検証・評価・企画委員会(第4回)
議 事 録
日 時:平成28年3月28日(月) 15:00~17:00
場 所:中央合同庁舎4号館12階 1208会議室
出席者:
- 【委 員】
- 相澤委員、荒井委員、奥山委員、近藤委員、佐田委員、杉村委員、妹尾委員、
髙崎委員、長澤委員、日覺委員、林委員、宮川委員、山田委員、山本委員、
吉井委員、渡部座長、正木委員代理
【関係機関】 | |
経済産業省 | 宮本岩男室長 |
特許庁 | 田名部拓也企画調整官 |
特許庁 | 松下達也課長 |
特許庁 | 小宮慎司企画調査官 |
特許庁 | 松下公一室長 |
文部科学省 | 坂本修一課長 |
- 【事務局】
- 横尾局長、増田次長、磯谷次長、田川参事官、北村参事官
- 開 会
- 議事
- (1)『知的財産推進計画2016』策定に向けた検討
- ①金融機関と連携した知財活用の促進
- ②産学官連携機能の強化
- ③知財システムの整備に向けた国際協力
- (2)知財教育タスクフォースの報告
- (3)その他(知財紛争処理システム検討委員会の検討状況等)
- (1)『知的財産推進計画2016』策定に向けた検討
- 閉 会
- ○渡部座長 ただいまから「検証・評価・企画委員会(産業財産権分野)」第4回を開催させていただきます。
本日は、大変御多忙中のところを御参集いただきまして、誠にありがとうございます。
本日は、- ①金融機関と連携した知財活用の促進
- ②産学官連携機能の強化
- ③知財システム整備に向けた国際協力
本日御出席いただいております委員の方は、座席表のとおりでございます。
委員会開催に先立ち、横尾局長から挨拶をいただきたいと思います。お願いします。
- ○横尾局長 皆様、御多忙のところ、御参集いただきましてまことにありがとうございます。
今日は、各論の議論をする最後の会でございます。今、渡部座長から御紹介がありましたが、3つのテーマを取り上げたいと思っております。
今までは地方・中小企業対策の関係で、第2回で全般の議論をして、前回の第3回でその関連で農水分野、デザイン・ブランド分野、あと、標準化も中小の要素があったわけですが、今回は金融機関との連携ということを特に取り上げたいと思っています。
この中身は2つあって、いわゆる知財金融で知財を評価して、融資なり投資に結びつけるという視点と、もう一つは、より広く中小・ベンチャーも含め、いわば裾野を広げるために、身近な存在である金融機関とよく連携をして、知財の裾野拡大を図るという2つの視点でこのテーマを取り上げて、地方・中小企業対策関連で更に一歩進めたいというのが最初のテーマでございます。
2番目は産学官連携ということで、いわゆるオープン・イノベーションを促進しようということで、第2回で産学官連携全般に触れて、とりわけ去年の「知的財産推進計画2015」の大きいテーマでありました橋渡し機能、特に人材の側面に焦点を当てましたが、今回は組織として産学官連携を更に進めるためにということで、大学の知財マネジメント、あるいは産学連携の評価指標を踏まえて、更にこれをベースにどうしていくかという観点などを中心に取り上げたいと思っております。
最後は国際のテーマですが、今まで国際というテーマでは取り上げておりませんでしたけれども、これまでも様々な国際的な連携、協力をやってきております。TPPの大筋合意もありましたので、特に新興国等を念頭に置いて、そこの知財システム整備に向けた国際協力というのを取り上げたいと思います。
今日も是非闊達な御議論をいただければと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。 - ○渡部座長 ありがとうございました。
それでは、ただいまございましたように、知的財産推進計画2016に向けて3つのトピックについての議論ということで、本日取り上げる項目については、事務局から説明をお願いいたします。 - ○北村参事官 お手元の資料1「産業財産権分野に関する論点」を御覧ください。
「1.金融機関と連携した知財活用の促進」ですけれども、第2回の委員会でいただいた主な意見を列挙してございます。
知財ビジネス評価書作成支援を含め、取組の拡大を検討してほしいという御意見。その人材に関するところで、評価書を作成できる人材の育成が大事である、融資先の目利き力が問われているという話。
金融機関に特化した知財のベーシックな研修があるとよいという希望も出されております。
研修等を行う際に、特許庁だけではなくて、金融庁が含まれていると参加意欲が増すといった御意見もいただいておりました。
(主な論点)として2点設定させていただいております。
知財を踏まえた事業性評価の促進に向けて、知財ビジネス評価書の作成や、それを活用する人材育成の支援を含め、今後どのような取組・改善が求められるかという点。
もう一つは、中小・ベンチャー企業へ知財の裾野を広げるという観点から、金融機関と連携して知財活用を支援・促進するために、どういった対応策が求められるかという2点について、また御議論をいただければと思います。
次の議題、裏面に行きますが「2.産学官連携機能の強化」であります。
(第二回委員会等での主な意見)は、そこに列挙してあるとおりでございます。説明は省略いたしますが、(主な論点)として2つ挙げております。
1つは、大学自身の知財マネジメントを改善し、産学官連携機能の強化を図るためにどういった取組が求められるかという点。
もう一つが、大学と産業界の知財面の連携を深化させて、産学連携をより活性化させるために、評価指標の活用であるとか、共同研究の円滑化、そういったところも含めてどういった取組が求められるかという点でございます。
「3.知財システムの整備に向けた国際協力」ですけれども、こちらは初めてでしたので、論点だけを提示しておりますが、我が国のシステムの浸透を意識しつつ、新興国等の知財システム整備に向けた国際協力を進展させるために、今後どういった取組が求められるかという点でございます。
事務局からは以上です。 - ○渡部座長 ありがとうございました。
それでは、最初の項目として「①金融機関と連携した知財活用の促進」について議論をさせていただきます。
特許庁からの説明をいただいた後に、意見交換をさせていただくという形にしたいと思います。
大変恐縮でございますけれども、説明は5分以内でお願いいたします。
それでは、特許庁から説明をお願いいたします。
- ○小宮企画調査官 特許庁普及支援課の小宮と申します。
資料2「特許庁における地域創生・中小企業支援の強化について」に基づきまして御説明をさせていただきますが、資料2の前半は施策全般をまとめた資料でございますので、知財金融の取組に関しましては、まず5ページ目の「<参考②-1> 知財金融(知財ビジネス評価書に取り組んだ金融機関)」をご覧ください。
特許庁では、知財の裾野拡大の観点で、中小企業と日々接する金融機関の方々に知財をより知っていただこう、あるいは活用していただこう、ということで、知財ビジネス評価書作成支援を軸とした事業を行っております。
今年度の事業の御紹介ですが、そもそも知財ビジネス評価書は、知財を活用したビジネスの価値・評価を「見える化」したものでございまして、知財の専門人材が不足している金融機関ではなかなかそういった評価が難しいことから、専門の調査機関で評価を作成していただきまして、金融機関ではそれを用いて融資判断等に適切に反映されることを目指す、という位置付けのものでございます。
この知財ビジネス評価書につきましては、本年度は全国で63の金融機関に、全部で150件の評価書を御利用いただきました。こちらの150件については、特許庁の予算で無料で提供するというものでございます。
これを平成26年度に試行的に行いました件数と比較いたしますと、金融機関の数、およびビジネス評価書の件数のいずれについてもほぼ3倍に増えていますので、全国の金融機関におきましては、知財を評価することへの関心が高まっているといえると考えております。
次に6ページ目の「<参考②-2> 知財金融シンポジウム・セミナーの開催実績(平成27年度)」でございます。
本事業は知財ビジネス評価書作成支援を軸としておりますが、そもそも知財金融とはどういったものなのか、あるいは知財ビジネス評価書とはどういったもので、どのように使えるのかといったようなことの普及を目的といたしまして、シンポジウムを開催しております。
昨年度は財務局と連携をさせていただきまして、7月に大阪、今年1月に埼玉で開催いたしました。
概要でございますが、下のオレンジ色の枠で囲ってあるところでございますが、7月の大阪では近畿財務局の総務部長に開会の御挨拶をいただきまして、金融機関からは約20名の方にご参加いただきました。
また、今年の1月末にさいたま新都心で開きましたシンポジウムでは、関東財務局の理財部長に基調講演をいただきまして、金融機関からは178名の参加をいただいたという結果でございます。
約半年の経過ではございますが、知財金融に関する意識がかなり広まっているのかなといったところが見えるかと思います。
一方、シンポジウムのみならず、金融機関の方に知財金融を知ってもらうという視点では、特許庁の職員で産業財産権専門官という者がおりますけれども、こちらは通常は中小企業に対して支援策等の紹介をして回っているのですが、金融機関の職員を対象としたセミナーなども行うことが近年増えております。
1つ目の金融機関への個別訪問というところですと、下の赤の枠で囲ってございますが、これまでに97の金融機関に個別訪問をして、知財金融に関するお話ですとか、そもそも知財とはどういったものかといったお話をさせていただいております。
あとは、その下のところにございますが、各金融機関が個別に実施いたしますセミナーの場で、特許庁の職員が講師としてお話をさせていただくこともございます。あるいは銀行個別ではなく、経済産業局の特許室で主催するセミナーでも特許庁職員がお話をさせていただく機会を設けまして、金融機関の方に多数参加をいただいているという状況でございます。
今年度の取組の概要は以上でございます。
最後に2ページ目「Ⅱ-1.地域創生・中小企業支援の強化①」に戻っていただきますと、次年度についてでございますけれども、ただいま予算は御審議いただいている最中ですが、予算案として出しているところでは「2.地域の先進的な取組支援及び知財金融の促進」の「(2)知財金融支援」で、本年度と同等の規模で来年度も行っていく予定でございます。
以上でございます。 - ○渡部座長 ありがとうございました。
それでは、ただいま説明がございました「金融機関と連携した知財活用の促進」につきまして、御意見を賜れればと思います。
荒井委員、お願いします。 - ○荒井委員 商工会議所でもいろいろ要望を聞きますと、この知財金融への期待が非常に高くて、こういうことを始めていただいたということを大変評価して感謝しております。
借りる中小企業の立場からしますと、この制度によって、特許とか、意匠、商標をどのように持っていたら幾ら貸してもらえるのかということを非常に知りたがっていますので、是非具体的な事例を、もちろん社名は伏せてもらって結構ですが、どのように知財金融が実行されるかというのを早目に発表していただくと非常によろしいのではないかと思いますので、是非お願いいたします。 - ○渡部座長 ありがとうございます。
他の方、ご意見はいかがでしょうか。
山本委員、お願いします。 - ○山本委員 産学連携という観点でいうと、既にかなり前から山形大学は産学金連携というのを進めていたり、あるいは西武信金とか多摩信金は非常に産学連携に熱心で、しょっちゅうイベントとかをやっているのですが、この知財ビジネス評価書に西武信金とか多摩信金は出てきていないというのがあって、もちろんその辺の知財の評価、融資というのもありますが、産学連携で本当に企業が生きるためのイノベーションを起こす技術を導入するというようなところまで踏み込んでいただけると、かなりおもしろい。朝日信金は入っていますが、朝日信金などもかなり企業のニーズを私たちのところに毎月のようにフィードバックをしてくださるので、そういうところも見ていただくとおもしろいのではないかなと思います。
以上です。 - ○渡部座長 ありがとうございます。
山田委員、お願いします。 - ○山田委員 山田でございます。
最近、金融機関は、貸し出しだけではなくて、各企業の事業をどう進めるか、という支援に随分力を入れていただいていると感じています。中小企業は、銀行の方に会うことが多いですので、知財の知識を持って一緒に戦略を立てることまでやっていただけると、非常に中小企業にとっては良いと思います。
そのときに、知財の総合支援窓口等、他の窓口との連携も取っていただいて、情報交換をしていただけると良いと思います。
金融庁で目利き力というのを付けるべきというお話は随分聞かれているのですけれども、この目利きの中に知財というのを入れていただくのは大変良いと思いますし、金融庁からの指示を実際に文章として入れていただく必要があると思います。
以上です。 - ○渡部座長 ありがとうございます。
近藤委員、お願いします。 - ○近藤委員 近藤でございます。
この評価書に基づいて、知財の観点も含めて融資をするという制度は非常に良いものではないかなと思います。
そこで一番重要なのは、金融機関の方あるいは事業の方も両方ともwin-winになるためには、事業が成功しなければいけないと思うのですけれども、やはり事業が成功するかというのは、どれだけよい商品があるかであったりとか、ビジネススキームが良かったりだとか、そういうものに加えて、それらを支えるあるいはサポートする上でどのように知財が貢献しているかというところが非常に大事だと思っています。
