検証・評価・企画委員会(第7回)概要



日 時:平成26年4月11日(金)14:30〜16:30

場 所:中央合同庁舎4号館 1208特別会議室

出席者:
【委 員】 井上委員、角川委員、川上委員、木田委員、喜連川委員、久夛良木委員、
斉藤正明委員、迫本委員、重村委員、瀬尾委員、竹宮委員、中村座長、
野口委員、宮川委員、飯田代理人
  
【各 省】 文化庁    長官官房著作権課   森課長
文化庁    長官官房政策課    平林課長
経済産業省 文化情報関連産業課 佐合課長
総務省    情報通信作品振興課 湯本課長
  
【参考人】 一般社団法人日本レコード協会 重村副会長
  
【政務】 山本知的財産戦略担当大臣
   
【事務局】 内山局長、山根次長、作花次長、畑野参事官、田口参事官、北村参事官、
林企画官、吉岡補佐

  1. 開会
  2. 議事
    (1)知的財産政策ビジョンの検証について
     @音楽産業の国際展開に関するタスクフォースの報告
     Aアーカイブに関するタスクフォースの報告
     Bデジタルネットワークに対応した環境整備
  3. 意見交換
  4. 閉会


○中村座長 只今より、知的財産戦略本部第7回「検証・評価・企画委員会」を開催いたします。お集まりをいただきまして、どうもありがとうございます。
  本日は、議事が3つあります。2つのタスクフォース、音楽産業の国際展開に関するタスクフォースとアーカイブに関するタスクフォースの検討内容、そして、デジタルネットワークに対応した環境整備に関する文化庁における取り組み状況について報告をいただきまして、その後、議論ということにいたします。よろしくどうぞお願いいたします。
  本日は、大ア委員、奥山委員、齋藤茂委員、日覺委員、長谷川委員、松本委員、山田委員、山本委員が御欠席で、奥山委員の代理として中村合同特許法律事務所の飯田様に御出席をいただいております。
  また、参考人として、音楽産業の国際展開に関するタスクフォース議長の重村様にもお越しをいただいております。
  では、早速ですけれども、山本大臣に御挨拶をお願いいたします。

○山本大臣 本日は、御多忙のところ、お集まりいただきまして厚く御礼申し上げます。
  コンテンツの分野については、年明け以降、アーカイブと音楽産業の国際展開の2つのタスクフォースを立ち上げて、集中的に議論を進めてまいりました。
  これらのタスクフォースには、私自身も参加をさせていただいて、積極的な議論をしてきたところですが、本日の委員会においては、その結果を御報告いただくとともに、今後、6月にも予定している「知財推進計画2014」の取りまとめに向けた御議論をいただきたいと思っております。
  また、現在、安倍内閣としての成長戦略のアップデートの作業が行われておりまして、我々知財本部としてもその取り組み内容を我が国の成長戦略へしっかり繋げていく観点から、現場のニーズや外国勢の動きを詳細に把握した上で、より施策を深掘りしていきたいと考えております。
  特にコンテンツ分野は、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けた我が国からの発信において、その中核をなすものだと考えておりまして、これから6年の間の具体的なプランを考えていく必要があると思っております。
  我が国におけるコンテンツの創造、そして海外への発信からインバウンドへと繋がるようなシステム作りについて、知財本部のイニシアチブの下、関係者間で具体的な取り組みを進めていくことが重要だと考えています。
  先ほど申し上げたとおり、こうしたタスクフォース等々の議論は、「知財推進計画2014」に反映させていくということなのですが、音楽産業のタスクフォースも含めて、担当大臣である私の強い意向で立ち上げたものもありまして、それについては、皆様の議論をただ「知財推進計画2014」に反映させるというだけではなくて、タスクフォース自体の提言をまとめていただいて、それを担当大臣の私の方から、例えば大臣記者会見で発信するとか、関係各省の大臣に直接つなぐという仕組みができないかということを、今、事務局と相談をしております。
  知財でいうと職務発明制度については、私の下に懇談会をつくりまして、大規模なアンケートを実施したということで、職務発明制度の法案の審議が、特許庁長官がダイナミックな人だったという幸運もあったのですけれども、これはかなり早めることができました。
  これからどんな作業が行われるかというと、各タスクフォースで議論されたことを整理して、内閣官房として、どの役所に割り振っていけばいいのかを決めることになると思いますから、そういう観点からいくと、アーカイブもそうですし、音楽の国際展開の話も、その過程で私の方からタスクフォースの提言として発表し、その提言を直接、関係各省につなぐという新しいルートも知財戦略本部として考えておりますので、皆様の議論をあらゆる形で反映できるように、私も全力で後押しをさせていただきたいと思います。
  そういう観点で、是非本日も闊達な御議論をいただければと思います。

○中村座長 ありがとうございました。
  では、議論に移りたいと思います。
  まず、事務局から配付資料の確認をお願いします。

○田口参事官 配付資料につきましては、議事次第の下のほうに書いてございます。本日の配付資料、資料1−1〜資料3まで、参考資料でございます。
  不足しているものがあるようでしたら、お近くの事務局員までお伝えください。
  以上でございます。

○中村座長 では、最初の議題です。「音楽産業の国際展開に関するタスクフォースの報告」についての議論です。
  この議題については、先ほど大臣からお話もありましたように、タスクフォースを設置しまして3月から議論を進めてきましたので、その検討結果を報告をいただきます。
  まず、そのタスクフォースの議長である重村様から説明をいただければと思います。

○重村議長 お時間をいただき、ありがとうございます。私は、日本レコード協会副会長の重村です。
  今回、音楽産業の国際展開に関するタスクフォースの議長として取りまとめをいたしましたので、議論の概要を御報告申し上げます。
  資料1−1をご覧ください。
  メンバーは、ご覧のとおり、レコード業界、プロダクション、音楽出版社、コンサートプロモーター等の音楽業界を代表する方々、また、中村座長と法曹界から龍村弁護士にも御参加いただきました。加えて、オブザーバーとして5つの関係省庁、6つの公的支援機関、広告代理店等にも御参加いただいております。
  コンテンツの海外展開促進に向けて、これまで業界の取り組みも進展し、また、政府の支援策も種々講じていただいているところでございますが、今後、官民一体で取り組みをさらに前進させ、支援策を効果的に実施していくに当たっては、現場でどういったことが起きているのか、業界の取り組みがどこまで進み、何が不足しているのか、ライバルである欧米や韓国勢はどう動いているのかなどについて、現場の視点から検証し、きめの細かい対策を考えていくことが重要であるとの目的意識で御議論いただきました。
  4回の短い会合ではありましたが、実際に海外展開に取り組む企業、メディアとの連携やネット配信等に関する有識者からのお話もいただき、アウトバウンドとインバウンドの両面について網羅的な議論をすることができました。
  今回、音楽産業を対象に議論することになったわけですが、音楽産業は海外展開の潜在力が高く、業界での取り組みも熟しつつある一方で、国内ではCD販売や配信売上が低迷し、将来にわたって業界の収益を継続的に確保していくためには、より一層の国際展開を進め、外需を積極的に取り込んでいくことが急務となっております。
  他のコンテンツ分野でも同様の対策が求められており、音楽産業に関する検証の結果は、他の分野でも参考になるかと思われます。これを契機に、世界市場で影響力を高めているアニメやゲームなど、我が国の各コンテンツが連携して、より一層の国際展開につながることを期待しております。
  タスクフォースで議論した内容については、2ページ目を御参照ください。
  キーワードとなったのは、「点」の取組を「線」や「面」に繋げていくことです。海外でのコンサート・イベント開催数は着実に増加しており、日本の音楽は既に海外で浸透しつつあるものの、いずれも点での取り組みであって、継続的なコアファンの獲得につながっているとは言えません。イベント同士を連動させると同時に、放送番組やネットメディアなども活用して、面的にファン層を取り込む必要があります。
  また、最終的にはコンテンツの輸出を通じて海外での日本ブランドを向上させ、それによって製造業やサービス業など、他の産業の輸出拡大につなげるという立体的な取り組みに進めていくことが大きな方向性として議論いただいたところであります。
  その上で、ファンとの接触率をいかに拡大するか、ネット配信への対応、現地での権利保護の強化、欧米や韓国などの海外勢の動向や各国のニーズの調査等に対応していく上で、業界全体、政府や支援機関とのより強固な連携が必要となってきます。
  今回のタスクフォースでは、各委員の皆様から、幾つもの具体的なプロジェクトの提案をいただきました。山本大臣も自らプレゼンをしていただき、東京五輪に向けたアーティストの育成など、御提案をいただいております。委員の皆様から提案いただいた内容は、海外でのイベントや販売、情報発信のための拠点の構築、アーティストやマネージャーなどの人材の育成、総合的なデータベースの整備、海外の権利管理団体の能力向上、インバウンド促進のためのエンタメの集積地の構築など、今後、業界が中心となり、政府や支援機関とともに密接に協力しながら、できるものから速やかに実現できるよう、動いていく予定です。
  このタスクフォースの機会を通じて、業界の代表者が一堂に会して国際展開について正面から議論できたほか、この報告書を業界内の様々な関係者に知っていただき、音楽業界全体で国際展開に向けた気運が高まることを期待しております。
  また、他の業界の皆様にも知っていただき、業界同士の連携を進め、東京五輪に向けて日本のブランドを最大限に高めていくことも重要だと考えております。引き続き皆様の御支援をいただけますよう、よろしくお願い申し上げます。
  私からの報告は以上です。報告書の詳細については、事務局より御説明をいただきたいと思います。よろしくお願いします。

