トップ > 会議等一覧 > 知的財産戦略本部 > 知的財産による競争力強化・国際標準化専門調査会 > 第3回 議事録 |
知的財産による競争力強化・国際標準化専門調査会(第3回)
○妹尾会長 それでは、時間になりましたので、開会したいと思います。 皆さん、おはようございます。 ただいまから知的財産による競争力強化・国際標準化専門調査会の第3回会合を開催いたします。本日はご多忙の年末の大変なときにご参集いただきまして、誠にありがとうございます。 本日は、「知的財産推進計画2010」の「戦略T 国際標準の獲得を通じた競争力強化」及び「戦略V 知的財産の産業横断的な強化策」に盛り込まれている「産学官共創力の強化」という課題と「国際知財システムの構築」に係る課題について、担当府省から取組の進捗状況に関するヒアリングを実施した上で、議論をするという形で進めさせていただきたいと思っております。 全項目のヒアリングを終えた後に、本日取り上げた課題に関するものを含めて、「知的財産推進計画2011」に向けた全般的な議論も行いたいと考えておりますので、少し時間がいつもより長くなっております。昼を超えてということで恐縮なんですが、ぜひご理解とご協力をお願いしたいと思います。 本日は、朝の閣議前に知的財産戦略本部会合を開催することになりまして、今しがた終えてきたところですけれども、その関係で急な時間変更もあったと思います。皆さんにご迷惑をかけて申しわけございませんでした。その影響もありまして、迫本委員がご欠席というご連絡をいただいております。 それでは、早速入りたいと思います。「戦略T 国際標準の獲得を通じた競争力強化」に係る現状と課題について始めたいと思います。 それでは早速ですが、事務局から説明をお願いしたいと思います。これは原参事官、よろしくお願いいたします。 ○原参事官 おはようございます。 まず、資料の確認をさせていただきたいと思います。 議事次第の下に資料が束ねてございますが、資料1−1、国際標準化特定戦略分野における国際標準の獲得を通じた競争力強化についてという事務局で準備したペーパーでございます。同じく資料1−2でございますけれども、知財の産業横断的な強化策についてというタイトルのペーパーでございます。それから資料2、こちらは後ほどプレゼンをいただく際、各省から提出をいただいた資料でございます。枝番がございますが、資料2−1、経産省からのペーパーでございます。資料2−2は標準化関連でございますが、総務省からの資料でございます。資料2−3は国交省から提出をいただいたものです。それから資料3、それは3−1と3−2がございますけれども、産学連携関係でございますが、資料3−1は文科省からの資料でございます。資料3−2は経産省から提出いただいた資料を束ねたものでございます。それから資料4、国際知財システムに関する資料、経産省(特許庁)から提出をいただいたものでございます。それから、資料5でございますが、各委員からご提出をいただいた資料でございます。うち最初の3つは前回・第2回でご提出をいただいたものでございますが、資料5−1、相澤益男委員からの資料でございます。資料5−2、荒井委員からいただいた資料でございます。資料5−3、こちらは小川委員から提出をいただいた資料でございます。最後、資料5−4でございますが、今般、渡部委員から新たにご提出をいただいた資料でございます。それから資料6、こちらは国際標準化戦略策定の進捗についてというタイトルのペーパーでございます。さらに資料7、本体の資料最後でございますけれども、専門調査会の今後のスケジュールについてというタイトルの資料でございます。 あと、参考資料2点ございます。参考資料1は、「知的財産推進計画2010」の項目別進捗状況というものでございまして、参考資料2、これは前回・第2回において委員の方からいただきました主な意見ということになってございます。 それでは、先ほど冒頭…… ○上田次長 すみません、それから佐藤本部員のほうから、今日、本部のほうでご発言いただいたときに資料をご提出していただきましたものもあわせて今から配らせていただきます。 ○原参事官 失礼いたしました。 それでは、資料1−1、こちらにつきまして山本企画官からご説明いたします。 ○山本企画官 それでは、資料1−1に基づきまして、国際標準化につきまして、知財計画2010に示されました課題に対する現状と今後の検討課題についてご説明をさせていただきます。 資料1−1をご覧ください。 まず、表紙をめくっていただきまして、右下に1ページと書いてあるところでございます。 この紙の一番上のところ、横長の箱のところに、「我が国産業による戦略的な国際標準の活用が十分でない中、国際標準化戦略の策定・実行と併せ、その基盤整備として、アジアとの連携、国際標準化活動への支援、評価方法・基準の戦略的活用等の総合的な強化が不可欠」とございます。これが2010における基本的な認識でございます。 このページ、真ん中以降下のところの左側でございますけれども、「主な課題」とございます、(1)〜(3)まで。これに対応する形で、右側に3〜10までございますけれども、知財計画2010における取組項目と、後ろが黄色の背景部分になってございますところが、各項目に対する現在の知財事務局としての認識を記載してございます。 まず、「主な課題」の(1)でございます。研究開発段階から他国と連携し、国際標準化における仲間づくり・市場展開に向けた現地との協力を行うための仕組みが不足ということにつきましては、現状は、3、4の下の黄色に書いてございますように、研究開発と国際標準化の一体的な推進、公正な性能評価のための認証システム強化等を目指した「アジア太平洋産業技術・国際標準化プログラム」が4月に取りまとめられた。着実な実施が必要との認識でございます。 課題(2)のところでございます。国際標準化活動の更なる活性化とその活動を担う人材の育成に向けた支援が重要という課題につきましては、まず、右側の5.フォーラム標準を含む総合的な支援というところにつきましては、情報通信分野について、審議会の組織再編等フォーラム標準にも対応した体制整備の方針が10月に決定されるなど、取組が進められているが、来年度の支援実施に向け、具体的な支援対象の判断基準、支援策の在り方等について更なる検討が必要との認識でございます。 6の専門家の育成につきましては、日本規格協会を通じた研修等を実施しているが、研修対象に応じた内容の更なるブラッシュアップが必要。 8の意識改革の促進、9の知財マネジメントの実践につきましては、経済団体との意見交換、全国規模の講演会、ヒアリング等が実施されているが、知財と標準を一体的に進めるための場・施策の設置に向けた具体化・スケジュール化が必要との認識でございます。 課題(3)評価方法・基準やそれらの認証に対する重要性が高まる中、更なる対応が必要との課題につきましては、一番下のところの、特定戦略分野における戦略の策定過程において、性能・安全性等の評価手法が重視されているが、併せて認証の戦略的活用に向けた施策の可能性についても、更なる検討が必要との認識でございます。 めくっていただきまして、2ページをご覧ください。 こちらには、さらなる検討課題(例)の1つ目を記載させていただいておりますが、一番上のところで、「研究開発から標準化・事業化までを見据えたアジア地域との協調体制を如何に構築するか。」ということが挙げられるかと考えております。 下に書いてございます左側のところは、欧州の例を書いてございます。欧州では、研究開発段階では、中ほどにフレームワーク計画とございますけれども、このフレームワーク計画で支援を受けて、真ん中の絵のところでは、CEN、CENELEC、ETSIと書いてございますが、こういう欧州の地域標準化機関で欧州ワイドの標準化作業が進められておりまして、最終的にISO等の国際標準化が行われる前に、おのずと欧州ワイドで仲間づくりが行われるという状況がございます。 こういう状況に対しまして、我が国としては、こういう仲間づくりを、アジア地域でどのように行っていくかということが課題になるかと思われます。 めくっていただきまして、3ページをご覧ください。 こちらには、2つ目の検討課題(例)といたしまして、「国際標準化活動の更なる活性化を如何に図るべきか。」ということを挙げさせていただいております。 やや小さくなっておりますけれども、左側の中ほどに表が2つございます。左側が2006年、右側が2009年のISOとIEC双方における合計いたしましたTC、テクニカル・コミュニティの幹事国の各国の引受数を示してございます。 赤いところが日本でございますけれども、2006年に比べまして2009年、引受数は着実に我が国は増えているのがわかりますが、一方で、欧州の例にはまだ到達していないということが見てとれるかと思います。 こういう我が国の取組をさらに活性化していくためには、国際標準化を担う人材の育成とか専門家への支援活動の強化が必要な状況になっているかと思います。 参考のところに韓国の例が書いてございますけれども、韓国ではデジュール標準、さらにはフォーラム標準双方への専門家の活動に対する支援が行われております。 めくっていただきまして、4ページでございます。 3つ目の検討課題(例)といたしまして、「我が国における認証の戦略的活用の促進・認証基盤の一層の整備を如何に図るべきか。」ということを挙げさせていただいております。 我が国製品の高品質さ、新技術といった強みをビジネスで活かすためには、認証を効果的に活用することが考えられますが、やや細かくなりますが、右側の表にありますように、有力な認証機関といたしましては、欧州が強くて、我が国の認証基盤は残念ながら現状では弱いという状況にございます。 最後に5ページ目、最後のページをご覧いただきますと、今後の取組の方向性(例)ということが書いてございます。 以上に挙げました中から、特に今後注力すべき方向性といたしまして、大きな丸に書いてございます標準化活動に対する支援施策の拡充、それから認証の戦略的活用の推進・認証基盤の一層の充実ということが重要になるのではないかというふうに考えてございます。本日はこういう点も念頭に置いていただき、ヒアリングをお願いしたいと考えてございます。 以上でございます。 ○妹尾会長 ありがとうございました。それでは、ヒアリングを進めていきたいと思います。 先ほど、委員提出資料がございましたよね。佐藤先生のものが追加で入ったと思いますけれども、これ資料6と書いてありますが、これは先ほどの本部会のほうでの資料ナンバーですので、資料6が重複しているかもしれませんけれども、これは、渡部先生の資料の後に5−5に入るというふうに読み替えをしていただければと思います。佐藤委員の資料は5−5ということでご理解ください。 そういうこともありますので、委員の先生方から資料を提出していただいた先生方からも、該当のところではご発言とご説明をしていただければというふうに思います。 それでは、担当府省からのヒアリングを始めたいと思います。 まず、関係する施策に対しての担当府省からの説明をまとめていただいて、その後で質疑応答とあわせてヒアリング全般の内容も踏まえた上での「推進計画2011」に向けた今後の課題について議論を行うという前回と同じスタイルをとりたいと思います。その際には、担当府省にも議論に加わっていただく予定になっております。 今日、担当府省から3名の方にお見えいただいております。総務省情報通信国際戦略局通信規格課、中島企画官、ありがとうございます。よろしくお願いいたします。それから、経済産業省産業技術環境局基準認証政策課の中西課長、よろしくお願いいたします。国土交通省都市地域整備局下水道部下水道企画課、加藤下水道事業調整官、よろしくお願いいたします。 担当府省の方にも、この場は必要に応じて議論に加わっていただいて結構ですので、どうぞよろしくお願いいたします。 それでは、「戦略T 国際標準の獲得を通じた競争力強化」について、参考資料1の1ページから4ページにある項目のうち、工程表3番、4番に対応する「アジア地域との共同研究開発・標準化・認証」、それから工程表5・6・8・9に対応する「国際標準化活動の活性化」、それから工程表10に対する「公正な評価方法の研究・国際標準化の支援」について、経済産業省、総務省、国土交通省からご説明をお願いしたいと思います。 まず、経済産業省からということで、資料2−1ということで、中西課長、よろしくお願いいたします。 ○中西課長 それでは、お手元の資料2−1に基づきまして概略ご説明させていただきたいと思います。 1枚おめくりいただきますと、我々の経済産業省、2010の計画の中で、この項目に書かれているとこら辺を具体的な計画としてご指示いただきました。それを踏まえて具体的にどういう進展があるのかということでございます。 もう一ページおめくりいただきますと、アジア地域を中心とした共同研究開発プログラムの構築ということで、ここの紙と最後の7ページになりますけれども、具体的なこういう事業を今考えておりますということをまずはご説明させていただければと思っております。 こちらアジア地域ということで、とりわけ本年はAPECの議長国を日本はやっておりましたので、そういった関係もございまして、我々経済産業省の基準ユニット関係でこういうプログラムを検討してきております。 具体的な中身はということですが、2ページのところにありますのは、実は、そういうAPECの議論に資するということもありまして、4月に経済産業省として「アジア太平洋産業技術・国際標準化協力プログラム」ということを具体的に進めていこうじゃないかというようなことを打ち出しまして、本年6月の成長戦略の中でも環境分野、あるいは安心・安全といった意味での製品安全関係、そういうとこら辺の技術・規格について、アジアと共同で具体的に研究を行い、それをベースに国際標準を提案していこうじゃないかと、アジアとともに発展していくためのアプローチというようなことが言われておりまして、そういった流れの中での具体的な取組ということでございます。 そういった意味で、実は、予算という面では先般決まりました補正予算の中でも「アジア基準認証推進事業」というものを充当していただきましたし、23年度の通常予算についても要求中でございます。 7ページをおめくりいただきますと、具体的にどういうことをやろうとしているのかというようなことで、目的といいますと、ここに書いてあるようなところでございまして、具体的に何をやるのかといったことで、一つの基準、国際標準といった話の視点もございますけれども、概要のところにありますように、一言で言うと、日本の優れた技術で、それを具現化したような製品が世界の市場の中で余り適切に評価されないような状況というのはよくないですよねという問題意識は我々の背景にございまして、例えばということで、@太陽電池。実際、多分2003年をベースにして、その5年後2008年の世界のシェアにおけるマーケットに占める太陽電池の日本のメーカーの割合は45%ぐらいから18%ぐらいまで急激に落ちているということもあって、例えば、日本の製品の強みが十分評価されていないんじゃないかということもあって、特に日本の製品が誇れるような長期にわたる寿命、そういったものをちゃんと評価をし、それが目に見えるような形での、そういった基準に適合していますよというふうなことを例えば明確にする、そういったものをアジアの国と共同でいろいろな試験等々をやるというふうな話を具体的にアクションとして起こして、さらには、その開発しました評価方法自身を国際標準として提案する。 実は、これまでも幾つかこういうパターンをやってきていましたけれども、日本が国際標準にしたいという案ができた後に、アジアの国々の人と話をして、やりましょうよ、サポートしてくださいと言ったりですと、それはもう遅いわけなので、できればもっと早い段階で、一緒に試験方法なりを共同で試験をし開発をする。