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第8回 先端医療特許検討委員会 
議事録

  1. 開 会 : 平成21年5月29日(金)16:00〜18:00
  2. 場 所 : 知的財産戦略推進事務局会議室
  3. 出席者 :
    【委 員】 金澤委員長、片倉委員、北川委員、小泉委員、佐藤委員、白石委員、須田委員、羽生田委員、林委員、本田委員、渡辺委員
    【参考人】 外口医政局長、胡田特許審査第三部長、田村審査基準室長
    【事務局】 素川事務局長、内山次長、小川参事官、高山参事官
  4. 議 事 :
    (1) 開  会
    (2) 先端医療分野における特許保護の在り方について(報告書(案))     
    (3) 閉  会


○金澤委員長 ほぼ時間になりましたので、またお見えになる予定の方々は皆さんお見えになっていらっしゃいますので、第8回目になりますが、先端医療特許検討委員会を開きたいと思います。お忙しいところをお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
 今回は残念ですけれども、永井先生、中内先生、長岡先生のお三方がご欠席と伺っております。また、小泉委員はちょっと間に合わないかもしれないですが、5時半ごろということを伺っています。また、北川委員と本田委員は10分から15分ぐらい遅れるとのことでございますので、一応皆さん方、お見えになるべき方は今見えておりますので、始めたいと思います。
 なお、特許庁からは前回と同じように南特許技監の代理といたしまして、胡田特許審査第三部長にお越しいただいております。よろしくお願いします。
 まず初めに、配付資料の確認を事務局からお願いします。
○内山事務局次長 議事次第の下のほうに配付資料の一覧がございます。それをご覧いただきながら確認をお願いいたします。
 資料1でございます。
 先端医療分野における特許保護の在り方について(案)でございます。これが報告書の本体でございます。
 それから、資料2が参考資料集でございます。
 資料3が報告書の提言の概要という資料でございまして、これは前回本田委員から新旧の対照できる分かりやすい資料とご要望がございました。
 それから、資料4でございます。「先端医療分野における特許保護の在り方について(案)」に関する意見募集の結果について、ということで、意見、個別の内容の原文でございます。
 資料5は、資料4のパブリックコメントに掲出をされました主な意見とそれに対する考え方でございます。
 以上です。
○金澤委員長 どうもありがとうございました。
 資料は皆さんおありだと思いますので、本日の議題に入りたいと思います。
 前回のこの会合では、今もちょっとご紹介ありましたけれども、取りまとめの報告案ができたわけでありまして、それをもとにパブリックコメントを行うことにしておりました。そこで、事務局のほうから寄せられましたご意見の内容とそれに対する考え方の説明をお願いしたいと思いますけれども、あわせてその説明、あるいは意見など踏まえまして、前回お認めいただきました報告書案の修正を行った箇所などについて、説明をしてもらおうと思います。これが今日の主な議題であります。よろしくお願いいたします。
○内山事務局次長 それでは、関係いたします資料を一括してご説明をしたいと思います。
 まず、資料4をご覧いただきたいと思います。
 意見募集の結果について、1枚目に実施期間がございます。今年4月28日から5月17日までの期間、実施方法でございますけれども、電子メール、ファックス及び郵送によりご意見を募集いたしました。提出されたご意見の件数、そして内容でございますけれども、全部で12件でございます。うち法人・団体の関係が7件、それから個人の方から5件でございます。ご意見の内容でございますけれども、この資料の2ページ目以降に別添1、別添2という形で添付をしてございます。
 それでは、資料5を引き続きご覧いただきたいと思います。
 資料4の意見として提出されたものの中から主な意見につきまして、寄せられた意見の趣旨を要約しながら内容により分類整理をしたものがございまして、それにつきまして当委員会としての考え方という形でまとめた資料でございます。これをまずご説明いたします。
 まず、総論に関してでございますけれども、(1)の今回の審査基準の改訂の内容が例えば司法の場でも尊重される運用となるよう、普及などに努めるべきというご意見でございまして、製薬協、あるいは知財協という団体からいただいております。
 考え方でございますけれども、意見を踏まえまして、報告書35ページ、結びの部分において、「審査基準の改訂やその趣旨及び内容に関する関係各方面への周知を始めとする所要の措置を関係府省庁が連携し速やかに実行に移すことを強く要請して結びとする」としております。
 該当箇所につきましては、後ほどまた本文の修正についての際にご説明をしたいと思います。
