検証・評価・企画委員会(第2回)
議 事 録
日 時:平成27年11月30日(月)9:30~12:30
場 所:中央合同庁舎4号館4階 1208会議室
出席者:
- 【委 員】
- 相澤委員、荒井委員、井上委員、奥村委員、奥山委員、近藤委員、佐田委員、
杉村委員、髙崎委員、長澤委員、中冨委員、野坂委員、林委員、原山委員、
宮川委員、山田委員、山本委員、吉井委員、渡部座長、吉沢委員代理
- 【関係機関】
-
経済産業省 宮本岩男室長
経済産業省 岩木権次郎室長
中小企業庁 前田博貴課長補佐
特許庁 田名部拓也企画調整官
特許庁 松下達也課長
文部科学省 坂本修一課長
文部科学省 猪股志野室長
文部科学省 塩田剛志室長
文部科学省 大杉住子室長
- 【事務局】
- 横尾局長、増田次長、磯谷次長、田川参事官、北村参事官
- 開 会
- 議事
(1)『知的財産推進計画2015』各施策に関する関係府省の主な取組状況
①地方における知財活用の推進(2)その他
②産学官連携機能の強化
③知財人財の育成・活用、知財教育の推進 - 閉 会
○渡部座長 おはようございます。ただいまから「検証・評価・企画委員会(産業財産権分野)」第2回を開催させていただきます。
本日は、御多忙のところ、御参集いただきまして、誠にありがとうございます。
本日は、「知的財産推進計画2015」の施策のうち、地方における知財活用の推進、産学官連携機能の強化、知財人財の育成・活用、知財教育の推進の取組状況について、それぞれ議論を行うことにしております。
なお、本日、五神委員、小林委員、妹尾委員につきましては、所用のため御欠席と伺っております。
日覺委員も、本日は所用のため御欠席されておりますけれども、代理で吉沢浩明様に御出席いただいております。
委員会開催に先立ち、横尾局長から御挨拶をいただきたいと存じます。お願いいたします。
○横尾局長 おはようございます。横尾でございます。
今日は、朝から誠にありがとうございます。3時間をとっておりますので、長丁場ですが、よろしくお願いしたいと思います。
知財計画2015の重点と、第1回の会合で皆様からいろいろな意見があったものの中で、具体的な取組状況を各府省から直接聞いていただいて、今回議論するテーマとして、渡部座長からありましたようなテーマを選んでおります。是非批判的に御検討いただいて、現在の事業の実施、それと予算要求しているものもありますので、これからの年末に向けた事業のその後を見据えてですけれども、事業の改善というか、進化への反映をさせていただくようにしたいというのと、併わせて、推進計画2016へのヒント、更なる深掘りのネタというものができればと思っております。
今日のテーマに関連して、参考資料1でお配りしておりますが、新聞でも報道されておりますけれども、先週、TPPの総合的な政策大綱が政府でまとめられました。それに先立って、11月24日に知財本部の決定ということで、知財分野におけるTPPへの対応というものを取りまとめております。後ほど御参照いただければと思いますが、この中に、今回のTPPの国内実施、国内担保法を作るのに併せて、今日のテーマにも関係しますけれども、知財自体、大きなテーマになっておるわけですが、特に中小企業の海外展開もにらんだ知財戦略の強化。それから、TPPというのは、知財の重要性が、お茶の間も含めて国民に浸透する良い機会にもなったかと思いますので、知財教育の推進というのが盛り込まれております。そういう意味では、推進計画2015と、この前のTPPの政策対応は非常に関連しますので、是非、積極的、率直かつ建設的な御議論をいただければと思います。
今日、そういうことでテーマを選んでおりますが、12時目途に、残り30分はそのテーマ以外の自由なディスカッションの時間をとっておりますので、今日取り上げるテーマ、元々の議題になったテーマ以外も含めて何でも御議論いただければと思いますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。
○渡部座長 ありがとうございました。
それでは、ただいまから「知的財産推進計画2015」の取組状況の検証ということで進めさせていただきます。
初めに、本日採り上げる、先ほど項目を3つ挙げさせていただきましたけれども、事務局から説明をお願いいたします。
○北村参事官 お手元の資料1を御覧ください。産業財産権分野に関する論点ということで、前回、第1回会合での主な御意見のうち、本日のテーマに関連するところをピックアップさせていただいたペーパーでございます。
まず、「1.地方における知財活用の推進、産学連携機能の強化」ですけれども、地方における知財活用の推進に関しましては、そこに書いてございますように、よろず支援拠点でのアドバイス、事業視点・ビジネス視点に立った出願についてもアドバイスしてほしいとか、企業目線でのアドバイスといったことについて御意見をいただいておるところです。
また、知財金融につきましても、金融機関関係者への知財の普及啓発活動について御意見をいただいております。
さらに、特許料金についても、そこに記載の御意見をいただいておるところです。
あと、産学連携機能につきましても、マッチングのインセンティブであるとか、TLOの在り方とか、共同研究の評価や検討プロセスについても、そこに記載の御意見をいただいておるところです。
これらを踏まえて、主な論点として、地方における知財活用の推進のため、あるいは産学連携機能の強化のため、更に必要な取組は何かということで設定させていただいております。
次に、裏面に移りまして、人材育成、知財教育の箇所ですけれども、前回の委員会では、どのようにしたら知財を我が国の産業のために活用できるのか、教育してほしいとか、裾野を広げる取組が必要という御意見、あるいは、大学だけでなく、小中高においても知財教育が必要であるという御意見もいただいております。
これらを踏まえて、知財人材像はどのようなものであるべきか、あるいは小中高、あと大学等において、どのような知財教育を推進すべきか、ということで論点を設定させていただいております。
あと、その他といたしまして、紛争処理あるいはそれ以外の項目について、そこに記載の御意見をいただいておるところでございます。
なお、本日御欠席の小林委員の方から、資料14として御意見をいただいておりますので、後ほど御参照いただければと思います。地方における知財活用の推進、また、人材育成に関する点で御意見をペーパーとしていただいております。
事務局からは以上です。
○渡部座長 ありがとうございました。
それでは、早速進めさせていただきます。本日は、途中退席される委員もおられますので、議事上は3番目でございますけれども、「知財人財の戦略的な育成・活用」について、最初に議論させていただきたいと存じます。
各省から説明をいただいた後に意見交換という形で進めさせていただきます。
それでは、特許庁及び文部科学省から説明をお願いいたします。
○田名部企画調整官 特許庁企画調査課田名部
でございます。それでは、資料2に基づきまして御説明させていただきます。
表紙がついておらずに、大変申し訳ございませんけれども、「グローバル知財マネジメント人材育成推進事業」と書いてございます。
最初のページでございますけれども、本事業の目的は、我が国企業の収益拡大、競争力強化のために、知的財産を経営戦略に活用できるグローバル知財マネジメント人材の育成のための教材、そしてその研修プログラムを作成することでございます。
本事業の教材、研修プログラムの対象といたしましては、そのページの右側の赤い囲みで囲っているところでございまして、企業の経営幹部の方々、あるいは企画・研究部門の管理職の方々、または将来、そのような地位に就かれるような方を主に念頭に置いてございます。この事業は昨年度、平成26年度から始まった3カ年の事業でございます。
具体的には、有識者からなる人材育成推進・評価委員会を設けまして、こちらでグローバル知財マネジメント人材に求められるスキルや知識、育成に必要となるカリキュラム等を検討し、開発テーマ及び研修コーディネータを選定いたします。テーマごとに研修コーディネータを中心に知財ケースファイル等の教材開発を行いまして、最終年度に研修プログラムとして完成させ、民間等での活用を図るものでございます。
2ページ目を御覧いただきたいと思います。
各テーマの教材の構成でございますけれども、まず「知財ケースファイル(長編・短編)」でございますけれども、こちらは国内外の企業が過去に経験した、知財が経営と密接に絡んだ事例を収集・分析したものでございまして、こちらを研修の中でのクラス討議で主に活用するものでございます。このほか、予習・復習用の自己学習教材、具体的にはe-ラーニングの教材でございます。それと、講師のための教材指導ガイド、これも併せて開発いたします。
各年度におきまして、開発した教材を用いて検証研修というものを行います。そして、この結果をフィードバックして必要な修正を行いまして、事業終了年度(28年度)以降に民間あるいは専門職大学院等の研修機関、あるいは企業等におきまして広く活用していただくような研修プログラムとして完成させる予定でございます。
3ページ目は、この人材育成推進・評価委員会の委員名簿を掲載させていただいております。
続きまして、4ページ目でございます。こちらは、私どもの所管する独立行政法人INPITで実施しておりますグローバル知財マネジメント人材育成プログラム開発委託事業についての説明資料でございます。
こちらで開発するプログラムでございますけれども、対象は中小企業等の経営者、その後継者、中小企業経営幹部、または中小企業を支援される方々、例えば官民の中小企業支援機関の相談員の方々や指導員の方々、このような方々を主に対象として、教材あるいは研修プログラムを作成する事業でございます。
こちらの事業につきましても、有識者からなるアドバイザリーボードの御意見を踏まえて教材作成を進めるとともに、効果検証研修を実施いたしまして、これによるフィードバックをいただきながら改訂して、こちらも28年度に完成させる予定でございます。
次の5ページ目がアドバイザリーボードメンバーの委員名簿でございます。
説明は以上でございます。
○渡部座長 ありがとうございました。
続いて、文部科学省お願いします。
○猪股室長 続きまして、文部科学省から、大学教育における知財教育の現状、そして初等・中等教育における知財教育の推進について、簡単に御説明いたします。
お手元の資料3をまず御覧ください。
1枚めくっていただきまして、1ページ目が大学における現状の知財教育に関する授業科目の開設状況をまとめたものでございます。
平成25年度時点でございますが、知的財産に関する授業科目を開講している大学は、学部段階で見ますと48%、また研究科の段階では31%となっております。経年変化で見ますと、年々上昇傾向にあるということで、知財教育に対する関心が各大学とも高まっていることがデータ上も明らかでございます。
2ページ目を御覧ください。
こういった状況も踏まえまして、本年度、文部科学省では、この7月に新たに大学の教育関係の共同利用拠点として、山口大学を知的財産教育のハブとなる大学として認定いたしました。山口大学におかれましては、過去10年間、国の補助金等を活用して、知財教育教材、また授業のノウハウをかなり蓄積してきております。また、教育効果の測定データの分析ノウハウも蓄積し、さらに教育のみならず、産学連携における知財実務のノウハウも蓄積しております。
こういったノウハウを活かして、他大学に対して、この知財教育のノウハウを提供し、また他大学の教員を集めた知財研修を実施したり、また山口大学の教員が他大学に出向いて講演をするといったもの、コンサルテーションをするといった様々な取組を、この7月以降、積極的に展開を進めていっていただいているところでございます。この山口大学をハブにして、全国の大学に知財教育のノウハウの普及・定着を図ってまいりたいと考えております。
○塩田室長 続きまして、3ページの資料でございます。専門職大学院制度について御説明させていただきます。
概要でございますけれども、現在、東京理科大学、日本大学、大阪工業大学の3校に設置してございます。
専門職大学院制度の概要を次のページに参考までに書いてございますけれども、4ページを御覧いただければと思います。
皆様、既に御存じかと思いますが、高度専門職業人養成のニーズの高まりに対応するために、特化した課程として平成15年に創設されまして、現在、114校が設置されておりまして、そのうち3校が知財ということになってございます。
制度の概要のところでございますけれども、特徴的なのは、(2)修了要件でございますが、修士と異なって論文作成を必須としない。また、教員組織につきましては、3割以上は実務家教員。
(4)教育内容につきましても、理論と実務の架橋を強く意識し、双方向・多方向にわたる授業ということになってございます。
すみません、またページを戻っていただきまして、3ページでございますが、カリキュラムの特色というところで先ほど御説明しましたが、1ポツの法律科目を配置ということのみならず、インターンシップ、演習等の方法による授業を配置して、しっかりとやってございます。
ちょっとページを飛ばして、5ページを御覧いただければと思います。
共通した課題ということでございますけれども、入学定員、入学者数等々が減少傾向にございます。入学者数で言いますと、平成23年が131人であったところが、平成27年は82人になってございます。
2ポツでございますけれども、さらに問題点といたしましては、知財分野の社会人学生を十分に確保できていない状況であるということでございます。参考までに、社会人比率で言いますと43%ということになってございます。
また、その他各大学から指摘される事項ということで、弁理士試験科目免除制度に対応しようとすると、どうしても実務的な教育を行う科目の配置が困難になってしまうという御指摘もございます。
今後の方向性でございますが、一番下の枠でございます。
中教審の下に専門職大学院ワーキンググループというものを設置することになってございます。ここにおきまして、知財分野を含めまして、専門職大学院に関する諸課題について専門的な調査審議を行っていく予定としてございます。
以上でございます。
○大杉室長 続きまして、失礼いたします。教育課程企画室長の大杉と申します。
資料4を御覧いただければと存じます。初等中等教育におけるということでございまして、高等教育、大学教育の前、初等中等教育におきまして専門的知識をたくさん蓄えるというよりは、裾野をしっかりと支えていくという意味で、イノベーションの源泉となる創造性の涵養でありますとか、知的財産というものの意義をどのように理解させていくかということの検討状況。これは、次期学習指導要領にかかわることでもございますけれども、エッセンスを絞って御紹介申し上げたいと存じます。
1枚おめくりいただきますと、2ページ目で現在の検討状況でございます。
昨年11月に中教審に対しまして、次期学習指導要領の在り方が諮問されまして、現在議論を進めておる最中でございます。今後の見通しでございますけれども、28年度内に中教審として答申をお取りまとめいただき、そうしますと28年度内に小中の告示、1年遅れて高校の告示。そして、実施年度が教科書の整備等も必要になりますので、2020年、オリンピックイヤーから小学校1年、遅れて中学校、そして1年遅れて高校から年次進行という形での実施ということでございます。
昨年11月の諮問の中身が3ページ目にございますけれども、これからの社会の在り方。変化が激しく、予測が困難な社会の中で、子供たちにどういった力が求められるのか。高い志や意欲を持ち、他者と協働しながら主体的に価値の創造に挑み、未来を切り開いていく力といったものが必要なのではないかということで御検討を進めていただいております。
上の右側にございますように、何を教えるかという知識の質・量はもちろんのこと、それをどのように学び、どのような力として身に付けていくのか、こういったことを御議論いただいているところでございます。
4ページ目に現在の検討体制がございまして、全体的なお取りまとめをいただく教育課程部会、教育課程企画特別部会の下に22の専門部会を設置いただきまして、各教科ごとの議論、それから各教科をつなぐような議論、学校種ごと、学校種をつなぐような議論、縦横、目配りをしながら御議論を進めていただいているところでございます。
具体的な議論の内容でございますけれども、5ページ目にございますように、知識基盤社会の中で、何が重要かを主体的に考え、他者と協働しながら新たな価値の創造に挑み、社会の活性化と個人の人生の充実を実現していく。
具体的には、下の3つにありますような力を身に付けていくための教育課程の在り方ということでございます。
その中で、求められる力というのは様々あるわけでございますけれども、6ページにございますように、そういった力を構造化しまして、それを初等中等教育の教育課程の中にしっかりと落とし込んでいくということ。何を知っているか、何ができるかということ。そして、それをどう使うかということ。そして、それをもって、どのように社会・世界とかかわり、より良い人生を送っていくかということ。こういった力をどのように身に付けていくかということを御議論いただいているところでございます。
7ページ目にございますように、教育課程に関しましては、様々な現代的な課題に対応した教育、人材教育ということも含めましてでございますけれども、こういったものの充実が必要になってまいりますけれども、こういった教育につきましては、教科横断的にそれをしっかりと育んでいくこと、そして、それを通じて、どのような力を身に付けていくべきか。これをしっかりと構造化していくことが必要ではないかという御議論をいただいているところでございます。
