知的財産による競争力強化・国際標準化専門調査会(第8回)



  1. 日時 : 平成23年3月7日(月)14:00〜16:00
  2. 場所 : 知的財産戦略推進事務局内会議室
  3. 出席者 :
    【担当大臣政務官】 阿久津幸彦 内閣府大臣政務官
    【委 員】 妹尾会長、相澤(英)委員、相澤(益)委員、荒井委員、出雲委員、
    江幡委員、大渕委員、小川委員、上條委員、岸委員、久夛良木委員、
    迫本委員、佐藤委員、高柳委員、中村委員、西山委員、野元委員、
    福島委員、山本委員
    【事務局】 近藤事務局長、上田次長、芝田次長、安藤参事官、原参事官、
    山本企画官
  4. 議事 :
    (1)開  会
    (2)「知的財産推進計画2011」骨子に盛り込むべき事項(案)について(知的財産による競争力強化・国際標準化関連)
    (3)閉  会


○妹尾会長
 それでは、定刻になりましたので、始めたいと思います。
 皆さん、こんにちは。ただいまから知的財産による競争力強化・国際標準化専門調査会の第8回会合を開催させていただきます。
 本日は、ご多忙のところ、それから3月なのに花と雪という、文字通り花も嵐も踏み越えてご出席、本当にありがとうございます(笑)。嵐は別のところで吹いているようですけれども(笑)、それは別として我々は粛々と仕事をしたいと思います。
 さて、本日は、知的財産による競争力強化・国際標準化に関して、前回までの会合の議論を踏まえて、そして新たな知的財産推進計画の骨子案、これに盛り込むべき事項の取りまとめに向けて議論したいと思います。骨子案に盛り込むべき事項ということです。
 取りまとめに向けた最後の議論となりますので、よろしくお願いをいたします。
 本日は、阿久津大臣政務官は公務の関係で後半からご出席の予定と伺っております。また、佐々木委員と野元委員からはご欠席とのご連絡をいただいております。それから上條委員と迫本委員が少し遅れられるというご連絡をいただきました。それから、渡部委員委員は今お見えになりました。
 それでは最初に、知的財産推進計画2011骨子に盛り込むべき事項、これについて議論に入りたいと思います。取りまとめの会ということなので、各論点ごとに時間を設けず全体を通して議論ということでいただければと思います。ただし、多少私がこの論点、論点ごとに整理していくという差配をさせていただくことについてはご了解いただきたいと思います。
 それから、お時間の関係でどうなるかですが、3月下旬に開催予定の知的財産戦略本部で、「知財計画2011骨子」の決定をするのですけど、その骨子(案)そのものについても、時間がありましたら最後にご議論いただければと思います。前回、それの素案を机上配付させていただきましたが、その後格別のご意見をちょうだいしていません。しかし、もしということでお時間を多少設定したいと思っております。
 きょうは時間を一応2時間で予定していまが、議論の進み方を見て、会合の終了時間を調整させていただこうと思っています。
 それでは最初に、配付資料の確認と、前回の議論を踏まえ事務局が修正した資料についてご説明をお願いしたいと思います。
 それでは、高原参事官、よろしくお願いします。

○高原参事官
 それでは、資料の確認をさせていただきたいと思います。
 議事次第の紙の後ろに付けてございますが、まず、資料1が、「知財計画2011」骨子に盛り込むべき事項(案)というものでございます。こちらについては後ほどご説明いたします。本日は、この資料1に基づいてご議論いただきたいというふうに考えております。
 続きまして、資料2。これは今後のスケジュールについて書いたものでございます。
 それから、参考資料になりますけれども3つございます。参考資料1が、前回第7回の会合において委員の方からいただきました主な意見をまとめたものでございます。
 それから参考資料2、こちらは「目標指標について(案)」というものでございまして、今般、資料1の中に記載してございます、目標指標の案についてご参考までに整理して配付をさせていただいているところでございます。
 それから参考資料3でございますが、こちらは前回の会合でもお示しをしておりましたが、「知財計画2011」骨子に盛り込むべき事項の全体の関係を示すものでございます。若干、前回のものから修正しております。各項目の柱立ての番号を記載し、それから各項目について具体的な内容を吹き出しで入れているということ、それから前回、専門調査会でいただきました意見を踏まえまして、一番下に、「産業競争力強化の実現を通して得た知見を、知財インフラの整備・知財活用にフィードバックする」という文言を入れてございます。
 それから、委員の方の机上配付のみでございますけれども、先ほど妹尾会長からもお話がございました「知財計画2011骨子(案)」について、現時点のものを委員の方のみ配付をさせていただいております。
 資料は以上でございます。

○妹尾会長
 よろしゅうございますか。
 ちなみに、参考資料3のポンチ絵ですね。これは江幡委員のほうからフィードバックを何とか書き込めないかという意見を頂戴していました。そこで、事務局が大変苦労して、いろいろな案を工夫してくれたのですけれど、結局これになりました。お許しいただけますか。
 事務局のデザイン力をちょっと強化することにしたいと思います(笑)。ありがとうございます。
 それでは、資料1についてですが、ます、この資料の説明をお願いします。