 続きまして、(2)でございます。
 先端の工学テクノロジーの医療分野への効果的応用、我が国医療技術による国際貢献、法的明確性、安定性、絶えず進展する先端医療技術への対応等の観点から、引き続き以下の@からDの検討を行っていくべきというご意見を各団体等からいただいております。
 まず、@でございます。医療方法の発明を「方法」の発明として保護すること、これは弁理士会からいただいています。
 それから、専門家の予測を超える効果を示す新用法・用量の医薬に係る発明を、「物」の発明のカテゴリーのみならず、「方法」の発明のカテゴリーによっても保護すること、これは弁護士会、製薬協からいただいています。
 医療関連の発明を新たに特許対象とする場合はもちろん、従前の特許付与の範囲に留まる場合であっても、医師免責の要件・範囲を法定すること、これは弁護士会から。
 特許対象を法律上で規定すること、これは弁護士会、バイオ協会からいただいています。
 先端医療分野で開発された技術を常にモニターとして技術に相応の特許保護が与えられるよう、機動的に審査基準の見直し等を行うこと、これは製薬協、知財協などからいただいています。
 考え方でございます。
 本委員会では、ヒアリングやインターネットなどを通じ具体的事例に関する調査を行い、その上で特許対象とすべきかの検討を行いました。その結果、人間を手術、治療、診断する方法の発明のうち、機械・器具の使用方法に特徴のある発明については、現時点においては、新たに特許対象とすることは適当でないとの結論に至った。
 次のページでございますが、また、専門家の予測を超える効果を示す新用法・用量の医薬に係る発明については、「物」の発明として保護することが適切であるとの結論に至った。
 他方、本委員会の検討においては、現時点において発明のカテゴリーの考え方の再整理や免責の法定化等が必要との結論には至らなかった。
 ただし、今後、新たな課題の発生等が考えられることから、このような意見も踏まえてフォローアップを行うこととした。具体的には、報告書35ページの結びにおきまして、このかぎ括弧の中にあるとおりの記述をしております。
 続きまして、2でございます。
 審査基準における特許対象の明確化の中で、生体外で行われる細胞等への処理方法に特徴のある発明についてでございます。
 「処理」と「製造」というのは均等と認められる場合が殆どであることから、特別の事情が無い限り、「治療のために同一人に戻すことを前提とした自家採取物を処理する方法」全体を特許対象と認めるべきとのご意見を個人の方からいただいております。
 考え方でございますけれども、本委員会では、具体的事例に関する調査を行い、その上で特許対象とすべきかの検討を行い、この調査の過程では現段階においては「治療のために同一人に戻すことを前提とした自家採取物を処理する方法」全体について特許対象とすべき必要性は見出されなかった。なお、こうした意見があることも踏まえ、先端医療分野における技術動向等を適切に把握し、フォローアップを行うこととしたとしております。
 次に、3−1、特許対象の見直しに係るご意見でございます。
 細胞や薬剤の用法・用量に特徴のある発明についてでございますけれども、(1)「細胞や薬剤の用法・用量に特徴のある発明」を「物」の発明として保護することに賛成であるというご意見で、製薬協を初め、幾つかの団体からいただいております。
 それから、(2)「細胞や薬剤の用法・用量に特徴のある発明」に係る今回の委員会の提言は、特許化により影響を受ける立場の者の意見が反映されず、新薬製造企業等、一部の業界意見のみを反映したものとなっている。
 この意見以下、(6)まではジェネリック関係の団体、そして会社の方からのご意見でございます。
 まず、(2)についての考え方でございます。
 本委員会は、産業界のみならず、医師・研究者、法学・経済学者、弁護士、弁理士、公益代表等幅広い分野の委員で構成されており、国民の生活や健康に直結するという医療の特質や公共の利益への十分な配慮等の点にも留意しつつ、諸外国における特許保護の動向も踏まえ、先端医療技術の発展を促進し、その成果を患者に届けるという観点から先端医療分野における特許保護の在り方について検討を行った。
 また、報告書の取りまとめを行うに当たっては、パブリックコメントの実施等を通じ、様々な関係者からの意見を聴取をした。
 次に、(3)でございます。
 専門家の予想を超える新用法・用量の医薬を特許対象とすると、医療のフリーアクセスや薬価等への負の影響があるので、特許対象とすべきでない。
 考え方については、本委員会においては、医療のフリーアクセス、薬価等への影響についても十分考慮して今回の結論に至ったところであるが、このような意見があることも踏まえ、今回の特許対象の見直しが医療に与える影響についても適切に把握し、フォローアップを行うとしております。