これを知財に照らして当てはめますと、知財に関わる育成すべき能力とは何なのか。これは、様々な発想の源泉となる創造性でありますとか、知的財産保護・活用、両面を含めた意義の理解ということであると考えられます。また、そうした力をどのように育んでいくのか。今回、アクティブ・ラーニングということが取り上げられておりますけれども、こういったことを通じて、創造的な学習プロセスの中で育んでいくということ。また、それをしっかり教科横断的にカリキュラム・マネジメントと、教育課程のマネジメントを各学校がしっかりとすることによって、子供たちの力の育成ということにつなげていくことの議論をいただいているところでございます。
8ページ目に、先ほどの3つの資質・能力の柱。これを知財に照らして考えますと、何を知っているか、何ができるかというところは、正に知財の意義の理解。それから、様々な創造的な発想の源泉となります各教科の知識・技能といったこともしっかりと育んでいくことが重要であるということ。また、創造的に思考・判断・表現する力。また、新たな知的創造や知的財産の保護、活用に向かう意欲など、こういったことが大事であると考えてございます。
それを踏まえて、9ページ目、初中段階における知財に関する資質・能力の育成に向けてということでございますけれども、発達段階に応じて、新たな発見や科学的な思考力等の源泉となる創造性を育むとともに、知財の意義に関する理解を育むということを目指しまして、下の左側が現行学習指導要領の現状でございます。充実を図ってきているところではございますけれども、これを更に進めて、右側にございますように、創造性に関わる資質・能力を明確化し、それを発達段階に応じてしっかりと育んでいくこと。
また、それをアクティブ・ラーニングといった創造的な学習プロセスによってしっかりと育んでいくこと。
また、今回、後ほど御説明申し上げますけれども、特に高校段階において、新たな知的創造につながるような数理探求という科目の新設を考えてございます。
また、これらをしっかり育む教科横断的なカリキュラム・マネジメントを実現すること。
また、知的財産の意義の理解ということに関しましても、教科の内容。それから、高校における情報科の科目の見直しということも考えてございますので、こういったことを通じてしっかりと育んでいくということでございます。
10ページ目は、少し細かく御説明申し上げますと、各教科、創造性の涵養、知財財産の意義の理解等について、それぞれどのように育んでいくかということ。高校については、様々な専門学科の取組も含めて記載させていただいております。
黄色い部分はそういったカリキュラムの在り方と同時に、様々な関係省庁からの御支援もいただいて、具体的な学習教材の在り方も非常に重要になってくるということでございます。
それから、11ページ目が先ほど少し申し上げました数理探求という科目でございます。高校のスーパーサイエンスハイスクールで設定されております様々な教科・科目の在り方を踏まえまして、専門的な知識や技能の深化、総合化を図り、新たな創造につながる科学的な思考力、判断力、表現力の育成を図っていく。そういったことのために、新たに数理探求という選択科目を高校に設ける方向で検討させていただいておりまして、具体的には12ページにありますような特別チームを中教審に設置いただきまして、こうした日本の様々な知恵を結集した形で高校の新たな科目の在り方を御議論いただいているところでございます。
こうした教育課程の在り方、今回、13ページにございますように、社会に開かれた教育課程という理念の中で実現していこうということ。社会の変化をしっかりと受けとめて、教育課程を通じて、子供たちに必要な力をどのように育成していくのか。こうしたことを③にございますように、社会と連携しながらしっかりと取り組んでいくということでございます。先ほど10ページ目にも、教育課程、具体的な教材の在り方、事例集など、関係省庁からの様々な御支援、地域の取組、関係企業からの御支援なども必要であるということで、黄色い枠の中に書かせていただいておりますけれども、そうした連携の中でしっかりと育んでいきたいということ。
14ページ目にございますように、最近は土曜学習応援団という形で、546の民間団体にも御協力いただきまして、学校における様々な実験とか体験でありますとか出前講師といったことも含めて充実を図らせていただいておりますけれども、こういった社会と連携した取組を更に進めてまいりたいということ。
それから、15ページでございますけれども、こういった教育課程の在り方を実現できる教員の在り方ということも大変重要でございますので、アクティブ・ラーニング、カリキュラム・マネジメントを含めてしっかりと実現していける教員養成の在り方ということも、併せて中教審で議論させていただいているところでございます。
16ページ目以降は、今、申し上げたことに関連しまして具体的な取組の例を付けさせていただいております。参考までに御覧いただければと思います。
以上でございます。
○渡部座長 ありがとうございました。
それでは、ただいま御説明いただきました「知財人財の戦略的な育成・活用」につきまして、御意見のある方は挙手をいただければと存じます。どなたからでも結構でございます。いかがでしょうか。
近藤委員、お願いします。
○近藤委員
御説明ありがとうございました。
今後の日本のためにも、小中からイノベーションに向けた教育をするというのは非常に大事だと思うのです。その中でも、いかに科学というか、サイエンスが楽しいものか、やるべきものかというのを教える側のことを考えることが大変重要と思っています。今の教員でどれぐらい足りるかというのはちょっと存じ上げないのですけれども、一つ御提案がありまして、そういった場で活躍できる人材として企業OBは如何でしょうか。これは知財分野の人間ではなくて、開発現場で長年、いろいろな研究開発をやってきた方が活躍できる場になるのではないかと思います。そういう方であれば、小中の方にこういうことをすることがどんなに楽しいことか、意義があるかということをしっかり教えられるのではないかと思います。
是非ともそのあたりを御検討いただければと思います。以上です。
○渡部座長 ありがとうございました。
他の委員はいかがでしょうか。奥村委員、お願いします。
○奥村委員 ありがとうございます。
教育に関しまして、初等教育にはそぐわないかもしれませんが、中学や高校生ぐらいあたりから、是非御検討いただきたいのは、イノベーションを生むことに関する、いわゆる科学に関する興味というのと、知的財産権を使ってニュービジネスモデルを展開するというのは、おそらく教育する側からしても方向性が全然違う話だと思いますので、そこは是非意識してプログラムを御検討いただきたいと思います。
特に、発明を生むというところは、伝統的に日本社会は非常に強いわけですが、これについても更に強化する教育というのは大事だと思います。一方で、生まれた発明をいかに実社会の事業につなげていくかというところが弱いということが昨今言われております。本当に弱いのかどうか、私はなかなかはっきり分からないのですが、そこの教育というのは重要だろうと思います。学生の頃からそういうことを考えてもらうということが重要だろうと思っております。
以上です。
○渡部座長 ありがとうございます。
他の委員はいかがでしょうか。野坂委員、お願いします。
○野坂委員 野坂です。説明ありがとうございました。幾つか発言したいと思います。
ます第1に、グローバル知財マネジメント人材育成推進事業、特許庁の資料です。大変良い試みだと思いますけれども、今まさに3カ年計画で28年度を作ろうということであります。ポイントは、知財を推進するための鍵は人材が握っているということで、特に経営陣がどういう感覚で経営戦略を練って、それを実践していくかというのは大変重要だと思います。その点で、経営陣、大企業だけでなく、中小・中堅企業も含めて教育しようということ、素晴らしいと思うのですが、ポイントは、これを実際使って、どれだけの成果がもたらされるか。正に、これからだと思います。そういう意味で、内容が問われるということだと思います。
この説明によると、様々なフィードバックをする。あるいは、アドバイザリーボードの話も出ておりましたけれども、日々、非常に早い流れで動いておるものでございますので、ブラッシュアップをするような教材を作って研修していく、それが大事だと思います。注目しておりますので、是非最新のデータに基づく研修のプログラムを作って、さらにそれを実際利用していただいて、経営陣の意識改革につながるものにしていただきたいと思います。
2点目は、山口大学のケースです。佐田先生が大変頑張っていらっしゃって、モデルケースになっている。素晴らしいと思いますけれども、先ほど説明がありましたように、他の大学でも同じようなことが進められなければいけないということであります。山口モデルが更に広がるようにしていただきたい。山口モデルが大変素晴らしいのは、ある面で日本の課題である地方創生とか、地域が頑張れば、そこが発展できる。そういう意味でも成功事例の一つだと思うのです。政府は、安倍政権の地域振興・地域創生に絡めて、中小企業あるいは地方の大学発で、こういった動きをもっといろいろな地域で広げられるようにしていただきたいと思います。
3点目は、専門職大学院。先ほどの説明では、志願者が減っているということです。大変憂慮すべき事態だと思います。これは、魅力が乏しくなってきているから人が志望しないということなのかなと思っています。魅力を作るためにどうすればよいかということですが、これはいろいろな方法があるでしょうけれども、ともかく学ぶ側からすれば、専門職大学院を卒業することによってキャリアパスが開ける。卒業すれば、例えば企業の知財部門で働けるとか弁理士の道が開けるとか、そのキャリアパスがはっきりすることが志願者を広げるということだと思います。
また、企業からの志願が減っているという話も先ほどございました。これもまた、企業からそういう専門職大学院に出ることが、企業の中での自分のやりがいのある仕事につながっていくという展望が開けるかどうかが大変ポイントだと思う。、先ほど経営者の意識改革と言いましたけれども、企業の側で自分の成長のためには人材が必要である。特に知的人材が必要だという認識を持っていただくようなことと関連させて、この専門職大学院を発展させていただきたいと思います。
第4点は、先ほども近藤委員でしたか、指摘されていましたけれども、私も教える側の先生の能力ということに大変関心を持っております。新しい教科を高校で作るということであります。数理の授業を作るということですが、先生方にそれだけのノウハウがあるのかなというのは大変不安に思っております。教員のプログラムについても説明が若干ありましたけれども、詳しく分からなかった。実際、何年掛かりで、どういう形で、そして全国の高校で本当にそんな先生方が一気にそろえられるのかということは大変疑問に思っています。
したがって、近藤委員がおっしゃったように、企業のOBを使うというのは、方法としてはあり得ると思います。その辺の組み合わせを、是非現実的な、そして即効力のある対策を考えていただきたいと思います。
以上です。
○渡部座長 ありがとうございました。
他の委員はいかがでしょう。佐田委員、お願いします。
○佐田委員
先ほどから山口大学が出ていたので、少しコメントをさせていただきたいと思います。特に文部科学省内でも取り上げていただき、関係各方面の方には本当のありがとうございました。私は13年間、大学に来て知財管理や教育、産学連携もやっているわけでございますけれども、私の反省を込めて、ちょっとコメントさせていただきたいと思います。
前回別の専門部会でもお話させていただいたものと少しダブりますが、特に知的財産教育に対して、私は前職の流れから少し気負い込み過ぎ赴任に臨みました。法律とか訴訟、裁判事件などは、学生にとっては、きっとセンセーショナルで、かなり興味を持ってくれるのではないかと思っていました。それで最初はその関連の資料をいろいろ集めて授業で説明し、その関連の条文や判決という流れをしばらくやっていたのです。しばらくして、学生のアンケートをみると「すごく大変な感じ」、「こういう分野に自分は仕事に就きたくない」という意見が目に付き始めたのです。これはやり方がまずかったのだと思い、教育関係の先生方にいろいろと御相談申し上げたのです。「それは教育というよりも、専門人材、つまり実務者の養成であればそれでいいかも知れませんが・・・・」、「例えば数学の授業をやって、数学人材育成なんて言いますか、国語の授業をやって、国語学者を養成するのですか」と、こんなアドバイスがあったわけです。車に例えますと、普通に乗って便利に動くものだという認識は誰でも持っているわけですけれども、知財の専門家と称する方のカリキュラムを見ると、F1グランプリにいきなり出るようなレベルの話がどんどん飛び交って、グローバル化がどうだとか、経営と結び付いてとか云々です。
確かにそれは非常に大事なことには間違いないのですが。特に判例の問題などはむしろ教師が興味をそそられ研究がついつい深堀される傾向があります。しかしながら判例は考えてみればイレギュラーなところの隅っこの、それもレアーな事件の処理であって、王道ではないわけです。ただ学生にとっては、その区別ができませんので、知財教育という観点では、まずは王道をしっかりと学ばせるのが大事とおもいます。そのあとの自由研究のジャンルでは、いろいろとテーマを与え、どんどん引き上げていく、つまり知財教育は手順が特に大事ではないかと思います。教育に造詣の深い先生方にいろいろと相談申し上げ、新しい価値の創造教育という観点も加味して、先ほどの文部科学省の御説明にもあったように、発達段階に応じたいろいろな取組を、現在模索構築中です。 以前、小学校、中学校、高校の先生方といろいろと意見交換をする機会があった時、「知財の教育とは一体何を教えればいいですか」、「特に小学校、中学校、高校では、学習ですから、しっかりと真似れることに意義と価値を置いています。ところが知財は真似を排除するのですよね」と矢継ぎ早に質問が飛んできます。そこでの説明として、真似をしてよい分野と、真似をしてはいけない分野があります。後者は例えば創造性をもとめられる分野で、具体的に言いますと、作文とか絵画、あるいはものづくりの工作、そういう類の世界をきちんと分けて説明してあげる、そのためには先生自身が、理解をしておく必要がありますよ等々。
先生自身も知財という認識がない人がほとんどです。中学、高校、大学時代に知財教育を受けた方は、これまではほとんどいませんでしたので、これは致し方ないと思います。そこに来ていきなり「知財教育をやってみろ」と言われた時に、「知財とは何」から始まり、「発明と特許でどう違う」とか、「知的財産権と産業財産権の違い」等が適切に説明できないことがあり、その点をきちんと理解するために工夫できないかと思っています。知財教育を私どもは全員野球の感覚で9学部ありますのでこの全てです。もともとは工学部関係だけだったのを全学部に広げて、特に文系の文学部、経済、教育ももちろん含めてです。教育学部は、将来、先生になったとき、生徒にものづくりの観点から、ものが創作された際には、それがどんな仕組みで保護されるかの授業もできるように、展開科目で手当てしています。
知財の専門家の場合、知財は詳しくても、教育現場を知らないひとが多いので、現場の専門家と意見交換は有益です。以前少年少女発明クラブで、小学生の先生とコラボで授業をやったとき、生徒に「発明した物を守るというのはどういう意味か。例えば自分の発明した物を人が勝手に使ったら面白くないよね、だったら・・。」という導入から授業をやったのです。後の考察会で、先生から「物を作ったアイデアというのは、精神活動の具現であり、その人の人格そのものなので、特許制度はお互いに人格を認め合う理念と考えればいいのですね」という御指摘がありました。「ああ、そういうことですね」と、私がむしろ教えてもらった感じを受けたのです。
大学の教養ではものづくりとか創造活動とかを、知的財産の保護の仕組みの中で、こうやって尊重され保護されるのだといったことを、8コマでやっています。落ちると卒業できませんから、実は寝る学生がいません。これは本当にびっくりです。数十人単位で集中講義でやっていましても、寝る学生は、熟睡どころか爆睡するので、我々もあの手この手の工夫を余儀なくされますが、必修化というのはモチベーションが上がるし、卒業できないというプレッシャーあるということ、効果は期待ができるとおもいます。
本学では毎年2,000人の学生が巣立って行きます。企業だけではなく、自治体とか銀行といったところにも入っていきますから、知的財産の意識をもった彼ら彼女達ですので、地域の知財基盤の強化が図れないかと密かに考えております。特に山口県は中小企業が多いですから、中小企業の皆様方に知財を勉強しませんかと言っても、彼らは時間がとれないとかで、なかなか参加してくれません。そういったことから、組織に入って若手から組織内を突き上げてもらえれば、企業の活力も上がり、ひいては全体のレベルアップになるのではないかということを私期待しているところです。
そういうことができる人材の養成をと、2年、3年、4年の専門課程、更には大学院も含めてそれに応じた対応を執ろうと考えております。そういう意味合いで、文部科学省さんの御指導の下に、これを全国の大学や高専等の御希望があるところに、私どもが今まで蓄積したノウハウとか、カリキュラム、評価方法等、大概揃っていますので、ご希望のあるところには御提供したいと考えております。
以上です。
○渡部座長 ありがとうございました。
相澤委員、お願いします。
○相澤委員 専門職大学院における教育というのは、人材育成と密接に結び付いたものであると思います。人材育成で、専門職大学院がきちんと評価され、その役割を果していく計画が策定されることをお願いしたいと思います。
初等中等教育におきまして、著作物の自由な利用による教育の進展というのは重要なことです。その反面、そこで使われる著作物の保護の重要性というものもあります。その兼ね合いを含めて、初等・中等教育における知的財産の重要性を考えていただきたいと思います。
