平成27年12月25日
閣議後定例記者会見
1.冒頭発言
おはようございます。
大臣就任をさせていただいて、ちょうど今日で丸6か月です。あっという間に過ぎ去ってしまったような気がいたします。とりわけ新国立競技場、エンブレムの問題など国民の皆さんに大変御心配をおかけしましたが、過般、新国立競技場の建築、設計会社が決定いたしました。また、エンブレムにつきましても組織委員会の中のエンブレム委員会、宮田委員長のもとで透明性と公平性を担保しながら、しっかり進めていただいております。
また、11月末には基本方針を策定して、それに基づいて、また1つ1つの取組が今進められております。そういう意味では大変充実した半年だったと、嵐のような2か月間もありましたが、大変充実した仕事をさせていただきました。
2020年に向けて、年を越せばあと4年ということになりますし、またテロ対策、暑さ対策等々なお課題が数多くありますので、私もそうでありますが、職員等も含めてみんなで力を合わせて、東京都、組織委員会との連絡を密に図りながら、これからしっかり取り組んでいきたいと思っておりますので、なおよろしくお願い申し上げます。
前回の閣議後の記者会見以降でありますが、水球男子の日本代表が84年のロサンゼルス大会以来なんと32年ぶりのオリンピック出場が決定いたしました。大変朗報であります。今まで出場できなかった種目も、こうして少しずつ出場が決定しておりますから、来年のリオデジャネイロ大会での活躍を期待いたします。それに連なって2020年大会では素晴らしい結果を出していただけるように、なお一層選手の奮闘を祈念しております。
また、レスリングにつきましては、女子5階級、登坂選手、吉田選手、伊調選手、川井選手、土性選手の5選手が同じくリオデジャネイロオリンピックの代表に内定いたしました。
女子レスリング、吉田選手、あるいは伊調選手、10連覇とか17連覇とか素晴らしい力を発揮されておりますが、これまた日頃精進の賜物でありますし、2020年に向けてまた来年の大会で素晴らしい成績を残していただくように期待いたしております。
私からは以上でございます。
2.質疑応答
(記者) 今年の締めくくりということで、1年を振り返ってお願いします。
(大臣) 先ほど申し上げましたが、6月25日に就任して、当初は東京都知事との調整がスタートかと思っておりましたが、スタートして、都知事と十分な信頼関係ができたのかなと思っております。しかし、その計画が白紙撤回されて、そして新たに整備計画を策定しろと。議長として、責任者として新国立競技場の建設に当たれということでありましたから、そういう意味でも、整備計画をつくる8月28日までの40日間は職員の皆さんはじめ、大変な御努力をいただいて、そしてそれに基づいて9月1日に公募し、12月22日に、建築会社と設計会社、ジョイントでありますが決定いたしました。
本来、もう少し早く決まるべきものであったわけでありますが、やはりオリンピック・パラリンピックは国民の皆さんのお祭でありますし、皆さん方に喜んでもらえる、協力してもらえるものでなければ到底なし得ないわけであります。そういう意味でも改めてこうした問題点があったときには仕切り直しをして、そして皆さんに理解していただけるものをつくる、そういう意味では安倍総理に、いい決断をしていただいたと思っております。
そういうことで、仕事をさせていただいたわけですが、私にとりましては大変忙しかったんですが、充実した半年でありました。多くの国民の皆さん方からいろいろなその当時は批判があり、あるいはお叱りもいただいたわけでありますから、今回、公明性、あるいは透明性を高めて、1つ1つ丁寧にJSCのほうでも手続をしていただきましたし、技術審査委員会でもしっかりした審査をしていただきましたので、そういう意味では、国民の皆さんに十分理解し、また喜んでいただけるものになったと確信しております。
サイバーセキュリティー、暑さ対策、まだまだ取り組まなければいけない課題が数多くあります。財源の問題もあります。そういうことを含めて、これからも精一杯努めていきたいと思っております。
(記者) 新年度の予算に関してお伺いいたします。所管の予算というのが必ずしも形がはっきりしていないのでお答えが難しいかも分かりませんが、お答えいただける範囲で新年度、オリンピック、またはセキュリティー関係の予算に関してお願いいたします。
(大臣) お話がありましたように役所ができたのか4月であり、私が就任したのは6月25日ということで、来年度具体的に本部事務局としての予算はそう多くないわけであります。まだそうした計画もございませんでした。ただ、11月末に基本方針を策定して、そしてそれに関連して各省庁が1つ1つ予算を計上していただいて、事務局としてはこうした計画に基づいてこれからさらに各省庁と連携を進めながら、29年度に向けて、また28年度予算は案が閣議決定をしたわけでありますが、またその後の29年度に向けて1つ1つ全ての作業をしながらしっかりした予算を組んでいきたいと思っております。
(記者) 新国立に関連してですが、旧計画をデザインしたザハさんが、デザインがよく似ているという指摘をされておりますが、その受止めと現時点でどうのうこうのうというのはないと思うんですが、今後の御対応は何かお考えですか。
(大臣) この前もお尋ねがありましたが、今般の公募に当たりましては、従来の計画を白紙に戻して、その上で、新スタジアムに必要な性能、機能をゼロベースで見直した新整備計画に基づいて事業者に技術提案を求めました。その際に、発注者であるJSCは事業者に対して、説明書の中に応募の条件として、応募者が作成する資料等は第三者の有する特許権等の知的財産権を侵害するのではないことを発注者に対して保証すること。また、応募者の当該資料等は第三者に有する特許権等を侵害し、損害の賠償または必要な措置を講じなければならないときは、応募者がその賠償額を負担し、または必要な措置を講じること、というふうに求めております。よって、事業者において適切な対応が行われるものと認識しております。
