第8回 知的財産による競争力強化・国際標準化専門調査会 |
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○妹尾会長 それでは、早速ですが、始めたいと思います。 皆さん、おはようございます。知的財産による競争力強化・国際標準化専門調査会第8回、きょうが一応区切りの会であります。非常に詰めた会合でしたが、今回もお忙しい中ご参集いただいて、本当にありがとうございます。 きょうは知的財産による競争力強化・国際標準化に関して、今までの議論を踏まえて「知的財産推進計画2010」に盛り込む事項の取りまとめということになります。そのご議論をお願いしたいと思います。一応取りまとめに関しましては、きょうの議論が最終回になりますので、その点をお含みいただいて、よろしくお願いしたいと思います。 なお、津村政務官は、所用で非常におくれるそうなので、ごあいさつを割愛させていただきたいと思います。 相澤益男委員、大渕哲也委員、迫本淳一委員はご欠席ということでご連絡をいただいております。相澤英孝委員と久夛良健委員は途中からのご出席ということで今、席があいていると思いますけれども、後から来ていただけると聞いています。 それでは、早速ですが、議論に入りたいと思います。「知的財産推進計画2010」の骨子に盛り込むべき事項についてということで、では、資料全体の確認と、それから前回、前々回の議論を踏まえて事務局が修正をした取りまとめ、皆さんのご意見を反映したものをつくっていただいておりますので、それについての説明をお願いします。 それでは、髙原参事官、よろしくお願いいたします。 ○髙原参事官 おはようございます。 それでは、まず資料の確認からさせていただきたいと思います。 資料1でございますが、こちらが「知的財産推進計画2010」に盛り込むべき事項の案でございます。それから資料2、相澤英孝委員から提出をしていただいた資料でございます。 続きまして、参考資料になりますけれども、参考資料1、前回の専門調査会においていただきました主な意見をまとめてございます。参考資料2は4月以降、第5回から第7回の専門調査会における議論の概要をまとめたものでございます。参考資料3は「低コストかつ効率的に各国で特許取得が可能な環境の実現に向けて」ということでまとめさせていただいたものでございます。続きまして、参考資料4、目標指標についての討議用参考資料でございます。参考資料5と6は、この議題2の後に触れさせていただきたいと思っておりますが、国際標準化戦略タスクフォースのミッションについてというものが参考資料5、それからタスクフォースのメンバーリストについて参考資料6として配付させていただいております。 それから、こちらメーンテーブルのみということで恐縮でございますが、後ほどバイ・ドール法の運用についてご説明をいただく際に参照していただく資料といたしまして、産業技術力強化法(バイ・ドール部分抜粋)と、あとは産業開発力強化法に関する資料をテーブルの上に配付させていただいております。 資料の不足等はございませんでしょうか。 よろしいようであれば、資料1に戻りまして、ご説明をさせていただきたいと思います。 こちらは骨子の段階からさらにつけ加えた部分についてハイライトをさせていただいております。そちらを中心にご説明いたします。 まず、5枚めくっていただきまして6ページになりますけれども、こちらの目標指標の欄、(ロ)になりますけれども、高い交渉スキルを有すると書いてありました部分を明確化したほうがいいのではないかというご意見等を受けまして、「国際標準化機関で議長や主査になり得る実力を有した」という記載にしておることと、あとはデジュール標準機関のみならずフォーラム標準機関での標準化の促進等、それから幹事国引き受け件数の増加といった目標も踏まえて、800人というふうに目標を設定させていただいておるところでございます。 続きまして、7ページでございますが、目標指標(イ)のところ、こちらは、もとは「環境保護や『安全・安心』の実現の観点から、適切な評価方法や規格・基準の国際標準を獲得する」としておりましたが、検証可能な形でできるだけ書いていくと。これが(2)「安全・安心」を普及するという目標に対する評価指標ということになりますので、検証可能性ということを加味して、どういった分野で国際標準を獲得したかというところに焦点をあてて5分野という目標を掲げさせていただいているところでございます。 続きまして、8ページでございますが、この専門調査会でもご議論いただきました言語の違いに拠る負担の軽減ということで、特許文献の機械翻訳に関する調査研究でありますとか、機械翻訳の精度向上の取り組みの実施、それからそういった成果をユーザーに提供していくといった施策を中期的な施策として盛り込ませていただいております。 それから、9ページ目でございますが、目標指標(イ)といたしまして、まず大前提といいますか、大きな指標として海外事業展開に対応したグローバルな特許の取得を可能とする環境を整備すると、これを掲げまして、その中で具体的な目標をより簡明な目標といいますか、これにつながる目標を指標としてそれにぶら下がる形で書かせていただいております。その中で、後ほど参考資料の中にも出てまいりますが、海外での特許取得に要するコストを低減するというところをつけ加えさせていただいております。さらに(ハ)でございますが、ACTAの加盟国といたしまして、ターゲットとして「主要国・地域」という記載のみでありましたが、「アジアなどの新興国を含む」ということで明確化させていただいております。 それから、10ページ目、2ポツの枠囲いの部分でございますが、新規産業の創出という成果イメージに関連いたしまして、技術の輸出に着目いたしまして、こちらの額、これを現状2兆円から、新成長戦略上の名目成長率3%という目標にあわせて3兆円というふうに記載させていただいております。中小企業による輸出額10兆円から、その目標額が空欄でございましたが、こちらも先ほどの名目成長率の目標にあわせまして14兆円とさせていただいております。 それから、10ページの一番下の部分からは、4月以降ご議論いただきましたブランドの構築・維持に関連して説明を2つ加えさせていただいております。10ページから11ページにかかる部分でございます。11ページの一番上の丸は、知的財産制度の整備に関してもブランド構築促進の観点を含むという趣旨で若干修正させていただいております。 それから、11ページ下ほどにございますけれども、特許出願時の手続の容易化等を念頭に、出願手続作成支援ツールの開発といったことを短期で提案させていただいているところでございます。 続きまして12ページでございますが、こちらは先ほど申し上げましたブランド構築に関する施策をまず中ほどに2つ設けております。地域における優れた資源を活用したブランド構築に向けて、海外の重点市場における情報収集でありますとか発信を行う拠点の整備等、支援策の強化について検討を行うという施策。それから、こちらは農水省さんからのものでございますけれども、地域における食材を核とした食文化のブランド構築に向けた取り組みを促進するために、海外への情報発信を含めて検討を行う等、ブランド戦略の策定を支援するという中期施策でございます。 12ページの最後は先進的なブランド戦略、それからブランドを保護するための知財の効果的な活用方法といったことに関する事例集の作成、さらにそれを活用したマネジメント層を含めた普及啓発といったところを短期施策で加えております。 13ページでございますけれども、いわゆるユーザーイノベーションに関して議論をいただいていたことを受けまして、ユーザー参加型の実証実験ということで、一般のユーザーの参加を得ながら地域でありますとか空間を特定した実証実験を始めとした取り組みを進めるという短期施策を盛り込ませていただいております。 目標指標でございますが、ベンチャー・中小企業における特許制度の利用のすそ野を広げる。修正前は2.5万社という数字を挙げておりましたが、こちらを3万社というふうに上方に修正させていただいております。 14ページに移らせていただきます。 大学の産学連携力の向上というところで、連携の機能の評価のあり方についてしっかりと議論すべきではないかというご指摘がございまして、これを踏まえまして、産学双方にとって有効な連携を促進する観点から、その機能の評価のあり方を見直すという前段部分をつけ加えさせていただいております。 それから、15ページでございますが、連携の目標指標に関する部分でございますけれども、(ロ)といたしまして、単に書き出しは「企業から」となっておりましたが、こちらは「国内企業から」というところを念頭にしておりましたので、そちらが明確になるように、冒頭に「国内」と加えさせていただいているところでございます。 それから、(ハ)につきましては、こちらはその研究費全体に占めるパーセントで示させていただいたものを実数化した、母数で示したということでありまして、内容面には基本的には変更がないというふうに考えてございます。 それから、その下の部分はブランド構築に関する部分のうち、知財制度の整備というところに対応しております。具体的には16ページに施策を1つ入れてございます。ブランドの構築・維持に向けた取り組みを促進する知財制度整備の検討を行い、一定の結論を得るという短期施策でございまして、それに対応する目標指標を、一番最後、(ニ)としてつけ加えさせていただいているところでございます。 以上、資料1の説明をさせていただきました。 あと、簡単に参考資料3に触れさせていただきたいと存じます。 1ページ目でございますけれども、こちらは「低コストかつ効率的に特許取得が可能になるような環境の実現に向けて」ということで、妹尾会長からも全体的な俯瞰ができる図というものをつくってほしいというご指示がございましたけれども、これに対応してさまざまなフェーズを列記させていただいた上で、一番最後の「使用言語」に関する部分、こちらを現在から将来に向かって方向性をまとめさせていただいているところでございます。各国ごとの使用言語を共有するということで、出願の手続でありますとか特許庁間の審査情報の点で言語の共有化が図られているわけでございますが、今後一層その共有化の度合いを深めていくという意味では、機械翻訳の技術の向上でありますとか、翻訳者の能力向上といったところが必要になるかと思いますが、将来的にはさらに進んで、その使用言語の違いに起因した負担の側面のみならず、翻訳の不適切さに起因する問題といったものを低減していくということが必要になりますが、そうしたことを他のフェーズでの対応とあわせることで、低コスト・効率化、それから効果的な特許取得が可能な環境につながっていくのではないかということでまとめさせていただきました。 それから、2ページ以降は外国での特許取得に要するコストについて資料を示してもらえないかという委員からのご要望がございまして、掲載させていただきました。こちらは参照可能な調査報告書が余り存在しておりませんで、確認できたものの中でまとめさせていただいております。外国5カ国で特許をとる際に、1カ国当たり平均どれぐらいのコストがかかるのかといったこと、請求項の数ですとか明細書のページ数といったところには細かく踏み込んでおりませんが、アンケートをとりまして、それを取りまとめたものでございます。サンプル数が21件と6件、それぞれ、パリルートとPCTルートについて調べております。