単に知財を持っていればよいというわけではなくて、どう事業に知財を貢献させるかというところが肝でして、そういうところに支援・サポートできる体制にするために、今のままで人的リソースが足りるのかというのは甚だ疑問のところがありまして、裾野を広げていけば広げるほど、そういったところにサポートする人をもっと増強する必要があるのだろうなと思います。
そうしない限りは、結局、知財のサポートがうまくいかずに、ビジネスもうまくいかないというところにもいきかねないので、そこのところは非常に危惧しているところでございます。そういうところでは、やはり弁理士、弁護士の方に加えて、企業のOBなども含めて積極的にサポートするというのがよいのではないかなと思います。
裾野を広げるという観点でいきますと、中小企業の多くの方にもっと相談に来てもらえるような施策が要るのではないかなと思います。経営者の方が本気でそう思わなければいけないので、経営者の方への啓発活動が要るのではないか。ワンストップで金融機関で全てサービスが受けられるというのが一番良いので、例えば金融機関のところによろず窓口みたいなところを設置すれば、金融機関に行って、よろず窓口に行ってといろいろなところに行かなくてもいいので、そういったことでよりサポートが広げられるのではないかなと思います。
以上です。 - ○渡部座長 ありがとうございました。
こちらの方から、佐田委員は手を挙げていらっしゃるのですね。 - ○佐田委員 山口大学の佐田です。
私は今、知的財産の技術移転活動もやっておりまして、そこで「産学官金」という言葉が非常に今言われており、金融機関との連携が推奨され、本学も取り組んでいます。
大学はシーズをいっぱい持っているのですけれども、ニーズがほとんどないのです。そこでこのニーズをどこで集めるかというときに、やはり銀行が企業ニーズを一番持っておられるようです。
ここで一つネックになるのは、実は最近、特に銀行関係と契約書を結ぶとかなり厚手の契約書のひな形を持ってくるのです。これは銀行の融資上で何か問題があったらしくて、その厚い契約書の秘密保持契約とかから、ことを始めますと、シーズを出す側の先生も音を上げるというか、参ったなということになりがちです。できるだけその辺を円滑に運べるような仕組みを、我々も考えなければいけないなと思っております。
特に銀行のニーズをどうやって大学につなげていくかというときに、余り最初から厳格な契約書ありきでやりますと、どうしてもそこに精神的な障壁が出来ます。本学は知的財産の無料開放という活動をやっている中で、銀行との間や企業との間で、厳格な契約書がなくていい形で、とにかく早く研究等がスタートできるようにしようという取組をさせていただいております。この辺の仕組みをもっと効率的にできないかと、今検討をしている段階です。
ところで言葉の表現なのですけれども、特に中小企業の知財の活用で「裾野」という言葉がよく出てまいりますが、これは中小企業にとっては「俺たちは裾野か」となります。教育においては「裾野」はある程度イメージしやすく、この表現で良いと思います。しかしながら知財活用分野の企業・ベンチャーの中には俺たちは裾野ではないと思っている方々にとっては、抵抗があるみたいですので、何とかいい表現の御検討をお願いしたいと思います。
以上です。
- ○渡部座長 ありがとうございます。
杉村委員、手を挙げていますね。 - ○杉村委員 杉村です。
特許庁のほうで、この1年間に過去比で3倍も積極的に金融機関へ知財に関する働き掛けをいただきまして、大変にありがたいことだと思っています。また、来年も続けて金融機関への働き掛けをお願いしたいと思っております。
その中で、例えば、標準化と、金融機関への働き掛けとの結び付きも大事ではないかと思っております。中小企業への標準化取得の促進とともに、金融機関に対して、融資へつながるように、標準化を取得した中小企業に対し、標準化が事業の発展を促進できる大きな一因であることを、特許庁と金融庁とが一緒にセミナーを開催していただくことをお願いしたいと思います。それに加えまして、経済産業省の標準化のご担当部署も一緒に金融機関へセミナー等を図っていただけると、より良いのではないかと思っております。よろしくお願いします。 - ○渡部座長 ありがとうございます。
妹尾委員、お願いします。 - ○妹尾委員 しばらくお休みをさせていただいていたので、しばらくぶりに拝見して、この金融機関について1つ評価と、これは脇を締めないとやばいのではないかなという2つの点を申し上げたいと思います。
1つ、評価ということでは、金融の方々に知財マネジメントを理解していただくという良いきっかけになるな。なおかつ、金融の方々を通じて中小企業の方々が知財マネジメントに理解を示してくれるな。これは非常に良いなと思っております。
ただ、1つちょっと心配なのが、これは知財なのか、知財権のことなのかというのが曖昧だということです。また「知財ビジネス」という言葉がミスリードをするのではないか。知財ビジネスというのは、昔、知財権の売買によってビジネスをすることを主として「知財ビジネス」と呼んでいたわけですから、金融機関が「知財ビジネス」と言ったら、権利をまた集めて売買するのかという理解がされないか。それが老婆心ながら気になるところです。
名称に続いて内容の方もそうなのですが、知財権を持っていると評価されるということだけをやると、権利化してはいけない秘匿部分を一生懸命権利化する中小企業が増えやしないか。これは実際にたくさん見ています。
私が中小企業機構と2年前、3年前にずっと調べていったときに、秘匿すべきでしょうというようなものまで、勧められるがままに、どんどん権利化してしまうみたいなところがあるわけです。
そうすると、権利を持っていることを評価する一方で、秘匿をちゃんとしているよねという評価をできるかどうか、これが問われているのだろうと思います。そういう知財マネジメントです。
先ほど、近藤委員がおっしゃられた、正にそのとおりで、知財を持っているか、持っていないかではなくて、それをどう活かしてビジネスに反映させているかという正に知財マネジメントをしている。逆を言えば、活かし得る知財や秘匿をきちんとしているかというところを評価できる方々がおやりなのでしょうねというところを確認させていただきたい。
それはどなたがやられているかは知りませんけれども、それがないとこれは中途半端でミスリードを多発することがあるのではないかと一部で懸念をしてしまいます。
どういうことかと言うと、要するに、これは知財権や知財の秘匿、営業秘密なども含めて、あるいは今、杉村委員が言われた標準化も含めたような、あるいは論文に公開化するように、知財をどういうバリエーションで活用するかということによって、一種の知財Augmented Businessということを言いたいというわけだろうと思うのです。知財によって強化されたビジネスをやっているところは評価しようということなので、そのスコープがもう少しはっきり見えるといいなという感じがいたします。
全体として、金融の方々を通じて、あるいは金融の方々に知財マネジメントが理解されることは良いと思いますけれども、そのところがまたいつもの権利回収中心主義に入ると、またやばいことが起こるのではないか。そこのところを老婆心ながらちょっと声にさせていただきました。 - ○渡部座長 ありがとうございます。
髙崎委員、お願いします。 - ○髙崎委員 髙崎です。
中小企業と金融機関というのは非常に密接な関係がありまして、支援人材、支援機関として知財マインドを中小企業に広めていく組織として、金融機関というのは非常に有効だと中小企業の立場で感じております。
ただ、残念ながら中小企業にも知財の知識がなくて、金融機関の方も知財の知識がない。これは後ほどの教育タスクフォースの中で出てくる議論かもしれませんが、元々学校教育の中で知財のカリキュラムが入っていないので、当然です。
先日、関西の地銀であります池田泉州銀行というところで、行員さん100名ぐらいにお集まりいただき私の体験談等をお話しさせていただきました。講演会の後で、行員さん自らが知財検定を受けてみるよ、勉強してみようという動きもできつつあります。先般、3月に検定があったのですが、受けられた支店長から、まだ結果は分かっていないのですけれども、受験をしたということだけで、融資先に行って実はこんな試験を受けたよと言ったら「ああそうですか!支店長自ら勉強されているのですね。」みたいな感じで良い切り口になったと大変喜んでおられました。
「裾野」と言うと語弊がありますので、ボリュームゾーンといいますか、今まで知財を余り意識していなかった中小企業に対しても、金融機関がコミットすることによって良い流れができるのではなかろうかと思います。そういう意味で金融機関の皆様の知財検定の活用も期待するところです。
もう一点は、知財ビジネス評価書ですが、これはワンランク上のレベルですね。ある程度の知財の基本構造が分かった上で、では、これを権利化しましょうとか、これはクローズにしておきましょうとか、標準化にチャレンジしましょうとか、そういうレベルの話なので、少し時間がかかりそうですが、将来的には重要な政策だと思います。
ただ、今のところ、全国でこの提携調査会社が約10機関あるのですかね。その切り口がそれぞれ違うと聞いていまして、ヒアリングに行くところ、行かないところ、資料だけで判定するところということで、同じ調査方法に基づいてこの評価書が出てきているのかどうか疑問に感じることがあります。 別に全く同じである必要はないかもしれませんが、金融機関が、調査結果に対して、これはどのように理解すればよいのかと戸惑うような内容がアウトプットされているのかもしれないという気がいたします。
以上です。 - ○渡部座長 ありがとうございます。
日覺委員、お願いします。 - ○日覺委員 日覺でございます。
多くの金融機関が知財ビジネス評価書の活用に取り組んでいるということは、非常にすばらしいことだと思います。ただ、実際の局面では、技術を正しく評価できる、いわゆる目利き力が必要になります。これは書いてあるとおりです。
金融機関に目利き力を持った人材を育成するには、実際の経験を積んでいくことでしかできないと思います。単に講習を受けるとか、勉強すればできるというものではない。やはり実務経験というのは必要です。
そういった意味で、当面は産業財産権専門官などが実案件に対して個別に支援して実績を重ねることで、金融機関に目利き力を持った人材を育成していくことができると思います。やはり何らかの包括的な支援をする体制というのが必要ではないか。
具体的に言いますと、金融機関の方が聞いて回るというのは余り現実的ではなくて、やはり必要とする人、すなわちユーザー側である中小企業側からアクセスすることになる。必要とする人からアクセスする。
そういった意味でも、先ほどちょっと荒井委員の方からありましたけれども、具体的な実績のデータベースといったものがあれば、アクセスするのに非常にやりやすいのではないか。そういうことも考えられます。
その他の支援策として、私どもが北陸の産地で現地企業約90社と連携して知財関係の取組を強化していますけれども、地方の銀行も巻き込んで関連する大企業と連携するというのも一つの方策ではないかと、このように思っています。
以上です。 - ○渡部座長 ありがとうございました。
吉井委員、お願いします。 - ○吉井委員 IP Bridgeの吉井です。
知財金融というのは、中小企業やベンチャーにとりましてとても重要なものですので、去年が51件、22機関で、ことしが150件、63機関、このように知財金融に対する金融機関の関心が高まっているのはとても素晴らしいことだと思います。
ただし、私どもが中小企業と銀行の間に入って仕事をしていて感じますのは、実際の融資までいくのは結構難しいのです。ですから、この150件、63機関のうち、何件ぐらい融資があったのか。また、個別の額は難しいでしょうけれども、総額でどのぐらい増えているのかという実際の融資のベースというのを教えていただければ、非常に勇気付けられると思います。
融資を進めていくための重要なファクターというのは、銀行の言葉でいつもお決まりなのは、金融庁が厳しいからなかなかリスクのある知財には融資できないのですという言い方もされるのです。いろいろ御努力されているのだと思いますけれども、より一層、金融庁のいろいろな施策を知財戦略活動の中に巻き込んでいくということもお願いできればと思います。
以上です。 - ○渡部座長 ありがとうございました。
大体よろしいでしょうか。具体的な御質問がございましたら、後で時間があれば、まとめてフィードバックをとりたいと思います。よろしいでしょうか。
そうしましたら、この課題については以上とさせていただきまして、早速、次の項目の検証に移らせていただきたいと思います。
2番目の「産学官連携機能の強化」につきまして、これも各省から説明していただいた後に意見交換を行うということで進めたいと思います。
特許庁、経済産業省、文部科学省の順で続けて説明をしていただければと思います。特許庁からお願いいたします。 - ○田名部企画調整官 特許庁企画調査課でございます。
それでは、お手元の資料3「共同研究契約における特許出願と契約の在り方の検討の報告」に基づきまして御説明をさせていただきます。
1ページ「産学連携調査(平成27年度産業財産権制度問題調査研究)1/2」でございます。
