平成30年7月27日
閣議後定例記者会見
1.冒頭発言
おはようございます。
冒頭、私の方から6件発言をさせていただきたいと思います。
まず2020年東京大会の開会まで2年となる中におきまして、東京大会開催を契機に被災地復興はどうしていくか政府の取組について、お手元にお配りをしていると思いますけれども、別紙のとおり取りまとめましたので御報告いたします。
東京大会は、これは招致のときから復興オリパラと位置づけられておりまして、東日本大震災の被災地の復興を後押しするとともに、被災地が復興を成し遂げつつある姿を世界に発信する、そういう取組を進めていく必要があります。この点については、私から先日の閣僚懇談会において、各閣僚にお話をさせていただいたところでございます。
関係各府省においては、オリパラ基本方針に基づきそれぞれの取組を行っていただいているところでありますけれども、復興オリパラは大会の重要な柱の一つであるという観点から、改めて関係各府省においてもしっかり取り組んでほしいという思いから、取りまとめをしたものであります。これを政府一体として確実に実行していくため進捗状況を、復興庁とともにしっかりと確認をしながら、復興の後押しと発信につなげていきたいと思います。本件については関係府省庁連絡会議などを通じて各府省へ直接伝え、一層の理解と協力を求めていきたいと考えております。
それから2点めでございますが、復興「ありがとう」ホストタウン第5次の決定についてであります。今般、第5次の復興「ありがとう」ホストタウンを決定いたしました。今回追加となるのは3件で、これで復興「ありがとう」ホストタウンは全部で19件となりました。
追加の3件でありますが、一つめは宮城県気仙沼市、震災後のインドネシア大統領の激励や寄附に対し、インドネシアの大使や子供たちを地元の祭りに招待し感謝の気持ちを表すとともに、インドネシアからの技能実習生と市民との交流事業などが計画されております。
二つめは福島県喜多方市であります。喜多方市は、震災時に励ましのメッセージを受けた、姉妹都市でありますアメリカ合衆国ウィルソンビル市の中高生を招待し、スポーツや食文化などの体験交流を行うとともに、大会期間中は大会会場やパブリックビューイングで相手国チームを応援するというような計画が立てられております。
三つめは私の地元でもございますが、岩手県山田町であります。山田町は、江戸時代にオランダ船が山田湾にある島に漂着して通称オランダ島と呼ばれる縁で、震災後にオランダ関係企業団体が一般社団法人オランダ島を結成し、放課後支援クラブ、オランダ島ハウスが寄贈されました。このオランダ島ハウス関係者などをまちに招待をし、地域の文化・伝統を山田町の子供たちが伝えたり、復興語り部ツアーに参加してもらったりということが、計画をされております。
今後とも関係各県等と連携をして、手を挙げて頂いた自治体にしっかりと寄り添い、サポートをしてまいりたいと思っております。
三つめでありますが、7月29日、白石市及び宇都宮へ出張をしてまいります。白石市は、柴田町と共同でベラルーシを相手国とするホストタウンに登録されております。今週からベラルーシ新体操選手団の事前キャンプが行われております。29日の視察では新体操の公開演技会を視察するとともに、選手の皆さんと意見交換をしてまいりたいと思っております。
その足で引き続き宇都宮市に参ります。宇都宮市では2020年東京大会の新種目であります3×3の大会、「FIBA3×3World Tour Utsunomiya Masters2018」の視察や関係者との意見交換をしてまいります。詳細については事務方にお尋ねをいただきたいと思います。
次に、7月31日から北海道を訪問いたします。31日の視察では、2020年東京大会のサッカーの会場である札幌ドームにおいて現状を視察いたします。また、翌8月1日には、今後のホストタウンの推進に資するため、北海道内でホストタウンとなっている五つの自治体の皆様と意見交換を行わせていただく予定でございます。そのほかにも両日にわたりスポーツ・文化関連施設を視察させていただく予定であります。詳細については事務方にお尋ねをいただきたいと思います。