○高原参事官
 それでは資料1につきまして、前回配付をさせていただきました資料との変更点を中心にご説明いたしたいと思います。
 資料1をお手元に置いていただければと思いますが、1ページをおめくりいただきまして、2ページ目でございますけれども、中ほどより下に目標指標の具体的な項目、昨年の2010の踏襲というものが多くございますけれども、今般新たに盛り込んでございます。
 それから3ページ目、大きな変更はございません。
 それから4ページ目でございますけれども、こちらの中ほどに施策例といたしまして、「知財制度の整備・運用改善の働きかけ」という項目を、先日いただきましたご意見を踏まえまして、二国間・複数国間の交渉の機会を利用して、相手国の知財制度の整備・運用の改善を促すという内容で設けてございます。
 それから、4ページ(2)の下から2番目のポツでございますけれども、こちらにつきましては、外国語特許文献、特に中国語・韓国語といったところが明確になるように、後半に「中国語・韓国語を中心とした」という文言、こちらを盛り込んでおります。
 それから一番下のポツでございますけれども、世界標準の特許分類の構築というところで、前回、「我が国の分野別の技術優位性を勘案し」と書いてあったところでございますけれども、これに加えまして、「諸外国の情勢を踏まえつつ」と、こちらの観点も重要というご指摘もございましたところも踏まえまして、この文言を入れてございます。
 それから、5ページ目にまいりますけれども、「特許審査体制の強化」ということで、こちらは新しく項目を起こしてございます。特許庁の政策のご紹介にもございましたけれども、世界標準の特許分類の構築に向けた対応のみならず、増加する外国語特許文献を含む先行技術をもれなく調査し、国際的に信頼される特許権の設定を行うという観点から、特許審査体制の強化を行うという内容を短期で盛り込んでございます。
 その次、こちらも新規でございますけれども、「特許の安全性の向上」という項目でございまして、国内外の情勢を踏まえ、特許の安定性を向上させる方策、これを検討すると、短期で盛り込んでございます。
 それから、6ページになりますけれども、こちらは(1)という見出しが下ほどにございます。こちらも先般の会合でご指摘がございました、国際標準化というところにもう少し焦点を当てたほうが、見出しのレベルですね、いいのではないかというご指摘も踏まえまして、冒頭、「国際標準化を含む」という文言を入れております。
 それから、1枚おめくりいただきまして、7ページでございますけれども、一番上の項目でございます。この文言、最後のところでございますけれども、この頁の冒頭から3行目にもありますように「必要な予算措置を講ずる」というところまで前回盛り込んでございましたが、それに加えて、それ「とともに、高度の専門的な知識・経験を有する職員を育成・活用する」ということで、政府部内でもしっかりその人財育成と活用を行っていくというところを加えてございます。
9ページに移っていただければと思います。「(ロ)技術流出防止のための環境を整備する」という見出しの2つ目の項目でございますけれども、「大学における普及啓発」ということで、前回の会合でこの観点でも項目を立てたほうがいいのではないかというご指摘もございましたので、こちらの(ロ)のところにも「大学における普及啓発」という項目を盛り込んでございます。
 続きまして、もう1枚おめくりいただきまして10ページでございますが、(ロ)の3番目のポツになりますが、「新たな出願支援策の創設」という見出しの中で、「弁理士費用の予見可能性を高める」という内容を明確にしてございます。
 それから、先般、特許庁のご説明にもございましたが、「知財コンダクター」という仮称についてご紹介がありました。まだ確定というわけではございませんけれども、「『知財コンダクター(仮称)』による支援策」ということを括弧の中に書いてございます。
 それから、そういった出願支援策の創設・実施とともに、「引き続き、中小企業の支援の充実」、これは単に新しい出願支援策のみならず、もうすこし広い範囲を含むものというふうに考えてございますけれども、「支援の充実に向けて検討を行う」というところを盛り込んでございます。
 それから1枚おめくりいただきまして、(3)大学の「知」を活用した成功事例の創出でございます。この(3)、(イ)の最初の項目、前回の専門調査会等でもご指摘がございましたけれども、再編・強化というところだけではなくて、しっかりとあるべき姿を捉えて、それを検討した上で指標の策定というものを行うべきではないかということでございましたので、タイトル、それから文言とも「在るべき姿」を検討しつつ「指標を策定し」と。それから、「試行的に評価する」と、これは2011年度内にという趣旨でございますが、書いてございます。そうした上で、「知財本部・TLOの在るべき姿に向けた検討を深め、評価の結果も踏まえて、その再編・強化について結論を得る」ということで、短期でございますので2012年までをターゲットにこうした施策、取り組みを行っていただくというふうに整理をしております。
 それから、11ページ、最後の「日本版バイ・ドール制度の事前承認制の周知徹底」ということでございますけれども、2行目から3行目にかけて、単なる法制度の周知ということだけではなくて、「現場での円滑な運用が進む」という観点が一番重要だというご意見もいただきましたことも踏まえて、この文言を設けてございます。
 それから、12ページは大きな変更はございません。
 13ページでございますけれども、人財育成の関係、「(2)知財システムを支える人財の育成を強化する」という見出しの中で、最初のポツでございます。知財マネジメント人財育成の強化ということで、こちらにつきましては前回の文言から2行目から3行目にかけて、「教育内容の充実を促進する」というところを書かせていただいたのに加えまして、企業に向けたメッセージと、企業での人財育成というところをもう少し出したほうがいいのではないかというご意見もございましたので、「産業界を含め、知財マネジメント人財を充実させるために」と追加してございます。
 それから、13ページの一番下でございますけれども、「知財関連人財育成機関間の国際的な連携強化」ということで、INPITとそのカウンターパートの人財育成機関との連携を強化することによって、「これらの人財育成能力の相互向上を図る」という取組を新たに設けてございます。
 それから、14ページに移りまして、上から3番目、「グローバル・ネットワーク時代に対応した弁理士の育成」ということで、若干このワーディング、「呼応した」となっておりましたところの修正等を行っております。この項目につきましては、短期で済まない部分もあろうかということでございましたので、「短期・中期」というふうに加えてございます。
 それから、14ページの一番下の項目になります。「知財マネジメント人財を軸とした専門人財によるネットワークの構築」という項目を新たに設けてございます。こちらも先般の特許庁のご説明にもございましたし、また、訴訟対応ですとか、そうした専門人財間のネットワークの構築が重要だというご趣旨のご提言も踏まえまして、「産業競争力の強化に向けて、知的財産戦略の策定を支援する知財マネジメント人財を軸に、紛争解決や海外制度などの専門人財間の連携を強化するネットワークを構築」していくという取組を設けてございます。
 最後、「小中高生の知財に対する理解と関心を高める取組」でございます。こちらはまだ、関係府省と調整をしているところでございますけれども、若干修正してございます。「小中高生に対して」の後、「創造性をはぐくみ発明に対する理解と関心を高める」という文言を入れております。さらに、「知財教育を行っている団体間の連携・協調を促進することにより、その教育の効果を高める」というふうに書かせていただいております。
 以上、修正点を中心にご説明申し上げました。事務局からは以上でございます。

○妹尾会長
 ありがとうございます。
 では、いよいよ議論に入りたいと思います。順番は特に指定してまいりませんが、どなたか口火を切っていただければと思います。
 それじゃ、相澤委員、お願いします。

○相澤(益)委員
 このような構成になって、前に指摘した国際標準化とそれから特許、知財の関係が明確になって全体的な落ち着き感が出たということは、短い間にご努力いただいて大変結構なことだと思います。
 ただ、3ページですが、ここに「世界知財システムの構築」という、ちょうど中ほどの(1)というところにございます。これは、いささか突出し過ぎた言い方ではないかなと思います。というのは、この世界知財システムというのは何をイメージしてここに書かれているのかというのが、どこを見ても明らかではないというところがまず第1点だと思います。
 つまり、特許制度で国際連携を図って構築していくという、これは一つの明確なシステム構築例があったと思います。ただ、ここで言っている世界知財システムというのは、システムありきなのかどうかということだと思います。
 そこで、総合タイトルになって、3ページの一番上の1ポツのところの、「我が国の『知財システム』の競争力を強化する」とかこういうレベルの話は大変結構だと思うんですけれども、こういうことが本当に世界知財システムという、しっかりとしたシステムが構築されていくというところには、ちょっとここでは明確な線を打ち出しているわけではないので、この段階ではこの言葉は適切ではないのではないかと思います。

○妹尾会長
 ご指摘の点について、何かほかの委員の方からございますか。
 荒井委員、お願いします。

○荒井委員
 多分、今の点は2ページの一番冒頭に、「我が国主導により世界知財システムを発展させる」とか、こういう決意、この前のお話で世界中が国際化、グローバリゼーション、知財とかこういうシステム間競争というかそういうことに、大変なスピードで動いているときに、日本も乗り遅れないように、むしろリードしていこうという気持ちが、この2ページの一番上に出ていると思うのですね。それが、3ページのほうに突然(1)みたいになっているから、確かに今、相澤委員がおっしゃるとおり、ちょっとつながりないし、(1)に書いてあることの以下に書いてあることが、世界知財システムを全部カバーしているのかという問題と両方あるんだろうと思うんですよ。
 ですから、間をとれば私の意見は、例えば3ページの(1)に「世界特許システムをはじめとする世界知財システムの構築をリードする」とか、何かコアになるものはそういうことでいいんで、あるいは、そういう世界特許システムをつくることにふさわしいぐらい日本のレベルも上げていくとか、そういうことの方向性を出すためには、ぜひこの世界を目指していいものをつくっていくという、2ページの危機感を具体的に進めるというのは必要だと思いますし、そのためのちょっとブレーキになるような言葉を追加したらどうかというのが私の考えです。
 例えばその例としては、「世界特許システムをはじめとする世界知財システム」とか、そうするとかなりイメージがつくりやすいのかなと、あるいはそういうことを目指すことによって、日本の知財システムの競争力が強化されていく、レベルが上がっていくんだということを、少し足していただいたらいかがですか。方向としては、僕はむしろ出したほうがいいんじゃないかというのが私の意見です。

○妹尾会長
 ありがとうございます。
 関連して。相澤委員、お願いします。

○相澤(英)委員
 制度間競争が起きているから、我が国は制度間競争に勝たなければいけないということと、世界全体としての1つの制度ということは、つながらないと思います。したがって、我が国の知的財産システムをどうすべきかが不明確となっていることは、相澤委員ご指摘の通りであると思います。

○妹尾会長
 ありがとうございます。
 今ご指摘の点は確かにそうだと思います。それで実は、3ページの一番上の1.のところで、「知財システム」と括弧書きで書いてあるのですね。これは繰り返しのとおり、特許制度だけではないよということです。周りの裁判所の問題もあるし弁理士さんの問題もあるしいろんなものも含めて全体で知財システムだよねというお話でした。それがわかりやすいように括弧書きをするということもあるし、先ほどのようにコアな特許制度との関連を述べるとか、そういう工夫をしたいと思います。
 ただ、趣旨としては、制度間競争の時代に全体をリードしながら、制度間競争に勝っていく、あるいは制度間競争に勝ち抜くことによって世界全体をリードするという趣旨です。その辺がわかるように、少し文言を事務局に工夫していただくということでよろしゅうございますか。

○相澤(益)委員
 まさしくその3ページの一番上のほうの丸ですね、第1の丸のところには、「各国の知財システムの更なる協調と」って書いてあるんですね。だから、これは各国に知財システムありきと。だから、先ほど言われたように制度間の競争的なことを言っているんですよね。そこでいきなり世界知財システムとなると、世界知財システムというものに1つにまとめられてくるというイメージが出てきちゃう。そこで、そうではなくて、それぞれ切磋琢磨しながら、そういう競争をリードしていくというのが、ここで言わんとするところではないかと思うので、表現上の問題というふうに考えます。

