平成30年8月28日
閣議後定例記者会見
1.冒頭発言
おはようございます。
冒頭でございますが、私から先般のドイツ出張について御報告を申し上げます。
8月20日から24日までの間、パラリンピックに次いでパラスポーツの最大のイベントと言われております、車椅子バスケットボール世界選手権を視察し、世界車椅子バスケット連盟によるワールドフォーラムにも出席をいたしました。
ワールドフォーラムでは、2020年東京大会に向けた準備の状況をお伝えし、東京大会が復興オリンピック・パラリンピックと位置づけられていることを踏まえて、東日本大震災からの復興が着実に進む我が国の姿についても、感謝の気持ちとともにお伝えをしたところであります。
また、要人との会談を通じまして、特に東京大会の成功の鍵と考えておりますパラリンピックの成功に向けた我が国の取組状況をお伝えし、多くの理解をいただいたところであります。
特に、車椅子バスケットボール世界選手権は、生き生きとした選手の熱戦で、大変盛り上がっております。日本代表チームは、残念ながら順位決定戦の方に回りましたけれども、私もその順位決定戦が決まってから日本チームの練習の場に激励にまいりましたけれども、皆さん、大変がっかりすることもなく、とにかく最後までベストを尽くそうという具合で張り切っておられて、チームとしてとてもいいムードだったなと、そんなことを思いました。
パラリンピックの成功なくして、東京大会全体の成功はないということを、常々申し上げているところでありまして、パラリンピックの開催を契機といたしまして、レガシーとしての共生社会の実現を図っていかなければならないという決意を新たにして、強く思ったところであります。
8月25日をもちまして、2020年東京パラリンピック大会の開会まで、残りがあと2年となりました。担当大臣といたしまして、今回の出張を通じて得た知見も生かしまして、東京パラリンピック大会の成功に向けて、大会の円滑な準備及び運営と、大会後を見据えた施策の推進に、これからも全力で取り組んでまいりたいと思います。
国民の皆様におかれましても、1人でも多くの方々が、様々な形で大会に参加する、参画をするとともに、共生社会の実現に取り組んでいただければと思っているところでございます。
私からは以上でございます。御質問ありましたらどうぞ。
2.質疑応答
(記 者)
パラリンピックについてなんですけれども、チケットの価格が発表されました。これについて、大臣の受け止めをお願いいたします。
(大 臣)
今回、組織委員会において、パラリンピックの価値を幅広く共有できるチケッティングを目指すという基本的な考えのもとで、チケットの概要が決定され、公表されたと承知しております。
先程も申し上げましたが、パラリンピックの成功なくして、全体としての東京大会の成功はないということを申し上げてまいりましたので、そうしたことに寄与するようなチケッティングであるというような思いもしております。
今回発表されました価格帯を見ていますと、比較的お求めいただきやすいものになっているのではないかと、そういうふうに思っております。そういう中において、次世代を担う子供たちをはじめとした多くの方々に会場に足を運んでいただきまして、可能な限りスタジアムがいっぱいになるように、引き続き準備が進められることを期待いたしております。
(記 者)
チケットについてなんですけれども、過去の大会では毎回、不正転売やネット上の買い占めなどが問題になることが過去大会毎回あるんですけれども、あと残り2年ということで、政府として今後どのように取り組んでいかれるか、お願いいたします。
(大 臣)
チケットの高値転売については、当初先の国会で、対策の法案成立というものを目指していたわけでありますが、法案そのものの提出が先送りになったということは非常に残念だなと、こういうふうに思っております。
しかし、現実を見ていますと、2019年のラグビーワールドカップのチケットが、既にネット上に売り出されていると、高額でというようなことも聞いておりますし、それからほかのチケットでは、自動プログラムで買い占めができるような、そういうようなこともやっているというような話も聞いておりますので、オリンピックのチケットは来年の春から、そしてパラリンピックのチケットは来年の夏からそれぞれ販売が開始されることになっておりますので、その際にこういったようなことが起こらないように、次期国会におきまして、こうした対策の法案、これが1日も早く成立すること、それを期待しております。