 (4)コンプライアンスや副作用・安全性の改善された改良品が発売された場合、改善前の従来品に与える影響が致命的であり、ジェネリック医薬品に致命的な影響を与えることになるので、専門家の予想を超える新用法・用量の医薬を特許対象とすべきでない。これは政府のジェネリック医薬品の使用促進策に反するものと。
 これについての考え方は、本委員会は、先端医療技術の発展を促進し、その成果を患者に届けるということを第一の目的として、国民の生活、健康に直結するという医療の特殊性や公共の利益への十分や配慮等の点にも留意しつつ、先端医療分野における特許保護の在り方について検討し、提言を行ったものであるとしてございます。
 (5)我が国においては、特許権の存続期間の延長制度において先発企業が過剰に保護されることや、薬事法における再審査期間等があることから、専門家の予想を超える新用法・用量の医薬を特許対象とすべきでない。
 考え方は、本委員会においては、先端医療分野における特許保護対象に関する検討を行った。特許権の存続期間の延長制度や薬事法における再審査期間等は、別途検討されるべき問題と考える。
 次に、(6)でございます。
 物理的存在として新規性のないものに独占権を付与すべきではないので、専門家の予想を超える新用法・用量の医薬を「物」の発明として保護することは適当ではない。
 考え方でございます。現行の規定においても、例えば用途発明の例に見られるように、発明の新規性を考える際には必ずしも物理的存在として新規であることを要していない。
 (7)でございます。
 改訂後の審査基準において、具体的な例示を含めた明確化をすべきである。これはバイオ協会からご意見をいただいております。
 考え方としては、意見も踏まえ、報告書21ページ、ウ、今後の在り方の部分を「具体的な事例を示しつつ」を加えまして、「審査基準を改訂すべき」としております。
 (8)でございます。
 改訂後の審査基準上の具体的な文言や判断方法等について明確な記載を行うべきとのご意見を弁理士会、あるいは製薬協からいただいております。
 考え方ですが、本委員会における提言を踏まえ、審査基準において具体的にどのように改訂するかについては、先端医療分野以外の一般の分野における取り扱いとの整合性などの特許制度におけるより専門的な検討が必要であることから、今後特許庁において詳細に検討が行われる予定であるとしております。
 次に3−2、特許対象の見直し、最終的な診断を補助するための人体のデータ収集方法の発明について、(1)でございます。
 こうした発明を特許対象とすることに賛成であるというご意見、これを製薬協、バイオ協会からいただいております。
 (2)でございます。
 「最終的な診断を補助するための人体のデータ収集方法の発明」について、「最終的」でない「中間的な診断」というものがあるとの疑義が生じるため、「最終的な」は削除すべきであるというご意見を弁理士会からいただいております。考え方について、現行審査基準において、例えば、最終的に指輪を作ることを目的としてその補助のために人間の指のサイズを計測する方法等は特許対象である一方、最終的に診断に使用されることを目的として、その補助のために人体のデータを収集する方法は特許対象外となっておりまして、人体のデータ収集方法についてはその最終的な目的によって扱いが異なっております。データの最終的な使用目的が診断であることを示しており、診断の態様等の相違によって特許対象とするか否かに差異を設けることを意図するものではないとしております。
 4番目、先端医療特許取得への支援についてでございます。
 大学や研究所等の権利取得についての経済的支援や一定の専門知識を有する弁理士の認定制度等についても検討すべきである。ご意見を知財協、バイオ協会からいただいております。
 考え方です。
 これらの支援策については、本委員会における検討課題に固有の問題ではないため個別具体的な支援策についての提言は行っておりませんが、必要に応じて、担当府省において検討されるべきものと考えているとしております。
 最後に5番目でございますが、その他の検討事項、機械・器具の使用方法に特徴のある発明についてでございます。こうした発明の保護の必要性に関して、将来における先端医療分野の発展に応じ、技術動向を踏まえつつ継続的に検討すべきであることを明記すべきということを弁理士会からいただいております。
 考え方ですが、このような意見があることも踏まえ、先端医療分野における技術動向等を踏まえて先端医療分野における特許保護の状況についてフォローアップを行うとしております。
 こうしたパブリックコメントのご意見、そして各委員からの追加のご意見などを踏まえまして、報告書、資料1の本体につきまして、修正を行っております。それ以外には「て、に、を、は」等、誤字脱字については適宜修正をしておりますけれども、主な内容にかかわるものについて、順次ご説明を申し上げたいと思います。
 3ページ目に目次がございます。その最後に先端医療特許検討委員会の本委員会の設置の趣旨、それから委員名簿、検討の経緯というのを37ページ以降添付をしてございます。