確かに余り大きい数字ではございませんが、特許事務所のホームページですとか、弁護士の方、実務家の方にお聞きした範囲ではおおむねこうした程度の額でないかというふうに承っているところでございます。 3ページ目は、今ごらんいただきました表の元データということでございます。 最後、4ページ目でございますが、外国で特許を取得する際、各国の特許庁に対して支払う費用、これは、請求項8を前提とし、明細書のページ数については追加料金が求められないようなそういったページ数を想定しておりますが、そういった条件のもとで各国登録までの料金、それから10年間維持するとした場合のその維持料、さらにそれを加えた全体額というものを主要国について掲載させていただいております。 事務局からのご説明は以上でございます。 ○妹尾会長 どうもありがとうございました。 ご説明の中でいろいろご質問だとか、あるいはコメントがあろうかと思いますが、ちょっとそれを後でさせていただくことにして、きょうは最初にバイ・ドール法の運用に関する話題を考えたいと思っております。前回、山本委員からの資料の提出がありましたし、渡部委員からも、日本版バイ・ドール法の運用の変更について情報が非常に錯綜して、現場で大混乱を招いているので、これは早急に対応したほうがいいのではないかという強いご指摘がございました。今回、これについて経済産業省の産業技術環境局産業技術政策課の石川課長にお越しいただいております。今回の調査会の取りまとめの議論と直接関係するものではありませんが、まず、この問題に専門調査会としてはちゃんと対応していきたいと思います。 それでは、石川課長、よろしくお願いいたします。 ○石川課長 改めまして、経済産業省の産業技術政策課長の石川でございます。よろしくお願いいたします。 それでは、早速ご説明をさせていただきます。 資料番号を振っておりませんで大変恐縮ですが、産業技術力強化法という法律、それから研究開発力強化法という法律の条文のコピーをお手元に配らせていただいております。適宜これを参照させていただきながら、なるべく簡潔にご説明を申し上げたいと思います。 先般、前回の専門調査会におきまして、いわゆる日本版バイ・ドール法、国の委託研究開発に関する特許の取り扱いについて山本先生、それから渡部先生からご指摘をいただいたとお伺いをしておりまして、まず、事実関係等をご説明申し上げたいと思います。 日本版バイ・ドール法でございますが、これは内容といたしましては、国が民間企業などに委託をして研究開発を行った場合に生じた特許について、その研究開発の委託を受けて実施した企業等に帰属させるという制度でございます。バイ・ドールという名前は、相手方に特許を帰属させるという制度について、アメリカで先行的な法律としてバイ・ドール法というのがありまして、そこを受けましてバイ・ドールと呼ばれておるものでございます。ちょっと技術的なことになりますけれども、従来ですとこの法律ができるまでは、補助金の場合ですと相手の事業をサポートするということですので、そこで出てきた成果は相手の企業なり大学等に帰属をするわけですけれども、委託研究というのは国が主体となるものを相手に委託するということですので、出てきた成果は国に帰属するというのが基本ルールであったということでございます。 しかしながら、委託研究を行ったものでも、国が特許をただ持っていても実際にそれが活用されず、国民生活の向上等に役立たないというケースも当然見られるものですから、委託を受けた企業なり相手に帰属をさせて、それを活用していただくと。例えばそこで何か実用化のために使っていただくなどということを通じまして、国のさまざまな利益にも役立つであろうということで、アメリカでもバイ・ドール制度というものが導入されておりまして、これも参考にしながら日本でも導入をしたということでございます。 具体的には平成11年に、産業活力再生特別措置法という当時の法律で導入をされましたが、これは特別措置法ということで臨時法、期限が切られた法律でございましたものですから、その後該当部分をこちらにあります産業技術力強化法という恒久法に移しまして、恒久的措置にさせていただいたということでございます。具体的な実施状況といたしましては、実施されてから10年程度がたっておりますけれども、定着をしておりまして、主要省庁の委託研究のほとんどにおいては、この委託研究によって生じた権利、特許等については委託を受けている側に帰属させるということで実施がされているところであります。 他方、近年の動き、その後の改正につながる話でございますが、日本版バイ・ドール制度については、従来ある一定の制限が加えられておったわけですけれども、この特許が第三者に移転されることについては制限が設定されていなかったということでありまして、これにつきましては、当省の審議会ですとか、また、国会議員の方からの質問主意書などにおいて、不十分なのではないかという指摘をいただいてきたところでございます。条文を参照させていただきますと、産業技術力強化法第19条というところですが、委託を受けた側に特許を帰属させることができるということが最初の柱書きに書いてあるわけですけれども、一定の制限ということで、例えば第1項では特許等が得られた場合には、遅滞なくそういう特許がとれましたということを国に報告してくださいということ、また、特に公共の利益の観点からそれを例えば国としても実施する必要があるというケースがある場合には、無償で国に特許権を利用する権利を許諾するということをあらかじめ約束してくださいというようなことがございます。 それから、第3項でございますが、特許権を受けた相手方が相当期間活用していなくて、それが正直言って、特許が死蔵されてしまっていることによって非常に国全体にとってもマイナスと思われるようなケースについては、その特許権を利用する権利を第三者に許諾することを、国の要請に基づいて許諾することをあらかじめ約束してくださいということで、相手に帰属した特許が活用されることを促すという制約があった、一定の条件をつけていたわけでございます。ただ、今申し上げたようなご指摘、また、平成20年6月に成立いたしました研究開発力強化法、これは略称でございまして、その下に長い名前の法律が書いてございますけれども、この法律の中で、研究成果の国外流出の防止ということで、国は研究開発の成果の適切な保護を図るため、国の資金により行われる研究開発の成果については、我が国の国際競争力の維持に支障を及ぼすこととなる国外流出の防止に必要な施策を講ずるものとするといった条文が盛り込まれた法律が成立したということでございます。 私どもとしても、こういった一連の動きなどを勘案した上で、最終的には昨年の4月30日に国会のほうで産業技術力強化法の中のバイ・ドール部分について一部修正を国会でしていただいたということでございます。具体的には、受託者が得た特許について第三者に移転する場合には、事前に国の承認を得てくださいということを、産業技術力強化法の第19条の4号に追加させていただいたということでございまして、簡単に解説させていただきますと、この特許権等の移転をするような場合には事前承認の対象になりますよということ。それから、そのさらに下部規定で少し具体的なことが書いてありまして、移転のケース及び産業技術力強化法施行令第11条の第2項ですが、専用実施権を設定する場合には事前の承認を得てくださいということを規定させていただいております。他方、第3項ですが、政令で定める場合というのは、事前承認を得なくてもいい場合ということですけれども、事前承認を得る必要がないケースを1号、2号、3号と設定しておりまして、1つは企業であればそれが株式会社である場合において、子会社とか親会社、事実上一体であるような会社に移転をするような場合には事前承認は不要でありますと。また、2号では大学等がいわゆるTLOに移転をするようなケースにおいては不要でありますと。また、第3号では、技術研究組合で行った研究の成果をその参加メンバーである組合員に移転をするような場合には、事前承認は不要でありますというようなルールをここで規定させていただいているということでございます。 以上がこの制度の今回の改正等の概要ですけれども、その上で前回、専門調査会のほうで2つご指摘をいただいているとお伺いしております。まず、第1には運用内容の情報が現場に十分届いていなくて混乱が生じているというようなご指摘でございます。この点につきましては、早速私どもとしても今月中に関係省庁を改めて集めた連絡会議を開催させていただきまして、この法律の趣旨、内容等を現場までぜひ徹底できるように早速対応させていただきたい、制度の周知を改めて行わせていただきたいと考えております。先ほど申し上げましたように、特許の移転、また専用実施権の設定というのが事前承認の対象となっておりまして、一部ご指摘がございますけれども、いわゆる独占的通常実施権と言われるもの、この独占的というのは契約に基づくものですので、これは特許法上で定められた権利ではありませんので、国の承認は不要ということになっておりますが、こういったことについても改めて現場の方々にも情報を周知できるように、早速対応をさせていただきたいと考えております。 また、この事前承認の制度につきましては、本年度以降、新たに締結されるまたは更新される委託契約を対象とするということにしておりますので、こういった手続についても各省庁などを通じまして、現場に周知をさせていただきたいと考えております。 もう1点ですね、前回ご指摘をいただいていると認識をしておりますけれども、事前承認についてあらかじめどういう場合であれば事前承認が認められて、また、どういうケースだと承認が認められないのか、移転が認められないのかということが予測できないのかという点ですけれども、これについては、正直結論から申しますと、そういうことについてあらかじめ明確なガイドラインといいますか、ルールをつくるということはなかなか難しいというふうに考えております。先ほどご説明しましたけれども、子会社でありますとかTLO、また組合との関係においては不要ということは規定させていただいておりますが、他方、アメリカやヨーロッパにおきましても、私どもがいろいろ調べております限り、移転の承認制限に関する一般的なガイドラインというものは規定されておりません。これは恐らく私どもが考えておりますことですけれども、ガイドラインといいますか、あるゾーンといいますか、ある条件に合致した場合にはシロであると。ある条件から先はクロであるということを設定いたしますと、大変恐縮ですけれども、それを偽装する方、つまりあらかじめそのシロのゾーンに入っているかのごとく装う方が出てくるというケースがあることもあり、多分そういった形でのガイドラインは設定されていない。また、日本におきまして技術流出、高度技術の流出等について制限を設けるいわゆる外国為替法、外為法という、輸出管理、輸出規制などを行っている法律がありますが、これについてもそういった点においてのガイドラインのようなものが設定されているわけではございません。正直申しまして、具体的な移転についてはさまざまなケースがあると思います。例えば企業であれば関連する会社である、それも資本関係はないけれども、例えば契約関係とか技術提携関係がある、ないとかさまざまなケースが想定されますので、一つ一つの事案については、これはきめ細かく内容を見させていただいた上で、私どもとしても確認をさせていただくということが必要なのではないかと考えております。 