令和2年6月2日
閣議後定例記者会見
質疑応答
(記者)
緊急事態宣言の全面解除から1週間が経過しました。プロスポーツの日程が決まったり、練習を再開させるアスリートもふえてきました。一方で、まだ第2波への警戒もありますが、現状のプロスポーツ界について、大臣の御所感をお願いいたします。
(大臣)
Jリーグでは、J1が7月4日再開されることが発表されるなどしまして、さまざまなスポーツイベントの再開に向けた動きが見られ、ナショナルトレーニングセンターでも陸上競技、あるいは水泳、体操など、トップアスリートの方も含めて練習再開の動きが進んできておりまして、選手もほっとしているのではないかなと思います。
ただ、多くの方がまだまだコロナウイルス感染症に苦しんでおられるわけでありますので、安心安全で、しっかりとした感染拡大の予防をしていくということは大前提ですけれども、こういったスポーツが再開をされていくことによって、多くの人の心の励みというものになっていくことを期待したいと思います。スポーツの持っているその力というものを、こういうときだからこそ、大きな希望に向かっていけるような、あるいは心の部分で子どもたちには特に夢を持ってもらえるような力になることを期待したいと思います。
また、もう一つ、アスリートの皆さんは本当に大変な苦しい経験をされたのだと思います。感染防止対策というのは引き続き取り組んでいかなければいけないことでありますけれども、今までなかなか環境が整わなくて、自宅でのトレーニングですとか、非常に練習不足になってしまっている部分も、あるいはメンタルの面においても苦しんでおられる選手もいるかと思います。トレーニングセンターが使えることになったり、あるいは合宿が再開されるようになって、一気に高めていきたいという気持ちになる選手も多いかと思うんですけれども、ここは、けがにつながってはいけないので、じっくりと焦らずトレーニングを再開してもらえたらと思います。
引き続き総合対応推進チームの枠組みを利用して、私も、しっかりと選手に寄り添う形の中でサポートができればと思っておりますので、いろんな対策を考えていきたいと思っております。
(記者)
先ほどの関連でもあるんですが、オリンピックというものを考えた上で、海外との行き来ができないというのはなかなか厳しいと思うんですが、スポーツができる状況に加えて海外の移動のハードルみたいなものは、大臣はどのようにお考えですか。
(大臣)
世界的にも、少しずつ国際大会等も再開をするという準備が進められてきております。それに伴って、今後選手の感染症予防対策というものを講じながら、どのように世界に参戦をしていくことができるか。あるいは国外の合宿を検討しているという競技団体もあると伺っておりますので、まずは感染予防というものがしっかりなされていく中で、どのように国外へ選手を派遣なりすることができるかということは、今も、今後の準備としてそれぞれ相談をしている段階だとは聞いておりますので、しっかりと対応をしていくようにしたいと思います。
(記者)
新型コロナウイルスの影響によって経済に重大なダメージを受けていると聞いているのですが、東京五輪に経済的ダメージが及ぼす影響というのはどう考えていますか。
(大臣)
今後、東京大会が1年延期になって、今、例えばどれだけの追加予算が必要になってくるかということが試算をされている状況なんですけれども、一方で、非常にそういった経済状況の中で東京大会を開催するのは困難ではないかという意見があることも承知をしております。そこは、東京大会を開催することによっての、逆にプラスになる部分というものもあるんだと思います。そういったことが、ひとつ少しでも国内外においての経済的な部分での力添えになっていく大会にしなければいけないと思っておりますので、今回の1年延期をしたことにおいて、今後のオリンピック・パラリンピックというもののあり方を考えていく上において、ある意味でのチャンスと捉えていくことも必要だと私は考えております。
(記者)
追加で、今後のオリパラのあり方というのは、今の商業第一主義みたいなところをもう少し改善していく必要があるという意味合いですか。
(大臣)
そういったことも含めるのかもしれませんけれども、例えば、今までIOCが示してきたのは、過去も少しずつ変わってきてはいるんですけれども、既存の施設を十分活用していくべきだとか、レガシーというものをしっかりと示していくというふうに変わってきているのと同時に、やはりそれほど華美というか、大きな世界の最大の祭典ということではない方向に、1年延期になったことによってIOCが示してきているような状況でもあります。本来のスポーツのあるべき姿というもの、世界最高峰の大会にふさわしいオリンピック・パラリンピックがどういうものなのかということの、ある意味での原点に戻っていく、大きなそういった意味での期待というのも持てるのではないかなと考えているということです。これは私自身の考えですけど。
(記者)
関連で、ある意味での原点に戻っていく期待が持てるのではというご発言がありましたが、大臣が考えていらっしゃる原点というのはどういうものか、教えてください。
(大臣)
それぞれの考え方もあると思うんです。私自身もオリンピックアスリートとしての経験があるものですから、どうしても、まさに古代オリンピックの精神、平和というものをどのように世界が考えていくべきなのかという、そういうことを一つの原点とするというのが私自身の考えの基礎にあります。ですから、本来のスポーツというものの持つ力、そして、世界の選手が競い合って、そこで友好、友情を深めて、国と国との境というものを超えた中での平和というもののためにオリンピックは存在したという歴史があるものですから、そういったことをひとつやはり考えていくべきではないかと。今回のコロナの感染症というものも含めて、やはり人類がそういった感染症に打ち勝った証としてというふうに位置づけられる東京大会とすれば、そういう原点というものを今一度考えていくというのも、非常に大きな一つの教育にもつながっていくのではないかなというのが考えの中であるものですから、そういう表現をさせていただいたということです。
以上
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