平成30年8月3日


閣議後定例記者会見


1.冒頭発言
 おはようございます。
 初めに、本日閣議に先立ちまして、第10回新国立競技場についての関係閣僚会議がございましたので、この会議の概要を御報告いたします。
 会議では、前回の関係閣僚会議、これ3月30日に行われましたが、それ以降の整備事業の進捗状況、それから陸上トラック舗装の整備区分の変更、三つ目に整備事業の進捗に伴う整備コストの変動について、JSCの大東理事長から説明をいただきました。
 一言で申し上げますと、工期、整備コストともに支障なく、予定どおり進んでいるということでありました。
 まず、整備事業の進捗状況につきましては、既に地上躯体工事を終え、外装、内装、仕上げ工事に着手するとともに、2月以降、スタジアムの屋根の鉄骨工事を進めており、工事スケジュールどおりに進んでいる旨、説明がありました。
 次に、陸上トラック舗装の整備区分の変更につきまして、説明がありました。具体的には、国際オリンピック委員会の要請に基づき、組織委員会からの申し出を受け、陸上トラックの表面仕上げの整備主体を組織委員会に変更すること。また、この変更により、整備コストは3億円程度の減額となる見込みであることの説明がありました。
 今後は、JSCにおきまして、事業者との正式な契約変更に向け、手続を進めていくとのことでありました。
 次に、整備事業の進捗に伴う、整備コストの変動について説明がありました。具体的には、整備コストの今後の変動見込みとして、デッキ形状の見直しによる3億円程度の減額。トラック舗装の整備区分の変更による3億円程度の減額。これに加えて、大成JVより、賃金・物価変動の場合の、いわゆるスライド条項の適用に係る増額請求がなされ、変更額は現在、JSCにおいて精査中である点。デッキ形状の見直しに伴い、整備事業と一体的に実施する地表公園の整備について、おおむね2億円程度が増額する見込みである旨、説明がありました。
 整備コストについては、スライド条項による増額を除く、他の変動見込みを踏まえても、公募時の上限を下回る見通しには、引き続き変わりはないとのことでありました。
 なお、新国立競技場の整備計画において、上限を設定した整備コストとは別に、関連経費として整理していた解体工事について。地中に埋まっていた旧河川の護岸が発見されるなど、当初想定できなかった事象への対応が必要となったことなどから、平成29年度末までの契約額が約82億円となっていること。今後、上水道工事の工法の変更等により、さらに20億円程度の増額を見込んでいることの説明がありました。
 これらの説明を受けて、関係閣僚会議としましては、整備事業が工期、整備コストに支障なく進捗していることを確認し、点検を終了いたしました。
 また今後、整備コストの変動に伴う分担対象経費の変動について、JSCを中心に整備を図っていただくこととしております。今後とも、新国立競技場が2020年東京大会のメーンスタジアムとして、世界の人々に感動を与える場となるよう、着実な整備を図り、大会の成功に導きたいと考えています。
 私からは以上であります。