いずれにしても、諸外国の対応の例も改めていろいろ検討もさせていただこうとは考えております。 以上、非常に駆け足で、バイ・ドールに関する私どもの今の考え方をご説明させていただきました。以上でございます。 ○妹尾会長 ありがとうございました。 日本のバイ・ドール法の中身とその運用と、それから現在起きている問題への対応ということで石川課長からご説明をいただきました。この件についてご質問あるいはご指摘等がありましたら挙手をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。 はい、山本委員。 ○山本委員 大学によってということではあるんですね。例えば東京大学とかは積極的に特許の譲渡とかやっていないんですけれども、特許を譲渡していることを前提としている大学が結構あります。この場合に、要するに国からの資金でできた研究成果、特許の譲渡を事前に約しているような大学が既にあったりして、そういった意味では後で譲渡はだめですと言われてしまうと、大きな問題が起こる大学もあるのではないかと考えていまして、早急に大学にそれを通知いただきたいことが1点ございます。 それと、ガイドラインは設定できないと、偽装が起こるというご説明は理解できたのですが、どういう場合が絶対だめなんだというようなことはあらかじめわかっておかないと、例えば外国企業であればだめなのか、製薬会社とかであれば外資の傘下の企業なんていっぱいありますよね。そういった会社であった場合にはだめなのかというようなことがわかっていないと、国からの資金のもとで企業を集めて共同研究のような形になって、ところが、独占的通常実施権までであれば認可は要らないということなので、多くの問題はないのかもしれませんが、その企業との間での齟齬が起こるのではないかというのが少し心配なんですね。従って、外国の企業あるいは外国の企業の傘下の企業とか、そういった部分というのは、もしご説明がいただけるのであれば、ここについてはお聞きしておきたいと。 あともう1点は、大学で出願するときとかはもちろん出願の段階では特許になっていないわけで、専用実施権はご案内のとおり特許になってから初めて設定ができるものなので、専用実施権の予約を独占的通常実施権の契約の中に入れるケースがあります。国の承認は予約をする段階でも事前に必要なのか、あるいはそうではなくて、専用実施権を設定する段階で必要なのかといったどの段階で必要なのかというのもちょっとわからないところですね。 ○妹尾会長 ありがとうございました。早急に説明を現場にしてくださいという1点目。2点目は、ガイドライン等は出せないと言うけれども、外国企業の場合に、クリアなケースとしてもう既に出せるところは出しておいてほしいんだと、こういうご要望です。3番目についてはその段階ですね、タイミングなんですが、これ石川課長はいかがでしょうか。 ○石川課長 まず、最初にご指摘がありました現場への情報ということですけれども、そこはおっしゃるとおりでありまして、私どもも今月中に各省とすぐ打ち合わせをさせていただきまして、情報提供を早速させていただきたい、周知をさせていただきたいと考えております。 それから、実際に海外の企業だったらどうかと。外資などもあるということですが、ここはある意味おっしゃるとおりですけれども、逆に私どもとしても、外資企業であれば自動的にアウトというようなことにしてしまっていいのかどうかという面もあろうかと思っております。例えば国際的なアライアンスを組んでいろんなマーケットに進出していこうとか、または日本の国内のマーケットについても海外の企業と連携して、非常に優れた製品を提供していこうというようなケースもあろうかと思います。したがいまして、現時点で外資だから即座にアウトということも必ずしも言いにくいところもございまして、これについては現時点では先ほど申し上げましたように、個々のさまざまなケースについて、この産業技術力強化法につきましては、国の経済の発展でありますとか国民生活の向上ということに資するというのが法律全体の目的ですけれども、そういった観点に照らして内容を見させていただくということが基本になるのではないかと考えております。 それから、最後にいわゆる予約ということですが、法律上は実際に移転が行われる前に役所の承認を得てくださいということですが、予約段階ではまだ権利が移っておりませんので、別にそれは承認の対象になりません。移転が正式に行われる前に役所の承認が得られれば、それで結構ですということになります。ただ、実態問題としては、相手との関係で予約ということが行われた後に万一承認がおりないということになりますと、恐らくその相手の方との関係でいろいろトラブルが発生するケースもあろうかと思いますので、そういうことであれば、例えば事前にあらかじめご相談をいただくとかいう形で、そういったトラブルが発生しないようにさせていただくということはあろうかと思います。 ただ、いずれにしましても、正式には移転の前に、正式に権利が移る前に承認をとっていただくことが法律の求めているルールであるということでございます。 とりあえず以上でございます。 ○妹尾会長 はい、局長。 ○近藤事務局長 今非常に丁寧な説明をしていただいてありがとうございました。日本政府の許可を条件とするような場合は、例えば外為法の世界で結構タッチな物資を出すかどうかのときは、契約条件の中に日本政府のアプルーバルを条件とするという条項を入れるんですね。契約をしておきますと、日本政府がオーケーと言わなかったらアウトと、こういう形でやるというのが通常行われていまして、そこは割と事前になかなか相談しきれなくても条件として書いておくというのはよくあるパターンであります。 それから、2点目は、これは石川さんにむしろ私のほうからも質問なんですが、恐らく皆さんが心配しているのはプレディクタビリティ、予見可能性があるかどうかということなので、ある程度ケースが積み上がった場合に、こういうケースは丸にしましたよ、こういうケースはバツにしましたよというのをどこかで典型的なケースで結構なんですけれども、まとめて実例というんですかね、過去こんなケースがありましたというのをどこかで発表するようなことはお考えになっておられるんでしょうか。 ○妹尾会長 ありがとうございます。はい、それでは石川課長、いかがですか。 ○石川課長 最後のご指摘のところにつきましては、現時点で正直言ってまだそういう承認を取りたいとおっしゃられた方がいらっしゃらないものですから、実例が積み上がっていないということでございますけれども、そういうものが出てきて整理ができれば、こういうケースであればオーケーが出たケースがあるとか、そういうようなものをお示しするということも可能ではないかとは考えます。 ただ、外為法のケースも含めまして、あるケースが過去にオーケーだったということが今後もすべてのケースにそれが当てはまって、そのカテゴリーに該当したら必ずオーケーになるということではないこともございますので、参考事例ということになると思いますけれども、そういうやり方もあり得るのではないかとは考えております。 ○妹尾会長 それでは、山本委員、お願いします。 ○山本委員 忘れておりましたけれども、もう一つあって、よくあることは大学と企業であれば共願状態になることが多いんですね。双方に発明者がいると。その場合に大学の持ち分の一部あるいは全部を譲渡するというようなとき、これであれば全部を譲渡する場合は当然対象となるんだと思うのですが、一部を譲渡する場合、例えばもともと50%、50%で。そのうち15%を譲渡しましたよというような場合もやはり事前に承認が必要なのでしょうかということが1点。それはご質問です。 あともう1点はご理解いただきたいのは、よくあることは、バイオベンチャーが薬をつくって売るなんていうことはほとんどあり得ないわけで、どこかでフェーズ2の段階まで行ったら大手の製薬企業にライセンスアウトすると。そのときに必ずしも相手が日本企業ではないということもあり得るんですね。その際には、かなりバイオベンチャーにとっては制約になり得ると。それは承認がないとライセンスできないかもしれないという話になるので、それが事前にもう少し何か相談ができるような仕組みみたいなのがないと、契約交渉して後でだめというようなことではベンチャーを推進・育成するという点で問題があるのではないかということはご了解いただきたいと思っています。 ○妹尾会長 なるほど。今の2点、一部の問題と、それからバイオベンチャーのようなライセンスアウトを事前にというか、それ自身がビジネスモデルのところはどうするんですかと、こういうご質問だと思いますけれども、いかがでしょう、石川課長。 ○石川課長 1点目の持ち分ということですが、これは結論から申し上げますと、やはりそれは承認の対象になるということでございます。国の資金、元は税金ですけれども、国の資金を使って研究開発をしていただいた成果の一部ということでございますので、これについて法的な観点からは適切な範囲での移転であるかどうかというものをチェックといいますか審査をさせていだたく必要があるというのが1点目でございます。 それから、バイオベンチャー等の技術の移転ということで、今おっしゃられたような問題点といいますか論点があるということはおっしゃるところだと思います。ただ、他方、これも釈迦に説法というか繰り返しになりますけれども、税金を用いて行われた研究開発の成果をどのような形で活用していただくかということにつきましては、他方、それについて不適切な形での移転とか使われ方が行われることについては、やはりチェックといいますか、それはそのままではよくないだろうというご議論もあることでありますので、その両者、ベンチャーが活動しやすいということと、他方、国費を用いて行った研究開発の成果をどう適切に管理するかという両方の要請について何とかうまくできるように、いろいろさまざまなご相談に乗っていくようなことも含めて対応をさせていただきたいと考えております。 ○妹尾会長 ありがとうございました。いかがでしょうか。よろしいですか、山本委員。 ○山本委員 私はこれでかなりすっきりしているんですが、現状で大学が問い合わせすると、NEDOもJSTも全然違う回答をしています。一部には政務三役の印鑑が要るので、もうほとんどやるなというような回答があったりして、要するに今みたいな各論の質問をすると回答が違うというのが現状であって、そこが問題だと思っておりますので、早急に各省庁のすり合わせをお願いしたいというのが私のお願いでございます。 ○妹尾会長 ありがとうございます。 ○高柳委員 関連して。 ○妹尾会長 はい、それでは高柳委員、お願いします。 ○高柳委員 よく大学とやる場合には、海外については企業が出してくれと。あるいはもう出願段階からそういう意味では特許を受ける権利を全部アサインします。そのかわり後で何かあったらリターンくださいというような傾向が多いんですけれども、これは外国、ここの研究開発成果に基づく外国特許権、特許を受ける権利についても全部適用になるということですね。 ○妹尾会長 いかがでしょう。 ○石川課長 おっしゃられるとおりでして、外国でとられた特許についても対象になるということでございます。 ○高柳委員 ほとんどの大学がそれを意識していないから、我々は内資だからいいと思っているのか、内資であっても別に初めから届けなくてもいいという制度にはなっていないわけでしょう。