○中村座長 ありがとうございました。
  では、事務局からお願いいたします。

○吉岡補佐 音楽タスクフォースの報告書につきまして、配布資料の1−2を御参照いただければと思います。まず、資料の4ページ目に目次がございますが、全体の構成としては、第1章でコンテンツ産業全般の海外展開促進に向けた政府や業界の取り組みの状況、第2章として今回モデルケースとして検討した音楽産業の現状についてまとめております。第3章は、先程もお話がありました、インバウンドとアウトバウンドの各対応策につきまして、最後に第4章として、政府と業界で取り組むべき課題や今後のフォローアップの流れについて記載しております。
  内容ですが、まず5ページ目、コンテンツの海外展開の状況につきまして、下の表のとおり、日本のアニメ、ドラマ、映画等について、アジア市場では欧米、韓国に次いで一定の人気があり、これは図の色の濃い部分ですが、よく見るアニメ、漫画は各国のものの中で日本はどれぐらいの位置にあるのか、を示しております。日本は、一定の人気はあるものの、各コンテンツの輸出額で見ますと、ここ数年はまだ低迷しているというのが現状です。
  6ページ目、これを受けて政府としても様々な策を講じております。昨年のJ-LOPの助成制度や、クールジャパン機構、BEAJの設立等が開始されており、その他、人材育成、海賊版対策、その他ツールは揃ったところではありますが、こうした支援策をより効果的に動かすために、改めて海外でのファン層をどう形成していけばいいのか、日本企業が海外で直面するビジネスリスクは具体的には何かといった問題について、実際に海外の現場でビジネスに関わられている方からも御意見をいただいて、タスクフォースで御議論いただきました。
  次に8ページ目になりますが、ここからは音楽産業の現状についてまとめております。真ん中の表にもありますとおり、CD等のパッケージの売り上げが減少傾向にある上に、昨年はネット配信の売り上げ自体も減少している状況です。日本の音楽の幅の広さ、また層の厚さというのは、国際的にも強みであるとの御指摘もいただきましたが、こういったものを維持して、継続的に新しいソフトを作りアーティストが輩出される好環境を作っていくためには、国内の産業基盤をしっかりと作っておく必要があります。そのためにも、積極的に外需を取り込んでいくことが不可欠であるということであると思います。
  次のページになりますが、音楽の中での一つの大きな流れとして、従来のパッケージに加えてコンサートの売上が非常に大きくなっております。昨年のデータでは、チケット売上ですが、2,300億円の売り上げが出ている中で、楽曲の販売だけではなくてコンサートやファンミーティング等を総合的に組み合わせていく必要があります。そのためにも、今回もタスクフォースで皆様にご参集いただきましたように、レコード会社やプロダクション、コンサートプロモーター、音楽出版社等の業界が一体となって海外展開に取り組んでいくことが重要であるかと思います。
  加えまして10ページ目、これはレコード協会の推計でいただいておりますものですが、レコードやコンサート、音響機器までも含めれば、音楽産業全体の市場規模は約3兆円あると推計されており、製造業やサービス業とも連携して、共に発展できる海外展開戦略を作っていく必要があります。
  続いて11ページですが、ここから第3章として、インバウンド、アウトバウンドの具体的な対策について御議論いただいた内容を記しております。
  音楽の海外展開の現状と対応策について、まず、アウトバウンドの課題ですが、ワールドツアーを実施しているアーティストの事例や、12ページ目に記載しております、昨年ジャカルタでレコード協会等が開催されたJ Music Labというプロモーション・イベントやTIMMなど、こういった取り組みはなされている訳ですが、いずれも点になってしまっており、これをどう線として繋げ面にしていくかが大きな課題となっております。例えば、御指摘いただいた話として、コンサートを開く場合でも、何人来るかわからないではなかなか開きにくいので、現地で安定的にファンを動員できる下地を作っておくことと、或いは現地の信頼できるプロモーターやディストリビューター等との関係を作っておくこと、そういった取り組みが必要であるといった御指摘をいただいたところです。
  続いて13ページ目になりますが、先ほど重村議長からもお話がありましたとおり、現地のユーザーとの接触率をいかに高めるかという点として、まず第1に、日本の音楽で海外に展開している大きな推進力になっているのが、アニメとかドラマの主題歌で入っていくというパターン、あるいは米国の楽曲が世界各地で流れた一つのきっかけとしてMTVといった音楽番組を通じて海外展開をしていくという例がございます。こういった形でテレビ番組等と連携していくことは非常に重要ではありますが、一方で課題となっておりますのは、14ページ目に記載されているとおり、権利処理の問題をどう解決していくか、特に原盤権の処理を円滑化するために、既に総務省を中心にホワイトリストの作成やWGが開始されておりますが、番組制作時に早期に権利確定をしていくことや、或いは海外展開に積極的なレコード会社やプロダクション等が主導する形で、日本の放送局或いは海外現地の放送局等とのタイアップを進めることでモデルケースを多数作っていくことも重要である、といった御指摘をいただいております。
  次に15ページ目ですが、アウトバウンドの2つ目の対策として、海外の現地市場がどうなっているか、また韓国勢或いは欧米勢がどう動いているかにつきまして、情報収集が必要となっております。今回ご指摘いただいたことですが、現地の状況やビジネスのベストプラクティスといったことが、業界の中ではなかなか共有をされない、これは互いにライバル関係にある企業同士ということもあるのかもしれませんが、現地の状況を知らない企業は殆ど全く知らないという状況でもあることもわかりました。こういった基礎的な情報をさらに収集し、共有していくことも重要かなと思っております。またタスクフォースの会合では、実際に現場で取り組まれている方から、アジア市場ではこれまで韓国勢が断然強かったわけですが、最近はパターン化して若干飽きられ始めてきており、むしろ日本の音楽にチャンスができているという話もあったところです。
  続きまして18ページ目になりますが、第3の対応策として、現地の拠点作りについて、いかに現地でファンを増やし、CDやグッズも販売してコンサートに人を集めるかにつき、既に日本国内ではこういった取り組みをするに当たって、新譜の販売前のプロモーションとかファンミーティングあるいはインストアライブなど、色々な複合的な取り組みでまずはライトファンを取り込んだ上で、コアファンにして育てていく、そういった形で業界の継続的な収益に繋げるというビジネスモデルが国内では既にあるわけですが、海外ではまだそういった取り組みは確立されていないということが、今までの点の取り組みが点で終わってしまっていた原因ではないかという御指摘もありました。そうした意味で、海外においても現地に腰を据えてファン層を掘り起こして、音楽と他のコンテンツと様々なものを連携させて取り組みを進めていく、そのための拠点づくりが必要ではないかという御指摘をいただいたところです。
  19ページ目、第4の課題として、これは海外にグッズ等を販売する際の通関手続とか、実際はマレーシアとかインドネシアといったイスラム圏については宗教上の規制、例えば、CDのジャケットの写真の事前チェックとか、或いは一部のTシャツ等には関税がかかっているという御指摘もありまして、こうした点につきましても政府と業界で連携して取り組む必要があるかと思います。
  20ページ目になりますが、これももう一つの大きな課題としまして、総合的なデータベースの構築についてです。先程の現地の拠点作りと関連してきますけれども、ファンを押さえていく上で、新譜情報やコンサート情報をファンの動きに合わせて正確に情報提供していく必要がります。また、音楽の世界でネット配信のプラットフォームとしてSpotify等が動いておりますが、これもファンの嗜好に合わせていろいろなイベント情報を提供しております。21ページ目になりますが、今回ネット配信につきましても有識者の方をお招きして議論をいただきました。こうしたSpotifyやYou Tube等のプラットフォームの大きな流れが、世界中のユーザー取り込んでいる中で、日本の音楽が脱落しないようにするということ、また日本の音楽についての正確な情報を英語でリアルタイムで提供していく必要性についても御指摘いただいたところです。こういったプラットフォームに対抗する上でも、データベースの構築や業界内の連携が必要になってくると思われます。
  データベースにつきましては、22ページ目、現在既に音楽関係のデータベースは種々作られているところではありますが、今回のタスクフォースでは新たに日本音楽制作者連盟からも具体的な提案をいただき、これをベースにしながら、今後、実務的に調整を進めていくという予定になっております。
  続いて22ページ目の第6の課題として、海外での権利保護の強化があります。海賊版対策に加えて、もう一つの大きな課題として海外の集中権利管理団体の能力を育成することで、進出企業のビジネスリスクを下げていくことが極めて重要と考えられます。海賊版対策につきましても、各企業で削除要請等を行う際の金銭的あるいは人的な負担が非常に大きい中で、今回は23ページ目、24ページ目に御紹介させていただいておりますけれども、例えば、音楽でいえばレコード協会で一括した削除要請対応を行っているということで、業界の中で連携して取り組む方法は、他の業界でも有効になるのではないかと思われます。また、今回ご指摘いただきましたが、海外で配信されている違法コンテンツの多くが日本の国内にいるファンが知らずに流しているものということで、国内での普及啓発にも改めて取り組んでいく必要があるかと考えられます。
  24ページ目、アウトバウンドのもう一つの大きなポイントとして、今まで点、線、面での取り組んできたものを、さらに他の業種とも連携して立体的な取組にしていく必要性がある旨も御指摘いただいたところです。製造業やサービス業と組むことで、例えば25ページ目に図として入れておりますけれども、観光や食文化など、日本ブランドを高めることで様々な産業への波及効果をもたらしていくといった点も重要かと思われます。
  25ページ目からインバウンドの課題になりますが、こういった形で海外にファン層を広げたものをいかに日本への訪問に繋げるか、或いは既に海外から日本に来る観光客が1,000万人を超えている中で、この来訪客をいかに日本のコンテンツのファンとして取り込んでいくかという視点から御議論いただいております。先程のデータベース等の情報を海外でも提供していくこと、またチケット販売のオンライン決済やムスリム向けのハラール対応等、様々なご提案をいただいたところです。特にインバウンドについては、26ページにもありますとおり、2020年の東京オリンピックに向けて照準を合わせることが非常に重要です。例えば、オリンピックに向けて競技場等の改修が予定されているところですが、その間のコンサート会場をどう確保するか、また海外から訪問客を呼び込むために文化発信やエンターテインメントの集積地をつくっていく必要があるのではないか、これは音楽の業界を超えて様々な連携をしていかなければならない、等の御提案をいただいたところです。
  最後に27ページ目、人材育成につきまして、海外市場に向けて、アーティストをどう育成していくか、また合わせてマネージャー、コーディネーターやエンジニア等、幅広い人材が海外展開に必要になってくるわけです。よく御指摘いただくのはまず英語力を上げていくということですが、それ以外にも現地の文化についての知識や人脈を作っていく能力、コンテンツの知識等、様々な能力が求められている中で、大学や専門機関との連携を図っていく、或いはその業界内の人材流動化を図っていく必要があり、その中に政府も支援を検討していく必要があるといった御提案をいただきました。
  最後になりますが29ページ目と30ページ目、先程御説明した中にも幾つか記載されておりますが、今後政府と業界で取り組むべき課題として一覧でまとめております。まずは業界間での連携により具体的な提案プロジェクトを早急に詰めて実現していくということ、それと並行して、政府や今回オブザーバーとして参加された支援機関も加わって進めていく必要があるかと思います。その他、政府の施策として、具体的には海外でのプロモーション支援の拡充や、在外公館・ JETRO海外事務所等でサポートをしていくこと、またビジット・ジャパンとの連携、若手アーティスト育成のための登竜門の機会を作っていくことなど、こういったものについて御提案をいただいておりまして、引き続き関係省庁と具体案を詰めていきたいと考えております。
  32ページ目に末尾として記載しておりますが、今回の音楽産業についての分析や検討結果はモデルケースとしての議論であって、より幅広く他のコンテンツ分野でも検討していくと同時に、各コンテンツの間、あるいは製造業やサービス業との連携を深めていくことが重要である旨記載されているところです。引き続き皆様方の御意見をいただきながら、実現に向けて進めていきたいと思っております。私からは以上です。

○中村座長 ありがとうございました。
  では、この議題につきまして、委員の皆様から御意見、コメントをいただければと思います。御意見のある方は挙手をお願いします。いかがでしょうか。
  川上委員から、どうぞ。

○川上委員 この報告書の中で、このメンバーの関係もあると思うのですけれども、ネットについての記述というのが余りありませんでしたので、それについて私の意見を言わせていただきます。
  まず、8ページのほうに「音楽ソフト生産額・ネット配信売上額の概況」というものがありますけれども、これを見るとわかりますように、パッケージソフトも下がっているのですけれども、ネット配信の売り上げも下がっているのです。
  これに対する説明としては「スマートフォンの急速な普及等を背景としたエンタテイメントの多様化の中で、音楽産業全体がファンの維持に苦慮している構図を示している」と非常に抽象的な表現をされていますけれども、これは単純に、ガラケーからスマートフォンに移ったときに、ガラケーの場合はiモードという日本側のプラットフォームがネット配信のマーケットを支配していたのですけれども、それがスマートフォンのアップルのアイチューンズのマーケットに行く過程で、日本のコンテンツ産業の取り分が減ったという話なのです。
  だから、簡単にいうとiモードの時代はコンテンツはもうかっていたのだけれども、これがスマートフォンになるともうからなくなった。これはすごく有名というか、すごく明白な事実なのですけれども、どうも世の中では余り発信されて理解されていない事実でして、私はここはちゃんと受けとめる必要があると思います。
  やはりネット配信の部分においては、プラットフォームを押さえるということが非常に重要で、簡単に言うと、日本はこの間プラットフォーム競争に負けたのでネット配信のマーケットが減ったというのが実情だと思うのです。今後のネット配信のマーケットの拡大において、多分一番大きな問題なので、そこは明確にしたほうがいいのではないかと思います。
  それと、現状アップルのマーケットになってしまったのはしようがないとして、やはりアップルなどのマーケットというのは、世界中で同じように配信できるというプラスのメリットもあるわけです。
  では、海外にも同時に日本から発信できるようなマーケットを通じて、どういうようにプロモーションをしていくのかという議論を、本当は考える必要があるのではないのかと思います。
  これは実際のプロフェッショナルのコンテンツではないのですけれども、例えば、ニコニコ動画の中には、普通に海外でも人気のあるユーザーがいるのですけれども、人気がある日本の素人と、人気がない日本の素人とどこに違いがあるのかというと、一番大きい理由は、個人が海外のネットメディアを利用して情報発信をしているかどうかなのですね。
  例えば、中国ではウェイボーというツイッターみたいなソフトがあるのですけれども、そのウェイボーとかフェイスブックを使ってプロモーションをしている日本のアマチュアは、海外のユーチューブとかでも人気になるのですね。
  そういう構図があって、つまり、ソーシャルネットワークですとか、ネットメディアを使って海外プロモーションをするというのは、実際にプロではなくてアマチュアの音楽の世界でも有効な方法としてあるのです。多分そういったことも議論されていいのではないのかというのが、一応ネット側から見た意見です。
  以上です。

