知的財産による競争力強化・国際標準化専門調査会 知財人財育成プラン検討ワーキンググループ(第6回)
- 日時 : 平成23年12月22日(木)15:00~17:00
- 場所 : 知的財産戦略推進事務局内会議室
- 出席者 :
【委 員】 |
妹尾座長、青山委員、荒井委員、上條委員、佐々木委員、澤井委員、末吉委員、 杉光委員、住川委員、高倉委員、中島委員、本田委員 |
【事務局】 | 近藤事務局長、上田次長、芝田次長、安藤参事官、髙原参事官、藤井政策参与 |
- 議事 :
(1)開 会
(2)「知財人財育成プラン」(案)について
(3)閉 会
○妹尾座長
それでは、定刻になりましたので、始めたいと思います。
皆さん、こんにちは。ただいまから「知財人財育成プラン検討ワーキンググループ」の第6回の会合を開催いたします。
年末の御多忙のところ、何という時期に開くんだと言われるかもしれませんけれども、御参集をいただきまして、誠にありがとうございます。
本日は知財人財育成プランの案がいよいよ出てきましたので、それについて議論を進めたいと思います。
本日、八島委員から御欠席の連絡をいただいております。青山委員と本田委員は遅れているということで承知しております。
関係省庁からは、特許庁総務部企画調査課から後谷課長に御参加いただいております。よろしくお願いいたします。
それでは、開会に当たり、近藤局長からごあいさつをいただきたいと思います。
○近藤局長
本日もお忙しい中をお集まりいただきまして、本当にありがとうございます。この会合ももう6回目でございます。年末のお忙しい中をお集まりいただいたことに感謝申し上げます。
妹尾先生は風邪をひいておられまして、私からうつされたのではないかと言われているのですが、私は妹尾先生からうつされたのではないかと思っております。実は私の方がちょっと先にひきましたが、私はやっと脱しましたので、妹尾先生も今が一番最後のしんどいときで、次回会合のときは大丈夫だと思います。年内最後ですから、よろしくお願いします。
本当に諸先生はお忙しい中、お集まりをいただきまして、感謝を申し上げます。知財の人財の議論というのは、ある意味、地味ですけれども、本当に大事なことでございまして、将来をにらんでしっかりと議論をしたいと思っております。
今日、骨子の形でかなり突っ込んだ議論をさせていただいて、年明けの次回会合で最終取りまとめに至ることができるように我々としても準備をさせていただきました。是非御議論のほど、よろしくお願いいたします。
ありがとうございました。
○妹尾座長
どうもありがとうございました。
お聞き苦しいことは近藤局長のせいだと御理解をいただいて、お許しをいただければと思います。
それでは、早速、知財人財育成プラン(案)を検討してまいりたいと思います。
事務局から資料の説明をお願いいたします。
○髙原参事官
それでは、まず資料の確認をさせていただきます。
議事次第に続きまして、資料1が、本日御議論をいただきます「『知財人財育成プラン』(案)」です。席上配布(委員限り)とさせていただいております。
資料2が「今後の進め方について」という1枚紙です。
参考資料1が前回第5回会合における主な意見です。
もし不足等がございましたら、お知らせいただければと思います。
○妹尾座長
それでは、進めてください。
○髙原参事官
それでは、資料1について、 前回のプラン骨子からの変更点を中心に御説明いたします。
第1章~第4章の構成は変わっておりません。
「第1章 状況変化と情勢認識」です。
1ページの2つ目のパラグラフに関して、前回会合で、権利の取得のところに焦点が当たり過ぎていないか。活用の観点も含めて、情勢認識、背景を少し書き直してはどうかという御指摘がございまして、第2パラグラフを修正しております。
1ページの一番下ですが、偽造品の取引の防止に関する協定、ACTAに関する動きにつきまして1つパラグラフを加え、エンフォースメントに関する記述を充実させております。
2ページ「(『知財人材育成総合戦略』の経緯)」の2つ目のパラグラフの冒頭1行目に関して、前回の総合戦略でも国際化を意識していたという御指摘をいただいております。これを受けまして、知財活動の国際化に対応する人財育成に端緒を開いたものであるというところを加えております。
3ページ、2つの絵が真ん中に並んでおります。その絵の上の部分に枠囲みの形で、最終的に何を目指すのかという観点で、「国際競争力の強化」と明記しております。
4ページの冒頭に、3ページの2つのモデルの関係につきまして、移行重点化という単純な形だけではなく、両モデルがビジネス戦略に応じて使い分けられたり、両モデルが各段階で相互に連関しながら、互いに組み合わさって進んでいったりということを明記するために、新たなパラグラフを加えております。
その下にまた絵が並んでおります。これは前回、別添資料も使いまして、御説明をした部分ですが、前回御意見をいただき、もう少し整理が必要ではないかということで、検討の余地が残っておりますが、前回の形で残しております。ここは、場合によっては、次回に修正したものをお示しすることになろうかと思います。
6ページに「(複合的人財育成の必要性)」というタイトルを加えております。先ほど、2つのモデルが相互に関連して、組み合わさって進んでいくと申しましたが、総合戦略と今、策定を目指しております人財育成プランの関係はどうなのかという点について、これからつくる人財育成プランは、技術起点型サイクルモデルを支える人財育成の確保を主なターゲットとしていた総合戦略と相互補完的に実施されるものであると。人財育成プランは、総合戦略に加えて、新たに対応することが必要になった課題に対する施策を盛り込んでいくものだということで、我が国の知財人財を複合的に育成し、国際競争力の強化を目指していくものであると書いております。
同じページの最後のパラグラフでは、このプランについて、事業起点型サイクルモデルを支える人財育成確保といったところを主眼として、さらに、その2つのモデルを複合的に進めるものであるということを踏まえて、今後10年を見越した上で、中長期的にどのように取り組んでいけばよいかという方向性を示すものと整理をしております。
そして、具体的にどのような施策を講じていくべきかについては第4章に書いておりますが、これらは、今後、短期的に取り組むべき施策を示していると。総合戦略では、まずは3年間で集中的に実施する施策を列記すると整理されておりましたが、今般の人財育成プランでは、第4章の各施策については、まず1-2年程度の短期でどのように取り組んでいくかという整理をしております。情勢変化が激しいこの時代にあっては、この人財育成プランの施策についても、その結果をしっかりと検証しながら、適時に内容の見直しをしていくことが必要と考えております。
「第2章 知財人財育成・確保の現状と課題」について、前回は項目のみを示しておりました。脚注の部分にもありますように、特許庁で調査研究を進めていただいている中で、その調査結果を踏まえながら現状を把握し、今後求められる人財像はどういうものかをセクター別にまとめたという構成になっております。
2つ目のパラグラフ以降で量的なところを書いておりまして、企業の知財担当者は2005年以降、同程度の水準を維持しているということですが、事業戦略や研究開発戦略と一体化した知財戦略を理解して、そういった戦略の立案、遂行に積極的にかかわっていく姿勢と能力を持った人財が求められております。
弁理士の世界でも2005年の約6,500人から2010年時点で約8,700人と増加しておりますが、今後グローバル化への対応や企業に対する知財コンサルタント機能といった観点で一層の活躍が期待されております。
特許庁の審査官に目を向けましても、任期付審査官約500名の採用により、全体で1,700人程度になっておりますが、将来的な英語による審査も念頭に置きながら、グローバル化への対応を急ぐ必要があります。
その他の各セクターにおきましても、量的にはある程度、人財の整備が進んでおりますけれども、グローバル化あるいは事業起点型サイクルを支えるという観点での人財育成の取組みが必要になっております。
第2章冒頭の総論に相当する部分の最後、海外の動きということですけれども、欧米でもビジネス戦略と知財戦略との一体化が課題になっております。前々回に御報告を申し上げましたように、アメリカ、例えばハーバード大学において、事業戦略と知財戦略の一体的推進に向け、ロースクール及びビジネススクールが連携した取組みが実施されております。また、米国特許商標庁においても、外国政府機関関係者、更には米国内の中小企業の方々に対しても知財教育が行われております。
各論につきましては、今後求められる人財像を中心にご覧いただきたいと思います。
例えば「企業における知財人財」については、8ページの一番下の部分になりますが、我が国企業の競争力強化のために、事業戦略と研究戦略といったものと一体化した知財戦略が必要であり、そうしたことを理解して、その戦略の立案・遂行に積極的に関与する姿勢と能力を持つ必要があります。
9ページ以降、大企業を念頭に置いた記載ぶりになっておりますけれども、こういったことは何も大企業だけではなく、2.のすぐ上のパラグラフにありますように、中小企業においても、専任者を設けるか、あるいは兼任者にするかという点はおくとして、社内に知財マネジメントの担当者を確保していくことが非常に重要です。中小企業向けの支援策などの外部リソースの活用を含めた取組み、大企業とは異なるタイプの人財育成・確保も求められます。
「2.知財専門人財」も10ページの中ほどをご覧いただきますと、大企業の目線で見て、企業外部の弁理士あるいは弁護士の方を活用する場合には、そのような外部専門人財が事業戦略、知財戦略に関する知識を持っていることが前提になるということです。まさにそういった知識を持ちながら、企業の事業活動に貢献できる人財が求められていると書いております。中小企業に関しましては、事業の方向性、知財人財の活用も含めたビジネス全体に対する総合的な支援ができる。そういった専門家としての知見を活用できるような方が必要ではないかということです。
「3.行政機関などにおける知財人財」の最初が「特許庁における審査官・審判官」です。
11ページの中ほど以降に書いておりますのは、企業の事業活動のグローバル化が進む中で、国際的に通用する安定した権利が真に求められるようになっているということでして、これまでの技術起点型のモデルから事業起点型のモデルへ移行する。あるいは両方併せて進んでいくというような時代になっております。こうした状況に対応して適切に権利設定をしていくということが求められておりますし、特許だけではなくて、意匠・商標も含めて知財が複合的に活用されるようになっております。