届け出て承認をとるという設定になっているわけでしょう。 ○石川課長 内資に例えば移転をされるようなケースでも、そこはそういうことでございます。 ○高柳委員 だけれども、ほとんどの大学はそういうことを意識していないと思いますね。 ○石川課長 わかりました。改めて周知を早急にさせていただきたいと考えております。 ○妹尾会長 わかりました。高柳委員からもご指摘をいただきました。 はい、相澤委員。 ○相澤(英)委員 例として、外為法が出ましたが、外為法は安全保障問題が絡んでいるので、ちょっと性質が違うのではないかと思います。こちらは対象品目が特定されないので、基準を明確にしないと大学側は困るのではないかと思います。一つ一つ事前相談をやっていくとなると、担当官庁の事務処理も煩瑣になり、円滑に回答を作成していくのも大変であると思います。バイ・ドールを是とする限りは、大学を含む関係者が困らないようにしていただきたいと思います。 ○妹尾会長 はい、石川課長。 ○石川課長 ご指摘の点ですが、確かに外為法の例とは全く類似のものではないということはおっしゃるとおりでございます。ただ、私が申し上げたかったのは、ガイドラインといいますか一定のゾーンをあらかじめシロと設定しますと、そこにむしろ偽装してくるというケースが想定されるという意味で、似たようなケースではないかというふうに思ったものですから、例示として挙げさせていただきました。むしろ外為法と異なる点について言えば、このバイ・ドールというのは、もとは国費で行った研究開発でありまして、法的には本来は資産といいますかその成果は国に帰属をするということが本来ルールであるところ、一国民生活の向上等々、経済の発展に役立つケースにおいてこういう活用を図ろうということで、一種例外として相手に帰属をさせるという考え方で立法されております。 ただ、現実には極力それが活用されるようにということで、実際委託開発を行った場合にほとんど100%に近い形で特許権などは相手方に今は帰属しているということでございます。やはりそういった制度について今後も引き続き維持をしていくという意味では、その特許などが適切に活用されるということがあわせて必要だということでございまして、今、先生ご指摘がありましたようなご相談等々がふえてきた場合にどう対処するかということについてはおっしゃるとおり、運用上の問題としては重要なポイントでありますので、私どもとしても改めて各省とも含めて相談をしてまいりたいというふうに考えております。 ○妹尾会長 ありがとうございます。外為法がいろんなレベルで例示されていますので、先ほど局長がおっしゃったのは、むしろこういう条項をあらかじめリスクマネジメントとしてビルトインするやり方もあるということでのご例示だったと思いますし、幾つかの形での例示があったのでちょっと錯綜はしたかもしれませんけれども、そういうことだということです。 はい、渡部委員、お願いします。 ○渡部委員 一言で言えば、ぜひ現場重視でお願いをしたいということです。細かい問題がかなり含まれていると思います。さっきの共有特許権の持ち分譲渡に関しても、これはたまたま日本の大学と企業では発明者主義で持ち分を決めていたわけですから、問題は少なかったかもしれませんが、この段階での譲渡にも影響してしまうことになるのではないかなど、これは次の進め方として、各省庁で議論する、周知すると言われましたけれども、現場の問題をもう1回フィードバックしてから進め方を決めていただきたいと思います。その上でそれをやっていただきたいというのがお願いです。 以上です。 ○妹尾会長 ありがとうございます。このことは大変いろんなところで耳にするようになりましたけれども、非常に国の産業にとってプラス・マイナスというのはケース・バイ・ケースでありますから、それで運用を図っていくよというご趣旨でありますし、それから、リスクマネジメントですよね、一種の。だから、それをどうやって事前にビルトインするか。ビルトインする仕組みそのものをどういうふうに考えるかと、こういうことだと思います。 我々の調査会としての要望としては、今回のこの対応だけではなくて、今後こういう混乱が起きないようにどう対応、まさにリスクマネジメントをビルトインしていただくかということだと思います。知的財産に関する大変重要な法令が改正されたけれども、我々専門調査会としてもこれは伺っていませんし、こういう現場でも全然聞いていないということです。こういった混乱が今後起きないように、どうこういう法律改正がちゃんとその趣旨を浸透させるか、運用が浸透させられるか。それをぜひ担当省庁の皆さんにご努力いただきたいということかと思います。こういう混乱があって、その都度対応ではなくて、これを学習の糧にしていただきたいというのが我々の要望だということにしたいと思います。 それでは、皆さん、よろしゅうございますか。 それでは、石川課長、どうもありがとうございました。 ○石川課長 そうしましたら、大変恐縮ですが、会議の途中でございますけれども、退席をさせていただこうと思います。よろしくお願いします。 ○妹尾会長 今後は何か疑義がありましたら、実は混乱の一つはどなたに伺えばいいのかということ自身がかなりわからなかったんですね。こういうたぐいの問題はまず石川課長さんの課にご相談すればよいと、こういうことですね。 ○石川課長 そうですね。産業技術力強化法自体は、まずは経産省から発案して出させていただいたものですので、ご相談いただきまして、必要があれば各省とよくすり合わせですとか相談もさせていただきたいと思っておりますので、引き続きよろしくお願いを申し上げたいと思います。 ○妹尾会長 ありがとうございます。それでは、どうもご苦労さまでした。 それでは、かなり時間を押してしまいましたけれども、取りまとめの議論のほうに移りたいと思います。 資料1をごらんください。これにはハイライトの部分があります。前回、前々回に議論いただいたのをこういうふうに修正しますということです。先ほど髙原参事官からご説明がありましたけれども、3つの部分に分かれていまして、1つは総論としての現状認識と目標の部分、すなわち1ページから3ページの部分ですね。それから、企業の事業活動における戦略的な国際標準化、知的財産の活用の部分、4ページから9ページですね。3つ目が2.我が国の優れた技術を活かした世界に通用する新規事業の創出の部分ですから、これは10ページからその後17ページに至る部分ですけれども、この3つに分けて順番にやらせていただきたいと思います。 まず、最初に現状認識と目標の部分です。1ページから3ページ、これについては、前回ご意見は出なかったので、修正ハイライトの部分はございません。これは一応このままで進めさせていただいてよろしゅうございますか。もし何かコメントがございましたら。よろしいですか。 ありがとうございます。 それでは、次の第1部、4ページ以降です。企業等の事業活動における戦略的な国際標準化、知的財産の有効な活用ということなんですが、4ページ以降の、特に修正した黄色いマーカーの部分です。4ページから9ページ目までの中で、これはどうなっているんだとか、あるいはよくよく考えてみたらこうなんだというご意見、ご指摘があればぜひお願いいたしたいと思います。いかがでしょうか。 佐々木委員。 ○佐々木委員 先ほどの前段のところでちょっと触れるべきか迷ったので、ここで言わせていただきますと、これ全体は結構国家プロジェクトに相当するぐらいやり遂げようと思うと大きなことだと思うんですが、各省庁が責任を持つというふうな構図になっており、大変失礼な物言いかもしれませんけれども、余りPDCAがなれていないそれぞれの役所が本当にできるのかなというのがあって、というのは我々はもっと小さな組織でよく知った人間の能力をわかった上で、例えばプロジェクトを回すのに毎日資料と戦わなければいけないぐらいPDCAというのは大変なので、そういう意味ではこの全体をPDCAとしてチェックするのは、この知財戦略本部がずっとごらんいただけるということでいいのかというのがまず1つですね。私はその辺のプラットフォームを設定するというのが一番重要じゃないかなと冒頭のほうで申し上げたんですが、それを意見として申し述べさせていただくということと、それと、そこから急にスペシフィックなところになりますけれども、前回も大分議論になった目標値のところで、これはもしかしたら瑣末になるのかもしれませんが、外国出願の目標、大分議論にこれなったと思うんですけれども、これが依然としてやっぱり目標として残っている。これを残すんだったら残すということで、私はそれはいいとは言いませんけれども、理由をしっかりしないと、これがあると非常に違和感があるというのは先回も申し上げましたし、余りロジカルではない。こういう数字が1個混じっていることによって、ほかのもののクレディビリティがもしかしたら損なわれるんじゃないかなということで、余り議論のあるものは、私は載せないほうがいいのではないかというふうに思います。 以上です。 ○妹尾会長 ありがとうございます。2つご指摘がありました。1つ目はPDCA、これ全体のサイクルを回すときにだれが責任を持つのか。これは当然本部の事務局が持つというのがこの専門調査会での議論の前提ですから、そこはご指摘というよりはご確認というふうに考えてよろしいですね。これは局長、よろしいですよね。 2つ目は、9ページのところですね。毎回、毎回これがいろいろ議論になってパーセンテージが良いのか、具体的な絶対値が良いのか。いやいや、そもそもこれは産業企業にとってはなじまないではないかといったご議論がありました。これを最後まで残すかどうかというのは、実は私と事務局の間でも大激論がありまして、ひとまず残してあります。これについては恐らく2つ考え方があるだろうと思っていまして、1つは、これは企業自身はそれぞれまさに先ほどのケース・バイ・ケースでやっているわけですから、こういう比率を出されても企業が責任を持てるわけでもない。かといって全体の結果数字ですから、これについて事務局も責任を持つのは難しいという考え方が一方であります。その一方でしかし、これは国の政策ですからグローバル経済に行こうという意味での旗振りとしてそれを象徴的にあらわすという、一種の良い意味でのアドバルーンとして必要なんじゃないかと、こういうご議論があるわけです。 このどちらかということなんですが、逆に佐々木委員、ちょっとご質問させていただくのは、これが載ることによってクレディビリティが損なわれると、こういうご指摘があったんですけれども、例えばどんなことでしょうか。 ○佐々木委員 例えばこれを見ると、前回の議論にもありましたように、これは結構率直に申し上げてナンセンスに近い設定ではないかなと思うんです。これが堂々と残っていることによって、ほかにそういうものがあるとは思いませんが、ほかのいわゆる指標的に出された数値設定も70が90%かいなと。あるいはこれこれが大体2割増しぐらいでポンポンと置かれたんだねというふうに、ちょっとほかのものも傷つかないかと、そういう意味です。 ○妹尾会長 なるほど。それでは、これについては毎回議論が起こっていますが、どなたかいかがでしょうか。 はい、相澤委員。 ○相澤(英)委員 全く同じことですが、基本的に、企業のポートフォリオで決まるものです。これを知財戦略本部の事務局が責任を負うとすると、変な行政指導をしないといけないことになりますので、責任を負えないと思います。