それを一緒に提案すると、当然それをサポートしていただけるということで、そういったことを少しずつ広げていきたいというようなことをやっていくというのがこの事業の一つの売りでございまして、具体的な協力テーマということで、これは実は既にこの2月、3月ぐらいからアジアの国々に政府機関、あるいは向こうの民間、あるいは国立の研究所、そういったところとも話をしてきておりまして、協力テーマというのも、7ページの右のほうに「協力テーマ」と書いてありますように、太陽光発電、あるいは冷蔵庫、エアコンといったもの、あるいはバイオマテリアルという、特にアジアの、例えばこれは具体的にはパームヤシを、パームオイルを取った後のヤシのところからつくり出したバイオマテリアル、生分解性マテリアルの評価方法を一緒に開始しようというような話とかも具体的にアジア発のアイデアといった形での協力関係をうまく構築しようとしているということでございまして、そういった意味では、国内のいろいろなメーカー、あるいは認証機関等も含めて、この事業を推進していければいいかな。今のプログラムのアイテムを今後どんどん増やしていきたいと考えているというところでございます。 すみません、もとにお戻りいただきまして3ページでございますけれども、アジア地域の標準化の組織的な取り組みを実施ということで、これもはっきり申し上げますと、かなり我々はいろいろな国とのバイオの関係もありますし、マルチの関係もやっております。 幾つか最近の動きということで、実は、この5月に日中韓のトップレベルのサミットがございました。その中で、この3カ国が協力しながら国際標準の提案を一緒にやっていきましょうということで、実はその後、具体的な仕組みも含めましていろいろな議論を3カ国でやってまいりました。実は今日、札幌のほうで3カ国の関係者が集まって具体的な仕組みというようなものを合意するという、MOUを結ぶというようなところまで現在きております。というのがありますし、ASEAN全体としての連携、いろいろな取り組みはしているということでございます。 それと、次の3ページの下のほう、フォーラム標準を含む総合的な支援ということで、フォーラム標準というのは具体的に何を指すのかとありますけれども、あえて申し上げますと、必ずしも公的な機関が関与する標準づくりじゃないということで考えましても、実は、別に我々、これまでは、例えば公的な機関、ISO・IECが中心になって標準をつくるという国際標準をつくる活動を中心に支援してまいりましたけれども、実はそれの前段階、といいますのは、要は、デジュール標準はある日突然デジュールになるというのはそんなに多くないというふうに考えておりまして、当然民間の中での標準、業界段階としての標準づくりだったりとか、国際的な連携のためのフォーラム標準をつくる。そういうのは自然にできた後に、それをもう少し高いレベルでの国際的なISO・IECにするという大きな流れがありましたので、多分それは継続的に流れてきていると思うんです。そういった意味での我々これまでやってきた、とりわけデジュールだけじゃないですよという理由も含めてやってきたことを幾つか書かせていただいておりますけれども、例えば、研究開発と国際標準化を一体的に取り組んでいきます。そういった中では、当然のことながら、多分、具体的に言うとIEEEとか、いろいろな活動に対しても間接的な支援を具体的にやってきているというようなことはあったのかな。そういった割合が、どうしても支援上の制約があるので、ISO・IECの活動に比べてそういったところへの活動支援が少なかったというのはあるのかもしれませんけれども、具体的なサポートも結構そういったものを通じてやってきているのかなというふうなことでございますし、一番下のところにも書かせていただいておりますのは、先般の2010計画でご指摘いただいておりますので、我々、日本工業標準調査会のほうでもフォーラム標準への国の関与というか支援のあり方ということでの議論は一応やらせていただいているところでございます。 次のページをおめくりいただきますと、国際標準専門家の育成ということでございます。 この問題につきましては、経産省といたしましても、過去6、7年前からいろいろな形で人材育成の支援をやってきているところでございます。 とりわけ最初のところにあります「国際標準化人材育成支援等基盤体制強化事業」ということでは、下のほうに4つほど並べて書いておりますけれども、国際標準化入門研修、あるいは国際標準作成研修、あるいはリーダーシップ研修、さらには国際標準化講師育成研修という幾つかのメニューを準備させていただきまして、各種の支援は一応展開してきているところです。 ちなみに、一番上の標準化入門研修、こちらのほうは大体平均すると、毎年200名程度研修をさせていただいている。これはかなり薄く広くということでございまして、次の実際国際標準をつくるような作成研修では、これは多分今年度では約90名ぐらいの人を対象に研修をやってきているところもございます。そういった意味では、どちらかというと、ここの部分では、上のほうでは国際標準をつくる交渉に当たる方、現場に行ってのいろいろなスキルを身に付けていただくというようなアプローチを人材育成という面から支援をしているということでございます。 それの下のほう、高専・大学・大学院等における講座開設、それから下のほうは、どちらかといいますと、本当にISO・IECの国際的な交渉の場で丁々発止やっていただくという方でも必要なんですけれども、実際はリアルな研究の場、ものづくりの現場、設計の現場、さらには経営の、プランニングというのは経営企画まで具体的に国際標準をつくる、あるいはこういうふうなものをつくっていきたいというようなことを考えていただく方々に対する、ある意味では教育、人材育成といったところを広くやるというようなことでの教育機関へのいろいろな支援を実施しています。 ちなみに、大学・大学院における標準化講座ということで、過去4年間、我々はいろいろな形で支援をさせていただいておりまして、トータル9校の大学院のほうでいろいろな単位つきの研修をやっていただきまして、既に4校については自律的に自分のお金で回していくというようなことでいろいろな取り組みをやってきているというのがございます。 ということでいろいろなことをやってきておりますし、次の5ページでございますけれども、産業界の意識改革の促進のほうは、我々、ここに具体的に経団連と書いてありますけれども、いろいろな形でのセミナーはかなり全国で広くいろいろな会議、セミナー等々やってきているので、ここに書いているのはほんの一例でございますけれども、できるだけ産業界の標準に対する意識を広げていくというような形をやっておりますし、下のほうの工業標準化表彰については、こちらのほうは毎年10月に総理大臣表彰、経済産業大臣表彰等々、皆さんに授与させていただくことによって、産業界の認識を高めていただく。とりわけ経営者層の方々には、御社のこういう方が受賞されましたよというようなことで、社内での評価も高めていただくような努力をしておるところでございます。 次の6ページ目でございますけれども、知財マネジメントの実践ということで、こちらもいろいろなところでの話はさせていただいておりますし、とりわけ先ほどのいろいろな形の大学・大学院の教育の中でも知財と標準化というのは一体的に取り組んでいくべきではないかというような形でのいろいろな議論をやってきているというところです。 あとは10番目、公正な評価方法の研究・国際標準化の支援ということで、1つは、先ほど申し上げましたアジア太平洋での協力プログラムで新たな取り組みを展開しているところでございますし、実は、それに限らず、この分野というのは研究開発、とりわけ研究開発と標準化の一体的な取り組み、あるいは研究開発成果ができるだけ事業に早く結びつくようにという大きな議論の中で、研究の中で国際標準化の支援をやってきていること、プラスその中では、当然のことながら、最終的な認証というふうなアクションについても一緒に入って研究をやるというような形になってきております。具体的には、LEDの測定方法の国際標準化についての研究の中では、認証機関も入った形での標準化づくりをやっておりますし、生活支援ロボットというアイテムにつきましても、我々の産業技術総合研究所のほうでいろいろな形の認証機関も入れた研究開発が現在進められているというような状況になってきているということでございます。 ちょっと長くなりましたけど、以上です。 ○妹尾会長 ありがとうございました。 それでは、時間もないので引き続いて、総務省からのご説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。 ○中島企画官 総務省の通信規格課の企画官の中島でございます。総務省におきます国際標準化に向けた取り組みについてご説明させていただきます。 お手元の資料、1ページをご覧になっていただければと思います。 左側と右側で分かれておりますけれども、左側が主に当省の取組でございまして、右側が工程表に示してあります課題等にあわせた対応ということを示させていただいております。 我が総務省では、国際標準化に向けた取組としまして、鋭意取り組んできておりまして、まずは、政策検討プラットフォームということで三役のもとで、1.にありますように、「グローバル時代におけるICT政策に関するタスクフォース」というのを設置しまして、その中で国際競争力強化検討部会、さらにその下に、ICT分野に関する国際標準化戦略に関する検討チームを設置しまして、標準化に係る戦略のあり方について検討を進めてきてまいりました。 その中で、まさにこの12月に取りまとめを行って、10月には骨子ができておるんですけれども、その中で基本的な考え方、今後の検討の体制のあり方、取組の方向性等を盛り込んでおります。 詳細については割愛いたしますけれども、主立ったものとしましては、基本的な考え方としましては、3つの基本理念、グローバル市場を見据えたICT産業の展開、同業多種間、業者・企業間の連携、またグローバルな共同関係の構築、まさにこれがアジアだったり、いろいろな他の国際機関、国際国との連携を考えておりますけれども、そことの構築の理念のもとで基本的な考え方としております。 また、そのほか、デジュール標準とともにデファクト標準を強化していくということを基本的な考え方として見据えております。 実際このような考え方に基づきまして具体的なアクションを既に行っておりまして、検討体制のあり方と先ほどご紹介もいただきましたけれども、今まで国際電気通信連合(ITU)の体制の対応につきましてはかなり集中して行っておりましたけれども、その体制のリソースをうまく効率的に活用していくということで情報通信審議会の体制を少し効率化していく。具体的に言いますと、15個ある委員会を半分以下にしていくというようなこと、またあわせて、やはりデファクト標準の関係の体制を構築していくことで、2.のところにありますけれども、官民連携の場の立ち上げということで、今回、「知財推進計画2010」にも盛り込まれておりますコンテンツメディアの関係におきまして、具体的に申しますとデジタル・サイネージ、次世代ブラウザ、3Dクラウド等に関しまして、そこに記載されているようなフォーラム、検討会を立ち上げております。 その上で、このようなことをとりまして、この中でまさに5というふうに記載していただいている、右側に移りますけれども、2、3、4、知財の創出・保護と標準化の一体的推進、アジア地域を中心とした共同研究開発プログラム等、また4.アジア地域の標準化の組織的な取組につきまして取り組んでおりまして、まさにこのようなフォーラムの場だったり、またデジュールの検討の場を活用して、官民が連携しまして地域の事情、特にアジアでございますけれども、地域の事情にあわせて、また地域の開発、問題の解決に資するようなデジタルコンテンツメディアに関するシステムの実証実験を実際に現在進めてきております。また、相手国のオペレータ等と連携しまして標準化の技術規格を提案しております。具体的に言いますと、いろいろな国々でいろいろなコンペティション、技術に関する、仕様に関するコンペティションであったりとか、シンポジウムなどワークショップとかありますので、そのときには官民連携して積極的に参加をしまして、我が国の技術、我が国の取組等をいろいろ発表し、アピールをしてきております。 また、組織的な取組として、4.に関連しておりますけれども、右側の4.でございますが、APT(アジア・太平洋電気通信共同体)の中で、電気通信に関係する標準化を検討する場であるアスタップという場がありますので、そこに電気通信主管庁として参加しまして、関係各国、アジア諸国の関係主管庁と連携をし、また参加いただいているオペレータと連携をして、我が国の取組等のシステムの技術作成に向けて連携をしております。 この中で認証の、後ほどご説明しますけれども、IPRの問題、知財の問題であったりとか、認証の問題、行く行くシステムが導入されたら認証の問題等についても相手国政府と個別に、または啓発的な動きとしてAPTの中でいろいろな啓発事業を進めております。 戻りまして、左側の3.今後の取組予定でございますけれども、まさにこれらの取組をしている中で、今ある程度焦点、対象国となるのが絞られてきておりまして、それはベトナム、マレーシア、シンガポール等でございますけれども、こういう国々を主要なターゲットとしまして、我が国の技術の優位性を実証して紹介をしつつ、アジアにおける標準化の獲得、市場拡大を図る予定でございます。 また、フォーラムの標準を含めた総合的な支援、右側の5.でございますけれども、先ほどご説明しました立ち上げましたフォーラム検討会に向けて側面的な支援をキーカンパニー、またはご賛同いただいている企業の方々と連携して行っております。 続きまして、2ページでございますけれども、重要な専門家の育成でございます。デジュール関係につきましては、ITU協会、いろいろな関係機関といろいろなセミナーを行いまして、国際機関での振る舞いだったりとか戦略、立ち居振る舞い方、またロビー活動についていろいろセミナーを開催して行っておりますけれども、実際にはいろいろなプロジェクトに取り組んでいますので、その中で、例えば、企業の事業部門の方と、さらに標準化の部門の方、さらには標準化に関連する専門分野の専門をお持ちなシンクタンクだったりという方たちを含めまして、具体的なターゲットにしているシステムの展開、例えばアイトルピーだったりIETFだったりとかデファクト標準を行っている取組、またはエッジ、地域標準をやっている欧州のエッジであったり、そういうところでどういうふうに実際に我々の取組を紹介していくか、私たちの標準をしていくかということを考えております。 産業界の意識改革、あと8、10、11、ちょっと駆け足になりますけれども、この辺は記載してありますように、いろいろな検討会を立ち上げて経営者の方々からのご意見をいただいておりますし、意識の改革という意味では、逆に私たちのほうにかなりしっかりとした意見をいただいておりますので、それを踏まえた対応をしております。 10は先ほどご説明しましたように、いろいろな企業、アジアの諸国と連携して行っております。 あと規制・規格の海外発信への支援については、翻訳作業を既に行っておりまして、従来よりこれは行っておりまして、引き続き行っていきたいと思っております。 以上でございます。 ○妹尾会長 ありがとうございました。時間に限りがありますので、ご説明を手短にお願いできればと思います。 それでは、続いて国土交通省から加藤調整官、よろしくお願いいたします。 ○加藤調整官 それでは、水分野の取組、具体的事例ということになると思うんですけれども、ご紹介いたします。 資料2−3で1ページ開いていただきまして1ページですけれども、これは私どもの方針ということで、言わずもがなですけれども、技術開発と知財をセットにして政策を進めるということをやっていまして、真ん中にB−DASHプロジェクトというのを23年度要求していまして、これを技術開発を国が全額支援するというものですが、こういった提案でも標準化戦略、知財戦略はどうするかというようなことを今後、予算確保できたときには公募の条件などにしていきたいというふうに考えております。 