平成31年4月11日


就任記者会見


1.冒頭発言
 皆さん、こんばんは。
 この度、突然の話だったわけでありますが、桜田前大臣の後を引き継ぎまして、東京オリンピック・パラリンピック担当大臣に就任を致しました鈴木俊一でございます。再登板といえども、6か月間、ブランクがございます。その間、いろいろと事態が前に進んだり、様々、変化があったと思います。この間起こったことも、しっかりとまた勉強しながら、再登板といえども、新任のつもりを持って、丁寧に仕事をしていきたいなと、こういうふうに思っております。率直に言いまして、桜田大臣の辞任の後ということでございますので、一昨年、初めて就任したときの気持ちとは大分違います。あのときは、半分ぐらいはうれしい気持ちがあったわけでありますけれども、今はしっかりと後を引き継いで、責任を持って、2020年につなげていかなければならないという、そういう重い気持ちの方が大きいわけでございまして、しっかりと成功に向けて、仕事をしてまいりたいと、こういうふうに思っております。
 冒頭、私の方からは以上でございます。
 

2.質疑応答
(記 者)
 大臣、今回は再登板ということですけれども、まず改めてなんですけれども、桜田大臣の今回の発言についての受け止めと、それから、今後、どういう思いを持って、特に、復興五輪ということも言われていますけれども、被災3県に向き合って行くのか、この2点と、あと、併せて、現時点で大臣、大会に向けた一番の課題はどこにあると考えていらっしゃるのか、この3点についてお尋ねいたします。
(大 臣)
 桜田大臣の昨晩の発言でありますけれども、やはり大変不適切な発言だったと思います。それは、特にもう安倍政権におきましては、東北の復興なくして日本の再生なしと。それから、全ての閣僚が復興大臣のつもりで頑張れと。さらに、オリンピック担当大臣でありますから、2020年の大会が復興オリンピック・パラリンピックであるということを考えますと、あまりに被災者の方、被災地のことに配慮が欠けた発言だったと、そういうふうに思っております。もともと被災地では、東京オリンピックの招致が決まったときに、必ずしも歓迎一色ではありませんでした。それは、震災復興真っただ中にあって、人手や資材というものがただでさえ足りないという中で、東京でこれからいろいろなオリンピック関連施設が作られて、そちらにそういったものが集中してしまうと、むしろオリンピック・パラリンピックが復興の足かせになるんじゃないかと。所詮、被災者は被災地で一生懸命頑張ってるけれども、オリンピックは東京でのお祭りだというような、非常にこう、距離感があったと思います。しかし、そこをいろいろな関係皆さんの努力によって、少しずつ、オリンピックはやっぱり東京だけじゃない、オールジャパンでやるんだと。被災地も含めてオールジャパンでやるんだという、そういう空気ができてきた中での発言でありましたから、距離が開いてしまえば、復興オリンピックも何もないわけでありますので、いま一度、私も被災地出身でありますので、被災地とこの東京オリンピックの距離を縮めて、真の復興オリンピックとなるように仕事をしていきたいと、そういうふうに思っております。今、何が一番大事かということは、いろいろ課題はあるんですが、課題よりも、取組として重要なのは、いろいろ課題はあるんですが、課題よりも取組として重要なのは、いよいよこの6月辺りからテストイベントが多くの種目で始まってまいります。今までは計画段階でありましたから、計画段階というのは机の上でいろいろ考えて、これちょっとまずいなと思えば、もう一回やり直しをするとか、行ったり来たりできたわけなんですけれども、これからはいよいよ本番に向けてテストイベントをやって、そこでいろいろな課題がまた浮き彫りになると思います。輸送の問題とか暑さ対策の問題とか、様々ほかにもあるわけでありますけれども、そういう浮き彫りになった課題というものの対応というものをしっかりと洗い出して対応策を作って、2020年本番に向けていくということで、ここをあんまり行ったり来たりできない、こういうところでありますので、そういう意味で、今はとても重要な局面になっていると。ここをしっかりやるということが成功に向けての一つの課題だろうと、そういうふうに思っています。
(記 者)
 安倍政権では、先週には塚田一郎国交副大臣のそんたく発言があったばっかりでして、それに続く桜田前大臣の発言となりましたが、今の安倍政権において、こうした問題発言が連続しているこの現状の理由について、大臣としてどうお感じでしょうか。