○中村座長 どうぞ。

○山本大臣 今、川上委員が仰ったネット配信低下の理由については、これまで余り議論としては出ていなかったので、これはもう一度きちんと整理をしたいと思います。スマホやiTunesに移行した時、プラットフォーム化の部分で負けたから売上も低下したという話も、よく知らなかったのですが、改めて検証が必要かと思います。
  それから、海外のプロモーションをもっとネットを通じてやらなければいけないということで、川上会長ならではの、ニコニコ動画ならではの発想だと思うのですが、私も聞いた話として、ツイッターが買収したヴァインという6秒の動画サービスがあって、これはただ鼻歌を歌うとかギターを弾いて歌うとか、そういうアーティストがたった6秒のコンテンツを投稿しているのですが、この間ある夫婦が送り続けていたらメジャーレーベルからデビューするという話もあり、そういう時代の流れも考えながら、川上委員の仰ったSNSを使ったプロモーション、確かタスクフォースでもMTVのケースについて検証があったと思うのですけれども、こうした話も検証し深掘りしていくべきかなと思います。
  また、音楽のタスクフォースの方は、今までなかなか一緒に集まる機会も少なかった方々が全員集まっていただきました。それぞれ業界の中でも違うビジネスモデルを追及しているということで、CD販売を主力にしていく考え方と、ライブ中心に収益を上げていく、そこにどうやってネットを絡めていくかという感じだったのですけれども、これは重村議長のリードで初めて一堂に会したということで、非常に意味があると思っています。先程事務方からも説明がありましたが、韓流の動き一つについても、ちゃんとした分析というのは無く、徹底的に情報収集をするという枠組を作るべきで、これに予算もつけるべきだという話をしたのですが、その中でベストプラクティスを共有するということもやらなくてはいけないし、アーティストの育成など、徹底的なマーケット調査をやって、どうすればいいのかというのは考えなければいけない。例えば、今も続いていると思いますが、経産省の資金で国際プロデューサーを育成する制度があって、そういうものもちゃんとフォローしたほうがいいのかなと思っています。一つお願いしたいのですけれども、この音楽産業のタスクフォースは、一応、2014年の計画に向けて役目を終えるのですけれども、是非そのまま、重村議長や中村座長にもお願いをさせていただいて、しばらく議論をやっていただけないかなと思っています。この会議室でなくても、例えば大臣室に来ていただくとか、それでちょっと何とかやらせていただけないか。もちろん報告書を2014年の計画に生かすことも大事なのですが、タスクフォースとしての提言をまとめてフォローをしていく過程で、引き続きお知恵をお借りしたいと思っています。例えば、2020年のオリンピックに向けてアーティストを育てるといっても、どういった形で、例えば実証実験やパイロットプロジェクトを作るのが良いのか、どういう財政的な裏付けをしていけば良いのか、そういうところもこれからフォローさせていただきたいので、事務局にもお願いしているのですが、ぜひ夏に向けて御議論いただければと思っています。中村座長は、あの少年ナイフをプロデュースした伝説的な人物と伺っておりまして、そういうベストプラクティスもまだお聞きしたいので、ぜひこうした議論を続けさせていただければ、ということを担当大臣として一言だけ陳情させていただきたいと思います。

○中村座長 ありがとうございました。
  今、大臣からお話がありましたように、タスクフォースの機能を何らかの形で継続ということと、我々のこの場としては、そのようなところから上がってきたものを知財計画にまとめていくというミッションがありますので、引き続き、議論をいただければと思います。
  ほかにいかがでしょうか。どうぞ。

○角川委員 この報告書もすごくよくまとまっているのですけれども、不満なのは、コンテンツの流通、音楽の流通がどうなっているかということが書かれていない気がするのです。状況証拠とかは書かれているのですけれども、流通にふれていない。
  私は根源的には、レコード業界の最大の機会損失をしたというのは、全国にレコード店がなくなってしまったということだと思うのですね。特にクラシックについては、ほとんどクラシックの音楽を扱っているレコード店が地方の都市にありません。
  報告書では、ネット配信に取って代わられたからCDが売れなくなったということで説明されてしまうのですけれども、やはり私は基本的にはレコード店を残すという努力を業界はしていなかったということを、それは業界にはいろいろな言い分があるのでしょうけれども、指摘したいのです。
  それで、これは常識的なことですけれども、CDが1枚売れれば、アーティスト、作詞、作曲家に100円入るとしますと、アイチューンズストアは10円と言われているのです。先ほど指摘があったSpotifyというところは、1円と言われているのですね。
  ですから、パッケージが売れればアーティストが非常に収入があるのだけれども、ネット配信の1曲当たりは、アイチューンズストアのときには10円だけれども、月額課金のSpotifyの場合には1円という、幾ら曲が聞かれても収入が得られない。だから、ライブをやるのだという構造があるのだと思うのです。
  ですから、私はCDみたいなパッケージの流通を、今後どうしたらいいのかという問題意識があります。今さら遅いのだという悲観的な話もありますけれども、リアルのレコード店というものはどう考えたらいいのかということが一つある。今度は、グーグルやアイチューンズストアというのも、結局デジタルの流通なのだと思うのです。デジタルディストリビューションなのです。
  そういうデジタルの流通が、また海外勢にとられてしまっていることに懸念があると思うのです。ですから、私は今、川上委員が仰ったことは、ニコニコ動画というものがデジタルの流通の一翼を担っているということなのだと思うのです。
  川上委員の前で言うのもあれですけれども、ニコニコ動画が流通の一翼を担っているとすれば、日本も日本独自のネットの流通をつくることだと思うのです。そのことを意識して、それがニコニコ動画を支援することもあるのかもしれませんし、別の仕方もあるかもしれませんけれども、日本のデジタル流通をどういうふうに考えるかということを、一つ問題意識で持ってもらいたいなと思うのです。
  そのデジタル流通の基盤を国が支援するということであれば、きっといい循環が生まれてくると思います。
  海外でタイの人に話を聞いたのですけれども、かつてはユーチューブが海賊版の巣窟でしたけれども、今はアイチューンズストアが海賊版の巣窟なのですね。タイでもアイチューンズストアで日本のアニメ音楽がすごく売れているのだけれども、全部違法音楽なのです。それを取り締まることが大事なのではなくて、今、取り締まりを幾らしても、これは追いかけっこになっていて、それよりも日本の正規な事業者が海外に行って事業をすることが大事だと思うのです。
  自分がみずから事業をすれば、おのずから海賊版は減っていきます。自分が出て行くこと、レコード業界の人にも、自信を持って、勇気を持って海外に出て行ってもらいたいなと、これについてもいろいろな意見があるでしょうけれども、私自身は個人的にはそう思います。

○中村座長 斉藤委員、お願いします。

○斉藤委員 幾つかお話しいただいたのですけれども、まず、配信については、少しミスリードをしているように思います。過去の数字はいわゆるガラケーと呼ばれていた携帯電話の配信で、販売単価も今のスマートフォンの価格より倍ぐらいするものなので、確かにマーケット全体の金額は下がってきていますが、マーケットのボリュームサイズでいえばそんなには前年を割っておりません。
  また、ここ1、2年、新しいサービスがどんどんスタートしています。今まさに端境期だと思っております。海外だけではなくて、角川さんがお話しになった、レコチョクという日本のレコード会社でつくっているプラットフォームもありますし、ソニーミュージックさんがおやりになっているサービスなど幾つかあります。レコチョクのサービスなどは市場の半分近くのシェアを持っていますので、こういったものを十分に使って育てていければと思っています。
  今は、全国にレコード店が少なくなったというお話は、確かに御指摘のとおりで、大体、レコード店法人の上位10社で市場の8割という状況です。やはりかつて商店街などにあったレコード店はなくなってきているのは事実です。これは必ずしも配信の影響だけではなく、やはり大ヒット商品がなかなか出にくいことに起因していると思います。かつては大ヒット商品、マルチミリオンというものがどんどん出た時代は、小さなお店でもやっていけたのです。
  しかし、マルチミリオンが出なくなってくると、利益がなかなか出なくなるということで廃業する、これはレコード協会としても大変重大な問題だと思っていますし、レコード店を支援する施策も取り組まなければいけないテーマと認識しています。
  最後にもう一つですが、これまでやはり日本のマーケットサイズは非常に大きかったので、海外に行かなくても完結したのです。韓国は逆に自国マーケットがほとんど壊滅状態ですから、海外に行くことが必然だったわけです。
  だんだん日本のマーケットもシュリンクしてきており、海外における展開は重要な課題になったという認識です。今までの国内のものを海外に、というよりは初めから海外を意識する。今後はツアーなども日本のツアーの延長で海外へ行くということではなくて、ベストタイミングで海外に行くということを積極的に考えていかないと、海外展開は成功しないという認識でやっていくべきだと思っております。

○中村座長 ありがとうございます。
  ほかにございますでしょうか。
  では、重村委員、お願いします。

○重村委員 放送業界のほうから、ちょっとお話しをさせていただきます。
  この中で、例えば、韓流ブームというのは1990年代からと書いてあるのですけれども、私はこれはちょっと間違っていると思うのです。実際に韓流ブームが起きたきっかけは、実は日本だと思うのです。それは何かというと、日韓ワールドカップなのです。
  すなわち、2002年に日韓ワールドカップがあって、放送局の編成をやっていた立場からいうと、それまでなかなか韓国の素材というのは日本に受け入れられなかったのです。ところが、W杯を日韓で一緒にやって、いわゆる「テーハミング」みたいなことを日本人が言うという状況のときに、2003年に「冬ソナ」が出てきたのです。そこが契機となって2004年から日本における韓流人気が一気に上がっているのです。
  「売り手の論理」だけではなくて、「受け入れ側」のニーズ、環境というのを我々もきちんとつかんでいかなければいけないと思っているのです。その意味で、放送は非常に重要な要素でありまして、先ほどのお話の中でいうと、例えば、今、日本の音楽がアジアで苦戦していると言いながらも、アニソンは強いのです。今、アニソンはどんどん伸びてきています。
  これは何かといったら、日本のアニメがアジアで強いからです。したがって、そのアニソンの主題歌みたいなものは受けているのです。これは実をいうと、日本のアニメコンテンツだけでアジア16カ国で商売している放送局「アニマックス」があるからです。これはソニーがやっているのですが、ところが、この「アニマックスアジア」というのは日本ではなくシンガポールの会社なのです。
  実際にコンテンツは全部日本がつくりながらも、ロスにあるSPE本社がリスクテークしてアジアでやっていったということなのです。
  そういう問題を考えていったときに、例えば、音楽に関しても、情報として音楽が入っていくケースと放送番組とリンクして入ってくるケース、これを見ていただくとよくわかるはずです。
  年代は日本の歌はたくさん入っているのです。これは残念なことに海賊版が多かったのだけれども、日本のドラマはやたらアジアに出ていたのです。だから、主題歌も出ていったという問題がある。
  もう一つ、先ほどのお話の中で非常に私は重要だと思うのですが、今回、我々としてはBEAJという放送コンテンツの海外展開をやっているわけですが、そこの中でアジアを回って一番感じることはどういうことかというと、彼らは日本の情報を欲しがっているのです。いわゆる音楽であるとか、ファッションであるとか、観光であるとか、いろいろな情報を欲しがっているのですが、彼らの世界もいわゆる放送局でいうGRPビジネス、視聴率の積み重ねなのです。
  どういうことかというと、今、アジアの放送局というのは、大体各国とも60年代後半〜70年代の日本だと思っていただければよくて、その時期の日本の放送局を考えてもらうと、当時は『ベン・ケーシー』だとか「刑事コロンボ」とかという、いわゆるハリウッドものをやっていたときに、日本オリジナルの放送番組をつくっていこうという気運が盛り上がった時期だったのです。この時期に彼らはいるのです。
  そうすると、その時期に日本のコンテンツを持っていって、放送番組でも日本向けにつくられたものをそのまま受け入れてくれと言っても無理なのです。ただ、日本の音楽や情報は欲しいのです。そういう状況の中で彼らが言っているのは、放送枠はあけます。
  例えば、、TBSで放送している『王様のブランチ』みたいな番組がある。ああいう番組の中にできる限り日本の音楽情報であるとか、ファッション情報であるとか、グルメ情報とかというのは欲しいと言っているわけなのです。
  すなわち、向こう側の主体性を尊重しながら、相互交流の精神で日本側がそれに協力していく。そこの中に音楽情報みたいなものをどんどん入れていくという、相互交流という観点に立って、フレキシブルな製作をやっていかなければいけない。
  これは実をいうと、供給する日本の放送局の側からいうともうからないわけですけれども、そういうことに対して、サポートするような形を国がやるという形になれば、日本の情報がたくさん出ている放送枠というのはアジアにふえてくるのです。そのときに、必ず音楽などの情報も入っていく。
  そういう広い視野でもって物事を考えていかないと、多分、日本の音楽をどうやって向こうにはやらせるかというためには、そのための下地づくりみたいなことで、プロモーションとしての放送ということが重要だということをお考えいただきたいと、私としては思います。

