 そして、いろいろなご意見があることは承知をしておりますが、私は今回の大会、先ほど冒頭申し上げましたように、むしろコロナで、いろいろとビジネス目線でオリンピックのことを見ておられた方々の批判にむしろ答えるような形で、そういう部分がどんどん削ぎ落とされていっている大会ではないかなと思っております。
 最終的に、どのような形で開催できるかということはよくまだ分かりませんけれども、オリンピックを進めていくということがもしできるのだとしたら、それはやっぱり特別な努力をした人たちの輝きというのが、私たちに勇気を与えてくれるということと同時に、私たちが勇気を持って一歩を進み、また社会の活動を進めていくということの具体的な後押しになればという思いであります。
(記者)
 絆という言葉はどんな。ふさわしかったですか。
(大臣)
 その点について私は何か特別な考えはございません。
(記者)
 すみません、これ関連してなんですが、絆という言葉にふさわしくないような実状を私ども把握してるので言っているんですけれども、オリンピックのボランティアの方の辞退というのが相次いでいます。
 それを補うような形で、一方で、有償でオリンピックということを明示しないで、アルバイトを募集しているというような実態というのが私たちは把握しているんですけど。こういうような在り方というのは、今、大臣が先日おっしゃったような、絆というような、美しい言葉で表現されたようなこととは相反するんじゃないかと。こういうようなことで、オリンピックが実現できるんでしょうか。
(大臣)
 オリンピックの中には当然有償で働いていただく方もいらっしゃいます。ボランティアでおいでになっていただくところもあります。それは、私の承知している限りでは、どのような責任を持ってその職務を果たしていただくかということによって、異なろうかと思います。
 ボランティアの皆さま方のテストイベントでもおいでくださってましたけれども、私たちもボランティアの皆さま方の、選手に接する、例えばこの前のバレーボールの試合、TBSじゃなかったでしたっけ。放送されてたと思うんですが。あれは、あと世界陸上もTBSですよね。放送されてたと思いますけれども、ああいうところにおいでになるボランティアの皆さま方の、選手のバブルの中に入られますので、こうした皆さま方には毎日検査をしていただく準備をしております。
 ちなみに、ワクチンは強制ではありません。これは打ちたい方が打つということでありまして、これはアスリートでも選手、国民の方でも一緒。これは是非徹底をしていただければありがたいなと思います。ですので、打ってこられない方でも安全に競技をしていただける環境というのは最後まで貫いて環境をつくって参ります。
(記者)
 委員会答弁もあったんですが、東京大会の事前合宿ですが、交流事情について、取りやめた自治体の数、それから理由などについて、今日現在の報告受けておられればお願いします。
(大臣)
 ありがとうございます。整理をいたしました。今朝までの報道も含めて、45の自治体で中止になったということを承知しております。
 1,000を超える事前キャンプのお願いというか、できればやりたいというようなことを把握しております中で、非常に厳しい状況で断念せざるを得なかったというところもあるので残念ですが。どういう理由かと言いますと、45のうち32の自治体が、相手国が事前合宿を行いませんというケースと伺っております。
 相手国が合宿を1カ所に集約した、例えばアメリカとかブラジルはそういうケースもあるんですが、選手団が大きいので、いろんなところで競技をなさる中で、合宿をなさる中で1カ所に集約しますということを連絡してこられたというのが、3自治体あります。
 また、練習施設が、日程の変更があったり、あるいは別のことに使いたい、大学の合宿で使うとか授業で使うとかいうので使えないとか、そういうことで、練習施設が確保できなくなったというケースが3自治体、このようになっておりまして。できる限り、特にホストタウンに登録してらっしゃる皆さま方は、合宿はできないかもしれないけれども、その後の交流、事後の交流であったり、オンラインでの交流ということをやっていきたいというふうにおっしゃっております。
(記者)
 昨日の参議院の内閣委員会で、東京大会で監視員を置くと説明されていましたが、改めてこのことについてのお考えを教えていただけますか。
(大臣)
 監視員というのは多分、こういうふうに括弧がついていたので、お聞きになった方がそんなふうに表現されたのだと思いますけれども。実際には、もしルールを守っていただけない方がいる場合には、ルールを守ってくださいねということを申し上げて、行動を変えていただくという、そういうことをやってくださる方ということになろうと思います。
 これは、選手の皆さんに関しては、自分が競技に出るためにおいでになっている、非常に自己管理を徹底しておられるということで、そんなに心配はないだろうということは、多くのスポーツの関係者にお話をくださっています。
 一方、競技に出ないけれども大会においでになる関係者の皆さま方、ここは相当、申し訳ありませんが、行動の制限については厳しく見させていただくことになるのではないかと思います。
 組織委員会の職員の方、今、数千人、マックスで8,000人ということを伺っておりますので、そうした組織委員会の職員の皆さま方にしっかりと、そうした行動管理の実効性を担保するということについて、ご尽力を賜りたいと思っております。
 
                
 以上