2.質疑応答
(記 者)
 おはようございます。2問お願いします。
 2020年大会のオリンピック・パラリンピックの開閉会式について、制作陣の陣容が固まりました。大臣の受け止めをお願いいたします。
(大 臣)
 御承知のとおり、開会式・閉会式の式典については、今までの4式典、オリパラで開会式・閉会式ありますから、4式典の総合プランニングチームの皆さんが演出に携わることになりましたが、その中で、総合統括に就任された野村萬斎さんは、狂言師、また俳優、演出家として高い評価を受けている方でありまして、幅広い日本の文化を生かしたすばらしい式典に仕上げていただけるものと期待をいたしております。
 その際、昨年12月に策定されました八つのコンセプト。平和、共生、復興、未来、日本・東京、アスリート、参画、ワクワク感・ドキドキ感、この八つのコンセプトに基づいて、オリパラの四つの式典を、起承転結の一体として捉える中で、日本らしさを出していただくことを期待しております。
 その中でも、八つのコンセプトがあるわけでありますけれども、復興について、野村さんは記者会見で、復興オリパラのこの名前に恥じないような、その名前にふさわしい大会の式典になるよう、全力を尽くしたいと述べられたところであります。
 2020年東京大会の重要な柱の一つは復興オリパラでありますので、世界が注目する開会式・閉会式において、復興を切り口とする演出が行われれば、被災地の復興を後押しすることにもなるのではないかと、そういうふうに思っているところであります。
(記 者)
 ありがとうございます。もう1問お願いします。
 先日、組織委員会の森会長が、安倍総理の方にサマータイムの導入を要望されました。政府としての見解ですとか、実現性についての所感をお願いいたします。
(大 臣)
 今年は北半球みんなそうだと思っていますが、大変暑い夏になったところでありまして、東京大会、2年後、この暑さ対策というのは極めて重要なものだと認識をしております。
 こうした中で、これまで長年にわたってサマータイム導入に関わりをもってこられました森会長から、東京大会の暑さ対策として、サマータイムの導入が提案されたということは、しっかり受け止めなければならないと、こういうふうに思っております。
 ただ一方で、このサマータイム導入につきましては、国民の皆さんの日常生活に大きな影響を与えるものでありますし、過去の国会でも、また自民党内でも、与党の党内でも様々な議論があって、議員立法に向けた動きもありながら、これは実現に至っていないということでありまして、そうした大きな課題を抱えていると、こういうふうに思っております。
 いずれにしましても、私の立場では、まずは東京大会に向けた暑さ対策として、現在掲げております諸施策、これを着実に実現していくことが、これが課題であると、そういうふうに考えております。
 具体的にいえば、関係機関と連携を図りつつ、マラソンなどにつきましては開始時間を早めたり、あるいはコースとなる沿道の道路の緑化、それから路面温度の上昇を抑制する舗装などの取組、こういうものをハード、ソフト両面で引き続きしっかりとやってまいりたいと思っております。
(記 者)
 今のサマータイムの関連ですけれども、大臣、過去の経緯と、大きな課題を抱えているということでしたけれども、具体的に課題、実現するに当たって、どういうところを越えなければいけないのか、もう少し詳しくお願いします。
(大 臣)
 東京オリンピックまでとなると、あと2年いろいろなサマータイムの導入に当たって、いろいろな表示を初め、そういうものも変えていかなければいけない、それにはもうかなりのコストがかかると思います。
 それと、ライフスタイルに大変大きな影響を与えるわけでありますから、これは導入するに当たっても、相当時間をかけてやらなければならないのじゃないかと、こういうふうに感じております。
 そういうことを考えますと、2年後というと、その時間が大変タイトだなというような気持を率直に感じます。
(記 者)
 関連してなんですけれども、従前のハード、ソフト両方の対応をしていくということでしたけれども、一方で、この異次元の暑さということもあって、森会長を初め、組織委員会は従来の対策では少し厳しいのではないかということで、サマータイムの提言をしているわけなのですが、今のお答えを聞いていますと、少し大臣はサマータイムの導入には、もう少し慎重な議論が必要だろうというふうに受け取ったのですが、そういう理解でよろしいですか。
(大 臣)
 今までも相当議論がありました。他党のことはちょっと分かりませんが、自民党におきましては、戦後、GHQのもとで行われた、当時はサンマータイムといったそうですが、そのサンマータイムが導入されて、また廃止をされた。そのときの経緯も含めて、かなり検討しましたけれども、やはりそのときも、少し導入にはいろいろな課題がある。主にそのときは、今から思い出せば、環境配慮ということで検討されたわけでありますけれども、そのときも結局いろいろな課題を挙げた上で、導入には今なお検討が必要だと、そういう結論が出たと、こういうふうに思っておりますので、そういう過去の検討の経緯もありますので、そういうことを踏まえますと、やはりそうすぐに2年後にということにはいろいろ課題が、乗り越えなければならない課題があるのではないかと、そんな感じがいたします。
(記 者)
   日本ボクシング連盟の山根会長に対して、国からの助成金の流用など、12項目について告発状がスポーツ庁にも提出されました。また、理事時代に暴力団組長と交際があったと指摘されています。
 大臣は、今回のこの騒動について、どういうふうに受け止めていらっしゃいますか。
(大 臣)
 告発状が出されたということを承知いたしております。
 その中身については、私もテレビの番組等で拝見しているということで、その真偽ということは、まだこれから関係方面でしっかり正していくのだと、こういうふうに思いますけれども、やはり例えば選手強化のためのそうした助成金を、それは親心とか何か理由は別として、やはり規定どおりに執行されないというのは、これは大変大いに課題があるのだろうと、問題だとそういうふうに思っております。
 また、御指摘の反社会勢力との関係ということになれば、これはもう論外、論外、そんなことは認められることは全くないということで、これも真偽のほどをきちんと正していかなければならないと、そういうことはきちんと反省していただかなければならないのだと、そういうふうに思います。
(記 者)
 新国立関連で、細かい点でちょっと恐縮なのですが、お伺いしたいのですが、この解体工事費がかなり増える見込みのところは、先程大臣、旧河川の護岸というふうにおっしゃっていた、護岸が発見された等、当初想定できない事象があったというお話があったのですが、逆にもう少し、なぜこういうふうに増えたのかというところの経緯みたいなのがあれば、詳しく教えてください。
(大 臣)
 私の聞いている範囲では、1964年東京大会、その前のアジア大会ありましたが、そのときに前の国立競技場をつくるに当たって埋立てをしたと。そのときにあそこに河川があったのですが、それに護岸がずっと続いていて、それが埋め立てられて、その埋めたという記録が残っていなかったと、こういうことなのです。
 実際に、今回、工事をしてみたら、初めて記録にも残っていない堰堤がずっと出てきたということで、当初の事業費にはそれがカウントしなかったと。その分が増えたと、こういうような説明を聞いております。
(記 者)
 ちょっと話題が大分変わりますが、ここ最近、LGBTを巡って自民党の中で、差別的な発言が相次いでいます。この状況を大臣として、どういうふうに御覧になっているのか、お聞かせ願います。
(大 臣)
 個々人のいろんな思いが発言つながっていると思いますが、やはり今の時代はいろいろな人の価値観の多様性とか、そういうものが大事にしなければいけませんし、またそういう多様性がというものが、また社会の発展にもつながっていくという側面もあるのだと思います。
 ですから、今回、その方の個人的な認識であって、別に自民党の何か公式な見解でも全くないのですけれども、私としては、もうちょっとそういった多様性というものに配慮をした上で、発言をされるべきだということで、あの発言については、いささか違和感があります。
(記 者)
 関連で、自民党は党の規約に基づいた処分とかはせずに、御本人を指導したということで終わろうとしているのですけれども、そういった大臣も今言及をされたような状況で、そういう処分もないという状況についてはどういうふうにお考えですか。
(大 臣)
 指導というのが党の規約で、何か処分があるのですかね。ないでしょう。ちょっとそれがどういう形かは分かりません。
   
 以上