本年度、特許庁と文部科学省とで連携させていただきまして、産学官連携による研究成果の社会実装促進に向けて、研究成果の取扱いに関する契約内容の選択肢や留意すべき事項を整理する目的でこの調査研究を実施させていただきました。
委員長には一橋大学の相澤先生に就任していただきまして、そちらのページに列挙した大学関係者、企業関係者、法律家の先生、学識経験者の方々に委員に加わっていただきまして、アンケート調査、ヒアリング調査を行った上で委員の先生方に御議論をいただいて、つい先日、報告書を取りまとめたところでございます。
2ページ「産学連携調査(平成27年度産業財産権制度問題調査研究)2/2」の方に、その中身について御説明させていただいております。
取りまとめの概要でございますけれども、ピンクの囲みに記載したとおりでございます。共同研究等の成果をイノベーションとして結実させるためには、共同研究等の契約を行う際に、大学等と企業の共同研究等に対する目的を双方が認識して、様々な判断要素等を当事者双方が十分に勘案して、契約事項の内容について柔軟に対応することが重要であるということをお示しさせていただいております。
左上の青い表でございますが、こちらが企業と大学それぞれの共同研究の目的について分類した表でございますけれども、大学側、企業側にそれぞれ目的があるということでございます。
産学連携の観点で申し上げれば、大学が研究成果の社会実装を目的としていて、企業側が自社での独占的実施、又は第三者も含めた非独占実施を目的とするケース、これはカタカナのロとニといったところでございますけれども、これが産学連携の促進のために目指す方向であるということが示されました。
その右隣の表でございますけれども、こちらが産学で関心の高い契約事項でございます。資料の修正が間に合いませんで、今、この表の凡例が欠けておりますけれども、大学と企業が関心の高い協議事項になるものに「○」を付けております。
「-」は、目的の組み合わせにより決まる事項であって、協議にはほとんどならない事項でございます。
印がないところが、協議事項ではありますけれども、目的の違いが要因とはなりにくい事項でございます。こういった各目的の組み合わせに応じて、どういった契約事項について関心が高いかというところを示させていただいております。
それぞれの契約事項を検討するに当たっては、左下に挙げた判断要素を十分に勘案して、柔軟に対応することが重要ということも示されました。
さらに、右下にございますように、共同研究等の成果、特許権をどう取り扱うかということに限らず、例えば共同研究と受託研究の使い分けであるとか、インターンシップ等々も含めた大きな枠組みで産学連携の仕組みを考えたり、あるいは共同研究等の予算規模の拡大など、幅広い観点でいろいろな調整を図っていくことも有用であるということも示されました。
これが本年度行いました調査研究の概要でございますけれども、今後、この報告書の内容を産学官連携に携わる方に広く周知してまいりたいと考えております。
以上でございます。 - ○宮本室長 それでは、続きまして、経済産業省から資料4「『大学における産学連携活動マネジメントの手引き』の策定について」に基づきまして簡単に紹介させていただきたいと思います。
1ページ「『大学における産学連携活動マネジメントの手引き』の策定」を見ていただければと思いますが、大学の産学連携機能を強化し、産学連携の成果をあげていくためには産と学がうまく連携することが非常に重要になるわけでございます。
大学には、平成10年以降、TLOや産学連携本部といった、産学連携を推進するための組織が作られてきたわけですが、それが比較的うまく機能しているところ、あるいはうまくやろうとしているのだけれどもなかなかうまくいかないところ等、大学によっていろいろ差が出てきているのではないかと考えまして、産業界から見て連携しやすい大学は産学連携の成果が上がっているのではないかとの仮説のもと、5年ほど前から、さまざまな評価指標に基づいて、産学連携機能の評価の大学間比較をやってまいりました。
大学間比較に関する情報を大学間で共有することで、うまくやっている大学はどういった工夫をやっているのかということをお互いに学び合うことができるようになります。こうやって各大学が自主的に改善活動をする際の参考となる、大学間比較情報をまとめたものを作りまして、先週の金曜日に「手引き」という形で公表をさせていただきました。
別途、後ろの方に分厚い資料が幾つかございますけれども、そのうちの1つに「大学における産学連携マネジメントの手引き」という公表させていただいたものを添付させていただいておりますので、御参照いただければと思います。
1ページにございますように、5年間かけまして、いろいろな大学の産学連携機能の質を見える化したものを大学間で共有するという仕組みを作ってまいりました。
これを個々の大学における改善活動に使っていただくということでございますけれども、マクロな視点で見るとどういった傾向が見えるかを少しだけ紹介します。
3ページ「平成25~27年度の調査結果から示唆される内容」を見てください。産学連携活動にもいろいろな種類がございますが、いろいろな指標に基づき各大学のいろいろな種類活動のパフォーマンスを見たところ、産学連携活動の種類、内容によって大学の得意、不得意に結構大きなばらつきがあるということや、ある側面において非常にうまく回っているように見える組織も、別の側面においてはうまく回っていないことがあるというようなことも分かりました。 例えば、特許の扱いに関しましても、「(1)特許収入に関する視点」の真ん中あたりに書いてございますけれども、幾つかの大学では、とにかく特許を譲渡して短期的な収益を上げるということに一生懸命になっていて、それがゆえに民間企業との契約締結がうまく回っていないように見えるようなところもございます。
この「手引き」は、このような知財の取り扱いを含め、大学がどのように産業界と連携すればお互いにwin-winの関係となるかということを示す一つの材料にもなると考えておりまして、そういったことも含めて大学の方で勉強されて、知財ポリシーなり、知財のマネジメントの改善に活用していただけるものと考えている次第です。
今後、この「手引き」を更にいろいろな大学間で普及を進めてまいりまして、それぞれの大学における特色を活かした知財マネジメントの向上につなげていただければと期待しております。
以上でございます。 - ○渡部座長 文部科学省、お願いします。
- ○坂本課長 文部科学省産業連携・地域支援課長の坂本です。
資料5「産学官連携機能の強化について」を用いて説明させていただきます。
1ページおめくりいただくと、今、経産省の宮本室長の方からも、産学官連携のマネジメント、あるいはこちらの方で既にもう議論の本丸であります知財の取得・管理・活用といったところのマネジメントを含めて、大学の経営を改革していくという要求が非常に強いということを我々は真正面から大学関係者と受け止めて、その改善を図りたいと考えています。
1ページ目「大学・研究機関による知的資産を総動員したイノベーション創出への要求」に示されているのは、昨年から今年にかけて経団連の方でおまとめいただいた提言の中で、特に本格的産学連携、あるいは地域でのイノベーション創出、あるいはベンチャー創出に対して大学がどういう役割を果たすべきか、というところの記述を引っ張り出してきておりますが、特に<本格的産学連携に対する産業界の姿勢>のところに赤字で書いておりますけれども、大学あるいは研究開発法人も含めて、財務構造であるとか、知財の管理等を含めて本部を中心とした経営機能というものが不十分であるということです。
そういったところの障害を克服して、幅広い投資、あるいは知・人材の交流の拡大を図るというメッセージを産業界から出していただいているということ。これに対して大学がどういうシステム改革をしていくべきか、というところを、今、全国で議論させていただいているところでございます。
特に高い技術力を持つ地域の中堅・中小企業との共同研究の拡大も地方の大学では非常に重要なテーマでございますし、ベンチャー創出ということで、国立大学改革の動きと連動しつつ、大学をベンチャー企業創出・育成のハブとして確立することが重要であるということが産業界のメッセージとして出されたところでございます。
知財の観点でいいますと、2ページの下の方を御覧いただきますと、我々文部科学省の中に検討会を作りまして、今、議論を進めているところでございます。
委員の先生方は3ページに書いておりますが、こういった有識者の先生方に議論をしていただいているわけでございます。
その内容は2ページの方に示しておりますが、大学経営の観点、これは大学経営レベルで知的財産マネジメントを捉えることが必要と書いておりますが、要は、大学は当然オープン・イノベーションへの貢献というのが求められているわけですけれども、更に産業界とのパートナーシップによって大学の教育研究も発展させる。財政基盤を強化させる。それらの両方をきちんと追求することを経営課題として捉える。その一環として知的財産マネジメントをどうすべきかを考えるということを我々は何とか促したいと考えているところでございます。
知的財産マネジメントの高度化ということで、大学経営の観点から知的財産戦略を策定することが必要であるとか、その中で、大学の特許権単独保有の問題をちゃんと進めていく。共願であっても、どのように活用するかというのを考える。知的財産を取得・管理するために必要なリソースを充てる。これは知財の部局の活動ということもありますけれども、さらにはプルーフ・オブ・コンセプト(POC)、概念実証のための仕組みも構築するといったところの支援もこれから強化していきたいと思っております。
先ほど宮本室長から、大学の経営でやはりグッド・プラクティスというのが出始めていて、それを基に全体の水準を引き上げていきたいというお話がございましたが、我々文部科学省としても、分析で、最後の赤字のところに書いていますけれども、大学の中には「一気通貫の知的財産マネジメント」と我々は呼んでおりますが、出願のタイミングで企業等に打診してニーズを把握するようなプレマーケティング、その知財を強くするため、例えば実施例をきちんと盛り込むための研究をちゃんと計画の中に入れるとか、そういったことで知財を用途仮説も立てて強くして、事業化に持っていくということを積極的に行っているところはライセンスの収入を増やしているとか、そういったところが見えてきておりますので、そういった方向に誘導していきたいということを考えています。こういう検討はその一例でございます。
そういったことを、我々文部科学省が大学のシステム改革を支援する各種事業の中にも埋め込んでいきたいと思っております。
詳しい事業の説明は飛ばしますが、4ページ目は、先ほど経団連の提言にも出ておりましたが、非競争領域、要は基礎基盤研究領域で産学が共同でリソースを持ち寄って研究を行っていくということを支援する事業でございますけれども、こういったところでも知財マネジメント、これはマルチラテラルの研究のプラットフォームになりますので、非常に重要になってまいります。こういったところの知財のシステム高度化というところをこの事業の要件にしている。これは平成28年度に新規でこれから採択しますけれども、そういったことをしているところでございます。
5ページ目「地域イノベーション・エコシステム形成プログラム」は、地域の大学が、我々は「事業プロデュース機能」と呼んでおりますけれども、左の支援内容のところに書いておりますが、企業、特に地域の中堅・中小企業のニーズを起点として技術シーズの掘り起こしを行っていく。域外からもシーズを取り込んでいって、単に技術移転ということだけではなくて、施策検証、さらにはビジネスプランの構築までも地域の産業支援機関あるいは金融機関と一緒になって大学が主体的にやるというモデル、これは一部TLOとか、そういったところで積極的に進められておりますけれども、是非大学本部あるいは執行部が経営課題としてこういったところに乗り込んでほしい。そういったモデル作りを支援する事業として、これも平成28年度から立ち上げようと考えているところでございます。ここでも知財は非常に重要になるということでございます。
最後に6ページ「ベンチャー創出支援強化の方向性」ですが、これはこれから具体的な施策の検討に入りますけれども、文部科学省は様々な基礎研究活動を推進しておりますが、そういった中で有望なシーズ、さらには意欲を持つ人材を掘り出してきて事業化に結び付ける。そのために起業家教育とハンズオン支援というものを一体化させて、基礎研究シーズをベンチャー立ち上げにまで結び付けていくというような施策も新たに展開していきたいということで、今、検討を進めているところでございます。
こういったところの知財マネジメントは、各大学で非常に重要になってまいりますので、経産省あるいは他省庁と連携しながら、こういった大学のシステム改革を進めさせていただきたいと思っております。
以上です。 - ○渡部座長 ありがとうございました。
ただいま御説明のありました産学官連携機能の強化につきまして、御意見のある方は挙手をお願いいたします。
日覺委員、お願いします。 - ○日覺委員 現在、産学官連携そのものは実際、低調であると思います。まずは本格的な共同研究を拡大する活動が非常に重要です。