このような意味で、審査・審判官の外国語能力の強化、あるいは最新技術を含めた的確な技術動向の把握、技術的な対応幅の拡大、法律の専門性の涵養といったところが求められるということです。さらに、ユーザーニーズに対応した特許行政の遂行という観点から、特許庁職員の庁外での活用の拡充、あるいは官民交流の促進というところも書いております。
裁判官につきましては、12ページ中ほどですが、技術の急速な進化、複合化に対応するために、それを即した知見が必要になってきており、裁判官のローテーションシステムは基本的には維持しつつも、必要な専門的知識については専門委員や調査官の活用によるサポートシステムを強化する必要があるのではないか。あるいは外国で知財を勉強している若手の裁判官の方については、帰国後にその経験、知見が活用できるような場を与えていくことが期待されているのではないかということです。
続いてエンフォースメントに関する職員については、第1章にACTA関連の記載を追加したと申し上げましたけれども、こういった動きも受けまして、13ページにおいて、引き続きその模倣品、海賊版を確実に取り締まっていくため、必要な知見、調査能力を有する人財が必要になっているとしております。
これまで申し上げたカテゴリーには当てはまりにくい、「各分野の産業に関係する政府職員」という項目も設けております。従来から、例えば特許庁以外の政府機関関係者に対しましても、工業所有権情報・研修館による知財関連の研修が行われてきております。
また、特に国際標準化というコンテクストでは、知財事務局でも国際標準化セミナーということで、昨年来2度、関係府省の幹部の方を含む職員にお集まりいただいて、セミナーを開催しておりますが、こうした取組を更に強化していく必要があるということです。総合的な知財マネジメントという観点も含めて、知財戦略に関する見識を備えて、担当するそれぞれの行政分野の政策を展開できるような人財を確保していく必要があるということです。
少し飛ばしまして、「4.研究機関における知財人財」は14ページになります。企業からは、産学連携本部やTLOで知財活動に従事する人財に対して、迅速、柔軟な対応ができる人財といった要望があります。大学発の技術シーズを起点とした「技術起点型サイクルモデル」と企業の事業目線に立った「事業起点型サイクルモデル」を複合的に実践し、知財のマーケティングができるような人財の育成・確保が今後必要になってくるということです。
「5.教育機関における知財人財」のうち、知財専門職大学院、MBA、MOTということですが、15ページの初めにありますように、効果的、具体的な事業戦略、知財戦略に関する事案研究が必要になってくるのではないか。一方で、そうした事業戦略を教えることのできる人財も確保していく、増やしていく必要があるのではないかということです。
以上を第2章の主なセクターの説明といたしまして、16ページの6.には、冒頭の総論のところにもありましたように、「海外における知財教育の現状」として簡単にまとめさせております。
続きまして「第3章 知財をめぐる将来の姿と知財人財育成の関わり」に関しましては、前回の討議資料でも4つほど、知財をめぐる10年後の状況について項目を示しておりました。今般、冒頭に2項目加えておりまして、まず1つ目の○は、企業におけるグローバル展開が一層加速をしている状況。これがあるのではないかということです。
製造拠点、調達拠点が海外に出ていってしまう。知財部門はどうなるのか。勿論、グローバル展開は加速をしますが、知財機能は地域の特性に応じて多拠点に分散し、それぞれの拠点が協調する形に移行していくのではないか。そのような動きが顕著になるのではないかということを書いております。
2つ目の○ですが、事業部門と知財部門の融合化が一層促進されるという状況でして、企業においてビジネスモデルの企画立案に熟知した事業系の人財と知財マネジメントを熟知をした知財系の人財とがインタラクティブに活躍をしていく時代になっているのではないか。
このような2つの項目を加えた上で、前回までに書いておりました4つの項目を、知財の活用という観点で整理をし、順番を若干変えておりますが、内容的には、基本的に前回のものと同様です。
19ページ以降の第4章の「(総論)基本的な考え方」は、大きく変えておりません。
21ページ、知財人財育成プランの実行イメージの図を載せておりますが、こちらは前回、委員からの御指摘、人財育成の目的は事業起点型サイクルを支える人財を育成すること自体ではなく、国際競争力の強化であるとの御指摘を踏まえまして、一番上に「国際競争力の強化」という目標を明示しているところです。
各論の部分は、前回項目だけ示しておりましたものを施策として具体的に書き込んでおりまして、22ページ以降になります。
まず、「1.事業起点型サイクルを支える知財人財の育成」です。「(1)事業戦略的な知財マネジメントができる人財を養成する場を形成」していく必要があるのではないかということです。海外から講師を招いて、広い視野を持ち、国際競争力に貢献するようなハイレベルな知財人財を育成していくようなコース、カリキュラムを提供していく必要があるのではないか。これが1点目です。
2点目「(2)知財マネジメント戦略に関する研究の推進」、国内外の情報収集・分析を総合的に行うような研究拠点、つまり、知財マネジメント戦略の研究拠点を整備していく点について、前回は項目のみでしたが、こうした研究分析の場を整備していくという内容を追記しています。
こういった研究拠点での研究成果を(1)に述べております、「事業戦略的な知財マネジメント人財を養成する場」において有効に活用できるように、例えば教材を提供するという施策を書いております。
この(1)、(2)が今までなかった事業戦略的な知財マネジメント人財という観点でどのような施策を講じるかという、2つの大きな項目です。
これらの2つの項目に関連した施策を通じて、企業、産業界の競争力強化を図る上で、例えば特許庁においてどのような施策に取り組むのか。さらに、専門家として、弁理士を含めた専門人財セクターからどのような貢献ができるのかといった項目が(3)、(4)です。
(3)には、特許庁関連ですけれども、将来的な英語による審査も念頭に、グローバル・ネットワーク時代に対応するための特許審査を始めとした体制整備を進めるということです。前回、特許庁から、将来の人財育成の方向性について御説明いただいておりましたが、その提言も踏まえまして、ア、イとしてまとめております。
アの最初の施策は、「多言語に対応できる人財の育成」でして、英語を中心とした多言語に対応できる能力を備えた審査・審判官、更には事務官、特許庁全体の人財能力を向上させていくというところです。
その下、前回の骨子には盛り込んでおりませんでしたけれども、3つほど新たに施策を書き込んでおります。「先進国を含めた海外の知財制度を深く理解する人財の育成」、これは、外交交渉の場も含め、国際議論をリードする人財の育成・配置を行うということ。次に、アジアを始めとした新興国に適切な知財システムを整備していくこと。
グローバル展開という観点で、審査・審判の品質の問題も避けて通れませんが、イの最初は「審査品質を管理する人財の育成・確保」です。特許審査の品質管理の向上は、知財計画2011にも体制強化という内容で盛り込んでおりますが、それを踏まえて、品質管理体制の強化を図るとともに、国際水準での品質管理ができるような人財の育成確保をしっかりと行っていくことが必要です。
さらに、「技術対応幅の広い審査官(審判官)の育成」。さらには、24ページですが、「事業起点型の知財戦略に対応した権利取得を支援する審査官の育成」が必要ではないか。例えばパテントポートフォリオの構築というような観点からどのような権利設定がふさわしいか、というところも含めたビジネスの素養を持った審査官の育成を図っていくということです。
また、審判の世界でも審理の質を向上する必要があります。審理手続も含めまして審理の質を上げるために、法曹人財を活用して審判官を研修していくということにより、法律に強い体制を整備していくということです。
(3)の最後に書いてありますのは、任期付審査官の活用です。変化する国際情勢あるいは企業の知財戦略に対応して、任期付審査官の活躍の場もしっかり確保していく必要があります。2014年以降、最初に採用された方の任期が来るわけですが、庁内外において任期付審査官の知見や能力を最大限に活用するようなスキームを考えていく必要があるということです。
(4)は、「グローバル競争時代の企業の事業活動に資する専門家の育成・確保」ということです。グローバル化への対応、中堅・中小企業へのサービスの拡充に向けた、弁理士の方の活動機会の拡大です。
24ページの一番下は、グローバル対応でして、例えば海外の活動機会を増やす環境整備も含めまして、外国制度・運用に関する知見を深めるための場を充実させていくということです。
25ページの初めは、中堅・中小・ベンチャー企業の事業活動に貢献できる弁理士を育成するために、例えば、知財総合支援窓口での関連業務への参加を進め、知財マネジメント能力などを含た幅広い能力向上を図っていくというところを書いております。
続いて「(5)中小・ベンチャー企業における知財人財の育成・確保」です。知財総合支援窓口も本年4月から活動をしておりまして、全国で非常に多くの方が相談にみえ、前回の専門調査会では、10月末までに、5万人を超える相談があったという報告がありましたが、そのような相談への対応を通じた知財人財の育成ということがまずあります。
さらに、このような知財総合支援窓口とビジネス支援図書館がうまく連携をした形で、知財の活用に関する情報提供をしていく。あるいは相談に乗るといったことを通じて、地域の中小企業における人財育成にも貢献することを奨励していくということです。
その下は、「知財人財育成のための検定制度の活用」です。知財管理技能検定につきましては、杉光委員から制度の内容について御説明をいただいております。これまでは中小企業支援施策を的確に活用していくという観点も含めた知財マネジメントができる人財の育成が十分には意識されておりませんでしたので、今後、中小・ベンチャー企業がこのような支援施策も含め、外部資源を有効に活用して、知財マネジメントをしっかり行っていく、このような体制の構築を目指して、新たな試験区分の創設に向けて、検討を行っていったらどうかということです。
「2.知財人財の裾野を広げる」は底辺の拡大、引き続き、知財教育を充実させていく必要があるということです。25ページの一番下は、教員に対する知財教育研修を充実させていくという内容です。
26ページの上にありますのは、学校や地域における知財教育を推進していくということです。大学生あるいは地域の児童生徒・住民の方を対象とした科学技術の普及啓発活動の一環として、例えば、弁理士の方を始めとした知財の専門家の方を派遣する取組みを促進していくということです。
