平成28年8月2日
閣議後定例記者会見
1.冒頭発言
おはようございます。
まず、先ほど会議をしてまいりましたが、東京大会を契機とした共生社会の実現に向けて、本年2月にユニバーサルデザイン2020関係府省等連絡会議を立ち上げ、さまざまな種別の障害者団体等との意見交換を重ねてまいりました。そうした総合的な施策の検討を進めてきて、本日第3回連絡会議を開催して、中間取りまとめを行いました。
ソフト面では、2020年以降の学習指導要領改定を通じて、「心のバリアフリー」を教科書へ反映させたり、幅広い分野の企業が人材採用基準に「心のバリアフリー」を盛り込むよう働きかけるなど、これまでにない取組を盛り込ませていただきました。
またハード面につきましても、東京大会で実現される世界水準のユニバーサルデザインを、国内のバリアフリー基準を見直すことによって全国に広げるなど、意欲的な内容となったと認識しております。障害のある人もスムーズに移動できる観光立国の実現にも努めてまいりたいと思います。
この中間取りまとめを踏まえ、障害のある人や高齢者等、全ての人々が暮らしやすい共生社会を実現するという観点に向けて、関係各省とともに制度改正や予算要求にしっかりと取り組むとともに、今後、年末の最終取りまとめに向けて詳細検討を継続してまいります。共生社会の実現を東京大会の最大のレガシーの一つとすべく取り組んでまいりますので、引き続き努力をしてまいりたいと思っております。
なお、今日午後からパラリンピックの日本選手団の結団式があります。2020年大会ももちろんですが、まずはこの大会でしっかり選手の皆さまに頑張っていただいて、そして、こうした活動を通じてパラリンピアンの、あるいは障害者の皆さま方の共生社会を一緒になってつくっていくという認識が広がると大変ありがたいと思っておりますので、選手団の皆さまのご努力をお願いしたいと思っております。
また、今日11時から千駄ヶ谷駅を視察してまいります。2020年のメーン会場となる予定の新国立競技場の主要な最寄り駅ですから、ここのバリアフリーのこれからの計画等や現状を見させていただいて、それをまたきっかけにして、施策の展開を図ってまいりたいと思っております。
私からは以上です。
2.質疑応答
(記 者) では、2問お尋ねします。まず1問目、今のご案内がありましたユニバーサルデザイン2020の関係ですけれども、取組の内容というよりは理念的な部分になるんですけれども、この1ページ目のユニバーサルデザイン2020のところに書いてありますけれども、過去において障害のある人が受けてきた差別、特別視、隔離はあってはならないものであるというふうな表現が記されているかと思います。
国の公的な文書の中で、過去において障害者への差別があったとはっきり明記をした上で、あってはならないというふうに打ち出しているというのは、なかなか過去にもないかと思うんですけれども、改めてこういったこの文書にまとめたことの意義、狙いについてお伺いできますか。
(大 臣) 実は私も「オリンピック・パラリンピックは大事ですよ」と言いながらも、やっぱりパラリンピック、あるいは障害者のスポーツについての関心が、いわゆるオリンピック種目と比べると大変少なかったなと思っております。
2年前にソチオリンピックに行ったときに、パラのスキーの選手から「私たちはアスリートです」という話を聞いて、改めてパラリンピック、あるいはその障害者のスポーツというのは、今までどちらかというとオリンピック、普通のスポーツから見れば片隅に置かれていたのかなという思いがいたしました。しかし彼らの活躍を見て改めて、障害はありますが、そのほかの残った部分についてはそれこそオリンピック選手以上に鍛えているという部分もありますし、そうしたこれまでの取組を、オリンピックのサブ的なものではなくて、やっぱり同等に、あるいはそれ以上にしっかりと進めることによって、日本という国で2020年の大会のレガシーとしてしっかり位置づけ、そのような意味でもユニバーサルデザインによる共生社会をつくっていく、それの最大のきっかけを、この2020年の大会でやりたいと思っております。私は過去の取組は甘かったと思っておりますから、そういうことをあえてここに書かせていただきました。
(記 者) もう一問、都知事選挙のことでお伺いいたします。日曜日の都知事選挙で小池百合子さんが当選されました。オリパラに関しては予算、費用に関して、積算根拠を確認していきたいということをおっしゃっています。前任の舛添知事のもとでは一定の、国、都、組織委の三者の間で一定の費用負担に関する進捗があったかと思うんですけれども、白紙に戻ったような格好になっている部分もございます。今後どういうふうに国、都、組織委の三者で話合いを進めていかれるお考えでしょうか。