○渡部座長 ありがとうございました。
それでは、長澤委員から先にお願いします。
○長澤委員 ありがとうございました。
感じるところを幾つか述べますと、他の委員の方もおっしゃったように、特に初等教育時は科学というものを知ることが必要であると考えますが、更に科学がどのようなビジネスにつながっていくかを認識してもらうことも重要であると考えます。我々も初等教育の頃に科学の授業を受け、科学の重要さについて学ぶのですが、それがどのようなビジネスにつながるかを認識してもらうことがまず必要なのではないかと思います。高等教育においては、ここに知的財産というものが加わってきて、知的財産はビジネスに対してどのような役割を果たすかという教育ができればいいと思います。私自身もほとんどそのような教育を受けていないと思います。
一方、専門職や経営のトップの方に対する教育というのは、全く違うものになると思っています。それは、初等時にそのような教育を受けていないわけですから、ビジネスと知的財産のリンクの認識がかなり低い可能性があるからです。例えば、中小企業のトップの方への教育を行う際や、我々が関係会社の社長などを教育する際に一番スポットを当てるのが、ミスの防止です。技術的な契約のときに、とんでもない権利を与えてしまっている、もしくは義務を受け入れてしまっているというミスがよく起こっているため、スポット的な教育が非常に有効ではないかと思います。
大企業の経営トップの場合は、どちらかというと長期的な投資であることを理解してもらわないといけないと思っています。従って、専門職や大企業の経営トップに対する指導者としては、近藤委員もおっしゃっていたように企業のOBの方が非常に適していると思います。ただ、中小企業経営者や一部専門職の方への教育は、できれば最新の情報を与えたいという気持ちもありますので、皆様忙しいかもしれませんが、現役で世界を相手に知財活動を行っている方と話をする機会を一つでも二つでも増やしていただければ、かなり充実した教育体制になっていくであろうと思います。
○渡部座長 ありがとうございました。
では、髙崎委員、お願いします。
○髙崎委員 ありがとうございます。
まず、先ほど野坂委員がおっしゃっていたプログラム開発に私も関わっておりまして、来月と再来月、研修のデモンストレーションがあります。私自身、非常に良いものができそうだなという予感はあります。中小企業が海外展開するときに、こんなミスがあるのか。知財って大事だなということをケーススタディーを通じて勉強できるので、非常に良い効果があろうかと思います。
ただ、そこで誰に相談しようかという、その次のステップに行くときに、INPITの海外知財プロデューサーもいますし、いろいろな仕組みで中小企業の支援人材がおられると思いますが、危機感を感じた後に、どちらに相談すればいいのかという、そこを是非つなげていきたいかなと思います。
もう一点ですが、文部科学省の方の御報告で、初等、中等、高校、大学から知財の勉強をするということに非常に賛成ですが、2点申し上げたい。
一つは、関西の専門職大学院から、インターンに毎年二、三名ずつ来てもらっています。非常に優秀な学部生、3年生とM1に来ていただいているのですが、中には機械のことが全くわからない、商標・意匠等だけの方がいらっしゃって、ちょっと違うかな、ミスマッチかなという気がしているのです。それは、そこの専門職大学院は文系としての認可しか下りていないので、工学的な知識を余りお持ちでない学生が来られるので、このまま社会に出てもどうかなという感じが若干します。
そうであれば、高校・中学あたりから知財の基本的な知識を勉強することによって、理系の学生も文系の学生も、両方知財の知識が共有できる。何となくミスマッチになっているような気がします。そのときに、国家資格、私、こればかりで申し訳ないですが、知的財産管理技能検定3級程度であれば、大学の学部あるいは高校生でも十分チャレンジできるのではないかと思いますので、こういう検定制度も是非御活用、御検討いただければと思います。
以上です。
○渡部座長 ありがとうございました。
それでは、井上委員、お願いします。
○井上委員
初等中等教育における知財教育に関しては、既に皆様方から出ておりますように、知財の「制度」から入ってしまうというのは問題があると思います。知財制度は、イノベーションを促進するための道具に過ぎず、まずは起業教育や、イノベーションを社会に活かすことの重要性を教えるところからはじめ、その過程で知財の制度についての理解が深まるという形にした方がいいと思います。
イノベーションとは別に、著作権教育については、情報倫理を教える中で、法的で守られている著作権という制度もあるということを教えていくべきであろうと思います。知財の制度そのものに焦点当てて教えるということにならないようにしていただきたいと思います。
専門職大学院についても一言申し上げますと、社会人の学び直し、あるいは高度人材の養成の社会的意義は高まっておりますが、にもかかわらず専門職大学院のうち知財の分野では志望者が減っているという現実があり。うまく制度が機能していないのは問題です。
では、どうするかということですけれども、最新の知識・情報、タイムリーに教えるという短期的な教育内容では、数年経つと情報は古くなってしまいます。大学院で学位を与えるからには短期ではなくて、中長期的に知財について理解のある高度人材を養成していくということが必要です。最新の情報をインプットすることは例えば各種セミナーなどを充実させるということで対応できると思いますので、大学院と、単発的な各種セミナーとの役割分担がなされるように考えた方がよいと思います。
以上です。
○渡部座長 ありがとうございました。
杉村委員、お願いします。
○杉村委員 杉村でございます。小中高等学校の人材育成について意見を申し述べさせていただきたいと思います。
現在、文部科学省におきまして、いろいろと御検討していただいているということで、大変ありがたく思っております。ただ、小学校、中学校、高等学校、そして大学と、それぞれ知的財産に関する教育についてそのようなポリシーを持って、一連の流れの中で人材育成をしていくかというところがよく分からなかったので、そのことを明確にしていただけると、なお一層良いのではないかと思いました。
特に、小学校におきましては、何か創造する楽しさという観点からの知的財産権へのアクセス、そして、高校におきましては、先ほど御説明ありましたように、数理探求という新たなプログラムを開設されるということでございますが、これまでは「情報」という科目におきまして知的財産権の教育が図られていたと思います。この「数理探求」という観点から知的財産権の教育を考えていただければと思っております。
それと、知財専門職大学院でございますが、先ほどから皆様おっしゃっていらっしゃいますように、志願者が減少していることは大きな問題だと思います。知的財産に関する高度な専門人材を創生するという目的で専門職大学院が発足したと思います。現在の環境と実情を考慮して、各専門職大学院のアドミッションポリシーと、現在の各専門職大学院の履修科目が合致しているのかどうかということを見直す必要があるのではないかと思います。特に社会人の学生が減っているということですので、社会人の学生がどのような目的意識を持っているのか、またどのような要望があるのかということをヒアリングして、新たな科目の開設も必要ではないかと思います。
以上です。
○渡部座長 ありがとうございました。
あと、3人ですね。では、原山委員からお願いします。
○原山委員 初めの特許庁の件ですが、知財マネジメントですから、対象が企業経営者ということであれば、コンテンツのアップデイトをどうするかということが鍵になると思います。賞味期限、ケースにしろ、かなり短くなってくるので、これを作ったからどうぞ、で受け渡しでというのはなかなか難しいのではないかと思います。
2番目の山口大モデルも、できればある種のオープンソース的な形で教材化というのが望ましいかなと思っております。何かというと、受け入れる大学によってコンテクストも違いますし、それをアップデイトしていきながら、更に良くしていく、それをシェアしていくという形のやり方というのが、今後発展形で望ましいと思っております。
それから、最後の文科省のところですが、初等中等教育、特に初等教育に関しては、子供たち、更地のところからいろいろなものを吸収していく段階で、まず伸ばしたいのは創造性というところですね。創造性を伸ばすのと同時に、先ほど保護とおっしゃっているのですけれども、一緒にそれをインプットされてしまうと、子供の頭の中でかなり混乱が起こって、いろいろなことをどう残り越えていくかというのは、かなり大きくなってこないと、そのスキルが取得できていないのです。よほどケアフルにしないと両立しないという前提でカリキュラムを組んでいく、と同時に、これからはものづくりだけではなく、ソフト的な側面からの知財ということが必要になってくると、考え方をもっと柔軟にしなければいけないので、一つ、その辺に気を付けていただきたい。
それから、数理探求については、これまで非常に欠けていた部分だと思うのですけれども、基本的にサイエンスということを考えたときには、正にサイエンスのコンテンツと同時に、これを両方、子供にすり込まなければいけないというのは、それこそ初等中等教育からのすり込みが必要だと思っております。従って、スーパーサイエンススクールで、ある種のエリート的なところでやったからということで、そこに残してしまうのではなく、いろいろなバージョンがあって良いと思うのですけれども、中長期的には全てのレイヤーで浸透させていただきたいものだと思っております。
同時に、既に御指摘がありましたが、教員教育が正に鍵であって、これをどうやっていくかというのは非常に頭の痛い問題ですけれども、これをしないことには、美しいコンテンツを作ってもなかなか使われない。それは、相当な額も投資しなければいけないし、教員養成のコンテンツを作るプログラムそのものをどうするかというのが、本当に一番大きな課題だと思っております。
○渡部座長 ありがとうございます。
山本委員、吉井委員の順番でお願いします。
○山本委員 今の原山先生のお話と重複するのですが、初等中等教育で一言申し上げます。
弊社のメセナ活動で中学校1年生に知的財産の勉強会をやったことがあるのですが、最初、入り口が特許法は何だと教えても駄目で、歴史から入った方が受け入れやすくて、ベネチアで最初の特許法ができたときに活躍していたのは誰でしょうみたいな入り方が重要です。レオナルド・ダ・ヴィンチの頃だという話になってくると、何となくイメージが膨らんだり。ガリレオが特許を出したとか、確かコペルニクスですが、ラボノートは絶対周りに見せなかったとか、レントゲンは落第生だったけれども、大発明をしたという方が子供は興味を持ちますし、いじめがなくなるというか、面白い発想の人をいじめるのではなくて、そういった人の独創性を大事にしようとか、落第してもノーベル賞を取った人はいっぱいいるという方が最初は受け入れやすいというところがあるので、その辺を余り制度から入らないでお考えいただきたいということです。
以上です。
○吉井委員
吉井です。御説明を伺いまして、良い発明者をどんどん育てるという努力をされているので、私ももう一回小学生に戻りたいなと思ったぐらいです。
一つだけ御提案は、ものづくりの世界の現状というのは、自社のR&Dだけで物を作っていくというのは非常に難しいから、外から発明をどんどん取り入れて作っていくという、自前主義からオープンイノベーションの世界に変わっております。また、クラウドが非常に発展しておりますから、世界的にクラウドを使って、何万人もの発明者が一緒に研究して作っていくという状況になっています。そのときに私が残念に思うのは、日本には良い発明者がいるのに、英語が不得意だから日本の研究者がぽこっと抜けたりするのです。ですから、良い発明者をつくると同時に、是非とも英語教育というもの。当然、一生懸命やられていますけれども、発明というのはグローバルに使われるものですから、それをきっちりと発信できる。それは、残念ながら日本語ではなくて英語ですので、英語教育をきっちりとやっていただいて、日本の発明者が世界で本当に素晴らしいねと思われるような世界を創っていただきたいと思います。
以上です。
○渡部座長 ありがとうございました。
まだご意見があるかと思いますけれども、時間の関係もありますので、この辺りで一度止めさせていただきます。
今、初等中等から大学院まで、一遍にいろいろ意見をいただきましたが、全体をどういう考え方で貫いていくのか、それぞれの課程において、どのような施策を考えていくべきか、さらに、知財の場合はまさしく社会との連携の中で、そういうものをどうやって実現していくのかなど、いろいろ論点がありました。
この委員会の中だけでは深掘りした議論がなかなかできにくいと存じますので、集中して深掘りした議論をしていくために、事務局から資料5に「知財教育に関する検討体の設置について」という案を作っていただいております。
この案のような形で、検討体という言葉を使っていますけれども、何らかの議論をする場を作って、更に深掘りをしていくということにさせていただければと思っておりますけれども、その点についていかがでございましょうか。そのような形で進めさせていただくということでよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○渡部座長 ありがとうございます。
それでは、皆様から御賛同いただいたということで、事務局とも御相談させていただいた上で、検討体を設けて引き続き議論させていただきたいと存じます。
それでは、時間も少し超過しておりますが、次の項目に移らせていただきたいと存じます。「地方における知財活用の推進」及び「産学官連携機能の強化」につきましては、互いに関連のある施策となりますので、それぞれ説明いただいた後に、両方について意見交換を行わせていただきたいと思います。
まず、各省から順番に説明をお願い申し上げます。
○宮本室長 経産省の大学連携推進室の宮本でございます。資料11を御覧いただければと思います。資料11に基づいて簡単に御説明させていただきます。
国の政策として、大学の組織としての産学連携機能を強化しようということで、文科省・経産省が併せて関連施策を執り始めたのが平成10年頃でございます。それまでは、産学連携活動は、産学連携に関心のある教員の方々が個人ベースでやっておられたわけでございますけれども、平成10年のTLO制度創設以来、組織としての産学連携機能を強化して参りました。
その結果、産学連携の状況がどの様に変わってきたかというと、2ページ目を見ていただきますと、平成10年以降、共同研究・受託研究の件数や金額もどんどん上がってきておりますし、特許の活用実績も増えてきております。このように産学連携の「量」は順調に推移してきております。
3ページ目の下のグラフを見ていただきますと、日本の大学のライセンス収入は米国の大学に比べて非常に小さいことが分かります。
その右上の方のグラフを見て頂きますと、1件当たりの共同研究については、相変わらず非常に少額のものが多いという状況でありまして、今後、更に産学連携を活発にしていく上では、1件当たりの特許収入の金額を増やすとか、1件当たりの共同研究をもう少し大きいものにしていく等の質の向上が必要になってきているという問題意識を持っております。
そういった中で、各大学あるいはTLO、関係各機関に産学連携機能を高めるための組織が整備されたわけでございますけれども、それぞれの組織を個々に比べてみると、思ったようにパフォーマンスが上がっていないところもありますし、意外にパフォーマンスが上がってきたところもございます。パフォーマンスの良い機関はどのような取組をやっているのかということを、パフォーマンスがいま一つ上がっていない機関が参考にできるようになれば、自分たちもそうした工夫を取り入れるべきではないだろうかという気付きになるのではないかと考えています。
こういった問題意識から、個々の大学、TLOの産学連携機能のパフォーマンスが比較できるようなデータを、各大学、TLOの方々で共有できるようなものを作り上げようということで、4ページ目以降でございますけれども、産学連携機能のパフォーマンスを見える化する活動をやってまいりました。
これを2年前からやってきたわけでございますけれども、4ページを見ていただきますと、特許を活用することにより収入を得ているかとか、あるいは外部から共同研究・受託研究を獲得することにより収入を得ているとか指標毎に、各大学の実績データをプロットしますと、全ての大学があらゆる側面でうまくいっているというわけではなくて、ある指標においては非常にパフォーマンスが良いけれども、別の指標では今一つというものもあったりすることが見えてまいりました。
細かくは9ページ目以降に紹介しておりますが、今日は時間がございませんので、そこは紹介を割愛させていただきます。
こういった分析結果を各大学にフィードバックさせていただいたところ、前年度の自分たちの大学の実績が幾らで、それに対して今年度は上がったのかどうかということは、当然、各大学の中でも把握しているわけでございますけれども、例えば同じような規模の他の大学、自分がライバルだと思っているような大学と比べて、自分たちのパフォーマンスはどの様な位置にあるのかよく分からなかったわけでございますけれども、このあたりが見えてくるような形になりました。
その結果、幾つかの大学でさらにその深掘りをするような取組が見えてまいりましたので、紹介します。5ページ目を見ていただきますと、東京医科歯科大学では、こういった他大学との比較を通じて自分たちのパフォーマンスを見てみたところ、ある指標に関しては、確かに他の大学よりもパフォーマンスが良いかもしれないけれども、別の指標で見ると、実は思っていたよりパフォーマンスが悪いといったことに気付くことができたということが発生しています。