○中村座長 どうぞ。

○迫本委員 このタスクフォースの報告書を拝見しまして、非常にきちんとできているなと思って、我々映画業界、演劇業界でも参考になるところがあったら、これから勉強していきたいと思って非常に感心したのですけれども、1点だけ、こういうことを進めるに当たって、やはり我々は国と民間との線引きというものをどういうふうに考えるかということだけは、常に考えていかなければいけないのではないかと思っています。
  大ざっぱに言うと、いつも申し上げているのですけれども、マーケットメカニズムが働くところは基本的には民間がやり、国はその基盤整備をしていく。そこに対して、民間がやるべきところを国に民間が頼ることがあってはいけないし、逆に国がやってもいい形が出るとは限らないということ。
  そういう意味では、ここに書いたことはみんな基盤整備にかかわることですから、積極的にやっていっていただけたらなと思うのですけれども、例えば、海外に通用するアーティストの育成というのは、これは基本的には民間が国に頼らずにやるべきことだと思っています。
  海外の例を見てみたとしても、やはり海外に通用するかどうかというのは、海外における国のお客様、マーケットが判断をするのであって、それに向けて日本側がどんどん発信していけるように、先ほど川上さんが言われたような配信の基盤整備とかいろいろなことがあると思います。接触をふやすだとか、重村さんの話もちょっとそれに関係していましたけれども、そういうことをきちんと国がやって、どんどん日本の人たちが海外に向けて発信できる形にしていくというふうにしないと、韓国でいうならば、そういうのは非常に日本を初め、ASEANに向けてもやっているわけですけれども、冬ソナを別に育てようと思って国がやったわけではなくて、そういう基盤の中からああいうものが出てきた。
  インドネシアでも、タイでも韓国のコンテンツは非常にはやっていますけれども、このコンテンツ、この人を育てようとしてやっているわけではなくて、そういうことをできるような流れをつくるというところに国が傾注したというところが、成功の原因だったと思いますので、そこのところだけは気をつけながらいかなくてはいけないのではないかなと思います。
  以上です。

○中村座長 ありがとうございます。
  では、瀬尾委員と野口委員までにしたいと思います。瀬尾委員、お願いします。

○瀬尾委員 この中で幾つか出ています、ジャパコンという海外への情報発信のポータルサイトをやっている上で幾つか気づいたことがあるので、ちょっとつけ加えさせていただきます。
  今、アジアが市場としてはなかなかお金にならないということがあって、日本は市場として非常に充実して完結している。これが海外へ展開できない結構大きな理由であるということは前から言われていたのですが、実は、今、実際にアジアのいろいろな情報とか現地を見たときに、非常に急激な伸びを見ているマーケットだと言えると思います。
  つまり、今はもうかっていないけれども、今後これは非常に大きく成長する国がある。アジアと一くくりでくくってしまうのではなくて、非常に大きく伸びている国と、それが緩やかな国とが非常に分かれてきていると感じます。
  ですので、きちんとターゲットを絞って、海外の市場が形成されているようなところには早くそこに根づくような施策をしていくという、アジアという一くくりにしないようなこと。
  それともう一つは、これからマーケットとしては非常に大きなマーケットになるという可能性を見きわめていくことが重要だと思います。それに比しまして、日本のマーケットというものがそういう伸び率で伸びていくというのは、オリンピックがございますので、一つの需要はあるでしょうけれども、やはり長期的に見たときに日本も国内から国外の比率がふえていかざるを得ないとなったら、きちんとアジアのマーケット調査をしていくことで、十分に大きなマーケットを獲得できるのではないかなというのが、まず一つございます。
  もう一つは、先ほどのアイチューンズの話でもそうなのですけれども、実は、日本のコンテンツが売れても日本の企業がもうからないという基本的な問題があります。つまり、現地法人なり何なり、日本のコンテンツを売る海外の会社が日本のコンテンツをたくさん売る。そうすると、結局は日本の収入にならない。日本に税金が落ちない。そういう状況が幾つか出てきています。
  これを基本的に改善するために、日本の企業がコンテンツを売って収益を得られるような、例えば、税的な側面なり何なりを考えた上で、ちゃんと日本で企業がもうけましょう、日本のコンテンツをもっともうけましょうという環境を、単なる発展的なものだけではなくて、いわゆる税制を含めた企業のインセンティブが働くようなことをしないと、なかなか出ていけないのではないかなと思います。情報を発信していく中で、非常にアジアは可能性があります。また、アジアだけではなくてヨーロッパにしても、クールジャパンに言われる日本の文化というものは非常に商品価値が高いと思っておりますので、そういう環境整備ということをしていけば、可能性は非常に高いのではないかなと考えます。
  以上です。

○中村座長 野口委員、お願いします。

○野口委員 先ほど川上委員からも御指摘があったのですけれども、日本のコンテンツを海外に出していくという意味においては、やはりインターネットと、 ライブなりパッケージなりをどのように相乗効果を持たせながら出していくかという視点が不可欠だと思っています。そういう意味では、昔から日本のプラットフォームがなぜ伸びないのか、よりインターネットフレンドリーなビジネス展開ができるような環境整備が必要なのではないかなど、従来色々議論されてきたこととの相関関係がやはりあるのではないかなと思っております。その点をこの報告書で書くべきかということは別として、そういう視点が、例えば「知財計画2014」を見る中では重要な視点としてあるのではないかと思いました。
  以上です。

○中村座長 ありがとうございました。
  どうぞ、久夛良木さん。

○久夛良木委員 ネット配信について、一つ新しい動きがあるということを皆さんに御紹介したいのですが、オールドメディアという言い方はちょっとおかしいのですが、ラジオのネット化も進行中で、日本ではもちろん「ラジコ」があるのですが、海外で「チューンイン」というサービスが既に立ち上がっていて、ここでは世界中の放送が聞けるわけです。いろいろな国のコンテンツを世界中に届けることができている。これが、今、物すごい勢いで伸びていて、実際に立ち上がったのは、2010年にセコイアキャピタルから出資を受けてから。2012年にはグーグルの追加出資も受け、世界10万ものラジオ番組を、230カ国のユーザーが視聴している。
  日本からもNHKさんがここにラジオ番組を配信されているのですが、音楽を聴くというエクスペリエンスの一つとして、若い人たちはスマホで聞いているケースが非常に多いのですが、今までのようなパッケージを購入してとか、もしくはアイチューンズのように1曲1曲ダウンロードしてという形でもなく、最近ではこのようなネットラジオをデイリーに聞いている中で、誰かが聞いている曲を「いいね!」するとか、もしくは友人にその曲を紹介することでパーソナルキュレーションするような形で友達と音楽を楽しんでいる。
  これは著作権法上とか、いろいろあるかもしれませんが、若者はここに飛びついている。こういう流れがある中で、先ほど川上委員が仰られましたように、ネットで、今、起こっている新しい流れについて、ここの委員会ではあまり触れられていないので、そういう新しい流れも起きていることも書き添えておいてほしいなと思います。

○中村座長 ありがとうございました。
  きょうはあと2つ議事がありますので、ひとまずこれはこのあたりで打ちどめとさせていただいて、次の議題に進みたいと思います。
  続いて「アーカイブに関するタスクフォースの報告」についてです。
  この議題は、タスクフォースを設置して2月から議論を進めてまいりました、その結果の報告と、その後、議論をいただければと思いますけれども、このアーカイブのタスクフォースは、私が議長を兼ねて取りまとめましたので、その概要を私のほうから報告をしたいと思います。
  資料2−1をご覧いただければと思います。
  メンバーは、資料の真ん中にありますように、アーカイブに関する実務で知見をお持ちの方々を中心にお集まりをいただきまして、事情に詳しい方々も参考人としてお集まりをいただいて、幅広い分野のアーカイブについて議論をいただきました。
  この委員会のメンバーからも井上委員、瀬尾委員にも御参加をいただきましたし、山本大臣も毎回御出席をいただいて、かなり熱い議論を続けてまいりました。
  検討の背景としては、ヨーロッパのヨーロピアーナを初め、諸外国でもデジタルアーカイブに関する取り組みというものが進んでいます。これまで我が国の政府でもアーカイブに関する検討あるいは取り組みというのはあったわけですけれども、重点はどちらかというとアーカイブをつくる、構築というところにありました。
  今回、それに加えてアーカイブの利活用による社会貢献の明確化、そして、先ほども基盤という話がありましたけれども、社会基盤としての役割を意識した取り組みの強化が不可欠だということを考えました。
  このアーカイブ分野はさまざまな分野がありますが、分野別に取り組み状況は異なっておりまして、分野によっては資料の散逸とか劣化、あるいは滅失といった問題が刻々と進んでいて、取り組みが喫緊の課題になっているというものがあります。映画フィルム・ゲームなどの分野などの対応も求められているということでございました。
  こうした中で、知的財産の創造、保護、活用、あるいは日本ブランドの構築についてどのようにアーカイブが貢献すべきかといった、知財政策としてのアーカイブ政策、個別のアーカイブの状況も精査しながら検討を進めてきました。
  検討は2月の末から1カ月少しの間で4回行いましたけれども、1回目と2回目で文化財、出版物、映画のフィルム、放送番組等のアーカイブの利活用、そして取り組むべき施策について議論を行いました。
  第3回の会合では、メディア芸術関連のアーカイブについての議論、あるいは孤児著作物関連、裁定制度の見直し等について議論をしたということで、最後の第4回で報告をまとめたという流れでございます。
  この報告の内容ですけれども、2ページ目をご覧いただけますでしょうか。各アーカイブの現状と課題を整理した結果、出てきた問題意識が上のほうの枠に示した「基本的な考え方」にあるものです。
  公的アーカイブに対する社会インフラとしての期待、あるいは、情報が届きやすく、見つけやすく、利活用がしやすくということが必要であるということ、戦略的な利活用の活性化の必要性、アーカイブの各機関の体制強化といったことであります。
  そうした考え方に基づきまして、施策を大きく2つに分けて議論をしました。1つは、左側の「取り組むべき施策」の青枠の下にあります、オレンジの枠の上のほう、利活用の促進という観点、もう一つは下のほう、今後のアーカイブの整備・拡充というアーカイブ構築の観点です。
  まず、利活用の促進のためには、情報がきちんと利用者に届く、見つけられるということが必要で、そのための施策という点。また、その届いた情報が単なる閲覧にとどまらずに、さらに二次的に利用されやすくなって、新たな創作へ結びついていく、そのためにどうしたらいいかということで整理しています。
  今後のアーカイブの整備・拡充という観点からは、アーカイブ機関における体制の充実、人材の育成、さらには基盤技術の開発といった施策が挙げられました。
  大臣からもわかりやすくまとめよという指示もありまして、柱を立てて、外向けにもわかりやすく説明していくのがよいかと思っておりますけれども、タスクフォースとしては、こうした一連の取り組みを通じて各アーカイブが連携をして情報発信を行っていく。それで、一番下の枠にありますように、アーカイブの戦略的活用によって好循環を生み出すことが重要だということを提言しました。
  特に優先してアーカイブの利活用を活性化すべき分野としては、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けた日本文化の海外発信、教育の情報化の本格化に向けて教育利用、この2点を挙げました。
  五輪というアウトバウンド、教育インフラというインバウンドのためのインフラとしてアーカイブを位置づける。いずれも2020年がターゲットとなります。アーカイブも2020年に向けてどう拡充していくかということになります。
  今、好循環と少し申し上げましたけれども、3ページをご覧ください。さまざまなアーカイブの連携をしていく。それを実現する、分野横断的な検索システムなどを通じて、図の上のほうにいる利用者が興味・関心に沿ったアーカイブを使って、これで教育における利活用ですとか、日本文化の海外発信が促進されるということで、ブランド向上等の効果が生まれる。ニーズがまた下のアーカイブ機関等にフィードバックされるということで、好循環になればよいなと。
  私自身は、長い伝統と豊かな文化を持つ我が国が、アーカイブに本格的に取り組むということによって、世界の文化の多様性あるいは多元性に貢献することになると思いますし、これはいわば文化大国としての我が国の責務ではないかと思いまして、そういったことも報告書に書かせていただきました。
  私個人としては、日本が総合的な施策を講じていけば、世界一のデジタルアーカイブ大国になれるのではないかと考えておりますので、今後とも皆様のお力添えを賜りますように、お願いをする次第でございます。
  私からの報告は、以上でございます。
  続いて、報告の内容について、事務局から説明をお願いします。

