首相官邸 首相官邸 トップページ
首相官邸 カテゴリーなし
 トップ会議等一覧知的財産戦略本部 [印刷用(PDF)]


2009年度 有識者本部員会合(第1回)議事要旨


日 時:平成21年4月17日(金) 14:00〜15:55
場 所:知的財産戦略推進事務局会議室
出席者:相澤本部員、角川本部員、佐藤本部員、里中本部員、中山本部員、
野間口本部員、長谷川本部員、松本本部員、山本本部員


事務局から「知的財産推進計画2009」の策定スケジュールについて説明が行われた。
有識者本部員会合は非公開とし、議事概要を公開すること、また、有識者本部員会合で配付された資料は原則非公開とするが、「知的財産推進計画2008」の見直しに関する意見募集の結果については公開することとなった。
「知的財産推進計画2009」は平成21年4月6日に決定された「第3期知的財産戦略の基本方針」(平成21年4月6日)に沿ったものとすること、前年度の施策の実施状況に対する評価結果の透明化を図ること等の基本的な策定方針について事務局から説明が行われ、了承された。
務局から「知的財産推進計画2008」の実施状況に対する評価、「知的財産推進計画2008」の見直しに関する意見募集(本年3月13日から3月25日まで実施)の結果及び「知的財産推進計画2009」重点施策(素案)について説明が行われ、これに関し、自由討議が行われた。本部員からの主な意見は次のとおりであった。
 
 (全体構成)
 どのような知財人材を育てていきたいのかといったトータルなグランドデザインを推進計画のどこかに示すべき。
 知財人材育成といったインフラベースの議論は、第3期基本方針の5本柱と並行して横の軸で考えていく必要がある。それを縦割りのこの5本柱だけに注目して分散化してしまうと、そのインフラ的なベースのグランドデザインが見えにくくなる。よって、推進計画の中でそれが見えるような工夫がされるべき。
 1つの項目だけを見ると、全体を横串通した事柄が見えなくなるが、ここの縦割りの中に入っている項目がほかの項目に関係するというのはある。例えば1番のイノベーションの中に入っている特許制度の在り方は、すべてに関係しているが、イノベーションとの関連でしか特許制度は改革されないと誤解されるおそれが無いようにすべき。
 5本柱の整理は適切である。推進計画をより分かりやすくするとすれば、それぞれの5項目の中で構造や仕組みを変える問題なのか、あるいは人材育成をするべき問題なのか、あるいはルールを変える問題なのか、もっと予算をつけましょうという話なのか、そういったまとめ方をすればよいのではないか。
 コンテンツをたくさん生んで、それを世界に広めるには、ポータルサイトを作り、1カ所にアクセスすればあらゆるコンテンツがすぐ発見でき、内容、権利者が分かり、だれに幾ら払えば使えるのかが分かって、かつ処理が簡単にできるようにすることが必要。
 コンテンツ産業、ソフトパワー産業の支援には2つの意味がある。1つは著作権の管理などが、デジタルネットワーク時代に対応していないためソフトパワー産業の成長を阻害しているという問題。これは知財問題として大いに議論して、いい方向を見つけていかなければいけない。もう一つの問題、ポータルサイトをどうするかとか、それへのアクセスを如何に増やしていくかというのは本来的には産業育成策、産業強化策として別の場で論じられるべき。
 14兆円のコンテンツ産業を20兆円にするにはどうしたらいいかという論議の中で、やはりポータルサイトの問題を知財で取り上げていくことも非常に重要ではないか。
 大学や企業の研究開発が利用するジャーナルについて、そのほとんどが外国の電子ジャーナル会社によって管理され、価格統制されているため、研究進展の大きな阻害要因になっている。非常に高いお金を払わないと大学はジャーナルが読めず、国会図書館と大学の図書機構が力を合わせても太刀打ちできない。このような問題も取り扱うべきではないか。
 
 (総合プロデュース機能)
 総合プロデュース機能をどのように作るかということを具体的に示す必要がある。
 重点分野、将来の産業の行方に大きく影響するような知財については、個々の個性、独自性、イニシアチブは尊重しながらも、オールジャパン体制を考えるべき。
 特に国家の支援を受けている研究開発から出てきた知財については、できるだけリーズナブルな価格で利用ができるよう、ガイドライン的なものを考えるべき。
 
 (産学連携)
 学生の発明は職務発明ではないが扱いをどうするべきか。企業と大学が共同研究を実施する際、共同研究で生まれた発明の扱いについて契約を行うが、ほとんどの共同研究には学生が入っており、約束できない部分が契約の中にあるという問題がある。それは企業、大学双方にとって大きなリスクであり、産学連携を妨げている。
 産学連携の費用と収益と評価の問題解決を図る必要がある。
 総合プロデュースの1つのファクターとして、大学の中に本当に知財が分かる人を育てていくべき。各研究室の中のポスドクや准教授が外へ出て、インターンシップ等によるOJTで実際に自分の研究を外から見る。こういった取組により、特許を見ることができる人たちを大学の中に作ることが必要。
 いわゆるコンセプト特許を我が国としてどの程度まで踏み込んで認めるか議論を行うべき。
 大学等の専門分野の現場と弁理士のマッチングシステムのようなものを作り、数少ない資源(各特殊専門分野に対応できる弁理士)をより有効に活用して成果を生んでいくということを考えており、その辺も視野に入れて、このプロデュース機能を本当に実現できるような仕組みを早期に立ち上げるべき。
 知財投資会社への特許譲渡に対して、アカデミアでの知財をどう扱うべきか、どうあるべきかということを議論しておくべき。
 
 (中小企業対策)
 日本知的財産協会では毎年1万8,000人の研修を行っているが、そこで研修を受けるのは大体中堅企業以上。中小企業で知財に取り組みたいが、そこまで手が回らないという話を多く聞くので、そういうところまで目の届く戦略とすべき。
 
 (アジア地域における知的人材の育成)
 アジア諸国に対する知財人材育成への支援について、1人の人間を日本に複数回呼び、本当に日本の味方にするというぐらいのフレンドリーなサポートをすべき。今回は日本に来たが次回はアメリカに行くというのでは努力の効果が中途半端になってしまう。知財は、アジア等にネットワークをつくる大変いい項目であり、知財を通して日本がアジアのハブになるといった考えで取り組めば、長期的には効果が大きい。
 
 (実施状況に対する評価)
 担当のところだけが評価する、あるいは事務局だけがそれをチェックするのではなくて、よその省庁等から見ての感想とか客観的評価とか、そういうのも入れるべきではないか。
 
 (その他)
 第3期というのはグローバルな知財競争力の強化というのがメインの柱であり、そのために本当に何が必要で何をしなければならないのかという議論をすべき。日本は技術力、特許力ともあるが市場で負けておりこの理由は何か。しっかり分析して、各セクターがどのような課題に取り組まなければならないのか議論すべき。
 選択と集中ということをやって、何が大事かと、何をこの会議で議論すべきかという点を煮詰めて、そこをもっと重点的に深くやる、徹底してやるという方向性が必要。
 
(以上)