○妹尾会長
 ありがとうございます。
 ご指摘いただきました文言上、先ほどの荒井委員の代案も含めて、事務局のほうで修正よろしいですね。

○上田次長
 特許に関しましては、まさに世界特許システムに向けてということも、特許庁も長期的な展望としては認識しておりますので、一方、今のご議論というものも踏まえまして、少し文言のほうを考えさせていただきたいと思います。

○妹尾会長
 世界特許制度をつくろうねという話もありの、だけど、それをコアにしながら各国の周りを含めた運用も含めたシステム間競争もありのという、ちょっと複雑なシステム構築の話ですから、その辺がきちっとわかるように少し工夫をしていただこうと思います。
 次の議題に移ってよろしゅうございますか。
 それじゃ、荒井委員、お願いいたします。

○荒井委員
 今の一言だけ足しながら、ほかの意見も言いたいんですが。
 各国のシステムを競争する、まさにこれは国際標準の問題で、今、そういうことだと思うんです。各国でいろんな標準があるけれど、しかし全体としては国際標準ができ上がって、この場合ですと科学者とか各国の技術者とか企業が、活動しやすい知財システムができ上がっていく、そういう流れの中のことだと思いますので、現時点では各国にシステムがあるけど、ゆくゆくは一本化してみんなが協働で共同研究をしやすくなるとか、ビジネスをしやすくなるという、次のステップがあるということを踏まえて直していただければと思います。
 別件でございますが、ほかもいろいろ意見を入れていただいていることにお礼申し上げますが、5ページの(3)の上のところの特許の安定性の向上のところで、こう書いていただいているんですが、これもまた非常に広い概念ですから、私の意見は、「審判・裁判の在り方を含め、特許の安定性を向上させる方策を検討する」というようなことで、ぜひこの特許の安定性のときには審判とか裁判も含めてやらないと安定性は増さないということを出していただいたほうが、今後のこれの作業、検討のためにはいいんじゃないかというのが1点です。
 もう1点は、11ページでございます。10ページの特許関係料金の減免制度の拡充ですが、ここについて、こういう法改正も行うということで、大変期待しているわけですが、そういうときに、一番最初からいきますと、ここもちょっと一文入れていただければと思いますが、「特許関係料金の減免制度について、ユーザーのニーズに最大限応えるよう」の次に、「米国の中小企業割引制度と同じレベルになるよう」、「対象となる中小企業の大幅な見直しや申請手続の見直しに向けて、必要な法改正を行い、制度の運用を開始する」というふうに入れていただければ、実際にやっていただく作業の方向とか目標がはっきりしていいんじゃないかということで、今の文章の精査をお願いします。

○妹尾会長
 それでは、2つに分けましょう。
 最初のページ5のほうですね。特許の安定性の向上、これは多分、ぱっと読むと審査の話だけに見えてしまうから、その辺を注意して書いてくださいというご指摘ですよね。
 これについて。

○上田次長
 特許庁のほうと、前回の案文のところから、そのときもこちらのほうで荒井委員はじめご発言いただきましたので、調整をしてきております。特許庁のほうは、もちろんこの間、福島さんのほうからの問題提起もございましたが、その審査の安定性、審査体制を含めた、あるいは審査の能力を含めた特許の安定性の向上というのを検討していかなければいけないということがございますが、例えば今ご指摘の知財高裁などについて、これらを制度的にどう直すというところまで、まだ検討中のところははっきりとしたところまで書けるところまでいっていないということで、それでもこういう書き方で新しい文言を入れたほうが、そういう審査の検討の方向に特許庁のほうを検討に向かわせるという意味で、この間、あるいはきょう、荒井委員のほうからお話がありました文言というのは具体的には入ってはいないんですけれども、こういう項目を設けることで、さらに検討を加速させたいということで、そういう意味では、荒井委員のおっしゃっているところがフルに入っているわけではありませんが、ここまで新たな項目として起こしたというのが今回までの検討の状況でございます。

○妹尾会長
 ということは、文言上の工夫はここが限界でしょうか。

○上田次長
 現時点としては、こういうところが今の状況でございますけれども、引き続き特許庁のほうには問題意識というのは議論していって、これは骨子の後も工程表とかにするまでの段階というのがございますので、検討は深めていって、そういう中で、どういうふうに工程表なり最後の計画に反映させられるかを考えていきたいというふうに考えております。

○妹尾会長
 特許の安定性については、前回、福島委員からの爆弾発言もございましたので、あの爆弾処理がどうなっているのかという話も後ほどしたいと思います。だから、調査も当然入ってくるわけで、調査も審判も裁判も含めてということが非常に強く打ち出されているということは事務局できちんと書き込みたいということです。工程表までやります、さらに検討を続けていただくということでよろしいですね。
 それからもう一つ、11ページのほうの減免制度について、これはどうでしょうか。米国中小企業のものと同じようになるようにという、それを具体的に書くかどうかです。

○上田次長
 これも、前回も荒井委員からのご指摘がございまして、特許庁のほうとこれらについて、そのまさに11ページの上の3行のところをさらに書き加えるということについて検討をしてまいりました。
 特許庁の立場を申し上げますと、やはりこの法改正を今、まず特許庁の関係として検討して、必要な法改正を国会に提出しているところでありまして、こちらのほうからさらにここの文言において、これよりさらに書き加えるというのはなかなか難しいというところが、特許庁のところも随分議論しましたけれども、今の状況でございます。
 一方、そういうことがございますので、10ページにお戻りいただきたいと思うんですけれども、前回は入っておりませんでしたが、その上の項目に「引き続き、中小企業の支援の充実」に向けての検討を行うということを入れさせていただいておりますのは、今の荒井委員のご指摘も含めて、引き続き中小企業のその支援策について検討していくというところを、特許庁として受けとめていくという意味で、ここを新たに追加させていただいたというのが、今までの調整の状況でございます。

○妹尾会長
 これ難しいのですが、実際の法改正で今出しているというのは、米国中小の割引制度と同じぐらいではなくてどの程度でしょうか。どのぐらいなのでしょうか、実際には。

○高原参事官
 今、まさに法案を提出されようというところですので、どこまで具体的に言及できるかということもあろうかと思います。という状況ではございますが、例えば、特許が成立した後の特許料の支払いが免除される程度、年数の点でありますとか、あと減免の対象となる企業の範囲という点で、完全にアメリカにおけるスモールエンティティーの扱いと同一というところまで至っているというのは厳しいのではないかというような感触を持っております。

○妹尾会長
 これ、10ページの一番下の、「引き続き、中小企業の支援の充実」に向けて検討を行うというのですが、この前、荒井委員からご指摘があったのは、むしろ拡大を入れてほしいということです。とすると、この充実だけではなくて「拡充」ですよね、本来は。

○荒井委員
 要するに、範囲がきちっと広がるように。たしか前の話のときには、対象が創業から10年までの中小企業でしたっけ。ちょっとそれだと、多分、大部分の人がせっかくこういう表現を読んだら、最大限にこたえてくれるというので、最大限に期待していたら余りなかったということになり得るので、ぜひきちんと対象を広げていただければ、みんなの期待にこたえられるんじゃないかということでございます。

○妹尾会長
 この委員会でも、どうも最近の知財の政策が「too late, too little」であるというご指摘を非常にいただいております。引き続きそうならないように、キャッチアップというか、むしろリードするぐらいがいる。先ほどの相澤先生たちのお話にもありましたように、リードするようにということで、引き続き努力できるようにしていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 ところで、ちょっといいですか。先ほどの福島爆弾処理の話を少しやっておかないと。今日この中には入ってこないのですが、前回福島委員からご指摘いただいた件については、検討というか、慎重に今調べている最中だということだと思うのですけど、それについて一言お願いできますか。

○高原参事官
 ありがとうございます。福島委員から前回ご指摘いただきました点につきましては、日本特許庁が作成する国際調査報告の内容の信頼性というものに関係するものでございますが、それ以上に、特許庁における審査全般にもかかわってくるものでございます。前回ご紹介いただきましたデータにつきましては、その調査の対象でありますとか評価の方法の確認も含めて、しっかりと検討していく必要があるのではないかと我々も考えてございます。
 前回の会合の後に、福島委員から事務局に内々にご提供いただいた資料につきましては、特許庁にも伝えまして、問題意識を共有しております。前回のご指摘の内容が、日本特許庁が作成した調査結果に固有のものなのかどうかという点も含めて、しっかりと精査をして、問題の所在を見きわめていく必要があると考えてございます。
 ご指摘のデータ自体、雑誌への投稿中の内容で、公表になるまでにまだしばらくかかるということでございますけれども、特許庁でも速やかに分析を進めていただきまして、その分析の結果でありますとか対応の方向性につきまして、こちらの専門調査会にもご報告した上で、委員の皆様にもご検討・ご議論をいただきたいと考えております。