○田口参事官 只今中村座長からアーカイブに関するタスクフォースの検討結果について御報告がありましたが、報告書の構成等について、事務局から補足説明をさせていただきます。
  資料2−2をごらんください。
  表紙をめくっていただきますと、目次にあるように、報告書は全体で5章で構成されております。第T章では「はじめに」として、検討の背景や本タスクフォースにおける検討の観点を記述しております。
  本タスクフォースでは、知財ビジョンで示されたアーカイブに係る課題のうち、デジタルアーカイブ化の一層の進展や連携、その海外発信を含めた利活用について、検討を進めたものでございます。
  第U章でございますが「アーカイブの現状と課題」について整理を行っております。
  本タスクフォースにおいては、アーカイブの現状と課題について、委員の皆様からの報告や、アーカイブ機関等からのヒアリングを実施しました。そのヒアリング結果等をまとめたのが第U章でございます。
  各アーカイブの状況を比較しやすくするために、4ページの図1にあるように、アーカイブのデジタル化の取り組みについて整理をしております。このアーカイブの整備の段階を念頭に置きつつ、それぞれの分野における、例えば、文化財であれば国立博物館、美術館、出版物等であれば国立国会図書館等の取り組みについて整理をし、その結果を12ページの表にまとめてあります。
  また、13ページでは、各分野に共通するような課題、問題意識につきまして整理をしていますが、公的アーカイブに関する社会インフラとしての期待、情報が届きやすく(見つけやすく)、利活用をしやすくすることが必要であること、戦略的利活用の活性化の必要性、また、アーカイブの着実な整備等を取りまとめています。
  13ページにおけるこの問題意識に基づき、アーカイブの利活用の促進についての施策の方向性の提言をいただいているのが、第V章です。アーカイブの整備・拡充については、第W章で取り組むべき施策について御提言をいただいています。
  第V章は14ページからですが、アーカイブの利活用促進のためには、まず、情報が利用者にきちんと届くこと、見つけられることが必要で、そのための施策という点について。もう一つが、届いた情報が単なる閲覧にとどまらず、さらに二次的に利用されやすく、それが新たな創作等に結びつきやすくするための施策という観点から、幾つかの施策の提言をいただいているところです。
  具体的には、@として利用者のニーズに応えるような情報をきちんと充実していくこと。
  Aとして、利用しようとするアーカイブについて知識がないと、情報が見つけられない
  という状況でございますが、その状況を改善するアーカイブ横断的検索システムの開発・性能向上ということ。
  Bで、利活用方法のサポート情報も含めた利活用の目的別のポータルサイトの構築。
  Cとして、アーカイブの利用をサポートする人材の養成などの御提言をいただいています。
  なお、先ほど申し上げた横断的検索システムについては、現在、国立情報学研究所の高野先生が開発した「想IMAGINE」というシステムがございますが、このようなシステムのさらなる発展や、また、新たな開発等が必要だと考えております。
  また、目的別ポータルサイトに関しましては、NHKが教育利用について積極的な取り組みをしているところでございますが、そのような取り組みを広げていくことの重要性の提言をいただいております。
  一方、二次的な利用をしやすくするための取り組みとしては、16ページのところになりますが、各機関における相談または権利処理の窓口の整備、Aとして利活用に係る契約の円滑化に関する取り組み、さらに次ページになりますが、利活用モデルの開発ということについて御提言をいただいております。
  また、今回の提言においては、利活用を通じたアーカイブの充実のための好循環を形成していくことが重要な目的の一つでございますが、17ページの「2.アーカイブの戦略的活用」の箇所では、限られた予算を有効に使うという観点から、当面、優先すべき利活用の分野として2つの分野、海外に向けた情報発信と教育における利活用のさらなる発展という指摘をいただいています。
  19ページからは第W章でございますが、今後のアーカイブの構築・拡充に向けた施策について提言をいただいておりますが、その内容としては、アーカイブ機関における予算や人員の確保などの体制の強化ということが一つ。
  そして、アーカイブを担う人材の育成、アーカイブシステムを支える基盤技術の開発。特に、長期、安定的に保存する記録媒体等に係る技術の開発といったこと。また、アーカイブ構築・充実に係る孤児著作物問題を初めとした著作権制度の見直しという、基盤の整備に係る提言をいただいています。
  また、このほかメディア芸術の分野における取り組みとして、ビネガーシンドロームなどの喫緊の課題を有する映画フィルムの保存に関する取り組みの強化、また、ゲーム分野における施策の新たな展開について提言をいただいています。
  23ページからの第X章の「最後に」のところでは、力強く取り組むことが期待されているものとして、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けた海外発信の強化ということと、利活用の展開を起点として好循環をつくることを、再度、確認的に御提言いただいているところでございます。
  非常に簡単ではございますが、事務局からの説明は以上でございます。

○中村座長 ありがとうございました。
  では、本件について委員の皆様から御意見をいただければと思います。いかがでしょうか。

○川上委員 この報告書なのですけれども、資料としても私も非常に勉強になると思っていまして、現状と今後の課題について、今できることについて、ほぼ全て網羅されていると思っているのですけれども、この報告書の範囲外であることについて一言コメントさせていただきたいのですが、これはパッケージコンテンツに関するアーカイブなのですね。
  というより、アーカイブというのは、恐らくパッケージコンテンツしかアーカイブできないのだと思うのですけれども、一つアーカイブできないコンテンツというものが失われつつある。実際にそれは言ったところで、多分保存する方法というものはないのですけれども、ネット時代にはそういうことが起こっていることは御認識いただきたいなと思います。
  というのは、例えばインターネットのコンテンツそのものというのは、パッケージ化されていないので消えるのです。例えば、iモードの全盛時代というのは、書籍とか音楽でミリオンセラーという言葉がありますけれども、100万本以上売れたソフト、そういうもので、例えば、100万人の有料会員があるサイトというのは、大体携帯の時代にも何十サイトもあったのですけれども、そのサイトが今どうなっているのかというのは、何の記録も残っていないのですね。
  例えば、現在進行形のお話でいいますと、ソーシャルゲームというものがこの数年人気ですけれども、パズル&ドラゴンズというものが、今、非常にはやっていますが、多分10年後、それがどういうソフトだったのかというのは、多分、何も残らない可能性が高い。
  既に初期にはやったソーシャルゲームというのもそうなのですね。インターネットがはやる時代というのは、昔はアーカイブできるコンテンツしかありませんでしたから、アーカイブが可能だったのですけれども、インターネット時代にみんなが使っているようなコンテンツというのは、今後アーカイブができない可能性が高い。
  それが今後の技術の発展で、まとめてアーカイブするような方法が、ひょっとしたら、今後、開発されるかもしれませんけれども、現時点とある程度未来においては、保存ができないコンテンツというものがあるという現状の認識は必要なのではないかなと思っています。
  以上です。

○中村座長 ありがとうございます。非常に重要な論点だと思います。
  野口委員、どうぞ。

○野口委員 私は、このアーカイブについてはこの委員会の初めから非常に期待をして拝見をしておりましたので、このようにタスクフォースが取り上げられて、集中的に御議論いただいたことは非常にすばらしいことだなと思って拝見をしております。
  報告書も非常に網羅的にまとめていただいていると思います。ただ、やはり、プライオリティーの面では、限られた予算の中でやりたいことがたくさんあるときに、やはり制度を変えることでその後の施策がやりやすくなるようなことを、まず、優先して進めていかないといけないのではないかと思います。そういう意味で、私はこの委員会の最初からこの点を申し上げていて、しつこくて申し訳ないのですけれども、一番最後の21ページに挙げられている孤児著作物について、権利処理をできるだけ効率的に行うことが大切だと思います。この点を達成しない限り、アーカイブの数が充実していくこともないですし、失われつつある映画の保存を結局リスクをとってやらないといけないということになってしまいますし、仮にちゃんと法律を守ってやろうと思うと、非常に高コストになる。
  これらの問題が、法律が変わることで低コストになれば、その分、効率化され節約できた予算をほかのところへ回すこともできるようになるわけですので、とても重要だと思います。現在の制度ですと、17ページにも指摘がされていますとおり、二次利用をしようと思うと、また改めて裁定を取り直さないといけない、という意味で、非常に非効率的な制度になっている。そこを根本的に見直さない限り、期待をされているようなアーカイブの本格的な発展は難しいのではないかと思います。
  そういう意味で、文化庁から後ほど御発表もあると思うのですけれども、文化庁でなされている議論についても非常に興味を持って拝見をしております。昨年の11月の委員会では、国立国会図書館を初めとして、関係者のヒアリングもされていらっしゃるようで、私は議事録も拝見をしたのですけれども、やはり非常に大きく取り上げられていることの一つが、相当な権利者捜索のための努力という点で、その点については非常に具体的な検討が進んでいるということで大変すばらしいなと思っています。しかし、経済的に非常に大きな影響のある論点として、補償金の問題があると思うのですけれども、その補償金についての議論が余り本格的に取り組まれていない点は、多少、心配だなと思って拝見をしております。実際に、ヒアリング対象となった国立国会図書館などの意見を拝見しても、権利者が見つかったとしても、その補償金を供託手続きを通じて請求をするコストが非常に高くて、結局、権利者が見つかった場合にも保証金を請求された方が誰もいないという話も出ていましたので、結局、権利者のためになっていないというか、権利者に還元されていないような補償金をずっと要求し続けることにどれ位の合理的な意味があるのかという点について、ぜひ今後突っ込んだ検討をしていただきたいと思っております。
  あと一つ、教育という観点は非常に重要だと思っていまして、特にインターネットやタブレットなどのデジタル技術を使った教育というのは、各国で非常に注目を浴びている分野なのですけれども、これもまた、自由な教育のあり方を設計しようと思うと、非常に著作権がネックになっているというのが、教育分野では語られていることだと思います。インターネット関連技術を使ってよりよい教育のあり方を試みるというときに、単に教室にタブレットを持っていって使うというだけではなくて、その後自宅にタブレットを持って帰っての予習・復習をしたり、遠隔地での教育にそういうタブレットやインターネットを使うことが、むしろ諸外国では当然のことになってきつつある中で、今の日本の著作権法の例外規定は、あくまでも教室の中や、教室と同時配信での利用に対してだけしか著作権の例外規定ではカバーされていないという限界があるわけです。
  やはり、その制限がある限り、日本のデジタル教育というのは根本的に進めることは非常に難しくて、教育関係者の方から意見をお伺いをすると、そこが変わらない限り、なかなか教育への本格的な展開は難しいと私としては理解をしておりますので、もしもこのアーカイブの成果を教育に発展的に使っていくというときには、ぜひ教室の中でちょっと見られるようになるというだけではなくて、より広い活用ができるようになるために、教育の例外規定も含めて御検討いただきたいなと思いました。
  以上です。