6ページ目を見ていただきますと、東京医科歯科大というのはライフ関係の分野に偏っているわけですけれども、小粒のものではなくて、高額の共同研究・受託研究を取ってくることが非常に大事だと大学としては認識しているわけですけれども、そういう指標をとってみると、左下の図にあるように、いろいろな大学の中でいま一つパフォーマンスは良くない。
一方で、マテリアル移転収入も一生懸命頑張って取り組んでいるのですが、そちらは非常にパフォーマンスが良い。右上のグラフです。こういったことで自分たちの強み・弱みが何か見えてきた。
その結果、7ページ目にありますように、自分たちの強み、弱みが分かってきたわけです。例えばマテリアルの活用率が高いというのは強みで、大型の共同研究・受託研究を取ってくるというのは、実は弱みなのだということが見えてきたわけです。弱みである部分については、今後、更に強化しなければいけないと考えたわけです。
弱みの部分を強化するために、例えば大型の共同研究・受託研究をもっと取っていくためには、自分の大学に所属する各教員の方々の更なる努力が必要で、こういう執行部の経営方針をどうやって各教員のアクションにつなげていくかということが重要になってきたわけです。東京医科歯科大学としては例えば経営改革の案として、大型の共同研究を取ってきた人にはインセンティブ的な給与を与えるというものを入れることで、各教員のアクションにつなげようといった経営改革につなげるということが行われ始めたということでございます。
このような取組が幾つかの大学で最近やっと始まってきたわけでございますけれども、これらの活動を通じて、大学の産学連携機能というものが更に高まっていくようなことになればと考えております。
最後に、まとめですけれども、8ページを見ていただきますと、今、我々は各大学から指標に関するデータを2年ほど集めてきていますけれども、これらを分析し、経年比較も可能なようにパフォーマンスを見える化して、これを各大学で共有できるようにしてきております。3年目の今年はまだデータ集計中ですけれども、1年目は約70大学、2年目は80大学、3年目は100以上の大学からアンケートに積極的に参画いただいています。
それから、当初、一部の大学は、他の大学に自分たちのパフォーマンスが見えてしまうのは嫌だという反応もあったのですけれども、今ではほぼすべての大学がこういったデータの共有に賛同していて、自分よりパフォーマンスの良いところの大学の取組を学びたいという感じに変わってきておりますので、是非そういったところを更に発展させるようにしていきたいと考えております。
また、こういった指標のデータというのは、数十枚の相当長いデータからなるもので、多面的な評価が出るような形でやっているわけですけれども、実際に中身をよく理解していただくためには、個別に相対で説明する機会を設けさせていただいて、学長若しくは副学長との意見交換の時間を1時間、2時間、場合によっては3時間ぐらいやらせていただいているのですが、これを全てやっていくには限界がありますので、こういったデータを自ら読んで理解できるような「産学連携活動マネジメントの手引き」みたいなものを整備して、それを配布することによりもう少しシステマティックにこういった内容を理解いただくようなこともやっていきたいなと考えております。
私からは以上です。
○松下課長
資料が戻って恐縮ですけれども、資料6に基づきまして説明いたします。特許庁の普及支援課長でございます。表紙に書いております5点について御紹介をさせていただきたいと思っております。
資料を1枚めくっていただきますと、1ページ目、2ページ目には、来年度の予算要求を含めまして、特許庁の地域中小企業支援策全体像を書かせていただいております。
後ほど個々には紹介させていただきますけれども、例えば2ページ目の6ポツ、発明のインセンティブ向上に向けた支援というところで、特許法の改正で職務発明制度が変わりましたので、この辺を中小企業の皆様方にしっかりと普及し、かつ専門家での規程を作りたいといった方には、専門家の支援、知財総合支援窓口を通じて支援をやっていきたいと思っております。
また、1枚めくっていただきますと、3ページ目でございますけれども、知財推進計画2015では、知財活用挑戦型と知財活用途上型というように、中小企業の特性に応じて施策を考えるべきだという宿題をいただいているところでございます。我々の方としましても、左側に業種別に書かせていただいていますけれども、業種に応じて支援策のメニューというものを、順次、27年度、28年度、拡充していきたいと思っているところでございます。
それでは、4ページ目、最初の宿題ですけれども、知財総合支援窓口につきましては、皆様御承知のとおり、全都道府県、57カ所に現在、設置しているところですけれども、左側のグラフを見ていただきますと分かりますとおり、今年度、上半期におきましては約10%、支援の件数が増えております。
また右側のグラフでございますけれども、専門家、弁理士、弁護士をもっと活用して支援の質を上げるようにという宿題をいただいております。26年度、過去最高の約1万件の活用をしましたけれども、今年度はそれを超えて、前年同期比の30%増となっており、支援の質というものも専門家を通じて上がっているのではないかと思っております。
また、下の方によろず支援拠点、次に説明があると思いますけれども、そことの連携につきましては、上半期、約300件ということが我々の方のデータでございます。昨年に比べるとかなり増えておりまして、そういう意味では連携が進んでいると思いますし、先週まで、窓口の支援担当者の人たちの研修というものも実施したのですけれども、そういうカリキュラムの中にもよろず支援拠点の方の講義も入れるなど、より一層の連携を図りたいと思っております。
また、全体の底上げのために、来年度からはINPITを通じて総合調整機能の強化を図りたいと思っております。
次、もう一つ、知財総合支援窓口を通じて事業化の支援につなげていくようにという御提言をいただいているところでございます。5ページ目に二つの例を書かせていただいています。
上の方は、まさに知財総合支援窓口で、ライセンス契約の締結などを支援して事業につなげたい。下の方の例は、知財以外の補助金を別の機関に紹介してもらうとともに、権利もしっかり取っておいたことで、大企業との取引が成立したという事業の成功例を書かせていただいております。こういう事例を増やしていきたいと考えているところでございます。
次に、6ページ目ですけれども、デザイン・ブランドの活用についても支援を強化するようにという宿題がございます。
左側の図を見ていただきますと、中小企業の出願件数の比率は、特許だと13%ですけれども、意匠だと3分の1、商標だと半数を占めているということに鑑みますと、中小企業にとってより身近な権利であると思っているところでございます。
右側の方にデザインを活用した製品の成功例を書かせていただいておりますが、このような成功例を増やしていきたいと考えております。
7ページ目が実際にどういう施策を今、講じているのかというところですけれども、先ほどはプロダクトデザインでしたけれども、パッケージデザインの支援を通じた東北の復興ということで、昨年、左の真ん中あたりに書いてありますみちのく塩辛というパッケージデザインを全国から公募して、右側の商品化デザインを採用し、権利を取ったところでございます。また、販売して売上げも伸びたり、これらの一連のプロセスを通じて、企業とかデザインの関係者の認識がアップしたという成果がございまして、今年度もこのような事業を続けております。
それから、右側の方ですけれども、ブランド戦略支援ということで、枕崎の鰹節の例を書いておりますけれども、先ほどの知財総合支援窓口で商標の取得戦略を策定し、また2ポツに書かせていただいておりますが、外国に展開したいということで、当方の外国出願補助金なども活用して、海外展開も図っているところでございます。特許庁としましても、権利というものは取るだけでなく、それが活用され、かつ事業が成功することが権利そのものの価値を高める。また、それが出願増につながるというコンセプトの下で、来年度以降、デザイン・ブランドの分野についての支援を拡充していきたいと思っているところでございます。
それから、8ページ目が知財金融支援でございます。
金融機関に関しましては、日頃から中小企業との接点が多いので、知財のすそ野を拡大する意味で重要な存在であるというのが1点目の期待。2点目としては、知的財産を評価して融資につなげてほしいという役割を期待しているところでございます。
その取組として、26年度から試行的に、専門の調査会社が特許を含めたビジネス全体を評価して、知財ビジネス評価書と言いますけれども、これを融資の判断材料として活用いただくことを促すという試み。特に担保に取るということではなく、知財を評価して、そのビジネスに対して融資ができないかという取組をやっております。ここに掲載した日本地図を見ていただいたら分かりますとおり、27年度、関心を持ってくれる金融機関も増えているところでございます。
1枚めくっていただきまして、9ページ目でございますが、まず27年度の真ん中あたりでございますけれども、山口銀行とか北洋銀行とか、ビジネス評価書を活用した融資制度というものを創設したところもございますし、また、下に書いておりますように、百五銀行のように融資しましたというニュースリリースをしていただいているところもございます。現在、成果の実態を調査しているところでございます。
また、今年度、27年度は、金融機関向けの知財金融マニュアルを作っていきたいと思っております。例えばJ-PlatPatを使うだけでも、例えば企業名を入れるとどういう権利を持っているかが分かる。それだけでも中小企業と金融機関とのコミュニケーションのツールになるという評価もいただいておりますので、それらも含めて、金融機関の人に読んでもらうためのマニュアルを作りたい。
また、一番下のところでございますけれども、いろいろな制度、融資の事例というものも出てきておりますので、大阪で7月にシンポジウムをやりましたけれども、1月には関東でも開催して、このような成果を普及していきたいと思っております。
次に、10ページ目が海外展開の支援でございます。TPPの合意もありますので、より期待されているところかと思います。
左上のところですけれども、特許の海外出願率というのは大企業の半分ぐらい、日本に出願したもののうち約15%を海外に出しているというのが中小企業の現状でございます。
しかしながら、右側を見ていただきますと、実際に権利侵害を受けたのが11%。それから、逆に相手国で警告を受けた経験がある中小企業が7%ございます。
このような方々に対しての資金面を含めた支援を強化していきたいというところが、11ページ目でございます。
外国出願の支援補助金は約五百数十件、今、支援していますけれども、1,000件を目標にやっていきたいと思っておりますし、侵害の係争対策につきましては、模倣品の調査、模倣品対策の証拠集めのための調査費用、それから、真ん中の②ですけれども、訴えられた場合の係争費用といったもの、攻めと守りの部分の補助金を用意しています。現在、③として、冒認商標などを取り消すための費用についても対象とできないかということを要求しております。
また、右側の方につきましては、海外で訴えられた場合、補助金ですと、どうしても年度内での支出ということになりますので、なかなか戦いづらいというところもございますので、日本商工会議所などと協力しながら、海外の知的財産の訴訟保険というものに対しての補助金を今、新規要求させていただいているところでございます。例えば中小企業の保険料が30万円であれば、15万円程度を特許庁から補助できないかというところでございます。
最後になりますけれども、地域の取組を支援するということで、12ページには、地方公共団体でもいろいろ差異があるところですが、やる気のあるところを後押しするという視点から、補助金を今年度から創設したところでございます。
13ページ目ですけれども、やる気のあるところを補助するということで、やる気補助金と呼んでいますけれども、例えば左下のような例においては、大企業の開放特許、例えば塗料を使わないで金属に色を付けるという技術について、大学生から商品アイデアを募集して、中小企業の事業化につなげていくということですけれども、実際に公園の滑り台とか食器に使ったらとか、傘の骨のところに色がついていると非常にカラフルな気分になるという大学生ならではの提案もありますので、これを事業化につなげていくといったこと。
あと、右側の方では、地域団体商標をセットで、お米と水とみそとたらこを書いていますけれども、おにぎりというコンセプトで一緒に台湾の観光客に売っていけないかということを、今、地域の先導的な取組としてやっているところでございます。
簡単ではございますけれども、以上でございます。
○前田課長補佐 続きまして、中小企業庁の経営支援課でございます。私ども、よろず支援拠点の方を担当してございまして、知財計画におきましては知財活用による事業化支援といったところにつきまして、それを強化するようにという宿題をいただいているところでございます。
資料は、お手元資料の7になります。こちらに基づきまして説明の方をさせていただきます。
1ページ目でございます。
既に御案内のところもあろうかと思いますけれども、よろず支援拠点、いわゆる経営に関するよろずの相談を受け付ける拠点でございまして、昨年6月からの設置でございます。各都道府県にワンストップ相談窓口として、県の支援センターに入っているのが大半でございます。知財総合支援窓口もお近くにあることが非常に多い状況でございますので、そういった意味での連携が非常に良い形になってきているかと思います。これら各都道府県の拠点を更に評価、質を上げていくのが、中小機構に全国本部というものを設けてございまして、こちらの方で全体の運営を行っていくという形になってございます。
ミッションにつきましては、2ポツの3つでございます。
1番目は、中小企業、小規模企業におきましては、売上拡大のような御相談が非常に多くございますが、こうした相談についての解決策を打ち出していくというミッションが1つ目でございます。
2番目は、資金繰りのような経営改善の提案をしていく際に、商工会、商工会議所、金融機関など、あるいは弁護士等も含みまして、専門的なチームを作りながら対応していくというミッションでございます。
3番目は、いわゆるよろずの由来ですけれども、どこに相談していいかわからないといった方を全て受け付ける。そういったラストリゾートであるというミッションでございます。
こういった業務の中で、中には非常に専門的な知見が必要になることがございます。そういった場合におきましては、ここから更に専門家を派遣するというツールを用意してございまして、専門家派遣というのも機能してございます。
3ポツ目がよろず支援拠点の体制でございます。各拠点とも5名程度の専門家を配置、1人がリーダーとしてコーディネータ、その他にサブコーディネータという構成でございます。そのサブコーディネータの構成につきましては、経営コンサルティングも多いわけですけれども、デザインに関する相談も非常にあるところでございます。これは、パッケージを変えると売上げが伸びる可能性がございますので、デザインに関する相談、専門家を置いている拠点もございます。
それがよろず支援拠点の概要でございます。
続きまして、2ページ目でございます。
昨年から始めているよろず支援拠点でございますけれども、設置から約1年半経過してございます。相談件数につきましては、当初年間1万数件であったところが、今年に入りまして2万件程度になってございます。その意味では、相談の量が非常に伸びてございまして、約18万件の相談がこれまで寄せられているという状況でございます。
今年3月までの集計につきまして、グラフの方で表示させていただいております。約9万件の相談があるわけですけれども、この中でデザイン、知財に関する相談というのが数%ございます。こういったニーズに対応できるように、先ほど申し上げましたとおり、専門家を配置して対応しているという状況でございます。
こうした中、今後の展開でございますけれども、私ども、今、このよろずの支援体制につきましては、強化する方向で予算要求を行っているところでございます。人員の強化を念頭に置いてございますけれども、こういった中で、拠点の判断によって、知財の相談に関する事情が多い、あるいは県のセンターとして知財に関する御相談にやや難点があるところにつきましては、そういった専門家をサブコーディネータとして追加配置できるような予算の要求を行っているところでございます。
1ポツ以下の項目ですけれども、加えまして、私ども、全国研修あるいは各種研修の機会を持ちまして、このよろず支援拠点に配置しているコーディネータあるいはサブコーディネータに対する研修を行っております。こういった中で、知的財産の支援ツールも含めて、いろいろな事業につきまして、私ども、普及活動を行っているところでございまして、そういったところから、いらっしゃるお客様に御案内ができる形を整備していきたいということでございます。
それから、2ポツでございますけれども、これは件数としては多くないわけですけれども、中には入り組んだ相談もこれからあろうかと思います。何があっても対応できるのがよろず支援拠点であろうかと思いますので、先ほどの全国本部の方に係争・訴訟の実績のある専門家を来年度配置して、そこに取り次げるような形でいろいろな相談に応じられるような体制を組んでいきたいと考えているところでございます。
3ページ目でございます。
私ども、よろず支援拠点の支援事例を事例集としてまとめてございます。この中で知財に関連するものを幾つかピックアップさせていただきました。