次に、2020年度の大学等の学事日程に関する通知についてであります。昨日付で文部科学省より全国の大学等に対して、2020年度の授業日程に関する通知が出されているところであります。東京大会は2020年7月24日に開会式を迎えますが、大学等によっては授業、試験の時期と重なる場合があります。そのため例えば首都大学東京では、2020年度の授業日程を変更することで、学生が大会に参加しやすい環境を整えることといたしております。こうした状況も踏まえ文部科学省においては、学生が大会にボランティア等の様々な形で参加することは大変意義があるとの考え方に立ち、大会期間中に授業、試験を行わないようにするため、授業開始日の前倒しや祝日授業の実施などの対応が可能であり、その場合の取扱いについてこの度改めて周知したものと承知をいたしております。いずれにしても具体的な取扱いは各大学で判断されるものでありますが、今回の通知の趣旨も踏まえまして適切に判断されることが期待をされているところであります。
最後でありますけれども、本日、今後3年間のサイバーセキュリティーに係る諸施策の目標及び実施方針を示す、新たなサイバーセキュリティー戦略を閣議決定いたしましたので、御報告を申し上げます。
3年前にサイバーセキュリティー基本法に基づく初めての戦略が策定されて以降、サイバー空間と実空間との一体化が進展し、サイバー攻撃により多大な経済的・社会的損失が生じる可能性が飛躍的に高まるなど、脅威が一層深刻化しており、サイバーセキュリティーの確保がますます重要になっております。
こうした認識のもと本日閣議決定された新戦略では、2020年東京大会の成功とその後の対策も見据え、サイバーセキュリティー対処調整センターや従来の枠を超えた官民による新たな情報共有・連携体制を構築すること、このほか高度人材の育成、サイバー攻撃の検知・防御能力の向上に向けた研究開発、積極的な情報発信等、横断的施策を推進することなどの、今後3年間に取り組むべき施策を盛り込んでおり、こうした施策を各府省庁において着実に推進することによって、サイバーセキュリティー対策に万全を期していきたいと考えております。
多少長くなりましたが、私からは以上であります。
2.質疑応答
(記 者)
先ほどあった「ありがとう」ホストタウンの関係なのですけども、ややまだ数字が伸び悩んでる印象がありまして、被災地の自治体の中からは、こういろいろな点でなかなか取り組むのが難しいという声もあります。今後理解を得ていくためにどんなことを訴えていかれるつもりでしょうか。
(大 臣)
当初、昨年、私、担当大臣になりましたときに、やはり被災地でのホストタウン、手を挙げる自治体が少ないということを実感いたしました。お話を聞けば、やはり被災地においては今、復興に全力投球の中において、それぞれの自治体からもいろいろ応援をいただいているという中で、なかなかホストタウンに手が挙がらないというのが、そういうお話がございました。そういう中で、やや被災地の立場に立って取り組みやすいものとして、復興「ありがとう」ホストタウンというものをつくったわけでございます。
本日の発表分を含めますと19自治体に取り組んでいただくことになりました。私の聞くのではそういう様々な厳しい状況の中で、よく手を挙げていただいているという、そういう認識も持っております。既に取り組んでいただいている自治体においては、これまでの支援に対するお礼の気持ちを、東京大会を機に世界に発信できるよい機会になっていると聞いております。
例えば既に、岩手県大船渡市では、震災時にアメリカのレスキュー隊、いち早く駆けつけてくれたわけでありますけれども、その隊員の方に7年ぶりに大船渡市に来ていただいて、当時のお礼と市民が直接お礼を、市民が直接伝えることができたということで、市も大変評価をしている、よかったという思いを持っていただいているところです。
こうした自治体が、できるところから、手を挙げていただいて、登録された自治体に対しては、私どもスタッフが全力でサポートさせていただきたいと、そういうふうに思っておりますし、まだ準備が整っていない自治体でも取り組みたいというお気持ちがある場合には、関係各県と連携し、自治体にしっかりと寄り添って支援をさせていただきたいと思っています。
数についてまだ少ないのじゃないかとか、様々な御評価はあるのだと思いますが、ホストタウンというのは自主的に、手を挙げていただくということが前提でありますから、そういう中においては復興「ありがとう」ホストタウンという新たな取組を定めて、それに呼応して、手を挙げていただいているということで、私は決してネガティブには捉えておりません。今後ともこうした市町村が増えていくこと、そして登録される市町村の活動の中身が充実できるように、我々としても協力していきたいと思っています。
(記 者)