○妹尾会長
 ということでよろしゅうございますか。引き続き問題意識をもって適宜フィードバックをいただくということで、これは出雲委員もよろしいですよね。出雲委員が大変お苦しみなられたところですから、ここのところ。この調査会でも引き続き関心を持っていきたいというふうに思います。
 それでは、次の議題で、高柳委員、お願いします。

○高柳委員
 知財の活用のところですけれども、5ページの我が国の生み出す知の活用促進。情勢認識で、2番目のグローバル・ネットワークの時代到来、ここからずっと中小企業という言葉で、対象が中小企業、ベンチャーということになっているんですけれども、やはりこれは日本全体の企業に言えることなのじゃないかと思うんですね。中小企業はもちろん大切ですけれども、これに限定してしまうことは、先ほどの政策を戦略として、too littleなのかtoo smallなのか、全体的に日本の産業界全体の競争力強化という点では、迫力がないのではないかなという感じがします。
 したがって、こういうところにも我が国の企業、とりわけ中小企業とか、5行目においても、「しかし、中小企業では」、これは「とりわけ中小企業では」とかですね。やはり日本の全体の産業が元気にならないと、中小企業も含めて元気にならないと思うんですね。
 それから、それは関連して9ページの一番下の、ここもやっぱり「中小企業の優れた技術を活用し」だけではなくて、やっぱり「日本の企業の技術を活用して」と持って行くべきだと思うんですね。
 次のページの、中小企業のグローバル展開支援もそうですけれども、皆やはり中小というのは、「とりわけ」のほうにしていただいて、企業全体が競争力強化だという表現というかそういうふうにしないと、これは関連して知財マネジメント人財育成も、もしこれが前半が中小企業で固められると、人財育成も全部中小企業向けの人財育成なんだとこういうふうになってしまって、それで本当に国の戦略としていいのかなと、余りにも小さいのではないかなと思いますので、その辺ご検討いただければありがいたいと思います。

○妹尾会長
 ありがとうございます。
 趣旨としては多分、そういう高柳委員の趣旨だと思いますけれども、文言として「とりわけ」とか、あるいは「中でも」とか、強調の仕方をこの辺、ちょっと工夫ができれば良いのではないかなと思いますね。おっしゃるとおりだと思います。
 これちょっと事務局のほうで工夫するということでよろしゅうございますね。

○上田次長
 そこのところ工夫させていただきたいと思います。
 ただ1点、ちょっと施策のそれぞれ具体的なものになっているところで、これは本当に中小企業政策としてやってくれというというのがございますので、その点はよくご理解いただきたいと思います。

○妹尾会長
 ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。
 岸委員、お願いします。

○岸委員
 9ページの技術流出防止のところで、私はずっと何回もこれ読んできて、4つの柱で書かれているのですが、何か読む限りにおいてアナログ時代の発想を越えていないなと思うのですね。それはなぜかというと、デジタル化、デジタル・ネットワーク化というのは、ワンクリックで情報が流れていく、そのことに対する危機意識というか、それに対する対応が書かれていない感じがします。
 私の経験で、デンソー事件というのが今から3年前に起きて、あれはわずか3カ月、9、10、11の3カ月に1人の中国人が13万件のCADデータを抜いた。それ自身大変なことなんだけれども、この問題点はその3カ月後、翌年2月になって初めて、メンテナンスで入ってそれが発覚するんですね。つまり3カ月間、13万件も取られていて全く感じていない。このあたりが大変危険だなと。
 そのころ、大企業の多分10社を越える方々と営業秘密の流出について話したのですが、彼らに本当にあなたたちが一番怖いのはなんですかって聞いたときに、多分私の印象では、10人のうち6人が、抜かれていることさえ気づかないことが一番怖いと言っていたのが、大変印象的です。
 私自身は、今の不正競争防止法は、多分、情報窃盗は捕捉できないと思います。ゆえに情報窃盗罪なりアメリカ的な経済スパイ法を入れるべきだと私は思っているんですが、それは言うべくして無理だとすれば、もっと、今度の京大事件もあれは大変稚拙だったので犯人が割れちゃったけど、ああいうことが企業の中で日々行われている、ワンクリックで抜けていっちゃう、それが日本の多分、いろんな製品でやられていった産業競争力の低下に結びついていると私は感じがしているんですが、少なくともこの中に、デジタル化あるいはデジタル・ネットワーク時代の技術流出にもっと企業はしっかり備えてほしいということを盛り込むべきだと思います。

○妹尾会長
 ありがとうございます。

○上田次長
 今、岸先生のお話しになられた点で申し上げますと、例えば外為法の安全保障貿易管理もそうですが、まさにそういう今のようなご指摘のあったような事件もありまして、まさにワンクリックで海外へうちの技術が移転するということに対して規制ということをかけておりますし、記憶間違いでなければ、そのとき同時に改正しました不正競争防止法も法的には枠組みがはまっていると思います。
 したがいまして、各施策といいますよりはその点というのは情勢認識の中で、そういうところも踏まえてもう少しそこに入れさせていただくというところはあるのではないかと、事務局としては考えます。

○妹尾会長
 関連して。はい、相澤委員。

○相澤(英)委員
 今の社会において、情報の流れを阻止するというのはかなり難しいと思います。安全保障については、やはり国家の存立にかかわる問題でありますから、これについていろんな刑事的措置をとる、あるいは刑事訴訟法について憲法に配慮しつつ措置をとるということは憲法との整合性をとれるのではないかと思いますが、財産権を保護するために、刑事的措置をとるには限界があると思います。現在の不正競争防止法でも、これを厳しく解釈しないと憲法上の問題が生じると思いますし、現在検討されている改正提案には、憲法上の疑義があるのではないか、と思っています。
 情報が漏れることを前提にして、情報管理をするということが、企業の危機管理として必要であるとのご指摘かと思います。その点については、企業はその必要に応じて、情報管理をすべきものと思います。
 これに関連して、大学に関連する項目で、大学というのは、自由な研究及び教育を行うことがその本旨なので、9ページ、11ページ共通でございますが、「大学の教育・研究のあり方を踏まえて普及啓発を行う」というような文言にして、大学のあり方についてもご配慮いただきたいと思います。

○妹尾会長
 今のことに関してどなたか。
 はい、江幡委員。

○江幡委員
 大学における普及啓発というところですが、これは何について普及啓発を行うかと書かれているかと言いますと、契約上で学生をはじめとした方々の発明の取り扱いや管理について規約で明確化するということの必要性を啓蒙すると記載されています。契約が常に守られるのであれば、それでいいのかもしれませんけれども、実際には契約の内容の存在を大学の先生や学生さんなどの大学関係者が知らないということもあるでしょうし、あるいは契約内容に意識を払っていないでただ署名をしているということも考えられますので、前段のところの技術者の意識向上と同じように、大学関係者の営業秘密に対する意識向上を図るというところが入っていないと、ちょっと不十分かなと思います。
 
○妹尾会長
 今の大学関係あるいは営業秘密の問題。はい、出雲委員、お願いします。

○出雲委員
 今回、従前11ページの(3)の大学の産学連携力を向上させるという中のポツに、この大学における普及啓発というのがあったのですけれども、ここが11ページでは再掲になって、9ページに記載していただいているのは、私は本当にわかりやすくなっておりますし、今、江幡先生がおっしゃったように、意識の向上にまでまだ至っていないのが現状ですから、ここの技術流出防止のための環境整備の2ポツに大学における普及啓発が入っているので、まずは十分ありがたいなと。もうこれだけで、今まで大学の企業との共同研究も、大学におけるいわゆる基礎研究も、学食やエレベーターでこのデータが取れた取れないみたいな話をして、全く意識啓蒙・普及啓発が行われていない日本の大学において、この普及啓発を短期で始めようというのが記載されているところが私は一番重要だと思っていまして、ここに書いていただいて、11ページにその再掲していただいているということで、まずはスタートしていただければ大変いいんじゃないかなと思っております。
 それと、2つありまして、もう1つだけ申し上げさせていただきますと、これは関連ではないのですが、5ページ目のところで……
○妹尾会長
 出雲委員、ちょっと、もう一度戻るということでよろしいですか。
 今の岸委員から始まりました、この技術流出云々の話、それから大学における普及啓発の話など、今の先生方の話は一連ですけれども、これはこの施策というよりはむしろ認識ということで、情勢認識のほうで書き込む工夫をしていただくということで対応したいと思いますが、事務局いかがですか。それでよろしいですか。
 じゃ、事務局のほうでそこを工夫していただくということにさせていただきたいと思います。
 それでは、出雲委員、別の議論ということでお願いいたします。