そうすると、数値目標自体を置きたいということはよくわかりますけれども、こういう数値目標はいかがなものかと思います。あと、効果測定をするために、事後的に回帰分析を行って、結果を明らかにする必要があると思います。どうしてこの数字が出てきたのかということについては理由が明らかではありません。ただ、数字を上げればいいということになっています。今、佐々木委員がおっしゃった信頼性の問題というのは、だれも責任が負えない数字がここに出ていることをご指摘になったのだと思います。これはよくないということだと思います。 ○妹尾会長 ありがとうございます。今の回帰分析の話については、相澤委員から提出資料もございました。これはどういうことかというと、目標数値を政策誘導のための目標数値というよりも、むしろ学習ツールとして使うんだと。 ○相澤(英)委員 何をやったら何が起きたかということをはっきりしないといけないと思います。例えば政府から補助金が出ている場合に、どういう結果が起きたか数学的な根拠を持って明らかにしてから、将来の政策を決めるべきだと思います。これは基本的な問題です。ただ、今、数値と言われても、今までだれも研究していないから、それに基づく政策案が出せないからある程度は仕方がないのかなと思いますが、産業界の方が困るという数字を入れるのはよろしくないのと思います。標準化人材を何百人といっても、どのような人を指すのかがわからないので、それでは意味がないということも言えると思います。 ○妹尾会長 ありがとうございます。これは立場によって議論が毎回いろいろ続くものなのですが、今のような、誘導あるいはアドバルーンとしてこれを上げるという意味も一方であると。一方でしかしという議論もありますがが、はい、荒井委員、お願いいたします。 ○荒井委員 今回のこの推進計画は、政府がやることだけを決めるというよりも知財本部自身は総理大臣が本部長ですけれども、閣僚のほかに民間の方も入っていただいて、共同で日本全体をどういう方向へ持っていくかということでやっているんだと思うんですね。そういう観点からいって、民間の方あるいは大学の方を含めてどういう方向へ知財戦略が行くのかという観点から見たときに、今までの知財、特に特許のとり方その他については非常に国内中心主義で来ていると。これは行政の運用もそういう面になっていたわけですので、今こういう国際経済がグローバル化している、あるいは国全体の目標が国際標準をとるとかアジアを内需にするとか、そういう観点からすると、もっともっと海外への出願を高めていって、そして日本人の知的創造活動が世界じゅうで活用されていくというのが日本全体にとっていいことじゃないかという全体の流れ及び仕組みですから、民間の方のやることについてもそういう目標として掲げて、そういう方向へみんなで力を合わせていくということは適切ではないかと思います。 同じような意味では、民間で日本企業の模倣被害率とか中小企業の輸出額とか、こういうものはそれぞれみんな民間の方の数字ですけれども、それを国全体としてそういうふうにやっていこうということだと思いますので、私としては目標数値として掲げていくのが適切ではないかというふうに思います。 ○妹尾会長 ありがとうございます。それでは民間の企業の方々からもご意見を。 ○野元委員 その上で、その1つ上にコスト低減の文字が出てきたのは非常にうれしいんですよね。やっとコストの話が文字に出てきたなと。数値化するのであれば、コスト低減では何%下げるのかと、こう具体化してこの中をウオッチしていくべきであって、海外出願のコストが下がれば、おのずと海外出願は上がります。上げたいんだけれども、お金が高いから海外出願を絞っているだけなんですよ、現実的な話は。だから、海外出願に要するコストを低減すれば、これはいい原因をつくればいい結果は出るわけですから、海外出願比率はおのずと上がると。明確な因果関係があると思うんです。ですから、数値を上げるんだったらコスト低減のところも数値目標を出すべきだし、その結果として海外出願がどう増えていったかというのはウオッチしていけばいいわけだと思います。 ○妹尾会長 ありがとうございます。実はこのコスト低減の後ろになぜ数値を入れないんだというのは、実は私と事務局の間で大議論がありました。そのときの理由は、これは私から説明するより参事官から説明していただいたほうが良いかな。 ○髙原参事官 コストに関しましては、項目を定性的な指標ということで入れさせていただいておりますが、さまざまなファクターがございまして、なかなか適切な指標を特定するというのが困難な部分があると。しかしながら、定性的であるにしても目標として掲げるというところは意味があるというふうに考えまして追記したところでございます。 ○妹尾会長 要するに難しいからやらないというご趣旨かと思いますが、ただ、コストを低減すると言っている以上、今はどのぐらいなんですという数値が出てこないと、話になりません。政務官の言われている検証可能な話にはならないので、そこのご努力はいただきたいところではあるんですが、これは民間に負担がかかるというよりは、むしろ事務局としてどうなのかという話かとも一方で思います。 いかがでしょうか、ほかの方々の意見は。 高柳委員、お願いします。 ○高柳委員 私も野元委員と同じ考えですけれども、やはりこのアドバルーンということであれば、結果イメージと目標指標という関係が、結果イメージのほうが抽象的なとか、あるいは海外出願をふやすとか何とか言っても責任は負わなくていいと、そういうものなんですかね、これ。そうすると、そちらのほうに定性的なものを入れていただければいいので、本当はコスト低減のほうは明確な責任を持つような数字を入れていただいて、知財本部が責任を持って指導していただき責任を持つような形が好ましいと思いますね。 ○妹尾会長 今のご意見は載せるにしても、数値目標を入れるのが逆じゃないかと、こういうご指摘かと思います。ありがとうございます。 いかがでしょうか、ほかに。 この話がスタックしている一つの理由は、やはり立ち位置によってかなりこれが違って見えるということなんですね。それを調整するのが確かに専門調査会の役目なんですけれども、今これを抜くと言うわけにもいきませんし、入れると言うわけにもいきません。ということなので、これは今のご指摘にあるコストを低減するということが本当にどこまで数値化できるのか、できないのかということはまだ詰め切っていないので、これは事務局に本当にそうなのかどうかというのを考えていただく。それから、これについての目標としてアドバルーンを上げるほうに数値を上げるのか、あるいは、だれが責任を持ってこれを遂行するんだとわかる範囲内において数字を載せるんだという今のご指摘も踏まえて、これを検討させていただきたいと思います。今ここで多数決で決めるというわけにもいきませんので、今のご意見を極力反映する形でこの問題を考えさせていただきたいと思います。 佐藤委員、ご指摘ございますか。 ○佐藤委員 このコスト低減にしろ、外国出願の比率を上げる話にしろ、これを支えている要因は非常にたくさんあって、非常に単純な話ではない話です。それを数値化しようということ自体がなかなか難しい話だと思っています。ただ、先ほど荒井委員からありましたように、我が国は今後国際競争力を増すために何をしなければならないのかという観点で、やっぱりこの専門調査会の報告というのをつくらなきゃいけないと思っているんですね。そういう意味では、産業界のやっぱり意気込みをきちんと打ち出してほしいと思います。実際にプラクティカルにできる、できないの話ではなくて、そうしないと日本の産業は生き残れないぞというようなメッセージをぜひこの調査報告書には残すべきだろうと思っています。ただ、その24%が35%になるかと言われたら、多分だれも答えられないと思いますけれども、そういう意味では、この目標指標というものを掲げること自体、私は非常に大事なことだと思っているので、その数値のあわせ方についてどうのこうのというのをここで余り議論してもしようがないかなと思っております。逆に言えば、そういうふうな方向で行くんだということをここで官民一体になってやろうということをこの次の報告で明らかにするという方向に持っていければいいと思っております。 ○妹尾会長 ありがとうございます。今、佐藤委員のご指摘は、我々はもうグローバル経済の中でやるんだよという覚悟を決めたぞということをここでうたうべきではないか、こういうことですよね。それは個々の企業の話ではなくて、産業界全体として、あるいは日本の経済のこれは成長戦略に入る話ですから、そこのところでの意識としての良い意味でのアドバルーンは上げたいと、こういうことだと思います。ありがとうございます。 はい、相澤委員。 ○相澤(英)委員 会長にお任せしますけれども、本来の数値目標というのは、その数値目標が具体的で、かつ、達成可能な具体的に手段が想定されるというのが本来であると思います。例えば、予算を1%削減するという数値目標はやろうと思えばやれることなので、実際に、その数字で達成できたかできないかを明らかにすることができます。数値目標はアドバルーンですと言った途端に、数値目標の持つ意味というのがすごく軽くなってしまうという気がします。そこも含めて、会長にご判断いただければと思います。 ○妹尾会長 大変なプレッシャーをいただきながら今伺っていました(笑)。今のご指摘は先ほどの佐々木委員のおっしゃっていたクレディビリティと関係するところですね。このことに関して、私は2回前にペーパーを出させていただいています。目標の設定ということの基本的な考え方はどうなんだという10カ条を出させていただきましたけれども、数値で出す場合の落とし穴というのはありまして、今、相澤委員のおっしゃっているのと同じ部分であります。ただ、数値を抜いて出すということも一つの手としてはありますので、そこのところも含めて検討させていただきたいと思います。 委員の皆さんのご意見を、どこまで反映できるかわかりませんけれども、考えさせていただきたいと思います。 ほかの部分について何かご指摘ございますか。9ページまでの間ですが。 8ページのところの使用言語の違いに起因する負担の軽減というところについては、何人かの方から全部見通した図がほしいという意見をいただいていたと思いますけれども、それについては参考資料3のほうで出ています。ここで我々が注意しなければいけないと思うのは、低コストかつ効率化ということが前面に出ていましたけれども、それ以上に重要なのか効果的かどうかということでありまして、使用言語の違いによって問題が生じるとか齟齬が生じるということがむしろ権利行使について問題も重要な点ですので、効率的か効果的かということの両方を並べないといけないということがあります。したがって両者について、ここではうたわないといけないと思います。 ただ1点、私は気がつかなかったんですが、参考資料1の下のところに機械翻訳の技術向上と書いてあるんですが、技術が向上することではなくて精度が向上することが重要なので、その精度向上のためにこの機械翻訳の技術が上がるみたいなことではないかと。福島委員からのご指摘もありましたけれども、そういうことでご理解はよろしいですよね。機械翻訳をするメーカー側の技術が上がるということではなくて、それもあるんですが、翻訳の精度がより上がる。その効果性を重んじようと。ただし、それについてはコストの低減と効率化を図ると、こういうことです。 それでは、この9ページまでのところでよろしければ、10ページ以降に移らせていただきたいのですが、よろしいですか。 