4ページ目以降は、個別の事例の詳細でございますけれども、こちらについては割愛させていただきます。
3ページにございますそれぞれの事例、大体のケースは、特許は取得したけれども、あるいは商標は取得したけれどもという御相談に対して、その特許をどのように、どこに売り込んでいけば事業化につなげられるか、あるいはどういった形で事業を提案すれば金融機関から融資を受けられるかといったところにつきまして、よろず支援拠点の方でアドバイスを申し上げている事例でございまして、知財の活用から事業化への部分につきまして、よろず支援拠点の方では幾つかの支援事例があところでございます。
デザインまで含めると、売上げ拡大において知財に関連するものが非常に多くございますので、今後ともこういった形で、地域の発明協会、知財総合支援窓口、あるいはいろいろな方と連携しながら、折角の知財を事業化に結び付ける、ここについて、私ども、お手伝いの方をしていきたいと考えているところでございます。
以上でございます。
○田名部企画調整官 続きまして、特許庁企画調査課でございます。
資料8でございます。
まず初めに、事業プロデューサー派遣推進事業について御説明させていただきます。
本事業は、来年度から始まる3カ年事業として、新規に予算要求をさせていただいている事業でございます。地域の技術シーズを活用して、新規事業創出につなげるために、事業化を構想できる目利き機能を果たし、事業プロデュースをできる能力を持った専門家を地域に派遣する事業でございます。
派遣された事業プロデューサーは、地域のニーズの掘り起こし、及びシーズの掘り起こしを行いつつ、地域の金融機関や地域の専門家等のネットワークを構築・活用しながら、事業プロデュース活動を実施いたします。
また、各事業プロデューサーの活動における経験の共有化によって活動の横展開を図るべく、中央事務局において活用事例、ニーズ、シーズ情報を共有する場を設けることも考えております。
それから、本事業の事業プロデューサーによる活動の成功事例や失敗事例等々の分析によってモデルを抽出し、事業終了後には広く周知を図ることによって、事業プロデューサーの活動が地域において定着し、地域での事業プロデュース活動の自立化を目指すことも考えております。
2ページ目でございますけれども、本事業のモデルとしているのは、皆様御存じの方が多いと思いますけれども、徳島大学の活動をモデルとして考えた事業でございます。
徳島大学の坂井教授の活動ですけれども、阿波銀行の持つ企業ネットワークを活用して地元企業を訪問して潜在するニーズを掘り起こしつつ、シーズの掘り起こしも主に大学等で行い、各種の資金獲得の支援やビジネス構想立案の支援までつなげる活動をされております。本事業は、このような事業プロデュース活動を全国に広げることを目指すものでございます。
続きまして、資料が飛びますけれども、資料13に基づきまして、本年度、文部科学省と共に実施しております産学連携に関する調査研究について御説明させていただきます。
本調査研究は、主に大学と企業との間の共同研究につきまして、種々の条件や状況について勘案した上で、共同研究の成果の取扱いを含めて、柔軟な共同研究契約を考える上での考慮要素・考慮方法等のベストプラクティスを抽出することを目的とした調査研究でございます。
また、産学官連携による大学の研究成果の社会実装から、再び産学連携につながる循環を活性化する観点から、大学等において単独の特許出願、単願を増やすことが有効な場合、及び共有特許とすることが有効な場合についても類型を例示することも、2つ目の目的としております。これまでのところ、アンケート調査とヒアリング調査を実施したところでございます。
2ページ目を御覧いただきたいと思います。裏側でございます。
今後は、アンケート調査とヒアリング調査の分析を進めまして、ベストプラクティスの判断要素として抽出した各項目の重要度や、項目間の優先度が生じる背景、あるいは契約の交渉実務について分析いたしまして、委員会で議論していく予定でございます。
以上でございます。
○坂本課長 次に、文部科学省産業連携・地域支援課から説明させていただきます。課長の坂本です。よろしくお願いいたします。
資料は、資料9と資料12を御覧いただければと思います。
まず、資料9ですけれども、「地方における知財活用の推進(橋渡し・事業化支援機能の整備)」ということで、マッチングプランナーの御説明でございます。
このマッチングプランナー、科学技術振興機構、JSTに設置されておりますけれども、JSTは御案内のとおり、大学等の先端研究、あるいは産学共同研究を幅広く支援しております。そこのネットワークを活用して、地域の企業がお持ちのニーズを広域連携によって、いかに事業化していくかというところをサポートさせていただく。全国に膨大な大学等のシーズがございますので、そういったシーズ、企業のニーズを掘り起こした上で、そのソリューションを提供できるような能力を全国で探し出すというところを、JSTのマッチングプランナーがサポートさせていただいています。
まず、そういったマッチングを行った後に、試作等の共同研究の実施も支援するということでございます。特に、経産省との連携を重視しておりまして、この後、経産省から御説明があるかと思いますが、戦略分野コーディネータ、産産連携を公設試等のネットワークを活用して行われる。そういった方々ともきちんと連携して、いかに地域の企業にニーズに様々な形で応えていくかというところ、我々、経産省としっかり協力させていただく。地域ブロック会議等での情報共有を通じて、そういったことを進めさせていただこうと思っております。
次、資料12ですけれども、「大学の知財戦略強化に向けた取組」でございます。
大きく4つの項目がございますけれども、まず「知財推進計画2015」の項目の1つ目の、大学の競争力強化に向けた研究経営システムの構築。競争力強化ではイノベーションを創出する強化と申し上げてきたと思いますが、この中で、審議会の検討において、大学の研究経営システムをいかに強化していくか。大学の研究経営システムは、我々は大きく二つの柱からなると整理させていただいております。
一つは、大学が有する知的資産。これは、ヒト・モノ・カネ、そういったものをいかに総合的にマネジメントしていくかというところでございます。そこには、当然、知財のマネジメントもあるわけですけれども、あるいは組織対組織、企業と大学とか、いかに本格的な大型の共同研究を進めていくか。
その中で学生の教育をどう取り入れていくかとか、あるいは共同研究費を受け入れる際の、大学側も健全な経営が持続される形で企業から投資していただくということで、間接経費をどうするかといったことを総合的に検討しておりまして、特に今、重要視しておりますのは、そういった様々な側面を持つ知的資産マネジメントを行える経営人材を育成していく事業をこれから立ち上げようと、28年度要求に入れさせていただいております。
もう一つの柱はリスクマネジメントでございまして、利益相反あるいは営業秘密、安全保障上の機微技術、こういったもののリスクマネジメントというのは、産業界との距離が近くなってくると、大学にとって非常に重要なテーマでございますので、こういったところの制度をしっかり整備していくことを、モデル事業を通じ、必要な制度というものをガイドライン化して、全国に普及させるという活動を展開しつつあるところでございます。
もう一つ、大学自身の知財戦略策定及び知財マネジメントの実行の促進ということでございますけれども、JSTの方で大学の知財取得というものを支援させていただいておりますけれども、今後は特に出口の構想というものに力点を置きまして、知財戦略というものを大学自身できちんと作成していただく。自立的にマネジメントをしていただくということを支援する機能をJSTに持たせるというところも、今、概算要求に入れております。そういったことを通じて、特に外国出願については、適切な知財戦略が検討された知財というものを重点的に支援する運用にシフトしていくということを計画しております。
その他、あと二つの項目、産学連携機能評価を活用した産学連携活動の改善。
それから、共同研究における特許出願と契約の在り方については、それぞれ経産省、特許庁から既に御説明がありましたので、割愛させていただきます。
私からの説明は以上です。
○岩木室長 資料10でございますけれども、「戦略分野コーディネータ事業について」御説明さし上げたいと思います。
表紙をめくって1ページ目でございます。こちらは知財計画2015の位置付けでございますけれども、ポイントは二つ。橋渡し・事業化支援人材の目的ごとの配置と、その下で、橋渡し・事業化支援人材の連携ということでございます。
上の方でございますけれども、地域のポテンシャルの高い戦略6分野について、大企業のニーズと中小企業の有するシーズを、大企業のOBである戦略分野コーディネータを分野ごとに配置して、彼らの活動領域を中心にマッチングを行う事業でございます。
下でございますけれども、先ほど文科省からも説明ございましたように、戦略分野コーディネータは、単に彼らが属人的に動くのみならず、先ほどよろず支援拠点もございましたけれども、中小機構等々、各地の支援機関、並びに文科省、JSTのマッチングプランナー、これらと人的ネットワークを結んで対応していくということでございます。
2ページ目でございます。これは事業の概要でございますけれども、先ほど申し上げたところでありまして、イメージにありますように、大企業のニーズと地域の中堅・中小企業のシーズをうまく活用するために、この中に戦略分野コーディネータとして分野ごとに大企業の技術に知見を有するOBの方、三、四名を配置し、地域の公設試、さらにはここに書いていませんけれども、大学や支援機関等々と連携しながら大企業のニーズと地域の中堅・中小企業のシーズをつないでいくということでございます。
3ページ目でございます。具体的に6分野、7事業を実施してございまして、自動車、バイオ、エレクトロニクス、航空機、素材、医療機器となっております。先ほど申し上げたとおり、地域ブロックごとのポテンシャルの濃淡があるものですから、4ページ目を御覧いただければありがたいのですけれども、左の方にブロック会議と書いてありますが、北海道のバイオから、九州の自動車、バイオ、医療機器というふうにブロックで集まっていただいて戦略分野コーディネータと各地域の産業支援機関との情報交換を行ってございます。この10月から年明け1月まで、ブロックごとに行うこととしてございます。
実は、今日この後、中部の自動車、バイオ、航空機、素材、医療機器ということでブロック会議に私、出席させていただくことにしております。
以上であります。
○渡部座長 ただいま各省庁から御説明いただきました内容につきまして、今から御意見をいただきたいと存じます。同じように、適宜挙手をいただければと思いますが、林委員からどうぞ。
○林委員 ありがとうございます。
3点申し上げたいと思います。
まず、資料6の松下課長から御説明いただいた「地方における知財活用の推進について」の4ページにあります知財総合支援窓口の専門家活用状況のところです。御案内のように、弁護士知財ネットから全国に会員弁護士を窓口に御推薦して相談に当たっているわけですが、おかげさまをもちまして、これまでよりは活用していただいているようではありますが、相変わらず窓口の中には、これは弁護士未満、つまり紛争にならないと弁護士には相談しないといった認識をお持ちの方がおられます。そうではなくて、事業展開の上で法的な観点でアドバイスをする必要がありますので、是非活用を図っていただきたいと思っております。
2番目でございますが、この資料の8ページの知財金融の支援について。大賛成でございますが、ここでは、金融機関の「融資」という観点での取組ですが、今後はベンチャーへの「投資」などの官民のインフラ作りにも政策を広げていっていただきたいと思っております。本日の参考資料にTPP関連のものもございますが、そこで言われている「地域中小企業等」の「等」にはベンチャーが入っていると私は考えたいと思います。イノベーション促進のためには、いかに新規参入を促すかというベンチャー育成が非常に大事であると思います。この観点では、「投資」の仕組みが欠かせないと思っております。
3番目ですが、ただいま、いろいろと御紹介いただいた中で、実は関連しているけれども、明確に記載されていないだけかもしれませんが、農業、農水省との連携も是非クローズアップしていただきたいと思っております。TPPで日本の農業競争力を強化する上では、農業のブランド化やGI、それからバイオの技術などを含めた品質改良とか農薬検査などの様々な知財関連の分野がございます。農水省の方では、知財総合支援窓口でなく、「知財総合相談窓口」というものを全国9カ所の農政事務所に設けておりまして、平成27年1月には知財戦略検討会というものを設けられ、また「農水知財戦略2020」という2020年に向けた計画も発表されております。これも、知財総合支援窓口と連携を取っていける分野ではないかと思っております。
私も少し農業普及指導員の方との関係があるのですが、そこで現場の皆様にとって悩ましいのは、農業をする上では、その新しい技術を普及していくという普及活動、広くあまねく普及させていくという活動がある一方で、競争力の観点では知財をいかに活用するかという、その両方を今、普及指導員の方たちが担わされています。我々、知財分野では、いわゆるオープン・クローズ戦略を先駆けて、いろいろ活動しているので、その戦略ノウハウも御協力の一つの点になるのではないかと思います。
以上です。
○渡部座長 ありがとうございました。
荒井委員、お願いいたします。
○荒井委員 商工会議所の立場で申し上げますが、今、お話がありましたように、各省庁で中小企業対策、それから地方対策について、いろいろな施策を考えていただいて実行に移していただいているということで、お礼申し上げます。是非実効性が上がるようにお願いしたいと思っております。
その中で、冒頭お話ございましたが、今回、TPPがまとまったということで、これは中小企業にとりまして大変チャンスでもあり、同時にピンチでもあると思っております。参考資料1にお配りいただいた中で、知財本部決定の3ページ、4の(1)の中ぐらいに「中小企業等による特許等の出願の拡大を図るべく、特許料等や審査について検討を行う」ということを書いて決定していただいたわけでございますので、これは大変期待しております。
その理由は、海外出願の前に国内でもしっかり特許をとらないといけないわけですが、特許の出願に関しまして、アメリカと比較すると、日本の中小企業はハンディを負っているということでございます。アメリカの中小企業と対等の条件、イコールフッティングにしていただきたいというお願いでございます。
第1点は、特許料の減免の額ですが、アメリカの場合には、とにかく中小企業であれば一律に20年間、全部半減されるというわけですが、日本の場合には赤字の中小企業あるいは創業から7年以内に限って、しかも10年に限るということで、非常に条件が厳しいわけでございますので、アメリカと競争するという観点から一律50%割引にしていただきたい。
第2には、手続でございます。こういう手続も、アメリカの場合には、特許出願の際に自分が中小企業であるという自己宣誓をするだけでいいわけですが、日本の場合には特許出願のほかに、料金減免あるいは審査請求という手続を全部やらなければいけないということでございますから、特許の出願とか審査請求、早期審査請求、料金減免、この4種類の書類を出さなければいけないわけなので、「1ペーパーサービス」ということで1本にまとめた仕組みを導入していただきたいと思います。
中小企業の場合には、出願するときには審査請求して特許を取りたいということが原則ですから、将来的に中小企業については審査請求制度を廃止するというのも一つの方向ではないかと思っております。日本の中小企業あるいはベンチャー企業、個人発明家がこれからTPPを機に活躍できるように、こういう面での対策を是非講じていただきたい。お願いでございます。
以上です。
○渡部座長 ありがとうございました。
それでは、山田委員、お願いします。
○山田委員 山田でございます。
いろいろな支援スキームが本当にたくさんあるのだなというのは、非常にありがたく思います。この間、一例ですけれども、お知り合いの中小企業の経営者から、外国の出願をしたいのだけれども、何か補助金はあるでしょうかと。その問い合わせをするのはどこに聞きに行ったらいいのでしょうかと聞かれまして、多分そういう補助金があると思いますよ。まずは、よろず支援拠点に行かれたらどうですかと、よろず支援拠点をお教えしたのですけれどもね。
申し上げたいのは、まだまだ一般の中小企業には知られていない。いろいろな窓口はこれだけ準備していただいていますけれども、どこに行ったらよいか分からないという状況がまだ地方の中小企業には結構ありますので、是非そこの周知徹底といいますか、情報を出していただければというのが一つ。
それから、先ほど荒井委員のお話にもありました、本部会議の方でTPPを契機としたイノベーション促進ということで、中小企業をいかに海外に出していくか。中小はもっと海外に出ていきなさいということだと思うのですけれども、それに対する支援が、今、お話をいただいたのは、国内支援は非常に手厚くなっていると思うのですけれども、海外に出ていくときに、海外のよろず支援はどこになるのだろうかというところが、これから出ていく中小企業には非常に必要になるのかなという気がしています。
この間の本部会議でもお話させていただいたのですけれども、実は展示会に出させていただいて、先々週、ドイツの15万人ぐらい来る大きな展示会で、そこの中で日本の企業が私、大体100社と申し上げたのですけれども、よくよく調べたら160社ぐらい出ているものだったのです。結構金額がかかるので、うちも補助金をいただいて展示会補助ということで出させていただいているのですが、他の企業のお話を聞くと、皆様、そういう補助金を使って出させていただいていますということで、あと、自治体が出されているところがすごく多くて、1ブースを借りると百何十万円、行くだけで200万円ぐらいしてしまうので、なかなか個人とか一企業では出せない。