○出雲委員
 もう1点申し上げさせていただきます。
 5ページ目の1ポツで特許審査体制の強化というものも、今回、事務局のほうで新たに記載をしていただいたということで、大変ありがたく思っているところでございます。この3行目で、「国際的に信頼される安定した特許権の設定を行うため」にと、これはまさに文言どおりであるということが重要ですけれども、国際的に信頼に足る安定した特許権の選定を行うというと、それには大変な慎重さや時間がかかってしまうのではないかなと私は心配をしておりまして、その信頼される安定した特許権の選定を迅速に行うためにやるべきことはやっていただけないかと。その迅速に行うためとなっていれば、審査体制の強化の中に特許の審査官の増員ですとか質を高めるための研修、教育活動を強化するということも、審査体制の強化の中に含まれると思いますので。
 ちょっとだけ脱線をお許しいただくと、後段のところでアカデミックディスカウントも含めた減免措置の話が毎回なくならずに残っているんですけれども、ちょっとくどいようで申しわけありませんが、減免の措置ももちろん重要なんですけれども、その減免の措置を講じるために十分な余裕があるんでしたら、その3行目の「信頼される安定した特許権の設定」を迅速に行うために、さまざまなシステムや審査官の増員や質的・人的研修・教育を強化する意味合いだけは、そのスピーディにもしくは迅速にという言葉だけで表現が可能なのではないかなと思いまして、この5ページ目の1ポツ、審査体制の強化について、信頼される安定した特許権の設定を行うというのがもちろん大前提でありますけれども、信頼されて安定しているので時間がかかりますということがないようにご配慮いただくか、迅速に行うための審査体制の強化であるということが記載もしくは共有されていると、安心できるんじゃないかなというふうに思いました。

○妹尾会長
 ありがとうございました。
 ここも「迅速に」が特に重要なので、この文言を入れてほしいということですが、これはいかがでしょうか。
 これは、ぜひ私なんかも入れていただきたいなと思うんでけれども、どうでしょう。

○上田次長
 2010年にも特許審査を迅速化するという文言で柱が立っております。そこのところで当然、我々はそういう流れの上にこの話を新たに深掘り的に出してきているわけですので、そこのところ「迅速に」ということもちゃんと反映されるように工夫したいと思います。

○妹尾会長
 ということでした。ありがとうございます。
 じゃ、山本委員、すみません。

○山本委員
 ちょっと戻ってしまうのですが、先ほどの5ページのところで、知財高裁のあり方について、前回の議論であればかなりそれは議論をしたほうがよいのではないか、入れたほうがよいのではないかという意見が圧倒的に多かったと思うんですが、先ほどのご説明でよくわかりませんでした。なぜ知財高裁と、しかも特許庁との関係というご説明がありましたけれども、どちらかというと法務省のほうの話ではないかなと思っていまして、もう少しご説明をいただけないかと思っております。ここに掲げている知的財産のシステムを世界の中で日本がリードすることを考えると、どうしてもここは必要不可欠ではないかなと思っております。
 あと、もう1個質問がありまして、これは小さな質問ですが、12ページの、これは前回も私申し上げて、非常に個人的に賛成ですが、SBIRの話がありますが、これは要するに総合科学技術会議とかでもいろいろ議論されておられると思うんですが、そことの関係というのはどういうふうに理解すればいいのでしょうかというのが質問です。

○妹尾会長
 わかりました。
 それでは、2つの質問についてそれぞれお願いをしたいと思います。
 はい。

○上田次長
 山本委員からお話ありました1点目でございますけれども、確かに特許高裁となると裁判制度のほうになりますから、そちらとの検討ということが必要になってくるということございます。まだ、正直言いまして、特許高裁、それから審判制度をどうやっていくかというところの、どういう具体的な検討をしていくかというところにまだ議論というのを関係の機関のところと入っている段階には、緒についたばかりで、まだ伝わっている段階にはございません。そういう意味では、先ほど申し上げましたように、関係機関のほうから見れば、ここにまだはっきりと書ける段階には至っていないというところで、知財計画をつくっていく中で、引き続き検討を深めさせていただきたいと申し上げたという趣旨でございます。

○妹尾会長
 よろしいですか。
 じゃ、もう一つ、SBIRのほうですね。

○安藤参事官
 2点目のSBIRに関して、山本委員はもちろん、相澤委員にもご議論いただいているわけですが、実は科学技術政策の面から見たSBIRと、知財政策の面から見たSBIRは、ある意味で鏡の両面ということでございます。内容的には同じものを盛り込ませていただいておりますが、知財政策の観点からもこれは重要だということで、こちらにもきちんと書かせていただこうということでご提案申し上げております。

○妹尾会長
 山本委員、よろしゅうございますか。
 それじゃ、次の話題で、相澤委員、お願いいたします。

○相澤(益)委員
 この12ページについてですが、11ページまではずっと産学の連携ということでずっときているんですが、今回、ここで独法等の公的研究機関が明確にあらわれてこないという特徴があるのではないかと思うんですが。
 ここで言っている産学連携は、極めて大学というところに限定しちゃった仕組みになっていると思います。そこで、特に12ページの(ロ)と(ハ)は、大学という余りにも限定したことではなく、広がりをもって設定しておかないと、かなりきつい縛りになってしまうおそれがあるのではないかと思います。特に(ロ)のところで、リサーチ・アドミニストレーターを大学に定着させるというのは、あまりにも特定し過ぎではなかろうかと思います。
 だから、ここのところは文言としては、大学「等」の1字を入れておくぐらいで、ちょっと汎用を加えさせておくというぐらいがいいのかもしれません。
 それから、先ほどの(ハ)のところのSBIRの関係は、まさしくここは大学だけが対象ではないはずなので、そこのところも少し表面上どこをどうすればいいのか、ちょっとご検討いただければと思うんですが。
 それと、今、独法の研究機関のあり方が、ことし本格的に検討されるというところでもありますので、まさしく有望シーズの苗床というところには独法が入っていないというのは、いささか問題ではなかろうかと思います。これも、先ほどの中小企業との関係、位置づけとも似たようなところがあるんですけれども、今回、産学の場合の「学」というところに重点を置いて全体を展開してきているので、全体は何ら問題はないんですけれども、全く登場をしないということと、12ページに関しては、「学」をしかも大学ということだけに限定しているのはいささか問題がなかろうかと思うので、ちょっと検討していただけばというふうに思います
○妹尾会長
 ありがとうございます。
 先ほど、高柳委員から、「企業、とりわけ中小企業」という意見もございましたけれども、ここの研究機関という意味でも大学だけに限定するのはいかがなものかということですが、これはいかがですか。

○上田次長
 12ページの(ロ)の部分、確かにちょっと狭いかもしれませんので、書き方工夫を検討させていただきたいと思います。

○妹尾会長
 SBIRのほうは、(ハ)のほうは。

○安藤参事官
 SBIRのほうは、これは文言上大学と書いてございませんので、当然のことながら、いろいろな企業への活用ということも含まれております。

○妹尾会長
 ということで、独法も入ると。
 相澤先生が11ページで繰り返し指摘されたところは、これでよろしゅうございますか。3の(イ)。

○相澤(益)委員
 むしろ位置づけとしては明快になったと思います。統合再編ということが目的ではなくて、本来のあり方を考え、国際競争力のつくようなあり方にシフトさせるべきだということで、具体的であって結構だと思います。

○妹尾会長
 ありがとうございます。
 はい、相澤委員、どうぞ。

○相澤(英)委員
 せっかく、知財本部やTLOの再編が始まってきました。再編・統合というのは非常に重要な課題ですので、相澤先生のおっしゃるところは理解しておりますけれども、いったん組織を作ったところは後押しをしないと再編もできないと思いますから、その点についてはご留意いただければと思います。
 今のご議論になったところですが、大学「等」の中に、独法などもありましたが、独法以外の病院を経営している財団などでも研究をやっているところもたくさんありますので、言葉の使い方についてはよくご検討いただければいいと思います。
 以上です。

○妹尾会長
 ありがとうございました。
 「等」の含みをどこまで見るかという話だと思います。ありがとうございます。
 ほかに。それじゃ、佐藤委員、お願いいたします。別のテーマで、はい、よろしくお願いします。