もう一枚めくっていただきまして、水分野国際標準化戦略検討会、2ページですけれども、これは水の中で下水道、水道、今、国交省と厚労省ということで水の中で分かれてしまっておりますが、両省で部会をつくって、経産省のご指導もいただきながら、関係も入れて戦略、下水道関係の標準化はいろいろな分野が非常に多岐にわたっておるんですけれども、情報共有の場としてつくって戦略を検討しているというものでございます。 3ページですけれども、これはISO/TC224という部会がありまして、そこに国の人間みずから行くべきではないかというふうに我々、幹部から言われていまして、上がワーキング6、アセットマネジメントということで、右に写真がございますが、この写真の一番左側については実は私なんですけれども、ドイツのボンに行って1週間ほどアジア人では私どもだけでしたけれども行って、現場をしっかりと勉強して、若い者にも伝えて、主張するべきことはしっかりと主張してくるということをやっております。これは私一番左はじにいますけれども、実は別にはじっこに追いやられているわけではなくて、一番ここがいい席で、スクリーンが左側にあるといういい席でございます。 その次のページ4ページ、これは私ではないですけれども、処理水再利用というのが動いていまして、クビズで売り込むために処理水の基準をつくるというので、これは私じゃなくて別の私どもの部の者が参加したり、またコンサルタントとか業界も一緒に連れていって人材教育というようなことも実際にいっていくというようなことを進めております。 感想としては、行けば何か言えば、主張すれば結構聞いてくれるなというのが私自身の実感でございました。 5ページがアジアとの連携ということで北東アジア、これは経産省のご指導の国でございますけれども、水分野について中国・韓国・日本で、先ほどISOが動き出したという処理水再利用の技術基準の協力をしていくということを合意したというものでございます。 その他参考資料ついておりますが、時間の関係もございますので。 ○妹尾会長 ありがとうございました。 それでは、担当府省からご説明のあった施策に対する質問、ご意見を含めて議論を行いたいと思います。「知財計画2011」、次年度に向けた検討課題についての議論もあわせて行いたいと思います。 それでは、先ほど事務局からご説明いただいた資料1−1をご参照いただきたいと思います。 まず、「アジア地域との共同研究開発・標準化・認証」の工程表3番、4番の論点についてまずご議論いただきたいと思います。 ご意見のある方は挙手をお願いしたいんですが、いかがでしょうか。 それでは相澤委員、お願いします。 ○相澤(英)委員 マレーシアとかインドネシアが含まれていますが、対象国を広くして、後発発展途上国を含めるなど長期的なことを考えて、交渉力のある国としての立場から、きちんと進めていく必要があると思います。アジアというと、日中韓があげられますけれども、そこだけではなくて、もっと広がりを持ったことを考えていく必要があります。マレーシアとかインドネシアとかに限らず、もっと小さい国や遠い国も視野に入れて、技術支援を含めた支援などによって日本のプレゼンスが発揮できるように進めていただければと思います。 ○妹尾会長 ありがとうございます。 ほかにいかがでしょうか。はい、小川委員。 ○小川委員 2つご質問ございます。 中西課長のご説明で、アジアと共に歩み、アジアと共に標準を作り、アジアと共に認証をやるということが具体化されはじめたようですが、これは非常に画期的であり、大変高く評価します。 ここで念のために確認をしたいのは、日本で認証した場合に、その認証の結果がアジアでもすべて使える、あるいは一緒に認証協定を結ぶ国ではそのまま使えるということでございますね。 ○中西課長 具体的なスキームはまだこれからですけれども、当然相手国の認証機関も巻き込んで行動を起こしますので、出口としては同じようになるというふうに考えています。 ○小川委員 それは大変すばらしいことだと。先ほどの委員がおっしゃったように、アジアのいろいろな国に広げると、日本の企業が非常に助かるのではないかと思います。ついでですので、もしヨーロッパ、アメリカにもグローバル展開できるなら、日本にとって画期的なことになると思います。今後も期待いたします。 2点目の質問は、人材の育成の件です。これは総務省の方も経産省も同じようにご指摘になっていますけれども、標準化活動の前線で、例えば国際標準化の場でいろいろ議論をしたり、交渉・駆け引きのできる人材育成という意味では、これまでも提案されてきましたし、成果も上がってきていると思います。今後もこのような人材の育成が必要なのは言うまでもありません。しかしながら、私も企業にいたので特に思うのですが、企業の実ビジネスにおいて標準というのは、まず事業戦略があって、そこに標準化が組み込まれる、あるいは知財マネジメントが組み込まれることがなくては正しく機能しません。標準化や知財それ自身が単独で成立することは決して無く、ましてやこれが自己目的になるとすれば、企業として決して正常な姿ではありません。したがって、事業戦略を立案・実施する部門の幹部やスタッフの人材育成こそが、今後の課題ではないでしょうか。このような人材育成を重視する方向にこれからいかないと、幾ら国際標準をとっても実ビジネスで勝てないという、現在の状況から脱皮できないことになるかと思いますが、その辺はいかがでしょうか。 ○中島企画官 まさにご指摘いただいたとおり、私ども複数にわたって標準を担当しておりますけれども、まずは過去よくあったのは、標準化を担当している専門部門の方々とまずお会いしてから標準化についていろいろ取り組んできましたけれども、やはりそれでは不足しておりますし、先ほどご説明させていただきましたけれども、事業部門さんでどういうものをどういうふうに世の中に展開していきたいかという思いを持った部門の方々とまずはお話をさせていただいて、その上で標準化部門の方と連携させていただいて、さらにまた、最近では規模かなと思っているんですけれども、やはり実際の交渉、ロビー活動に長けている方々のご意見もいただいて、3人の方々、かつ我々も、最近思っているのは、やはりかなり室内でもなかなか担当がはっきりしないところがあるんですけれども、やはり、国際に出た場合にも人的ネットワークが非常に大事ですので、一定程度特定のものが国際交渉、国際標準化の取組に携わるというような体制をなるべくつくっていくようにしていきまして、実際今1人そういうものを専門官ということで設けて行っていますので、そういう専門官と企業の方々と事業の方がうまく連携して取り組んでいければなと思っております。 ○小川委員 期待しておりますので、よろしくお願いします。 ○妹尾会長 ほかに。相澤委員、お願いします。 ○相澤(益)委員 国土交通省にお願いしたいんですが、この資料の1ページ目に書かれている内容は、社会インフラの展開について非常に重要なことだと思います。要素技術をいかにシステム化していくかというところであります。そこで、要素技術が単独の企業ではなく、いろいろなところに散らばっているわけですよね。そういうようなものをシステム化し、さらに全体を標準化していくというのは大変なプロセスがあるかと思うんですが、ここに書かれていることを具体的にどういうふうに展開するかというのがちょっと見にくいので、その説明をしていただければと思います。 ○加藤調整官 正直言ってなかなか難しい問題なんですが、例えば、今ちょっと考えていますのは、書かせていただいたB−DASHプロジェクトという国みずから全額お金を出して技術開発するということを今予算要求していて、つけば、これを全額国費なので公募するときに素材から、最後維持管理までセットで提案していただいて、しかも、それは場合によっては複数企業みたいな形で提案をいただいて知財戦略を語っていただくようなことも公募の中でやらせていただいて、本当に勝てる集団とか、そういったことをつくっていくというようなことを今このペーパーの中では考えております。 ○相澤(益)委員 その複数の企業をまとめていくこと自体が非常に難しいんではないかと思いますが、そこにもう一つ、恐らくこれは国内だけではなく海外の企業を巻き込んでいかないと標準化をとれないんではないかと思うんですが、その辺はいかがでしょうか。 ○加藤調整官 このプロジェクトでそこまでやるかどうかはまだ決めていないんですが、実際海外の水ビジネスの仕事はもう既にマレーシアとかインドネシアでも、日本企業行くときは、割と現地企業とも既に組んでいるという現実があって、この国で仕事を取るなら、この系統の会社が非常にいいところがあるので、このプロジェクトかどうかわからないですけれども、今後の仕事の仕方としては、もう現地の海外に出ることを頭に置いて、技術開発するときにどの国のどの企業と組むということはやっていく必要があると思っています。 ○妹尾会長 よろしいでしょうか。それでは山本委員、お願いします。 ○山本委員 今のご発言に関係して、例えば、水処理等々の技術であれば、いろいろな大学とかにも技術はありますね。もろちん基準をつくって、それを認証していくというようなことを国レベルでやっていくことも重要だと思うんですが、例えばそういう国に入っていくときに、途上国とかに対しては、技術はただでライセンスをして、そのかわりCO2の排出量をトレードで受けて、それを日本で現金化するなんという仕組みをつくれば、比較的入りやすいのではないかなと思っています、戦略的な意味でということですが。そういうようなことというのはご検討していらっしゃるのでしょうか。 ○加藤調整官 非常にいいアイデアをいただいたと思っていますけれども、まず、大学との連携に関しては、国によって大学から入っていったほうが確かに入りやすい国があって、例えば、水の分野でいくと、中国なんかは京都大学が精華大学とすごく緊密な連携をしているので、そこから、大学が入っていただいて企業とか我々が入っていくというようなことで、国によって企業から入っていったり、大学から入っていったり、政府が入っていったりというようなことは使い分けています。 今のCO2の関係で言いますと、私どもでやっているのは、膜処理なんかは結構エネルギーを使うんですよね。そういったときに現地のプロジェクトでエネルギーが要らない膜処理技術というのを現地プロジェクトとして組んで、現地になるべく安く普及させて、そのかわり今言ったようなCO2をいただくとか、あと最近テレビでもやりましたバラスト水みたいなのを、日本の水を海外に船で持っていくというときに、オーストラリアなんというのはすごい海水淡水化やっているんですけれども、非常にエネルギーを食うので、そういった技術をやって、逆にCO2、CDMみたいなのをとるというのは、アイデアとしては今頭に入れてはおります。 ○妹尾会長 ありがとうございます。 それでは、ほかに。佐々木委員、お願いします。 ○佐々木委員 総務省さんのほうにお尋ねしたいんですけれども、デファクトの官民協力という項目でご説明いただいたんですが、デファクトと官民協力というのは非常に結びつきにくくて、官が後押しできるデファクトというもののメカニズムがわかりにくいといいますか、私理解しにくかったので、そこを端的にご説明いただければ。ただ、デファクト、デジュールの定義の違いであれば、それはそうやっておっしゃっていただければいいんですが、デファクトを官がどういうふうに後押しするかというのは非常にメカニズムとしては理解をなかなかしにくかったので、そこを端的にお願いします。 ○中島企画官 中島でございます。 まさにそこを端的ということでございますが、なかなかそこが端的に申しますと、かなり難しいところでは実際のところはあります。デファクトといっても2つぐらいあって、もちろん市場的なデファクトのものと、その手前のものの、また市場までいかないけれども、何かしら取組がされているというものでございますけれども、最近ではスマートグリッドも一つのデファクト的な動きもかなり盛り上がって、まだ市場は見えていないけれども、いろいろなところでいろいろな取組がされているという情報でございます。 そういう意味では、官民連携してというところでは、市場のところはもう民のところに任せて、ある程度これから市場が形成されていくであろうという見込みがあるものについて、まだ包含的なところから少し出たところ、前に出たところの部分をうまく官と民で連携して行っていく。ただ、現実的にはやはり民の方が主導的に最終的にはなっていただく必要がありますので、民の中の皆様の思いだったりとか機運をうまく高めていくという意味で、側面的な支援を総務省としてできればということも考えています。ただ、本当は直接的に何かデファクトというところでできればと思うんですけれども、そういう意味では官でしかできないところというところで関係諸国の動向をうまくいろいろなパイプを通じて把握したりとか、官であると教えていただくこともありますので、そういうところでいろいろ動いて把握をして、その情報をうまく民の方に提供していくというようなことを行っていきたいのかなと今は思っております。実際、ただこの辺がまさに取組の課題だと思っておりまして、これからも少し体系的に体制を組んでいければなと思っております。 以上でございます。 ○相澤(英)委員 今のに関連して。 ○妹尾会長 相澤委員。 ○相澤(英)委員 規制業種については、規制緩和をしないとやりにくいと思います。例えば、日本は、電気通信分野で、かなり進んでいたはずなんですけれども、ガラパゴスになってしまったということには、規制問題もあると思います。企業が自由に動けるように規制緩和ということが必要ではないかと思います。 ○妹尾会長 いかがでしょうか。はい、上條委員。 ○上條委員 よろしいでしょうか。総務省さん、経産省さんにお伝えしたいことというのが私のほうから2つございまして、まず、国際標準化タスクフォースの議論でも非常にトピックスとして上がっていたんですけれども、経産省さんの6ページ目の公正な評価方法の研究、国際標準化の支援ということで、新たな認証機関をつくったり、認証の新しい安全・安心のための品質保証の試験方法などをつくっていくということに対しての支援、非常にそのあたりをまだまだ新しい機能性材料ですとか医療材料ですとか、そういったようなところをつくっていくに当たっては、なかなか足りていないという声を非常に聞きましたので、ぜひさらに力を入れていただきたいということが一つでございます。 二つ目といたしましては、標準化の人材育成のところなんですけれども、国際標準専門家の育成、非常に力を入れていただいてやっていただいて、ぜひとも今後も引き続き進めていただきたいと思うのですが、その中で標準化の実際にIECやITUのような会議で実際に出ていかれて交渉するような人材の育成というのももちろん非常に重要だと思うんですけれども、先ほど小川委員のご発言にもあったと思うんですが、知財戦略や事業戦略、ビジネスモデルなどもあわせて考えていく、標準化も、マネジメントも考えていくような人材の育成というのも非常に産業界の現場では必要になっていると認識しておりますので、ぜひともそちらの標準を、規格を書く方々、またそういった現場でつくる方、戦略的につくる方、それから標準化を取りにいく方というふうに、標準化人材といいましても、様々な例や様々な方々がいらっしゃいますので、ぜひそれを念頭に置いた人材育成、セミナーの展開、リテラシーや新人教育ですとか新人研修などで必要なリテラシーとして標準を身につける、大学院などで行うということも私どもも取り組んでいきたいと思いますが、産学官連携して一体的に進めていければと思いますので、ぜひよろしくお願いしますということです。 ○妹尾会長 ありがとうございます。それでは、よろしゅうございますか。 いずれにせよ、アジアということを考えたときに、アジアだけじゃなくてヨーロッパも必要だよと、こういう議論があると思いますが、アジアについては重点的に今進捗がされているということです。 1点、国内で標準を固めてアジアで使ってもらうという、いわば標準輸出というのが今までのパターンだったんですが、むしろ標準輸出ではなくて、スタート時点からアジアと共同して標準化をして、それの先導、リーダーシップをとるというふうに戦略の立て方が変わってきたということを各府省が、温度差はあるにせよ動かしていただいているということを我々確認できたのではないかと思います。 