そうすると、例えばさいたま市、大田区、長野市、福島県といった都道府県単位で出されて、そこの中に小さい中小企業が10社とか出るような形で出されているというのが結構たくさんありました。
申し上げたいのは、そうやって出させていただく展示会補助金を出していただくのは大変ありがたいと思いますし、そういう機会をいただけるというのはよいと思うのですけれども、その先です。展示会でお客がいたりしたときに、その先をフォローしなければいけないのが、地元の中小でどこまでできるかというと、非常に難しくて、英語でのやりとりをしなければいけないですし、向こうに販売するにもどういう形でしていくのかとか。ですので、各国にJETROとか、またはいろいろな自治体の出先機関のようなものも出されていると思うので、そういうところの人員の補強といいますか、強化というのもお願いしたい。
TPP、せっかく結んで、これからFTAも進んでいくと思うので、外に出ていきたいという中小がいると思いますから、そこの強化を是非お願いしたい。
もう一つ、先ほど荒井委員のお話にあった4番、TPPを契機としたイノベーションの促進、産業活性化の下の(1)の一番下のところに「地域中小企業等の優れた技術・製品を、地域機関等と連携して発掘し、標準化のための支援を行う」というのがあるのですけれども、これは国内かもしれませんが、これから海外の標準化というのが非常に重要になってきていまして、各国によって認証取得をしていないと売れないということが出てきています。特にEUですと、CEマークというものを持っていないと販売ができないですけれども、国内でCEマークをとろうと思うと数百万円かかると言われています。
それをどうやってとっていくのかというのも、調べるのがなかなか難しいような状況にありますので、そういうところの支援も今後、地域中小のためにしていただけると良いなと思っています。
以上です。
○渡部座長 ありがとうございます。
順番に行きたいと思いますが、先に退出される方、おられるでしょうか。杉村委員、お願いします。
○杉村委員
杉村でございます。中小企業の支援について意見を述べさせていただきたいと思います。
先ほど荒井委員からも特許料の減免等についてお話がございましたが、以前にも申し上げましたとおり、デザイン・ブランドの強化という観点より、意匠・商標についての減免について積極的に計画・施行していただければと思っております。
また、中小企業におきましては、補助金の申請についてのフォームがそれぞれの申請先によって異なり複雑でございます。是非、簡素化・統一化していただきたいと思っております。
それと、先ほど他の委員の方もおっしゃっておりましたが、ブランドの支援につきましては、GIとの関係が密接でございますので、農水省と連携をとっていただきブランドに基づくビジネス支援、ブランド支援を図っていただきたいと思っております。また、他国におきましては、あるものにつきまして、GIで保護する場合もあり、商標で保護する場合もあり、国によって異なっておりますので、是非、日本の特許庁等がリーダーシップをとって、国際的な統一化も図っていただければと思っております。
それと、産学連携についてでございます。特に中小企業と大学とが共同研究をしていくことが重要ではないかと思っております。中小企業より「この分野のこの研究はどこの大学のどの先生と連携をとれば良いか分からない」という相談がございますので、各大学で中小企業と連携をとっても良いと思うような研究テーマがございましたら、それをリストとして発表するということがあれば、中小企業もどの大学と連携を取ればいいかというアクセス性が上がると思います。
また現在、産業界と大学の1対1対応が主になっていると思いますが、例えば素材についてはA大学、その応用製品についてはC大学の先生と一緒に連携を取りたいということもございますので、1対1だけではなくて、1対2、1対3という関係の産学連携というものも推進していく必要があるのではないかと思っております。
それから、金融機関が知的財産を評価するというお話がありましたが、評価書を作成する評価人材の育成というものが重要ではないかと思います。評価書を作るための人材の育成についても力を入れていかなければいけないのではないかと思っております。
また、その評価書を作成するに当たりましてはお金が掛かる場合もありますので、ビジネスにつなげるための評価書の作成については、中小企業に対する補助金の支援等も考えていただければと思います。
また、中小企業は、今、各省庁の方からいろいろ御説明がありましたように、多数の支援ツールがございます。多数ありすぎて「どこに行って相談すれば一番良いのかということがよく分からない」という相談もございます。よろず支援拠点と知財総合支援窓口、また模倣品アドバイザー、そして弁理士会の無料相談会等、沢山ございますので、そのようなツールを一堂に、「どこに行けば、どういう人材が専門家としているのか」というものが一見して分かるような「見える化」というものを図る必要があるのではないかと思っております。
以上です。
○渡部座長 ありがとうございます。
先に退室される方はおられませんか。よろしいですか。
それでは、ご意見のある方がたくさんおられると思うので、御発言希望の方は名札を立てていただき、順番に当てたいと思いますが、よろしいでしょうか。
それでは、一番向こうからいきましょうか。吉井委員からお願いします。
○吉井委員 吉井です。
大学の共同研究の成果の指標化、これは素晴らしいと思います。こういうものがあると、また次の良いステップに進んでいくということで、私、大変関心を持っております。
私どもも大学との共同研究を大学の先生とやることがあるのですけれども、些細なことかもしれませんけれども、一つの事例としてお話をさせてください。大学の先生とは共同研究をしましょうということで進んでいきますけれども、共同研究の契約を結ぶとなりますと、共同開発の契約担当の方との契約の話になります。その交渉の中で、成果の権利の帰属ということになりますと、今度は知財担当の方と話さなければいけない。ちょっとややこしくなりますと、今度は法務担当の人が出てくる。窓口が一つではなくて、契約締結までのプロセスというのが普通の企業とは違って非常に複雑である実態を感じております。
このあたりは民間としても如何ともしがたいし、大学の先生も私の権限は各部門をまとめるまで及びませんということなので、そういうことも現場ではあるということなので、この2015年の計画の中にも、大学の共同研究の契約の柔軟性ということも挙げられておりますので、大学の共同研究においては、是非とも大学サイドの契約担当窓口の一本化というようなところも配慮していただきたいと思います。
2点目は、先ほどもちょっと出ましたけれども、大学と大企業というのは共同研究が大分進んでおりますけれども、中小企業にその成果を利用する機会を与えることもとても必要だと思っております。既に大企業と大学が研究して成果を上げていても、実はその大企業はそれを使っていない未活用特許になっている場合があり、それを中小が使いたいと思っても、大企業と共同出願しておりますと大学だけではなかなか許可できない。大企業の方としては、自分の事業を守りたいという意識が強いので、他社へのライセンスはせず未活用のままということがあります。
こういう状況では、大学で研究したものが中小企業で活かされ、かつ新しいビジネスが起き、大学にも新しいライセンス料が入るのにチャンスがなかなかできてこない。ですから、中小企業を配慮した大学の研究成果の利用制度ということも考えていただければありがたいなと思います。
以上です。
○渡部座長 ありがとうございます。
山本委員、お願いします。
○山本委員 様々な支援窓口やコーディネータは良いのですけれども、これをどう評価するかという評価指標が結局必要になってくると思います。今までもいろいろなコーディネータがありましたけれども、作ってどうだったのだろうかという評価が曖昧なまま終わっていたりというのがあるので、私が申し上げたいのは、最終的にこれで何個製品ができて、幾ら売れたのかというところまで、相談が100万件あっても、一個も製品ができなければ結論は何もアウトプットがないというところがあるので、そこまで見ていただきたいと思っています。
それと、産学連携の評価指標に関しては、私もこれに入っていますが、これから大学の産学連携活動の格差がもっと広がるということを私は予想しています。なので、これは是非定点観測をして、しばらく時間がかかると思いますが、政策に結び付けるように考えていただきたいと思っています。
それと、3点目に申し上げたいのは、知財本部、TLO等々を産学連携という観点でやってきたわけですが、例のJSTの外国出願支援制度の予算が減ったということがありますし、イノベーションを考えていったときには、幾つかの大学で今、ギャップファンドというのを考えていますが、特に地方の大学等々では独自に学校でギャップファンドを作るのはとても無理ということが想定されますので、それをどこかの自治体を巻き込むのか、国でやるのか、ギャップファンドがアプライできるような制度があるとよいのではないか。
欧米では、特に大きな大学はエバー・グリーンという名前ですが、ギャップファンドの証券化をやっているのです。ギャップファンドをやって、それがうまく事業に結び付いたときには、入ってくるロイヤリティなりストックオプションから、そのファンドにまたお金を還元するというか、戻していく。もちろんエバー・グリーンといっても、基礎的技術のコマーシャライズですので、すぐにエコシステムが確立できるかというと、相当な規模の大学でなければエコシステムはなかなか難しいというのはありますが、もしこういったことが可能になれば、予算は段々減らすことができて、長い支援ができるということが可能になろうかと思いますので、是非そういったものも御検討いただければと思います。
以上です。
○渡部座長 ありがとうございました。
長澤委員、お願いします。
○長澤委員 長澤です。
今、山本委員がおっしゃったことと近い面もあるのですが、紹介されてきた活動というのは非常に包括的で、評価されるべきものであろうと思います。例えば資料11にあります産学関係の出願件数の見える化は、ある意味で機能していまして、特許出願に対して大学がかなり積極的になったと思います。ただ一方、弊害もありまして、大学側が数字にこだわるようになってきたように感じます。とにかく特許出願しましょう、してください、共願でやりましょう、等と申入れられるようになりました。ただ、それを本当にするべきだったかどうか、若しくは活用まで考えて申入れられているかどうか、非常に疑問な面があります。
また、特許出願した後も比較的早期の収入にこだわられて、すぐ我々にライセンスを出すこと、更には他の会社にライセンスを出すこと、場合によっては売却すること等を考える傾向が強くなったように感じます。したがって、1件当たりの収入が低いのは当然の結果といえまして、時期を待ち、しっかりとした活用戦略を立てて、実行しさえすれば1件当たりの収入はもっと増えるであろうと思います。また、メディアもこれらの結果のみを記事にするものですから、ますますビジネスへの貢献と関係なく、評価される数字を改善する傾向が強くなっていると思います。そのような実態の見える化の仕組みを作っていただければよいと思います。
このことと少し似ているのですが、資料6の中小企業の支援についても若干違和感があります。荒井委員がおっしゃったように、料金の減免というのは大賛成なのですが、これは決して出願促進だけが目的ではないということを再度見ていただきたいと思うのです。よろず支援拠点が、出願後にその特許をどう使うかという質問を数多く受けること自体が、何の戦略もないままとりあえず出願したのではないかと我々は思ってしまいます。このような、活用が伴わないような出願がどんどん促進されると、今度は逆に中小企業の経営者たちの、「特許は役に立たない」という評価にもつながってしまうと思います。
場合によっては、相談を受けたときに、「これは出願しないで秘匿した方がいい」、若しくは、出願するとしたら、「こういうものを狙って出願しましょう」等というレベルの相談や指南が必要なのではないかと感じました。
同じように、中小企業も出願件数にこだわるのではなく、事業を成功させるために知的財産をどういうふうに使うのかということを考え、その実態に入った支援が本当は必要なのだろうなと感じました。これまで実行されてきたことは非常に有意義なことばかりであると思うのですが、もう一歩実態に入り込んだ支援ができれば、もっとよい活動になるのではないかと思いました。
以上です。
○渡部座長 ありがとうございました。
先ほど、野坂委員の手が挙がっていましたので、お願いします。
○野坂委員
4点申し上げたいと思います。
まず第1点は、産官学連携の大学のパフォーマンスのグラフです。本日の資料11のグラフは大学名が伏せられていますけれども、先ほどの説明ですと、一部大学は参考にしたいということで、他の大学の数値と比較する話がございました。これは公表されているものなのでしょうか。私としては、今、これだけビッグデータの時代ですから、見える化してオープンにして、それぞれの大学の強み弱みを認識していただいて、更なるステップ、何が必要か考えていただくことは大変有意義だと思うので、是非公開して活用していただきたいと思います。
2点目は、資料6、特許庁の松下課長の資料です。6ページにデザイン・ブランド活用支援。確かに中小企業の出願件数を見ると、商標とか意匠の率が高いということで、デザイン・ブランドを重視することは大変素晴らしいと思うのですが、確か2015年の知財推進計画の中でも触れていましたが、中小企業全体として見ると、385万社のうち、知財を活用しているのはわずか1%にしか至っていないという数字が出ていたかと思いますが、1%ではさすがに寂し過ぎるわけで、政府全体として仮に1%を2%、3%、少しでも上げることによって、全体としては大変な数になる。
そしてまた、権利化だけではなくて、どうなったか、他の委員もおっしゃっているように、権利化を事業化につなげる。それこそが大事なのですが、最初のステップとしては権利化していただくということだと思いますので、このデザイン・ブランド活用を含めて、中小企業の底上げを是非やっていただきたい。これも林委員ほか、指摘されていましたけれども、特に地方の中小企業とか中堅企業あるいは零細企業も含めて、またベンチャーも含めると、地方の場合、第1次産業が大変重要だと思っております。
したがって、農商工連携とか6次産業と言われていますので、その分野での知財の活用が特に地方ではかなり重要な柱になると思う。これは農水省を始め、政府全体でまた力を入れていただきたいと思います。
3点目は、知財の金融支援の話です。資料の8ページに全国の地銀あるいは信用金庫のケースが出ています。今、金融機関は融資先をどうするか、リスクマネーをどこに投ずるかということの目利き力が問われているわけです。そういう中で、潜在力を持った地域の企業の知的財産をどう発掘し、また活かすようにさせるか。そして、自分たちの融資につなげ、それが更に事業の発展、更に金融機関の発展につなげるかということは大変重要な課題だと思っております。
今、「下町ロケット」が話題になっておりますが、この8ページの中で言いますと、東京東信用金庫、私、以前取材したことがあります。海の深いところ、深海を探査するロボットみたいなものを開発した。地域の中小企業の特許などを生かしたプロジェクトでしたけれども、それを東京東信用金庫が目利き力で発掘してコーディネータ役を務めたという話でしたが、地域の場合、地銀、第2地銀だけではなくて、信用金庫も含めて、こういった知財ビジネスに金融機関が積極的に取り組むことが方向性としては大変有望だと思っておりますので、知財ビジネス評価書の作成の拡大も含めて、是非検討していただきたいと思います。
4点目は、冒頭、横尾局長から少し批判的にということもありましたので、言いたいと思います。様々な事業プロデューサーとかマッチングプランナーとか戦略分野コーディネータ、大変素晴らしいと思いますけれども、これだけいろいろなものがあって、実際利用しようと思う中小企業とか企業側にとって、頭の整理が、どこに行けば、どういう支援ができるのか分かっていらっしゃるのかなという疑問があります。
これはよろず支援拠点に行けばアドバイスがいただけるのかもしれない。いろいろなツールがあることは良いけれども、政府内の調整といいますか、様々なコーディネータの連携をしっかりしていただかないと、利用する側もなかなかうまく利用できないおそれがあるのではないかと思います。是非縦割りではなくて連携していただきたい。それゆえに知財本部が政府全体として横串といいますか、上から俯瞰してコーディネータをうまく連携する仕組みを考えていただければよいなと思っております。
以上です。
○渡部座長 ありがとうございます。
髙崎委員、お願いします。
○髙崎委員 中小企業の裾野に位置する「特許って何なの、知財って何?」というまだ知財活用のローギアにも入っていない企業の巻き込み方について感じたことを3点お話させていただきます。