それに関しましては、企業からは大学・研究開発法人の知財マネジメントに課題があるのではないかと認識しているといった声が多数上げられています。各大学や研究開発法人は、論文発表などの成果公開時期、知財の対価設定、不実施補償といった点について、技術の社会実装を加速することを意識して、産業界の実情にも配慮した知財マネジメントを実行すべきであると思っています。
また、高度な知財マネジメントを実行する大学・研究開発法人の本部機能の強化も併せて必要になります。これは先ほど御説明いただきました。
先ほどの報告で柔軟に対応することが非常に重要であるといった説明がありましたが、正にそのとおりでして、具体的に言いますと、今もお話ししました成果の公開時期、あるいは知財の対価、不実施補償等について、大学側は共同研究契約書のひな形というのを持っておられまして、そのひな形で硬直的な対応というか、それに固執するといった傾向が強いといった意見も聞かれていますので、ここは正に先ほど話があった柔軟な対応をしていただくといったことをお願いしたいと思います。
加えまして、共同研究の成果については、大企業だけでなくベンチャー企業などでも利用されることが重要であると思いますので、経団連としても東京大学との共同研究成果を活かし、大企業と大学が共同でベンチャーを創出・育成する仕組みなどを検討しているところでございます。
以上です。 - ○渡部座長 ありがとうございます。
近藤委員、お願いします。 - ○近藤委員 近藤でございます。
産学連携が成功するか、しないかというのは、その当事者の方々がゴールを共有しているかどうかというところに大分大きく関わっているのではないかなと思います。社会に貢献するために何をするのだと、こういうものを商品にするのだと、社会実装するのだというのをきっちり共有して、そのためにそれぞれ役割として何をやるのだということだと思うのです。
これは以前申し上げたことと繰り返しになってしまうのですけれども、そういうことからすると指標として何が適切かというと、社会実装したボリュームというか、販売額なのか分からないですが、そういうところを目標としないで、例えばライセンスの実施料だとか、共同研究の費用の総額みたいなものを目標にしてしまうと、そもそもやりたかったところと違うバイアスがかかってしまって産学連携が非常にやりにくくなるというのが実態だと思います。ですので、指標化に当たっては、そのあたりをしっかり御検討いただきたいと思います。
もう一点は、大学の知財マネジメントをするに当たって、各大学がそれぞれ知財部みたいなものを持った方がいいのかどうかというと、多分それだと間接費が高くなり過ぎるので、地域でまとめて見るような機関・団体といった形でまとめて知財マネジメントをするということも検討すべきではないかなと思います。
以上です。 - ○渡部座長 ありがとうございます。
正木委員代理、お願いします。 - ○正木委員代理 正木でございます。
今回の議論と直接関係しているというところではないのですが、今後の検討の課題として2点、また、資料3の共同研究契約に関して1点申し上げたいと思います。
今後の検討課題の1点目ですが、日本の企業は、非常に多額の研究開発費を投じて、その成果として特許権を初めとする産業財産権を多く取得しているが、なかなかその技術力の高さに見合った収益を得ることができていない。投資額に対して適切な収益を得られなければ、先ほどから話題になっているイノベーションサイクルは回らない、いろいろな議論はあるのですが、台湾、韓国等の新興国企業になぜ市場を奪われているのかに立ち返り、事例の原因と、産業財産権との関連を分析して、必要に応じて知財戦略や政策への反映を図るのが重要と考えております。
もう一点は、現在、AIあるいはビッグデータ等のICT技術は加速度的に進化しており、技術を開発したら、その先、特許化などの権利確保は二の次にして、すぐに事業を立ち上げるフロントフォーマーとならなければなかなか勝ち残っていくことはできないと考えております。そういった産業財産権の権利化の意義を根底から揺るがしかねないような変革が起きているということに対し、これからの知財制度というのはどのようにあるべきかという検討も非常に重要になって来ているのではないかと考えております。
資料3の共同研究契約に関してですが、イノベーションの創出には、産業界の積極的なチャレンジと、政府による強力な政策の推進、アカデミアの有する基礎研究力との連携という、産学官三位一体の取組が非常に重要だと思っております。
資料3の2ページに「大学等と企業による共同研究等の目的別分類と、関心の高い契約事項」と非常に整理されていますが、目指す方向を分類して、先ほど雛形というお話が出ていましたけれども、1種類だけではなくて複数の雛形を用意して、そこから具体的な案件に応じて柔軟に協議していくというような議論が進みやすくなる取組を設けてはどうかと考えます。
例えば、大学によっては産学連携部署に企業の出身者の方がいらっしゃるところもありますが、事業に関わる経験が少ない中で大学としての実績を求められると、柔軟な対応というのはとりにくいということもあると思います。
企業側でもなく大学側でもない立場の専門家に、産学の間の研究の位置付けの話合いの段階に入ってもらって、大ざっぱな契約条件をアドバイスしてもらう第三者アドバイザーの仕組みを導入することも考えられるのではないか。
更に、金額によって進め方を変える、例えば1,000万円以下の場合だったら、基本的に大学側の雛形に従う、1,000万円を超えるものは交渉によって綿密に協議をして決めるというようなある種の割り切った仕組みを柔軟性として企業の側に浸透させていくことで、企業側も次第に大きな金額の研究を大学と進めていくことにも繋げることができるのではないかと考えております。
以上でございます。 - ○渡部座長 ありがとうございました。
荒井委員、お願いします。 - ○荒井委員 資料4について質問と意見ですが、8ページはこういう理解でよろしいのですか。大規模大学と中小規模大学の平均年収だということでよければ、単願の実施料と譲渡収入、共願の実施料と譲渡収入をそれぞれ合計すれば、大規模大学の平均の年収が入る。そういうことで計算してみますと、それぞれ200万円弱なのです。だから、大学が1年間で特許の許諾あるいは譲渡によって得ているのは、年収が平均で200万円だという理解でよろしいですか。
- ○渡部座長 経済産業省、お願いします。
- ○宮本室長 8ページのところなのですけれども、それぞれの大学で実施許諾若しくは譲渡している特許の件数が大学によってばらばらでございまして、それぞれの大学で1件当たりどの程度の収入につながっているか、単純に割り算をするとどうなるかということを出したものです。それを大規模大学と小規模大学の全部の大学間の平均をとると、例えば8ページの左上ですと、大規模大学では単願の特許の実施許諾に関する1件当たりの金額が73万8,000円であるという計算でございます。
- ○荒井委員 大学の方のいろいろな状況を聞いたり、調べたりしてみますと、大学も産学連携について非常に苦労しているということなのです。苦労しているのは、運営費交付金が減っているので、今までそういうところから回していたお金がなかなかこちらに回らない。結局、外部からの資金に期待する。
こういうときの許諾収入あるいは譲渡収入も一つだと思います。全体を通じての共同研究から入ってくるお金がない限りは、先ほどもお話がありましたけれども、間接経費も、人件費も賄えない。大学の中ではそこへ回している人間及び資金、そういう意味でのリソースが減少しているというのが実態だと思います。
大学が実際に苦労している様子をよく見ていただいて、産学連携あるいは共同研究が社会の役に立つとか、実装するためにも一番良い方法ですし、そういうことに関係している大学院の学生とかの教育にとってもいいことだという大義名分、実際の効果をもう少し出していただいて、ここに大学サイドがリソースを人的にも資金的にも入れるようなことについても更に働き掛けていただきたい。今のままだと減少傾向にあるのではないかと懸念されますので、この調査を踏まえて、アクションとしてつなげていただくのが必要ではないかと思います。 - ○渡部座長 ありがとうございます。
佐田委員、お願いします。 - ○佐田委員 大学の立場から幾つか御説明をさせていただきたいと思います。私は13年間、大学で技術移転だとか知財管理をやっておりますが、企業の方々に誤解もいろいろあるなと思います。実は今、契約の統一的ひな形はありません。これは法人化で廃止されました。
あるとすれば、恐らく各大学の中でも、交渉のできるポテンシャルがないところは、法人化前の昔、その時には文部科学省が作られたひな形がありましたけれども、あれはもう使わなくてよく、大学独自で話し合って決めればいいと法人化直後に言われました。ということで、たまたま旧型のものが残っていたということではないでしょうか。
私も知財戦略とか、そういったことを前職のときに少し勉強したものですから、少しは実践したいなと、意気込んでいたのですが、大学内では知財戦略がほとんど取れないという実情があります。
なにかといいますと、大学に予算がないのです。交付金が毎年減っています。今、荒井委員からもいみじくもおっしゃっていただきましたが、運営費交付金も研究費やその成果物の権利化に回せる金額が少なくなっているために、契約に際してかたくなになっているとか、柔軟な対応がとれないという状況です。そのため思うような戦略もとれないのです。
知財も1件の特許では守りにくいため、周りを固めるとかのいろいろな戦略とか、あるいは実施料を増やすための方策を当然のことながら、やらなければいけないのですけれども、その経費が割けないのです。出願だけで1件当たり40万円、50万円の経費が掛かり、最後まで維持しますと百数十万円掛かります。
ですから、今、これを我々お金のない大学が、どのようにやっているかというと、例えば出願前の譲渡を考えています。出願してしまうと、弁理士の費用とか、いろいろ経費が掛かります。だから、譲渡が増えるというのは、別に戦略がないというわけではなくて、止むを得ない苦肉の策として、現場担当者がやっているのだということを是非御理解いただきたいと思います。
間接経費を回してほしいと我々もずっと言い続けていますけれども、間接経費を増やしますと、どうしても内税になりますので、先生方にすれば思わしくなくて反対されるのです。そういう意味合いと、1人頭の先生方の研究費が一体幾らあるかということを企業の方はほとんど御存じないのです。
実態の金額を説明しましたら「それは1カ月ですか」と言うので「いや、1年ですよ」と言ったら「そんなので研究できるのですか」びっくりされてしまいました。
そういった実情があるというということを是非御理解いただいて、我々が知財をやる限りにおいては、戦略というのも非常に必要だということは重々認識していますけれども、何せ大学から特許の経費に回す金額がかなり絞られて、企業では恐らく出願の前にがっちり選別して、ここまでは出願を減らせないなと思う以上に、大学では努力してやっています。こういった実態を是非知っていただきたいところです。
研究者は、私も若干勘違いしていたのはありますけれども、お金もうけというよりも、自分の研究成果を実現してほしいということなのです。それを社会で実装するためには知的財産があることが一番有効な手段なわけです。
先生方もおっしゃいます。お金もうけの姿よりも、それを実現することに努力する姿が良い教育につながるのだということです。是非その辺のことを御理解いただきたいと思います。
以上です。 - ○渡部座長 ありがとうございました。
山本委員、お願いします。 - ○山本委員 特許庁の共同出願の件で、柔軟な対応というのはそのとおりなのですが、今、さんざん議論がありましたように、1件60万円とか70万円で、これ以上柔軟にといっても、産業界ももう少し柔軟にというのはありますが、共同出願の場合は多くは防衛特許です。もちろん企業にとっても防衛特許は重要なのですが、ここを大学がどこまでコミットするかというのをちゃんと考えないと、単願と共願を比べると、共願というのは防衛特許の場合は絶対に事業化されないわけなので、事業化率みたいなもので見ていくと、ここを正確に把握しないと実施率みたいなものは低いままということがあるので、そこをどうするかというのは議論があるのかなと思います。
本当に産学連携で生まれた知財を活用するということであれば、余りそこは考えたくないという意図が見えますが、特許法73条をどうするのか、本当に今のままなのかというのは議論していただきたいと思っています。
2点目の「大学における産学連携活動マネジメントの手引き」ですが、これは私も委員に入っていますが、各大学、非常にインパクトが大きくて、ここで特異的な動きというか、変わったデータが出ていると、直ぐに他の大学からどうやっているのかという問い合わせが来るというのが実態で、そういった意味では、成功例に学ぶということと、大学の産学連携担当理事といった経営ボードがこの産学連携の評価指標を考え始めておられるという意味では非常にインパクトがあるので、是非この定点観測というのは継続いただきたいと思っています。
最後に、文部科学省の機能強化の話ですが、私、非常に方向性は素晴らしいと思っています。ただ、この方向は良いのですけれども、できれば欧米でやっているようなギャップファンドとか、この方向のまま、そういう具体的な施策を検討いただければと思っております。
以上です。 - ○渡部座長 ありがとうございました。
吉井委員、お願いします。 - ○吉井委員 産学連携で詳細な分析、それに基づく手引書というのは、マクロ的な指標として企業にとってはとても助かります。ありがとうございます。