あわせて、アジアと言っても広く、いろいろなところがありますが、2国間で交渉するのと多国間で交渉するのは使い分けをしなくちゃいけないので、これについてもかなり考えていらっしゃると思います。特に2国間の協力を機軸にしたアジア太平洋産業技術・国際標準化協力プログラムというのが動いていると伺っていますけれども、これは着実かつスピードを持って進めていただくのが極めてよいのではないかと思いますので、引き続き頑張っていただきたいと思います。 それからもう一つ、人材育成の話、先ほどから皆さんのほうから出ていますけれども、標準化人材自体を幾ら育成して標準をとっても、事業、産業で負けるという例があります。なので、産業と標準、それから産業と知財を確実に結びつける人材までやらないと、実は標準化人材は生きないということがありますので、ぜひ育てた標準化人材が生きるように周辺あるいは関連、あるいはそれの上の人材を育成していただきたいと思います。 それから、公共ビジネスですね、下水道なんかを頑張っていらっしゃるのは大変心強いんですが、自治体の方が最近マスコミで下水道、上水道をたくさん売り込むよなんてよくおっしゃっているんですが、基本的にビジネスに全く慣れていない方々ですので、ぜひその辺のご指導、ご支援をされることがよろしいんではないかな。それから官民協力をして出るところなので、そこら辺をやっていただきたいと思います。 1点、総務省さんに質問をさせていただきたいんですが、よく国際標準化で出されるのは地デジの面なんですよね。地デジがブラジル出て、南米で出たというんだけれども、結局売れるテレビは一台も日本製はないという。後ろ側で放送機器が売れているんじゃないかという希望的観測はあるんですが、全くそれの実態の数字が出てきていないんですね。公式な数字が出てくればこれはありがたいと思うんですが、いかがになっていますか。 ○中島企画官 それにつきましては既にまとめさせていただいておりまして、今具体的な数はあれですけれども、既に放送局等への実際の導入台数ですか、そういうことについてはお知らせできると思いますので、後ほど資料をお渡しさせていただきたいと思います。 ○妹尾会長 それでは、要するに地デジが普及した、普及したということを産業界はむしろ冷やかな目で総務省さんのPRを見ている状況ですから、これではいけないので、具体的なものできちっと確認をしたいと思いますので、よろしくお願いします。 それから、あと経済産業省さんのほうで、知財ワーキンググループの設置ということをおっしゃっているんですが、これどのぐらい進んでいらっしゃいますか。 ○中西課長 今この話はかなり時間をかけながらいろいろな世界の各国の動きとか、そういったことを踏まえて議論すべきだよねということで、実はいろいろな各国の海外の動き、とりわけ中国とか、そういったところへの調査等々をやりながら、正直申し上げて、多少遅れていますけれども、今年度中にはシンクタンクをうまく使って、産業界も巻き込んで大学の方にも参加いただいて検討をやろうという状況に来ているということです。 ○妹尾会長 それでは年度内には必ず立ち上がると確認させていただいてよろしゅうございますね。 ○中西課長 はい。 ○妹尾会長 1点、今の話にもシンクタンクというのが出てきて、それから先ほど、ほかの府省の方からもシンクタンクという話が出てきたんですけれども、標準化と知財について知見のあるシンクタンクはほとんど日本にはないというのが我々の認識ですから、シンクタンク自身の教育、人材育成もぜひあわせて行っていただかないと、多分、旧来モデルでシンクタンクさんは考えられるということが日本の政策の今日的状況を生んでしまったんではないかと思っていますので、各府省さんはシンクタンクとつき合うときよく見きわめをしていただきたいと思います。 それでは、どうもありがとうございました。 次に、急ぎです。「公正な評価方法の研究・国際標準化の支援」ということで、工程表の10番の論点についてご議論をお願いしたいと思います。恐縮ですが、ご意見のある委員がいらっしゃいましたらお手を挙げていただきたいんですが、よろしいですか。 これについてはあわせてやったということでよろしいですね。 では、戦略Vのほうへ移りたいと思います。すみません、時間が押してしまったのは私の司会が悪くて申しわけございません。次のテーマに移らせていただきます。 産学官共創力強化の課題に移りたいと思いますので、お三方どうもありがとうございました。またひとつ頑張ってください。よろしくお願いいたします。 それでは、「戦略V 産学官共創力の強化」に係る現状と課題について事務局から説明をお願いします。その間、担当府省の入れかえということになります。よろしくお願いいたします。それでは、原参事官、よろしくお願いいたします。 ○原参事官 それでは、資料1−2、こちらをご覧いただけますでしょうか。それの1ページから4ページを使いまして説明させていただきたいと思います。 まず表紙をおめくりいただきました1ページでございますけれども、産学官共創力の強化に関する部分でございます。 ここでは、大学等が「知」を生み出す能力を産業界による事業の成功に向けて有効活用する環境が十分に整っていないのではないかという視点とともに、先ほど施策項目、右下にございますが15番、18番、23番、こちらの実施状況、それから事務局としての評価というものを示したものでございます。 つきましては、右下の「知財計画2010(抜粋)の現状」というところをご覧いただきたいと思います。 まず、15番の産学官が出口イメージを共有して共創する場の構築というものでございます。 経産省の関係では、施設整備が進み、実証・評価研究を支援する事業を実施されているということ、それから文科省においては、知のプラットフォームに関連した事業が本年度は試行的に実施、それから来年度の本格実施、こちらに向けて予算要求がされているというところですけれども、こうした予算が確実に確保されるという必要があると考えているところでございます。 それから次、項目18でございますけれども、既存の大学の知財本部、それからTLOの再編・強化ということでありまして、現行の産学官連携システムを抜本的に改革するため、国際的な産学官連携活動の強化や産学官連携コーディネータを配置するといった支援が行われているところでございます。大学の持つ潜在力を発揮していくためには、産学連携機能の評価のあり方の早急な検討というものも含む産学官連携強化策を講じる必要があるというふうに考えているところでございます。 最後、23番の項目でございますが、大学の特殊性を踏まえた特許制度の見直しでございます。 産構審の下にございます特許制度小委員会で検討が行われてきたところでございますが、大学等がより利用しやすいものとなるように、特許法の改正等をしっかりと行っていただくことが必要ではないかと考えているところでございます。 それから、1枚おめくりいただきまして2ページでございます。 「知財計画2011」に向けまして、今後の更なる検討課題につきましては、後ほど委員の皆様からもご意見をちょうだいしたいと思っているところでございますが、2ページ、3ページにおいて、更なる検討課題の例ということで2つほど掲げまして、その視点と背景というものを示しております。 2ページでは、産学連携における知財マネジメントの強化、それから大学知財本部・TLOの再編・強化をいかに図っていくかという視点でございますけれども、それとともに、大学等における産学官連携活動の時期というものを下に示してございます。 産学連携の組織として、大学知財本部やTLOの整備が進んでまいりましたけれども、左上の円グラフをご覧いただきますと、産学官の連携活動費、それから人件費の財源を見ましても、国の委託費等の非自己財源由来のものが4割ないし5割という状況でございますし、右上にありますパイチャート、あるいは右下のグラフを見ていただきましても、赤字経営の承認TLOが年々増加しているという限定状況にございます。 さらに、左下のグラフでは、日米の大学における知財活動を特許権の実施料等の収入で比較した状況を示してございますけれども、日米、日本の大学の知財活動をさらに活発化、活性化していく必要があろうかというふうに考えてございます。 続きまして、3ページでございますけれども、こちらでは、知財戦略と事業、それから経営戦略を一体的に展開して推進して、それから競争優位のビジネスモデルを構築できるような人材をいかにして育成していくかという視点を示してございます。 その下にございます知財人材育成の推移というところでございますけれども、弁理士の増加の速度も緩み、また企業における知財担当者数は減少傾向にあるということでございますけれども、知財マネジメント人材を十分に育成できていないのではないかという状況と見られます。 さらに、右側でございますが、知的財産教育の推移というところを見ますと、知財教育を行う学部あるいは研究科というのはここ数年で充実してきているようではございますけれども、依然として知財の権利化に関する教育が中心のようでございます。 右下の意見の枠がございますけれども、そちらのコメントを見ても、ビジネスモデルの構築までは射程とするように知財教育を充実させていく必要があるのではないかと考えているところでございます。 最後4ページでございますが、今まで2ページ、3ページで示しました現状、それからこのページの下に関係者のヒアリングにおける主な意見というものを載せてございますけれども、こちらでいただきました意見等を踏まえまして、4ページ冒頭部分に、取組の方向性として2つ示しているところでございます。 1つには、産学連携における知財マネジメントの強化、特に既存の大学知財本部・TLOの再編の議論の加速でありますとか、知財プロデューサの育成と派遣先を充実させるということ。 それからもう一つといたしまして、経営者層への啓発を含む知財マネジメント人材の育成を一層強化していく必要があるのではないかという点でございます。 事務局からは以上でございます。 ○妹尾会長 ありがとうございます。 それでは、担当府省からのヒアリングに入りたいと思います。ご説明をいただいて、その上で質疑応答と先ほどと同じパターンでやりたいと思います。 それでは担当府省、メンバー入れかわりました。まず、文部科学省研究環境・産業連携課、当初、池田課長が出席の予定でしたけれども、ご事情により寺崎補佐が代理でご出席と伺っています。よろしくお願いします。それから、経済産業省大学連携推進課、進藤課長、よろしくお願いいたします。同じく研究開発課、吉田企画官、よろしくお願いいたします。同じく特許庁特許審査第一部調整課の土井課長、お忙しい中ありがとうございます。よろしくお願いします。 それでは、参考資料1の8ページ以降にある項目のうち、工程表15に対応する「産学官が出口イメージを共有して共創する場の構築」、工程表18「既存の大学知財本部・TLOの再編・強化」、工程表23「大学の特殊性を踏まえた特許制度の見直し」、これらについて文科省と経済産業省からご説明をいただきたいと思います。 まず、文部科学省の寺崎補佐、よろしくお願いいたします。 ○寺崎課長補佐 文部科学省研究環境・産業連携課の課長補佐をしております寺崎と申します。よろしくお願いいたします。 本日、課長の池田のほうがご説明させていただく予定でしたが、体調が悪いということで、恐縮ですが、私のほうで代わらせていただきます。 文部科学省は資料3−1でございます。産学官共創力の強化への取組ということで、本年度から始めております産学共創基礎基盤研究についてと、大学等における産学官連携組織について簡潔に説明させていただきます。 ページをめくっていただきまして、産学イノベーション加速事業【産学共創基礎基盤研究】というものでございます。 これは、本年度から始まっているものでございまして、今までの産学連携のリニアモデルから、基礎研究にまで産学連携の範囲を拡大して、産学の対話を行う「共創の場」を設置して、大学の基礎研究を活性化させていこうというものです。もう少し具体的に言いますと、「民間企業の研究活動に関する調査報告」(平成21年10月 文部科学省科学技術政策研究所)では、民間企業からの共同研究開発等の不実施理由の中で、「自社の技術領域に見合う研究相手が存在しない」というのが約4分の1を占めております。また、「研究開発に対する目的意識の相違」というものも約2割の企業からご指摘を受けてございます。 そのような観点から基礎研究にまで産学連携を拡大いたしまして、まず、この事業に参加する参加企業に技術テーマを提案していただきまして、JSTが運営を行いながら技術テーマを決定し、そこから今度参加の大学群に、研究課題について提案していただく。一つのプラットフォームを形成しながら研究を行っていただき、成果の共有を行っていく。この非競争領域の成果の共有を通じて、戦略的共同研究のパートナーを獲得していくという事業でございます。これは本年度から始まっておりまして、来年度本格実施に向けて今、概算要求を行っているところでございます。 引き続きまして2ページ、ページ番号振っていなくて恐縮ですが、次のページにまいりまして、大学等における産学官連携組織整備への取組というものでございます。 ご存じのように、国立大学の法人化は2004年、法人化の動きを契機といたしまして、大学において産学官連携のための整備の必要性が高まったことを受けて、平成15年以来、文部科学省としても様々な取組を行ってございます。 大学知的財産本部整備事業というのは平成15年から始まっておりまして、大学の知的財産の本部を整備するところの大学を支援したりですとか、特色ある知的財産の管理・活用機能支援プログラムというもので特色のある取組を行っている大学を指定してございます。 また、平成20年度から名称が変わりまして、大学等産学官連携自立化促進プログラムということで、大学の産学官連携活動を自立して実施できる環境の整備というものを行っております。 機能強化支援型というので、拠点整備に係る支援を行うものとコーディネーター支援型というものがございます。これは1つ誤植がありまして、「機能強化支援型」の合計数が「104件を実施」と書いてありますが、これは上の数字を足し合わせると全部で「59件」でございます。 引き続きまして、3ページ目でございます。これは、産学官連携組織の現状をあらわしている資料でございます。 右上の数字は、これもちょっとタイトルが違うんですが、知財本部の整備状況でございます。例えば、国立大学でいきますと91の国立大学にアンケートをとりまして、「既に整備している」というのは74、一番右の「整備する予定はない」というのが14でございます。この14を調べてみますと、教育大学ですとか体育大学など、そのような大学になってございます。また私学も113が既に整備しておりまして、「整備する予定はない」というのが444でございます。 その下のグラフは、産学官連携関連経費の内訳を文部科学省の調査によって示したものでございます。赤のグラフが、我々のパイロットプロジェクトによる委託費の割合でございます。平成15年から平成21年に従って、徐々に赤の部分、つまり国の委託の占める割合というのは徐々に割合としては減ってございます。また総額としても、この棒グラフは割合で示しているので100%でございますが、徐々に産学連携関係経費というものが大学の中で増加傾向にございます。 最後4ページでございます。 先ほどの3ページで大学の知財の整備の状況は進んでいるということでございますが、まだまだ課題があると認識してございます。 まず、財源の問題でございますが、先ほど、国の委託に係る経費というのは徐々に割合としては減っていますが、引き続き競争的資金の間接経費や運営費交付金等を通じまして、産学連携本部等の活動費に充当するなど実施機関の特色に応じた工夫が必要で、自立化に向けて取り組んでいく必要があると認識しております。 また、各大学においては、その各地域において、大学と産業界だけではなくて金融機関との連携というのが進んでおります。