最後の3番目の柱として整理していますのが、「知財人財育成プラン推進体制の整備」ということです。2006年の総合戦略に基づきまして、「知的財産人材育成推進協議会」が設置をされて活動を行っておりますけれども、今後、グローバル・ネットワーク時代にふさわしい知財人財の育成に向けた新たな体制整備が必要ではないかということです。
1つ目の施策として、研修機能を強化していく。これまでもオープンセミナーのような活動も行われてきておりますが、今後、そのようなセミナーの定期的な開催、参加者、テーマの充実を促していくということ。
2つ目は「政策提言機能の充実」と書いておりますが、「知的財産人材育成推進協議会」に対して知財マネジメントという観点での人財育成を進めていくために、今の構成メンバーに加えて、新たなメンバーを加えながら、政策提言機能を向上していけないかということを書いております。
以上が各論に関する説明でございます。
26ページの次のページからは「参考」ということですが、総合戦略において政府が採るべきとされた施策を各セクター別に整理したものです。こちらにつきましては、詳細な説明は割愛させていただきます。
ここまで、資料1については一とおり説明を申し上げました。前々回の会合でしたか、特許庁から委託調査の中間報告をしていただきましたけれども、その際に委員の方からいろいろ御指摘がありました。それを受けたフォローアップといいますか、追加で作業をしていただいた内容について、特許庁の後谷課長から簡単に補足をしていただくことでよろしいでしょうか。
○妹尾座長 後谷課長の方で前回のフォローをしていただけるということですね。それは是非お願いをしたいのですが、資料は特には用意をされていないですか。
では、お願いします。
○後谷企画調査課長
ありがとうございます。
第4回のワーキンググループで、調査の中間報告をさせていただいた際には、いろいろと御指摘をいただき、ありがとうございました。委員の方々から御指摘をいただきました事項を踏まえまして、追加で調査を実施いたしました。具体的にはヒアリングの内容、アンケートの内容につきまして見直し、また、ヒアリング先につきましても拡充しまして、調査を実施いたしました。
特には、アメリカの弁護士の意見を聞いてはどうだろうかという御意見。例えばフィネガンのような推薦もいただきました。また、知的財産技能検定の1級の取得者の方々、先端知財人財育成オープンスクールの修了者の意見を聞いてはどうだろうか。このような御意見をいただき、この辺りを中心にヒアリングを実施させていただきました。
荒井委員からは、アメリカの大学では知財のマネジメントの重要性は認識しているけれども、授業としてはなかなか進んでいない、一方企業として実施できているのは、その後のOJTの影響ではないかというような御指摘をいただきましたので、そこも踏まえましてヒアリングを実施してございます。
今のアメリカの点でございますが、幾つか代表的なヒアリングの結果を御紹介させていただきたいと思います。例えば日本の企業は知的財産権侵害の事実を知っていても、訴訟を極力避けるような傾向にあります。一方、米国企業は当然訴訟を起こす、これは訴訟も辞さないという態度を見せないと足元を見られてしまうからであるといったような御意見でございます。
2つ目でございますが、日本企業は交渉力に欠けているのではないかという御意見。単に現在の紛争を解決するための交渉力ではなくて、将来の事業展開を見据えての交渉力がないのではないかという御指摘です。
また、日本企業は欧米企業と比較をした場合に、グローバル市場で闘う意思が浅いのではないかという御意見。
座学研修とは実務に関して基礎的な知識を習得するためのものであって、実践的な能力は実務経験の中で育つとの御意見もありました。これは、荒井委員から御指摘を受けましたOJTが足りないのではないかというところの回答だと思ってございます。多くの意見は、やはり欧米企業、特にアメリカ企業は日本企業と比較して、訴訟の世界の中で育っているので、その中でOJT的研さんを踏んでいる。したがって、それが技術起点型の方の戦略に資するような人財を育て上げているのではないかというような御意見が多くございまして、このようなヒアリングの結果も第2章に今回反映をいただいてございます。
そのほか、オープンスクール、IPMSの卒業生の方々、知財検定1級の方々の御意見を少し紹介させていただきたいと思います。オープンスクールの方の御意見ですが、ケーススタディーによる研修でも事案が抽象化されているとともに、過去の事案で結果が判明しているため、詳細な議論ができないとおっしゃられておりまして、他方、知財協のような委員会では、現在既に問題となっている事案について、生の情報に基づいて議論がなされており、そういった議論は非常に役立つということです。つまり、生情報をどんどん研修・育成に加えることによって、より高度な人財の育成につながるのではないかという御意見をいただきました。
また、技能検定1級の方からのコメントですが、これはどちらかというと弁理士に対してのコメントをいただいてございまして、質のよい特許を取る、もしくは期限を守るといったことを中心の弁理士の方が多いとが、従来型の仕事の数を上げるのではなくて、顧客の能力を超えるものを伝えることが重要ではないかとの御意見。具体的には、例えば新興国の情報といったことを踏まえながら、ビジネスに資するような情報を踏まえたうえで、弁理士活動するような人財が必要ではないかというような御意見をいただいています。
以上でございます。
○妹尾座長
ありがとうございます。
○上田次長
後谷さん、今の点も含めて、最後にきっちりまとまった結果を皆さんに配布したりできるのであれば、そうしていただいた方がいいと思います。委員の皆さんの御質問に対するお答えとしては、口頭では分かりにくいと思います。
○後谷企画調査課長
わかりました。今日は2章の補足という形で紹介させていただきましたけれども、別途、調査報告書とともに今日報告させていただいた内容、特に第4回のワーキンググループの場で御指摘いただいたことを中心に、紙の形で追って返答させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○妹尾座長
ありがとうございます。
横道に逸れてしまうけれども、今、後谷さんがおっしゃったところだけを聞いても、荒井委員の御指摘されたOJTが重要ではないかというのは、まさにそれが出てきたというのが一つあるのだけれども、もう一点極めて重要なことをおっしゃったと私は受け取りました。
それは何かというと、日本の場合の訴訟をする、しないとか、そこの当面の対応。もう一つ、交渉力についての御紹介がありましたね。両方とも日本は当面対応で局所短期対応をしている。最適を図ろうとしている。アメリカの場合は、全部のビジネス戦略という全体長期最適な中で交渉も行い、訴訟も起こすということをおっしゃっていると私は受け取ったのだけれども、そういう理解でいいですか。
○後谷企画調査課長
まさに妹尾先生のおっしゃられるとおり、そのようなヒアリング結果になってございます。
○妹尾座長
今のヒアリングは荒井先生がおっしゃるとおり、OJTが重要だということもあるけれども、そのOJTがどういう方向性で人財育成としてなされているか。本当のポイントを逃してしまうとまずいと思います。OJTをやっても当面対応のOJTをやっていたらしようがないわけで、それはビジネス全体のものではない。だから、長期全体最適を考えている。交渉に当たっても、当面の交渉ではなくて長期を踏まえて、ここは損をしても長期的に取るとか、ここはクローズにしておくとか、ここをオープンするとか、そういうことが全部できることが示唆されているように非常に感じます。そういうところをくみ取って、報告書として整理をしていただければ、非常にありがたいと思います。
○後谷企画調査課長
どうもありがとうございました。そのような形で整理をさせていただきます。
○妹尾座長
それでは、髙原参事官からの資料の説明並びに後谷課長からの補足ということですが、全体討議に入りたいと思います。今日はこの討議を徹底的に行うということが趣旨ですので、皆さんに積極的に御発言をいただければと思います。
佐々木委員は中座されると伺っておりますので、年末に言いたい放題、全部言っていただいて結構だと思いますので、どうぞ。
○佐々木委員
4時に失礼させていただきますので、申し訳ありません。ざっと企業の観点から、お話しさせていただきます。
3ページの技術起点型モデルと事業起点型モデルですが、我々も問題意識を持って、実は右側の事業起点型モデルがすべてを表していると思いますが、我々のようなところですと、その事業起点の丸のちょっと右側に実はシーズがどうしてもあると考えていて、例えば研究所のようなところで、あることを目的を研究しているものが成果が出てきたときに、実は私の部であるチームをつくって、全然違うことに使えないかどうか考えろと。それは関係部署を巻き込んで考えろと言っているのですが、残念ながら会社の中には、うちの部がそれを考えましょうというところはない。恥ずかしながらその機能がないので、知財部でやろうと言って考えさせています。
全く違う使い道が考えられたら、みんなでどんな事業展開ができるかを考えて、これは知財部の強いところを使って、知財のすべての知恵をつぎ込んで、どんなビジネスモデルができるかやろうぜと言っているのですが、残念ながらなかなか答えは出てこない。つまり、会社の中の機能とかを根づかせていくというのは別にして、それをわかりましたと言って知恵が出てくるような人間が、22ページの養成カリキュラム、例えばアメリカのMBA、ビジネススクールみたいなコースの焼き直し版をやって出てくるかどうか。
実際にやらせている人間を見て、みんな優秀な人間だと思いますが、彼らがビジネスマインドを持ったら出てくるのかは実は疑問があって、そこのところは事によると、日本人の一番苦手な特質のところかもしれないなと思っています。ですから、ここのところは工夫できないかなと思っていますし、中でも工夫をしようと思っています。
そういうことにかんがみると、8ページの上から10行に、知財部門については知財の戦略などに疎いというのがあります。総論的にはそうかもしれませんが、徹底的に突っ込んでいくと、そこでスタックするかというと、研究戦略がわからないわけでもなくて、今、申し上げたようなところ。自分のところの研究から更に何ができるか、どこが考えられるのだというところに行き着くのかなという感じは持っています。それが1点。