 それから、続きまして13ページ目をおめくりいただきます。
 細胞の特定の困難性がある発明に関する部分でございます。
 この現状と課題の4行目以降の部分でございますけれども、前回の委員会で羽生田委員のご指摘を踏まえまして、特許出願時には細胞を物理的特徴により特定することはできておらないわけですが、将来は特定し得るものであるということを明確化するために、「しかし」以下でございますけれども、「細胞を細胞マーカー等の物理的存在として特徴を示すことにより特定することが難しいなど、細胞組成物の中に実際に治療のために有効な細胞が存在することは分かっているものの、特許出願時には当該細胞を同定して既知の細胞と区別することが困難な場合がある」というふうに修文をいたしました。
 次に、17ページ目をお開きください。
 17ページ目の図10の下の表現ぶりの中で、「用法・用量を刷新することにより、患者の生活の質(QOL)を大幅に改善することや」、その後でございます。「副作用の発生を劇的に低減することがあり得る」としておりますけれども、これは「副作用を大きく軽減する」と以前なっておったわけでございますが、弁理士会からの意見で、「副作用を大きく軽減する」を21ページにございます今後の在り方、結論の部分でございますけれども、この表記とあわせまして、「副作用の発生を劇的に低減する」に修正をいたしました。
 続きまして、18ページ目をご覧ください。
 18ページ目の参考の投与間隔・投与量が重要な医薬の事例の部分でございますけれども、これは羽生田委員からのご指摘で、参考例の記載の医薬の事例、フォサマック錠等があるわけでございますが、これは審査基準の改訂により、直ちに特許取得ができるようになるわけではなくて、進歩性等の要件を当然満たさなければ特許取得できないという、そういう誤解を生じないように明確化をするという観点から、下に※印で3行、「上記のような医薬に係る発明に実際に特許が付与されるためには、産業上の利用可能性及び新規性の要件を満たすだけでは足りず、進歩性等の要件も満たす必要がある」と注記をしてございます。
 続きまして、21ページ目をご覧ください。
 21ページ目の結論の部分、ウの今後の在り方についてでございます。
 先ほどバイオインダストリー協会からの意見を踏まえて修正をしたということで、4行目に「具体的な事例を示しつつ、審査基準を改訂すべきである」と追加をしてございます。
 続きまして、23ページ目をご覧ください。
 23ページ目でございますけれども、この結論の部分の一つ上のハ)という部分で、世界医師会宣言が提起する問題という箇所でございますけれども、これにつきましては、世界医師会宣言の文言そのものに忠実な引用ということではないので、「においては」となっていたものを「従えば」と直しているということと、世界医師会宣言の正確な名称を「医療プロセス特許に関する世界医師会宣言」と正確な記載をしたという点でございます。
 それから、29ページ目をご覧ください。
 これは最終的な診断を補助するための人体のデータ収集方法の発明の部分でございます。原案では今後の在り方の結論の部分は、最初のパラグラフだけでございましたが、このように発明を新たに特許対象とする場合には、その前の新しい用法・用量による医薬の発明の結論の部分、21ページ目に今後の在り方がございますけれども、その第2パラグラフと同じように医師が通常行う工夫など、本来特許取得できない、そういった発明に特許が付与されることがないよう、慎重な審査が必要であるという趣旨で、その旨21ページと同様の加筆をいたしました。この点につきましては、厚生労働省とも相談をいたしまして、そのように修正をしました。
 続きまして、30ページ目をご覧ください。
 先端医療特許取得への支援、現状と課題という点でございます。その第2パラグラフ、「また」以下のところで、この部分、中内委員からのご指摘がございまして、先端医療特許取得の際には、特許出願のための費用などの資金面についても非常に現状としては問題になっているということを明確化すべきだというご意見がございました。「特に」以下でございます。「特に海外での適切な権利取得の手法に関する情報や権利取得のための資金が不足しており、海外においても十分かつ効果的な権利取得がなされていないことが懸念される」と、このように修正をいたしました。
 続きまして、32ページ目をお開きください。
 機械・器具の使用方法に特徴のある発明ということで、現状のところ2行目に「腹壁をつり上げて手術空間を作る方法」ということで、前回は「腹腔」という表現になっておりましたけれども、より正確な記載にするということ。また、図21の腹壁をつり上げて手術空間を作る方法の図につきましても、前回の図というのは若干古い技術だったということでしたので、その具体例を新しい技術内容のものに差しかえをしております。
 それから、35ページ目をご覧ください。
 結びの部分の最後でございます。