ただ、1点、現場感覚からすると、産学連携の「学」というのは1つなのですが、実はもうお分かりになるかもしれませんけれども、教授の社会と事務方の社会があり、また、事務方の中では、共同研究をするに当たっては共同研究の契約の担当課、法務の担当課、知財の担当課といろいろ分かれていて、企業から共同研究に進めていくにおいては、大学というのは実は1つではなくて、いろいろな窓口があって、目的を達成するというのはかなり大変な作業なので、そういうところも配慮していただいて、1つの窓口で進められるような形にしていただくと、企業にとってはとても助かります。
以上です。 - ○渡部座長 ありがとうございます。
まだ意見があるかもしれませんが、少し時間が押していますので、次に進めさせていただきたいと思います。
次の検証項目でございますが「知財システムの整備に向けた国際協力」につきまして、特許庁から説明していただきたいと思います。よろしくお願いいたします。 - ○松下室長 ありがとうございます。特許庁国際協力課の松下と申します。よろしくお願いいたします。
先ほど御紹介いただいた「知財システムの整備に向けた国際協力」ということで、資料6「知財システムの国際課への対応~新興国等への我が国知財システムの普及と浸透~」に基づいて御説明をさせていただきたいと思います。
スライド1ページ目の「特許庁の役割」は、グローバルな知財環境を新興国等に普及、浸透させていくための特許庁としての基本的な考え方を整理させていただいたものでございます。
図にありますとおり、特許庁の強みを最大限に活用しつつ、海外の知財庁と協力をして、中心に3つ掲げさせていただいておりますけれども、例えば「先進国との知財環境の調和の促進」、「我が国の世界最高品質の審査結果の発信」、今回のトピックスに一番関係するところでは、「途上国・新興国の知財環境の底上げ」を進めてまいりまして、グローバルな知財環境を整備し、さらにユーザーの皆様からのフィードバックを基に、特許庁の取組を精査してまいりたいと考えております。
スライド2ページ目の「特許庁の取組」は、その具体的な中身を御説明させていただいたものでございますが、知的財産の調和の促進のため、知財制度の運用の調和でありますとか、世界最高品質の審査結果の発信、特許審査ハイウェイ(PPH)などを進めていきたいと考えております。
今回は赤い点線の枠囲いがメインになると考えておりますが、例えば審査官の派遣や受入を始めとした「審査の迅速化のための支援」でありますとか、あるいは「国際条約の加盟と加盟後の運用の支援」、「情報化の支援」、さらには「知財制度の執行体制の環境整備」、例えばこちらは現在ミャンマー、ベトナム、インドネシアにJICAの長期専門家を派遣しておりますけれども、今後ともユーザーの皆様からのフィードバックを基に進めてまいりたいと考えております。
スライドの3ページ、4ページ、これらは特に新興国のアセアン10カ国への取組を3ページ目のスライドで、各国ごとの二庁間の取組を4ページ目のスライドで御説明をさせていただいたものです。
簡単に申し上げますと、3ページの「日アセアンマルチ協力(アセアン10カ国に対する取組)」でございますけれども、毎年度、日アセアン長官会合を行っておりまして、点線の中にございますとおり「日アセアン知的財産権行動計画」に合意いたしまして、アセアン10カ国に対する共通の取組を進めているところでございます。
中身としましては、下線に書いてありますとおり、人材育成の協力でありますとか、業務管理の支援の協力でありますとか、あるいは先ほど申し上げました国際条約の加盟促進の支援でございます。
一方で、スライド4ページ目の「日アセアンバイ協力(アセアン各庁との二庁間の取組)」は各国ごとの取組でございますけれども、こちらは各特許庁との間で協力の覚書を結びまして、特に新興国については進展の度合いが異なりますので、それぞれのニーズに応じた協力をしているということでございます。
例えば表の左の方に支援の内容というのがございますけれども、審査の迅速化、条約の加入支援、あるいは電子化の支援、これらは各国ごとに状況が異なりますので、そのリクエストに応じまして、あるいは日本企業の皆様からのニーズに応じて、こういった協力の内容を毎年度検討いたしまして進めてまいりたいと考えております。
5ページ、6ページにありますとおり、アセアン以外、特にインドでありますとか、ブラジルに対しても協力の支援というのを続けております。
5ページ「インド 知的財産に関する課題と取組」でございますが、特にインドでありますと、枠囲いにありますとおり、出願の数は急増しておりますけれども、審査待ち期間が3年~6年と非常に長いということで、企業の皆様から審査期間の短縮という強いニーズがありますので、こちらについて早期審査でありますとか、PPHを導入するべく、特許庁あるいはハイレベルで導入の働き掛けを行っているというところでございます。
6ページの「ブラジル 知的財産に関する課題と取組」につきましても状況は同様でございますが、こちらは特に審査待ち期間は約10年と非常に長い期間になっておりますけれども、こちらにつきましても、特許庁としましては、人材育成の協力を初め、審査期間の短縮について、各政府機関との交渉の場で働き掛けを行っているところでございます。
7ページのスライドでございますけれども、こちらは「途上国における人材育成支援の取組」というのをまとめた資料でございます。
左の方に表がございますが、1996年から約20年で累計5,000人という規模でございますけれども、各国ごとにトピックスを選定いたしまして、人材育成支援のための研修を進めている次第でございます。併せまして、専門家派遣を累計約600名ということでございますけれども、各国のニーズを把握しつつ進めているところでございます。
最後のスライド8ページ「(参考)海外での支援体制(知財専門家の配置)」でございますけれども、こちらは海外において現地の知財情報の収集を行うため、あるいは現地日系企業の支援を行うために、知財の専門家をJETRO等の海外事務所に派遣しております。
今年度につきましては、赤字で書いておりますとおり、JETROシンガポール事務所あるいはドバイ事務所へ新たに専門家の派遣をしております。こちらにつきましても、今後、拡充を検討してまいりたいと考えております。
最後に、今回の主な論点のところで、今後どういった取組を進めるかというところでございますけれども、特にスライドの2ページ、4ページに書いてありますとおり、審査迅速化、国際条約の加盟支援、情報化支援、知財制度・執行体制の強化といったものを各国ごとの状況に応じましてそれを高めるべく、特許庁としても進めてまいりたいと考えております。
以上で説明を終わらせていただきます。ありがとうございました。 - ○渡部座長 ありがとうございました。
それでは、ただいま御説明がございました国際協力について、御意見のある方はいかがでしょうか。
宮川委員、お願いします。 - ○宮川委員 宮川でございます。
実は日弁連の知財センターと弁護士知財ネットという団体で、弁護士、法律家19名でミャンマー訪問団を組織しまして、2月7日~12日までミャンマーに伺ってまいりました。この日弁連・弁護士知財ネットのミャンマー訪問団につきましては、最近、3月23日の衆議院の法務委員会でも取り上げていただきました。
宮川も参加させていただきましたが、我々が何をやってきたかというと、もちろんJICA、日本国大使館、外務省、法務省、特許庁、JETROがこれまでミャンマーに対しては継続的に法整備支援をしてこられましたけれども、我々民間の団体といたしましても、そのような法整備支援に何かお手伝いができないかということでございます。
特に現在ミャンマーでは「知財4法」と言われています特許法、商標法、意匠法、著作権法がちょうど議会で審議中でございます。それにつきましては、日本の知財制度、知財紛争処理制度がどのようになっているのかという情報を参考にしたいというお声がミャンマーの最高裁、科学技術庁と関係団体の方からありましたので、我々が持っている日本の知財制度についての知見をミャンマーの方たちに提供して、御参考にしていただくためのワークショップというものを最高裁と科学技術庁、JICAにアレンジしていただいたという次第でございます。
そこで私どもが感じましたのは、お会いするミャンマーの各関係機関の方たちは、皆さん一様に、日本からの法整備支援、特に知的財産整備に関する法整備支援について非常に感謝していらっしゃるということで、皆さん感謝のお声を上げておられました。さらに今後、ミャンマーに知財制度が成立した暁にも、引き続き知財の人材育成について、さらに日本からの御支援をいただきたいという要望も承ってまいりました。
私ども在野というか、民間の法曹あるいは法律家の団体といたしましても、特許庁、法務省、各関係機関の方と一緒になって、そのような知財システムの整備ということに向けた国際協力に協力させていただけたらと感じて帰ってきた次第です。
以上、御報告申し上げます。 - ○渡部座長 ありがとうございました。
山本委員、お願いします。 - ○山本委員 特許庁がやっておられることは素晴らしいので、これに対しては全く反論はなくて、素晴らしいと思っております。
特にアジアなのですが、途上国は、法整備はもちろん重要なのですが、産学連携とか、技術移転とかについて学びたいという要望が非常に強いです。ここにある国でいうと、タイ、ベトナム、インドネシア、マレーシア、ミャンマーですらTLOを作ろうしていて、ミャンマーはTLOをつくる前に特許法を作った方が良いのではないでしょうかという話をしていますが、本当に技術移転を学びたいということでしょっちゅう来られるのです。
今、私たちはホスピタリティーと使命感とボランティア精神でやっているのですが、もっと国として、そこについて、先ほどの議論で日本にも駄目なところもまだあるという話なので、駄目なところも良いところも含めてどう支援するかというようなことも、この人材育成に入るのかもしれませんが、そういったイノベーションに結実するところでもやることがあるのではないかなと思っております。
以上です。 - ○渡部座長 ありがとうございました。
では、妹尾委員、お願いします。 - ○妹尾委員 ありがとうございます。
私もしばらくぶりなものですから、これを見ていて思うことを2つほど述べさせていただきたいと思います。
表題でよく分からなかったのは、知財システムの国際化への対応という理解なのか、知財システム自身がグローバル競争を始めたから、それへの対応なのか。
私の理解は、5カ国かどうかは別にして、グローバルな中で新興国や途上国に対してどこがドミナントモデルになっていくかという知財システム間競争があるから、日本の知財システム、特許の関係だけではなくて、裁判の関係も何も含めて、どうやって特に東南アジアでドミナントになるかという問題意識だろうと理解しました。
国際的に協力するのではなくて、むしろ協力という名の下の知財システム間競争でどういう戦略を打つのかという観点だろうと思います。だとしたら、露骨に書くのが良いのかどうかは分かりませんけれども、それをもう少し強くしていいのではないかという気がします。
2つ目、だとすると、その中で、知財システムの中の特許システムないしは権利化システムが一体どういう特徴を持って競争力になり得るのかということを考えないと、その継続性が担保できないだろうということになるわけです。
1ページの最初の「基本的な考え方」の中に「特許庁の強み」と書いてあります。特許庁に強みがあるのだというのは、皮肉という意味ではなくて、特許庁に特長はありますよね。それを強み化するのが戦略ということだから「強み」と書くよりは、特許庁の特長をどう強み化するかと考えた方がいいだろうと思います。 「世界最速・最高品質の審査体制」とある。これは確かにそうなのだろうと思います。最高品質というのは何を意味するのかというのを具体的に言うと、私が教えていただいた範囲では3点あって、1つは、先行文献サーチの抜け・漏れがないということが非常に日本特許庁の特長だということ。
2つ目は、拒絶などのロジックの的確性が非常に高い。だから、非常に信頼性があるということ。
3つ目は何かというと、審査員ごとのばらつきが少ないということ。
このように文献サーチの抜け・漏れがなくて、ロジックがきちんとしていて、ばらつきがないとなったら、この特徴はどうなるか。AI化するのではないですかと私などは思ってしまいます。
先ほどもお話があったとおり、AIがこれだけ加速度的に進化しているとしたら、AI審査はすぐ来るぞ、ないしは、AI Aided審査はすぐ来るぞということになりますよね。だとしたら、特許庁はどこまでそれの準備を現在されていますかということがテーマです。あっという間に国際競争力を失い得るリスクがあるぞというところと一歩ではないですか。
そうすると、どうなりますか。これは当然ディープラーニングですから、コンピューター「で」教育するという形ではなくて、コンピューター「を」教育するという形になります。コンピューター「を」教育するというようなAI審査の教育をもう始められていないとまずいのではないですかということです。 例えば、数日前にマイクロソフトのAIがついに差別用語をしゃべり出したということがあります。つまりどういうことか。コンピューターを我々が教育する。私はコンピューター利用教育学会の会長をずっと長年やっていましたけれども、もうコンピューター「で」教育する時代ではなくて、コンピューター「を」教育する時代に入ってきた。このときにAI審査をどのように準備するのか。
