平成28年3月4日
閣議後定例記者会見
1.冒頭発言
おはようございます。
まず、私からは中村伊知哉先生との意見交換について御報告いたします。かねてオリンピックの機運を醸成するために、いろいろな有識者の皆さんと意見交換をしてまいりましたが、来週7日月曜日に、慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授である中村伊知哉先生と意見交換をすることにいたしました。先生はメディア制作やポップカルチャーの専門家として、政府のクールジャパン戦略推進会議等において有識者として活躍しておられますし、また、御存知のように、最新テクノロジーを使って能力を拡張した人間が競う超人スポーツという大変面白いアイデアなど、幅広い知見をお持ちでいらっしゃいますので、そうした話をお伺いしながら、機運醸成をしていきたいと思っております。
私からの報告は以上です。
2.質疑応答
(記 者) 幹事社からお伺いいたします。代表質問を2点させていただきます。
まず、一つ目が新国立競技場の聖火台の設置場所の件でございまして、昨夜会合を持たれましたが、競技場の中に置かれるのか外に置かれるのかが注目されております。今後、検討チームを作られるということですが、どういう形でアイデアを募って取りまとめていかれるのか、今後のプロセスについてお考えをお伺いできますでしょうか。
(大 臣) 昨日調整会議が開かれて、各種報告の後に新国立競技場の聖火台について話がありました。昨日、私はその後に記者会見をいたしましたので御存知かと思いますが、早急に私のもとでワーキングチームを作って、そして、今お話のように中か外か、そうしたことについて決めていきたいと思っております。御存知のように、聖火台点火というのはオリンピックの開催イベントの中でも最大のメインイベントでありますから、サプライズも必要ですし、寸前まで皆さんどういう形で点火するのだと期待をされるわけですから、具体的な点火の仕方、あるいは設置の場所というのはもう少し後で議論されるのだろうと思っております。取りあえず今しなければならないのは、皆さんがいろいろ御心配されておりますように、設計の中で例えば工期が遅れたりしないのか、あるいは上限価格が増えたりしないのかというふうなことでありますから、それはないですよということです。しかし、その中で例えば場所によっては消防法との問題もあるでしょうから、設計の前に、そうした課題だけ取りあえずクリアにしていこうということで、今回検討チームを作ることにいたしました。ですから、そんなに大ごとじゃなくて、これまで聖火台を置くというような議論も、前の国立競技場時代からあったわけでありますから、そういうことも踏まえて整理をしていきたいと思っています。
できれば、来週にもメンバーを決めて、そして、そこで議論を始めて進めていきたいと思っております。これは私のもとでやるわけでありますが、あくまでも組織委員会、JOC、あるいはスポーツ庁を中心にして議論していく。また、舛添知事も「皆さん一緒になって協力して作っていきましょう」ということですから、場合によっては東京都からも入っていただいて決めていきたいと思っております。
(記 者) もう一点です。リオデジャネイロ五輪出場権をかけたサッカー女子日本代表の予選なんですけれども、ここまで1敗1分けで正念場を迎えて今夜、中国戦があります。各国でも強化に本腰を入れてきているという見方もありますけれども、これまでのなでしこジャパンの戦いぶりをどう見られていて、今後どういった期待を持たれていますでしょうか。
(大 臣) とにかく勝ってほしいという、その一言に尽きます。選手の皆さんはもう自分のこれまでの人生をかけて勝負をされているわけでしょうし、また、プライドを持って戦うわけでしょうから、これまでの自分のやってきた練習あるいは努力を信じて全力で勝利に向けて頑張っていただきたいという思いであります。
(記 者) 何点かお願いします。
先ほどの発言の確認ですが、具体的な点火場所や設置場所は後で議論されるものということですが、昨日のお話からは設置場所について今回の検討チームで結論を出すと受け止めていました。今回の大臣のもとで設置される検討チームが最終的にまとめる内容は、イメージとしては競技場の内外どちらに設置されるかといった、割と抽象的な結論にとどまるのでしょうか。
(大 臣) あの後いろいろ私も考えたのですが、やはり昨日の調整会議の議論の中であったように、開会式においていろんなセレモニーをするわけですけれども、その中でやはり点火というのは最大のイベントであり、また一番神聖であり、まさにオリ・パラ精神そのものでありますから、どこでどういうふうな形で点火をするのかというのは、皆さん一番興味・関心がある行事ですから、今のうちからこれはこうですよということは、かえって好ましくないだろうと思います。ただ、先ほど言いましたように、設計をいじったりしなきゃならないのかどうか、あるいは費用が増えたりするのはどうだとか、あるいは消防法はどうだとか、こういう議論がありますから、そこは中でまずやるということです。昨日申し上げましたように、これはIOCのルールに基づいてやるものですから、改めて確認する作業だけを今回はやっていきたいと思っています。
(記 者) どちらかというと、イメージとして課題の抽出といった形になるのでしょうか。
(大 臣) 課題の抽出というと?