例えば、大阪の信金ですとか山形の信金などでもそのような取組が進んでおりまして、そのような関係機関のネットワークの形成というものが重要になってくると考えてございます。 また、最後に産学官連携人材の育成とございますが、例えば、知財マネジメントだけではなく、知財マネジメントを始めとして研究のマネジメントを行っていく人材が必要であるというふうに考えておりまして、本年度、リサーチ・アドミニストレータの育成・確保のための予算を要求させていただいております。これについては、第三の職種としての確立を目指すというのも一つのイメージとして行っておりまして、省内の話ではありますが、高等教育局と一緒に取り組んでいきたいと考えているものでございます。 文部科学省からは以上でございます。 ○妹尾会長 どうもありがとうございました。 それでは、続いて経済産業省からご説明いただきますが、すみません、皆さんマイクを離して大き目の声でよろしくお願いいたします。 ○進藤課長 経済産業省でございます。資料は3-2でございまして、こちらは産学官共創力関連という資料になっておりますが、順に大学連携推進課、研究開発課、特許庁の資料が綴じ込まれておりますので、これをめくっていただきながらご覧いただければと思います。 先ほどの工程表の15番、出口イメージを共有して共創する場の構築だけではなくて、18番の知財本部・TLOの再編・強化、21番等も入っているという形になってございます。 まず、大学連携推進課の資料でございます。 これは、まず産学官が出口イメージを共有して共創する場の構築というところでございますけれども、ページ番号2ページ目にあるとおり、経済産業省当課の取組としましては、下のほうにありますとおり、先端技術の事業化に向けて共同研究を行うための施設整備というのをまず実施しております。先端イノベーション拠点整備事業と書いてございます。 それから、産学官が共同研究体制で先端技術の実用化に向けて実証・評価研究を行う中小企業等の研究開発力向上及び実用化推進のための支援事業というのを実施しておりますので、この2つを簡単にご説明いたします。 3ページ目が、イノベーション拠点ということでございまして地図が出ていますけれども、これは実は平成20年度の二次補正、それから平成21年度の一次補正で合計で176億円ほどのご予算をいただきまして、出口を見据えた産学官が地域で連携して一つ屋根の下で共同研究を行う施設設備の整備を、施設設備の3分の2補助という形で支援させていただいておりまして、これが平成21年度末の時点で、全国で19カ所の地域イノベーション拠点という形になってございます。それは、この日本地図に赤星でついているところでございますが、少し例がありますとおり、赤っぽいライフ関係、あるいは緑っぽいグリーン関係というようなことも中心に選んでございます。大体19カ所ということでございますので、1カ所当たり平均で9.3億円ぐらいの補助をしてございます。こちらで地域の産学官が強みを有する分野で実用化までを一貫して実施するということと、高度技術人材の育成にも活用できないかということで、各地のグループの提案を受けまして審査してこのようなものを今選んでおります。 それから、平成22年度の補正予算におきましても、こうしたたぐいの予算を認めていただきまして、イノベーション拠点立地支援事業の中の技術の橋渡し拠点という名のもとで、大体100億円程度の支援ができるという形で現在公募に向けての準備を進めてございます。大体10件ぐらい新たに施設整備のお手伝いができればなと考えているところでございます。 それから、次の実用化支援ということですけれども、4ページ目でございます。 これは、民間企業の研究開発力強化及び実用化支援事業ということで、平成22年度、9億円の予算をいただきまして、大体40件ほど現在支援をしております。 考え方としましては、左側に、2つ目のパラグラフにありますように、企業と公的研究機関との共同研究を促して実用化を推進するということでございます。具体的には左下に、公的研究機関から民間企業に点々とありますけれども、その右にありますように、共同研究ですとか評価・実証データを取得して、本当に実用化の前の部分で、しかし、企業だけではなかなかやれないというところに力のある、ブランド力のある公的研究機関が入っていただいて試作とか評価をしてあげるということを期待しているところでございます。これは中小企業であれば3分の2補助、大企業であれば2分の1補助ということで支援をしてございます。 次の5ページ目にその考え方がありますけれども、左側にありますとおり、企業のニーズとして共同研究、試験・測定・評価についてのニーズが高い。ただ、下にありますとおり、企業が自社で購入できないような高価な設備というのがありまして、こういうのを公的研究機関と連携することで支援していきたいというようなことでございます。 これにつきましては、戻っていただいて恐縮なんですけれども、23年度も予算を要求させていただいておりまして、大体6億円ぐらい概算要求させていただいておりますので、20件から25件ぐらい支援できればと思っております。1件当たり平均で2,000万円ぐらいの支援額になるということでございます。 ページを進めていただきまして、もう一つの論点で、大学知財本部・TLOの再編・強化というところにつきましても当課は少し関係がございます。 7ページ目めくっていただきますと、経済産業省の取組としまして、創造的産学連携体制整備事業と長い名前でございますけれども、現在28件採択しておりまして、TLOのネットワーク化・広域化・専門化等を進めてございます。 それから、資料は特についていないんですけれども、その後、産学連携機能の評価のあり方についても少し見直しをしようと思っておりまして、これは少し産業界へのアンケート調査などをしながら、どんな評価の仕方があるかということを今考えているところでございます。 8ページ目以降はTLOについての現状のデータでございまして、先ほど事務局からもご紹介がありましたけれども、先ほどの資料の中で特に営業利益で見ても赤字の団体が増えているということでしたが、補助資金まで引いて本当に自立的にやっていけるかということでいいますと、8ページ目の柱に書いてありますとおり、結構39機関が赤字ということで、かなりのところは経営が苦しいというような状況になってございます。 そして、8ページの左下にあるように、TLOと知財本部を統合する動き、あるいはTLOを広域連携・集約化するような動きというのも実際に進んでいるところでございます。 他方、9ページ目と10ページ目にございますけれども、いろいろな産学連携施策によって、一応承認TLOが関与しました特許の出願件数、保有件数というのは国内のみならず海外も含めてかなり進んできておりまして、こういった動きというのは引き続き進めていきたいということでございます。 したがいまして、11ページにございますけれども、承認TLOについての支援というのは私ども進めておりまして、こちらにつきましては、22年度の予算額で2.7億円ほどいただいておりまして、先ほど申し上げました28件支援をしてございます。 これは、具体的にはスタートアップの支援というもの、海外出願の支援というもの、広域活動支援というような3つのジャンルがございますけれども、特に右側にありますように、広域的・戦略的な産学連携というものについての支援を強化してございます。これは県境とか1つの大学といったような既存の組織にとらわれることはなく、いろいろな大学を含めて、あるいはTLO間で組織間を連携強化していく、あるいは一体化・統廃合していくというようなことで、経営的にも強くなれるんじゃないか、それから専門性も高まるんじゃないかということを期待しているものでございます。 12ページは例えばということで、左側に日本地図で、いろいろな地域で現在連携化が進んでいるということと、例えば、金沢大学の周りでは、全部で日本海地域の11大学が提携して、特に医療関係を中心に実用化に近いところについてやっていこうということで、こうしますと、専門人材も雇えるということで、かなり能力が高まるということで私ども期待をしているところでございます。 当課からは以上でございます。研究開発課に移ります。 ○吉田企画官 引き続きまして、産学官が出口イメージを共有して共創する場の構築の施策に位置づけられております「つくばイノベーションアリーナ」について概要及び進捗状況についてご説明をいたします。 14ページをご覧ください。 まず、つくばイノベーションアリーナ、我々頭文字をとってTIAと一般に呼んでおります。もしくはナノの拠点でございますので、TIA−nanoというふうに呼んでおりますが、これは世界水準のナノテクの設備、それから人材が集結しております「つくば」におきまして、国研でありました産業技術総合研究所、物質・材料研究機構、それから筑波大学、それから産業界を代表して経団連、この4つの機関が中核になりまして形成を進めておる世界水準のナノテク研究拠点のことでございます。これを経済産業省と文部科学省が連携して予算面も含めてサポートしていくという形で進めております。 昨年6月に、今申し上げました4機関がこのナノテクの拠点について合意をいたしまして、この資料の真ん中下にございます6つのコア研究領域の研究を進めるとともに、3つのコアインフラ、これらの整備に努めておるところでございます。 なお、このつくばイノベーションアリーナにつきましては、新成長戦略の中にも位置づけられているものでございます。 15ページをご覧ください。 今申し上げました6つの研究領域、それから3つのコアインフラについて、本年度本格的に作業が開始されたところでございます。15ページはその一例をご紹介するものですが、時間の関係ございますので、1つ目と4つ目について簡単に触れさせていただきたいと思います。 1つ目は、低炭素社会を実現する新材料パワー半導体プロジェクトということで、パワー半導体というのは、照明やモータの制御をするデバイスでございますが、これを今のシリコンにかわってSiCという新しい性能の優れたものを使っていこうというプロジェクトでございまして、電気自動車、スマートグリッドの普及に大いに貢献すると期待されているものでございます。 大学で30年以上にわたって研究されたものですが、まさにこのTIAの場におきまして、実施者に書いておりますような様々な企業さん、大学、それから国研が連携してゴールを共有してプロジェクトを始めようということでスタートしたところでございます。 それから飛びますが、4つ目に世界的産学官連携研究センター整備事業というのがございます。これは、研究のみならず性能・安全性の評価、それから人材育成、これは大学と連携いたしますが、人材育成、こういったものを産学官で連携してやっていこうというための基盤づくりでございます。補正予算で30億円措置していただいたところでございます。 16ページをご覧ください。 今申し上げましたように、TIAでは本年度プロジェクトが既に開始をされておりますけれども、それぞれのプロジェクト間の連携をどうするのか、それから今後新しいプロジェクトをどのようにつくっていくのか、さらには、知的財産も含めまして、このTIAという拠点全体の戦略をどうしていくのかといった議論はまさに今始まったところ、議論しているところでございます。 この体制図にございます運営最高会議、これが最高の意思決定機関でございますけれども、この運営機関におきまして、この図にある8つのワーキンググループを設置いたしまして、今5カ年の中期的計画、戦略をまとめている最中でございます。予定では3月に戦略がまとまる予定でございまして、これがまとまって、TIAはいよいよ個々のプロジェクトのみならず、全体戦略を持って進めるような世界的な拠点づくりを加速するといった段階にございます。 私からは以上でございます。 ○土井課長 続きまして、大学の特殊性を踏まえた特許制度の見直しの進捗状況についてご報告させていただきます。 18ページをまず見ていただきますと、推進計画2010で、先ほどご紹介のあった項目について課題をいただきまして、産業構造審議会の特許制度小委員会におきまして、ユーザーの利便性向上という観点から、ここに書いてございます2点についての検討を進めてまいりました。 まず、最初の「大学・研究者等にも容易な出願手続の在り方」でございますけれども、20ページを見ていただきますと、そもそもこの検討課題の問題の所在、研究者が特許制度や特許出願手続に関する十分な知識を有していないこと、それから大学等の体制、こういうのがまだ脆弱なところもあるために、研究者が論文発表前に特許出願を行うことの困難性が指摘されていると、こういうことでございます。 特許制度小委員会での委員からの主な意見というのを紹介してございますが、1つ目、2つ目、3つ目、このあたりが大学関係者からの意見でございまして、例えば2つ目をご紹介しますと、本当に例外的に、物質特許でとても強力なものが出てきたときにクレームがなくても出願が出せるというのはとてもありがたいかもしれないけれど、あくまでも論文で出していけるようになってしまうと、ますます企業のほうから大学の特許は、請求範囲が狭く虫食いで使いにくい特許が数ばかり出て、無理をして大学が特許を持つよりも、産業界のほうに渡してもらったほうがかえって使いやすいとか、そういったような懸念の声というのがございました。 また、下の2つは企業関係者からのご意見でございますけれども、現実問題として、特許請求の範囲をきちっと考えた上で出願を作り込んでいかないと、包括的で広く強い権利というのは取得ができないんじゃないかと、こういう意見でございます。 21ページ、検討の結果でございますが、今申しましたように、1つ目は、やはり広く強い権利を取るためには、しっかりした特許請求の範囲や実施例の記載が重要だということ。ただ、そうは申しましても、一方、論文をベースに一刻を争って出願しなければならない場合があることは事実でございます。そこにつきましては、現行制度においても、まず明細書については、出願日の確保に必要な最低限の様式を整えて、論文の内容を基本的に書いてもらう。それから、特許請求の範囲についても、研究者が把握している最低限のポイントというのを書いてもらう。これによって出願日を確保するというのはできないわけではないということ、こういう点を明らかにしたということでございます。 また、これらの点、やはり今後の周知が重要ということでございまして、そういう緊急措置としてやれること、これを大学・研究者に周知する。あわせて、そういうやり方をした場合のリスクについても十分な注意喚起を行うべきだというのが小委員会での検討結果でございます。 22ページは最近の周知の状況でございます。今後、後でご紹介します新規性喪失の例外、これにつきましては制度改正を検討中でございますので、そういった点もあわせて今後本格的な周知活動を進めていきたいと考えてございます。 23ページは省略しまして、24ページの「新規性喪失の例外の拡大」でございます。 25ページに現状と課題を書いてございますけれども、現行法で、出願前に学会などで公開をされて新規性を失った発明でも、特定の条件を満たす場合には例外的に新規性を喪失しないものとして扱う特許法第30条の規定があるということでございます。 しかし、小委員会での議論、この制度では(1)(2)(3)に書いてございますような問題があるんではないかと、こういう指摘がされてございます。 (1)にございますように、発明公表態様の多様化に十分に対応できていないんじゃないか。また、発明の公表の仕方やメディアの違いによる不均衡の顕在化がされているんじゃないか。インターネットで発表されれば適用対象となるが、テレビ放映ではならないとか、長官指定の団体で発表すれば適用されるけれども、そうでなければ適用対象とならない、こういったような制度的な対応の遅れがあるんではないかというのが主な指摘でございます。 それを受けまして、26ページでございますけれども、今ご紹介しましたように、公表の仕方によって適用、適用対象外、こういうことが変わってくる点につきましては、やはり見直しをすべきであるというのが委員からの主な意見でございます。 