知財紛争処理タスクフォース 議事要旨(第1回)
【日 時】 | 平成27年2月20日(金)10:00〜12:00
| 【場 所】 | 中央合同庁舎4号館12階1214特別会議室
| 【出 席 者】 | 相澤座長、荒井委員、飯村委員、奥山委員、上柳委員、杉村委員、高倉委員、長澤委員、宮川委員
| 【事 務 局】 | 横尾局長、増田次長、作花次長、田川参事官、北村参事官
| 【関係府省】 | 法務省、特許庁
| 【オブザーバー】 | 最高裁判所
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タスクフォースの運営を定め、事務局より「知財紛争処理に関する有識者の発言まとめ(資料3)」等について説明した後、飯村委員及び高倉委員よりそれぞれ資料5及び資料6に沿って説明がなされた。その後、委員等の間で意見交換を実施。主な意見は以下のとおり。
- 諸国と比べ日本では相対的に訴訟が少ない。使われないということには、制度とユーザーとの間にギャップがあるのではないか。
- 米国では、ITCも含めて、効果的に侵害を抑えることが実現できている。
- 特許権は「無効になることが多い」という印象が世間では非常に強い。最近改善されているかもしれないが、3割でもあるのは問題である。特許でしっかり守れないと特許権を使ったオープン&クローズ戦略の絵が描けず、経営者が特許に依存した経営をしようという意識になっていらない。イノベーション促進と同時に、企業が特許に依存した経営戦略を立てていく上で、特許の安定性は非常に重要である。
- 特許制度が産業の発展に寄与するためには、産業の成熟度合・競争力・海外の状況を加味しながら進歩性のハードルの高さ等を常時微調整することが大事なポイントであり、司法ではなく行政がリーダーシップをとりながら、適切に迅速に舵取りすべき課題である。
- 強い権利行使ができるようにすべきであるが、技術レベルの低い発明に特許権を与えるべきではない。
- パテントトロール問題を心配するあまり、何も対処しないというのは違うのではないか。
- 裁判所は侵害論を、特許庁は有効無効論を中心に審理するようにすべきである。このため、特許法104条の3を廃止するか、「明らか」無効に限定するか、特許の有効性推定規定を導入すべきである。
- 無効な特許権による権利行使は避けるべきであるから、特許法第104条の3の廃止には反対である。
- 進歩性のレベルを下げたり、有効性の推定規定を導入したりしても、全体のバランスがすぐに崩れることにはならず、公平との評価が高い裁判所でバランスを取ってもらえるのではないか。
- 事業の方向性に沿いつつ、無効理由が回避できる強い権利が得られるように、訂正・補正制度を根本的に見直すべきである。
- 日本の損害賠償額は低すぎる。賠償額が訴訟費用に見合ったものでなければ、裁判を起こす意味がないということになる。勝訴判決でも損害賠償額が弁護士費用より少ないと想定される判決もあり、勝訴率は、もっと低いと捉えられる。中小企業は、訴訟を起こしてもほとんど勝てないという認識がある。損害賠償に関する改正をしなければならない。
- 寄与率の立証責任を被疑侵害者に負担させれば、権利者に有利に働き、損害賠償額が上がるのではないか。
- 証拠収集手続については、ドイツのように、裁判所が命令して独立した専門官が査察するという証拠保全制度も検討すべきである。また、特許法第102条(損害の額の推定等)、第105条(書類の提出等)の積極的かつ柔軟な運用も検討すべきである。
- より良い知財制度を提言するためには、きちんとしたファクトデータで議論すべき。数字は独り歩きする。また、同じ数字でも人により見解が異なることにも留意すべきである。
最後に、横尾局長から、制度のバランス点をどこに持っていくかが重要、とのコメントがなされた。
以 上
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