○佐藤委員
 5ページのところで、意匠・商標の保護環境を整備するということで、3つ入って、これはこれで大変よかったと思うんですが、その後に行くと、この意匠商標に関する話がほとんどどこにも出てこないということが、一つ問題ではないか。ここを拡大すれば、それが我が国の競争力になるかというと、そうではない。まさに、その下に書いてある、「知」の活用を促進するというところにいかなければいけないはずなのに、この意匠・商標についての活用戦略というものがこの中に何もないというのが、一つ非常に物足りないところです。
 9ページに行きまして、「中小企業の優れた技術を活用し、グローバルに通用する事業を創出する」と言って、ここは、「中小企業の優れた技術」と言っているんですけれども、この中には当然、その後ろのページの10ページに行きますと、「知的財産を活用したグローバル展開を支援する」となって、ここでは「技術」ではなくて「知的財産」ということを言っていて、ここは技術プラス、当然デザインも商標も含まれた形の話だろうと思うのですね。
 そういう意味では、この9ページの「中小企業の優れた技術」というにところに、「技術」だけにウエートを置かないで、むしろ「知的財産」、それは当然、技術を含めた意匠、商標、デザイン、ブランドも含めた形の活用を促すというような形の何か柱が欲しいなと思います。
 ちなみに、韓国は既にもう数年前に、デザイン戦略というのを立てて、デザインで勝負するぞということを国家戦略にしているんですね。また、中国は2年おきに商標フェスティバルというのをつくって、全国的に各地域の企業のブランド戦略力を上げるための国家支援の事業をやっているんですね。残念ながら、今、日本の中では、こういうデザインとか商標、ブランドに関して、国の支援事業のようなものってほとんどないですね。昔、地域ブランドという事業をやったことがあるのですけれども、それ以外は全くなかったと私は思っています。
 そういう意味ではもう少し、今この段階でどこまで入れられるかはちょっと遅きに失したかなと思わなくはないんですが、できたらこのせっかく保護拡大するだけではなくて、これを活用して国際的な競争力につなげるというような事業を推進するということを、ぜひ入れていただきたいなと思います。

○妹尾会長
 ありがとうございます。
 おっしゃるのはすごくよくわかります。前々回に私も申し上げたように、技術者のみならずデザイナーの流出が今ものすごく起きているようなことも、もう少し認識して話ができれば良いと思います。具体的には、例えば9ページの(2)の「中小企業の優れた技術を活用し」というところですが、これは上ですか、これは「知的財産」に、今、先生がおっしゃったみたいに変えてもよいのかなと思うんですが、どうでしょう、事務局、いかがですか。
 よろしいですよね。
 はい。じゃ、これは佐藤委員のご指摘のとおり、「優れた知的財産」ですね。意匠・商標も含めた知的財産というふうに変えさせていただいて、それ以外に何か盛り込むということですが、これは策として盛り込むのが良いのか、あるいは情勢認識として盛り込むのが良いのかということもあろうかと思いますが、いかがでございましょうか。

○上田次長
 一つは、情勢認識としましても、例えば委員限りで席上配付させて頂いている「2011骨子(案)」の1ページの下から4行目にも、デザインやブランドの価値を高める意匠・商標の確保というのも書いております。要するに、そういう認識が今まで余りなかったと思いますけれども、そういうことも含めて重要だという認識がございます。
 それから、施策の展開といたしましても、ブランドとかそういう意味においては、クールジャパンのほう、これはコンテンツ強化専門調査会のほうでも進めている大きな柱でございます。これが今回、最後には「知財計画2011骨子」として一緒になってまいります。その中でも地域のブランドであるとか、あるいは日本のブランドであるとか、そういうところをいろいろな形で海外に売っていくというのを、クールジャパン全体の推進の中でやっていくという位置づけになっております。

○妹尾会長
 私はちょっと今、会長の立場を少し外れて、佐藤委員に加担するんですけれども。
 クールジャパンのほうはどちらかというと、アピアランス・デザインのほうとブランディングの話ですよね。佐藤委員が言われた中には、テクノロジーとデザインが一体化しながら実は競争力を高めているという、最近の情勢認識がかなりあるだろうと思うんですね。アピアランス・デザインだけではなくて、テクノロジーと一体化するデザインなんかが、iPodや何かの全体の競争力を高めているという認識が我々にあります。ですので、その辺の情勢認識がその骨子だけではなくて、盛り込むべき事項の情勢認識にも少し付加できれば、多分、我々がもう認識し始めたぞということの宣言になんだろうと思います。そういう意味で、ちょっと工夫をいただけませんでしょうか。
 はい、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。
 ほかにどなたか。
 それでは、久夛良木委員、お願いします。

○久夛良木委員
 2ページ目の、成果イメージ(2020年)というところで質問があるのですが、この中で「世界に先駆けた新規事業を創出する」とある。これはすばらしい目標であるのは間違いないのですが、そこで、技術輸出額が2兆円から3兆円…これがどこにかかっているのか? 前の「世界に先駆けた新規事業を創出する」というところにかかっているのか、それともその後に「ニッチトップ事業を多数輩出する」、ここにかかっているのか、両方なのかというところがちょっとわかりにくい。
 なぜそういう話をするかといいますと、1ページ目の最初のところの情勢認識で、「技術で勝る我が国企業が事業で負ける」とある。何回もそういう言い方をされていると思うのですけれども、現実問題としてIT産業であるとか、世界の時価総額トップテンの企業とか見ると、ほとんど我が国ではない企業が占めていて、そういった企業はどうしているかというと、それらの企業内では必ずしも全ての技術を開発することは少なくて、最も優秀な技術を開発している企業を自らの中に積極的に取り込んでいる。
 ということは、一生懸命我が国が育てると、全部買い取っていかれてしまうかも知れない。せっかく育てた我が国の競争力の源を差し出すのかと。つまり、我が国に籍を置いている企業がIPを保持し続けるのではなくて、ひょっとしたら巨大産業、20兆円とか30兆円とかというグローバル企業が、それらのIPの最終的な保有者になる可能性がある。これらの巨大企業群が、まさにクラウドコンピューティングを含めて、最初に書いてあるグローバル・ネットワーク時代を引っ張っているわけです。そうすると、この競争力強化専門調査会というのは、一体どこに向かって話をしているのかという見方も出かねないので、そのところうまい書き方が必要なのかもしれないですね。
 中小企業の育成自体ももちろん大事ですが、「世界に先駆けた新規事業を創出する」というところももうちょっと手厚く書くとかもう一歩踏み込まれると良いかと思います。グローバル・ネットワーク時代に突入と共に、今、「知」が加速度的にクラウド上に集まろうとしている。ものづくりの時代は、それぞれの製品の輸出額が2兆円であるとか3兆円であるとかという指標設定や、技術供与額が何億円という話で済みましたが、今や知的財産も含めて、様々な価値や競争力の源がグローバルな情報産業というブラックホールに移りつつあるというところを踏まえて、「知的財産推進計画2011に盛り込むべき事項」への言葉はうまくつくられた方がいいのではないかと思います。

○妹尾会長
 ありがとうございます。
 という、もう先端の認識をした上で、これを読むといかがなものかということもあるのですが、どうでしょうか。

○高原参事官
 この成果イメージにつきましては、昨年、「知財計画2010」において策定をしたということで、ここはしっかり10年先を見越して、引き続きこの2011の計画でも実行していこうということで書いてございます。
 技術輸出額という観点で、焦点がどこにあるのかということでございますが、我々としては、昨年いろいろご議論いただいた中で、トータルにこういう目標を設定するというとことで一定のご賛同を得たと考えていたところです。今後の取り扱いにつきましては、今般のご意見も踏まえまして、また、最終的にどういう項目とすべきか検討させていただきたいと思います。

○妹尾会長
 情勢が次々に変わるってきていますし、去年もこの段階でご議論いただいたときに、具体的な数値がこれで入れることが果たしてふさわしいかどうか、大分議論があった記憶がありますけれども、これが一応裁定されているということ自身は少し再吟味をしていただくということでいきたいと思います。
 相澤委員、お願いします。

○相澤(英)委員
 ここでイメージしているのは、非常にクラシカルなモデルで、今の世界的なビジネスモデルと合っていないというご指摘だろうと思います。私も同意見です。
 同じページのその下の数値で、特許審査ハイウェイの「利用可能率を高める」ということについて、70%というのは何で、90%というのが何か意味がわかりにくいです。すくなくとも、分母と分子を明確にしていただく必要がありますし、分母も変数であるとすると、どのような状況を想定しているのか、よくわかりません。規模の拡大が目標であれば、件数のほうが明確ではないかと思います。
 