26ページの下のところをざっと紹介をしますと、これだけメディアが融合し、テレビとインターネット、紙と放送が融合している中で、バランスを欠いていて、シンプルにわかりやすく見直すべきではないか。 また、大学の知財本部は、この学会が特許庁長官に認定されている学会がどうか、これを調べるのが非常に手間になっており、自分で発表したものは全部認めていただけるというのは、待ち望んでいた内容であると、こういうことでございまして、27ページの検討結果でございますけれども、今まで設けておりました新規性喪失の例外規定、これを公表態様によって公知となった発明を網羅的にカバーする、こういう方向で見直しをやるべきだと、こういう結論になってございます。 現在、この小委員会の報告書はパブコメ中でございますけれども、今後そういうパブコメの結果を聞きながら、制度改正に向けて準備を進めていると、こういうところでございます。 以上です。 ○妹尾会長 ありがとうございました。 それでは、時間が押しておるんですけれども、少し簡潔に議論をさせていただきたいと思います。3点ありましたので、3つに分けて委員の先生方からご議論をいただきたいと思います。 まず1番目、「産学官が出口イメージを共有して共創する場の構築」(工程表15番)の論点についてご意見いかがでしょうか。 相澤委員、お願いします。 ○相澤(益)委員 私の資料は5−1にありますが、これは大学の知財本部とTLO組織を今後どうしていくのかということを指摘しているだけのものですので、特にご覧いただかなくても結構だと思います。 そこで、文部科学省と経済産業省の両省に伺いたいと思います。 文部科学省の資料でまいりますと、これはページがないんですが、上のほうのところで2.(1)というところに新規事業の展開が述べられております。この中で、大学知財本部を新しく「大学等産学官連携自立化促進プログラム」に展開し、このプログラムを通じて大学知財本部を支援していくというふうに理解はできるんですが、大学知財本部をどう総括してまとめられたのか、そこのところの文部科学省の見解を伺いたいことが第1点。 それから、現在、大学知財本部はこういうようなプログラムの支援によってどういう状態になっているのかというところが見えないので、ぜひ説明をお願いしたい。 それから、経済産業省については、TLOの支援として「創造的産学連携体制を整備する事業」として展開しているということなんですが、これがTLOのネットワーク化とか、あるいは機能特化にどう展開していくと展望されているのか、そこが見えにくいので、現在のTLO機能と今後の展開をぜひ明確に説明していただきたい。 それから、両省にお伺いしたいのは、経産省と文科省の連携のもとでこうした事業が展開されていると理解できるんですが、果たしてどこが連携なのか、これが見えない。これではまた別々の方向へ行ってしまうのではないかと心配されます。 例えば、TLOの全国の所在が示されている地図がありますが、これに大学知財本部のマッピングも重ねて、そしてこれが将来こういうふうになっていくというようなところまで両省ちゃんと何をやろうとするかということを明確に示していただくことが第一歩かなと思われます。 以上です。 ○妹尾会長 それでは、今のご質問について、それぞれ簡潔にお答えをいただきたいと思います。お願いします。 ○寺崎課長補佐 文部科学省でございますが、担当の補佐のほうから説明させていただきます。 ○山ア室長補佐 担当の山アでございます。 これまで平成15年度から知的財産本部事業のほうから自立化促進プログラムに至るところで、まずはそもそも平成15年度のところでは、大学の中ではそういった知的財産を管理するようなシステムとかはありませんでしたので、まずそういったような措置体制をするに当たってどういった戦略に基づいてやるのか、どういったようなポリシーで体制をつくっていくのか、どういった人材を配置していくのかということを中心になって整備を進めてまいりました。その中で、整備をしている中で、当然地域の中の、地域に対する貢献とかそういったようなものと同時に、やはり国際的な競争力の強化という意味で、国際的な産学官連携といったような、例えば、国際的な共同研究をしていくといったような体制が急務ということで、この知的財産本部事業の後半の年からそういった国際的な産学連携についても支援をしてきているということでございますが、それを受けた形で平成20年度から産学官連携戦略展開事業というような名称で支援をしてまいりました。昨年の事業仕分けで指摘を受けまして、名称が自立化促進プログラムという形になりましたが、20年度以降の支援によりまして、特に知的財産本部という名称を、大学では産学連携本部というような名称にかわりまして、その知的財産の管理活用に係る部分については、産学連携本部の中の部門として整備を現在図っているというような状況でございます。 ○妹尾会長 説明はいただいたんですけれども、質問のお答えにはならなかったように思うんですが。 ○山ア室長補佐 そういった中で、知的財産の管理活用の部分も、結局産学連携、共同研究を進めていく中での一つのシステムとして充実を図っていくというようなところについて今支援をしているというような状況でございます。 ○妹尾会長 いや、相澤委員からのご質問は、大学知財本部を一体どういう方向でやるのか、その総括に関する基本的な考え方を伺っているので、今やられていることのご説明ではなくて、端的に言うとどういうことですか。 ○山ア室長補佐 資料にもありますように、この知的財産本部あるいは産学連携本部につきましては、やはり大学としてきちんとした戦略を持って、経営戦略の一つとしてそういった産学連携を進めていただくといったような観点が非常に重要だと思っておりまして、そういう観点から大学の経営戦略としても整備をしていくといったようなことを大学のほうに促すというようなこともしてございまして、そういった意味での課題を解決していきたいと思っています。 ○相澤(益)委員 本当に答えていただいていない。あえて申しますと、大学知財本部、TLOを再編・統合することが目的ではなく、今後の国際戦略等々にどう対応していくかということが課題なんですよ。それに対して具体的に、先ほどのような説明だと、これでは前のをただ延長だけで、何ら根本的な問題解決につながっていないように見えるので、さらに伺っているわけです。 それと、経産省からこれから説明があると思いますが、経産省は明確に1つのプログラムでもって提案されているけれども、そこに文科省はどういう連携をとるのか、これが見えないという、そういう意味です。 ○寺崎課長補佐 失礼いたしました。文部科学省として大学知財本部ですとかTLOを経産省と連携してやってございますが、今動きとしては、広域化の動きがあると把握してございます。基本的には知財の活用という観点、大学の知財の活用というのはやはり低いですし、底を上げていかないといけない。その中で広域化ということが出ていると認識しています。 ただ一方で、やはりそこにかかわる人材の育成というのが非常に重要であると思ってございます。うまくいっている大学等もございまして、人材の質をいかに高めていくか、そういうことを通じて全体として大学の知財の活用というのが進められていかないといけないと思っております。 ご指摘いただいております経産省との連携ということに関しても、やはり我々としてはまだまだ不十分だとは思ってございますが、今、産学連携関係の各地域で行われている連絡会ですとか会議には基本的に我々の課長の池田とお隣の進藤課長のほうが可能な限り参加していただいて…… ○妹尾会長 途中で遮って恐縮なんですけれども、一生懸命、一緒に会議出ていますよという答えが欲しいのではなくて、政策としてどういう連携をとられているんですかという基本的なお話が欲しいということだと思います。これは相澤委員だけではなくて、多分この会全体の話だと思いますので、今日は池田課長さんが体調を崩されて出ていらっしゃらないので、次回にもう一度恐縮ですけれども、今の質問に対してぱちっとお答えいただけるようにご準備いただけませんでしょうか。それは文科省並びに経産省両方でお答えいただくということで、相澤委員、いかがでしょうか。次回、はっきりお答えいただけるそうなので、それをお願いして、今のこの件は次回にということにさせていただきたいと思います。 ほかにはいかがでしょうか。 ○相澤(英)委員 関連でいいですか。 ○妹尾会長 関連で。では、相澤委員、お願いします。 ○相澤(英)委員 TLOとか知的財産本部をどのように整理するかということが重要だと思います。組織は作るより、整理するほうがよほど大変だと思います。ですから、どうやって整理するのかについて、これまで、どのように整理してきたかという実績も含めて、資料を提出していただければと思います。 ○山本委員 それに関係して。 ○妹尾会長 それでは、山本委員、お願いします。 ○山本委員 それに関係してですが、論点4、5、6も今ごっちゃになっていますけれども、いいですよね。 ○妹尾会長 はい、結構です。 ○山本委員 例えば知財本部とTLOが一緒になれば、TLOはつぶれなくなったという前例はあるんですが、一緒になったら力が倍増されるのかというと、全くアクティビティは上がっていないというのが実態で、知財本部がとかTLOがというのではなくて、大学の産学連携活動自体をちゃんと評価する枠組みが必要だと思います。今は残念ながら何件特許出願したかというのと、幾らのロイヤリティがあったか、これだけですよね、実際には。ここにいらっしゃる方みんなわかっているのは、特許出願は何件でも増やそうと思えば増やせる。ちゃんとしたアクションプランにつながるようにしなければだめで、例えば、100件出願したうちの何件ライセンスされましたかということをちゃんと評価、これはもちろん特許も共同出願を除いて単独出願が何件で、そのうち何件がライセンスされましたか。何件ライセンスされたうちの何件がちゃんと事業化まで至りましたか。それと、幾らの出願費用、人件費をかけて幾らのロイヤリティが得られましたかというのをずっと定点観測をしていけば、アクションが変わっていくと思うんです。東大でもそういうのは全部学部ごとに出しています。そうすると、バイオテクノロジーの分野は大体打率5割ぐらいある。そうすると、もっと特許出願というか発明を増やすほうに施策を講じればいいわけですし、工学部とかは打率が低かったりするところもあるんですが、だとすると、これをどう考えるのかという戦略につながるわけなんですよね。大学は成績をつけるのは好きなんですが、成績をつけられるのは余り好きじゃなくて、アメリカの大学は全部これ公表しているわけです。したがって、どこのアクティビティがこの大学は低いのかというのがよくわかるということだと思っています。ちゃんとした評価指標をつくっていかないと、幾ら再編しても活動自体は余り変わらないし、産業界から見たときに、ただ特許出願をして、余り使えない特許出願をどんどんしているということになるのでは問題だと思っていますので、評価指標をつくるというのは去年から私申し上げていますが、簡単にできると思っております。定量的なものだけでも、今申し上げたように簡単にできるわけで、もっと定性的なものも折り込めばいいわけなので、そういったことについて、ぜひ文部科学省さんと経済産業省で、TLOがどうとか知財本部がどうというのじゃなくて、各大学のアクティビティをちゃんと第三者から見てわかりやすい評価というのをどうつくっていただくかというのを考えていただきたいと思っております。 あとは、もう一点補足しますと、例の30条適用のことに関しては、ぜひこれは進めていただきたいと思います。アメリカで一番有名なコーエン・ボイヤーの遺伝子組み替え特許というのはグレースピリオドが切れる1週間前に出願したものなので、あれ日本だったら特許になっていないですよね。300億円のロイヤリティを稼いだ特許でございますし、アカデミアの研究にも寄与しているし、バイオテクノロジー産業にも寄与している技術なんですが、日本だったらあれは特許になっていないというものなので、ぜひそういった部分を、対象をどこで発表してもというだけではなくて、半年がいいのか1年がいいのかということも含めて議論いただければと思っております。 以上です。 ○妹尾会長 関連して。荒井委員、お願いします。 ○荒井委員 資料1−2、知財事務局の資料の関係で、2ページですが、左下に日米の大学の特許権実施料等収入の比較というグラフがあって、平成20年が、アメリカが2,300億円で日本が24億円、100倍の差があるわけです。GDPとか人口からすると、アメリカの半分ぐらいまでは日本はポテンシャルがあるんじゃないかと思いますので、ぜひこれから計画をつくる際の議論として、この24億円が50倍に、約1,000億円にするというために産業競争力の産学官の共創力強化とか、大学知財本部のあり方、そういう方向で議論することを要望いたします。 ○妹尾会長 ありがとうございます。 今までの委員からのご意見、ご議論すべて目先の施策についてのご説明ではなくて、その背後にある基本的な戦略の考え方、もう大展開しなくちゃいけないので、それについてはどうだということが繰り返しご指摘されている面もあると思います。 はい、進藤課長。 ○進藤課長 先ほどの相澤益男先生のご指摘で、経済産業省に質問もありましたので、そこも踏まえて、今のご指摘に私どもの考えているところを申し上げますと、私どもの資料の11ページの右下に、まさに創造的な産学連携体制整備事業でどういうものを支援していくかということが書いてあります。組織間の連携強化、一体化・統廃合、特定の技術分野・機能への専門化というようなことなんですけれども、これが第一ステップで、この事業でまさに目指していることなんですけれども、大きな組織にすることによって人繰りがつけやすくなる、あるいはよい人材を得られるようにする、それから専門的な技術分野に整理していくということで、このTLOならTLOというのを組織の力を高める可能性を見出していきましょうというのはこの事業で考えていることでございます。 ただ、先ほど相澤英孝先生がおっしゃったように、実際にこういうふうに廃止していけとか、そういったところまでは実はこれはまだできていません。これはどちらかというと提案公募形式になっておりますので、もちろんそういうふうにいたしますと言ってくれば、それはそうなんですけれども、そういったことを含めて大きな施策としてそこまで踏み込むべきかどうかというのはまた考えてまいりたいと思っています。 それから、山本先生がご指摘されたように、本来ならばこの話はTLOとか知財本部とか、実は私どもも承認TLOの中には産学連携本部みたいなものも認められたりもしているので、若干融合している部分はあるわけですけれども、実際に産学連携の機能を果たすものというものがどういうような役割を果たして効果を出しているのかという形で、もう一回評価の仕方を考えていくということは非常に重要で、実際にこの2つの組織名があるものをどう概念的に統合していくかということでも非常に大切なことだと思っております。 先ほど実施料収入というようなことでもっと増やせないかというようなご指摘もありましたけれども、ほかにも例えば、特許を持つことによって共同研究がさらに増えてとか、いろいろな考え方もあろうと思っておりますので、どういった形で産学連携活動を評価していくかというのもあわせて勉強してまいりたいと、このように思っているところでございます。 ○妹尾会長 ありがとうございます。渡部委員、お願いします。 ○渡部委員 大学知財本部とTLOの問題というのは、毎年毎年恒例のようになっていて、何とかしないといけないというのは間違いないんですが、それと同時に、大学の中には産学連携をうたった組織というのはほかにもありまして、ベンチャービジネスラボラトリーだとか共同研究センターだとか、そういうのがあるわけです。法人化したら、それは大学の中で組織は幾らでも改組や廃止ができるわけで、本当に看板通りの機能があるところは統合して残してやるし、看板だけかけているところは、おいておく必要はないということなのですが、意外にそういうことが進まない。