すみません。もう1問よろしくお願いします。
先日、東京オリンピックの競技日程が発表されまして、輸送についても今後、取組が加速すると思うのですが、現在の交通需要マネジメントの検討状況を教えていただけますでしょうか。
(大 臣)
御指摘のとおり、円滑な大会輸送を実現すると。東京はリオデジャネイロ、ロンドンに比べますと、はるかに日々、経済活動が盛んでありますから、必要な交通を、輸送を確保することによって、そうした一般的な経済活動に与える影響、これはゼロにはならないわけでありますが、いかに最小化するということが、これが大切なことであると、こう思っておりまして、そのためには広く企業との協力を得ながら、交通需要の抑制、それから分散に向けた取組を行わなければならないと、こういうふうに思っております。
そのために東京都、組織委員会とともに、内閣官房が事務局となりまして、交通需要マネジメントに協力する企業が参画をする、TDM推進のための体制を立ち上げることといたしまして、準備を進めてきたところでありますが、この度準備が整いましたので、本日午後の東京都知事の定例記者会見において、この立ち上げに関する説明が行われるということを伺っております。
私ども政府といたしましては、こうした取組の以外にも、昨年度から日数・規模を拡大いたしましたテレワーク・デイズを今週実施しておりますが、東京都の時差Bizの取組と併せて、広く企業や市民の皆さんの協力を得ながら、大会に向けた交通需要の抑制・分散の機運醸成を図っているところでございます。
引き続き、重要な課題でございますので、東京都、組織委員会等と連携をしまして、輸送に関する準備を進めてまいりたいと思っております。
以上です。
(記 者)
ありがとうございます。
(記 者)
先ほどおっしゃったTDM推進のための、これは何か会議体のようなものが設置されるのですか。
(大 臣)
会議体のようなものが設置されます。推進体制の具体的な内容につきましては、本日午後、先ほど申し上げましたとおり、都知事の方から発表があるということでございますので、発表の前に、先だって、というわけにもまいりませんで、事務方の方にもお尋ねいただきたいと思いますが、TDMの推進のための体制の概要、それから東京都、内閣官房、組織委員会等の関係者で行う予定の、まずキックオフに関する報告がなされると聞いております。
(記 者)
オリパラとはまた別件ですが、野田総務大臣をめぐる一連の問題が今ちょっと取り沙汰されておりまして、一部の新聞社が金融庁に申請した情報公開請求の内容が開示前に総務大臣に伝えられていたという一連の報道について、こうしたことの受け止めと、野田大臣の責任についてのお考えをお願いします。
(大 臣)
やはりこういうのは、ルールどおりで、行わなければならないのだと思います。その対象が閣僚であったから特別に配慮するとか、事前に耳に入れておいた方がいいのじゃないかとか、そういうようないろいろ思いがあったのだと思いますが、やはり基本は、ルールどおり、決められたとおりの手続をきちっと踏んでいくということが大切であると思います。野田大臣については、むしろ、その情報を聞かされた方でありますから、今後、私も報道で知る限りでありますけれども、自分自身きちっとそこを指導するという立場のようでございますので、総務大臣のそうした思いがしっかり果たされるようにと思っています。
(記 者)
また話題変わるのですけれども、沖縄県の翁長知事が米軍普天間飛行場の辺野古移設をめぐって、前知事の辺野古沿岸の埋立て承認の撤回に向けた手続を開始する意向を県幹部にお伝えになったということなのですが、受け止めと埋立ての影響について、大臣のお考えを聞かせてほしいのですが。
(大 臣)
影響はどうなるのか分かりませんが、政府としては、やっぱり普天間基地の負担というものを、世界一危険だとこういう評価もあるようでありますから、それを無くすというのがそもそもの話のスタートであって、そのためには、辺野古への移転というものが唯一不可欠の選択であるという立場でございます。
やはり政府としてはそれが基本的な、揺るがぬ方針でありますので、それに沿って着実に進めていくこと。それが、最終的に普天間基地の負担の軽減につながるということ。そう思っておりますので、ちょっと影響についてはにわかに判断できませんけれども、着実に進むことが望ましいと思っています。
以上
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