○妹尾会長
 今のどうでしょう。

○高原参事官
 件数のほうが明確ではないかというところはおっしゃるとおりかと思います。ただ、こちらのほうは利用可能率ということで、どこまでこのフレームワークといいますか、PPHの枠を広げていくかということで、我が国から海外への出願の総数に対する、実際にPPHに参加している国々への特許出願の割合ということで、提案させていただいております。実件数では、経済情勢の影響等もございますので、昨年策定して時点ではなかなか難しいと判断した部分がございます。
 ご指摘も踏まえて、どういう数値がよろしいのかというのは再度検討させていただきたいというふうに思います。

○妹尾会長
 ありがとうございます。
 目標指標をここに再掲するかどうかということも実は議論が大分ありました。もう一度委員の先生方のご指摘も踏まえて、ここへの上げ方、上げるかどうかではなくて上げ方自体を少し検討していただくことにしたいと思います。
 佐藤委員、お願いします。

○佐藤委員
 私は昨年の成果イメージというのは、もうこの1年間で大分変わってしまったのではないかと。むしろこれを再掲することに意味があるのかというぐらいに思っています。そういう意味では、もし成果イメージを上げるとするなら、ことしやってきた議論を踏まえた上で、もう一回これを全面的に見直すべきじゃないかというぐらいに強く思っています。
 そういう意味でぜひ、基本方針のところに成果イメージまで入れるのかどうかもありますけれども、もしこれがもう少し時間があるのであれば、もうちょっとここの段階ではもう一回見直しをするという前提にしておいて、最終的に推進計画をつくるときに具体的にはっきり明確にするというようなやり方も、一つご検討いただいたらいかがかなと思いますけれども。

○妹尾会長
 ありがとうございます。
 もうこれだけのスピード感を持つときに、ローリングをしないといけないのではないかというご指摘だと思います。少し検討していただきましょうか。
 渡部委員。

○渡部委員
 ちょっと戻って恐縮ですけれども、12ページの(ロ)の、先ほども議論になったところで、産学共同研究における知財マネジメント推進のところなんですが、ちょっと改めて見て、この文章で「知的財産を含む高度な……整備を進めつつ、知財プロデューサーの」って、この前の文章と後ろの文章が「つつ」でつながっているのは、AとBを両方行うことに意味があるっていう、そういう論理なんですか。これ、どういう。これ、実際この前と後ろってあまり関係ないような気がする。
 先に言ってしまうと、先ほど大学に定着させるというのが独法でもいいんじゃないかという話がありましたけれども、これはむしろどこの組織というような問題じゃなくて、リサーチ・アドミニストレーターという制度を専門職として確立させると、その人たちがいる場所がたまたま大学だったり独法であったりするというのが理由で、ここで言うシステムというのはそういう仕組みを確立させるというふうな意味合いだと思うんですね。それとこの後段の話がどういう関係にあるのかというのが、むしろこれは2つ別なんじゃないかと。
 しかも、もし別だとすると産学共同研究におけるというのも、別にかかる必要があまりなくなってくるんです。だから、そういう意味では、知財全体の話っていったらいいのか、ちょっとそこの整理がどうかなということをちょっと確認したいのと。
 それから、改めてもっと申し上げますけど、5ページの先ほどから特許の安定性の向上というところの簡単な文章が非常に焦点になっているというところだと理解したんですけれども、そもそもここの特許って、全部特許って一応書いてあるよね。その中で、最初の特許審査の品質管理の評価のところでは、安定した特許権って書いてあるんですね。今のは多分、4ページの(2)の下の、特許審査の品質管理の強化のところは、「安定した特許権」という書き方している。
 特許の安定性って改めて伺うと、何ですかっていう話になる。これは権利となったものの有効性がどのぐらいあるかと、研究材料なのかという意味で使っているのであれば、特許権。逆に言うと、特許権の安定性っていうと、それは司法とか審判が含まれるというので、むしろそういうイメージが出やすいんですけど、そこはどっちなのかなということ、その2点です。

○妹尾会長
 2点ご質問がありまして、最初にまず12ページのやつですね。「つつ」の論理は何だという話ですけれども、この「つつ」はどういうふうに理解するべきでしょうか。あるいは、もし意図があるならばどういう関係が考えられるのか、ちょっとお願いします。

○高原参事官
 こちらにつきましては、大学等における現場でリサーチ・アドミニストレーターの定着をしっかり進めるということがまず必要でありまして、それをしっかり進めるというのがまずあって、それとは別途の事業にはなりますけれども、知財プロデューサーの産学の現場への派遣というところもしっかり進めて、知財マネジメントを強化していこうという趣旨で盛り込んでおりました。そういう意味で、「進めつつ」というのと、必ずしも連動するというものではございませんので、こちらの表現につきましてはご指摘を踏まえて修正をさせていただきたいと思います。

○妹尾会長
 そうですね。これは、「
○」で分けるかどうなのかということで。
 はい、相澤委員、お願いします。

○相澤(益)委員
 私も多少、そこのところをいぶかしく思っていたのですけど、2つに切ればすっきりするかと思います。
 ただ、前半のところの「大学に」というのは、私は現段階では大変意味があることだと思います。ここは、「等」を入れるにしても、大学ということが明確にでることが重要ではなかろうかと思うのです。大学という組織は特に国立大学においては、事務系と教員系という2つのカテゴリーしかないんですね。そこで、このリサーチ・アドミニストレーターというのは、まさしく中間職的な内容のものです。これがいつも大学の中にこの種のものが定着しないで、そのプロジェクトのサポートが終わると消えていってしまうということになっているので、この定着というのは非常に意味があるので、ここは「等」を含めて定着するということが重要だと思います。
 だから、社会一般に専門職として位置づけられているというのが、同時に進んでいく必要があろうかと思います。この段階では、大学ということを明確にすることが意味のあることだと思います。

○妹尾会長
 ありがとうございます。

○渡部委員
 全く賛成で、そこはそのとおりだと思います。

○妹尾会長
 ありがとうございます。
 私も実は、大学経営管理学会の(教員としての)最初の学会員なので、大学アドミニストレーターの定着について関心が高く、極めて相澤先生の言うとおりだと思います。
 渡部委員のご質問、もう1点、4ページのほうですね。こちらのほうの特許の安定性のこの問題について、これはいかがでしょうか。安定性とはという話です。

○高原参事官
 こちらにつきましては、もちろん、特許になった後も実際に覆えらないというところもそうですけれども、権利設定を行う段階で、どう審査も含めてしっかりと対応していくかというところをこの「特許の安全性の向上」に含めております。特許の安定性はもちろんそれだけではありませんで、審判以降の部分も含んでございますけれども、ここでは、今申し上げた趣旨で書かせていただいたということでございます。

○渡部委員
 審査の趣旨が入るから、特許の安定性という言葉を使っていると。では、特許になっていない状態の……特許になっていない状態の安定性って何なのかな。
 それ、むしろ先ほどの特許の安定性の向上って1行だけ入っているところだけでも、特許権としてしまったほうが意味ははっきりするかなということです。

○妹尾会長
 はい、相澤委員、お願いします。

○相澤(益)委員
 1点関連で。それは文章に反映してほしいということで、この安定という言葉は先ほどご質問出たのですが、一つは調査範囲を広くとるということによる安定の問題と、じゃその進歩性の基準を高くすれば、諸外国でなかなか無効にならないだろうというのですけど、これはそれで問題があるわけでして、例えばアメリカで同じ発明で特許になるのに、日本では特許にならないという問題がある、進歩性については三極検討やったときに出てきているわけですから、そういうところでこの安定という言葉については注意をした使い方が必要かなと思います。

○妹尾会長
 ありがとうございます。
 この安定性、これで今、先生方のご指摘に対応するときに、これ、工夫の余地はないでしょうか。難しいですか。確かに難しいと思うのですけどね、いったん検討はしてください。お願いします。今、先生方のご指摘はそのとおりだと思いますので。
 佐藤委員、お願いします。

○佐藤委員
 今の5ページの特許の安定性の向上の件ですが、これは前にも提言しましたけれども、特許権の安定は、審査の段階、権利が成立する前までの段階で、いかに瑕疵をなくするかということが重要なわけで、そういう意味では、「内外の情勢を踏まえ、特許の安定性を向上させる方策を考える」と。今、私が申し上げたような、審査前の公衆審査のような制度を先に提言させていただきましたけど、そういうことも検討の対象に入っているという理解でよろしいんでしょうか。

