平成27年11月6日


閣議後定例記者会見


1.冒頭発言

おはようございます。遅くなりまして失礼いたしました。
まずロンドン出張について、御報告させていただきます。
10月28日から11月3日までの間、ロンドンを訪問してきましたので、御報告させていただきます。
今回の訪問では、まずパラリンピック関係について、パラリンピック大会の発祥の地と言われるストーク・マンデビル病院を訪問し、障害者の方々への取組が、日本ではまだまだ遅れているなと、改めて感じてまいりました。 そして同時に、クレイヴェンIPC会長との会談では、2020年の東京大会では、ロンドン大会ではオリンピックが204か国・地域、パラリンピックが164か国・地域と、40か国の地域の差がありましたが、その差をできるだけ縮めることについて、クレイヴェンIPC会長と合意いたしました。そのためには、取組の遅れている国・地域に対して、指導者の派遣や車椅子の提供などの支援をしていくことに、お互いに合意させていただきました。 また、セバスチャン・コー元組織委員会委員長、ポール・ダイトン組織委員会CEO、ジョン・ウィッティングデール文化・メディア・スポーツ大臣、あるいはトレーシー・クラウチスポーツ担当閣外大臣との意見交換の中でも、とりわけパラリンピックの重要性について、話がございました。 3つ目としてオリンピック関係では、バッハ会長に日本が提案した追加種目について、来年8月のIOC総会で、是非、御承認いただきたいということ、同時に追加種目の予選については、被災地を含めた地方で開催していただきたいということを要請させていただきました。同時にまた、ジョン・コーツ調整委員長、そしてギラディ副委員長とも意見交換してまいりました。 4番目ですがセキュリティ関係では、ジョン・ヘイズ内務省セキュリティ担当閣外大臣と意見交換し、サイバー関係の日英協議などを通じて、実務者レベルで連携していくとともに、政治家としても協力の状況を確認し合うということの合意をしたところであります。 また英国の経験を活かして、大会のセキュリティ確保に万全を期してまいりたいと考えております。 5番目でありますが、東京大会の前年に開催されるラグビーワールドカップ2019の成功は、東京大会の成功につながることであるため、ラグビーワールドカップ大会に参加し、ラパセワールドラグビー会長らと意見交換してまいりました。 今回のロンドン出張で伺った話を踏まえて、基本方針の策定に活かすなど、2020年の東京オリンピック・パラリンピック大会の準備にしっかり取り組んでまいります。 それが第1点であります。
そして2つ目ですが、1つはオリ・パラ特別措置法に基づく基本方針の策定に向けた取組の一環として、既に事務方より御案内させていただいておりますが、本日、日本障害者スポーツ協会会長兼日本オリンピック委員会会長の鳥原光憲氏と意見交換を行います。 2つ目は、週明けの9日に総務省所管の情報通信研究機構において、サイバーセキュリティを初めとする大会運営に関連のある研究について御説明いただき、総務省を交えて意見交換してまいります。
3点目ですが、新たにリオオリンピック・パラリンピック出場が決定したことについて御報告させていただきます。 まず1つはカタール・ドーハで行われた2015IPC世界選手権において陸上競技男子、山本篤選手、上与那原寛和選手、そして中川大輔選手、佐藤友祈選手が、国別出場枠を獲得し、代表に決定いたしました。 また車椅子ラグビーのアジア・オセアニア選手権において、日本代表チームが優勝し、4大会連続となるパラリンピックのリオ大会出場が決定いたしました。大変うれしいことでありますし、リオデジャネイロ大会で、全力で頑張っていただきたいと思っております。 こうした各選手・各チームの出場が、なお一層リオ大会での成功につながり、同時に選手の皆さんの頑張りが、2020年東京大会を大いに盛り上げることにつながってまいりますので、一層の御活躍を期待申し上げる次第です。 私からは以上でございます。