話が全く変わりますが、22ページの「○知財マネジメント戦略研究拠点の整備」があります。これは是非明確に、これが知財戦略本部の形なのか、ここの発展場なのかわかりませんが、幾つも知財戦略と研究に関する拠点等があって、正直そこに業界からも人を派遣して、お手伝いをしている格好になっているのですが、率直に申し上げると輪番だから出すかと。正直に言って、是非彼を出して貢献させたいというふうにはなっていないので、そういう明確な日本の頂点にずば抜けて位置するんだというものを是非つくったらどうかと思っています。それが2点目。
もう一点は、ローテーションの話が余り出てこなかったので、例えば判事のところがありましたが、アメリカがいいかどうかは別にして、アメリカは特許弁護士等がCFCのジャッジになったりとか、欠員が出たときにローテーションがしょっちゅうあるのですが、日本の場合にはある意味、ビジネス感覚を持った判事が生まれる素養が全くないというか、その辺のところも課題としては挙げておいた方がいいのではないかと思います。
以上です。
○妹尾座長
ありがとうございます。年末に思い残すことはありませんか。
今の事業起点型で動き始めたら、そこから技術起点がスピンオフするという言い方を我々はしておりまして、これは2つのモデルのスピンオフ関係と書いている最中ですが、これは逆があって、技術起点型をやっておいてスピンオフが出たら、例えばこんなのもそうですね。スリーエムのポストイットなどは完全に技術起点でやっていたら、スピンオフで事業起点になってきたというスタイルですから、これは両者が絡まりますね。それができる人財がどうなのか。
確かにそれは難しいのですが、1点だけ申し上げると、日本人の資質ではなくて、実ははじけさせる場と機会をつくってやると弾ける者はいます。そういうのが弾けられるようにできればいいですね。おっしゃるとおりだと思います。
あとは頂点の拠点をつくれとおっしゃることも全くそのとおりだと思いますし、ローテーションのところは裁判所のことなので、どこまで書き込めるかは、事務局が御苦労をされると思います。
○佐々木委員
一般論でいいと思いますけれども、もうちょっと流動性があった方がいいと思います。
○妹尾座長
おっしゃるとおりですね。ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。中島委員。
○中島委員
幾つかあるのですが、今の佐々木委員のお話の裁判官流動性に関連して、裁判所というか、前にもちょっと発言をしたのですが、この人財計画は当初2005年にできてから、その後かなり知財人財の流動性は活発になってきたわけですが、それもほとんどが民間の話ということで、企業間同市、大学と企業、弁理士業界も含めての話ですが、それは活発なのですが、官庁との間は活性化がほとんどないという印象です。
24ページの任期付審査官の知見や能力を最大限活用するというところがありますが、アメリカの場合、特許庁の人財と民間との交流、流動性は物すごく大きいわけですが、双方向ですね。日本の場合は任期付審査官制度ができて、民間から特許庁への流動性は増えたわけですが、今後その特許庁から民間の方へ任期を終えて流動性が始まるところですけれども、これは別に流動性はこの際、任期付審査官に限らず、一般審査官も含めて、もっともっと流動性を付けるべきかと思います。そういうダイナミックな流動性が必要だという意見が1つです。
幾つかまとめて言ってもいいですか。
○妹尾座長
結構です。お願いします。
○中島委員
22ページの一番下の(3)の審査体制、グローバルネットワーク。ここの冒頭に「将来的な英語による審査も念頭に」とありますが、この「将来的」というのはどうも気に入らなくて、前にもお願いをしたのですが、もうすぐにでもやっていただきたいという気がしております。英語審査は単にコストダウンとか審査の迅速化ということだけではなくて、特許庁、我が国の知財業界全体の国際化ということも視野に入れて、大変大きな効果があります。
もう一つは、こうすることによる人財育成が急激に活発になるということですので、これは将来的と言うと、いつのことになっているのかよくわかりませんが、ニアフューチャーということでしたらまだいいのですが、意見はそこら辺です。
23ページの「○新興国の知財システムの整備を支援する人財の育成・確保」の中は「新興国に適切な知財システムの整備を実現するために」という下りになっておるわけですが、やはり日本は今まで経済支援とかいろいろな支援をしているわけで、この知財についても新興国への支援は、こういうシステム支援、知財の制度的な支援でなくて、場合によってはというか、審査そのものの支援ですね。日本の特許庁の審査が大変優秀なわけですが、これは審査の肩代わりシステムも可能でしょう。新興国で審査官がまだ育っていないとか、知財システムはつくりたいのだけれども、審査体制がそろっていないとか、過去にもそういう国は幾つかあったのですが、残念ながら日本以外の国にみんな取られてしまっているところもあります。
聞くところによりますと、特許庁さんも大分余裕が出てきているということですので、審査の肩代わり、または日本の特許庁の審査を援用できるとか、そういうところまでうまくいくような人財育成も絡めて、今のは多分に制度の話が入ってくると思いますけれども、そういったところも絡めて人財育成でございますので、よろしいのではないかと思います。
たくさんあって恐縮ですが、24ページの一番上の○の事業起点型の審査官の育成です。ここに書いてある内容で行きますと、単に呼び方としては、これは審査官という呼び方が正しいのか、正しくないのか。これは審査のための人ではなくて、ビジネス支援官ということになると思います。
もう一つは、これを特許庁の中だけでやっていても意味はないので、そのアウトプットとして、どういう形でビジネス支援を持っていくのかというところ。これが大変肝心なところになると思いますけれども、それは感想でございます。
25ページの「○知財人財育成のための検定制度の活用」ですが、総論のところにもありましたけれども、中小企業の中の知財人財育成は、現実問題としては大変難しいと思っております。非常に優秀な中小企業がある半面で、そうでない、かなりぎりぎりの中小企業。それと一番問題は中小企業の中の冒頭に書いてありますけれども、専任か兼任かはともかくとして、そういう人財が欲しいということですが、そこまで行くのに人財を置こうとする雰囲気ですね。そこが中企業の場合はなかなかできないということ。それはいろいろな理由があると思います。
一方で一番対応しやすいので、中小企業の場合はどうしてもトップの方の決断によるところが随分大きいわけで、トップの方が知財人財を育成するぞとか、そういう理解を示してくれれば一番いいわけですが、なかなかそういう場所もなかったり、機会もなかったりということなので、是非この育成するのは中小企業の人財だけではなくて、中小企業の経営者ですね。こういう方への指導というか、理解を深めるための何らかの施策。知財人財を育成するぞという意思決定のため、あるいは情報提供のための何かを入れていただきたいと思っております。
るる述べましたけれども、以上でございます。
○妹尾座長
ありがとうございます。
先ほどの特許庁長官については、座長として不謹慎な不規則発言で、後でおしかりを受けるかもしれませんけれども、今の中でおもしろいのは、日本の特許庁自身を新興国のアウトソースビジネスにするんだということで、サービス機関だとしたら公共インフラ輸出ではなくて、公共インフラへ逆にビジネスをインさせるという御発想だと思います。ここでは人財育成の範囲で、どこまでというのがありますが、そういうことは当然ここも在りうることだろうと思います。
検定制度の御活用のところで、経営者の施策がありますが、同時に最近動きが出てきたのは、中小企業とよく接する中小企業診断士さん、税理士さん、この方々が知的財産を使うということはどういうことだという問い合わせ、放送大学へのアクセスとかが若干出てきているんです。こういう方々を戦力化するのは確かにあると思います。
今、中島委員がおっしゃられた経営者の教育というのと同時に、中小企業と普段接している専門人財の方々への知財マインド調整みたいな教育もあって、そのことは多分、中小診断士や税理士たちの競争力強化にもつながることかと思います。そういう点も考えられたら面白いだろうと思いました。
青山委員、今の点はいかがですか。
○青山委員
今の御指摘の点は、まさしくそのとおりだと認識しております。中島先生がおっしゃるように、実はこの問題は非常に難しい問題であります。この知財の面以外でもいろいろな施策がありますけれども、同じような問題になっているのではないかと思いますが、1つは前の会議でも申し上げましたが、気づきをどうさせるかというところです。座長がおっしゃられたように、ありとあらゆるところから意識をしていただくという点が必要だと思います。
特にいつも接しておられる方々。どのような方かを申し上げますと、実は中小企業で一番重要なのは、これから始まりますけれども、税の申告なんです。そうしますと頻度は別にして、必ず税理士の先生には接する機会が非常に多うございます。そして、中小企業診断士の先生、その他のいろいろな関係する団体、私どももその一つかもしれませんけれども、そういう団体での周知とかセミナーとか、そういうのも重要だと思っています。
一方で、そういうようなことはわかったけれども、どうすればいいんだ、入ったのはいいけれども、何をどのようにしてくれるんだということが大事で、要はワンストップでいろいろなサービスを提供してくれるような仕組みがないと、すぐにあきらめられるケースが非常に多い訳です。ですから、割と勘弁にワンストップでそういうサービスを受けられて、では、やってみようかというような方々を引っ張り上げる仕組みが必要なのではないかと思われます。
全部が全部乗ってくるわけではありませんけれども、興味のある経営者の方は、必ずそうされるだろうと思いますし、今まさに中小企業もどんどん海外に出ていこうとしている一方、国内の競争も激しくなる。知財の管理も同業他社の話を聞いていると、模倣品でやられたとか、中国に行こうと思っていたら、実は中国で先に特許を取られていたとか、商標を出されていたとか、実はそういう事例がいっぱい出てきている。
そういうようなことで申し上げると、恐縮でございますが、22ページの戦略研究拠点とありましたが、実はなかなか中小企業の知財戦略という大枠で体系的な考え方が実はないのではないかと思われます。ですから、是非ともここでは戦略研究拠点の中の一つの大きなテーマとして、中小企業の戦略というのはどうしたらいいのかというものを体系的に研究していただく。それを企業の方にいろいろな仕組みを通じてフィードバックしていただく。そして、なおかつ放送大学、中小企業大学校、いろいろな機関がありますので、そういうところで社内の人財を育成していただく。そういうようなワンストップの仕組みをつくっていくことが非常に重要ではないかと思います。