それでは、10ページ以降です。これについてハイライトの部分を中心にご意見、ご指摘があればと思いますが、いかがでしょうか。 はい、荒井委員。 ○荒井委員 9ページまでの部分も含むんですが、全体を通じて新しい視点のものが入ってきて、内容として画期的な推進計画になっていると思いますので、新しい視点が入っているということだと思います。 それで、10ページ以下について2点要望ございますが、11ページにこうやって下のほうにあります出願書類作成支援ツールとか、これも今まで中小企業の方が長く要望していたことでございますので、ぜひ実現していただきたいんですが、そういうことも含めまして、ぜひユーザーフレンドリーというか、使い勝手のいいような実際の仕組みが項目としてはいろいろ立てていただいたわけでございますので、具体案はぜひユーザーフレンドリー、使い勝手のいいものということでつくっていただきたいというのが第1の要望でございます。 第2の要望は、ワンストップ相談窓口とか、普及啓発とかありますので、これもぜひ成果を上げていただきたいんですが、具体的に言うと、都道府県ごとに知財連絡協議会みたいなものをつくっていただいて、各地方でも横の連携を踏まえて協力してやっていただくのが必要じゃないかと思います。そうしませんと、ワンストップ相談窓口がワンモアストップみたいになっていくと、制度はできても実際には連絡がうまくいっていないと効果が上がらないというもったいないことになります。具体的には都道府県と、中小企業の商工会議所、農業の関係もいろいろ地方で大事ですので、農業関係団体、大学TLOでも非常にいろいろ活動されておられます。それから、弁理士会、弁護士会の都道府県のベースの人々が集まって地方の連絡協議会を開いて、具体的に活動を一緒に力を合わせてやっていくということがせっかくこうやって書いていただいたことの成果を上げるのに適切じゃないかと思いますので、ぜひ政府としてそういうことを指導していただく。今時言っても困るかもしれませんけれども、どこかそういう地方での連携を強化するというような項目も1つ入れていただいて、やっていただいたら、この知財戦略を使った地域の活性化というか、そういうことに寄与できるんじゃないかというふうに思いますので、その点も要望させていただきます。 ○妹尾会長 ありがとうございます。1点目はこういうものについてのユーザーフレンドリーといいますか、使い勝手のいいものにと。最近、マーケティングで言えばユーザーエクスペリエンスをいかに強化するか、こういう話かと思いますけれども、そのご指摘です。 2つ目は地方連携の強化支援策をやってほしいと。ワンモアストップではない、かつワンウェイストップでもないというようなものかと思いますが、それが織り込めるかどうかですね。これは具体的にどうなのかというお話ですが、今回のものにできれば入れたいんですが、政策的に時間的な問題もあるので、検討させていただくということでよろしゅうございますか。 ありがとうございます。確かに都道府県かどうかは別にして、それぞれのところでの前後左右の連携をとられたほうがより良いということは確かだと思いますので、これは事務局と考えていきたいと思います。ありがとうございます。 ほかにいかがでしょうか。 はい、高柳委員、お願いします。 ○高柳委員 2点ございまして、最初の点は10ページの、やはり成果イメージのところで、技術輸出額2兆円が3兆円になりましたと。それから、中小企業による輸出額10兆円を14兆円と、こうなりましたけれども、これは改めて考えてみますと、この中小企業によるというふうに輸出額を。これは特別の意味があってということなのか、これは質問なんですけれども。 それから、何回か前に指摘させていただいたんですけれども、製造業に関しますと、輸出にかえて技術輸出、ライセンスをすれば輸出は減るとか、そういう関係にあるんですけれども、そういう細かいことは抜きにして、技術収入もアップすると。あるいは中小企業による製品輸出額もアップすると。そういうどっちでもいいから両方アップだと、こういうアドバルーンということで考えれば、余り深く考える必要はないと思うんですけれども。製造業においては、それから中小企業とありますので、大企業のノックダウンとか現地生産に伴ったら輸出がふえる。一応いろいろこの為替の問題とかそういう問題で変わりますよというような逃げの手は打ってあるんですけれども、これは余り深く考えなくてもいいということなのか。それから、中小企業というのはやっぱり中小企業がそういう輸出額がこの程度なので、もっと上げようという意図があって、こういうふうにわざわざ入れられておると、その質問も含めて、それが1点ですけれども、ちょっと時間を1回切ったほうがよろしいですかね。 ○妹尾会長 1回切らせていただけますか。ありがとうございます。 これについては、事務局から答えていただこうと思いますが、ただ1点、現物を輸出することと技術のライセンスによる輸出がトレードオフの関係だと決めつけることはいかがかと思います。 ○高柳委員 決めつけるということはないんですけれども、現地生産であり、今まで製品で輸出したものが現地生産になれば、現地生産は親子であってもライセンス収入という形で入ってきますけれども、日本のトヨタさんの例で言えば、車が国内生産のものが輸出されたら輸出額はアップしますけれども、現地生産になれば恐らくライセンス収入という形で技術料をもらうというような形の関係になるんじゃないでしょうかね、その制度では。 ○妹尾会長 製造業のある種のモデルは確かにおっしゃるとおりですけれども、それだけが製造業のモデルではないので。 ○高柳委員 それだけではないんですけれども、我々のセンスから言うと、そういうのがすぐに浮かぶんですね。 ○妹尾会長 ある分野の方々はそういう感覚が恐らくあるだろうと思います。これについて今のご指摘はいかがでしょうか。これ事務局からお答えいただければと思います。 ○髙原参事官 以前、成果イメージとして「技術収支額」ということで示させていただいたことがございましたけれども、我が国の技術を海外に対して売り出していくという観点にまず着目しようではないかということであります。トータルでみる際に、先ほど現地生産ということもご指摘をいただいておりますが、それは個々の業種、それから企業さんの考え方もございますので、そこは収支でどうなるかという目標を設定するのではなく、我が国の技術がどうライセンスで海外に出ているかということに着目しようじゃないかということで今回、新たに「技術輸出額」として出させていただいたところでございます。 それから、中小企業における輸出額につきましては、こちらは下の説明にもございますし、あと施策でも立てておりますけれども、これまでベンチャー・中小企業の方にとってなかなか制度の活用が十分でなかったということで、それに伴って輸出も海外展開、十分支援もなされていなかったということがあったかと思いますので、今般推進計画に盛り込まれる施策の展開によって、中小企業さんについては輸出をどんどん推進して頂こうということで挙げさせていただいたということでございます。 ○高柳委員 アドバルーンですからいいと思いますけれどもね。 2点目は13ページの(2)に産学官が共創する場の構築というのがあるんですけれども、よく見ましたら、案のときのものと2番目、3番目の順番が逆になっているんですね。「このため」というところが。それはいいんですけれども、真ん中だけが文部科学省で、サンドイッチの挟むほうが経産省、文科省ということで、これはどなたか前にもご指摘あったと思いますけれども、ここの知のプラットフォームの構築に着手するところが文科省さんで、我々がちょっと危惧しますのは、その知のプラットフォームというのは単に大学等の特許とか研究テーマの羅列に終わるのではなかろうかと。もっと本当に産業界のニーズを取り入れたものにしていただかないと意味がない。したがって、それが共創の場の構築ということかなと思ったんですけれども、順番が変わることによって、そういうものもちょっとそれではなかったのかなということで、改めて出口のイメージ、緊密な対話と書いてありますけれども、本当に産業ニーズに沿ったものにしていただく、そういう知のプラットフォーム、あるいはその知のプラットフォームは大学とか研究機関だけのものを並べていいのかとか、そういう問題にも国のプラットフォームということであれば、もっと広げてもいいんじゃないかなと。ちょっとそういう文科省さんだけがやって、知のアカデミアあるいは研究、科研費でできたものの知のプラットフォームというと、ちょっと心配になるので、その辺はそういうことがないようにお願いしたいと思いますけれども。 ○妹尾会長 ありがとうございます。今の点に関して、産学連携の立場から何かコメントございませんか。 ○山本委員 おっしゃるとおりで、このプラットフォームという言葉で何か深く考えなければいいのかもしれませんけれども、イメージがやっぱり例えば私の立場でもよくわからないんですね。IMECというのは1つ具体的なものが出ているものの、いろんな技術分野とかいろんな業界があるわけで、そういったときにはどうもここの少しイメージがはっきりしないというのと、前も申し上げましたが、プラットフォーム、産業界と大学が集まれば産学連携が進むというような単純なものではないというふうに思っておりますので、これしかないようなところがちょっと物足りなさを感じてはおります。 ただ、ここはおっしゃるとおりで、よくわからないんですね。ちょっと人によってイメージが違ってくると思いますので。 ○高柳委員 かなり負担をかけるようなことの指示がいくんじゃないかなとも思いますね。 ○山本委員 その国費の設備を両方が円滑に利用できるというのは具体的でわかりやすいんですけれども、そこはいいんですけれども、プラットフォームというものの中身の像が見えないので、今ご指摘のようなご質問が出ると思いますし、私も人によってイメージが異なってくるものと思っております。 ○妹尾会長 今の13ページの下の知のプラットフォームの具体的な話としては、どういうものが想定されていますか。 ○有賀参事官補佐 ご説明申し上げます。こちらの2行につきましては、ご指摘のとおり、産業界とか官と学とが集まって研究の計画の段階から協力していくという事業を文科省が計画しているものでございまして、これは事業の主体が文科省の傘下であるということだけで、実際には、もちろん産業界、あと官と学とが一緒に協力して計画すると聞いております。 ○妹尾会長 これは今、この段階でどうする、こうするということにはなじみませんが、ただ、ご指摘になった懸念の部分ですね。これはぜひないようにというか、そこは特に注意を払って、実際の収支に当たっては文科省を中心に配慮してやるということかと思います。少しこの辺のところはそれぞれの解釈の余地があるので、具体的なものを想定しながら進めていただきたいというのが我々の要望かなと、こういうことであります。 佐々木委員。 ○佐々木委員 私はこのプラットフォームとか、次のところの役割のところに入っているんだろうなと思っていましたけれども、いわゆるオープンイノベーションと機密保持というのは結構裏腹なところがあって、やっぱり企業側からしますと、本当に津々浦々の英知を大学にお願いしたいんですが、やっぱり企業が持っている将来的な課題というのは物すごくバリューがあって、そのバリューなものを一緒にやろうとすると、どうしても限られた今までおつき合いのある大学とかそういうところとずっと関係が続くことになると。