(大 臣)
 基本は一人一人の政治家の心構えということだと思うんです。やっぱり政治家として常に国民の皆さんと会話をしているんだと、そういう思いがあれば、そういう身内の集まりだからということもあったのかもしれませんけれども、余り間違った発言というのはないんだと思います。ですから、基本的には政治家一人一人の心構えが足りていないということなんだと、こういうふうに思いますが。ただ、やはり今比較的自民党が安定していると言われる中にあって、そういう心構えが緩んでしまったということも原因の一つなのかもしれません。今回こういうことが立て続けに起こりましたので、多くの政治家、私自身も含めてですけれども、十分に注意をして、自分の発言が一体どういう影響を及ぼしかねない発言になってしまうのか。そうならないように、自らを戒めていかなければいけないのかと思います。
(記 者)
 質問2点ございます。まず1点目は、東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会の森会長が鈴木新大臣に期待することにつきまして、こう述べております。大臣は、アスリートや五輪関係者の気持ちを鼓舞する姿勢で努めてもらいたいというのが私の率直な気持ちと、こう言っておりますが、森会長の期待にどう応えられるか、まず1点。
(大 臣)
 前からやはりいろいろな事業を進めるに当たってアスリートファーストということは常々言われてきたことであると思います。我々としては、参加される選手が自らの最高のパフォーマンスを発揮できる、そういう環境を作っていくと。そして、試合、その日、そのものでなくても、日本にいて試合に備えるときから十分な力を発揮できるような環境を与えていきたいと。それが一つは選手やアスリートを鼓舞することになるんじゃないかと思います。
(記 者)
 2問目です。ちょっと質問というより確認なんですけれども、前大臣はサイバーセキュリティ担当も兼務されておりましたが、鈴木新大臣も兼務されるということになるんでしょうか。
(大 臣)
 はい、そのとおりです。
(記 者)
 桜田前大臣は、昨夜の発言だけでなく、石巻市のことを「いしまきし」と読み間違えたり、これまで被災地に関して、被災地に関する失言というのは初めてではなかったですけれども、この一連の失言、鈴木大臣はどのように受け止められているでしょうか。
(大 臣)
 先程のお答えに近いかもしれませんけれども、やはり全ての閣僚が復興大臣として、そういうつもりで頑張るといえば、やはり復興、被災地のことについて、やはりある程度深く現状とか、あるいは地名はもとよりでありますけれども、認識をしていただかなければ、復興大臣として信用できないわけであります。もとより、復興大臣ではないんですが、復興大臣のつもりで頑張るとこういうことですから、そういう意味で、東日本大震災そのものに対する認識が薄くていらっしゃったのかなと、そんなふうに思います。
(記 者)
 櫻田大臣の辞任が、安倍政権に与える影響をどのように見ていらっしゃるのかということと、あと閣僚のお一人になられたわけですけれども、それに対してどのように取り組んでいく、影響をどのように最小限に抑えていくという考えがあれば教えてください。
(大 臣)
 塚田副大臣、それから櫻田大臣と続いた辞任に至る発言が続くわけでありまして、これは非常に遺憾であります。今も補欠選挙、衆議院の大阪と沖縄で行われているわけでありますから、これに対してやはり影響は大変大きいんだと、そういう感じに思っております。どうやってこれから信頼を戻していくのかというのは、これもなかなか簡単ではないわけでありますが、目の前の与えられた仕事を一つ一つ誠実にやっていくということだと思います。やっぱりそこには、何か自分たちの見えないところで何かの力が働いて、そういうようなことで席が決まっていくとか、どこか予算が付けられるとか、そんなようなこれは見えないことですけれども、しかし、そういうようなあり得ないことがあたかもあるような印象を与えてしまうということは、これは大変遺憾なことであるわけですが、そういうことも突き詰めをしながら、一つ一つ仕事はしっかりやっていくということを、積み重ねていくということしかないんではないかと、こう思います。
(記 者)