ですから、分断された施策で人づくりをするということではなくて、サイクルの中で人づくりをする。それが中小企業の人財育成には非常に重要だと思っています。よろしくお願いしたいと思います。
以上でございます。
○妹尾座長
ありがとうございました。ワンストップ、人財育成という御指摘をいただきまして、大変重要だと思います。今の中小企業の知財戦略について、体系化されていないというのは私へのおしかりだと受け取りますが、できましたら当面のつなぎとしての放送大学の第11回と第12回をごらんいただくと、中小企業の知財戦略のつなぎとしてごらんいただければと思います。
荒井委員、お願いします。
○荒井委員
こういう形でいよいよ具体案をまとめていただいたので、非常に全体がわかってきたので、是非このままつくっていったらいいと思います。
その観点で申し上げるわけですが、タイトルが「知財人財育成プラン」ですので、日本語で訳せば計画です。立派な計画をしっかりするということだと思いますので、前の方の哲学や時代認識は非常に重要なわけですが、ポイントは22~26ページです。これが計画として充実した具体的なものをつくって、何がどう変わるのかということがもう少しわかるようにしていくと、みんなが議論をしていることが反映されるのだと思います。
1点は今までの計画が26ページの次から現在の総合戦略における政策を整理したとなっていまして、以下、1.から8ページまであるので、これは過去のものというなら、私はそれでいいと思います。その代わり、今度の計画にみんな吸収してしまうということをはっきりとしてはどうだろうかと。これは参考だから、生きているのか、死んでいるのかがわからない。
この後ろの方の参考で、前の方でカバーしていないのがありますね。それは生きているのか死んでいるのか、もう放棄するのかというふうに思いますので、これを見て、まだやはりやるべきだと。例えば5.に中小企業の知財の担当者とか、前の方に書いていないものとか、あるいはその次の方になってくると品種の問題。種苗法の関係とか取り締まりとか、いろいろあります。まだまだやった方がいいのもありますので、それは生かす。その代わり、これからは人財問題については今度できる育成プランをみんなでやっていこうということにして、乗り換えたらいいのではないかと思います。今までの計画は10年計画でやって5年目に来たんだから、次はこれだというふうにしたら、はっきりすると思います。生きている、生きていないがはっきりしていないとワンストップではないと言われるから、ツーペーパーズというのはよくないので、ワンペーパーにしてしまった方がいいと思います。それが1つの提案です。したがって、この参考で生きているものは前の方に入れる。
もう一点は、全体の仕組みの関係で申し上げると、17ページです。10年後に思いをめぐらせるということで、ここに書いてある10年後の状況、グローバル展開とか融合化とか中小企業とか、いろいろと書いてあるのですが、実はもう既に起きつつあるので、10年後ではないのだから、今度の計画は5年計画にしたらどうか。現にもう進行中です。そうすると、今ある22~26ページのものを5年間でどうやって実現するのかがはっきりすると思います。
何となく10年先と思うと、そのうちにという、将来というのはいつだと言う人が出てくるので、将来と言っても5年以内に実現するんですよと言ってはっきりすると、みんなアクションプランもはっきりすると思いますので、ここに書いてあることから考えると、今度は例えば5年計画をつくることにして、22~26ページをもう一回そういう目で見るそれから、参考にくっ付いているのを前の方に見られるということにしたら、迫力や具体性が増すのではないかと思います。
前の方に課題と書いてあって、それを基本的な考え方とか課題があって後ろの方につながっていくわけですが、課題について答えの出ていないのものよく見るとあると思います。それも是非今後求められる知財人財部の方で、前の方に像が書いてあって、それを実現するためのプランをもう一回見てみると、もうちょっとやることがあると思いますので、ぜひそれも追加していただいたら、いいと思います。
さっきもお話の出た裁判官のところで、12ページの(2)で「裁判官のローテーションシステムは基本的に維持しつつ」というイメージは、読む人が読むと一般的な裁判官のローテーションに戻したらいいのではないかという感じに読めます。知財人財については、裁判官の中でもできるだけ専門的になってくださいという要望があるのだと思いますので、「ローテーションシステムは基本的に維持しつつ」というのは、ちょっと書き過ぎではないかと。わからないのは専門委員や調査官に頼ればいいと書いてあるように読めるので、ここは認識の問題ですが、むしろそうではなくて、裁判官の中でも法律中心の裁判官でもいいけれども、できるだけその専門性を高めて、こういうことについて、できるような人を増やしてほしいということだと思います。
22ページの方で、例えば1番以下で、検討する場とか分析する場とか、場というのが非常に多いです。場というのは物理的な場なのか、形式的あるいは組織的な場なのか、あるいは空間的なソフィアというか、非常に哲学的過ぎるので、組織をつくるのか、専門的な拠点と言っても拠点が要請する場となると、バーチャルな場なのか、そうでなくて、もっとはっきりした研究拠点みたいな頂点となるものができるのか。場が非常にいっぱい書いてあるので、是非どういう場かをもっと具体化していただいたらいいのではないかと思います。
22ページの1の(1)の○のところもコースを設置すると書いてありますが、どこに設置するかを書かないと、何ができるかわからないと思います。こういうのもできるだけ具体的に、どこの場で何を設置するのかをはっきり書いていただくと、何をしたらいいかがせ具体化すると思いますので、是非やっていただいたらいいと思います。
22ページの(3)が特許審査体制の構築ということで、多分技術的な特許のことを書いていると思いますが、今、非常に商標とかデザイン、ああいうのでアップルと争ったりしているわけなので、そういうのももっともっと国際性が必要だと思います。商標とかデザインとか国際的に紛争が起きている。したがって、技術特許に絞る必要はないのではないか。もっと商標とか意匠とか、あるいは不正競争防止法的なものも非常に国際的な課題になっていますので、これはもう少し広げてもらった方がいいのではないかと。ニーズには実際に合うのではないかと思いますので、もう少しこの全体を広げていただく。
23ページのイ以下も、審査官と審判官と事務官が非常に入り乱れて書いてあるのですが、これは商標の審査官も全く一緒なのですが、共通の課題、法的な素養とか手続に詳しくなるとか、そういう問題。あるいはビジネスマインドを持つこととか、共通の部分あるいは技術の特許の審査官に固有なもの。商標に固有なものとか、もう一遍これはマトリクス的に分けて整理して記述していただくと、何をするかがはっきりすると思いますので、是非そういうこともやっていただいたら、立派なものができるのではないかと思います。
以上です。
○妹尾座長
ありがとうございました。
全般にわたって荒井委員の御指摘は、もっと具体性を出せということが1目ですね。もう一つは、今のようなところで共通のものはくくれ、共通のあるものは分けろ。こういうことをめり張りを付けて、施策その他についてというお話だったと思います。
今までのものとのつなぎをしっかりするというのは御指摘のとおりなので、前の計画とこれについて、何が継続され、何が変わるのかというところのめり張りは是非付けたいと思います。
5年計画案というのは検討を是非させていただきたいと思いますが、今の裁判官のローテーションとかいうようなところは、上田次長の方からお答えいただけますか。
○上田次長
今、荒井委員から、こういう場というのがやや具体的にあるのかないのか分かりにくいというお話があったと思います。今、机上にお配りしている資料は、事務局内の検討資料で、関係府省とまだ調整しているものではありません。今日この場で要回収ということでごらんいただきたいと思います。
2ページをごらんいただければと思います。その研究拠点について、今、考えておりますのは、ここにございますように、大きな政策の柱としては、赤で書いておりますように、①知財マネジメント戦略研究拠点の整備。②知財マネジメント人財の養成をするための場の形成。③グローバルに対応した審査官、弁理士の育成。この3つが柱だと思っております。
その中で具体的に①に相当するところとしましては、「知財マネジメント戦略研究所(仮称)」と書いております。このような具体的な研究所をつくっていくことを考えていきたいと思っています。例えば、今、検討しておりますのは、知財研究所、これは特許庁の関係団体でございます。今までは特許の法律的な議論とか研究が非常に進んでいた研究所でございますが、そういうところを足場にして研究所がつくれないかという検討をしております。
2つ目に、右にありますけれども、「ビジネス戦略知財アカデミー(仮称)」。先ほどの説明にもありましたように、アメリカの方でもアメリカ特許庁の下にIPアカデミーというのがあって、外部の経営者あるいはビジネスマンを含めての知財の人財の研修をしております。
こういうことがございますので、これもまだ特許庁の方とこれから検討をしていくということでございますけれども、特許庁のINPITを中心としまして、関係者は非常に広く連携していく必要があると思います。「知的財産人材育成推進協議会」は今日御説明した中にも入っておりますが、ここに更に必要な関係者にももう少し集まっていただいて、そこでINPITなどを核にしまして、人財をしっかり育成していく場を具体的になるべくつくっていきたいと考えております。まだ検討の途中でございますけれども、むしろこういうところから具体的なものにというのが現状でございます。
それから、裁判官のローテーションの方は、書き方がやや現状維持に見えるようなところもございますが、むしろ我々としても先ほどの先生方の問題意識を踏まえて、できるだけこれをどういうふうに改善していったらいいかというところがはっきり出るように、記述を検討したいと思っております。
先ほど5年にしたらどうかというお話がございました。ここのところは先生方ともよく御相談をしていかなければいけないと思っております。17~18ページに10年後の状況を書いておりますが、これはある意味で言えば、こういう世界に当然になっているべき状況を書いているということです。例えば先ほど中島先生からもお話が出ましたけれども、英語によるグローバル特許の出願、これは当然なされているような状況にしていくということを念頭に置いています。
