平成27年12月22日


閣議後定例記者会見


1.冒頭発言
本日の関係閣僚会議の概要を、私から御報告いたします。
まず、会議では1番目に優先交渉権者、そして2番目には財源スキーム、3番目には大会後の利活用に係る検討体制の設置の3点を審議をいたしました。
まず第1の新国立競技場の優先交渉権者については、JSC大東理事長からJSCの技術提案等審査委員会の審査結果について報告があり、A者610点、B者602点との報告がありました。その後、JSCとしては同委員会の審査結果、国民、アスリートの意見等を踏まえ、優先交渉権者をA者に決定したとの報告がありました。関係閣僚会議としてJSCにおける選定が適切になされたものであることの点検を完了し、先ほど総理大臣の発言にありましたように、A者が優先交渉権者になりました。なお、今般、優先交渉権者に決定された者は、共同企業体、新国立競技場整備事業、大成建設、梓設計、隈研吾建築都市設計事務所共同企業体であります。 整備計画の基本理念であるアスリート第一、世界最高のユニバーサルデザイン、周辺環境等との調和や日本らしさ、そして木材の活用を体現したすばらしい案が選ばれたと考えております。 2番目の新国立競技場の財源スキームについては、去る12月1日に舛添都知事と馳大臣と私の間で合意した財源スキームについて、関係閣僚会議として決定をいたしました。今後、財源スキームを実施するために必要となるJSC法等の改正に文部科学省を中心に取り組むこととなっております。 第3の大会後の利活用につきましては、整備計画において大会後はスタジアムを核として、周辺地域の整備と調和のとれた民間事業への移行を図ることとされておりますので、今般、文部科学省を中心として検討体制を設けることといたしました。 今回の関係閣僚会議によって、新国立競技場の整備プロセスに大きな前進があったと思っています。国民の皆さんに大変長い間、御心配をおかけいたしましたが、今後とも新国立競技場が2020年東京大会のメインスタジアムとして、世界の人々に感動を与え、国民の皆さんが喜んでいただけるよう着実な整備を図り大会を成功に導いていきたいと決意をしております。 以上であります。
2.質疑応答
(記者)
 まず、就任以来一番の課題となっていた新国立が今日決着をしたというところで、今のお気持ちをお聞かせください。
(大臣)
 6か月、就任が6月25日、最初は東京都との調整をやれということでスタートしたわけですが、7月17日の総理の白紙撤回、再整備ということからおよそ5か月間、多くの国民の皆さんからの御意見を聞きながら、何より国民の皆さんが喜んでいただける、みんなで協力していただける、そんな国立競技場をつくらなければならないということで、役所の職員の皆さんはじめ、あるいはJSCの皆さんもそうでありますが、多くの関係の皆さん方が寝る間を惜しんで努力をしていただきました。そしてまた、技術提案等審査委員会の皆さん方もそれぞれ専門の見地からしっかり判断をしていただきましたし、また、アスリートの皆さんやそうした専門家の皆様方からもそれぞれの分野で意見を頂きました。今、正直ちょっとほっとしたかなという思いと同時に、こうした皆さん方の努力があって、今日決定したのでございますから、これから決定された業者の皆さんについては日本の技術の粋を尽くし、そして正に世界、日本の国民の皆さんに信頼できる、そうしたナショナルスタジアムを工期内に、そしてすばらしいものに是非つくっていただきたいと、そんな思いでいっぱいであります。
(記者)
 2案とも甲乙つけがたいすばらしい提案だとおっしゃっていましたが、A者になったポイントとしては、大臣はどちらだとお考えですか。
(大臣)
 詳細については、これから午後にJSCのほうで審査委員等の皆さんも入って、そして記者会見されると思いますので、そちらで聞いていただければと思いますが、私にとりましては、正に甲乙つけがたい、610点と602点、どれだけ違うのかと技術の世界は分かりませんが、正に甲乙つけがたい案でありまして、多くの皆さん方もインターネットなんかを見ても、差が余りありませんでしたし、正に日本の建築技術の粋を尽くしたすばらしい案だと思っております。その中でも、環境にしっかり配慮したと、あるいは工期について当初の計画よりもIOC等が求める期間、また、それ以上に努力もされてこられた。また、木材等についてもしっかり配慮いただきましたし、何よりもいずれ防災の拠点として舛添知事もいろんな面で御協力いただきましたし、そうした面を勘案して、こうした結果になったんだろうと思っております。