 今日は11日、月命日でもあります。復興をめぐる失言での櫻田大臣の辞任で、復興五輪の復興というのは一体誰のためのものなのだろうかと思っている被災者、また御遺族に対しては、どのような説明をなさいますでしょうか。先程、真の復興五輪にというふうにもおっしゃっておられましたけれども、改めて被災地の方に向けたお言葉があればお聞かせください。
(大 臣)
 いろいろ被災地の方に対して、オリンピック・パラリンピックというスポーツ、オリンピックもすばらしいですけれども、パラリンピックもまた障害を負った方が最高のパフォーマンスを発揮されるという、そういうところのスポーツが持っている魅力とか、そこから得られる感動を、そういうものは必ず被災者の皆様の心を励ます、鼓舞することになるんだろう、そういうふうに思います。しかし、初めからオリンピック・パラリンピックも関係ないわということで、もう注目しなければ、せっかくのそういう感動も味わっていただくことができないわけですから、そういう感動を味わっていただけるように、私としては被災地とオリンピックの距離を縮めていきたいと。その具体的に何があるかといえば、一つはやはりホストタウンだと思います。私が2年前の8月に就任したときには、沿岸の被災地では、復興さなかで、全国の自治体から人を派遣してもらっているような状況の中で、ホストタウンどころじゃない、そういう形でした。しかし、復興ありがとうホストタウン、何て言ったらいいんでしょうか、事後交流を目的にしたり、これは普通のホストタウンもそうなんですけれども、事前キャンプを必ずしも必須としないで、そういうことをちゃんと周知、広報する中で、この1年数か月のうちに沿岸市町村でもホストタウンになってもらうことが増えてきました。そういうことで、関係国の方が現地を訪れて、いろいろな文化的な交流をしていくということになれば、オリンピックに興味を向けて、目を開いてくれるかなと思います。それから、これはもう全国そうですけれども、珠に復興オリンピックということでいえば、被災県の食材、それから木材、そういうものを積極的に活用する。やはり自分の地域で作ったものが選手村なんかで食べられる、あるいはオリンピック・パラリンピックを機に、日本を訪れてきた外国の人に食べられるというのは、これはやっぱり生産者にしてみれば一つの喜びなんですね。そういうことで、被災地とそのオリンピック・パラリンピックの距離を縮めたいと思います。このほかにも、聖火リレー、あるいは復興の火、また、1964年の旧国立競技場で使われた炬火台、こういったものを被災三県で展示をするということも行いますので、こういうことを通じてオリンピックに、パラリンピックに関心を寄せていただく。そして、本番のときには、すばらしいスポーツの感動、そういうものをしっかり受け止めていただいて、被災者の方の励みにして、結果としてそれが間接的にかもしれませんけれども、復興の後押しになるということにできればいいなと思っています。
(記 者)
 繰り返しになるかもしれないんですけれども、今回の桜田前大臣の発言を受けて、被災地の首長さんでありますとか、被災者の方からの批判が上がっております。改めて、その被災地の方々との信頼回復というのを今後どう進められていくかというお考えを伺えますか。
(大 臣)
 これは大変遺憾な、不適切な発言であったことでありまして、これはもう申し開きはできないと思っております。しかし、まだ、距離が開いたとすれば、全然まだ距離を縮めるチャンスはまだあるんだと思います。500日という、切ったわけですけれども、しかし、時間的にはまだあるんだと思います。先程申し上げたようなホストタウンなり、被災地の食材を使ったり、聖火リレーなり、そういうものをしっかりと計画どおり進める中で、あの発言を挽回をしていかなければならない。それができて、初めて2020年になったら復興オリンピック・パラリンピックとなるんだと思います。
(記 者)
 大臣、冒頭で前回とは違う、重い気持ちの方が大きいという御発言がありました。まだ先程登庁されたばかりですけれども、内閣官房の幹部の方だったり、職員の方に対しては、何か訓辞というか、お声掛けみたいなのは、何か、どのようなお声掛けをされましたでしょうか。
(大 臣)
 今までも、内閣官房の皆さんは限られた人数で、かなり幅広い分野の仕事をして、頑張っているなと率直に思っています。そういう苦労も、私も知っているつもりですから、これからいろいろ、先程申し上げましたが、テストイベントが始まっていくという重要な時期ですので、みんな心を一つにして、団結して、大会成功に向かって頑張ろうということを先程、幹部の皆さん方の席で、私の方から皆さんに発言をそういう話をしました。
