知的財産戦略本部
検証・評価・企画委員会
(産業財産権分野・コンテンツ分野合同会合(第5回))
議 事 録
日 時:平成28年4月18日(月)15:00~16:51
場 所:中央合同庁舎4号館 1208会議室
出席者:
- 【委 員】
- 相澤委員、荒井委員、井上委員、内山委員、奥村委員、奥山委員、喜連川委員、近藤委員、斉藤委員、迫本委員、佐田委員、重村委員、杉村委員、瀬尾委員、妹尾委員、髙崎委員、中冨委員、中村座長、野坂委員、野間委員、林委員、原山委員、宮川委員、宮河委員、森永委員、山田委員、山本委員、吉井委員、渡部座長、正木委員代理、吉沢委員代理
【関係機関】 | 坂本文部科学省産業連携・地域支援課長 |
北山文部科学省専門教育課長 | |
俵文化庁著作物流通促進室長 | |
大内文部科学省教育課程課学校教育官 | |
高橋特許庁総務部長 | |
平井経済産業省メディア・コンテンツ課長 |
- 【政 務】
- 島尻大臣
- 【事 務 局】
- 横尾局長、増田次長、磯谷次長、田川参事官、永山参事官、福田参事官
- ○中村座長 では、ただいまから「知的財産戦略本部検証・評価・企画委員会(産業財産権分野・コンテンツ分野合同会合)」を開催いたします。
大勢の皆様にお集まりいただきまして、どうもありがとうございます。
今日御出席いただいている委員の方は、座席表のとおりですので、御確認ください。
本日、島尻大臣に御出席いただいております。議事に先立ちまして、まず、大臣から御挨拶をいただきたいと存じます。 - ○島尻大臣 ありがとうございます。
それでは、一言御挨拶申し上げたいと思います。
本日は、御多忙の中、お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
この検証・評価・企画委員会では、産業財産権の分野と、コンテンツ分野、それぞれにおいて昨年10月から約半年間にわたり、精力的な御議論をいただきました。また、この委員会の枠組みの中で設けられた次世代知財システム検討委員会、知財紛争処理システム検討委員会には、一部委員の御参加もいただきまして、専門的な審議を進めていただきました。それらの御議論を踏まえてまとめました「知的財産推進計画2016」の素案を本日は御議論いただきたいと思います。
素案は、4つの柱で構成しておりまして、そのポイントといたしましては、まず、IoT・ビッグデータ・人工知能などの新たな技術が発展する中での次世代知財システムの構築や、オープン&クローズ戦略を軸とする、知財マネジメントの推進、そして、2番目、知財活用の裾野拡大のための知財教育タスクフォースを設置して御議論いただきました、「国民一人ひとりが知財人材」を目指す知財教育への取り組み、昨年に引き続き重視している地方や中小企業、農業分野における知財戦略の強化、3番目といたしまして、私のもう一つの担当でございますクールジャパンを持っておりますけれども、アニメなど我が国の魅力あるコンテンツと非コンテンツの連携による海外展開、そのための産業基盤の整備、4番目といたしまして、知財システムの基盤としての紛争処理システムの機能強化、国際連携となっております。
本日の御議論も踏まえまして、今後取りまとめる「知的財産推進計画2016」は、日本再興戦略などにもしっかりと反映させ、この計画に基づいて我が国全体の重層的な知財戦略を、日本の魅力を発信するクールジャパン戦略と合わせて進めていきたいと考えております。
両座長を初めといたしまして、それぞれの分野で高い知見を有する委員の皆様方には、この半年の、大変長い長い半年だったと思いますが、この御議論の取りまとめに向けて、新しい時代を先導する視点から御議論、また、御意見、御提言をいただければと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。 - ○中村座長 ありがとうございました。
なお、島尻大臣は他の公務の関係で、16時ごろ退席なさいます。
では、初めに配付資料の確認をお願いします。 - ○田川参事官 本日でございますが、配付資料といたしまして「『知的財産推進計画2016』(素案)構成」を1枚お配りしております。
また、参考資料といたしまして、検証・評価・企画委員会の枠組みのもとで設けられました次世代知財システム検討委員会が取りまとめました報告書、知財紛争処理システム検討委員会が取りまとめました報告書及び知財教育タスクフォース議論の整理をお配りしております。
さらに、委員の皆様方にのみですけれども、本文の素案と本日、御欠席の長澤委員からの事前の提出資料、相澤委員からの事前の提出資料を机上配付とさせていただいております。
よろしくお願いいたします。 - ○中村座長 よろしいでしょうか。
では、議事に移ります。今日の議事は1つ、「『知的財産推進計画2016』(素案)について」であります。この内容を事務局から説明をお願いします。 - ○田川参事官 それでは、説明をさせていただきます。
まず、お配りをしております素案の構成の1枚紙でございますけれども、今、大臣からの御発言にもございましたように、4つの柱ということでございます。
第1が「第4次産業革命時代の知財イノベーションの推進」ということで、デジタル・ネットワーク化が進む中での著作権などの知財システム、AI等の創り出します成果物と知財との関係などでございます。それから、オープン・イノベーションに向けた知財マネジメントの推進ということで、オープン・イノベーションが進む中で、オープン・クローズ戦略というものがますます重要になってくるということで、知財マネジメントについての産学連携等について取り上げております。
第2でございますが「知財サイクルの普及・浸透」ということで、知財の大きなサイクルを回していくための知財の教育、それから、地方、中小企業、農水分野等における知財戦略の推進というのがございます。
第3につきましては、アニメ、漫画等のクールジャパンに代表されるコンテンツを、非コンテンツと一緒に海外展開する措置をさらに充実をさせていこうと、それから、産業基盤の強化といった観点でございます。それから、アーカイブの利活用でございます。