先ず第一は、今もお話が出ましたブランドです。松下課長のご説明資料でも地域ブランドや地域団体商標を活用するということですが、私ども産業分野でブランドと言うときには、製品名、つまりプロダクトブランドと、会社名、つまりコーポレートブランドがあります。ここでもう一つ、中小企業にとって今後活用が期待できるのがテクノロジーブランドあるいはイングリーデントブランドという言い方もあるかもしれませんが、いわゆる要素技術や、素材などの技術のブランド化です。地域団体商標というのは、十勝何とかや、夕張などその地域でしか取れない農産物などが対象です。他の地域では絶対真似ができないので商品の価値が高まります。同じように、中小企業が保有する独自のプレス技術や射出成形などの加工技術などのブランド化です。インテルやゴアテックス、日本ではヒートテックやプラズマイオンクラスターなど、これらは商品名ではない、或いは会社名でもない、技術そのものをブランディングしている例です。農産物の地域ブランドの推進とともに、モノづくり中小企業における技術ブランドの推進が可能ではないかと思います。先ほども話に出ましたが、商標出願の50%が中小企業です。つまり商標については「それは大事だな、名前ぐらい登録しておこうか」という方が、裾野エリアにも比較的多くおられるということです。それをもう少し拡大して、社名や商品名だけではなくて、独自技術をブランディングしたらどうですかという切り口でPRすれば「そういう手があったか」とギアが入り始めるきっかけになると思います。
2点目は、中小企業が一番怖く、同時にいざというときに頼りになるのが金融機関です。しかし、一般的に金融機関は知財に関しての知識があまり無いようです。従って知財ビジネス評価書も、専門的な調査機関に依頼するということになるわけですね。先般、知財支援人材のヒアリングで関西のある信用金庫に行ったのですが、そのときに非常に印象に残る言葉があったので御紹介します。「金融機関に特化した知財知識を学ぶことができる、ベーシックな研修があったらいいな。」という声です。先ほどの松下課長からありましたように「J- PlatPatで融資先を調べて、おたくはこういう権利をお持ちですね。」というトークができるようになれば、中小企業の知財意識も高まるのではないでしょうか。是非そういう金融機関向けセミナーを推進されればと思います。その際にもう一つ、「主催者の欄に特許庁だけでなく金融庁や地域財務局等の名前があれば、参加意欲も増えます。」というコメントもいただきました。金融機関自身が知財に一歩二歩踏み込んでいただく政策も執られたら如何でしょうか。
3点目が、職務発明制度が改正されまして、これが発明のインセンティブの向上に役立つと期待しています。と言いますのは、中小企業の経営者は、職務発明制度が改正されると聞いて、「今までは会社のもので、それが今度から、発明者になるの」と逆に思っている人がかなりいらっしゃるのです。「そうではないですよ、ちゃんと取決めをすれば使用者帰属になるのですよ」と説明すると、「そうか、ではこの前の何とかダイオードみたいなことにはならないのか」と安心されます。それによって中小企業の経営者自らが社員に対して、「おまえらもガンガン発明せい」というようになって、知財マインドが向上するのではないかと思います。
以上、中小企業をローギアに入れるための3点をお話させていただきました。
○渡部座長 ありがとうございます。
近藤委員、お願いします。
○近藤委員 まず、申し上げたいのは産学連携についてです。先ほど長澤委員がおっしゃっていたのとよく似ているのですけれども、産学連携の大学の評価指標にお金、特に特許からの実施料というのを用いられているのですが、それを余りに全面に出して使うのを是非やめてもらいたいと思います。
と言いますのも、大学に産業界から求めているのはそんなところでは全然なくて、産業界だけでは越えられない壁を原理原則から追い求めて研究してもらって、その解決策を導き出すことです。それで、企業と共同で実施化に向けて取り組み、イノベーションを生み出そうということなので、短期の特許の実施料というところに余りに強く焦点を当てると、地道に長期間かけて解決しようというモチベーションが上がらなくなったり、あるいは、逆に契約交渉のようなところで時間が掛かって、本当の研究ができないということにもなりかねないので、是非そのあたりは長期視点でお願いしたいと思います。
シーズによっては、シーズの段階で実施化に近いところまで来ているものもあるかもしれません。そういうものであれば良いと思いますけれども、これから乗り越えていこうという大きなハードルを原理原則で原子レベルまで、例えば研究してやるとなったら、そんなにすぐ解決できるものではないです。そういったシーズのレベルというか、困難さによっては、特許の実施につながるのは相当ばらつきができるので、それを一律に特許からの実施料で見ようというのは、是非やめていただきたい。その方がイノベーションが起こると思います。
2点目が中小企業の皆様の支援のところで思ったことですが、現場で中小企業を支援している方の話を聞いたところ、「相談が固定化する」と言うのです。よく来てくれるところが何回も来る。その来てくれた方は非常に喜んでいるのですけれども、横に広がっているかというと、まだまだそうではない。先ほど申し上げたように、来てくれる人は何回も来るということからすると、ちゃんと中にもぐり込んでいけば、どんどん聞きたいことが出てくるのではないか。
今、考えているのは、知的財産部みたいな組織も無いような企業の方にどう支援するかということなので、「何か課題がありますか」と聞いても絶対彼らは分からないと思います。そのような企業に入り込んで、そこの実務を見ている中で、「これはこうではないの」と逆に言ってあげるぐらいのことをしないと、こういう知財活用の裾野を広げようとすることはできないのではないかと思います。そういった意味でも、今いる人員だけでは、そんなところまではできないと思うので、前回申し上げたとおり、企業OBなどを使って、このような活動を積極的にやっていった方が良いのではないかと思います。
もう一点、これも前回も申し上げたのですが、中小企業がこれから海外の出願もしていかなければいけないという中で、今、補助金制度があるというのは存じ上げています。しかしながら、いつまで経っても補助金だけでやろうというのでは限界があると思うのです。裾野も広げようという中で、十分な現ナマのお金を支給し続けられるのでしょうか。現在、出願の3分の1から半分ぐらいが翻訳費用なので、それからすると、そこを何とか手を打ってもらえるような策を今のうちからやっていくというのがよいのではないかと思っております。
それは前回申し上げたとおり、機械翻訳ですね。機械翻訳すれば、国のお金で良いものができて、二国間で、この翻訳システムを使えば何も文句になりませんということになれば、翻訳費はゼロになるのです。そこからすると、出願費用の半分位を支援できるわけなので、沢山の出願を中小から出そうと思ったら、そういった取組も必要ではないかなと思います。是非検討いただきたいと思います。
よろしくお願いします。
○渡部座長 ありがとうございました。
奥村委員、お願いします。
○奥村委員 大分皆様御意見いただいているので、重複する部分もありますが、ちょっと申し上げます。
まずは、中小支援とか地方の活性化の件でございますが、委員の何人かの方がおっしゃっておられましたように、指標とするものを出口のところで見ていただきたい。例えば中小支援ですと、その中小支援に基づいた発明や技術からどれぐらいの製品が生まれて、幾らぐらいの売上げが上がるようになったかとか、どれぐらいの雇用が増えたといったところが重要だろうと思います。
もう一点は、地方の支援でも正にそうだと思っております。コーディネータとか、いろいろと御用意いただいているので、ツールはたくさんそろっていると思うのですが、そのツールから一体何が生まれたのかということを、地方においても測るべき指標というのは、その地方の活性化ですので、その地方の活性化に基づく、例えばさっき言いました雇用の増加はどれぐらいだったのかとか、その地方の生産性がどれぐらい上がったのかとか、そういったものを指標にしていただく必要があるのではないかと思っています。
そういう意味でも、これは実は単年度ではなかなか見られない指標だと思いますので、その辺のこともうまく考慮していただかないと、適切なところに落ち着かないのではないかと思っています。
それと、何人かの方がこれも言っておられましたが、たくさんの仕組みがありますので、皆様がどこに何を相談しに行ったらいいかわからないということで、例えばよろず支援拠点なので、よろずかなと思っていたら、知財窓口は別という話で、そういうところもうまく、単なる連携というよりも一体化していただくような努力も、もしかしたら必要なのかなとちょっと思ったりしております。
それから、産学連携についてもちょっと申し上げますと、本来、産官学連携は日本に新しい産業を生み出していくということが一番の目的だと思っております。そういう意味で、大学のライセンス収入が増えるとか、ライセンス契約数が増えるといったことが目的ではないと私は思っております。
それで、先ほど近藤委員からも話が出ておりましたが、ロイヤリティの収入額とか契約額とか、そこに注目いたしますと、どうしてもそこに皆様、頭が回ります。今までは、大学研究の方に事業化というものの意識を持ってもらうという意味では、とても重要なエレメントだと思うのですが、ぼちぼち本来の目的の方にこの指標をシフトしていただいて、その大学の発明や研究からどれぐらいの事業が、例えばGDPが幾ら上がったとか、そういった方向からの検討をしていただきたいと思います。
先ほど近藤委員は、割とソフトに言われましたが、実際には私の製薬業界ですが、私どもの会社でもそうですし、他の会社のメンバーにも話を聞きますと、大学等との契約の提携の交渉において、こういうところに非常にこだわった交渉をされて、契約をなかなか結ぶことができなくて、肝心の共同研究によって大事な将来のイノベーションへ結び付く活動が始められないとか。
御存じのように、そういうプロセスを踏んだ後、契約がたとえ結べたとしても、その交渉の間に関係性が非常に悪くなって、契約された提携自体がうまく進まないといったこともございます。それは社会にとって非常に大きな損失だと思いますので、できたら指標とするものをちょっとシフトしていただくと、そのあたりも変わってくるのではないかと思っております。
以上です。
○渡部座長 ありがとうございます。
井上委員、お願いします。
○井上委員
時間もないと思いますので、簡潔に申し上げます。類似の施策の重複の問題、相談窓口、どこに行ってよいのか分からないという問題がございました。これには二つ問題があります。一つは、利用者目線で利用者がどこに相談に行ったらよいのか分からないということ。もう一つは、同じような施策に重複して税金が投入されることによる無駄が生ずるということ。
今回はよろず支援拠点と知財総合支援窓口の連携、非常に良く進めていただいているので、大変結構なことだと思います。ただ、例えばよろず支援拠点の方で知財相談に当たれるような人員を強化するとか、全国的なサポートチームを作るための予算要求されていますが、それが知財総合支援窓口とは本当に別に必要なのかどうか。そのあたりを特許庁と経産省の間で調整していただきたいと思います。
もう一点、既にいろいろ出ておりましたけれども、農水GIとの関係です。これからの地域ブランドを構築し、国際的に発信していくことが非常に重要になってきます。本日の資料をみるかぎり、農水GIとの関係で、農水省とも連携を執りながらどのような施策を講じているのかが明確ではありませんでした。いろいろ検討されているところだと思いますけれども、その点についても今後、ご説明いただく機会があればと存じます。
以上です。
○渡部座長 ありがとうございました。
相澤委員、お願いします。
○相澤委員
経済発展のためには、情報の価値を保護する知的財産に対する金融が重要性であることは指摘された通りですが、政策金融の重要性もあります。政策投資銀行あるいは産業革新機構あるいはクールジャパン機構の政策投資によりまして知的財産に関する金融が円滑に行われるということが重要であると思います。また、産業革新機構の出資を受けてIP Bridgeが活躍されていいますが、そのような活躍も重要であると思います。
それから、海外におきましては、在外公館のアタッシェが機能すると思います。日本政府による直接の支援でありますが、アタッシェが日本の企業の知的財産の保護に対して十分な役割を果たすということが必要だと思います。
企業は、米国における紛争解決を選択しているという状況です。そのような中で日本の紛争解決処理システムがどのようにあるべきかということを考えられなければならないと思います。
それから、権利の制限についての議論がアメリカであることは了知しております。しかしながら、アメリカにおける勝訴率は日本の倍以上、損害賠償は10倍とも100倍と報告されているので、状況が違います。例えていえば、日本は雑草も生えていない荒れ地で、アメリカは、肥沃な土地なので雑草も生えているという状況です。アメリカでは、パテントトロールのような雑草が生えるので、それは除草対策についての議論がでてくるのではないかと思います。
○渡部座長 ありがとうございました。
ただいま地方における知財活用と産学官連携について御意見をいただきましたが、この二つを含め、先の論点についても、相澤先生から紛争についてコメントいただきました。それ以外も含めてフリーディスカッションという形にさせていただきたいと思います。どなたからでも結構ですが、いかがでしょうか。
中冨委員。
○中冨委員
すみません、私、ちょっと遅れて来ましたので、コメントさせていただきます。よろしいでしょうか。
まず最初に教育の方ですけれども、非常にうまくできていると思います。皆様、御存じかどうかわかりませんが、最近、教育経済学というのが非常にはやってきておりまして、日本人は世界から見ると自信の無い国だ。つまり、自尊心が非常に無い。小学校1年生の自尊心が一番高くて、一番低いのが中学校1年生からです。自尊心が中学校1年から高3まで変わらないという状態です。つまり、どういうことかというと、だんだん自信がなくなってくる。だから、本来は自尊心があった方がモチベーションに切り替わっていくのですけれども、そこが非常に欠けてくるという状況がございます。
したがいまして、初等教育の方に力を入れていただければ非常にありがたいなと思います。本来でいくと、幼児教育からした方が一番良いと思うのですけれども、それはちょっと難しいところもあるでしょうから、中学校というよりは、初等の方に力を入れていただく。それを一つお願いしたい。
それから、私もブランディング、非常に興味を持っていまして、日本ライセンス協会の会長をやらせてもらっていますけれども、今年からブランディングワーキンググループを作りました。ブランディングは地域の活性化ばかりではなくて、産業の活性化になるので、そこは非常に難しいところもあるのですが、ブランディングをいかに重要視したら、日本あるいは地域のどこでもよいのですが、世界各国から寄せられるかということもあります。
実は、そのブランディングで非常にもうかっている会社がいっぱいあって、そこに我々は余り興味を示してこなかったという経緯があります。ですので、私はこのブランディングが今後の知財活動の大きな一つになるのではないかと思っておりますので、是非ここは深く力を入れていただきたいと思います。
それから、3番目に、最後あたりに地域ブロックの戦略分野コーディネーションがございました。これもおもしろい計画だと思っていますけれども、私はバイオと製薬関係ですけれども、特許制度に非常に守られていまして、延長したいぐらいですけれども、投資が非常に掛かって、それを回収するのにコストと時間が掛かるのは御存じだと思いますけれども、他の分野、エレクトリックとかICといった分野と、自動車も似ているのですけれども、大分違うのです。
この世の中、アンチパテント、プロパテントという分け方をされる方が多いのですけれども、先ほどのお話のように、グローバル展開してしまうと、どうしても地域的に世界の50%ぐらいのマーケットを持っているアメリカを対象にしてしまうのですが、私からしますと、非常にプロパテント的な発想から物事を見ていかなければいけないといったところもございます。ですので、原点に戻るような話になりますけれども、地域と分野を連結したような形で、見方が違うものですから、そういったことを是非推進していただければいいなと思います。それが一つの地域の活性につながるかもしれません。
もちろん、他の産業を見ていくというのは大事なことであるのですけれども、そればかりに注力してしまうと、逆に私どもの分野とかの地域との連携というのがなくなるのではないかとちょっと危惧しまして、こういう発言をさせていただきました。
ありがとうございます。
○渡部座長 ありがとうございます。
それでは、全般について、いかがでございましょうか。
では、長澤委員。
○長澤委員 今回、意見書を出したものですから、その背景を簡単に説明させていただきますと、詳細には語れませんが、オープンになった判例や数値だけでは、紛争処理というのはなかなか語れないと思いました。特に、欧米中韓、それぞれ交渉している交渉実務者として見ると、かなり現実からかけ離れた議論が進んでいるのではないかと思いましたので、意見書を出させていただきました。一般的には中韓が悪で、欧米が善という捉え方をされる向きも多いかもしれませんが、そうとは限らないということは自分で感じおります。
例えば中国・韓国の企業というのは、別に特許の無力化を望んでいるわけではありません。むしろ、お金を持っている企業などは特許を買ったり、無効性の高そうな特許、もしくは進歩性や新規性の低い特許でも数多く出願して、それで日欧米に対抗しようとしているというのが本当のところではないかと感じます。従いまして、決して単純な南北問題、中韓がアンチパテントで欧米がプロパテントということではないことは、まず理解していただきたいと思います。一方、中韓の企業は標準活動については非常に出遅れていましたので、それについてはその弱点を解消することを考えているということだと思います。中韓の公取が独禁ガイドラインの改正を行ったのも、それが原因ではないかと思います。