(記 者) 具体的に設置を検討するに当たって、どういった課題がそれぞれあり得るかというようなものを共有するイメージ、ということです。
(大 臣) そうです。組織委員会、JSC、私たちで議論が今まで若干されてこなかったというのも、前の計画のときの議論で多分済んだような気がしていたのかなということかも知れません。改めて当然、最終的にIOCと協議をしなければならないんですが、少なくとも今の段階でどういう形で進めなければならないか、場合によっては大体いつごろまでにどうしなければならないだとか、そういうものも含めて皆さんで情報を共有していきたいと考えており、そのような作業になると思います。
(記 者) もう一点、関連して。昨日の会見では、調整会議の中で過去の事例について幾つか紹介があったような御紹介がありましたが、その中で、競技場を新たに作ったところが、聖火台の設置をあらかじめ想定した設計をしていたかどうかといった点については確認されたのでしょうか。私が不勉強なのですが、そもそも競技場の設計に当たって、聖火台をどこに置くかというのを前提にしたものをこれまでやった例があったのかというような確認です。
(大 臣) それもちょっと早急にこれまでの経緯、これまでのオリンピックのときに、どのような設置の仕方をして、その後、まず点火をして、その後、どこに設置して、それでオリンピックが終わった後、それをどうしたかということについても精査をしていかなければならないと思っています。それも加えて、判断をしていきたいということです。
(記 者) 検討チームで過去の事例を研究されるというか、そういう作業も入るのですか。
(大 臣) はい。
(記 者) 念のため確認なのですが、今回の作業チームで検討するのは、聖火台をどういうものにするかというものではなくて、あくまで場所についてということでよろしいでしょうか。
(大 臣) そうです。先ほど言いましたように、サプライズ性も必要ですし、今の段階で「もうこれですよ」といったら期待感もなくなってしまうので、むしろそこはやはりある程度時間をかけて、どういう形のセレモニーにするかということを、議論していくわけです。そのような、どこにどういう形でどういうものかというのはある程度神秘性があったほうがいいと思っておりますので、それは少し丁寧に時間をかけてやっていきたいと思っています。
(記 者) この話の確認なんですけれども、ということは聖火台の場所が最終的に我々にオープンになる時期、示される時期というのはいつごろになりそうですか。
(大 臣) それは、先ほど言ったセレモニーはどういう形でやるかという中で示されるものと思っております。
(記 者) 少なくとも、4月5月の段階では示されないと。
(大 臣) そこは少なくとも私の判断としては、そこで場所を具体的にお示ししていくという形ではないと思っています。
(記 者) 今回の聖火台の場所を決めるにあたっての責任の部署は組織委員会なのか、それとも遠藤大臣のもとにあるのか。どこに責任があるのかというのははっきりしているのでしょうか。
(大 臣) そこははっきりしていて、私のところで案を作って、そして調整会議で決めますが、しかし同時にそれは、調整会議だけで決められるわけではなくてIOCとの協議になります。調整会議で具体的に案を作りIOCと組織委員会で協議して決めるという形になります。
(記 者) 今石巻にある旧国立競技場の聖火台ですが、これを使うかどうかについては、今回の検討チームで結論が出るのでしょうか。
(大 臣) 昨日そういう話もありました。ただ、まだそこまで決める必要はないと思っております。今おっしゃったように石巻にある前回のものを使う、また、新たなものを作る、そういういろいろな考えがありますから、そこはさっきも言ったサプライズも含めて考えていったほうがいいと思いますし、いろいろな皆さま方のいろいろな要望がありますから、一刀両断で「これだ」と言わずに、もう少し時間をかけていきたいと思っています。
(記 者) 昨日、IOCが定めた原則として、聖火台は競技場の観客席の皆さんから見えなければいけない、また、なるべく外からも見えるようなものというようなルールがあるということを説明されていましたが、それを踏まえて、競技場の中になければ観客からはなかなか見えないかと思うのですが、基本線として中に置く方向で検討していくという、そういう認識でよろしいんでしょうか。
(大 臣) いや、だからそれをIOCのルールに則って皆さんの意見を聞きながら決めていくということです。ただ、実はロンドンは真ん中で点火をしましたが、その後隅のほうに置きましたよね。ですから外からは見えなかったのです。これはIOCのルールに必ずしも100%合致しているわけではないので、そこは最終的に組織委員会とIOCが協議をして、こういうことでいきましょうということで合意を得れば、そういう形で進むのだろうということであります。