2つ目、そのときに日本語の問題が競争力を持ち得るかどうかということです。恐らくAI審査になったら英語圏が圧倒的な強さを示すはずです。そのときにこれに対して特許庁が準備をしておかないと、恐らく、5カ国のドミナントモデルを競い合う知財システム間競争はあっという間に行ってしまうのではないかというような危惧を私は持ちます。
これが私の単なる老婆心で済めばいいなと思っていますけれども、もうそんな時代になっている。発明、イノベーションを謳っている知財のこの会が、実際にそこにおいてのイノベーションを考えないといけないのではないかなという気がします。
以上、コメントです。ありがとうございました。 - ○渡部座長 ありがとうございました。
日覺委員、お願いします。 - ○日覺委員 私は特に意見ということではなく、是非ともこの特許庁の取組を更に強化していただきたいということなのですけれども、企業のグローバル活動が非常に拡大しています。例えばAIやIoTなどの情報分野を中心に、インドなどの新興国で現地の企業や大学と連携した研究開発なども拡大しつつあります。また、今後、新興国の発展に伴って、多くの新興国への事業展開というのが増加してきます。新興国の知財レベルの向上というのは必須です。
そういった意味で、今日紹介のあった新興国の知財制度や運用に関わる支援、特に日本の知財システムの浸透が非常に重要であると思っていますので、是非とも今後とも進出企業のニーズを把握して積極的に取り組んでいただきたいと思っています。
以上です。 - ○渡部座長 ありがとうございました。
髙崎委員、お願いします。 - ○髙崎委員 ちょっと違う視点で意見を述べさせてもらいたいのですが、弊社にメキシコの特許庁や弁護士の方が2~3人、JICAで大工大に留学しているところから見学に来られるのです。毎年1回必ず来られまして、大阪で中小企業だけれども、知財を活用している企業があるということで先生が連れてこられます。5年前はメキシコの特許制度は自国の産業の保護と育成にほとんど役に立っていないということでした。その理由をお聞きすると、メキシコの特許庁に出願されるのは97%がアメリカ、ヨーロッパ、日本などの海外からの出願で、自国から出てくるのは3%ぐらいしかないということでした。つまり外国のための法制度なのかということで、そういう実態なのかと。恐らくミャンマーとかアセアンの諸国も多分そういうことだと思います。
昨年ぐらいからは、海外からの出願が80%程度で、自国からの出願が20%とだんだん増えては来ているようです。資料にもありましたように、APICなどもアセアンやアフリカ諸国の知財関係者の方を1~2週間招いて教育されておられます。同じようなことは中国、韓国、欧米でも行っているようで、特に中国などはがんがん引っ張ってきて、自国のシステムをPRしているようです。
妹尾委員がおっしゃった、日本のすばらしい特許制度を広め、各国にドミナントな地位を確立にしたいという目的だとは思いますが、一方で、アセアンにしても中南米、アフリカにしても、自国の産業の発展を望んでいるはずです。日本としては、日本企業が発展途上国に企業を作って、そこで知財が発生したときに、それを保護するためにその国の特許制度を何とかしようという狙いは当然ありますが、彼らの国にしてみれば自国の産業も発展させたい。
ということは、やはり知財人材育成も対象にもなっているということですが、彼らの国の教育制度、学校教育がどうなっているのかよくわかりませんが、例えば文部科学省で今やろうとしておられる知財教育的なものも、彼らに、こうやっていますよと指導することができないでしょうか。そうすると、整備するだけではなくて、自国からもっと出てきますよということにもなるかもしれませんし、知財検定的なものも、実はこういうものが産業界にありますよとPRもできます。 そうすることで、単なる中国や欧米諸国とのドミナント競争とは違う次元で、評価されるのではないかと思います。これはちょっと時間が掛かるかもしれませんが、別の視点で申し上げさせていただきました。
以上です。 - ○渡部座長
吉井委員、お願いします。 - ○吉井委員 アセアン地区に対する審査制度の精度を上げていくという御支援というのは、日本の中小企業が進出するに当たってもとてもありがたいことです。でも、いま一つ躊躇するというところがあります。それはやはり裁判制度に対する信頼性が十分でないと、出願して登録になっても、裁判になればどうなるか分からないというところで、やはり出願すらも躊躇してしまうという企業サイドのメンタリティーがあるというのも御理解ください。
アセアン地区では、シンガポールがもう数年前からアセアン地区の地域のIPのハブになると明確に宣言をして、着実にそのように向かっているなというのは仕事をしていて感じます。ですから、名目はいろいろな支援ですけれども、アメリカはアメリカ、ヨーロッパはヨーロッパで自分の制度を広げていこうという目論見があるように感じますので、こういう日本による支援を通じて、どこかに日本がIPハブになるというような構想も感じられるようなものがあると、日本の企業にとってはすごく心強いなと思います。
以上です。 - ○渡部座長 ありがとうございました。
杉村委員、お願いします。 - ○杉村委員 新興国への我が国知財システムの普及という点で、特許庁の方から御説明がございましたように、多くの国に日本の知財専門家人材を派遣していただきましてありがたいと思っております。今後もJETRO、外務省等を通じて、さらに知財の専門家を諸外国へ派遣していただきたいと思っております。
新興国への我が国知財システムの普及という点では、当該国の審査官だけではなく、そのシステムを実際に使用している民間の弁理士、弁護士の方々に対する知財教育をも実施することが、我が国の知財システムの浸透を図る点で重要ではないかと思っております。
日本弁理士会は2年に一度ASEANの国を訪問いたしまして、現地で知財関係者にセミナーを行い、日本の知財システムの浸透を図っております。今後も、特許庁と更に連携を強化して、官民一体となって我が国知財システムの普及をASEAN諸国に図っていければと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。 - ○渡部座長 ありがとうございました。
ただいま3件の検証項目について、御意見をいただきました。御意見については、最後にまた御説明しますけれども、知的財産推進計画2016の方で検討するということで引き取らせていただきたいと思いますが、特許庁、経済産業省、文部科学省、事実関係とか、御発言の内容でコメントされるべきことがあればお願いします。 - ○松下課長 少し御質問いただいた部分がございますので、その点についてお答えさせていただきたいと思います。
1点目の金融機関と連携した知財活用の促進ですけれども、荒井委員、吉井委員からどのような融資の実態があるのかという御質問をいただきました。
事業の成果としては、正に金融機関の知財マネジメントの意識が高まったというところも重要ではありますけれども、プレスリリースなどをされている範囲内でお答えさせていただきますと、知財ビジネス評価書を使っての融資制度を新しく作りましたという金融機関が今年度は7行出てきております。北は北海道の北洋銀行から、南は山口銀行までというところでございます。この事業を始める前には千葉銀行と大分の豊和銀行という2行だけでしたので、2行から7行に更に加えられたということでございます。
2点目としては、プレスリリースで融資したことを公表した案件も数件ありますけれども、その融資額につきましては、公表されているのは3,000万円から1億円の範囲内というところでございます。金融機関の場合、必ずしもオープンにしていないところはありますけれども、情報提供のあり方については、引き続き検討をさせていただきたいと思っております。
2番目に、ビジネス評価書の件について、髙崎委員と妹尾委員から御質問、御意見をいただいたところでございます。
まず、髙崎委員からいただいた件ですけれども、今、我々の知財金融の事業には8評価会社が参画いただいております。ただ、8評価会社の中には、金額として最終的に算定しているものから、特許マップのような形でその会社の技術内容を浮き彫りにしたものまで、いろいろなパターンがございます。
今の時点におきましては、我々はいろいろな試行を重ねて、金融機関の方々にとって使いやすい、あるいは関心を引くような評価書というのはどういうものかというのを検討していきたいと思っておりますので、何かに集約させるというよりは、幾つかのオプションを示しながら来年も進めていきたいと思っております。
知財を使ったビジネスなのか、知財権を使ったビジネスなのかということにつきましては、現状を申し上げれば、知財権を活用したビジネス評価書ということになります。
ただし、その際に、ノウハウとしてここはきっちり守っていますよというオープン&クローズ戦略などをとられているところについては、プラスの評価になっていると思いますけれども、基本的には知財権というものがあるということを前提として評価をさせていただいています。
ノウハウを武器にしているような中小企業もいらっしゃいますけれども、こういうケースは知的資産経営報告書といったような以前からのアプローチもありますので、少し異なる手法を考えていかなければいけないのかなと思っているところでございます。
そのほか、知財総合支援窓口の連携をはじめ、いろいろな御意見をいただきましたけれども、引き続き検討をさせていただきたいと思っております。 - ○渡部座長 ありがとうございます。
他の方は、よろしいですか。
では、この検証項目については、以上とさせていただきたいと存じます。
次の項目でございますけれども、昨年11月の第2回検証・評価・企画委員会において、知財教育に関する検討体の設置ということを御了承いただきました。これを受けまして検証・評価・企画委員会の下に知財教育タスクフォースを設置して、先月から2回検討を行っております。
本日は、本タスクフォースにおける議論の整理について、事務局から説明をしていただき、その後、御意見をいただきたいと存じます。
それでは、事務局からお願いします。 - ○北村参事官 お手元の資料7を御覧ください。「知財教育タスクフォースの開催趣旨及び進め方について」という紙でございます。
こちらの開催理由につきまして、第2回のときにも御説明させていただきましたが「知的財産推進計画2015」にも記載されております。昨年11月の知財本部会合でもそういった話があったということで、「1.開催趣旨」の下線にありますように「小中高等学校から大学・大学院等のそれぞれの発達段階に応じて、新たな発見や科学的な思考力の源泉となる創造性を育むとともに、知的財産の保護のみならずその活用の重要性に関する理解を向上させる」ということで、知財教育の推進を図ることが決定されております。これを踏まえてタスクフォースを2回開催させていただきました。
そこでの御議論の論点は「2.論点」にありますけれども、まずはその方向性として、知的財産に関する教育を社会全体で推進するための方策はいかにあるべきか、ということです。細かい論点として4つ挙げております。
1つは「教材等の在り方」です。以前、特許庁の方でも作っていた教材もございますし、その他団体で作っている教材もございますけれども、このあたりをどうするかという問題。
2つ目は「展開の方法」ということで、知財教育を先進的にやっているところの取り組みをどのように横展開していくかというところ。
3点目は「教員等への支援」とありますが、学校教育の中でももう授業のカリキュラムがぱんぱんで、先生方も必ずしも知財に詳しいわけではない。そういった中で支援をいかにするべきかという観点。
4つ目として「外部リソースの活用」ですが、こちらは学校の外から、例えば企業あるいは弁理士等の方から知財とか創造性に関する授業も提供されているということですので、そういった外部のリソースをいかに学校現場で活用するかという観点。
こういった4つの観点に基づいて御議論をいただいたところです。
タスクフォースの進行については、3.にありますように、第1回の2月には「教育現場での取組と課題」について、そこに書いてある方々からプレゼンをいただいて、御議論いただきました。第2回、3月7日は、教育現場外部での取組ということで同様の議論をいただいたところでございます。
メンバーにつきましては、検証・評価・企画委員会の方にも若干入っていただきまして、裏面ですけれども、渡部先生に座長をお務めいただいて、そこのメンバーの方で御議論いただいたというものでございます。
その結果につきましては、資料8「知財教育の今後の方向性」ということで図が1枚ございます。そちらを御覧ください。あと、机上配付のみですけれども、暫定版として「知財教育タスクフォースの議論の整理(案)」というペーパーも用意してございます。
この暫定版のペーパーに基づいて進めますと、「1.これまでの経緯」「2.現状と課題」は少し割愛をいたします。
2ページ目「3.知財教育の改善に向けた意見」ということで、いろいろ御意見を先ほどの論点ごとにいただきましたけれども、こちらは方向性の方に全て盛り込んでございますので、そこもスキップをいたします。
資料7の4ページ「4.今後の方向性」から、資料8のポンチ絵と照らしながら御説明をしたいと思います。
「4.今後の方向性」ですけれども「(1)基本的考え方」として3つ挙げてございます。