○中村座長 ありがとうございます。
  ほかにいかがでしょうか。
  では、角川委員、お願いします。

○角川委員 私は、前回アーカイブの重要性について申し上げたときに、保存のフォーマットとしてやはり4Kというのを意識されたらどうかということを言ったことを覚えているのです。今NHKは8Kの話までいっているようですけれども、4Kが重要なのは、フィルムの画素と解像度では4Kが大体同じなのです。情報量と言ってもいいのかもしれませんけれども。
  今までのハイビジョンというのは、フィルムのほうが情報量が多くて、ハイビジョンがデジタル化するときにそういう情報を抜いてきれいな画像にするというレベルだったと思うのです。
  今回、オリンピックみたいなところで日本から映像を世界に発信していくときに、やはり4Kで発信していかざるを得ないのだと思うのです。そういうことも踏まえると、早急に国が4Kというものをアーカイブの保存の一つのフォーマットとして決めていくことが必要ではないかなと思うのです。
  非常にいい画像と悪い画像が混在しているというのは、昔の画像を見るとよくあることですけれども、これからはそういう統一感のある基準によってアーカイブが構築されることが必要だろうと基本的に思います。

○中村座長 ありがとうございます。
  では、瀬尾委員、お願いします。

○瀬尾委員 アーカイブのタスクフォースにも参加させていただいて、ちょっと長くなりますが、全体的なことについていろいろ申し上げたいと思います。
  まず、最初にアーカイブについてお話があったときに、まず、その目的と収支とか、きちんと切り分けていかないと、ただ単なる負担になるものであるし、いろいろなレイヤーのことがごちゃまぜに話されてしまう。そうすると、結局は成立し得ないような形になってしまうのではないか。
  要は、最初にきちんとした切り分けをということで、私もお話しさせていただきましたし、実はタスクフォースでは、それをきちんとした上でできたことが、まず、一番よかったのではないかと思います。
  その中で一番重要なことは、まず、喫緊のもの、今、角川委員からもございました、例えば、映画のフィルムのビネガーシンドローム、または写真のフィルムもございますけれども、物をアーカイブするというレベルのお話ももちろんあり、先ほどの野口委員からのような制度の改革もありということがきちんと議論になりました。
  まず、最初にアーカイブそのものについて、今回、報告書の中で私は非常に進んだと思える部分は何かというと、単なるストッカーとしてのアーカイブを考えていない部分、これはインフラである、国内、国外に連携してくる、要するにネットワークインフラであるということで、基盤ということがきちんと話されている部分が一番大きいと思います
  つまり、データをきちんと蓄積をして、それを利活用するだけで単純に収支がとれるという単純なものではなくて、大きくネットワーク化をして、先ほど音楽のタスクフォースでもございましたが、国際的なインフラが必要である。実はアーカイブのシステムもそういったことと兼ね合いができるような、大きなシステムの一部分をなしているのではないかという議論ができたと思っております。
  また、これはもしかすると、今回、議論の外になる、特許の国際的なシステムのようなものと重なる部分も出てくるのではないか。
  つまり、このようなインフラをもとに日本がこれからコンテンツの世界的な戦略を行っていくためのもので、それが初めて収支の基盤になるのではないかということが、ある程度、提案の中には含まれていると私は理解しております。
  そのような中で、実際に先ほどから出ております、例えば、孤児作品処理というのも非常に重要な問題として、今取り組まなければいけないと思っているのですけれども、このアーカイブの優先順位というのをどうしていくのかということで、今回、大分議論になりました。
  その中で、ナショナルアーカイブという言葉がよく出てきますけれども、実はそのナショナルアーカイブというのは一つのものではなくて、ある中心はあってもいと思うのですけれども、複合されたアーカイブであろうという考えが出てきているかと思います。そのもととなるようなアーカイブもこの中でたくさん出てきていると思っております。
  このような観点から考えて、とにかく、まず、今年やるものというのは非常に喫緊な部分に限られてくる。具体的に申し上げますと、孤児作品処理の制度、今の映画等の具体的なアーカイブ、これはだめになってしまうということなのでアーカイブにする。ただ、それをどこまでやるかとか、今の4K議論ももちろんございますけれども、それについては、またもう一つ別の議論になるのかなと考えておりますけれども、喫緊な手当て、それと全体的な枠組み、国際的な基盤としてどう整備していくのかという視点をお持ちいただいた上で、着手していくことが必要かなと思っております。
  よいことに、オリンピック・パラリンピックがちょうどございます。このときの基盤として非常に使いやすいものですし、先ほど中村座長の仰った、日本がいわゆるアーカイブ大国として世界にイニシアチブをとるいいタイミングではないかなと思っております。
  それには、視点が余りにも目先になってしまいますと、どうしても採算面で難しいものが出てきてしまいますので、広めの視野で、先ほど大臣が仰っていた継続したタスクフォースもしくは継続した提言のような中でも、大きな視野をきちんと皆さんで共有した上で進めていくことで、アーカイブは日本の基礎インフラになり、また、いろいろな情報を利用できるものになっていくのではないかなと考えます。
  このタスクフォースの報告書は、プライオリティーの高いものとこれまでの整理を含めたファーストステップだと私は捉えていて、ここから日本の施策はどうするのかということをより強く進めていきながら、複合させていくべきなのではないかなと感じております。
  この報告書に関しては、私も参加させていただきながら、正直よかったと思っていますが、これから先が非常に重要であることを感じておりますので、ぜひその点についてもお含みおきいただきたいと思います。
  以上です。

○中村座長 ありがとうございます。
  喜連川委員、お願いします。

○喜連川委員 アート系、文化系のことばかりかなと思っていたのですけれども、18ページに自然科学にかかわるというのもちょっとだけて入れていただけているということで、大変よかったかなと思っております。
  私どもは自然科学系のデータを30年ぐらいアーカイブをしておりまして、30年というのは、ムーアの法則でいいますと1.5で割りますから、2の20乗、ITの世界はプロセッサーが100万倍速くなる期間に相当します。その間ずっとデータを格納しておくというのは、これは極めて大変な話でありまして、アーカイブをつくればいいと意気込みと、それを実際のもとするアーカイブをつくるための技術というのは根本的にかなり違う視点で議論する必要がありそのあたりを、御理解いただきながら、お進めいただくのが必要ではないかなと思っております。
  ここでは、文化系のことが主として書いてございますけれども、サイエンス系でもこのような問題は多く出ておりまして、一般に何らかの研究予算がつきますと、その間にはきっちりデータをつくるわけなのですけれども、そのプロジェクトが終わってしまいますと、放置されてしまいます。どうやって維持管理すればいいかという課題は、我が国あるいはワールドワイドを見ても、これはきわめて大きな問題になっておりまして、そういう科学的な知見、特にビッグサイエンスはこのデータの維持との戦いだと思っていただいても過言ではないような状況があります。
  つまり、このアーカイブというのは、自然科学系にとっても非常に大きな課題であると御理解いただければありがたいと存じます。国立国会図書館さんがお入りになられていましたので、INAのヒアリングはなされておられるので、その話は出たかと思いますけれども、あそこは70年以上やっておられますね。
  INAも言っておりますが、やはりアーカイブというのは非常に地味で、国家からの御支援を賜るのはなかなか難しいところがある。しかし、彼らは全部ではないというか、ほんのわずかではないですけれども、自分たちでちゃんとコンテンツのビジネスを起こしておられます。
  ですから、そういうマネタイズをするフレームワークというものをこの中に入れて御検討していただくことが、自立していくという意味でも非常に重要ではないかなと思います。
  最後に、ネット時代は非常に難しいと仰っていただいて、まさにそうだと思います。しかし、これだけ世の中の時代感がサイバー空間にシフトしている中で、それをどういうふうにプリザーブするかということ自身の研究開発というものも御支援いただければ、大変ありがたいと思いますし、これを教育に使うと仰られましたが、先ほども他の委員の方から、教育利用に対してということで、今、JMOOCが立ち上がろうとしていますけれども、まさに教育コンテンツのアーカイブも重要になってきている。いろいろな広がりがあることも御示唆させていただければと思います。
  ありがとうございます。

○中村座長 ありがとうございました。
  ほかにいかがでしょうか。
  久夛良木さん、どうぞ。

○久夛良木委員 ゲームについても議論がされたかと思うのですが、ゲームはもともとボーンデジタルで、光ディスク等に焼かれて供給されているわけですから、これらのメディアが国立国会図書館に置いてあればアーカイブとして大丈夫だろうと思われるかもしれませんが、実際、光ディスクそのものもライフがあるのです。20年とか30年、ロットによっては10年もたないとか、そういう状態で置いてある。
  これはアーカイブというより、どこか考古学博物館にピンどめしているような状態だと思います。ゲームコンテンツの場合は、ボーンデジタルであるがゆえに、デジタルデータのままでサーバーに上げるのは簡単なのです。
  これをそれぞれのゲーム会社の方にお任せしていると話をお聞きしていますが、そんなことではなくて、我が国の貴重な文化資産として、まとめてアーカイブ化してしまうというのをやられたらどうかと思うのです。
  ゲームの産業はそんなに古くない。最近急に立ち上がったように思うかもしれませんが、残念なことに、本当に何年か前までゲームを開発されていた会社、それらを出版された会社が何社ももうなくなっていて、現実に原本もデータも存在しないということも起こっているので、今のうちですから、特にこのボーンデジタルのゲームコンテンツそのものは、ぜひともサーバー上に上げるようにしたいと考えています。
  今はサーバー上にあげるコストも、以前と比べるとほとんどかからない。アーカイブを固定するクラウド・ストレージ自体が非常に安くなっているので、あっという間に終わると思います。
  これは各ソフト会社さんだけではなく、いろいろなフォーマットメーカーさんにも広く声をかけて、みんなでやりましょうとやられたらいいのではないかと思います。ひょっとしたらうまくメッセージが届いていなくて、たった1個しかない現物を渡せるかという話もあるらしいのですが、現物自体は要らないのです。中のデジタルデータさえあればいい。
  物理的なメディアで供給されているゲームだけではなく、先ほど川上委員が懸念されているようなネットワーク経由で提供されているゲームも、その時点のアーカイブとして固定可能です。実際はビルドといって、あるサーバーでいつ、どういうふうにつくられているかというのがちゃんと管理されているので、それをそのままアーカイブしてしまえばいい。
  例えば、Windows XPが終了となっても、あれもいろいろなビルドがわかっていて、何と何が組み合わさっているからこうなっているというのはわかるのです。その状態でぜひ集めるようにしないと、あっという間にネット上のゲームコンテンツ自体が消失してしまう可能性があるので、これはこういう気運が起こったのをきっかけに、一回やってみてはいかがでしょうか。別に現物は要らないから、貸してもらうだけでいいから、一回、今のうちに全部サーバー上にアーカイブにしませんかと、まず、我が国からでもやられたらどうかなと思います。
  以上です。