2.質疑応答

(記者)
4日の夜にオリンピック・パラリンピックの大会組織委員会にサイバー攻撃と見られる事象がありました。大臣の受け止めと、あと、既にとられた措置等ございましたら、お願いいたします。
(大臣)
御存じのように11月4日の夜、公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の公式サイトが停止し、昨日午前9時過ぎに復旧したとの報告を受けております。
サイバー攻撃の可能性が高いというふうなことでありますが、組織委員会の公式サイトに対し、短時間に大量のアクセスがあったため、サイバーの運営会社が、同サイトへの通信を遮断したためと聞いております。詳しい原因を含めて、詳細については、引き続き組織委員会において調査を継続していると聞いております。
今回の公式サイトの停止により、すごく大きな混乱を生じたとは認識しておりませんが、サイバーセキュリティは、2020年大会の安定した運営の最重要課題の一つでありますから、このようなサービス停止を招かないよう、組織委員会を初めとする関係機関と緊密に連携して、しっかりと対応してまいりたいと考えております。
(記者)
ロンドン訪問についてですけれども、大臣からバッハ会長におっしゃった追加種目の予選の被災地での開催ですけれども、バッハ会長の反応はどんな様子でしたでしょうか。
(大臣)
当然、決定は来年8月、リオでありますから、私のほうからお願いし、それについては、特段、するもしないもありませんで、そういう提案は聞いておりますということにとどまっております。
(記者)
来週水曜日から秋の事業レビューというのがございますけれども、その中でJSCの運営費交付金を初め、オリンピック・パラリンピック関連の予算が見直しの対象に上がっていることについての大臣の意見を伺いたいのと、あともう一つ、同じく各省庁から便乗予算という形と思われるようなものが上がってきていることについての大臣のお考えをお願いします。
(大臣)
2020年東京オリンピック関連予算として、3事業が対象になったということについては承知しております。オリンピック・パラリンピックの成功、これはもちろん大切でありますから、メダルを取る、あるいは安定した運営をするためにも、必要な予算はしっかり確保しなければなりませんが、反面、行政改革や財政再建も政府としては大変重要な課題であると認識しております。
私としましては、東京大会の成功はもとより、2020年の東京大会を、日本が大きく変わる、次の時代に向けてのレガシーとして、しっかりとした位置付けをしたいと考えております。
このような観点から、各省庁において予算要求においては、様々な工夫をしていただいたものと考えております。
オリンピック・パラリンピック関連の予算についても、当然、行政改革や予算編成過程の中で、政府として費用対効果のバランスのとれた優れた政策を実施することが重要だと考えておりますから、そうした意味で、しっかりと文部科学省あるいはスポーツ庁において、しっかりと説明していただきたいと思っております。
JSCの運営費交付金が行政レビューに入っていることにつきましては、もともとスポーツ議員連盟での議論を踏まえて、そして選手強化の経費がオリンピック・パラリンピックとも、今年度からJSCに一元化されております。この趣旨は、2020年大会で過去最高のメダルを獲得するために、オリンピック・パラリンピックとも戦略的な資金配分をするために実施するというものであります。
今回のレビューにおいて、こうした点が確実に実現できるように、改めてスポーツ庁において、しっかりと説明してほしいと思っております。
(記者)
そのレビューの、特にJSCの交付金に関する行革の側が設定している主な論点の中で、成果目標を設定するとか、あるいはPDCAが確立されているかとか、要するに、これまでの選手強化が効果的だったのかどうかという問題意識が反映されていると思うのですが、スポーツ庁の設置に携わったお立場で、これまでの強化の在り方が、果たしてそういう国民の疑問に答えられるような透明性が確保されていたのかどうか、そのあたりのお考えを改めてお聞かせいただきたいのです。
(大臣)
これは、これまで議員連盟の中で、とりわけ私、座長としてスポーツ庁の設置等の議論の中でも話してまいりました。大変残念ながら、公益法人等のいろいろな問題の中で、例えばJOCからの負担について透明性が保たれていないとか、いろいろな指摘があったわけでありますから、そういうことを踏まえて、それからもう一つは、資金がいろいろなところからばらばらと流れてくる。ですからそういうことを踏まえて、透明性を高めた上で一本化して、なおかつ戦略的にやっていこうということが最大の課題でありましたから、そういう意味で今度スポーツ庁ができて、正に一元化して、しっかりとした形で透明性を高めて進めていただきたいと思っております。
(記者)
今のレビューに関係しまして、それから便乗予算のお話がありましたけれども、大臣御自身はオリンピックに関する全ての予算を取りまとめられる権限はないかと思うのですけれども、そのせいもあってか、ほかの省庁において、例えば今回のレビューだとオリンピックで選手に渡すお花を、夏に花を作るための事業というようなこともやり玉に挙げられていますけれども、大臣が手の届かない範囲でオリンピックという名目で、予算がくくられる可能性があるということに関しては、どういうふうにコントロールしていくということでしょうか。
(大臣)
そういう意味では、行政レビューで、費用対効果を含めてしっかりやっていただきたいとは思っております。ただ、先ほど言いましたように、成功の条件は私が前から申し上げておりますが、安心・安全な運営であり、またメダルを獲得することであり、レガシーをしっかりと作っていくことでありますから、そういう観点の予算については各省庁がしっかりと知恵を働かせて、そしてなおかつ、そうした行政改革の趣旨を踏まえながらもやっていただきたいと思っております。
(記者)
例えば一億総活躍でしたらば、国民会議でどういう事業を作るかというのをまとめたりするわけですけれども、オリンピックに関しても、例えば閣僚会議等で、オリンピックに関する事業というのを取りまとめるとか、そういうふうなことはあり得るのでしょうか。
(大臣)
一つ一つの事業がどこまでで、オリンピックに関係するかということについて、まだ役所自体ができた段階で、もう既に概算要求が進んでおりましたので、そういう整理ができていなかったことも事実だと思います。
そこで少なくともこれからそうした観点から、各省庁の中で、先ほど言いました成功させるためにどういうものが必要か、どういう予算の取組が必要か、そこについては、把握してまいりたいと思っております。