Aとして「"国民一人ひとりが裾野人材"を目指した発達の段階に応じた系統的な教育の実施」というものです。また「裾野」と言うとちょっと怒られるかもしれませんけれども、こういった方向性。
Bとして「社会との関わりや知識の活用を視野に入れた創造性の発展のための仕掛け」とありますが、これは既に学んだ原理とか法則等の知識を活用しながら、実社会と関わる形にまで具現化することについて、どのようにあるべきか。「創造性の発展」という言い方をしていますけれども、そういった方向性が1つ。 Cとして「地域・社会との協働(産学官連携による支援体制構築)の実現」ということで、学校現場のみならず、地域・社会といかに協働して知財教育を進めていくかというところ。
この3つが今後の重要な方向性だろうということで整理をしております。
「(2)必要な取組」ですが、4ページ目の下から5ページ目にかけてになります。資料8でいうと、右側の教育現場内における取組というところで幾つか挙げております。
創造性に関わる資質・能力というのは、発達段階に応じて育まれるようにする。そういった創造性の涵養が必要であるということ。知財の保護・活用を教えるとともに、知財の本質的な意義が理解、尊重されるような知的財産の意義の理解といったものが学習指導要領の改訂の方向性に沿って教えられていくということが求められる。
具体的には小学校、中学校の音楽、技術・家庭科、美術等の科目において、知財についてきちんと系統的、教科横断的にその育成を図るということ。
高校では、情報科とか、今検討している数理探究なる科目ができるかもしれませんので、そういった中で、知財に関する資質・能力を育む中核的な教科として捉えて教育を行っていくということかと思います。
高等教育段階、要は大学とか大学院等ですけれども、大学においては、例えば教育関係共同利用拠点として認定を受けている山口大学では、全学知財必修化ということですので、これをいかに横展開していくかというところ。
大学院については、例えばMOTとかMBAとの連携を深めて、あるいは融合することによって、事業全般にわたる広い意味での知財教育を施すということが必要なのではないかというところでございます。
それのみならず、標準化の人材についても、文系、理系問わず充実させていくことが重要ではないかという方向性としてございます。それが教育現場内の話、資料8の右側の図の話でございます。
教育現場外の話、資料8でいうところの左側のピンクのところですけれども、教育現場内の取組だけではやはり難しいところもあるので、それと並行して地域・社会と協働したようなやり方があるのではないか。外部からの授業等の提供がありますので、それをどう学校現場と結び付けるかということで、例えば関係省庁とか自治体、教育委員会、大学、企業、弁理士等の関係団体が入ったコンソーシアムのような組織を作るというのも一つアイデアとしてはあるのではないかと考えております。
コンソーシアムの中でのコーディネーションを行い、外部の授業等を提供してくれる人と学校現場とをつなぐコーディネーター的な人材を作るということも必要であろうということと、外部からの教育コンテンツ、どういった企業がどういった知財に関する授業を提供しているか、そういったデータベースを作成するのも意味があるというようなお話もございました。
裾野を広げるという意味で、知財管理技能検定とか、ビジネス著作権検定等の資格制度の活用も方向性として考えてございます。
資料7の6ページ目~7ページ目、資料8でいうと一番下の「国による基盤整備」ですけれども、こういったところも必要であろうということで、教材の作成・配布であるとか、未成年の人の発明がなされたときのプライバシーの保護とか、そういったところも検討する必要があるということで全体の整理をしてございます。
事務局からは以上です。 - ○渡部座長 ありがとうございました。
知財教育タスクフォースは全2回でしたが、教育現場の皆様と支援をされる地域・社会の側の立場の皆様で大変活発に議論していただき、意義の深い議論ができたかと思います。
今まで知財人材育成のテーマというのは何回か扱ってきたかと思いますが、この教育ということを本格的に初等、中等から取り上げて、たまたま学習指導要領の改訂等もございましたので、そういう中でこのテーマをいかにして盛り立てて、施策としてやっていけるのかというところで御意見をいただいたところです。
議論の整理(案)を付けてございますけれども、今後「知的財産推進計画2016」に向けて整理を更に進めていきたいと思いますので、御意見のある方は是非お願いしたいと思います。
それでは、妹尾委員、お願いします。 - ○妹尾委員 ありがとうございます。
知財教育の中で幾つか論点がありまして、先ほどから気にされている「裾野」という言葉です。これは11~12年前に知財人材育成の総合戦略が作られたときも、この「裾野」という言葉で相当もめたのです。
「裾野」と一括に言われたのは、当時「第3層人材」と言われたのです。今もそれが残っているように見えるのですけれども、そのときに組み入れられたのが、いわば次世代人材と一般人材を一緒にしてしまったのですよね。それを我々が相当反対したのですけれども、結局は「裾野人材」ということで第3層に一括されたのですが、今回もこれから頑張ろうという人たちが、俺たちは裾野かという話で、大学院生たちにモチベートできない話なので、この辺のワーディングはやはり注意していただきたいなという気がします。
もう一つ、「裾野」の中に当時含まれたのは一般人材です。そのときに重要なのは日本の知財民度をどうするかということです。
当時、10何年前ですけれども、何があったかというと、総理府の統計によれば、成田で海賊版、模倣品を持って帰っていいと思うと言う人が50%を超すというとんでもない知財民度を示したのです。これの継続調査はされているのかどうかよく分かりませんけれども、知財民度が上がっているかどうかということの検証なども必要だろうと思います。
その当時、3層人材ではなくて、2層人材と言われたのは、1つは創出の人材と活用の人材だったのです。第1層は「専門人材」という、いかにも権利化、センタードビューというのが非常に当時は強かったわけですけれども、資料8を見ても、2層の創出とマネジメントが今回もここで一括りになってしまっているのです。
こういうところを広い知財人材育成のフレームワークとしてもう一回見直していただけたら、知財学校教育ということの位置づけがもう一回意味をなすのではないかと思います。ここで言われているのは知財学校教育だと思いますので、知財学校教育は知財人材育成全体の中でどういう位置付けなのか。これをもう一度議論していただきたいというのが大きな1点目です。
2点目、これについて、HOWのところはこれから皆さん御議論されるのでしょうが、2つほど案を申し上げます。
1つは、多分これは誰ができるのかとか、どうやったら本当に学校教育できるのか。この中で是非お進めいただきたいのはゲーミフィケーションだと思っています。ゲーム化です。
これは当時も我々は随分議論をして、知財ゲームというのを作ろうとまでしたのですけれども、結局、予算立ち消えでうやむやになった経緯があるのです。もう今やスマホでも何でもゲーミフィケーションできますから、ボードゲームでも構いませんし、いろいろなところで「ゲーム」というコンセプトをもとにゲーミフィケーションをやると、学校教育はかなり進展し得るのではないかというのが1つです。
もう一つは「ムーク(MOOC=Massive Open Online Courses)」とフリップドラーニング(反転授業)の組み合わせです。御存じのとおり、これは世界中で数千万人がもう受講していますし、東大の2講座でさえ、25万人、180カ国で受講されているわけです。
是非このムーク化を考える。すなわち、誰かが勝手に一方的にしゃべる従来型のeラーニングではなくて、ムーク的なものをもっと使って、そうすれば、例えば先ほどおっしゃられた特許庁の途上国の人材育成などにはるかに寄与するということになるはずなので、このようなムークとフリップドラーニングみたいな先端の教育方法論を次々に導入されるのはいかがでしょうかということです。
私、ちょうど昨日、日曜日の丸一日、コンピューター利用教育学会の20周年のシンポジウムを会長としてやってきましたけれども、これの更に先がもう世界では進んでおりますので、是非そういうものを取り入れられるとよろしいかなということをコメントさせていただきます。
以上です。 - ○渡部座長 ありがとうございました。
奥山委員、お願いします。 - ○奥山委員 今日一日伺っていてすごいなという感じがするのですが、まず、特に教育のところについて感想を述べさせていただきます。
部分最適化は非常にされつつあって、すばらしいなという印象を持つのですけれども、全体の絵があるのかなという気が非常に強くしています。この前のテーマで海外協力ということでお話があって、いろいろデータも見せていただいたのですけれども、5,000人の民間人を日本に呼んできて、ここ20年で教育しているわけですよね。旅費も出して、場所代も出してあげて全部やって、英語で教えることもありますし、通訳を介して教えることもあるのですけれども、これだけやってきて、それが何か協力という枠に入ってしまったきり何も出てこないのですよね。
教育も、枠組みを変えれば、5,000人の教育と、どれだけの数になるのか分からないですが、日本の大学での知財教育というのを組み直すことができるのではないかというぐらいのことを考えるべきだと思うのですけれども、そこのところがどうも全然なくて英語の「え」の字も出てこないというのは、英語で知財教育をしろと随分言っていたのですけれども、今回の報告書には出てこなくて、片や5,000人の外国の人たちを教育していて、アメリカ、ヨーロッパの人たちはそんなに来ないわけですよね。
そういうのを全部ひっくるめて、いろいろな人たちが、先ほど吉井委員が指摘されたシンガポールの知財ハブではないですけれども、日本に世界の知財教育のハブをつくるぐらいのでかい絵があってもいいのではないかなと思うのです。
実際、5,000人の東南アジアとかAPECとかの人たちを始めとして教育してきているわけですから、その経験もあるわけですよね。だから、やってできないわけではなくて、やっていないだけだと思うのです。
手短にしますが、最初の金融の話と産学連携もちょっとだけコメントさせていただきたいのですけれども、これもそういう気がして、知財ビジネス評価書ができるというのは、それはそれでやらなければいけないことでしょうし、すばらしいことだと思うのですけれども、当然、それだけではないですよね。その先がどうなのか。多分、荒井委員などもどういう成果が上がるのだ、みたいなお話になってきたのだろうと思うのですけれども、もう少し全体として見たときに知財ビジネス評価書がどういう位置付けにあるのか。
産学連携でも、契約と、今回、数値分析みたいなところで切っていただいて、それはそれで大変興味深いデータがいっぱい出てきて、そうかと思うのですが、私自身も大学の先生とくっついて会社を作ったり七転八倒しているのですけれども、そういうところで見ると、それがどうなるのかというのがよく分からなくて、知的興味は非常に満たされて楽しかったのですが、少なくとも私の七転八倒しているところとは関係がなくて、全体の中でどのようにするのかということを考えた上でやってもらわないと大変になるのではないかなという気がいたしました。
ちょっと辛口で申し訳ないです。 - ○渡部座長 相澤委員、お願いします。
- ○相澤委員 1つだけ。教育の中で研究の重要性というのはこの紙に出てこないので、すみませんが、研究の重要性というものを強調しておきたいと思います。よろしくお願いします。
- ○渡部座長 佐田委員、お願いします。
- ○佐田委員 現場の先生、特に小学校、中学校、高校の先生方にお話ししますと、教育ももちろん取り組みたいと思うけれども、そういったことをやるときに、ホットラインでも何でもいいのですが、いつでも気軽に相談できるものがないですかと言われています。
これは大学が法人化後に産学連携に取り組み始めたときに、文部科学省がホットラインという産学連携に関する相談窓口を作られ、各大学の担当者は大変助かったわけです。そういう意味合いでは、今回初めて取り組む小学校、中学校、高校の先生方にとりますと、やはり不安材料はいっぱいあるわけですし、自分は専門でもないので、できればそういった体制でもあればありがたいという現場の声が聞こえてきました。 - ○渡部座長 ありがとうございます。
山本委員、お願いします。 - ○山本委員 山の手合同国際特許事務所の廣田先生は、山の手総合研究所というのを作って小学校から社会人まで教育をやっていて、コンテンツも非常におもしろいのです。何が言いたいかというと、それをやっておられる先生もかなりいらっしゃるし、弁理士会とかも非常に頑張っておられるので、そういうやっている人もここに入ってこられるような場作りをしていただければと思っています。
以上です。 - ○渡部座長 ありがとうございます。
他の方、よろしいでしょうか。もう一つ項目がございますので、そちらの方に移らせていただきたいと思います。
知財紛争処理システム検討委員会は昨年10月から行っており、我が国の知財紛争処理システムの機能強化に向けて総合的な検討を進めて、今月22日に取りまとめがなされております。