私自身は国際産学共同研究センター長をやって、1年で廃止して産学連携本部に統合してしまいましたけれども、そういうこともできるわけです。そういうのがどうもやはり大学というのは進みにくいので、特にTLOの問題も含めて、幅広く見て、本当に産学連携機能をやっているところをちゃんと評価して、やっているところは支援するけれども、やっていないところは看板をおろすというように見ていただく必要があるんじゃないかと思います。 こういう細かいことをずっと議論しているんですけれども、そういうことをやってきても産学連携の制度改革も少しずつしか進まないという中で、ここ一、二年いろいろ企業の方ともお話をしていますと、産学連携といっても、例えばある大手企業さんは、うちはもう国内の大学の10倍ぐらい外国の大学とやっています、あるいはうちの産学連携というのは外国の大学との連携ですというような話とか、これは特にリーマンショック以降、新興国の大学とやるというようなことも増えてきているわけです。そういうような中で、もともとは日本の大学のシステムを欧米ができるようにしていこうということでやってきているんだけれども、例えば中国の大学と連携したいという目的の時に、いやいや日本の大学との連携でやりましょうといっても、それはできないわけです。イノベーションシステムとして、国内の企業と国内の大学の連携だけで何とか解決するというようなことだけではない、もうちょっと広くイノベーションシステムを国際的にオープンにしていくということを、産学連携においても考えていく必要があるんじゃないかということを強く感じるようになりました。 具体的に言いますと、多分、大企業で、グローバル企業で、今新興国市場は非常に重要で、先ほどの国際標準化などでも外国の大学と連携することは意味あるというようなことになってくると、国際市場でやっている大手企業は、さきほどのように日本の大学の何倍も外国の大学と益々連携するようになると思うんですね。日本の大学も産学連携は一生懸命やって、日本でできることはやれるようにするんだけれども、それでもそういう動きはとまらない。 一方で、日本の大学も一流の研究成果が出せるようなところは、外国とどんどんやる。これについては、国際産学連携の支援ということはやってきましたけれども、その施策がまだしっかりイノベーションシステムの中に位置付けられていないように思います。産学連携における国際ということが開かれたイノベーションシステムとしてどういうふうに機能していくのかということはまだ見えていないんだと思います。一方で、大学は本来機能として教育があって、これも国際化していかないといけないわけで、留学生も、今国立大学では10%内外ですけれども、イギリスなんかは50%に近い、そういうふうになると思います。もちろん日本人も一緒に英語で教育する。そうやって国際的な人材を輩出すれば、そういう人材は日本企業に入るかもしれないし、海外へ行くかもしれない。そういう人材が入った外国企業や外国の大学と日本企業や日本の大学が効果的な連携ができるかもしれない。そういうようにイノベーションシステムをもっと開いて国際的に考えていかないと、行き詰まっしまうという感じです。 先ほどのライセンス収入が少ないというのも、日本のカルチャーとか日本の企業の仕組みに合わせてそうなっている面もあると思っていまして、逆に言うと、国際的にしていくことでこの数字も増えていくはずだと思います。そういうように、新しい発想でこれからやっていかないと、なかなか少しずつしか進まない。ただ、中小企業とベンチャーに関しては、やはり国内の大学の役割というのは非常に大きいですね、ローカルな部分というのは。そういう部分と国際の部分というのを1対1対1ぐらいの重みで施策を考える─1対1対1というのは「日本の企業と外国大学との連携」、それから「日本の大学と外国企業との連携」、それから「国内の大学と国内ベンチャーと中小企業との連携」、それが1対1対1で、さらに教育機能というのを国際化していくことで連携を効果的にすることでイノベーションシステムが完結するような絵をかいていく必要があるんじゃないかということを強く感じています。提出したペーパーには、そういうグローバルでオープンな新思考で進める基盤として、最小限、外国特許出願支援なんかはやらないといけない。さらに、新興国といろいろ連携するときに、新興国のイノベーションシステムを本当にどこまで使っていいのか、注意点はどのようなことがあるのかなどというようなこともありますので、そういう部分は2番目の項目で、国際標準とか知財のイノベーションシステムをどうやって使っていったらいいかということを産学官で調査し、分析し、それを役割分担する体制も必要だろうというようなことを提案させていただいています。 以上です。 ○妹尾会長 ありがとうございます。 これ結果的に3つに分けましょうねと言ったんですが、全部一緒になりましたけれども、ほかにどうしてもという……小川委員。 ○小川委員 今までの話題とちょっと視点の違う質問をいたします。さきほどの経産省研究開発課のご説明の中に、つくばのイノベーションアリーナがございました。また経産省の説明資料のなかの基本メッセージとして出口イメージをはっきりさせるという主張もありました。しかし例えば、つくばイノベーションアリーナについて説明のある14ページのこの図を拝見しますと、出口が何なのか理解できません。単に省エネデバイスを開発するとか、パワー半導体を開発する、それで終わっているように思えます。これは研究者や技術者が語る出口であって国家プロジェクトの出口では無いように思います。例えば1999年から2000年ごろに始まった半導体の巨大な国プロでも同じでした。これは、単に良い技術が開発されれば競争優位に直結するという古典的なリニアーモデルに過ぎません。リニアーモデルが成立しないのは1980年代までのアメリカもヨーロッパも巨額のお金を使って経験したことです。リニアーモデルが成立しない、すなわち良い研究をして良い技術が開発されても、そのままでは決して競争優位に直結しないという当たり前の事実が、特に日本ではアジア諸国の台頭と共に更にはっきりしてきました。つくばイノベーションアリーナのプロジェクトでも、日本の将来に向けて何が課題であって、つくばで開発される成果が日本の社会インフラにどういうような貢献をするのかという全体構造がまず説明されるべきではないでしょうか。まず将来の日本が直面する社会的な課題やグローバル市場での日本という国の課題が共有され、その中で国プロとしてこういうことをやるんだよというシナリオがあると、皆さんが納得するんじゃないかなと思います。つくばで生まれる局所最適としての技術成果が、日本の将来という全体最適に直結する構造を全員が常に共有させるべき、というご提案です。 例えばつくばのプロジェクトには、現在も、そして今後もますます重要になる組み込みシステムとの連携が全く描けれていません。このような分断されたプロジェクトの姿は日本だけでして、ヨーロッパでもアメリカでもありません。特に組み込みシステムが今後の人間社会へ極めて大きな影響を与えますので、欧米では国家プロジェクトの優先テーマになっているわけです。やはり技術体系の全体構造はもとより、この体系と社会システムとの関係を大局的に把握できるような全体像を踏まえていただくとありがたいと思います。 参考までに、既にご存じだと思いますけれども、2007年から始まった欧州連合のフレームワークプログラム7では、例えばナノテクに関するプロジェクト(ETP:European Technology Platform)あると、これと密接に連携する形で組み込みシステム関連のETPがあります。それぞれに、恐らく日本円で3,500億円から4,000億の研究資金がつぎ込まれています。これらのETPの上位レイヤーには省エネのシステムがあり、交通システムや安全・安心・健康システム、などを含む社会インフラなどが、たくさんつながっています。それぞれのETPが生み出す局所最適としてのイノベーション成果が欧州連合の社会システムという全体最適に結びつける統合型になっています。つまり基本的なナノテクでこういう成果が出れば、社会インフラにこのような貢献をするんだということがわかるように、全部リンクされた構造になっているわけです。日本にも、つくばイノベーションアリーナにも、そういうのがあると、我々は非常にありがたいということですので、ぜひお願いします。 ○妹尾会長 ありがとうございました。 それでは…… ○相澤(英)委員 一言だけ。 ○妹尾会長 では、相澤英孝先生、お願いします。 ○相澤(英)委員 大学に限らず特許権を取得しやすいようにするためには、補正の緩和、あるいは分割出願の要件の緩和が必要で、これが含まれなかったのは残念です。それから、訂正がさらに制限され、これにより、特許権が無効にされる事例が増えることになりますので、政策の整合性からみて、遺憾であると思います。 ○妹尾会長 ありがとうございます。いろいろなご意見ありまして、まだまだ先生方のご意見あると思いますが、時間が相当押してしまいましたので、ここで一たん区切らせていただきたいと思います。 いずれにせよ、知財計画2010的に言うと、大学の特殊性を踏まえた特許制度の見直し、いろいろ問題はあろうかと思いますが、進捗はしているので、それをちゃんと着実に、しかし、問題点を踏まえながら進めていただきたいということがありますし、それから、山本委員からもありましたけれども、知財計画2010に織り込まれているはずの産学連携機能の評価のあり方、これが全然進んでいないというか、まだ進みが遅いように感じられます。これは早急に進展させていただきたいということがあろうかと思います。 それから、2010的には、まだ進捗について幾つかありますが、これは追って個別に事務局を通してお願いをしたいと思います。 それから、2011的には、先ほどの相澤益男先生からのご指摘もありましたし、あるいは渡部先生からのご指摘もありましたけれども、要するに、もう小手先の修正の段階ではなくて、産学連携そのものの根本的な見直しが必要なのではないか、しかも、それは経済産業省と文科省が本当の連携をしながら、単に課長が同じ会議に出ていますよという、そういう説明ではなくて、連携して考えていただきたいということだと思います。 もう一点は、同時に、例えば出口を見据えたみたいな文言がありますよね。あるいは文科省的には実用化みたいなものがよく出てくるんですが、それが事業化がされたら、もう出口だみたいな嫌いが非常に強くて、だから事業化したら3カ月でつぶれてあとはおしまいみたいな話がある。事業の成功、産業の育成というところまで射程を延ばした実用化研究だとか出口を見据えた研究がないと全然いかないということはもう明らかなわけですから、それらについて、例えば産学連携活動がどういうふうに効果を及ぼすのか、その辺を見ていただきたいと思うわけであります。 したがって、先ほどの知財本部だ、TLOだという話ではないよね、それから、産学連携機能、あるいは産学連携活動のことだよね、こういう話がありました。ところが、産学連携活動自身が事後目的を課してはいけなくて、これは先ほど渡部委員がおっしゃったように、大学知あるいは企業知みたいなものがいかに融合されて、しかも国際的な中で社会に価値を創出するイノベーションをもたらすのか、そこに日本はどれだけ貢献できるのか、これが問われているわけですから、そこのところは2011でぜひ踏み込みたいところであるわけであります。そういう意味では、文科省と経産省、より根源的なところでご議論いただいて政策をご提案いただきたいと思います。 それから、先ほどお願いしたとおり、次回にもう一回お話をいただきたい。そこで結論が出る出ないは、2011的には必要ないんですが、少なくともこっちの方向性でいきたいという決意はご表明いただければ大変うれしいなと思っております。 それでは、駆け足でございますけれども、戦略Vに移りたいと思います。「国際知財システムの構築について」ということであります。 これについて、恐縮ですが、事務局からの説明を簡潔に、よろしくお願いいたします。 ○原参事官 それでは、資料1−2でございますけれども、こちらの5ページ以降をご覧いただけますでしょうか。 ここでは、我が国企業のグローバルな事業展開に応じた戦略的な知材の取得・活用が可能とするような環境整備が不可欠という視点に立って、推進計画2010における国際知財システムの項目のうち、後ほどお話を伺います特許審査ワークシェアリングの拡大について現状を示してございます。 右下をご覧いただきますと、特許審査ハイウェイ、それから5大特許庁の枠組みの双方で取組が進められているということでございますが、前者については、対象のさらなる拡大、それから後者につきましては、5庁間での審査結果の共有に向けた環境整備を進めていただくことが必要ではないかというふうに考えてございます。 1ページおめくりいただきまして、6ページでございます。 更なる検討課題(例)として、低コストかつ効率的な権利保護を可能とする世界特許システムの構築を以下に図るか。さらに、日本企業が活躍するアジアにおいて、我が国が主導する知財環境整備をいかに図るという視点を示してございます。 左のグラフをご覧いただきますと、我が国企業特許出願活動は、米欧と比較すればまだ内国重視という傾向にあるように思われます。 それから中央でございますけれども、低コストかつ効果的にグローバルな権利取得を可能とするシステムの構築、これに向けたステップといたしまして、現在、特許庁において特許審査ハイウェイの取組が行われてございます。現在13の国・機関との間で実施されているということでございます。それから、今年初めからはPCTの枠組みも利用した取組が開始されたということでございます。 一番右の枠でございますけれども、受理する出願の8〜9割が国外のものからであるというASEANにおいて、特許出願の状況を示してございます。アジア太平洋地域における途上国支援、人材育成というところは、我が国としても力を入れてきているところでございますけれども、昨今、韓国特許庁がIP−Hub Koreaと呼ばれる構想を打ち出しております。これにつきましては、本日の本部会合におきまして、佐藤委員からも資料をいただいているところではございますが、韓国も国際的な知財秩序の形成を誘導するよう積極的に動いているというところでございます。我が国としても、これまでの経験を最大限に活用して、アジア地域における知財環境整備を主導していくことが必要ではないかというふうに考えてございます。 こうした現状、さらには、識者のヒアリングを踏まえまして、7ページでございますけれども、ご覧いただきますと、企業のグローバルな知財活動に対する支援策を拡充していくこと、それから、国際的なワークシェアリング・審査協力の一層の推進、さらには、我が国がリードする、特にアジア地域における知財環境整備などを取組の方向性として例示してございます。 最後、この資料には含めてございませんけれども、欧州においては、EU全域を対象とする共通の特許制度設立に向けた動き、これはEU全域では困難であるという状況を受けまして、先週の14日でございますけれども、欧州委員会が英仏独と有志国の12の加盟国で先行してタイソウの特許制度を立ち上げてはどうかというような提案を行っているところでございます。この後のヒアリングでも、もしその追加情報があれば、特許庁からもいただければと思いますが、こうした動きを踏まえ、それから企業のグローバルな知財活動における取組をさらに推進するにはどうすればいいかというところも含めて、今後のヒアリングの内容も踏まえつつ、委員の皆様からもご意見をいただきたいと考えてございます。 以上でございます。 ○妹尾会長 ありがとうございました。 それでは、担当府省からのヒアリングということなんですが、引き続き土井課長さんに残っていただいております。 土井課長、すみません、時間手短で簡潔に、恐縮ですがよろしくお願いいたします。 ○土井課長 特許庁の土井でございます。 資料4を用意しました。 今、広範なプレゼンを事務局のほうからいただいたんですが、そういう中で、今回、特許審査ハイウェイの拡大について報告せよという指示を受けまして、私のほうでこの資料を用意してございます。 