 第3番目のパラグラフのなお書きのところでございますけれども、その3行目、「一方」の次に羽生田委員のご指摘で医療に対する影響を把握することの趣旨を明確化するために、「特許制度が、患者の選択権や尊厳、医師の裁量、医療保険制度等に悪影響を及ぼさないようにすべきであり」と文言を入れてございます。
 次に一番最後のパラグラフでございますけれども、先ほどご説明しましたように、審査基準の内容が例えば司法の場で尊重されるよう普及等に努めるべきというご意見を踏まえまして、その3行目に「審査基準の改訂やその趣旨及び内容に関する関係各方面への周知」というような文言を追記してございます。
 本文の修正箇所につきましては、以上でございまして、最後に資料の3をご覧いただきたいと存じます。
 これは前回の委員会で本田委員から、今回の報告書の提言の内容について、新旧の対照をできるだけ分かりやすいものを用意したらどうかというご指摘がございました。
 現在の運用と新しい運用ということで、物につきましては、報告書の提言として組み合わせものの発明が特許対象であることを明確化すべきと、具体例はこの資料の2ページ以降に@からEということで、下の段に示したものをつけております。
 物の中では用途発明の部分につきましては、生体由来材料からなる製品の用途発明というのが特許対象であるということの明確化を図るべきということ、現在は特許対象になっていない、新たに特許対象とすべきという専門家の予測を超える効果を示す新しい用法・用量薬の部分、そして物の製造方法については、生体由来材料の生体外プロセスの発明等が特許対象であることを明確化すべきということになっております。
 それから、最終的な診断を補助するための人体のデータ収集方法につきましては、現在の運用では特許対象になっておりませんでしたが、今回新しく特許対象とすべきということでございます。
 手術、治療、診断方法につきましては、現在、そして新しい運用でも特許対象とすることは現時点では適当でないという形になってございます。
 以上でございます。
○金澤委員長 どうもありがとうございました。
 まとめて報告をしていただきました。
 事前にいただきましたが、パブリックコメントの意見を踏まえて修正を各箇所で行っているかと思います。また、本日ご欠席の先生方には事務局があらかじめご説明をしまして、ご了解をいただいていると聞いておりますが、私としてはこれがこの委員会での報告書の最終的な取りまとめをしたと理解しておりますけれども、その前に何か特段のご意見がございましたらいただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
 パブリックコメントに関しては、これはどういう形で返すんですか。
○内山事務局次長 パブリックコメントにつきましては、この資料5の主な意見とそれに対する考え方というものをホームページにアップロードして、それから、今回ご審議の結果、取りまとめられた報告書とあわせてご紹介をしていくということになるかと思います。
○金澤委員長 つまりこの委員会が終わった後、ご了解をいただいた後、アップロードするということですね。
○内山事務局次長 そのとおりです。
○金澤委員長 ありがとうございました。
 いかがでしょうか。
 大体ご説明は申し上げているかと思いますけれども、もしよろしいようでしたら、ご意見ないようでしたら、これをもって本委員会の報告書としたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 どうもありがとうございます。
 それでは、これを本報告書をもって後日知的財産戦略本部会合というのがございますが、それに提出、報告をさせていただく予定にしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 大変お忙しい先生方に何度もおいでいただきまして、約半年、大変熱心なご議論を頂戴いたしまして、どうもありがとうございました。皆さん方のお力添えがなければ、ここまで当然来なかったのでありまして、私にとっては非常に予想外のプログレスがあったように思うのですが、皆さん方、いかがなものでしょうか。
 6時までということで、何と30分で終わっちゃうので、最後でございますので、皆さん方からほんの一言ずつで結構ですが、ご意見を頂戴したらば、それで早目ですが、終わりにしたいと思っております。
 片倉委員からお願いします。
○片倉委員 医療機器のほうは、最終的な診断を補助するための人体のデータ収集方法、これは新たに特許対象としていただいて、今後の予定ですけれども、そこにかかわる工業会のほうにもその説明をしていただくことで今準備を進めています。
 それと、初めのほうにいろいろお話しさせていただきましたけれども、細胞を扱うとか、そういったことについて、今後具体的な審査基準というのをどういう形で出すか、そこで非常に分かりやすい中身にしていただければ、権利化するほうもより積極的に物が進むということを期待していきたいと思います。どうもありがとうございました。
○金澤委員長 どうもありがとうございました。