(記 者)
すみません。最後なんですけれども、障害者雇用の水増しの問題なんですけれども、先程、関係閣僚会議がありまして、数字などが公表されております。オリパラ推進本部を含む内閣官房での状況、またパラリンピックを担当されている大臣として、今回の障害者雇用の問題について、お受け止めをお願いいたします。
(大 臣)
御指摘のとおり、本日、公務部門における障害者雇用に関する関係閣僚会議が開催をされました。内閣官房からは官房長官がおいでになられたと承知していますが、私は出席しておりませんけれども、開かれたわけでございます。
そこで発表された数字を見ますと、内閣官房については、再点検の結果、障害者数は25.5人といっていたものが、実際には3.5人だったと。実雇用率は2.38%から0.31%に下がっているわけでありまして、実数としましては22.5人が不足をしているという、そういう大変恥ずかしい結果であると、そういうふうに思ってございます。
政府機関として、障害者雇用を進めるということを、民間の企業に強くお願いをしてきた。正に役所としては率先垂範をして達成をしなければいけないにもかかわらず、このような結果であるということは、障害者雇用の責任を果たしていなかったということでありまして、大変恥ずべきことであり、遺憾なことである。こういうふうに思っております。
2020年東京パラリンピックの大会を契機として、レガシーとして共生社会というものを実現したいと、こういうことを申し上げ、また取り組んできたわけでございますが、共生社会の実現に向けまして、障害者雇用制度の適正な運用を図って、障害者雇用を推進するということが、共生社会に重要なことでありますので、速やかに何でこういうことが起こったのか、また改善をしていく。政府全体として取り組んでいかなければいけないと、こういうふうに思っています。
(記 者)
今の障害者雇用の件ですが、オリパラ事務局としては、実態の数字はどれぐらいだったのでしょう。
(大 臣)
これは、たてつけといたしまして、内閣官房全体について、この雇用率というものが適用されているということになりまして、したがって、今朝の会議も内閣官房を代表して官房長官が出られたわけでありますので、部署ごとに割り当てがあるわけではありませんので、全体としての数字を先程申し上げています。
(記 者)
オリパラ事務局でも、当然何人かいて、小計が出てこその総数が出るわけで。
(大 臣)
いえいえ、たてつけはそうなっておりません。内閣官房全体として、そういう雇用率の適用があって、それを実現していくということです。
例えば、厚生労働省で何人ということで、局ごとに割り振りがあるということではないと。
(記 者)
ただ、水増しされたという方が、職員がオリパラの事務局にいたということはあるんでしょうか。
(大 臣)
それは聞いておりません。
(記 者)
聞いていない。
(大 臣)
はい。
(記 者)
関連してなんですけれども、オリパラ事務局に、例えば障害者手帳を確認するとかそういった不備があった形で在籍されている職員とかがいるのかどうかについてはいかがでしょうか。
(大 臣)
それは聞いておりません。いないと思います。
(記 者)
いないということですね。
(記 者)
今のことに関連してなんですけれども、政府全体として取り組むというふうにおっしゃられましたが、今後の対応の在り方についての大臣のお考えをお聞かせください。
(大 臣)
今朝の会議を受けまして、本日、公務部門における障害者雇用に関する関係府省連絡会議というものを設置するということが決まったわけでございまして、その中では、今般の事態の検証、そしてチェック機能の強化。それから2番目として、法定雇用率の速やかな達成に向けた計画的な取組。それから3番目として、国・地方公共団体における障害者の活躍の場の拡大。4番目として、公務員の任用面での対応等について、政府一体となって検討するということが今朝の関係閣僚会議で決まったということを聞いています。
(記 者)
