平成29年11月14日


閣議後定例記者会見


1.冒頭発言
 おはようございます。冒頭私から、今朝開かれた新国立競技場整備計画再検討のための関係閣僚会議について御報告致します。議題は二つあり、一つは新国立競技場整備事業の進捗状況について、そして二つ目は大会後の運営管理に関する検討ワーキングチームの基本的な考え方についてでした。
 一点目の整備事業の進捗状況については、JSCの大東理事長から、4月から基礎工事、7月から地上鉄骨工事を開始しており、コストや工期への影響を生じさせずに事業を進めていると説明がありました。また、旧国立競技場に設置されていた壁画などの25の記念作品について、有識者会議を設置し検討を進めており、この度競技場の敷地内での具体的な保存場所を決定したと説明がありました。関係閣僚会議では、整備事業が工期、工事費に支障なく進捗していることを確認し、点検を終了しました。また大東理事長からは、敷地の南西部の歩行者デッキの形状見直しについて説明がありました。これは事業者の提案も踏まえ、従来案からデッキの形状を見直し、デッキ上に設けられていた公園の一部を地表化するものです。一方で、この場所は2020年大会時には、ブロードキャストコンパウンドという放送関係車両等のスペースとして利用するため、組織委員会からは可能な限り平坦な状況での整備を要望されています。このため地表化する部分について、第一段階として平坦な状態で整備し竣工することとし、第二段階として大会終了後に植栽等の整備を進める、との二段階整備で進めたいとのことでした。関係閣僚会議では、この二段階整備の方針を了承し、今後JSCにおいて、関係者との調整を進めることといたしました。
 さらに、大東理事長からは、本事業に従事する下請事業者の作業員が過労で自殺されたことを受け、大成JVが自主的に実施する健康管理に係る取組について説明がありました。具体的には、大成JVにおいて、医師の配置や現場事業所の20時閉鎖の徹底など、安全、快適に働ける環境の整備や、時間外労働の短縮化に向けた取組を、全作業従事者を対象に自主的に講じる方針である旨の説明がありました。これに対し、厚生労働大臣から、厚労省は元請事業者に対し発注者を通して適切な健康管理対策の実施を働きかけており、今回の取組はその趣旨が踏まえられたものと受け止めているということ、国土交通大臣、文部科学大臣には、引き続きその的確な実施への御協力をお願いしたい旨の発言がございました。国土交通大臣からは、本日説明の取組が今後着実かつ速やかに実行されるよう、大成建設に必要な指導を引き続き行い、他の建設現場においても今後このような痛ましい事案が二度と発生しないよう、建設業の働き方改革を強力に推進していく旨の発言がありました。文部科学大臣からは、今回の取組が着実に実施されるよう、関係省庁と連携し、JSCをしっかり指導していきたい旨の発言がありました。大東理事長からは、閣僚からの発言を踏まえ、大成JVと共にしっかり対応していきたいとの発言がありました。関係閣僚会議では、JSCにおいてJVとも連携しつつ対応すると共に、文部科学省においては所管官庁としてJSCをしっかりと監督してもらうよう対応をお願いしました。なおJSCの説明内容については、本日15時からJSCが定例ブリーフィングを行うと聞いておりますので、JSCにお問い合わせ下さい。
 次に二つ目の議題である、大会後の運営管理に関するワーキングチームの基本的な考え方について、ワーキングチーム座長の水落文科副大臣から、新国立競技場を東京大会終了後に球技専用スタジアムに改修し、サッカー、ラグビーの日本代表戦などの主会場とすることで、スポーツ振興の中核拠点として最大限活用すること、市民スポーツイベントやコンサート等を積極的に開催することで、スタジアム全体の収益性を高めると共に、日々人々が集まり、長く愛されるスタジアムを目指すこと、今後JSCにおいてコンセッション事業の導入可能性調査等を行い、これを基に2019年年央には、民間事業化の事業スキームを構築することなどを基本的な考え方として検討を進めていきたいとの説明がありました。関係閣僚会議では、この方針を了解しました。この基本的な考え方の詳細については、スポーツ庁にお問い合わせ下さい。今後、新国立競技場が2020年東京大会のメインスタジアムとして世界の人々に感動を与える場となるように着実な整備を図り、大会を成功に導きたいと考えております。私からは以上です。

2.質疑応答
(記 者)
 先ほど説明がございました建設工事に従事していた男性の過労自殺についてお尋ねします。これまでこの労働実態を政府としてどのように検証したのか、その具体的な方法とかあれば、是非教えていただきたく思います。
(大 臣)
 先ほど、厚生労働大臣からの発言を紹介いたしましたが、今回のJSCの取組については、これまで厚労省が働きかけてきた趣旨が踏まえられたものであるということで、厚労省がこの問題について今まで色々と働きかけをしてきた、その方向に沿って対応がされているという認識が示されたところです。
(記 者)
 今回は運営管理の基本的な考え方を色々されたということですが、今回の球技専用のスタジアムというのは無難な方向だったのですが、結局そうすると陸上ができないといった面もあると思うんですけど、その辺この球技専用スタジアムにした、了承したという大きな理由というのをどのように大臣は考えていましたでしょうか。
(大 臣)
 2020年東京大会の時は、隣接する場所にサブトラックを整備するということですが、2020年は仮設で整備し、2020年以降そこは別の目的に使う為撤去しなければならないので、そうすると、国際基準に合った競技大会を開くところに至らない為、サブトラックの問題が、陸上競技をしないということの一番の問題だったと思います。
(記 者)
 関連で、陸上関係者から残念な声も聞かれるんですけど、その辺の理解は得られたという認識で大臣はいらっしゃいますでしょうか。
(大 臣)
 陸連からは基本的に理解を得られているということだと思います。
(記 者)
 後利用に関し、民間事業化というのが骨子で掲げられていますが、大臣はこれからこれを実現させるために、どういうところが課題になる、あるいは、こういうところが重要になるというふうなところがあればその辺をお願いします。
(大 臣)
 今日の段階ではこの方向が了承され、またスケジュール感が示されて、これも了解したというところで、これから実際に公募を行い、どういう方々が手を挙げてこられるのか、これはこれから先のことであると思います。ただ私も約2か月前にオーストラリアに出張し、2000年シドニー大会のメインスタジアムの様子を見てまいりましたが、そこでも民間事業者が引き受け、借りて、実際に競技大会を手掛けたり、コンサートをしたり、そういうことで収益をきちんと上げ、ビジネスとして回っている姿も見てきましたので、外国での先進事例も紹介する中で、事業者が関心を持って手を挙げていただけるということを期待しております。

以上