ところが、もっと日本の津々浦々にはそれにマッチするような技術が残っている、あるいは研究成果があるというようなときにそこの機密性を保持しながら、いかに広いところに助けを求められるかと、そういうことも私はこのプラットフォームに入っているんじゃないかというふうに思っていましたけれども、そういう理解でよろしいですかというのと、もしそうでなければぜひそういう意味を持たせていただければと思います。 以上です。 ○妹尾会長 ありがとうございます。今のはどうでしょうか。 ○有賀参事官補佐 現時点ではどのような形態でやるのかは検討の最中と聞いております。ご懸念の点につきましては、文科省に伝えたいと思います。 ○妹尾会長 ありがとうございます。 それでは、いかがでしょうか。基本的には前回、前々回の議論を踏まえておりますので、前回、前々回議論にならなかったところの蒸し返しはできるだけ避けたいというふうに思っております。ハイライトの部分が前回までのご指摘の部分でありますから、ハイライトの部分を中心にご指摘、ご意見がありましたらお願いをしたいんですが、いかがでしょうか。 はい、西山委員。 ○西山委員 13ページをお願いいたします。それから、参考資料1に前回、第7回の主な意見の要約が掲載されていますので、これを踏まえて私のほうから意見を述べさせていただきたいと思います。 黄色のアンダーライン、ハイライトされているような形でユーザーイノベーションというものを前回、妹尾会長が定義していただいて、類型化された上であえてユーザーイノベーションという形ではなくて、ユーザーが参加することによって知が集積されてという位置づけにされたという理解で用語が変わっていると認識しております。このままですと、例えばブログもユーザー参加型の実証実験になってしまいます。もしもあえて定義をしないんだとするならば、せめて指標を設けることはできないかと考えております。それは何件なのか、何円なのか、何人となるのかはわかりませんが、指標があってこれだけ変わりましたということがあって、初めて評価ができると考えております。これは最後になって言うことではないのかもしれませんが、定義を広げた以上、ピンポイントに何を達成するのかというところを数字で表現できるようにしたほうがいいのではないかというふうに思います。 ○妹尾会長 ありがとうございます。おっしゃるとおりだと思いますけれども、まさにこれは取り組みを始めるわけですから、取り組みを始めた中で学習が起こって、そこで具体的にこういう指標をつくったほうが良いということが多分始まるんだろうと思います。ですので、今年度のこの段階で目標指標を入れるかどうかはちょっと難しいかなという気もするんですが、これが継続された段階でということでまず始めてみて、そこからの学びから作成することを今のところ確認しておこうということではいかがでしょうか。 ○西山委員 そうすると、その数年の後にこういうことを始めました、こういうことを学びましたということがアウトプットだということになるわけですが、そのアウトプットの評価はいかなる形で提示されるのでしょうか。 ○妹尾会長 これは今、想定できたら余りにもPDCAが小さくなってしまうという気がします。つまりそれが想定できるようなものしか施策に上がらないという行政の体質になってしまうので、むしろ私は前広に広げておいたほうがいいのかなという感じはするんですけれども。これは私と西山委員との意見交換になってしまうんですけれども、こういうものが目標になると良いというのは大賛成なんですが、今のタイミングでどうという話になり得るかなというのはちょっと検討させてください。ありがとうございます。 ほかにいかがでしょうか。江幡委員、お願いします。 ○江幡委員 11ページの(1)でベンチャー・中小企業や地域における知的財産の活用を促進し、世界でも通用する事業を生み出すという事項があります。その黄色マーク部分、下から2つ目の項目の出願時の手続書類作成支援ツールに関しては、先ほど荒井委員からもこれはぜひユーザーフレンドリーなツールをうまく開発すべきだというご指摘があったところですが、ベンチャーや中小企業、地域の知的財産としては特許に限らず意匠や商標といった知的財産もあると思いますので、それらの出願に対しても、何らかのユーザーフレンドリーな、出願が容易になるようなツールがあってもいいのではないかと思います。この文言を変える必要は現時点ではないとは思いますけれども、将来的には特許のみならず、いろんなその他の知的財産についても出願支援のツールがあるといいのではないかと思いました。 ○妹尾会長 なるほど。このご指摘はそうですね。佐藤委員からのご指摘もあったようなブランドだとか意匠権だとか商標権の話も出されておりますが、ここでは特許権だけに限っているというのは、考えてみたら確かにそうでありまして、これは今、文言を変える必要はないかもしれないがとおっしゃったんですが、変え得るかどうかはちょっと検討させてください。確かにそのほうが先ほどの荒井委員のおっしゃった趣旨とも合うので。ここのところは、要するに産業財産権の出願時においてというふうに言いかえて全部包むようにするとか検討させていただきます。ありがとうございます。 相澤委員。 ○相澤(英)委員 変えられるんでしたら、これ農業が入ると種苗法が入るので、文言は注意してください。 ○妹尾会長 確かにそうですね。 ○相澤(英)委員 それと、14ページの産学連携の評価のあり方を見直すところについて、表現は会長にご一任しますが、きちんと評価をするということが大事だと思います。これまで10年以上にわたり、補助金が使われているわけですから、それがどういう成果を上げているかということを明らかにする必要があると思います。そういうことをきちっとして、成果が上がっているところには、こういう成果が上がっているんだから必要であるということは明らかにした方がよいと思います。とにかく、きちんとした集計をする必要があるのではないかと思います。 ○妹尾会長 ありがとうございます。ここの機能の評価のあり方ということに関しては、今、相澤委員からのご指摘もありましたけれども、これはもともと山本委員からのご発案ということなので、山本委員、この点に関してはいかがでしょうか。今のご指摘も含めてですね。 ○山本委員 私も全く賛成で、例えばアメリカの大学の場合は、産学連携によって大学の技術を使った製品の売り上げがどれだけあるかなんて出しています。それは10兆円あるんですけれども、アメリカの大学の場合は。要するにそういった大学の技術が使われた製品の売り上げだとかそれによる雇用創出、雇用創出は統計で確か1,600万の売り上げで1人の雇用が生まれるとかというので出しているんですが、そこまで出していて、評価を出していく必要があると思っているんですね。従って、この表現はいいんですけれども、私がちょっと引っかかるのは、ここに入れられて下の知財本部、TLOの再編と一緒になっているのはいいんですけれども、中期になっちゃっているので、前半は、短期から早くやって準備をしていかないと、前の話だと何か中期では5年ぐらいでしたでしょうか。何かありましたよね、説明が。何か期間の。 ○妹尾会長 3年だったと思います。 ○山本委員 3年ですか。 ○妹尾会長 3年ですよね。 ○髙原参事官 3年から4年ということであります。 ○山本委員 もうちょっと早くしたほうがいいんじゃないかなと私は個人的に思っております。まず、どういう評価をするのかという評価指標を決めるというのも重要でしょうが、そういった準備に関しては早急に着手していただきたいと。前半が短期で後半が中期みたいなのは難しいのかもしれませんが、気持ちはそういうところです。 ○妹尾会長 これ短期と中期、両方記載したものはなかったでしたか。ほかにありますよね。 ○山本委員 では、そんな気持ちです、私も。 ○妹尾会長 これを前半短期、後半中期みたいに理解して記載することは可能ですか。 ○髙原参事官 可能かと思います。 ○妹尾会長 可能ですか。ではちょっとそれを調整可能だったら入れさせていただくということでいかがでしょうか。運用に当たっては相澤委員のご指摘のとおり、評価をきちっとするんだぞということをここで確認させていただくということだと思いますけれども。 それでは、佐藤委員、お願いいたします。 ○佐藤委員 前の専門調査会、ここでもお話ししましたけれども、この大学の知財体制の見直しというのは緊急の課題だと思っています。そういう意味では今、見直しをまずやる、そのときしっかり評価をする。それに基づいてとにかくもう一度つくり直すんだという意味では、やはり短期ということをここに入れられて、トータルとしては4年以内に完成するような形になってほしいなと私も強く思いますので、ぜひここは中期ではなくて、短期・中期という形にされたほうがいいと思います。 ○妹尾会長 なるほど。いずれも皆さん、これを加速しろと、こういうご指摘だと思います。これはぜひ短期を入れていただくことにしたいと思います。 それでは、ほかにはいかがでしょうか。15ページ以降でも何かございましたら。 それでは、私も会長ではなくて委員として1つ伺うというか、指摘をさせていただきたいのは人材育成のところで、6ページですね。例えば標準人材の育成を800人というあの数字の根拠がよくわからないので、この800人をどういうふうにきちっとどこまでするのかと。これ800人を本当に育成するとしたら大変なことなので。ここの標準人材育成にしても、本当に標準をビジネス上使い込める人をどういうふうに育成するか。往々にして陥るのは、こういうのは講習会をやって何人集まったから、100人です、200人ですというもう30年も昔の記憶みたいなことをやっている政策、施策が多いので、それではまずいということをちょっとご指摘させていただきたいと思います。800人育成するんだったら、本気でやってほしいということがあります。講義を聞いて知識を得たら人が育つなんていう教育方法は日本ぐらいしか残っていませんから。そういう施策じゃないということをぜひとも目標指標の実際の運営にあたって、していただきたいと思います。これは人材育成の専門として私、一委員としてという形で訴えさせていただきたいと思います。 これについて、標準人材育成をやっていらっしゃる上條委員、何かご意見ありますか。 ○上條委員 妹尾会長のご指摘と関連すると思いますが、5ページに戻って頂いてよろしいでしょうか。こちらに「問題解決型、実証実験型の研究開発において標準化を一体的に推進する」という中期目標が記載されている箇所で「差異化領域における知的財産の創出、その他の領域における標準化を一体として推進」というご指摘がございました通り、やはり標準化人材の育成に際しては、標準化のみならず知的財産のことも理解されている人材の育成が必要であり、知財の知識を持っている方に標準化についても学んで頂く、もしくは標準化活動をやっていらっしゃった方に知財の知識もつけて頂く、ということをセットで進めることが重要であることを、指摘したいと思います。その点については、6ページの所で「技術知識」「事業知識」だけでなく、「知財知識」という記載も追加頂いた次第です。また、認定・検定制度につきましても、単に標準化に関する知識の有無だけを計るものではなく、より実践的な要素、実務的な内容を盛り込んだ検定を設計する工夫をして実施することが重要ですし、さらには、実際に現場で専門的な知識を身に付けたり、実践的な経験を詰まれた方が、実質的に800人育成される、という状況になっていただかなければ、と思いますので、そのインプリメンテーションは、具体的にしっかりと計画し実施していく必要があると思います。