○中村座長 ありがとうございます。
  では、重村委員。

○重村委員 よくまとめられていると思うのですけれども、一つ、今のお話とか、川上さんのお話にもあるのですけれども、例えば、いわゆるアーカイブをやる場合、記録されているものというのはアーカイブ化することができるわけですけれども、例えば、放送業界などをとってみると、いわゆる1970年以前のものなどは残っていないわけです。
  そういう意味でいうと、恐らく文化の継承であるとか、伝統というものを残していくという観点からすると、記録されないものをどうやって、今後、記録していくかということが、アーカイブをつくる上で非常に重要になってくるのだろう。
  例えば、具体的な言い方でいいますと、演劇とか舞台というものに関しては、原則的には別に何かに記録していくという形ではないのです。ビジネスチャンスがあると思えば、放送局などは記録するかもしれませんけれども、基本的にはやっていかない。小劇場などもそうです。音楽ライブなどもそうだろうと思うのです。
  そうすると、これからやはり大きな、広い意味で考えていったときに、一体そういうものを、誰がどのような形で残していくかというシステムをつくっていくかということも考えていかないと、活字の上ではかつてこういうすばらしい舞台があったとか、いろいろなものがあったと言いながら、実際は記録はないというケースが非常に多い。
  今までのものはしようがないとして、これから先、そこをどうしていくかということを、今後の検討事項として考えていただきたいと思います。

○中村座長 あとお一方、井上委員、どうぞ。

○井上委員 私もタスクフォースに加わらせていただいておりましたので、一言、申し述べたいと思います。
  アーカイブの目的、意義は、非常に多様で、いろいろな目的があるのだろうと思います。
  報告書の3ページにあるように、文化の保存、社会的、経済的な利用の促進、情報インフラとしての整備などさまざまな意義があります。政策分野としても、文化政策、コンテンツ戦略、IT戦略、公文書管理政策、電子図書館政策、多くの政策と関連しています。
  今回の報告は、そのうちの一部、知財戦略ビジョンで示された課題に沿う形で検討が進められたわけですけれども、アーカイブの問題はその目的ごとに切り分けて、あるいは政策分野ごとに切り分けて実施できるようなものではなくて、アーカイブという切り口で「横串」で見ていくということが非常に重要なのではないかと思っております。
  タスクフォースの会議上でも申し上げたのですけれども、ほかの政策との関連性ですとか、整合性というものをしっかりとっていただきたい。
  整合性というと、齟齬が生じないようにすればいいという消極的な意味合いもあるのですけれども、それだけではなく、それぞれの政策分野でなされている個々の施策を全体として見た場合、パッケージとして、全体として有効かつ効率的な施策となっているかということを、きっちり検討していきたいと思っております。
  タスクフォースの最後の会で取り上げられたことですけれども、アーカイブを構築するあるいは維持していくためのコストを、誰にどういう形で負担させるかということは、重要な論点だろうと思っております。
  税金である程度構築をサポートしていくことが必要なアーカイブもありますでしょうし、それから、利活用の段階で、ビジネスとしてうまく動くようなものであれば、余り公に頼るのではなくて市場に任せることが望ましいものもあるかもしれません。、そのあたりの切り分けをきっちりこれから議論していく必要があると考えています。
  報告書19ページに、人材の育成について挙げられています。デジタルアーカイブを構築・維持していく人材の養成です。今までのアナログの世界ですと、司書の方ですとか、学芸員の方が担っており、司書や学芸員を育成する教育システムがあるわけですけれども、デジタル化時代に適合する人材を育てていく場を用意し、そして、育てた人材に活躍していただく場を確保していく必要があるだろうと感じております。
  著作権制度の問題については、野口委員からいろいろ御発言いただきましたが、私も同感です。著作権制度をきっちり見直して、アーカイブの構築と利活用の促進の阻害要因とならないようにしていくような施策は必要であろうと思っております。
  以上です。

○中村座長 どうもありがとうございました。
  では、きょう3つ目の議事であります「デジタルネットワークに対応した環境整備」について議論を行いたいと思います。担当省庁であります、文化庁から説明をお願いします。

○森孝之文化庁長官官房著作権課長 文化庁著作権課でございます。
  それでは、お手元の資料3に基づきまして、知的財産政策ビジョンにおけるデジタルネットワークに対応した環境整備に関する事項のうち、著作権制度にかかわる事項についての検討状況を御説明申し上げたいと存じます。
  資料を1枚めくっていただきまして、1ページと書いてあるところでございますけれども、昨年度、文化審議会著作権分科会では、知財ビジョンの諸課題について、特に制度上の課題について、2つの小委員会で検討を行ってまいりました。
  まず、出版関連小委員会では「知財計画2013」におきまして、電子書籍に対応した出版権の整備など、出版者への権利付与や、契約等に関する課題について早期に検討を行い、措置を講ずるとされていたことを受けまして、出版者への権利付与等について検討を行ったところでございます。
  また、その他の課題につきましては「2.法制・基本問題小委員会」で検討を行ってまいりました。具体的な対象になった課題といたしましては、下の四角囲みにございますような知的財産推進計画の諸課題でございまして、クラウドサービスといった新たな産業の創出、拡大の促進のための環境整備のために、著作権の権利制限規定の見直しやライセンシング体制の構築などについて検討を行う。またクリエーターへの適切な対価の還元という観点から、私的録音録画補償金制度の見直し、さらに新たな仕組みの導入を含む抜本的な検討を行う。
  また、コンテンツの権利処理の円滑化という観点から、孤児著作物等の利用の促進のために、裁定制度のあり方を見直し、手続の簡素化、迅速化を推進するといった課題が示されてございましたので、こういった課題について検討を行ってきたわけでございます。
  具体的には、まず、出版の関連でございますけれども、2ページをごらんいただきたいと思います。
  電子書籍に対応した出版権の整備でございますけれども「問題の所在・検討の経緯等」といたしましては、近年、デジタル化・ネットワーク化の進展に伴いまして、電子書籍の増加といったことが生じております。これに伴いネット上の違法に複製された海賊版のアップロードといったものも増加をしているという状況が生じているわけでございます。
  こういった状況の中、現行の著作権制度におきましては、出版権という制度がございまして、著作権者と出版者が契約を結ぶことによって出版者が出版について独占的な権利を得ることができる。
  これによって、出版者は権利者として独占的に紙の媒体の出版物を出版ができ、または海賊本などが出回った場合に、差止請求ができるといった制度がございますけれども、この制度は現在、電子書籍を対象としていない状況があるわけでございます。
  こうした状況に対応するために、小委員会で検討を行ってきたところでございますけれども、昨年12月、電子書籍に対応した出版権の整備について報告書がまとめられたところでございます。
  こうした出版権の設定がなされることによりまして、権利者として出版者が独占的に電子配信をし、インターネット上の海賊版にも自ら対応できることが期待をされるわけでございます。
  具体的な法律案の概要でございますけれども、3ページをごらんいただければと思います。現行制度が紙媒体のみを対象としている出版権の制度を、アンダーラインを引いてある部分について見直しを行っております。
  「(1)出版権の設定」につきましては、現行では、文書または図画、紙媒体としての出版を行う場合に設定ができる権利でございますけれども、これをCD-ROM等による出版でありますとか、インターネット送信による、いわゆる電子出版に対応して、そういった場合にも出版権の設定ができるようにするという見直しを行っております。
  また「(2)出版権の内容」につきましては、いずれにしても出版権者と著作権者の契約によって定められるわけでございますけれども、現行制度上は頒布目的での文書、図画としての複製権というものが内容でございますが、これに加えまして、電磁的な記録としての複製する権利でございますとか、インターネット送信、著作権法上の公衆送信権といったものも出版権の内容に含めることにいたしたところでございます。
  最後「(3)出版の義務・消滅請求」でございますが、出版権者は、出版権の設定を受けた場合には、原稿の引渡し等を受けてから一定期間内に出版等を行う義務がございますけれども、インターネット送信等を行う権利が出版権の内容になったことに伴いまして、そういった行為を行う義務が出版権者に生じるように見直しを行っています。
  また、そうした義務に違反した場合には、義務に対応した出版権の消滅を著作権者が求めることができるといったことにつきましても、あわせて手当てをしているところでございます。
  現在、この法案は国会に提出をされ、4月8日に衆議院を通過したところでございまして、今後、参議院において審議を行うことが予定されているところでございます。
  続きまして、クラウドサービスと著作権の問題、クリエーターへの対価の還元の問題でございます。4ページをごらんいただければと思います。
  小委員会で、クラウドサービスと著作権の問題、クリエーターへの対価の還元の問題について検討を行ってまいりましたが、これについて集中的な議論を行う必要があるという観点、また、クリエーターへの適切な対価の還元とクラウドサービスの問題をあわせて検討すべきであるといった御意見が示されたことを踏まえまして、集中的な検討を行うためのワーキングチームを設置をいたしました。クラウドサービスにかかわる事業者、権利者、ユーザー、有識者といった方々によりワーキングチームを設置し、検討をしてまいったところでございます。
  具体的な検討状況につきましては、5ページ以降でございますけれども、まず、クラウドサービスの問題につきましては、5ページにございますように、より詳細に実態を把握するという観点からヒアリングを行い、それを踏まえて議論をした結果、まずは私的使用目的に関連するロッカー型クラウドサービスについて検討を行うこととされ、具体的には次の6ページでございますけれども、そのサービスを一定の分類をして議論を進めることになったところでございます。
  6ページでございますけれども、ロッカーサービスがいろいろございますが、コンテンツに誰がアクセスできるか、アップロードしたユーザーだけなのか、それとも広く一般に共有できるのかという観点と、ロッカーに保存するコンテンツを誰が用意をしたのか、ユーザーがアップロードしたのか、それとも事業者が用意をしたのかという2つの観点から分類をいたしました。
  7ページのほうでございますけれども、コンテンツをクラウド事業者が用意をした配信型と言うことができるようなものにつきましては、6ページの表でいいますと左側でございますけれども、ここの部分につきましては、事業者と権利者のライセンス契約によって基本的には対応すべきということで小委員会、ワーキングチームでは議論が一致をしております。
  一方、ロッカーに保存されるコンテンツを、利用者、ユーザーが用意をする、ユーザーアップロード型と言うことができるような形態につきましては、これが契約で処理をできるのか、あるいは著作権法上の手当てが要るのかといった問題につきまして、関係者の意見の一致が見られていないことから、今後さらに検討を進める必要があるという状況でございます。
  具体的な法的論点につきましては、7〜8ページにかけて5つほどございますけれども、利用行為主体というものをユーザーと考えるのか、サーバーを運営する事業者と考えるのかという問題。
  仮にユーザーが利用行為主体であるといった場合に、それが私的使用目的の複製ということで権利者の許諾なく行うことができる形態であるのかどうかという問題。
  さらには、一方でクラウドサービスにおける送信行為の主体が事業者であると評価をされる場合に、それが著作権法上、相手方が公衆であるということで、自動公衆送信という概念に該当するかどうかという問題がございます。
  さらには、クラウドサービスに対応して、権利者への適切な対価の還元のあり方についてもどのように考えるかといった論点が、今後、検討を進めていくことが必要となっている論点でございます。
  また、クリエーターへの適切な対価の還元についての検討状況でございますけれども、9ページのほうにまいりますが、この問題につきましては、このワーキングチームでは関係団体のほうから新たな補償金制度の創設に関する提言について御発表いただき、また、私的録音録画に関する実態調査の状況についても御発表いただき、それを踏まえた質疑、検討等をこれまで行ってきているところでございます。
  今後のワーキングチーム、小委員会での検討の予定でございますけれども、まだ検討の途上にあるわけでございますが、早急な検討が求められている課題でございますので、今後、専門的かつ集中的な検討をさらに行いまして、関係者の合意に向けた議論を通じて一定の結論が得られるように努めてまいりたいと考えているところでございます。
  最後、3点目、裁定制度の関係でございます。
  先ほどのアーカイブタスクフォースの御議論とも関連がございますけれども、裁定制度のあり方につきましては、この法制・基本問題小委員会では、まず、諸外国における権利者不明著作物に関連するさまざまな法制度がございますけれども、これについて議論を行いました。
  そして、単に現行法の裁定制度をどのように見直すかという課題だけではなくて、そういった諸外国の制度も参考とし、新たな制度の構築についても検討すべきではないかといった御意見も示されているところでございます。
  そうした上で、まず、この小委員会では現行の裁定制度の利用に係る現状、課題等を把握するために、裁定制度の利用実績がある国会図書館、NHK等の関係者の皆様方からヒアリングを行い、裁定制度について、とりわけ現在、要件として定められております、権利者捜索のための相当な努力の要件を中心に具体的な課題が示されたところから、まずは文化庁におきまして、そうした課題を踏まえて、裁定制度のあり方についての見直しを行うこととなったところでございます。
  今後もデジタルアーカイブの取り組みなども踏まえまして、関連した必要な措置についても検討してまいることになっているところでございます。
  具体的な、相当な努力の見直しの方針につきましては、11ページに簡単にまとめてございますけれども、現行制度では、裁定制度によって権利者不明著作物を利用する場合には、相当な努力を払っても権利者と連絡をとることができないことが求められているところでございますけれども、その具体的な内容につきましては、11ページの点線の四角囲みにありますように、@権利者情報を掲載している資料の閲覧、A権利者情報を保有している者への照会、B公衆に対し権利者情報の提供を求めることといった観点から、ア〜カの全ての方法をとることが現行制度では求められているところでございます。
  これにつきまして、権利者の捜索のため利用者側の負担が重いという御指摘がさまざまにあったことから、左側から右側に矢印がございますように、見直し案といたしまして、例えばアとイの両方は行わなくてもよいとするとか、ウ〜オまでについても全ては行わなくてもよいとするとか、Bにつきましても、ウェブサイトへの掲載期間について見直しをするといったさまざまな手続の見直しを行うべく、現在、準備を進めているところでございます。
  知財計画に示されました諸課題についての検討の状況については、概略は以上でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