 それでは、北川委員、どうぞ。
○北川委員 実際に特許の申請という再生医療の特許の材料の申請を扱っている立場として、非常に勉強になる機会でありました。専門外の医療機器のデータの収集だとか、そういったところの考え方も非常によく理解できましたし、私にとっても非常に参考となる委員会でございました。
 冒頭、アメリカとヨーロッパとか日本の特許の考え方の違いをまとめたような表とかありまして、世界の国が一体どこがどういう考え方で進めているのかという勉強にもなった一方で、今回のように日本独自のというとあれですが、医療法、術式については認めないとか、明確な方向性が皆さんの意向が一致したというところは非常に成果であったかなと、海外に引きずられず、日本の国益のために特許制度をつくっていくべきというふうに改めて勉強をさせていただきました。ありがとうございました。
○金澤委員長 どうもありがとうございました。
 それでは、佐藤委員、どうぞ。
○佐藤委員 まず最初に、この委員会で新たな展開、発明の保護対象が広がったということに関して、この委員会で皆さんとともに努力してきた成果があったのではないかと思っております。そういう意味で、事務局の方のほうも非常に精力的に準備されたということで、敬意を表したいと思っています。
 我々弁理士として、特許を通じて新たな技術のインセンティブを高め、新しい技術を生み出していくということが我々の特許制度の在り方だというふうに思っております。そういう意味で、先端医療においても特許の保護を通じて新たな技術が生まれ、それが患者さんにとって、またお医者様にとっても価値のある世界がつくられるということを我々としては強く望んでいるところでございます。
 そういう意味で、今回はそれのための第一歩であるというふうに理解しておりまして、今回の報告書にもありますように、今後の技術の発展というのは我々が現在予想しているのとは全く違う展開も予想されるわけでございますので、そういう意味では改めてこの技術分野における保護対象の検討を今後とも継続的に進めるべきだと思っております。
 最後に、今回この議論をする中で、先端医療に関する現場に専門家が足りないというご指摘もいただきました。そういう意味では、我々日本弁理士会としてもこの点についてできるだけの対応ができるように、今委員会等で検討をしておりますので、できるだけ現場の先生方にお役に立てるように、今後とも努力していきたいと思っております。
 以上でございます。
○金澤委員長 どうもありがとうございました。
 白石委員、どうぞ。
○白石委員 医療という非常に国民の関心の高い分野で、医療と特許ということで、産業界の方々のご努力、それから産業を育成していきたいという政策の立場の方々、それから特許関連のさまざまなサービスというか、ご提供いただいている方々、非常にいろいろなご意見を伺うことができて、私自身とても勉強になりました。
 今までのご発言の中にもありましたが、日本ならでは、という日本の事情に合った制度をつくっていこうというその委員会の趣旨には非常に賛同いたします。
 それから、報告書の一番最後に継続性ということで、経済社会が動いていく中で、今後とも議論していこうということが示されたのは、非常に現実的な結論ではなかったかと思います。
 ありがとうございました。
○金澤委員長 どうもありがとうございました。
 では、須田先生、どうぞ。
○須田委員 非常に事務局及び委員長が要領よくまとめていただきまして、私自身も勉強になりました。また、用法・用量の特許に関するところが大きな成果だろうというふうに思います。大学の基礎、臨床、両方の研究者がこれによって知財ということについてのインセンティブもさらに上がるのではないかと思います。
 今日出てきましたパブリックコメントの中で、ジェネリック協会の方が社会全体への影響ということを書かれていますが、本当に新しいものを見いだしていくというお金のかかる開発と、どちらかといえば安い形で皆さんに普及できるようにしていく、これは何かせめぎ合いのようなことがあって、非常に難しい判断であろうなというふうに思います。
 僕自身余りジェネリック何とか協会というのがあるのを知らなくて、できればそういうふうに色分けされないで、大企業の開発とジェネリックとか、こういう両方がまざっているといいなと思うんですけれども、これは何か社会勉強させていただいたような気がします。
○金澤委員長 どうもありがとうございました。
 羽生田委員。
○羽生田委員 私も殆ど訳も分からずに委員会に出席をさせていただきましたものですから、特に初めのころにピント外れな質問やら意見を述べさせていただきまして、皆様方にも大変ご迷惑をおかけしたんじゃないかなというふうに思っております。
 我々とすれば、毎回のこの会議の状況、内容を役員会に持って帰りまして、その都度説明をしたんですけれども、理解してないものを説明するので、なかなか理解をさせるということ自体も難しかったわけですけれども、この中で今回新たにこの新用法・用量の点、それから人体のデータの収集、それから手術の治療、診断方法というこの3点が我々の役員会でも非常に問題があるのではないかという意見も多くありました。