(記者) 同じ新国立でちょっと話題が変わりまして、新しく決まったデザインで、木材を多用する案が採用されたことに関連して、2点お伺いします。
政府は、東京都と組織委員会と一緒にワーキングチームをつくって木材の利用促進を進めていると思います。大臣はどこかの施設で丸々1棟に木材を使ったものができればというような御希望をおっしゃっておられましたが、そのオリンピック関連施設に木材を使う意味、狙いを改めてお願いできますでしょうか。
(大臣) まず、1つは、日本人の持つ木造の技術、日本の伝統技術、例えば法隆寺とか素晴らしい技術があるわけですが、そうしたものを世界の皆さんにしっかり認識していただく。そしてまた、木の持つ柔らかさ、あるいは木の持つ温かみ、そうしたものが選手の皆さん、あるいは観客の皆さんにそうした気持ちを持っていただく意味でも大変効果があるものかと思っています。
さらに、今、地方創生という言葉がありますが、農村部、あるいは山村部で大変山が荒れている。農業だけではなかなかやっていけませんが、農業と林業を合わせれば、そうした地域が守れる。生活だけではなくて地域が守れるのではないか。そのような議論が数多くあって、これまでも政府の中での議論やあるいは各党での議論の中にも木材を数多く使っていただいて、結果的に日本の伝統技術を守りながら、地域創生に役立つような仕組み、木材を十分使ってほしい。その要請が数多くありました。
私ももともと農村、山のすぐ側の出身でありますから、そういうものを見てまいりました。山が荒れているというのは大変残念なことであります。ただ、残念だけではなくて防災という観点からも大変危険性がありますから、そういう意味でも山村を整備するという意味からも木材の利用というのは地域創生においても大きな効果があると考えておりました。
そこでワーキングチームをつくって、木材を是非利用してくださいというお願いをしたわけでありますが、今回は、A案、B案ともに木材の利用量が多いということを聞いておりました。
ちなみに平成25年度で国が整備する公共建築物の年間使用量は、6,695?、今回のA案についてはおおむね2,000?を木材が使用されたという意味でも大きな効果があるものだと思っております。
先ほど言いましたように、日本の法隆寺やいろいろなお寺、1000年、あるいはそれ以上の長きにわたるものがあるわけですから、そうした丸々木造建築物が見られれば大変有り難かったと思っておりますが、残念ながら発注が終わっておりましたし、そういう意味でも今設計段階であるものの中のほかの建築物についてもなお一層木材を利用していただきたいと思います。それから、選手村等これからのものもあるようですから、できればそこで丸々木材の建物をつくっていただければなと思っております。
新国立の設計の中で、具体的にどういうふうな素材を使うか分かりませんが、これまで申し上げてきましたように、例えば椅子も木で使えるものがないか、こんなこともこれからあわせていろいろ要望をしていきたいと思っています。
(記者) 組織委員会の関係で二つお伺いしたいんですけれども、大会運営費に関して、1兆8,000億円ということもある中で、大臣、3日ほど前のテレビではまだ正確な数字ではないとおっしゃっていましたけれども、今のところ大臣のところに入っていらっしゃる話では、この金額はどういう見積りになっているのでしょうか。
(大臣) 今、申し上げたように、まだ精査して積み上げた数字ではなくて、いろいろな要望を聞いて、そうした数字がいろいろあったと思います。ですから、まとまって1兆8,000億という数字は聞いておりません。何よりも大事なことは、いろいろな要望があるかと思いますが、そうした必要なものを1つ1つ業務の内容を積み上げていって、そしてそれが本当に必要かどうか。それが更にいいものがあるかどうか。あるいはこれは削っていいものか、そういうことをしっかり精査した上で、その積み上げて幾らと出してくれるものだと思っておりますから、今回、どこからその数字が出てきたか分かりませんが、少なくとも組織委員会できちんと精査して出した数字ではないということでありますから、そのように思っております。
(記者) 2問目です。豊田副会長がお辞めになるということで、またお金の問題とも相まって、組織委員会の運営についての国民からの不安も出ている状況かと思います。この豊田副会長のお辞めになる原因に関して大臣はどういうふうに聞いていらっしゃるか。そして、今後組織委員会の運営に影響を与えないかどうか、この辺はいかがでしょうか。
(大臣) 組織委員会に私も問い合わせましたが、豊田副会長、もちろんグローバル企業の代表であるという忙しさもありますし、同時にオリンピック・パラリンピック等経済界協議会の会長であり、経団連のオリンピック・パラリンピック等推進委員会の委員長として、むしろ経済界をまとめて支援をするほうの立場で専念したいと。支援するほうと受けるほうと、なかなか2つの立場は難しいので、専念して支援したいということで今回は退任されました。
しかし、引き続き、今の役職、協議会の会長や推進委員会の委員長としてしっかりサポートしていただけるということでありました。
同時に、後任としてパナソニックの津賀社長が就任されたというふうなとこでありますが、経済界としてしっかり引き続きサポートをしていただけるものと思っております。どうも1年間ありがとうございました。また来年もよろしくお願いいたします。
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