私は今でも、どちらかと言われれば、どちらもすばらしいと思っております。
(記者)
 最後に、今日で一応業者が決まったわけですけれども、今後もう二度と失敗が許されないこの計画について監督・指導していく立場として、この計画に取り組む姿勢とか決意を最後にお願いします。
(大臣)
 今日は業者が決まった第一歩です。まだまだこれからですし、そして4年ちょっとということになるわけでしょうが、いろんなまだまだ課題が多くあるんだろうと思っています。来年1月には、設計の契約をし、来年暮れには建築の契約をし、そして再来年1月、2月等には具体的な着工に入っていくわけですから、そうした中でいろんな課題あるいは問題点が全くないとは言い切れないと思っています。ですから、その度その度毎にJSCの皆さん、あるいはそれぞれの建築の専門家の皆さん等の御意見をいただいたり、何より国民の皆さん方がしっかり支えていただけるような形で、これからもしっかり関係閣僚会議の座長として点検をしてまいります。
(記者)
 改めて関係閣僚会議とJSCの役割分担についてお伺いしたいんですけれども、今回は関係閣僚会議は点検という役割ですけれども、何か閣僚会議のほうでのいわゆる政治判断というものが介入する余地があったのか、あるいは全くなかったのか、その辺どういう具体的な部分を切り分けたのか、改めてお伺いします。
(大臣)
 まず、役割分担ですが、発注者はあくまでもスポーツ振興センターであります。ですから、スポーツ振興センターの決定が最重要なポイントになります。ただ、関係閣僚会議としては、これまでのいろんな経緯もあって整備計画を私たちのもとでつくりましたので、そうしたことにしっかり基づいているのかどうか、あるいは作業の透明性や、あるいは公平性をしっかり担保しているのかどうか、そういうことについて関係閣僚会議として点検をし、そして、それに合致したということでありますから、政治的に判断をしたということはありません。
(記者)
 今日の会議の中で、関係閣僚から何らかの発言はあったんでしょうか。
(大臣)
 特段ございませんでした。
馳大臣からは、先ほど利活用の問題で、それから法案の、根拠法等の法案についての取組というようなこと、それから舛添都知事からは全面的に支援をしていくと、都としての協力体制をしっかりこれからもつくっていくと、大変有り難いお話がありましたので、なお勇気づけられた思いをしております。
(記者)
 採点結果についての疑問であるとか意見であるとかということも一切なかったということですか。
(大臣)
 それは全くありません。私も先ほどの会議で初めて610点、602点というふうなことを聞かせていただいて、改めて差がないな、これだけ接近していたのかな、それだけ皆さん方の評価が両方ともすばらしいということだったんではないかと思っておりますので、関係閣僚会議の委員の皆さん方からは、点数についての意見は一切ございませんでした。
(記者)
 この間の白紙撤回以降のプロセス、国民がもろもろ五輪の政策そのものへの不信感が強まったりした時期もあったと思います。今回の一連の選定のプロセスで、そうした国民の信頼を取り戻すことができたかどうかということについてはいかがでしょうか。
(大臣)
 就任してすぐに、この新国立競技場の問題、それからエンブレムの問題、ひたすら皆さんにお詫びをしておりましたので、しかし、そうした中でも先ほど言いましたように、お盆の最中なんかは職員の皆さん、ほとんど休まず眠らずみたいな状態で努力をしていただきましたし、また、技術提案等審査員会の皆さんにもそれぞれの専門分野から御意見をしっかり採点も含めてしていただきましたし、また、JSCの皆さん方もあれだけ大変な批判があった中で、多分それぞれの立場で苦労されたんだろうと思います。しかし、JSCの皆さんにとっても、そうした苦労を吹き飛ばすようなすばらしい形ができたと思っておりますので、そういう意味では、私にとりましてもすばらしい皆さんのまとめの結集でこうして決まったので、大変気分は爽快であります。