(大 臣) この後大臣をどなたがされるか分かりませんので、私ということではなくて、オリンピック・パラリンピック大臣としてということになりますが、小池新知事は「オリンピック・パラリンピック2020年大会を成功させよう」とおっしゃっていて、その中で積算根拠を含めていろいろきちっとした検証をしていきたいとのことです。当然開催都市ですから、負担をすることも十分認識していらっしゃいますし、その上で、無駄な部分あるいは見直ししたほうがいい部分、そういうものを検証されることについては、決しておかしなことではないと思っておりますし、私たちも去年のオリパラ基本方針の中で、そうした無駄な部分といったものについてはしっかり見直し、削減をしようと、そういう努力をしてほしいということを申し上げておりますので、そういう意味では考え方が変わっているわけではなくて、当然の取組だと思っております。
(記 者) 大臣、次、どなたになるか分からないというお話でした。明日予定されている改造の前では、今日は一応定例では最後の閣議になるかと思うんですけれども、今回の内閣に関して、総理から閣僚懇あるいは閣議等で、何らか今回の内閣に関する言及はありましたでしょうか。あるいはねぎらいの言葉など。
(大 臣) ございません。
(記 者) それともう一点。オリパラ大臣になられて1年余りたちましたけれども、これまでの取り組み具合ですね、御本人で振り返ってこられてどうかということと、あと、留任されるか、新しい方がなられるかは別として、今後の課題について、直面する課題について、今のオリパラ大臣が取り組むべきことをどんなふうに認識されているかというのを一言お願いできればと思うのですが。
(大 臣) 去年6月25日に就任させていただいて1年強になりますが、就任早々からいろいろな難問といいますか課題が山積でした。役所、組織委員会、そして東京都の皆さまのいろいろな思い、あるいは考え方の違いもありますが、「2020年大会を成功させよう」という思いは皆さまで一致しておりますから、そのときそのときの考え方では違いがあったとしても、やはりみんな一生懸命、目標に向かって頑張っているなと、そんな思いを感じてまいりました。
先ほど言いましたように、新国立競技場はじめいくつかの問題点が指摘されましたが、ただ、これまでのオリンピック、52年前のオリンピックは全くスケールや影響というものが違いますから、そういう意味では全く新しい世界最大のイベントをみんなで力を合わせてやっていこうということになります。ですからその途中その途中で私から見ると障害というよりも、いろいろな意見の齟齬が出てくるのは当たり前だと思っております。
例えば神宮球場の問題がありましたが、やはり借りる方ほうからすれば「できるだけ長期間借りて、そして余裕を持ってやりたい」。しかし貸す方からすれば、やはりいろいろな経営の問題もありますし、「できるだけコンパクトに」。こういうことは当たり前で、それを一つ一つ積み重ねていくというのはまさに前例のない作業ですから、そういう意味で皆さま方、特にマスコミの皆さま方から大問題だというようなことでよく記事になりますが、私から見ると大問題でなくて、やはり一つのことを成し遂げようとしたときは必ずそういう問題が出てくるわけですから、そこについてオリンピック・パラリンピック大臣として連携をしっかりつくっていく。
一番のポイントは、やはり組織委員会を見てもそうですけれど、組織委員会の固有の人もいれば、東京都からの出向の人がいたり、民間から来られた人がいたり、どうしても壁ができちゃうというか、「ここは多分そっちの人がしてくれるだろう、ここはこっちの人がやってくれるはずだよね」という形でお互いに譲り合ってしまう、そういう部分が一番心配だったのですが、最近私から皆さまに、「少々けんかしてもいいから、人の領分に踏み込んでお互いぶつかるぐらいでないとうまくいかないよ」という話をよく申し上げています。やはり少しずつそういう形ができてきて、そして2020年大会に向けて「やっぱりみんなで力を合わせてやっていこう」という皆さまの意思あるいは波長は、随分合ってきたなと思っております。今回、都知事が代わられるわけですが、思いは小池さんも一緒だと思いますから、そういう意味でもしっかり連携を進めていけば、2020年の大会は必ずや大成功できると思っております。
課題は、今申し上げたように、これからもまだまだいろいろな会場の問題、そして予算の精査もありますし、何よりも大事なのはやはり開催の中心である組織委員会と、そして開催都市であります東京都、あるいは数県にも協力していただきますが、そして、このオリパラ事務局と、そこの責任者だけではなくて事務方も含めて意思の疎通をしっかりやっていくということだと思っております。
どうもありがとうございました。
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