したがって、そこに至るまでに、そういう意味では20~30年後ではなくて、将来と言っても10年後にはそういう世界になっている。そういうことが普通に行われている状態になっているようにしなければいけない。そこに向かうためには、勿論その制度を変えていくとか、あるいはそれをにらんでの人財の育成も目の前のステップを着実にやっていかなければいけないというのが私どもの考え方です。
先ほど荒井委員がおっしゃられたのは、数年かけて何をやっていくかをはっきりした方がいいのではないかという御認識だと思います。この辺も我々は特許庁を始め、関係のところと相談をしていきたいと思いますが、ワーキンググループのところまで整理できる話と、知財計画に向かっての専門調査会の議論で、知財計画は御案内のように中長期までのタイムスパンの工程表がございます。1~2年が短期、3~4年が中期となっておりますので、そういう中で、位置づけられるものはできるだけ位置づけるように努力していくことを関係省庁とよく相談しまして、検討を進めていきたいと思っております。
○妹尾座長
ありがとうございます。
では、杉光委員。
○杉光委員
25ページの検定制度の活用のところに関しまして、少しお話をさせていただきたいと思います。
こちらの検定制度の活用というのは、実はあくまでも検討というのはツールでございますので、何のためにどういう状態を本来実現すべきなのかというのが本当は明確になった上で、こういう話が入っているのがわかりやすいとは思いますが、もともとどういう状態が望ましいのかと考えているところにつきましては、先ほど中小企業からの相談が5万件と非常に多くあったというようなお話があったかと思います。
実は私自身も以前いろいろと中小企業の御相談に乗っているときがあったのですが、大抵の場合は、何でもうちょっと早く来てくれなかったかというのが多くて、そういう意味では相談件数が多いから有効に機能しているとは必ずしも言えない部分もあるのではないかと思っています。
ですので、相談窓口の拡充、ワンストップサービス、すべて重要な施策だと。中小企業を支援する人の育成も非常に重要な施策だと思っているのですが、簡単に言いますと、先ほど申し上げたように、相談をしたときにはもう手遅れとか、あるいはもうちょっと早く相談をしてくれば、全然コストがかからなくて済んだのにというようなことが非常に多うございますので、そういう意味では、最低限これだけは勝手にやってはいけないとか、あるいはこれだけはやっておこうよというレベルのこれも一種の気づきと言っていいと思いますが、そういうことがわかる人が最初に社内にいる。
それは経営者本人でもいいと思いますが、経営者本人あるいは経営者の下にいる従業員の方でそういうサジェスチョンができる。要するに簡単に言うと、早め早めに外に相談ができる人というイメージの方がむしろ近いのかもしれません。知財担当者という言葉は、その人が社内で全部処理できる人というイメージがあるかもしれませんが、実はむしろそれよりは、社長、これはまずいのではないですかということで、相談窓口に行きましょうよと早め早めに言えるような人が社内に一人ずついるような状態を実現するのが、恐らく一番現実的なのではないかと思っております。
25ページに「外部資源を有効に活用する」と非常にエレガントな表現で書いていただいていますが、要するに手遅れになる前に外に相談できるというようなイメージなのかなという気がしております。
あとは中島委員の方から、経営者の理解がないとなかなか進まないのではないか。全く御指摘のとおりだと思っております。そういう意味では、こちらの検定制度、中小企業向けというのをつくったとしても、こういうのが必要だという意識がもともとない企業からすれば、普通は受けないという選択になると思いますので、そういう意味ではこれをつくること自体は全く大賛成ですし、つくるべきだろうと思っていますが、これを実際に有効に活用してもらうためには、経営者の方々あるいは従業員でもいいのですが、自主的にこれは受けた方がいいというようなインセンティブのようなものがセットでないと、つくってはみたけれども、実はほとんどの人は受けませんでしたということになってしまう可能性があるのではないかと。そこが大手企業と中小企業でちょっと違うところなのではないかという気がしております。そういう意味では、経営者の人がこれを受けると得になるぞと思えるような施策とセットでやっていただくことが必要なのではないかと思っております。
もう一つ、これは妹尾座長あるいは青山委員からもお話があったかと思いますが、中小企業に一番近い人というところで、先ほど中小企業診断士の方や税理士のお話が出ていましたが、これは数年前から実は私はあちこちで言い続けているのですが、金融機関です。税理士以外で融資をする銀行さんとかが非常に近いところにいるとこがあって、金融機関の方がもう少し中小企業の人から相談を受けたときに、知財に関して何か多少なりともアドバイスなどができると、中小企業の知財は大きく変わってくるのではないかと前から申し上げてはいますが、なかなか具体的にどうしたらいいのかは進んでいないところです。
ですので、そういう意味では金融機関、特に融資担当で中小企業に一番近いよろず相談に乗っている金融機関の担当者の方がある程度、知財についてのマインドを持って、多少なりともアドバイスができるという状態を実現することも中小企業にその知財の意識を築いてもらうという方向に非常に役に立つのではないかと思っております。
大体以上でございます。ありがとうございました。
○妹尾座長
ありがとうございました。早めに気づけるのは重要だと思います。
末吉委員、お願いします。
○末吉委員
12ページの裁判官のところですが、もし可能であれば、現状について、もう少し取材をされると、いろいろな材料が出てくるのではないかと思います。最近はハーグで外交折衝を2年くらいやった方が知財高裁に戻られていたり、法律事務所に2年間裁判官を出した実例もありました。人財育成については裁判所もいろいろと頑張っておられるのですが、そういうことは知られていませんね。言っても差し支えないことはここに書いてあげたらいいのではないかと思っているのが1点。
この(2)の「ローテーションシステムは基本的に維持しつつ」の意味を私が善解すると、若いときに知財部にいる、真ん中で知財部にいる、経験豊富になってから知財部に来る、ということになります。知財弁護士からすると、そういうルールをつくってほしいんです。要するにローテーションシステムのいいところは、いろいろなところを見てくるので、ある意味では経験豊富になります。知財事件ばかりやっているという裁判官だけではだめではないかという真意は、いろいろなところに回したいということです。それがローテーションシステムだと思いますが、行ったきり知財に帰ってこない裁判官もいるわけです。
いろいろな事情があるのでしょうけれども、我々からすると、若いときに知財事件を担当し、中堅で戻ってきて、更にベテランになって戻ってくるという裁判官が知財高裁におられたり、あるいは地裁の知財部におられるのは非常に安定感があって、事件がやりやすいという意味合いがあります。恐らくそういうことをイメージしているのではないかと、勝手に善解をしております。
自分のうちの話で言うと、ここに全く書いていないですが、弁護士として最近悩んでいることは、OJTの限界を感じております。ここまでやってきた、あるいは自分たちが受けてきたOJTを若い世代にどうやってつなげていったらいいのか。私は実は、妹尾先生が人材育成協議会のオープンセミナーで長岡先生とやられたセッションが非常にショッキングでした。あれも一つのOJTの限界を示しておられる。エキスパート教育における限界というか、OJTの工夫が要るのではないかという指摘をされているんです。
実はその前後からですが、弁護士という専門職ではありますが、これまで受けてきたOJTで次の世代は育っていかない感じがしています。抽象的で申し訳ないのですが、ここに書き込める話ではないのですけれども、妹尾先生にももう少し研究をしていただけると、私としてはありがたい。そういう悩みを持っているし、実践もしているのですが、悩みながら実践しているのが現状でございます。
以上でございます。
○妹尾座長
今、末吉先生が御指摘された最後の部分は解説をしないと、皆さんは取り残された感じになるかと思います。私と法政大学の長岡先生は社会人の教育が専門なので、それをやったときに、熟達者をつくるとイノベーターが育たないというパラドックスです。既存モデルの中で熟達者をつくるということは、実はその既存モデルを壊す人ではないということで、あるいは新しいモデルを担う人ではなくなってしまうというどんでん返しが実はあるということです。
今、末吉先生がおっしゃったOJTの限界というのは、OJTをやるのは既存モデルの中でうまくなる人とやって、新しいモデルを担う人にはならないわけではないけれども、なりにくいという、そのお話かと思いますが、そうですね。
御存じのとおり、極端になるとイノベーターは全然違うところからやってくるという話になるわけであります。ローテーションシステムは、広く見てくれと行きっぱなしで帰ってこなかったら、意味がないということなのかと。
○末吉委員
そうですね。
○妹尾座長
確かにおっしゃるとおりです。ありがとうございます。
では、上條委員。
○上條委員
今の末吉先生とのお話とも関係するかもしれないですが、私の方からは2点ございます。
1点は、例えば16ページで、特に初等、中等教育における知財の教員の点でございますが、児童生徒の独創的な考え方やクリエイティビティ、想像力を付けるといったような教育は必要だということで、知財の創造の基本的な小さいお子さんたちにも、そういった他人のアイデアを大事にして、自分で新しいアイデアをつくるというところを刺激するような教育が必要だということは、本当にそうだと思います。こちらの施策の方で、それに何をやるかの具体的な部分が、まだ具体性が見えてこないなというのをまずこの中で感じたということ。
それに対して、例えば25~26ページで弁理士、弁護士の知財人財がそういった小中学校にも知財教育に出向いていってというアクションは示されているのですが、知財のプロシージャとか手続をわかっている人がクリエイティビティやアントレプレナーシップのようなところの教育がダイレクトにできるかというと、そこは教える人の種類が違うのかなと。必ずしもしないのではないか。勿論、弁理士や弁護士の中でもアイデアの出し方とかもわかっていらっしゃる方はいると思いますが、そういったクリエイティビティやアイデアを出すところの方法論や教育ができる人の人財というのも、これから必要になるのではないかということ。