すみません、補足意見です。 ○妹尾会長 ありがとうございます。ということで、この実施に当たってはぜひその辺に留意していただきたいと思います。 荒井委員、お願いいたします。 ○荒井委員 16ページの目標指標で、例に検討の有無とか、16ページ、17ページにあるんですが、ちょっとここの表現がこの検討の有無とか措置の有無というのは、目標としてはちょっとおかしいんじゃないかという気がするんですが、検討するなら検討するですし、措置をとるなら措置をとる、検討をしないという目標はないと思うので、16ページ、17ページは、ブランドとか大事な部分だと思いますので、はっきり書いていただいたほうがいいと思います。 ○妹尾会長 これは事務局の意図は、有無によって最終的に政務官がご指摘になっている検証が可能であるか。したのか、しないのか。本当にしたのかということの意味だったと思いますが、いかがでしょうか。 ○髙原参事官 そこは検討をしたかしないかという観点では、もちろん検討をするという前提で施策を立ててございますので、そういう意味では誤解のないように、目標指標の記載を、会長ともご相談しながら修正させていただきたいというふうに思います。 ○荒井委員 目標は検討することだということじゃないんですか。目標は検討しないことだという目標はあるんですか。 ○相澤(英)委員 それは16ページの、イも有無で、ロも有無だから、多分そのつながりで有無になったのではないか思いますが。 ○荒井委員 そこがまずいんじゃないですか。 ○相澤(英)委員 ご指摘のとおり、検討した上で制度改正をする必要があるかどうかの有無ならわかりますが、検討をするか、しないかで項目を立てておくというのは、やっぱり日本語としては意味がわかりにくいと思います。 グローバル化のところですが、特許庁のワークシェアリングで相互認証をやると、特許庁間の国際競争になって、一番審査の緩いところが一番繁栄して、日本のようなまじめに審査をしているところは空洞化するという危険があります。マドリッド・プロトコールに基づく基礎的な出願を日本で出している例は少ないのではないかと思います。日本が厳しいからセントラルアタックを避けているのではないかと想定されます。ワークシェアリングで何を考えているのかは重要な問題です。さらに、外国企業が日本の特許権を取得しやすくなると、日本の中小企業がさらに国際競争にさらされているという問題も生じてきます。ワークシェアリングというのも、慎重にやっていただきたい問題であると思います。 ○妹尾会長 今2つ錯綜しましたけれども、荒井委員のご指摘のほうですね、有無の話というのは、実はこの文章はおかしくないかとやり合っていた経緯がありまして、おっしゃるとおり、ここのところの日本語はもう1回再吟味をさせていただくということでよろしいですね。おっしゃるとおりだと思います。 それから、相澤委員のこれ7ページの話というふうに考えてよろしいですね。7ページのワークシェアリングのことについては、これは中期ですので、中期の中で今のご指摘のようなところのリスクについて少し配慮を強めたほうがいいだろうと、こういうことだと思います。これはいろいろな立場からのご意見はありますけれども、実際にはそういうリスクがあり得るということですから、これは中期で追考の中でぜひ加味していただきたいと、こういうふうに思います。 山本委員。 ○山本委員 細かいことなんですが、15ページの目標指標でイ、ロ、ハとあって、ロは国内企業から国内大学や公的研究への研究費を1,000億から1,500億となっています。ハは大学や公的機関の研究費に占める外国資金の金額を大学は16億を400億にして、公的研究機関は60億を150億と。下は何か大学と公的機関が分かれているんですが、上は一緒になっちゃっているのは何かあるのかなというのと、あとハのほうは、大学は20倍以上なんですけれども、公的研究機関は2倍ぐらいでアドバルーンの目標であったら、公的機関も1,200億ぐらいはせめて20倍ぐらいは頑張っていただきたいと思いました。 ○妹尾会長 これは大変なご指摘です。いかがなものでしょうか。経緯は一体どうなっていますか。 ○髙原参事官 ハの点につきまして、修正の前はそれぞれパーセント表示でございまして、大学に対して外国から資金が流入する割合が0.04%、それから公的研究機関に関しましては0.4%ということでございました。相当開きがあるわけではございますけれども、欧州、ヨーロッパの例では同じ割合を見ますと3ないし8%という水準がございまして、こういったことを含めまして、割合が日本の場合には少な過ぎるという判断から1%程度に高めてはどうかということで前回提示させていただいておりましたが、これを実数のほうがよりわかりやすいのではないかということで、割合というよりも母数で今回示させていただいたということでございます。 ○妹尾会長 ありがとうございます。もともとの絶対値が違うので、こういう関係になってしまうということだと思いますけれども、これは山本委員の今のご指摘にあります何でロは分けずにハは分けたのかという部分についてはどういうようなことでしたか。ロは大学と研究機関が一緒になっているけれども、ハについては分けていますよね。 ○近藤事務局長 平仄を合わせます。 ○妹尾会長 わかりました。ということで、これは確かによく見ると違和感があるので、これが合わせられるかどうかというのはちょっと事務局でご検討いただくということでよろしいですか。 それでは、もう時間もあとわずかですが、いろいろな白熱した議論が行われましたけも、どうしてもこれだけは指摘しておきたいとかいうことがございましたら、お願いをしたいんですが、いかがでしょうか。 よろしゅうございますか。 それでは、このことを踏まえてこの取りまとめに入りたいと思います。きょうご指摘いただいた部分、特に白熱した議論があったのは目標数値の考え方で、やっぱり全体としてどうなのかという話と、企業側の個別の事情からいうとこうだという話がどうしても立場の違い上ありますけれども、そこをどういうふうに取りまとめるか、この辺については、各委員の方々のご意見を事務局とともにもう一度検討させていただきたいと思います。 今回が最後なので、これから本部会合に向かって成案をつくっていかなければいけないんですが、本日の議論を踏まえた最終的な取りまとめは、まことに恐縮ですけれども、私と事務局が調整をしながらやっていきたいと思うので、私にご一任いただければ大変助かるんですが、よろしゅうございますでしょうか。 ありがとうございます。それでは、委員の皆さんの議論を踏まえつつ、必要な修正を行ってこの専門調査会としての報告書を取りまとめます。その上で、この調査会の上に新しくできた企画委員会というものがあります。その上に知的財産戦略本部がございますので、そこに提出して推進計画2010の方向でいく、ということでご理解いただきたいと思います。 時間が短くなりましたけれども、あと何件かあります。 1件目は前回、渡部委員からもちゃんと報告をと、こういうふうにご指摘をいただいています国際標準化戦略タスクフォースについてなんですが、これについてのご報告をしたいと思います。このタスクフォースができたという報告が前回、事務局からありましたけれども、これについて進展がありましたので、事務局のほうからご説明をいただきたいと思います。 それでは、よろしくお願いいたします。 ○髙原参事官 前回以降の進展についてご報告を申し上げます。 5月11日に第1回目の国際標準化戦略タスクフォースが開催されました。このタスクフォースの名簿リストにつきましては、先ほど冒頭申し上げましたが、参考資料6のとおりでございますが、本専門調査会から妹尾会長、それから岸副会長、上條委員に有識者のメンバーとしてご参加をいただいているところでございます。 第1回会合では、まずタスクフォースメンバーの互選により、本調査会の妹尾会長にタスクフォースの座長を務めていただくことが決定されております。そして、参考資料5にもございますが、タスクフォースのミッションといたしまして、民間で主体的に行われる国際標準化のための取り組みに対して、政府全体を挙げて強力に支援していくということであると明確化され、決定されたというところでございます。 また、第1回会合において同時に国際標準化特定戦略分野の選定のための作業というものが開始されました。来週もう一度タスクフォース会合を開催いたしまして、国際標準化特定戦略分野の案というものを策定していただく予定にしております。その後、企画委員会を経て知財戦略本部会合において、具体的な特定戦略分野を盛り込んだ形で推進計画2010が決定される予定となってございます。 以上でございます。 ○妹尾会長 ありがとうございます。これについて何かございますか。 よろしゅうございますか。ご質問、ご指摘がなければ、その形で進むということでご理解をいただきたいと思います。 それでは、予定の時間がもうほぼまいりましたので、きょうの第8回の会合、全体としては推進計画2010に向けた最後の会合ですけれども、ここで閉会したいと思います。 閉会にあたりましては、津村啓介内閣府大臣政務官からごあいさつをいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。 ○津村政務官 皆さん、本当にありがとうございました。第1回が2月16日ということで3カ月弱の間に計8回ということですから、ほとんど時期によっては毎週のように非常にタイトなスケジュールでご議論いただきまして、しかも、大変高い出席率でほとんどの皆さんから毎回闊達なご発言もいただいてということで、最初の会のときに私、こういう調査会とか審議会というのに対して必ずしもいいイメージを持ってこなかったという大変失礼なことを申し上げたんですけれども、本当に認識を新たにいたしましたし、今回たくさん宿題をいただいて、PDCAサイクルということも私ども言っていますので、これからはDoのところでこれからマニフェストづくりもありますし、来年度予算ということも出てくるんですけれども、私たち自身が問われていく場面かなというふうに思っています。 PDCAのPの部分は、ここが一つの区切りですし、来週末ごろに予定しております戦略本部会合で総理に、妹尾会長にもご同席いただきながらご報告をして、これを世に問うということになっていきますが、PDCの部分、Aの部分、つまりちゃんとできているのかということをどういう形になるかわかりませんが、これからも皆さんに厳しくチェックしていただくような形にできないかなということを考えております。皆さんのご意見がきちんとその後、形になっているかどうかをこれからもこのチームのメンバーとしてチェックしていただきたいなというふうに思っています。どういう形にするかということはこれからまた考えていきたいと思っております。 すみません、長くなりました。本当にありがとうございました。 ○妹尾会長 政務官、どうもありがとうございました。大分こういう会のイメージを変えていただけたということなので、大変我々もうれしく、いかに熾烈な議論がここの平場でもあるし、背後でもあったかということをご理解いただけたと思います。皆さん、本当にどうもありがとうございました。これは拍手で終えたいと思います。どうもご苦労さまでした。 |