今の質問に関連して、雇用率とは別にパラリンピックの準備の中で、事務局の中に障害のある職員の方も、パラリンピックの運営準備に関しては担当されているのでしょうか。
(大 臣)
そういうことでは、例えば、ユニバーサルデザインの行動計画がつくられているわけでありますけれども、そういうときには、その委員の中に障害者の方、これは公務員の方じゃありませんけれども、障害者の方に参画していただいて、そうしたユニバーサルデザインをつくる行動計画に、作成の段階から関わりを持っていただいているというような取組をしておりまして、我々としても、今御指摘のような点は大切なことでありますので、過去もそうでありましたけれども、今後とも障害者の皆さんの御意見。その立場に立った御意見。当事者としての御意見。そういうものを積極的に取り入れていきたいと、こう思っております。
(記 者)
意図的に障害のある職員の方も事務局に入れる、そういった取組というのはあるのでしょうか。
(大 臣)
これからちょっと検討させてください。
(記 者)
ちょっと話題が変わりますけれども、パラリンピックまで2年ということですが、大会では観客としてもたくさんの障害者の方が来る見通しとなっています。一方で、受皿になる宿泊施設の客室のバリアフリーが進んでいないという御指摘があります。
ただ、その内容については、需要と供給については、どれぐらい足りないのか、どれぐらい必要なのかについてはよく分かっていません。
国として、そういったことの数字に対して調査をする必要があるのではないかという声もありますが、大臣としてはどのように受け止められていますでしょうか。
(大 臣)
国交省で、ホテル・旅館のバリアフリー化に対する現状等のアンケート調査というのを致したわけでありますが、606のホテル・旅館からの回答がございまして、606施設のうち、バリアフリーの対応をしたルーム、UDルームがあると答えたのは194施設でありまして、32.0%であります。ただし、客室ということになりますと、606施設の総客室数は10万2,766室でありまして、そのうちバリアフリー対応になっておりますのは、0.4%となるとでありますので、数字としては少ないんだなと、こういうふうに思っております。
このことにつきましては、IPCからもかねてよりいろいろ御指摘がございましたが、政令を改正することに決まりまして、実際は来年からですが、客室の総数が50室以上の宿泊施設については、客室総数の1%以上のUD対応の部屋を、これを義務づけるということになります。これはでも、新規に建てるホテルということになりますから、あと2年ということを考えますと、実際はパラリンピックまでにそうした新規のホテルが建てられて、この1%が必要だということが適用になるのは、実際はなかなかないのかなと、こう思いますが、ただ一方において、既存のホテルなどをUD対応に改装するということについての補助金、これも予算措置をしております。昨年は補正でやりましたけれども、予算を確保しているところでございますので、そういうものを使って改修等も進めたいと思っております。
この客室の総数が50室以上の宿泊施設のUD対応の部屋を1%以上にするということについては、IPCの方でも大変プレスリリースなんかでも、日本政府として努力していただいているという評価も受けましたし、私、今度ドイツにまいりまして、IPCのCEOの方とも話をしてまいりましたけれども、彼からもそうした日本政府の取組というものは前向きに評価するという言葉を頂きました。
(記 者)
一方で、例えばバリアフリー法の改正なども進んではいるのですけれども、パラ大会になったときに、何人のそういった車椅子ユーザーであったり、障害者が来るのかという、その試算が出ていないという指摘についてなんですけれども、そこについてはいかがでしょうか。
(大 臣)
組織委員会の方とIPCとで、いろいろやり取りがあるのだと思いますけれども、今のところ私もその数字は聞いておりません。
(記 者)
そういったものを国でやるというようなお考えについてはいかがでしょうか。
(大 臣)
これから実際に実行段階に、いろいろ大会に向けて進めていくわけでありますが、そういう中でやはり必要な客室数は確保する努力はしなくちゃいけないと、こう思っておりますので、それはいずれ考えなければいけないことじゃないかと思っています。
以上
|