あとは弁理士弁護士で教育免許を持っていたり、中学校、小学校での教職経験があられる方。そういったような人財が余りピックアップされていないと思いますので、たまたま私自身もそうなのですが、元中学校や高校の先生をやっていて弁理士になったという方も、実は私の周りでもピックアップをすれば10人や20人はいますので、そういった方は教育原理や何のために学習指導要領があるかをもともと持たれて、現場を経験されている方がいらっしゃいますので、そういったような方などをきちんと知財をわかっている専門家が小学校に行って教えればいいというのは雑な議論かなという話が気になりました。細かいところで済みませんが、私は気になったので、御指摘をしたかったというのが1点でございます。今後の課題かもしれません。
前回欠席してしまったので、同じような議論を蒸し返すことになるかと思います。24ページ等の事業起点型の知財戦略に対応した審査官を育成するとか、22ページの弁理士の事業戦略的な知財マネジメント人財を養成することに関して、ビジネス、事業起点で考えられる知財マネジメントができる人財を育成するという観点では、こういった書き方もしくは施策でいいと思いますが、実際にプロデュース事業構想をするプロデューサーの方、事業全体のデザインをする方というのは、VC3とか銀行の方や流通、そういったさまざまなセクターのステークホルダーの方と話ができる人でないとだめですし、知財人財の方もそういう方とコミュニケーションができることは非常に重要になってくると思います。
これを読んだときに知財人財の人が事業が構想できるとか、事業をプロデュースできると読み違えてしまう人が出てくると、誤解されたら怖いなという意味で、そういったさまざまなステークホルダーの方ときちんとコミュニケーションをして話ができて、ビジネスのこともわかった上で、知財マネジメントにそれを反映できる人というニュアンスをうまく伝えられる言葉、説明の仕方が必要かと感じました。
皆さんも勿論そういうふうに思われてやっていらっしゃることだと思っていますけれども、もし私の理解が違っていたら修正させていただきたいと思いますが、以上2点です。
○妹尾座長
一番最初の方は、確かに上條先生自身も教員経験をお持ちの弁理士さんでありますし、そういう方の活用は確かに我々はまだまだ十分考えているわけではないので、これは大変いい御指摘をいただいたと思います。
2番目のことは、多分2つあると思います。従来の知財専門人財がウィングを広げてくださいねという話と、知財活用人財が知財のことをしっかりやってくださいと両面があります。それが確かに読みにくい部分もあるかと思うので、これは工夫をしたいと思います。
○上條委員
アイデア自体は賛同しております。
○妹尾座長
ありがとうございます。
本田委員、お願いします。
○本田委員
13~14ページにわたってTLO、研究機関における知財人財に関する記載があるのですが、その中で(2)の方です。頭書きは企業からはこれこれの人財が求められているとなっていますが、企業からそういう人財が求められているというよりも、内部にいる人間から見ても、本当にまさにこういう前提というか、それを持っている人財が必要だと思っています。わざわざ企業からはというふうに書いていただかなくても、そういう人財が求められているということでいいのではないかと思います。それを持っている方が、まさにその次のパラグラフに書いてあるような技術起点型、事業起点型のモデルをマネジメントできるというような人が研究機関におけるトップランナー的な知財人財になるのではないかと考えております。
こういう人財像が求められているというのを前提で、プランの方を見てみると、以外とTLOに対するプランニングがないかなと思っていまして、14ページの(2)の第1パラグラフの人財をこれから本当に大人の教育として、こういう人財を育てられるのか。もともとそういうのを持っている方を採用していかなければならないのかという視点でいくと、プランニングなのか、大学研究機関がこういう人財を要望していかなければいけないのか。それはプランニングで対応するのかどうかというところですね。ちょっと難しいかなと。
この第1パラグラフの部分は、こういう人たちを意識して育てていくというのが難しいように思うので、まずこういう人が前提ですねということで、そういう人たちを集めましょうという意識づけをするのがいいのかなとも思っています。ただ、そういうマインドを持っている方であれば、OJTでカバーできる部分もあると思います。
第2パラグラフの部分は、企業の知財人財の方と同じように、両方の起点を持てるようなプログラムがあれば、カバーできるかと思います。特に今回の議論の中では、権利の取得をするような人財ではなくて、活用人財だという視点がありますので、まさに今、大学側は活用人財を本当に意識していかなければいけない場面でして、権利化すると言ったところは、研究機関、アメリカ、欧米に劣っていない状態で出願はできているんです。そこの次の活用と言ったときに、そこの人財をもっと強化していかなければならないという位置づけであります。
もう一つは、やはり大学なりの活用人財が必要なのではないかと思っています。実際に企業の経験のある人が大学に入ってきてできるかというと、材料が全然違うんです。企業の成熟した技術を活用場面に持っていくのと、非常にアーリーなものを活用につなげていくのは全然扱うものが違うので、企業の方々から見てみると、これはまだだめだねと言われてしまって、その活用意識がなかなか活用していこう、動いていこうというところが動機づけになりにくいところもあるのではないかと懸念をしていまして、やはり大学なりの活用人財を育てていくことが必要なのではないかと思います。
○妹尾座長
ありがとうございます。
いい御指摘だと思います。最初のことは、先ほど荒井先生が御指摘された、前の人物像と後ろの施策の突き合わせを全部やれよとおっしゃられた、まさに典型は今のTLOの話で、そうだったということだと思います。
○上田次長
今いただいた問題意識の中で、また検討して反映させていきたいと思いますけれども、もともと10年後の状況で、17ページで大学と産業界の人財流動を書かせていただいたのも、ある意味で言えば、目標としては同じ意識があります。
先ほどお手元にお配りしました横長の2枚紙の2枚目に、例えば知財アカデミーのところで産学連携関係者と小さい字ながら書いてあるのは、やはりそういうほかの経営ビジネスの方と一緒に、左にあります研究所で知財マネジメントに関する研究を、生きたものをそちらの方で研究して、一緒に人財育成で学んでいただくというのもありますし、一方では、大学におけるビジネス化に向かってのいろいろな状況を研究として、例えば左の方の研究所の方にインプットしていただくというのもあると思います。それは個別にということもあるかもしれませんし、あるいはもう少し幅広く、大学の産学連携に関わるような協議会のようなところともう少しネットワークを持ってやっていくとか、そういうことも可能になるのではないかと思いますので、また関係の方とよく相談をしていきたいと思っています。
○妹尾座長
もう一点、私の方から人財育成の観点で、本田先生が御指摘をされたのは、内部育成が外部調達かという問題にも触れるんです。人財の場合は内部育成だけではなくて、外部調達というのが必ずあって、そのときに勿論調達したものは育成するということで、TLOなどの場合は極めて微妙に難しいところだなということかと思います。それが3つ目の御指摘の大学なりというおっしゃり方だと思います。大学なりというのは確かにそうで、これは先ほど荒井先生がおっしゃった、特許庁の中でも何が全部の共通で、何が特徴なのかと御指摘されたのと同じで、こういう新しい活用人財というと、何が共通なのか、何がそれぞれの領域で特徴なのか。これはめり張りを効かせないとわからなくなってしまうので、そこのところを考えたいですね。
特にアーリーステージを扱う方は、また特別なあれですから、企業でやっていたから大学でうまくいくという話だけでもないので、そこのところは確かにプランをどうするかというのは、また逆に本田先生から何かアイデアがいただければありがたいと思いますので、よろしくお願いします。
高倉委員、お願いします。
○高倉委員
第1章についての感想と第2章についての若干の加筆修正の検討のお願いです。
第1章で書かれていることは、企業の知財戦略が「国際的な戦略」から「グローバルな戦略」に変わり、「技術起点型の知的創造サイクル」から「事業起点型の知的創造サイクル」に変わっていく中で、知財人財をどう育成するかということだと思っております。
6ページの下から第2のパラグラフに書かれているように、「したがって、知財人財育成プランは『技術起点型サイクルモデル』を支える知財人財の育成・確保を主眼とした総合戦略と相互補完的に実施され」というのは、私もまさにそのとおりと思っていて、要は知財人財の育成は経営の問題だということだと思います。
そのことをもう少し強くにじませるために、「技術起点型サイクルモデル」への言及だけではなく、「経営のグローバル化」への対応も含めて、2つをセットにして書いた方がいいかなと思いました。日本から海外へという従来型の国際戦略から、初めからグローバルビジネスを念頭に置いて戦略を考えるというグローバル知財戦略への転換と、事業起点型のサイクルへの転換は、2つのこととして認識することも可能ではないかと思っております。
第2章ですが、全体を通して法科大学院における知財教育への言及がないのは残念と思うと同時に、関係者の一人として責任を感じています。今から7~8年前ですが、文理融合型の人財を法科大学院で育成しようという目的があったはずですが、現実には十分実現されておりません。この問題の背景には、学生の数が多く、出口の試験が難しく、法学部出身でないと試験に通りにくいということなど、多々あると思いますが、文理融合型の人材の育成が望まれるということ自体は書き込んでおいてもらった方がいいのではないかとと思っております。
勿論、法科大学院の知財教育は、知財のみの専門家を育てる教育ではなく、知財を通じてリーガルマインド一般を養うところに主眼があるわけですが、私の経験では、そういう教育を通じて知財への関心を高める学生が出てくるのも事実です。例えば、コンテンツビジネスの専門家や特許庁の審判長で元知財高裁の調査官の方に実務的な話をしていただく機会を持ったりしたことがありますが、そうすると学生はみなすごく関心を持つわけです。
そういうことはプランに書き込まなくても各大学、各学生が主体的に実行するべきことですが、法科大学院における知財教育への期待感についてプランの中に何か書いていただくことによって資するところもあると思っておりますので、率直に現状の問題や今後の課題など書き込んでほしいなという希望を持っております。
○妹尾座長
これは一生懸命考えましょう。ありがとうございます。
そろそろ時間ですが、澤井委員、満を持しての御発言だと。
○澤井委員