 用法・用量についても、私のできる限りの説明をして、まあまあ納得もいただけたのかなというふうに思っておりますけれども、それからデータの収集についても同様に説明をし、100%の納得を得たとは思っておりませんけれども、方向性としては理解をいただいたのかなというふうに思っております。
 それから、最後の手術の治療方法、診断方法等につきましては、前回現在の運用のまま新運用としても認められなかったというところは、我々が一番心配するのは、患者さんへの影響、フリーアクセス、あるいは医師の裁量権等々に影響が出ないことを最初から私としては申し上げておりましたので、その点はここはよかったなということと。
 それから、報告書の最後にもありますように、あとのフォローは非常に大切であるというところも文言に書き加えていただきましたので、今後ともその点に十分留意をしながら進めていただければというふうに思います。
 それから、特許の範囲が少し広がるということはもちろんいいことでございますし、それに伴う研究等への国の助成ということもぜひ国として考えていただきたいということを最後にお願いして、ありがとうございました。
○金澤委員長 どうもありがとうございました。
 林さん、どうぞ。
○林委員 今回の検討会のテーマというのは、これまでにも何度か議論されてきたことかと思いますけれども、特に今回の議論では再生医療分野における米国特許の事例調査など、真摯な取り組みを事務局にしていただきまして、具体的に議論できたということが非常に役立ったのではないかと思いまして、事務局の皆様に敬意を表したいと思います。
 また、この問題は多方面の利益のバランスが前提となって、コンセンサスがあって初めて動く問題であると思っております。今後も特許権の保護の在り方とか、権利行使の在り方といった問題について、法律の実務家として私もフォローアップを続けていきたいと思っています。
 どうもありがとうございました。
○金澤委員長 どうもありがとうございました。
 本田委員、どうぞ。
○本田委員 どうも遅れてしまいまして申しわけありませんでした。
 私はこの先端医療分野の技術についても、特許についてのことについても、どちらも全くの素人、一般市民であり、一取材者、一患者でしかないので、この委員会に参加するということを私はいただいたときに、ちょっと無理であろうと思っていたんですけれども、今回最終的に最後まで係わらせていただいて、分からない部分は本当に丁寧に説明いただいたりとかして、本当にありがとうございました。
 今回、私の一番懸念を感じていたのは、ずっと発言でもさせていただいていたように、新用法・用量の医薬品の件なんですけれども、特に患者への負担、費用面の負担というものについて、どのように特許が影響を与えてしまうのか、そういうことについて懸念しておりましたけれども、一方で1人の患者として患者仲間を見ていると、もちろん新薬、治りたいというものと同時に、副作用の少ない普通の生活をしながら、病気を抱えながらも普通の生活をして社会にかかわっていきたいという患者の願いというのはとても強いものがあります。私もその1人です。
 そういう中で、そういう研究をもっと何で進まないのかという活動もしてきました。そういうふうな方向にこの特許の制度が役立つのであれば、さらに患者負担についても実際どうなるのかこれからのフォローをしていただかなきゃいけないと思うんですけれども、そういうことも考えながら進めていっていただけるというのであれば、応援していきたいと思うし、この点は一般の方にはなかなか私もそうだったんですけれども、なかなか理解ができない。どういう仕組みになっているのか。だから、この報告書を一般の方々が読んだときに、誤解をされるかもしれない。そういうことに対しても真摯に対応していただきたいと思いますし、理解をしていただく中で応援していけるような雰囲気をつくっていくのに、私もそうですけれども、皆さんのこれからのご助力もお願いしたいと思います。
 いずれにしても、先ほどさまざまな委員がおっしゃっていたように、報告書の最後にこれからのフォローアップをしていって、どういう影響を与えるのかを見ていくということで、ぜひそういうことも公開していただければなと思っています。
 最後まで参加させていただきまして、本当にありがとうございました。
○金澤委員長 どうもありがとうございました。
 では、最後に渡辺委員、どうぞ。
○渡辺委員 今回は用法・用量の許可ということで、特許対象を拡大するということがありまして、私どもにとってはこれまで困っていたことが解決できる方向が見えてきたということで、非常にありがたいことでありますし、それを実現するに当たって、委員会での様々な議論を含めまして、事務局のほうで実に分かりやすい形で整理していただいたことに大変感謝をしております。