○妹尾会長
 はい。

○上田次長
 専門調査会で、前回からご議論いただいております問題については、みんな入っております。

○妹尾会長
 ありがとうございます。
 いずれにせよ安定性というのは、これは事前のリスク・マネジメントということが非常に大きいですね。なってからのクライシス・マネジメントの前に、まずリスク・マネジメントをきちんとやろうというこういうことですので、それはあらゆる方策を検討していただくということだと思います。ありがとうございます。
 ご議論いろいろあろうかと思いますが、少し時間の関係もありまして、先に進めたいと思いますが、ほかにございますか。
 福島委員、お願いします。

○福島委員
 今、佐藤委員からご提案の権利付与前公衆審査に関しては、実際に権利を取得し活用する立場から考えますと幾つか懸念がありますので、その懸念について少しご説明させていただきたいと思いました。
 一つは、世界的な制度調和を推進いただく観点から、日本特有の独自制度を新たに導入されることは、果たして如何なものかと考えています。先程も荒井委員からお話がありましたように、将来の世界特許システムというような大きな目標を掲げたときに、やはり制度調和の視点も踏まえたバランスを常に考えていただきたいと思います。
 もう一つは、権利付与前に公衆審査を追加することは、別な言い方をすれば権利化が遅れることも同時にあると思います。例えば、実際に特許ライセンス交渉や訴訟等において早急に権利化したいと考えたときなどにも、早期に権利化ができる審査ハイウェイ等の議論があると思いますが、権利化が遅れることは企業の事業活動に甚大な影響を及ぼす可能性があるいうことを是非ともご認識いただきたいと思います。
 また、現在の企業活動の視点だけでなく、先程も出雲委員からもありましたベンチャー企業の視点から考えたとき、弊社は1917年に創業者が知財権を取得し翌年に起業しておりますが、企業にとって権利化が遅れることは、事業そのものの起業や進展に極めて重大な影響を及ぼす可能性があるということです。これらの視点を踏まえた議論をきちんとしていただきたいと思います。
 以上です。

○妹尾会長
 ありがとうございました。
 では、佐藤委員、お願いします。

○佐藤委員
 権利の安定性とリスク・マネジメントというのは極めて密接な関係があって、当然、権利付与前に楽な審査をすれば、絶対後で傷が残るに決まっているんですね。ですから、そのリスクを企業側がとるとおっしゃってくださるんだったら、私は何も問題にしません。片方では急げ、片方ではリスクをとりたくない、そういう話はなかなか難しいんじゃないですかということを申し上げておきます。

○妹尾会長
 これについては、5ページのやつは、方策を検討するということが骨子ですので、その方策を検討する段階で、ぜひ今のようなご議論を活発にしていただければと思います。
 それでは、これ以外のほかのテーマについて、委員の皆さんのほうからの質問、ご指摘、よろしいですか。
 それでは、この「骨子に盛り込むべき事項(案)」ということについては、今日が最終回ですので、一通りいただいた意見を踏まえて事務局と、私も関与しながら、これを成立させていきたいと思います。どうしても、このときに「あっ、いけない」というのがあったら、早急に事務局ないしは私のほうにご連絡をいただければと思います。できるだけ委員の先生方の意見を反映するように努力します。
 それから、もう1点、「知的財産計画2011骨子(案)」についても意見交換をしたいと思っております。今日、席上配付されているものですけれども、前回見ていただいて、皆さんのほうから何かあったらぜひご連絡をということでしたが、今のところ特段のものはございませんでした。ただ、今日のご議論をいただいた中で、若干の修正をする可能性はないとは言わないのですけれども、今までのご議論以外に、これ自体についての何かご意見があれば承りたいと思いますが、いかがでしょうか。席上配付資料、委員限りということで、恐縮ですが。
 これは当然のことながら、我々のこの専門調査会のみならず、中村先生が会長をされているコンテンツ強化専門調査会の検討内容も含まれて、すべて合わさって骨子になっていくという形になっております。
 よろしゅうございますか。格段なければ、これをベースにこの骨子(案)をさらにブラッシュアップさせて進めさせていただくということにしたいと思います。

○上田次長
 念のためでございますけれども、今の資料1の「骨子に盛り込むべき事項」、専門調査会のほうのご提言のほうはいろいろご議論いただきました。その中で、情勢認識もあれば、あるいは各論のところでの記載の内容ということについてもいろいろご指摘を踏まえて、できるだけの対応をしたいと思いますけれども、そういうところで、修正したところは、できる限りこちらの2011骨子のほうに反映させる努力をしていきたいと思います。

○妹尾会長
 それでは、今の骨子に盛り込むべき事項については、最終取りまとめ、今、上田次長が申し上げたとおりの形で進めます。なお、最終的な調整については、会長である私にご一任をいただければと思いますが、よろしゅうございますか。
 ありがとうございます。それでは、これで進めさせていただきます。
 それでは、必要な修正を行った上で、本専門調査会としての報告書を取りまとめ、次回の知的財産戦略本部に提出するというということにさせていただきたいと思います。
 それから、もう一つ別の件ですね。前回の専門調査会で事務局から紹介がありました、「知的財産推進計画2010」の進捗状況の評価ですね。これはまだ各府省と調整中ということです。この調整中のものを、17日に予定されています企画委員会までに取りまとめて、それで最終的に知的財産戦略本部会合に報告すると、こういうプロセスがあります。それに先だって、委員の皆さんに事務局のほうからご報告をするという形をとらせていただき、皆さんにご確認いただければと思います。各省との調整が済み次第ということですので、ちょっと時間的には緊急になろうかと思いますけれども、そこのところはご理解をいただければと思います。
 ご意見がございましたら、事務局あるいは私のほうにお寄せいただきたいと思います。
 それでは、全体として時間がちょっと早目でございますけれども、皆さんのほうから格段がなければ、きょうの調査会はこれでクローズにしたいのですが、何か皆さんのほうからございますか。きょうの議題以外でも結構です。
 ご発言がなかった委員の皆さんはよろしゅうございますか。
それでは、本日の会合はここでクローズしたいと思いますけれども、閉会にあたりまして、阿久津大臣政務官のほうからごあいさつを頂戴したいと思います。よろしくお願いいたします。

○阿久津大臣政務官
 委員の先生方におかれましては、もう本当に熱心な議論をずっと重ねていただきまして、ありがとうございました。妹尾会長はじめ、皆様におかれてはお忙しいところ、これまで8回ですか、8回にわたりまして、本当にタイトなスケジュールを縫っていただいて、毎回ご出席くださり熱心な議論を重ねていただき、この場をおかりいたしまして心から感謝を申し上げます。第一線でご活躍の皆様のご意見を踏まえ、非常に実践的な提言をまとめていただいたと考えております。
 この提言は、先ほど妹尾会長からのお話にもございましたとおり、本部長である総理出席のもと、3月下旬に開催予定の知的財産戦略本部において、妹尾会長からご報告をさせていただきまして、その上で「知的財産推進計画2011骨子」を取りまとめ、決定する予定です。決定される骨子をもとに、本専門調査会でさらに議論を深めていただき、五、六月ごろには、「知的財産推進計画2011」を取りまとめる予定です。4月以降の検討においても、皆様のお力をお貸しくださいますよう、心からお願い申し上げまして、感謝のあいさつにかえさせていただきます。ありがとうございます。

○妹尾会長
 どうもありがとうございます。
 この専門調査会には本部員の皆さんが3人もいらっしゃいますけれども、本部員の皆さんがまた最後にこれを取りまとめいただいて、5月ないしは6月に決定ということだと思います。
 それでは、そういうことで進めさせていただきたいと思います。
 それでは、本日の会合はここで閉会しますけれども、事務局のほうから連絡事項は何かございますか。
 今、事務局が困っているのは、予備日をどうしようかという話ですね。資料2の書いてあるとおり、17日を予備日として一応はいただいているのですが、この予備日が必要かどうかということですが、最後に何が起こるかわからないところもあるので、一応は確保していただいて、リリースできるようでしたら、できるだけ早く事務局からご連絡するという対応でよろしいでしょうか。
 というのは、きょうの調整次第によっては、皆さんに再度お諮りしたい場合も、可能性が全然ないわけではないのです。できればなしで、皆さんのお忙しい時間を節約したいとは思うのですけれども、ちょっとその意味で、事務局のほうから後、できるだけ可及的速やかにリリースのご連絡をするということでよろしいですね。
 それでは、そういうことにさせていだたきたいと思います。
 それでは、ちょっと早目ですけれども、きょうは花も嵐もの日でございますので、ここで終えたいと思います。どうもありがとうございました。