1ページ目は省略しまして2ページ目でございますが、特許審査ハイウェイ、我々PPHと呼んでございますが、先ほどの説明にも出てまいりましたPCT−PPH、2つの種類の特許審査ハイウェイがあるわけでございまして、それがどういうものかというのを2ページに示してございます。 また3ページは、特許審査ハイウェイの現状でございます。 それぞれの国ごとに締結をしていくと、こういう仕組みをつくってございまして、線が多いのが日本とアメリカであるというのをご覧いただけるかと思います。また、最近は日本はフィンランド、それからスペインともPPHを締結しているということでございまして、日本、アメリカが最初の創始者であり、一番の実績を持っている、そういう非常に先行者としての地位を得まして、ぜひこの施策を強力に進めていきたいと考えてございます。 4ページは、その申請状況でございます。 ちょっと表が見にくいのでございますが、左側の第一庁、これは例えば一番上の行、JPOと書いていますが、日本の特許庁にまず出願をされて、それが第二庁である、例えば2,606件というのはアメリカでございますが、そこにそういう数が申請されているということでございます。 下の段は、PCT−PPHの場合の申請状況でございます。 5ページは、荒井委員からデータの提供依頼というのを受けまして作成したものでございます。先ほど言いましたように、相互の件数は増えてきてございますが、これをPPHによらない通常の国際的な出願の規模と比較した場合の表でございます。日本の特許庁と、例えば1行目見ていただきますと、日本の特許庁とアメリカ、これ2006年からPPHを開始してございますが、その2006年7月から今までにアメリカから日本に出願された件数は8万2,936件、それに対してアメリカから日本にPPHで来た件数は874件、次の黄色は逆でして、日本からアメリカに18万8,878件、そのうちPPHを利用したのが2,606件と、こういうことでございます。件数規模的にはまだまだ非常に少ないということでございますが、一方、PPHは特許審査ハイウェイと言っておりますように、早期審査を前提とする、つまり両国で早く特許を確立したいと、こういうケースでございますので、規模的にはこういう状況になっているということでございます。 6ページは、日本が受け入れている特許審査ハイウェイの申請件数のすべての国との累積でございます。 7ページ、こういう特許審査ハイウェイを議論してまいりますと、中国との関係というのが非常によく問われるわけでございます。今年11月の三極特許庁会合、ここにおきまして三極特許庁は、韓国特許庁、中国特許庁に対してPCT−PPHの参加を提案することで合意をし、日中特許庁長官会合でも意見交換の継続に合意と、こういうことになってございます。 ちなみに、韓国のほうもアメリカと一部PPHをやっておりますが、それ以外はまだの状況でございます。 それから、8ページでございますが、多数国間の特許審査ハイウェイでございます。 これは、それぞれの国がバイで提携を結んでいくということでございますが、いろいろな国同士のハイウェイが増えてまいりますと、ルールを統一化しようとか、あるいはより効率的な手続を進めようと、こういう取組がございまして、PPHの共通申請様式をつくっていこうとか、あるいはポータルサイトを提供して機械翻訳などの事務手続や提出書類を簡略化しようと、こういうことが進められてございます。 9ページは、これも荒井委員からのデータ提供依頼を受けてつくったものでございます。 JPO、USPTO・EPOの出願から一次審査、出願から最終処分までの期間の平均値を示してございます。 私のほうからは以上でございます。 ○妹尾会長 ありがとうございます。 それでは、今の件についてご意見。荒井委員、お願いします。 ○荒井委員 いろいろデータをそろえていただきましたので、お礼申し上げます。今の資料4の5ページですが、今お話ありましたように、こういうPPHをやっているというのは世界の国際特許システムを推進するということを日本がリードしていることで、すばらしいことだと思います。こういうことは、いわば、特許審査の国際標準化を日本がリードしているということだと思いますので、取組は大変評価されると思いますが、5ページの数字にありますが、今のお話ありましたとおり一番上の欄、アメリカに日本の企業がこの4年間に出願しているのが18万件、それに対してこの制度を使っているのは2,600件ということですから1.3%なんですね。それから、韓国へ日本が出願しているのは2万7,000件で、これを使っているのが460件ということですから1.7%でございますので、やはり利用率が低いというのは、ちょっと制度的にも限界があるんじゃないかと思いますので、これを進めるのに加えて、さらに日本が特許審査の国際標準化を進めるという観点からすると、共同審査をすることを提案したいと思います。共同審査というのは、日本企業が日本の特許庁に出願して、アメリカにも出す。そういう場合には、日本の特許庁の審査官とアメリカの特許庁の審査官が、そういう出願を一緒に審査をすれば早くなって、しかも質の高いものができると思います。ぜひPPHに加えて共同審査をする、それをアメリカとやるだけじゃなくて、日本がヨーロッパに出したり、韓国に出したり、中国に出しているわけですから、そういう国の審査官と共同で審査をするということをすることによって国際特許システムをリードすることを提案したいと思います。 それから9ページですが、そういう国際標準化をリードするときに、日本の審査がスピードが速くて質がよくなければいけないと思います。本当に今スピードはどうなんだろうかということを見るための資料が9ページだと思います。これは、今までJPO、日本の審査請求から一次審査、数字で言うと左から2つ目の数字の29カ月、これが審査請求から一次審査までの期間で、これは前は非常に長いのが、今は29カ月まで短くなったわけで、これは政府を上げての努力の成果だと思いますので、これは大変快挙だと思います。それがアメリカUSPTOの26カ月とか、あるいはEPOの出願から一次審査の20カ月に非常に近づいてきたということで、これは政府を上げての努力の成果だということで評価されるんだと思います。しかし、国際的な標準をリードする場合に、特許は出願して最終処分、特許になるのかならないのか決まるまでの期間が大事なわけです。そういうことで見たときには、日本では62カ月かかっている。それに対してアメリカは42カ月かかっている。ヨーロッパでは42カ月かかっているということですから、これが本当の意味での特許庁に出願してから特許庁の結果が出るまでの期間ですので、今度はこの出願から最終処分までの期間を念頭に置いて、この面においても日本が世界でも一番早くてスピードが速いというようなことを目指す、そういう努力を政府を上げて努力することが必要ではないかと思います。62カ月と42カ月というのは約2年近く離れているわけですから、これを短くする、こういう努力をやっていくことが必要ではないかと思います。もちろん今、その下にありますようにJP−FIRSTとかいろいろな努力してもらっているとかそういうことはあるわけですが、やはり日本の特許庁の審査が早くて質がいいということを目指す努力を一層していくことが必要ではないかと思いますので、ぜひこれからの議論には一番右の欄、出願から最終処分までも議論するということを提案いたします。 ○相澤(英)委員 関連して。 ○妹尾会長 相澤委員、お願いします。 ○相澤(英)委員 荒井委員のご指摘ですが、日本は審査請求主義をとり、アメリカは審査請求主義をとっていませんから、比較されるべきは、審査請求から最終処分の期間である15ヶ月あるいは35カ月ではないかと思います。日本における審査請求期間3年ということをふまえて、出願から最終処分までの28カ月あるいは62カ月というものと、アメリカにおけるそれというものは、例えばアメリカとを比べるのならば、部分継続出願がされた場合の61カ月を含めて考えるべきであると思います。なお、ヨーロッパも審査請求主義をとっておりますが、審査請求期間は6カ月ですから、制度が違います。 グローバル化で非常に重要なことは、佐藤辰彦委員が出されております資料のように、日本の審査が各国で受け入れられるというシステムが重要です。以前の英連邦圏にあったシステムですが、日本で審査をしたものが、そのまま発展途上国で受け入れられるようなシステムというものを考えていく必要があるのではないかと思います。 ○妹尾会長 荒井委員。 ○荒井委員 今の点はもちろん審査請求、そういう国の制度の違いがあるじゃないかというのが国際標準の妨げだと思うんです。ですから、私が提案しているのは、そういうことも含めて、企業の活動はグローバル化しているわけです。それから、国際標準をするということは、政府も含め、中身も含め、いかに世界をリードしていくかというふうに発想を変える時期が来たんじゃないかと思っております。 ○妹尾会長 佐藤委員。 ○佐藤委員 先ほど来、私のペーパーについてもご紹介いただいたんですが、今日の本部会合で、世界の知財がまず第1国として日本に入ってくるような制度構築を目指すべきだということを申し上げました。それに関しては既に荒井委員、それから相澤英孝委員のほうからいろいろと既にご指摘があったので繰り返しませんけれども、やはり世界の特許なりほかの知財が、日本を目指して入ってきて、それが日本を経由して世界に発信されていくということが、今後の日本が成長するためには非常に重要だと思います。そのためにこそ我々としては、ユーザーが本当に日本の制度を利用しようという気持ちになるような制度構築をどうしていくか。先ほど来、荒井委員からありました審査のスピードを上げろ、質をよくしろ、これは当然のことですけれども、もう一点つけ加えなきゃいけないのは、やはり国内外のユーザーが信頼できる、安定性のある権利構築をできるという点がもう一つ重視しなきゃいけない点だと思います。推進計画2009においても、知的財産の権利の安定性の確保ということが大きなテーマになりました。そのテーマについては、2010では具体的に取り上げられませんでしたので、ぜひこれは日本が世界の知財のワールドセンターとしてリードしていくためには権利の安定性ということが、これは欠かせない課題であると思います。そういうことで、2011にはこの点もぜひ取り上げていただきたいということをつけ加えておきたいと思います。 以上です。 ○妹尾会長 ありがとうございます。 まだまだご議論あると思うんですが、時間があと数分になってしまいましたので、恐縮です。今、皆さんがおっしゃったのは思いは全部共通しているんではないかと思います。日本がアジアの中で、あるいは世界の中で先進的に制度構築、運用、そして実績を持っている、これが日本の産業競争力強化のためにもう一つアジアのデファクトにならなきゃいけないということで制度的に知財を日本に持ち込むということもあろうし、日本の制度運用が発展途上国その他で、いわばスタンダードになっていくということが重要ではないか、そのためにどうしたらいいかという抜本的な議論になってきたと思います。2011のほうでは、ぜひそれを考えていきたいという委員の皆さんのご提言だと伺います。もちろんそれの運用についてはいろいろご意見の違いがあるかと思いますけれども、そちらの方向で2011持っていけたらと思います。 それでは恐縮です。簡単に次の議題をやらせてください。 国際標準化戦略策定の進捗について、事務局から15秒報告をお願いいたします。山本企画官、すみません。 ○山本企画官 はい、15秒でまいります。 資料6をご覧ください。 めくっていただきまして、加速・拡充と書いた紙でございます。前回以降の状況を説明させていただきます。 一番下の灰色のところが従来の検討スケジュールでございましたけれども、これが総理指示等によりまして上のカラーの流れのように加速されてございます。 2枚めくっていただきまして、3ページ目の下のところをご覧ください。 前回調査会以降、12月3日に本件について総理に報告・了承いただきまして、その後、12月14日に企画委員会が開催されまして、アクションプラン第1弾を踏まえたその後の策定方針が決定をされてございます。そして、本日この調査会の直前に本部会合が開催されまして、妹尾座長よりご報告をいただいております。 以上でございます。 ○妹尾会長 ありがとうございます。 恐縮です。時間が迫ってまいりました。だらだら進んだわけではなくて、大変なるご議論があったので、充実した時間だったと思います。 それでは、皆さんまだまだご意見あると思いますけれども、事務局ないしは私のほうに何かありましたらお伝えいただければと思います。 恐縮ですが、年末お忙しいところ、これ以上引き止めるわけにいきませんので、それでは最後に、和田政務官のほうからごあいさつを賜りたいと思います。よろしくお願いいたします。 ○和田大臣政務官 皆様本当に長い時間のご議論、ありがとうございました。 私は初めてごあいさつ申し上げると思いますが、大臣政務官の和田でございます。津村前大臣政務官の後も、9月の終わりから引き継ぎまして、こちらのほうを担当させていただいております。 今日ご議論いただきましたテーマは本当に、これを全部包含して日本の戦略を立てれば、多分世界一の地域財産国になるんではないかと思いながらお聞きしましたが、言うは易し行うは難しでございます。 先ほどお話ございましたとおり、今日午前中に本部会合がございまして、大臣のほうから、また私のほうから、今の取組状況について総理並びに本部員の方々にご報告したところでございます。一言で申し上げれば、全員がエールを送っていただきながら、まだしっかりやれと、まだまだ早くやれ、まだまだ充実してやれというお言葉でございました。そういったことから、実際に私自身も選挙をやっている身で、1人だけ特許をたくさん出願されて知名度を上げていらっしゃる方を存じ上げておるんですが、やはり今のご議論をお聞きしておっても、特許を本当に日本に最初に出願する気になるというような国にならなきゃいけない。そのためには、周りを取り込んでいかなきゃいけない。そのために何をするかといったら、やはり早くこういった手法を考え出して、ほかの各国に提案をできる国でなきゃいけないということだろうと思います。そういったことを専門家の方々に英知を集めていただきまして、我々のほうで発信力を高めていくのが政治家の仕事であろうというふうに考えております。どうぞ今後ともご議論ぜひよろしくお願いします。 そして、来年3月には、先ほど座長のほうからもお話がありましたとおり、「知財推進計画2011」をまとめてまいりますが、これが世に通ったときに、この程度でやるならしっかり連携してやろうと、民間の皆様方に思っていただけるものを考えていくべき責務を持っておりますので、どうぞお力をおかしてくださいませ。皆様方、どうもありがとうございました。 ○妹尾会長 ありがとうございました。 それでは、予定の時間がまいりましたけれども、事務局から簡単に何か連絡事項ありますか。 ○原参事官 次回は年明け1月14日金曜日でございますが、午後3時から予定してございます。年明け以降、事務局から次期計画に向けた論点を提示し議論を進めていきたいと考えてございます。本日積み残しになった議論もございますので、それも含めて各省からの参加も得ながら、2011骨子の策定に向けた検討を進めていきたいと考えております。 以上でございます。 ○妹尾会長 ありがとうございます。 それでは、私の司会進行があれで時間をオーバーして申しわけございませんでした。 それでは、残りの議論について、あるいはご意見については事務局、私のほうにお寄せください。 それでは、本日はこれで終えます……はい。 ○原参事官 すみません、一点忘れてございました。事務局からでございますけれども、委員の皆様、長いご議論ありがとうございました。簡単なものでございますけれども、昼食を準備しておりますので、どうぞお召し上がりくださいませ。 ○妹尾会長 では、お帰りになる方には最後のごあいさつはこういうふうにさせていただきたいと思います。 皆さん、よいお年をお迎えください。 ありがとうございます。 |