(記 者)
 今後、被災地の方へ大臣自ら入って、今回のことに関して説明されるような機会というのは、視察には行かれるのでしょうか。
(大 臣)
 今のところ、オリンピック・パラリンピック大臣として伺うという予定は具体的にはありませんが、先程、被災三県の知事さんに電話を致しました。そして、それぞれの知事さんに、今回こういう被災者の皆さんの心を傷付けるような不適切な発言があったということをおわびを申し上げ、その後、私がやることになったので、一生懸命やってまいりますので、是非協力してほしいという、そういう電話を致しました。そのときも、いずれ機会を見て、直接伺ってお話ししたいというふうに言っておりましたので、まだ具体的な訪問日程等は決まっておりませんけれども、実現をしていきたいと、こういうふうに思っています。
(記 者)
 オリンピックと教育について伺いたいと思います。今、高校生とか大学生が、オリンピックにボランティアという形で参加したいという声もありますが、一方で学業への影響というのも懸念されていると思います。また、学校現場では、オリンピック・パラリンピック競技をいろいろな形でやられていると思うんですけれども、これは一過性で、オリンピック・パラリンピックが終わった瞬間に全て終わってしまうというのは非常にもったいない話だと思うんですが、これについて、大臣のお考えを教えていただけますでしょうか。
(大 臣)
 教育の問題に限らず、2020年というのは大きな目標としてやっています。そこで全てがもう終わりというのではなしに、その先に様々なレガシーを残していくとか、文化的なものをこの国に根づかせていくとか、そういうことが重要になってくると思います。今、お話しいただいたボランティアというのは、ボランティアの募集要項をしたときは、何かブラックじゃないかとか、そんなような反応もあったんですが、しかし、いろいろな過去大会でボランティアに参加した人のお話を聞くと、それは100人が100人、全てじゃありませんけれども、ボランティア活動をしたことで、自分の人生が変わるぐらい、大変いい有意義な経験をしたという方が少なからずおられます。正に学業との兼ね合いということはもちろんこれはあるんだと思うんですが、私としては、特に若い方に積極的にボランティアに参加していただいて、そして、2020年を終えても、そういったボランティア精神というのが一つの文化として、この国に根づいていく。そして、ボランティアに参加された方も、いろいろ国際的に交流をするわけですから、オリンピック・パラリンピックのボランティアでなければ味わえない、そういう得難い経験をしていただいて、今後の人間としての成長につなげていただければすばらしいんじゃないかなと思います。
(記 者)
 突然の交代となりましたけれども、昨日の発言以降、桜田さん御本人から謝罪ですとか、御説明ですとか、何か引継ぎみたいなものはあったんでしょうか。
(大 臣)
 まだありません。引継ぎについては、今、調整中でございます。
(記 者)
 先程の件で、被災3県の知事に電話した際には、3県のお三方からそれぞれどのようなリアクションというか、御回答があったんでしょうか。
(大 臣)
 むしろ励ましのお言葉をいただきました。前の1年2か月のときも、それぞれの知事さん、現職でいらっしゃいましたから、いろいろな折にお会いして話をしてまいりましたので、今後とも私の方からも是非協力してほしいというお願いをして、それぞれの知事さんからも、一緒に頑張っていこうというような趣旨のお話をいただきました。
(記 者)
 今、生放送しているんですけれども、ユーザーから、五輪担当大臣がころころ変わるのはよろしくないと、鈴木さんで良かったんじゃないかという話と、仮に桜田さんがこのまま続けても、参院選後に替わったという見方があると思います。先程500日を切ったというお話があったんですが、任命権者は飽くまでも総理なんですけれども、鈴木新大臣としては、このまま2020年まで全力で向かっていくという、そういうお考えでしょうか。
(大 臣)
 2020年が成功する、とりわけ、私の思いとしては、真の復興オリンピック・パラリンピックにしたいという強い思いがあります。いつまでやるか、最後までやるか、それは分かりませんけれども、レールだけはしっかりしたレールを敷きたいと、それで、万が一バトンタッチするときには、次の方にそのレールの上をまっしぐらに進んでいってもらいたいと、そんな思いで仕事していきたいと思います。
 
 以上