(記 者) 先ほど石巻のお話で、こういったものを使うか使わないかまでは決めないということだったと思いますけれども、そうしますと、新しいものを作るか古いものを使うかで随分値段も変わってくるかと思うのですが、大臣は冒頭、上限価格が振れることはないと明言されましたけれども、ここのところは、どういうふうに値段の違いというものを吸収していかれるお考えでしょうか。
(大 臣) 費用についてどうするか、今ここで少なくとも建築としての上限は超えないということについては、そのとおりです。その費用について当然ゼロ円ということではなく、少額であれ高額であれ費用はかかるわけでしょうから、その費用について、それも先ほど言いましたように、具体的にどの場所にどういうふうな形で何を使うかという議論になって、初めて出てくると思っています。まだそこの費用についての議論はしなくてもいいのだろうと思っています。
(記 者) そうしますと筋論としては、あくまでオーバーレイ分として組織委員会が責任を持って負担すべきという、今の段階ではそういうお立場ということなのでしょうか。
(大 臣) そこも含めて考えていきます。
(記 者) 昨日、関係閣僚会議では、聖火台についての話は出なかったとおっしゃっていたんですけれども、そういった話し合いが行われなかった理由を改めてお聞かせください。
(大 臣) 理由ですか。
(記 者) はい。
(大 臣) これは多分、聖火台については、先ほど言いましたように、大会のときの当然一番のメインのセレモニーで使われるわけですから、そういう中で議論されるものだろうと認識を、私も、一人一人確認しておりませんが皆さんも持っていたんだろうということだと思います。
ただ、昨日集まったときに、設計に影響するかしないかもありますから、そこでお互いに情報だけ共有しておきましょうということで、資料も作って確認するという作業にさせていただくということでございます。
(記 者) 聖火台のIOCのルールというのは原則であって、IOCと合意できればどこに置いてもいいとは思うのですが、日本人の中ではどうしても64年東京オリンピックでの聖火台のイメージが強いのです。それで関係閣僚会議で木材の使用を盛り込み、去年12月にデザインができたときに、「このデザインだったらどこに置けるんだろうな」みたいな問題意識は、関係者の中でなかったのでしょうか。
(大 臣) 聖火台について具体的にはどこに、ということについて、まだ議論はしていなかったことは事実です。先ほど言いましたように、オリンピックの大会開会式と聖火台というのは、すごいインパクトが強いわけですから、あくまでもセレモニーの一環として私も捉えており、それについては議論がなかったということだと思います。
(記 者) 公募をするときにも、設置場所について募集要項に記載がなかったということなんですけれども、当初どういうふうに聖火台について進める予定だったとか…。
(大 臣) 当初というと?
(記 者) 今回話題になる前、当初はどういうスケジュール感で聖火台について議論を進める予定だったとか、そういうところについてです。
(大 臣) ですから実は聖火台については、みんなセレモニーと一体として考えるということだったので、そこまでまだ議論していなかったということだったのです。
ただ、今言ったように当然建設するときには、先ほど皆さんから御指摘があったように、木材をいっぱい使うと、そうすると消防法が課せられますよねと、そういういろいろ皆さんからの御心配もあったので、少なくともそういうことがないように、まず一つはIOCの基準と合致する、また、今の設計を生かしながらやるとどういうふうに、どこにどうやったほうがいいか、中か外かと、そういったところの最低限度必要な分だけ今回は決めておこうということで、チームをつくることにしました。
(記 者) 先ほどの質問にも関連しますけれども、64年のときのイメージが強いという中で、遠藤大臣の個人的な御見解として、オリンピック後も競技場に聖火台はあったほうがいいという思いなのか、それともオリンピック後は外とか、ほかに移設してもいいというような思いなのかというのを、お教えいただければと思います。
(大 臣) そこは頭の中にはイメージがありますけれども、今私がどうだと言うと、その議論を決めてしまいますので、皆さんの議論を踏まえて決めていきたいと思っています。
同時に、終わった後どこに置くかについては、それは先ほど言いましたように、まだ今回は決めなくていいわけで、さっきのこれからのいろいろなセレモニーといったことを含めて議論するときに、決めていけばいいかなと思っております。
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