今回の資料は多分かなり御苦労をしてつくられたのだろうなと思います。ただ、今回の特徴として事業起点型サイクルモデルと書いてあるのにもかかわらず、資料の後の方にいくとそれが見えないので、全体としての統一性がよく見えないなと感じています。その理由は前回も言いましたが、事業戦略性とイノベーション戦略という事を文章の中では2つ併記しながら、図のこの縦軸が事業戦略になっているようなところに、まだ考え方を絞りきれていない感じが出ています。事業のために物事を考えるというのは、すべての企業がほとんど今までやっているわけで、それを前提としたときに、更に事業起点型で考えるというのはどういうことなのかがいまひとつ判然としません。今回はかなりいろいろなセクターが集まっているので、それらのセクターにとって事業起点型とはこういうことなのだというのが一見してわかるようなものが必要だと感じます。26ページの次の参考1にいろいろなセクターが入っていて、これはこれまでやってきた施策の一つの前提の絵だということですから、例えばこれのいろいろなセクターの真ん中に事業起点型サイクルモデルと入れたときに、それぞれのセクターが一体どんな人財育成で課題を持っていて、端的に何をやるのが良いのだ、というようなものが全体像として描けると、非常にわかりやすくなるなと思います。
そのときに、事業とはそもそも何ぞやというのをはっきりさせておく必要があるでしょう。企業が持っている事業のイメージと、本田さんがおっしゃったように大学が持っている事業は、必ずしも一致ないのだと思います。同じ言葉に対する理解度が、セクターによって相当違うのではないかと思います。例えば、大学で相当アーリーステージのものを事業化に持っていくときのイメージと、企業が通常の営みとして行う事業とは相当違うと思います。そういう眼で参考のところの事業起点型サイクルを考えたときに、せっかく3ページで事業戦略知財マネジメント、競争力デザイン、知財資源の調達と書いてある言葉が、後ろの方のページを見るとほとんど出てきていないのは、もったいない感じがします。
各セクターでの事業の意味を本当に理解して事業起点型の戦略を立案して実行できる人がそれぞれのセクターで育って、初めていろいろな意味での層の厚い人財が育つのではないかと思っています。しかし、せっかくこういう絵を書いているのに、それがこの文章を読んだときに立体的に見えてこないのが残念ですね。もう少しそこは深堀をした方がいいし、事業戦略とイノベーション戦略というのを、もっとよく考えたらいいと思います。
さっきおっしゃったように、イノベーションは基本的に現状を破壊することから生まれてくるので、企業である程度ビジネスがうまくいっているところは、その先の事業戦略は考えますけれども、全然別のものを考えるのは、結構難しい側面があります。さっき佐々木さんもおっしゃいましたが、あるシーズがあったときに全然違うものに展開していく力は相当別立てで考えないといけません。ましてや、それに対する知財戦略までを考えていくことができる人財となると、それはかなり難しいのではないかという事を会社の中にいると感じます。これは感想です。
○妹尾座長
澤井さんのおっしゃったところで2つあって、1つは非常に大きな事業と言ったときに、企業が考えるところと、その側面を大学側がごらんになるところは大分違うイメージですね。でも、我々はこういう会ですから、俯瞰的に見ながら、どういうふうに図示できるか。あるいは記述できるか。
5ページの図がありますね。これは髙原参事官が先ほど、この図の修正はまだまだ要るのですがとおっしゃったのですが、事務局は大変苦労をしてやってくれたのですけれども、これを見ると道路工事の三角帽かクリスマスの帽子みたいな感じになっていますが、これは大分苦労をして彼らがつくってくれたのですが、まだまだバージョンアップをしないとイメージがぴたっとこないと思うので、これは誠に申し訳ないのですが、正月休みに事務局が頑張ると言っていますので、引き続き頑張っていただこうと思います。まさにこの図示自体がイノベーションを起こさないといけないので、そういうときに今、御指摘のところが事業的な俯瞰になれればいいなと思っています。その辺の文言の前後の突き合わせ、その他も含めて、これから事務局に頑張っていただければと思います。
時間が来ましたけれども、ほかに委員の先生方から何かよろしゅうございますか。
住川委員、せっかくですから御発言を是非。
○住川委員
連合というと、企業内組合が結構中心というところで、視点は同じかもしれないですが、基本に流れているところは技術で勝って、事業で負けているというのを何とかしたいというのがベースにございまして、事業起点型サイクル云々から始まる部分については非常に共感を覚えますし、ここについてはそこを柱に進めていただきたいというのがまずベースにございます。
その視点でこの人財育成のプランを見ると、具体的には恐らく22ページが関係しているのかと思っております。今日の中では横のものを後から配付いただいて御説明いただいた内容ということだと思いますが、A4の横のものでいきますと、知財マネジメント戦略研究所でいろいろな戦略なり、知財の情報を分析し、それを使って右側のビジネス戦略知財アカデミーで人財を育成しようではないかというものだと理解をしたところですが、先ほど佐々木さんもおっしゃっていましたけれども、現状では似たようなものは順番だからという現実がある。
やはり企業という視点から見たときに、この絵でいきますと、例えば研究者の派遣、あるいは幹部候補生の派遣という矢印が出ております。ここは企業として見て、ここに派遣をすることによって、企業としても魅力的だなと。要はその事業としてうまくいかせるために、この機会を使っていくのがいいんだというようなものが具体的に感じられるような、先ほど位置づけというのも一つとしてあるかもしれませんし、そういう仕組みが一つ大事だろうなと思います。
あとは企業とは言っても、実際に行くのは一人の人ですから、その人から見たときにも、このことは魅力的だなと。当然企業としての動機づけなりというのは必要だと思いますけれども、企業という組織体から見たとき。それから、一人の人として見たときに、この場というのが魅力的であるということが非常に大切なのではないかと思っているところです。この枠が具体的に今後やっていく中で、そういう視点を持ちながらバージョンアップできたらいいなと受け止めているところでございます。
以上です。
○妹尾座長
どうもありがとうございます。確かに行く方が何でみたいな話だと上がらないし、そういう魅力を醸し出すようなことにしたいと思います。
それでは、最後に座長の方から、2点ほど申し上げさせていただきます。まだ書き込まれていないのですが、今、事務局にお願いをしているのは、ここの中が経産省と文科省が中心になるのは仕方ないのですが、ページの中にほかの産業に関わる府省の人財育成がありますね。これは具体的に言えば、勿論、農林水産、国土交通、厚生労働、そのほかと言ったらほかの府省の方に怒られるかもしれませんが、各府省があると思います。
この府省の方々のレベルアップが急務であるというのが私の認識でありまして、引き続き、経産、文科を中心にして、あるいは総務省、内閣府その他もレベルアップをしていただくことは非常に重要ですが、産業を持っていらっしゃる府省の方々のレベルアップを更に加速しないといけないという認識がありまして、それをできれば太字で書き込んでほしいなというお願いをしています。これが1点目。
もう一点、御紹介をしたいのですが、先日、知財人材育成協議会の第3回セミナーで、企業の人財育成ということで、本知財戦略本部の専門調査会の委員をされています、パナソニックの福島常務、三菱ケミカルの八島役員、今日はお休みなんですけれども、それと私と3人で鼎談をさせていただきました。これは来られた方がたくさんいらっしゃいます。
その中で時代の変化を感じさせる御発言があったので、それを御紹介したいと思います。これはパナソニックの福島常務がおっしゃったのですが、パナソニックはこの1月1日付で大編成、再編成を行われるわけです。大きく分けると、デバイス部門とセットメーキングとソリューションないしはサービス部門ということで、もうグローバルな再編成が始まっています。その中で調達部門はシンガポールに全部移します。私が質問をしました。では、知財部門はどうなさるのですか。これは世界の各地へ分散させますということをおっしゃいました。私が多極分散協調型ですねと申し上げたら、そのとおりですということです。
これは国際人財ではなく、グローバル人財ということです。ということは何かというと、従来の知財人財の国際化とは違う概念が出てきたということです。つまり、グローバルビジネスを前提に日本人以外の方々も全部日本の知財人財として考えなければいけない。あるいは日本企業自身がもうグローバル企業にならなければいけないということですので、この問題を考えると、我々は単純に英語ができるとかできないとか、国際化するとインターナショナル。ナショナルをインターするという概念。あるいは日本人が中国に行って頑張るという概念ではなくて、もうグローバルビジネスを前提にした人財の調達と育成という観点に変わらなければいけないことを指示して、それはもう5年後の話ではなくて、現在に日本の大企業は初めている話だと。これを考えると、時代が相当動いているということを実感いたしました。
詳しい話をすると長くなってしまいますが、このお話を御紹介して、今日の最後にさせていただきたいと思います。これらを踏まえて、今日御指摘をいただいた点も含めて、事務局に頑張っていただいて、このプランを詰めていただきたいと思います。併せて、皆さんの方から何か御提案等を忘れたとか、あるいはこういうことはどうなんだということがありましたら、事務局ないしは私の方にお寄せいただければと思います。
それでは、事務局から何か連絡事項はございますか。
○髙原参事官
それでは、次回の日程でございます。次回は第7回になりますが、年明け1月13日金曜日の午後2時から、こちらの会議室で開催させていただきたいと思います。報告書の取りまとめに向けて、作業の宿題をいただきましたので、準備を進めまして、また御審議をいただきたいと思います。
もう一点お願いでございますけれども、先ほど会合の途中で皆様の机上に配布させていただきましたA4の2枚紙は、恐縮ですけれども、机の上に置いていただければと思います。よろしくお願いいたします。
以上でございます。
○妹尾座長
ありがとうございました。
書類に関しては、残存記憶を妨げるものではございません。
それでは、年末の本当にお忙しいところをありがとうございました。私の声がお聞き苦しかった点は近藤局長の責任にして、おわび申し上げます。
皆さん、年末にどうもありがとうございました。ここで最後に恒例で申し上げます。
よいお年をお迎えください。ありがとうございました。(拍手)
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