「知的財産推進計画2016」の項目案については、事務局で一案を作成しております。これについては、事務局の方からお願いいたします。 - ○北村参事官 お手元の参考資料2を御覧ください。「知財紛争処理システムの機能強化に向けた方向性について」ということで、先般、別の委員会で取りまとめがなされましたので、参考までに御紹介をさせていただきます。
1枚目の「知財紛争処理システムの機能強化に向けた検討について」ですけれども「知的財産推進計画2015」にも記載されているように、権利者と被疑侵害者とのバランスに留意しながら機能強化に向けて検討するということで、そちらに書いてあるメンバーの方々に入っていただいて御検討をいただいたところです。
中身ですが、もう一枚めくっていただきまして、ポイントだけ御説明申し上げます。
まず「証拠収集手続」です。特許権侵害の証拠は被疑侵害者側に偏在していて、なかなか出されないという立証の困難性が指摘されていました。強化をするという方向もあるのですが、他方で、営業秘密の保護にも留意しながらやらなければいけないというところで御議論いただいたところです。
【考え得る方策】ですけれども、幾つかございます。
まず「査察制度の導入」ということで、証拠調べのところで、裁判所が選んだ中立的な第三者の専門家が被疑侵害者側に踏み込んで査察をするというところについて具体的な検討をするということで、一旦裁判所が間に入るということで、営業秘密の保護にも配慮しながら証拠収集の実効性が確保できるのかなと考えられます。
2つ目「書類提出命令発令の容易化」ですけれども、書類提出命令がなかなか発令されないということで証拠が出されないというような御意見もございました。これについては、①②に書いてあるような具体的態様の明示義務が履行されないときに発令されやすくなるとか、秘密保持命令を掛けることを前提に裁判官が職権でこういった命令を出すことがより良いのではないかということで、出口として報告されたところでございます。
3枚目の「損害賠償額」のところですけれども、これもビジネスの実態に鑑みると、若干低いのではないかというような議論もございました。
これについて【考え得る方策】ですが、通常の実施料相当額を上回る額の算定の容易化ということで1つの出口としてございます。こちらは特許権の最低限の価値である実施料相当額に加えて、侵害行為を行っている場合に段階的に実施料率が高くなるというのが実態であろうということで、イメージは、右下に座標軸のようなものがありますけれども、平時から警告時、訴訟時に進むにつれて本来は高くなっていくということで、誰にその権利を使わせるかという決定の権利とか収益の権利、そういったものも特許権の価値として毀損されたものであると考えて、あくまで填補賠償の範囲の中で賠償するというような考え方がとり得るのではないかということが1つの結論とされております。
実施料のデータベースであるとか、弁護士費用のデータベースといったものも策定できれば、請求することができて、賠償されることが可能なのではないかということで、1つの出口として報告されたところでございます。
4枚目の「権利の安定性」のところですが、こちらについては、特許権の有効性に関する特許庁に対する求意見制度の導入とか、訂正の再抗弁の要件緩和というところで一案が示されたところでございます。詳細は飛ばします。
最後のページの「差止請求権」のところですけれども、こちらも議論があったのですが、当面は様子を見る、注視するということになっております。
「その他の論点」ということで、中小企業が利用可能な裁判費用保険の話であるとか、テレビ会議システムの一層の利用促進といったところが出口として示されたところでございます。
資料番号は付いていないのですが、参考資料1の前に「知的財産推進計画2016 項目(案)」という紙が1枚あるかと思います。
こちらですけれども、そこに書いてある6つの項目の内容を知的財産推進計画2016の項目として今のところは考えております。
1つ目は「イノベーション・地方創生のための知財戦略の強化」。
2つ目は「戦略的な標準化の推進」。
3つ目は「知財人材育成・知財教育の充実」。
4つ目は「国際的な知的財産の保護及び協力の推進」。
5つ目は「知財紛争処理システムの機能強化」。
6つ目は「世界最速・最高品質の審査体制の実現」。
この順番でということではないですけれども、こういったエレメントを産業財産権分野の知的財産推進計画2016の案の中に入れていくといいのではないかということで、事務局から一案を提示させていただくということで御紹介をさせていただきます。
事務局からは以上です。 - ○渡部座長 ありがとうございます。
知財紛争処理システムについては、もう取りまとめがなされたということでございますが、これを含めて、今、知的財産推進計画2016の方にまとめていくということについて、御意見があればいただければと思います。
荒井委員、お願いします。 - ○荒井委員 こうやってまとめていただいた「知的財産推進計画2016 項目(案)」ですが、希望で、6つ目の○の「世界最速・最高品質の審査体制の実現」を「審査・審判体制の実現」にして、その下の2つ目のポツに「審判の品質向上」というのを入れていただけないでしょうか。今ごろ言うのは何だということかもしれませんが、今日初めて見ますので、よろしくお願いします。
その意味は、5つ目の○が裁判で、6つ目の○が審査で、実は審判が非常に重要な役割を果たしていますので、審査、審判、裁判と3つ整って初めていいシステムができると思いますので、ぜひ審判についても項目として起こして品質向上に努めていただきたいというお願いです。 - ○渡部座長 ありがとうございます。
妹尾委員、お願いします。 - ○妹尾委員 一言だけ。同じく3番目の○のところに「知財人財育成・知財教育の充実」とあるところの下を見ると、どう見てもやはり学校教育中心だけで書かれるような懸念があります。知財人材育成はもっと広いフレームワークで計画上は見るというような項目にしていただけたら、ありがたいと思います。よろしくお願いします。
- ○渡部座長 他の御意見は、いかがでしょうか。
相澤委員、お願いします。 - ○相澤委員 紛争処理、一言だけなのですけれども、既存の枠組みの中にとどまっていれば、知財紛争というものにおいて、侵害されることによって利益を得られない、侵害することによって利益を得る者が出るという基本的な問題点は、改善されないのではないかと思います。
- ○渡部座長 ありがとうございます。
林委員、いかがでしょうか。 - ○林委員 ありがとうございます。
いろいろなところで同じことを申し上げて恐縮ですが、最初の○の「大学の知財戦略強化」のあたりに、ぜひ人材育成や競争前領域への企業寄附に税額控除を、という寄附税制の見直しの観点を入れていただけないかと思います。卓越大学院や大学のマーケティング機能の議論をしましても、結局はお金の話に結び付きます。オープン・イノベーションの意味でも、この点を入れていただけないかと思います。
もう一点、恐縮ですが、3つ目の○の「知財教育」の部分、弁理士会ももちろんなさっていますが、弁護士も昔から知財に限らず出前授業をしておりますので、我々も是非お手伝いしたいと思っております。よろしくお願いいたします。 - ○渡部座長 ありがとうございます。
日覺委員、お願いします。 - ○日覺委員 では、一言だけ。
知財紛争処理システムの活性化の議論におきましては、特に議論の開始当初は意見の対立があったと伺っています。訴訟件数が少ないから上げるべきといったような主張は、企業における訴訟が生じた際の人的・時間的・金銭的コストを全く顧みないもので、産業界としては非常に心配をしていましたが、その後の議論においては、ビジネスの実態の把握に努めながら検討が進められたと認識しています。
制度の見直しを図ること自体の意義を否定するものではありませんが、今後とも我が国企業の産業競争力がそがれることがないように是非御留意いただきたいと思っています。
以上です。 - ○渡部座長 ありがとうございます。
長澤委員、お願いします。 - ○長澤委員 途中から参加して申し訳ないのですが、教育に関しても意見書に書きましたように国家の経営戦略という観点で見ていくと非常に良い解が出るのではないかと思います。
教育については、学校教育以外に、実際に経営的な観点からの判断をできるような人材の育成が必要であると考えます。国についてもそうですし、企業についてもそうですが、どのような決断ができるかということが重要であり、そこにスポットを当てていっていただきたいと思います。
紛争処理についても、最後の審査体制についても、国として勝つためにはどうするかを議論することが重要ですし、先ほどの国際化の話についても、友達作戦はいいとして、その上で日本が勝つにはどうするかという観点が一つ一つ入ってきて、その観点をこの委員会に出席しているメンバーのような有識者で議論できれば良い答えが出るように思います。
最後の紛争処理については、元々はかなり私も疑問に思うことが多かったのですが、それなりに議論できるような形にはなってきつつあるのではないかと期待をしております。
以上です。 - ○渡部座長 ありがとうございます。
妹尾委員、お願いします。 - ○妹尾委員 すみません、言い忘れました。
最初の○の「イノベーション・地方創生のための知財戦略の強化」の中に「農林水産分野」とあります。農林水産と食品分野は地域創生の肝なのですけれども、農林水産分野の特徴は、農林水産独法だとか大学の研究機関の研究が比率的に非常に多いということなのです。いわゆる企業の研究よりも、独法だとか公的機関の研究が非常に大きいということなので、農林水産がここのところ非常に知財に力を入れている。これは是非ハイライトしてあげてくださいということと、そうすると「(含む大学の知財戦略強化)」だけではなくて、大学と公的研究機関にもライトを当ててあげてはいかがでしょうかと思います。
以上です。 - ○渡部座長 他の方、よろしいでしょうか。
この「知的財産推進計画2016」のまとめは、産業財産権分野に加えてコンテンツ分野も検討していますので、それを合体させて、奥村委員の意見にあったように、全体を見て何だか分からない話にならないよう、まさしく全体の国家戦略として一つつながったものにする方向で、事務局の方でその辺の取りまとめをしていただきたいと思います。
私がこれを見ていますと、まだ地方とか地域の入れ方とか、その辺も少し工夫をした方がいいのと、「裾野」という言葉で随分いろいろありましたが、かなりいろいろな形で使っていますので、どういう使い方で言うかというところも含めて検討していただきたいと思います。
ということも含めて、本日の議論について、局長からコメントをいただければと思います。 - ○横尾局長 今日も、大変いろいろな御意見を賜りまして、誠にありがとうございます。非常に刺激になっていつも頭が活性化されて、非常に良い会だなと思っております。
今、渡部座長からありましたけれども、この紙は一応「知的財産推進計画2016」に盛り込む項目を書き出したものでありますので、全体の構成は、別途コンテンツでやっているものも含めまして、政府全体の成長戦略、日本再興戦略の構成も見ながらこちらの構成を考えたいと思います。
そういう意味では、最初にイノベーションと地方創生を一緒にしていますが、今日もオープン・イノベーション全体の話と、いわゆる「裾野」という言葉が少しあれですけれども知財教育の話があり、それをあまねく日本全国に、より普及するという観点では地方・中小企業にとっても重要だと思います。したがって、教育もそこのカテゴリーに入るのかもしれませんが、分けた方が整理しやすいかもしれないので、全体の構成は政府全体の戦略の構成を見ながら考えたいと思います。
そういう意味では、今日の議論もそうですが、パーツに分割をして進めていて、プレゼンも一部のパーツをプレゼンしているものですから、部分最適的な印象があるのは否めないのですけれども、全体が分かるようにしたいと思います。
1つだけ感想というか、実は長澤委員の紙を先ほど読んでいたのですけれども、妹尾委員が久しぶりに御登場されて知財と知財権の話をされていて、長澤委員の紙にも同じ趣旨のことが書いてありました。
今、改めて今日の特許庁を初め文部科学省の資料等々を見ると、確かに知財と知財権が余り整理なく使われているなというのを改めて感じた次第でございます。
実は「知的財産」と「知的財産権」が違うというのは知財基本法にも書いてあるものでありますので、これは我々として意識して使い分けなければいけない。そこをごっちゃにすることによってかえって変なことになりかねないというのは、先ほどの妹尾委員の御意見、あるいは長澤委員のこの紙にも書いてあるところでありますので、その点は十分踏まえながら「日本の知財戦略」と言うときは、多分、知財権戦略ではなくて知財戦略全体だろうと思いますので、それを心して考えていきたいと思っておりますので、引き続きどうぞよろしくお願いしたいと思います。
各論は今日で終わりでありますので、次回は「知的財産推進計画2016」の骨子というか、素案というか、そういうものを用意して御議論いただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。 - ○渡部座長 ありがとうございました。
今も紹介がありましたけれども、次回以降の会合について、御説明いただければと思います。 - ○北村参事官 次回の会合は4月18日月曜日の15時から、コンテンツ分野と合同で開催をさせていただく予定です。
- ○渡部座長 少し時間を超過いたしましたけれども、本日は大変御多忙のところ、ありがとうございました。これで閉会させていただきます。