○中村座長 ありがとうございました。
  只今お話がありましたように、知財計画に掲げられた事項について検討をいただいているわけですけれども、法案も国会審議中のものということで、いいタイミングでお越しをいただいたという状況報告でございました。
  もし、こうしたテーマ、議題について御意見、御質問などありましたら、お出しいただければと思います。
  川上委員、お願いします。

○川上委員 1つ質問させていただきたいのですが、クラウドサービスと著作権に関する法的論点というところで、クラウドサービスが日本国内にあるのか、海外にあるのか、もしくは海外にある場合でも、それが国内事業者が運営しているもの、海外の事業者が運営しているものによって、どういった扱いをすることになっているのか、そういう議論がありましたら、教えてください。

○森孝之文化庁長官官房著作権課長 クラウドサービスの拠点、サーバーが国内、国外にある場合の両方をにらんで検討が進められていることでは必ずしもございませんで、基本的には、国内法の適用になるクラウドサービスについての議論が進められている状況であろうかと思います。
  国内法の適用があるというものは、基本的には国内にサーバーの拠点があるものであろうかと思いますけれども、どういったものが準拠法になるかというのは、国際私法の問題になってまいるかと思いますので、明確な議論の射程というものは必ずしも明らかでないかと思います。
  ただ、いずれにしても、議論の前提としては、現行の著作権法の適用の対象になるようなクラウドサービスが議論の対象であるという状況でございます。

○川上委員 済みません。ちょっとよくわからなかったのですが、つまり、海外にサーバーを置いている場合は、ここの議論のどのような結果になったとしても国内法の適用は関係ないということなのでしょうか。

○森孝之文化庁長官官房著作権課長 海外にサーバーがある場合に、一概に国内法の適用がないと断定することはなかなか難しいのではないかと思っております。国際私法の問題等にもなってまいるかと思いますので、私どもの立場で一切適用はないとお答えする立場にないと思ってはいますけれども、典型的には、国内で行われているようなクラウドサービスといったものが、著作権法の守備範囲になってくるという問題だろうと理解をしております。

○川上委員 ありがとうございました。

○久夛良木委員 1つ質問させていただきたいのですが、7ページのイの(A)のところで「個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内」(法第30条第1項)の該当性についてどう考えるべきかというのがオープンイシューになっているのですが、これはどういうことを懸念されているのか、全く分からないのですけれども。

○森孝之文化庁長官官房著作権課長 この論点につきまして、まずは前提として、このクラウドサービスというか、ロッカー型のサービスにおいて、ユーザーがアップロードをすることによって複製をする主体が個人である場合を前提としているわけでございますけれども、そうした個人がアップロードをするものが個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内と評価をされるのか、それともそれを超えるものとして評価をされ、私的使用目的の複製という範疇にとどまらないと評価をされるのかということが一つの論点として挙げられているということでございます。

○久夛良木委員 それが全く理解できないのですけれども、何か拡大解釈をされている気がするのです。
  例えば、何かソリューションとしてサービスを提供されている事業者もいらっしゃいますが、具体的に、例えばドロップボックスであるとか、ネット上の個人用のロッカーがたくさんあるわけです。ドロップボックスの場合は国外の会社ですが、そのサーバーが、実際問題、物理的にそのプロキシが日本にあるかもしれない。そういったときに自分の音楽をそこに上げる。もしくは、家庭内のNASと言われているサーバーにあるものを具体的に、例えばドロップボックスに落とすといった途端にコンサーンになるのでしょうか。
  つまり、具体的に、例えばドロップボックスに、写真でも音楽でもアップロードする。それを普通に自分が、例えばメディアプレーヤーで再生しますということ自体が、ひょっとして、今、議論の対象になっているのですか。
  もしそうだとすると、我が国がインターネットでおくれている最大の原因はこういうところにあるのではないかと思うのです。

○森孝之文化庁長官官房著作権課長 今の論点につきまして、まだ具体的に詰めた議論がされているわけではございません。今後、検討すべき一つのイシューとしてこういった問題もあるということで提示をされているところでございます。

○久夛良木委員 ということ自体が萎縮効果を呼んで、我が国が一番遅れる原因になっているということは議論されていないのですか。

○森孝之文化庁長官官房著作権課長 もともとこの課題が、著作権法上、検討すべきとされている一つの大きな要素として、著作権法上、適法かどうかということについて明らかでないことから、ビジネスを進めるに当たって萎縮効果があるのではないかということが大きな課題であることは認識をしておりまして、そういった点で、こういった論点をクリアにしていくことによって、ビジネスの実施に当たっての基盤を整備することが、検討に当たっての重要な観点であると理解をしております。

○久夛良木委員 しつこいようですが、2014年になってまだこういったことが議論されているのですか。

○森孝之文化庁長官官房著作権課長 今後、議論をすべき論点の例として、こういった課題もワーキングチームの中では挙げられているところです。ただ、具体の検討に入っているわけではございません。

○久夛良木委員 これは私から提案ですが、こういったことをやっているがゆえに、一番競争力が遅れているということをもっと明示したほうがいいと思うのです。

○中村座長 それは恐らく我々の仕事といいますか、ここでメッセージを出していかなければいけないのだと思います。
  本件も、文化庁さんあるいは文化審議会で議論いただいているというのも、最初にそういったメッセージをこちらの場から出して、それが大きな問題ではないかという問題提起もあった上で議論が始まったわけですけれども、そこで時間もかかっているというのがまた一つの大きな問題ではないかと、私も考えております。
  どうぞ。

○野口委員 そういう意味では、もともとこのクラウドの問題が出てきた背景として、今、久夛良木委員からも御指摘があったとおり、実際にクラウド上のコンテンツロッカーに個人がコンテンツをアップロードすることは、みんな当然のようにやっていますし、最近は、例えばiPhoneを使っても、撮った写真が自動的に自分のクラウド・ストレージにバックアップされることが機器を通じて当然のように行われている状況があると思います。これらの行為が、もしも現在の法律に照らすと違法かもしれないというお話だとすると、非常に混乱を招くということで、検討しましょうということかと思うので、スピード感を持ってご検討いただきたいと思っております。
  加えて、しつこいようなのですけれども、最後に裁定制度の御説明をいただいて、この相当の努力というところが非常に重荷になっているということで、これを見直すことについては、非常に大きな第一歩ではあると思うのですけれども、それは、まだ3つの柱のうちの1つでしかないと思っております。あともう2つの柱は、補償金の問題、それから、1人が裁定を受けた場合の同じ案件に対するほかの人による利用条件の問題の2つなのですが、これらについては、委員会でも議論をされていらっしゃるようではあるのですけれども、今後、どのように取り組んでいかれる予定なのか教えていただければと思います。
  例えば、この委員会を継続して、次回はこれについて議論をする予定なのか、とりあえずはここで議論は終了なのか、などの見通しについてぜひ教えていただければと思います。

○森孝之文化庁長官官房著作権課長 只今の御質問でございますけれども、先ほど若干申し上げましたが、今回は、まずは見直しの対象として、この相当な努力の要件についての御指摘が多々あったものですから、それについて見直しを行ったということでございます。
  今後、先ほどいろいろ御議論がございました、デジタルアーカイブの取り組みなども踏まえて、必要な措置については、今後とも継続して検討してまいるという状況でございます。

○野口委員 それは、具体的に検討する予定は今はなくて、今後、また次回の知財計画等で要求があれば、また新しく検討するというステータスという理解でよろしいのでしょうか。

○森孝之文化庁長官官房著作権課長 昨年度の法制・基本問題小委員会の審議のまとめの中で、今後の取り組み、裁定制度のあり方等の問題については、今後、デジタルアーカイブの取り組みなども踏まえて必要な措置を検討するとまとめられているところでございますので、今年度についても、引き続き検討していく課題であると認識をしているところでございます。

○中村座長 最後に、井上委員、お願いします。

○井上委員 先ほど久夛良木委員から御意見があったのですけれども、クラウドサービスのプライベートユースの権利制限の問題については、むしろ産業界のほうから、日本の権利制限規定がどこまで適用になるのかよくわからないという声があって、この検討が始まったと聞いておりますので、この論点を取り上げること自体は悪いことではないと思うのです。
  この際、プライベートユースは、デジタルの世界になりましてから、プライベートとパブリックの関係が非常に曖昧になっていて、裁判所の判決などでも、自炊代行はデジタルといいますか、ちょっとあれかもしれませんけれども、自炊代行の判決などもいろいろ出ているという状況ですので、はっきりしないところがあるので議論するということでございますので、それ自体では悪いことではないと思います。いかがでございましょうか。

○久夛良木委員 きのう、おとといと新経済サミットをやっていましたが、そこでも指摘されていましたが、この国がICT分野で停滞している最大の理由は、何から何までスピードが遅いということであって、同じテーマをずっと何回も何回も持ち出されてぐるぐる回しているのではなくて、さっさと進めましょうということを言いたかったのです。2014年ですから。

○角川委員 出版者の権利について、一言、申し上げます。
  知財本部で推進計画に書かれた、電子書籍における出版者の権利が、今、参議院に回ったと、そこまで来たということで、私も関係者の1人として今回の経緯について協力していただいた方々に、ここで感謝の意を表しておきたいと思います。

○中村座長 ありがとうございました。
  では、予定の時間もまいりましたので、本日の会合はここで閉会をしたいと思います。
  次回の会合について、事務局からお願いします。

○田口参事官 次回の委員会は、産業財産権分野の会合となります。日時は4月23日水曜日の15時から開催します。
  また、コンテンツ分野の会合につきましては、翌日の4月24日木曜日の16時から開催いたします。場所等、詳細につきましては、決まり次第、事務局より御連絡させていただきます。

○中村座長 以上でございます。どうもありがとうございました。