欧米の半トロール化したような会社は、今、正にスタンダード・エッセンシャル特許を保有して、中韓日のものづくり会社を攻撃し、明らかに相場とはかけ離れた額を要求している場合があると聞いています。ですので、中韓の公取がこのような背景で動いたのではなかろうかと予想するわけです。
日本の公取も同じような問題意識があり、あのような独禁法ガイドライン改正案を出したのだと思います。確かにタダ乗り防止というような権利者側と使用者側とのバランスに配慮する面が抜けているのではないかというところはあると思いますが、方向的には決して間違いではないと思います。
最後に言いますが、私は決してアンチパテントではありません。むしろ、社会的に問題を起こすような権利の濫用を抑えられないと、他の普通の権利も権利行使が弱くなってしまうことを恐れています。つまり、本来、産業に役に立つ、若しくは産業を守る、若しくは産業を強くするために他を攻撃するため差止請求権を活用すべき特許と、社会的に濫用されると公共の利益に反する特許を明らかにした上で議論をしないと、かなり間違った議論に行くのではないかと思ったので、今回のような意見を出させていただきました。意見の内容は書かれているとおりなので、ここでは省略いたします。
○渡部座長 ありがとうございました。
それでは、近藤委員から意見をお願いします。
○近藤委員 今の長澤委員の御意見に少し追加する意見を述べさせていただきたいと思います。
多分、ここにいらっしゃる皆様も同じ思いだと思うのですけれども、訴訟の数が頻発するような世の中を目指しているわけでは全然ないと私は思っています。今、紛争処理のシステムを考えるに当たって、委員会で議論いただきたいのは、何十年も前から見ると、今、技術だったり、産業というのは非常に変わってきておりまして、一件一件の特許が持つ、あるいはプレイする役割というのは大分変わってきております。先ほど出ていました標準関係の特許と、あるいは1件の特許だけで製品が成り立っているようなものとは、趣が全然違う。そういったものに関して、全て横串を刺して、同じような法律で果たしてこれからもやり続けるのかどうかという視点が必要です。
なので、今回、何らかの法改正をするに当たっても、全ての面で本当に納得が行くような改正なのか。それがひいては日本の競争力強化のためになるのかということをよく考えていただきたい。もしかしたら個別ケースの話になるかもしれないので、そうしたときには、法改正というよりも、例えばガイドラインで何かするとか、そういったいろいろな幅広い観点で議論いただければと思っております。
以上です。
○渡部座長 ありがとうございます。
荒井委員、お願いします。
○荒井委員 長澤委員のお話、最後にまとめがあったので安心したのですが、実はこの議論は、日本で良い発明を起こして、イノベーションをどう起こしていくか、それによって1億総活躍社会をつくるという観点からの議論だと思います。その際に、現在、中小企業とか個人発明家が抱えている問題は、特許侵害されたときに訴えても侵害が認められなかったり、賠償額が低いということです。件数が少ないこと自身は問題ではないというお話ですが、そもそも起こしたくても起こせないような状況になっているということが問題だと思います。
では、そういう中で、パテントトロールとか標準特許の問題とか、いろいろあるのですが、そういう問題を解決してからイノベーションのための施策を考えるべきだというのは、順番が逆なのではないかと思います。日本は、いろいろな特許を取って、そのことによって事業にすることが大事なわけですし、権利として行使できることが大事なわけですから、そういう形にする。一方、今、起きているパテントトロールの問題とか標準特許の問題も並行して考えていくということで考えるべきだと思います。
それから、中小企業が特許を起こしやすくなると、被告になって大変だというお話が、時々出るのですが、現実問題は、中小企業は原告になりたくてもなれないのが問題なので、被告になるというケースはほとんどありません。
それから、中小企業を相手に損害賠償を請求したり、差止めしても、それほどのビジネス的な意味があるわけではありませんから、余り起きてこないのではないかと思っております。中小企業の立場からすれば、あるいは個人発明家の立場からすれば、とにかくしっかり取った特許を是非守ってほしいということでございますので、そういう観点からの議論をする。並行して、パテントトロールの問題をどうしたらよいか考えるというふうに、是非やっていただきたいと思います。
以上です。
○渡部座長 一通り伺いましたでしょうか。
では、中冨委員、お願いします。
○中冨委員
職柄、私も関係の無いような言い方をすると良くないのですけれども、僕もパテントトロールというのは問題だと思うのですけれども、それをまるでそういうものは駄目だと、イノベーションに本当につながらないのか、というのを議論しておいた方がよいのではないかと思います。
私も抑え込むことが一つの社会の閉塞感を持っているのではないかと思っていますので、日本は先進国ですし、自由競争にあって、どう対処するのかということを新興国に見せていかないといけないと思うのです。そういった立場で我々はリーダーシップを執っていかなければいけないと思っていますので、いろいろな対処の仕方はあると思いますけれども、それを抑え込むという考え方だけは避けていただきたいと思います。
○渡部座長 ありがとうございました。
一通り御意見をいただいたかと思いますが、ここで各省庁から短く、今の段階でコメントがございましたら、お願いしたいのですが、いかがでしょうか。
では、宮本室長、お願いします。
○宮本室長 幾つか産学連携評価指標に関して共通の御意見をいただきましたので、少し説明させていただきたいと思います。
多分御指摘いただいた方々の意見、共通していると思うのですけれども、我々もやるに当たっては、大学が非常に短期的な収入を得るために窮々として、長期的に本来目指すべきことをやっていないのではないか。そういうふうにやっているところは、そういう契約交渉自体も進んでいないのではないか。そのあたりの実態を掘り下げてみようということを考え実施しています。
我々、百何十ページのデータを使いながら、それを表現しようとしています。実際に中長期的にライセンス収入で収入を得るということよりも、今日の収入を得るために特許を売却するということを実施している比率が特に高い大学が存在するというあたりも見えてきているわけでございます。このようなことになっていませんかということを大学との対話で活用することに使っています。
このような問題意識で実施していますので、野坂委員の方から、これは公表すべきではないかという御意見もありましたが、ある意味、これは大学の内申書のようなものでもありますし、またこういったことを表現するためには、彼らのコストデータとか、公表に適さないデータもいろいろ集めながらやっているものですから、現時点で公表するような形ではなくて、自分の自己改善マネジメントのために使えるような形で、こういったデータを見ていただきたいということで実施していますので、公表にはなじまないと考えています。
それで、実際に私が表現しようとしていることは、中長期的なことと、短期的なことのバランスをどう取るかという非常に難しい話でございまして、これをディスカッションするのに2時間とか3時間掛かっているわけであります。これは、それぐらいの時間を掛けながら理解を得ていく必要があると考えて実施しています。とりあえず、説明の足りなかった部分について、補足説明させていただきました。
○渡部座長 ありがとうございます。
他の省庁の方、いかがでしょうか。前田課長補佐、お願いします。
○前田課長補佐 中小企業庁でございます。
先ほどどこに相談を持ち込んだらいいのかという御指摘、多数いただいたかと思います。正にそういった御指摘に応えるために作らせていただいたのが、このよろず支援拠点というものでございます。政府内も非常に多くのメニューがございますので、そういったものを全て御案内できるように、先ほど標準化や農水省の話もございましたけれども、いろいろな方々、関係省庁、関係機関から、研修を実施していただきながら、私どもよろず支援拠点で対応できる体制を作っていきたいと考えているところでございます。
さはさりながら、このよろず支援拠点でございますけれども、昨年6月から設置でございます。その意味では、まだ駆け出しの機関でございますので、周知というのはまだまだ徹底しないといけない状況でございます。メディアも活用しながら、あるいは商工会、商工会議所と一緒に出張相談することもございますので、こういった機会を通じて、どんどん顔を売っていきたいと考えております。
一方で、相談された方がしっかり満足していただくことが次の相談につながると思いますので、そういった質を担保する意味でも、良い事例を関係者間で横展開するといったこともしっかりやっていきたいということでございます。
それから、知財総合支援窓口との連携でございますけれども、私ども、よろず支援拠点におきましては、いわゆる知財も含めて、経営に関する各種相談の窓口という整理でございます。したがいまして、基本的には中小企業診断士あるいは元金融機関の方等、経営に関する相談体制というのは私どもでございまして、知財総合支援窓口におきましては、いわゆる弁理士、弁護士等の出願に関するプロの方がいらっしゃる機関と承知してございますので、そういった皆様と相談しながらやっていく。一体的にやっていくということで、これからしっかりやっていきたいと考えているところでございます。
それから、相談機関としての見える化、指標化といったところにつきましては、私ども、今、相談件数といったものにつきまして、中小機構全国本部の方で公開してございますけれども、当然その先の売上げ等、いろいろな評価方法があるわけでございます。これを一律の指標で評価するのは非常に難しいところがあるわけですけれども、多面的に評価できるような評価指標の検討というのは、これからもしっかりと検討していきたいと考えているところでございます。
以上でございます。
○渡部座長 ありがとうございました。
普及支援課の松下課長、お願いします。
○松下課長 私どもの関係では、国内外の出願費用でありますとか、今の窓口、それから金融、ブランド、また目標や普及や施策について、運用面及び施策の新しい御提案もいただきましたので、それらも参考としつつ、今後、充実を図っていきたいと思っております。
○渡部座長 他の方は、よろしいでしょうか。
文部科学省坂本課長、お願いします。
○坂本課長 先ほど宮本室長の方から知財マネジメントの分析のお話をいただきました。我々、経産省と協力して、こういった分析の結果を大学の研究経営にいかに反映させるか、しっかりやっていきたいと思います。
先ほど山本委員の方からもお話ありましたけれども、知財マネジメントというのは最終的に何のために行っているかというところ。これは、経済的価値をいかに創造するか。それは、産業界のパートナーにとって大事なことですけれども、それが大学の成長にもつながる。そういったシステムを作る中で、この知財マネジメントをどう考えるか。例えば事業会社との関係で言うと、いかに大学の研究に対する投資というものがどれだけ魅力的かという観点で、共同研究費がどれだけ入ってくるかというところ。これは大学の成長にとって非常に重要でございます。あるいは投資家との関係で言うと、大学発ベンチャーを創出する。
そういったところにいかに知財が使われていくのかというところを、我々は知財マネジメントの目的というのをはっきりさせて、それを大学の経営の中でいかに最適化していくかということを、是非大学と考えていきたいと思います。これは、経産省、あるいは他の省庁としっかり連携してやらせていただきたいと思います。
以上です。
○渡部座長 ありがとうございました。
それでは、予定の時刻が参りましたので、本日の議論はこれで終わりにさせていただいて、横尾局長の方に総括していただければと思います。
○横尾局長 今日は長い時間、ありがとうございました。
最初の知財教育の方は、文部科学省文部科学省が大変意欲的に取り組もうとしているので、是非文科省とも連携して、先ほど渡部座長から整理いただいたように、検討体の下で深掘りしていきたいと思っています。
それから、2番目の中小と産学連携は、ある意味2015推進計画の一番の目玉として盛り込んだものでございました。そこで、共通した指摘であった各省の施策のコーディネーション、相談窓口の件とコーディネータの件。これは、我々もそれを意識して2015で工夫したつもりであります。相談窓口の件は、私も中小企業庁に昔おりましたので、常にある批判は、どこに行っていいか分からないと言われるので、普及というのは永遠の課題なのですけれども、リピーターの人はハッピーだというのは昔から言われている。リピートしてうまくいった人は、意外とあんないいことがあったぞと言わないから、またややこしいのですけれども、普及というのは常にテーマだと思います。
知財の場合に、今回意識したのは、よろず支援拠点と知財総合支援窓口は一体どういう存在なのかということで、最初に中小企業が、知財がどうか分からないけれども、来るのはよろずだろう。そうすると、よろずで知財も相談できるようにしておかないといけないのではないかということで、よろずでも知財の相談の強化をしてもらう。
それは、言ってみれば町の総合病院というか。専門病院であるのが知財総合支援窓口で、そこに必要ならばうまくつなげてもらうということで、知財総合支援窓口の方は、むしろ出願とか、そういうことだけではなくて、ビジネスにもっとリンクした相談を知財総合窓口でも受けられるようにしようと。そこを強化しようと。そうすると、よろず支援窓口とだんだん連携していかないといけない。ある種循環していく。よろずに来て、知財総合支援窓口、またよろずに行く、あるいはその逆もあるのですけれども、そういう循環をつくっていければというのが2015で考えたことであります。
そのときには、常に完全に二つの相談窓口のミッションを分けるのが理論的には正しいのですが、多分そうはならなくて、どこかの部分ではオーバーラップしないとシームレスな相談ができないという意味では、ある程度はあってもよいと私自身は考えています。
同様のことがコーディネータにもあって、マッチングプランナーと戦略分野コーディネータは、共に今年からスタートした事業であります。これで足りないところもあるなということで、特許庁が事業コーディネータの予算要求をしているということで、ここで大事なのは、お互いの経験というか、ノウハウをシェアすることですので、それはしっかりブロック会議とか、いろいろなところでシェアできるようにして、コーディネートする体制を28年度予算が付けばしていきたいと思っています。
以上の二つは、正に各省にまたがる分野で、いかにうまく連携させていくかということでありますので、今日いただいた御意見を踏まえて、より事業が効果的になるように各省と連携して考えていきたいと思っています。
あと、海外展開の指摘と金融の指摘。
それから、農業との連携は、2015で初めて農業分野というものをかなり重点的に書きました。今日は、ちょっと時間の都合があって農水省にプレゼンをお願いしなかったのですけれども、ここは意識しております。今日、御指摘いただいたので、農水分野との連携というのもしっかりやっていきたいと思います。
それから、今日御指摘あった中で、指標の話。評価指標というか、産学連携のことのみならずですけれども、これはなかなか難しいテーマで、知財で評価指標というと、どうしても短期的なことになってしまいかねない。実は、前々回の本部会合で、山田本部員からも御指摘いただいたのですけれども、本当は売上げとかで評価すべきですけれども、そうすると、知財だけの評価にはなかなかならないという悩ましさがある。これは、我々、引き続き考えなければいけない問題なのと、評価指標と目標は本来違うのですけれども、評価指標と書いた途端にそれが目標に転化してしまう。これも扱いが厄介なので、ここはよく考えていきたいと思っています。
すみません、長くなってしまいましたが、最後のその他の議論でいただいた紛争処理の話は、紛争処理システム検討委員会で別途やっています。御指摘の点は重々承知の上、進めております。その中で、今日伺っていて、この問題というのは、紛争処理の問題を超えて、ある種、知財とはどういう価値のあるものかという、制度の存在意義に関わる根源的な議論もあるなと思って、聞いていた次第でございます。
この点は、この産業分野の会合でやや哲学的な議論も含めてやっていっても面白いかなと、何となく聞きながら思ったのですけれども、特許制度なり知財制度ができたときのオリジナルの設計思想と、今は多分違っている中で、これをどう考えるかというのは、長期的にちゃんと考えていかないといけない問題だろうなと改めて思った次第でございます。
今日は、大変貴重な御意見をいろいろいただきまして、ありがとうございます。今日いただいた意見を当面の事業の深化・改善に反映させるのと、さらにいただいた意見の中から、幾つかヒントになることがありましたので、これを来年の2016の計画を目指して、更に深掘りしていくべく、またいろいろな御知見、御意見を賜ればと思っておりますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。
○渡部座長 ありがとうございました。
最後に、次回以降の会合についての日程等、事務局からお伝えいただければと思います。
○北村参事官 次回以降の会合につきましては、年明けの開催を予定しておりますが、詳細につきましては、委員の皆様とも御相談の上、御連絡させていただきたいと思います。
また、本日、委員の皆様に御承諾いただきました知財教育に関する検討体につきましては、本件について更に議論を深めていただける検証委員の方に御参加いただくとともに、知財教育に関する外部有識者も加えた会議体を、渡部座長とも御相談の上、検討させていただきたいと思います。
以上です。
○渡部座長 本日は、御多忙中のところ、大変ありがとうございました。これで閉会とさせていただきます。
ありがとうございました。