 こういうふうに新用法・用量特許が認められるということでございますので、これまでに多くの議論にありましたように、それをもとに我々としては今後そういう特許を取得することで実際によい薬がたくさんできることによって、お医者さん、それから患者さんのためになるということを肝に銘じてどんどんやっていきたいと思っております。
 それから、今回一つの課題として挙げられておりましたのがiPS細胞を初めとする再生医療にどう取り組むのか、その研究開発インセンティブを保つために特許法としてどう対応すべきかというのは、非常に大きな焦点であり、ここに関しては非常に興味を持って参加していたわけですけれども、今の時点ではまだ必ずしも「方法」に関して新たな特許対象の拡大の必要性はなかったのかもしれないんですが、先ほど来ありますようにこの分野での技術の進歩というのは、かなり激しいものがありますので、こうしたことが今後必要になってくるという事態になりましたらば、また真摯に検討をするということを切にお願いするところであります。
 以上でございます。
○金澤委員長 どうもありがとうございました。
 私もちょっと感想を述べさせていただきたいのですが、実はお引き受けしたときは本当に素人みたいなものでありまして、内容もよく分からなかったのでありますけれども、大変事務局の方々によく説明をしてもらって、少しは理解できてきたと思っています。そういう意味で、本当に感謝をしていますが、その中で先ほど渡辺さんも言われたし、羽生田先生もおっしゃったのですが、新用量・用法医薬の特許が認められたということは、全体として見ると非常に大事なプロセス、プログレスなんだろうと思いますが、私は一つ懸念しておりましたのは、こうやったけれども、結局何も出てこないなんてことがあってはならないのであって、ぜひこの効果があったということを実際の例をもって示していただきたいというのが実はお願いでありまして、これはフォローアップという言葉で盛んに言われていたことだと思っておりますが、心から期待をしています。
 それと、今までのと言っちゃいけませんけれども、今までの報告書を見てもよく分からなかったのですけれども、この報告書を見るとプロセスにかかわっていたということもあるんでしょうが、非常に分かりやすくなっているんですね。これは大変ありがたいことで、省庁から出ていく資料というのはこうあるべきじゃないかと、具体例を出しながら、今後もこうあってほしいと思っています。
 一つだけ心残りなのは、これを言うと特許庁の方々に申しわけないんだけれども、間違っていたらごめんなさいね。結局、自分が扱われるものに対して、1人の方が責任を持たれるみたいになっているんですね。これが本当に今後もいいのかどうかというのは、これは検討すべきじゃないのかなという気がしています。もちろんこんなことをここの委員会で議論すべき筋合いではないのですが、1人の人間が最終的に責任を持つというのが本当にいいのかどうかというのは、大変難しい問題を含んでいると思うんですね。
 これは特許だけではありませんが、いろいろなものが民間の場合に必ずそれが問題になるわけですね。どこに責任があるんだというようなことを問題になるときに、本当に1人だけというのはある意味では望ましいけれども、ある意味では大変に難しい問題を生む面があると思うんですね。これは非常に難しい問題をいただいたと思って、ほかの場面でもこれから少し考えてみたいと思っているところです。ちょっと場違いなお話をしたかもしれませんが、薬の薬物の許可という意味でも、今までは個人が責任を持っているのではないわけでありますが、そういうことを含めて、認可というのは一体どういう形であるべきなのかというのをいろいろ考えさせていただいた委員会でありました。
 これだけいらっしゃる皆さん方からこんな委員会には来なきゃよかったなんていうご意見をいただかなかっただけでも大変ありがたく思います。どうも皆さん方ありがとうございました。これをもって終わりにしたいと思いますけれども、最後に事務局から一言。
○素川事務局長 事務局よりお礼を申し上げたいと思います。
 委員の先生方におかれましては、昨年の11月から非常に短い期間でございましたけれども、このような難しいテーマにつきまして、集中的にご熱心にご審議いただきまして、取りまとめをしていただきました。感謝申し上げたいと思います。
 この報告書の取り扱いにつきましては、この検討委員会の設置の根拠規定にありますように、競争力強化専門調査会の会長の承認を経て、これ自体が専門調査会の報告書という扱いになるわけでございます。また、その内容につきましては、現在取りまとめております推進計画2009に盛り込んでいくということになるわけでございます。
 改めまして、委員の先生方のご尽力に感謝を申し上げまして、事務局よりお礼のごあいさつとさせていただきます。どうもありがとうございました。
○金澤委員長 どうもありがとうございました。
 それでは、これをもって第8回目になりますが、本委員会を終わりたいと思いますし、この委員会自身も終わりということにさせていただきます。
 どうもご協力ありがとうございました。