第4といたしまして「知財システムの基盤整備」といたしまして、知財紛争処理、特に特許訴訟を念頭に置いた機能強化、さらに、産業財産権を中心として審査をグローバルな事業展開に支援をあわせてどんどん進めていこうという観点で、4つの柱としているところでございます。
順次、素案に基づきまして、簡単に御説明していきたいと思います。
まず、第1でございますが「第4次産業革命時代の知財イノベーションの推進」ということで、まず、1が「デジタル・ネットワーク化に対応した次世代知財システムの構築」でございます。IoT、ビッグデータ、そういったものがどんどん進んでいくという時代におきまして、著作物を含む情報の利用が一層多様化していくということで、そのためにイノベーション促進に向けてさまざまな政策手段を活用した著作権システムを構築するということが必要という問題意識でございます。
ページで言いますと、1ページから8ページまでがその項目でございます。具体的な問題意識は今、申し上げましたとおりでございますけれども、それにさらに人工知能等の取り扱いといったものをどう考えるか。あるいは、国境を超える侵害に対してどう対応するかということでございます。
「今後取り組むべき施策」でございますが、最初に申し上げるべきところでございました。全体としてはまだ調整中でございますけれども、その中でも特に方向性についてさらにすり合わせを今進めているところについては調整中としております。
まず、5ページの下にございますように「イノベーションの促進に向けた権利制限規定等の検討」ということでございます。イノベーションに柔軟に対応していく、さらに、コンテンツを継続的に創出していくという観点から、デジタル・ネットワーク時代の著作物の利用の特徴を踏まえた対応の必要性に鑑みまして、一定の柔軟性のある権利制限規定について検討を進める。あわせて、さらに総合的に考慮することを含む、一層柔軟な権利制限規定について、その効果と影響も含めて検討を進める。こういったことも含めまして、早期の法改正の提案に向けて具体化を図っていくということでございます。さらに、その場合に、明確性、予見可能性を向上させるという観点から、ガイドラインの策定を含めて検討を行うということでございます。
ページをおめくりいただきまして「孤児著作物に係る裁定制度の更なる改善」ということで、権利者不明の著作物について、例えば一定の場合に後払いを可能にするといった内容について検討して、制度整備を行うといったこと。それから、拡大集中管理の許諾の導入の適否を含めて検討を進めるといった項目でございます。調整中でございますけれども、この方向で進めていきたいと考えているところでございます。
7ページにございますが、「新たな情報財の創出に対応した知財システムの構築」ということで、AI創作物、または3Dデータ、創作性を認めにくいデータベースについて、市場に提供されることで生じた価値に注目しながら、知財保護のあり方について具体的な検討を行っていこうということでございます。さらに、それを海外への情報発信等に努めるといったことでございます。オープンサイエンスについてもきちんと検討を進めていくということであります。
「デジタル・ネットワーク時代の知財侵害対策」でございますけれども、知財侵害サイトに誘導する、いわゆるリーチサイトへの対応というものについて、法制面の対応を含めて検討を進める。あるいは、オンライン対策についての検討、サイトブロッキングについても引き続き検討ということで、整理をいたしております。
続きまして、「オープン・イノベーションに向けた知財マネジメントの推進」でございます。9ページから16ページまででございます。
ここにつきましては、オープン・イノベーションの時代というものは、すなわちつながるということ、これによってオープン・イノベーションを進めていこうということが重要になるわけでございます。第4次産業革命時代特性を踏まえながら、オープン・イノベーションにつながる産学、あるいは産産、企業同士、特に中小企業と大企業の連携、こういったものを活発化させるということ。それから、オープン&クローズ戦略の問題でございますが、知的財産権として権利化する、あるいは標準化する、営業秘密として秘匿化をするといった、幅広い知財マネジメントの基盤となるプロイノベーションの知財システムを構築することが必要という問題意識のもとで、具体的な取り組みをまとめております。
11ページでかいつまんで御説明をいたします。まず、「産学・産産連携の機能強化」でございます。特に産学共創プラットホーム等の大学を中心とした取り組みでございますとか、地域を中心にした取り組みを進めるということでございます。
11ページの下にございますが、橋渡し・事業化支援、これは、大学あるいは大企業と中小企業をつないでいくという橋渡し機能というものが昨年来、重要であるということで、措置をいろいろとしてきたところでございます。これを一層進めるということに加えまして、橋渡し・事業化を進める人材の連携も進めていこうということでございます。
大学の知財戦略でございますが、大学の知財マネジメントを強化していく、特に、最初にございますように、知財戦略でございますとか活用方針を策定しているといった、積極的な大学に対しては、重点的な支援を引き続き行っていくといったことを盛り込んでいるところでございます。大学の産学連携機能の内部評価を強化していこうといったところを盛り込んでおります。
標準化につきましては、先端的な国際標準化を、分野における国際標準化というものを国立研究開発法人が有する知見を活用して強化をしている、中堅・中小企業の標準化の推進でございます。既にございます「新市場創造型標準化制度」を活用する、あるいは、幅広く自治体から産業支援機関等を含めた「標準化活用支援パートナーシップ制度」を活用しまして、案件の策定から認証に至るきめ細かな支援体制を強化するといったところを盛り込んでいるところでございます。
営業秘密の保護につきましては、昨年法改正で整備した新しい制度の普及を図っていくということでございます。
17ページから21ページが次の項目「知財教育・知財人財育成の充実」でございます。知財戦略を推進するという観点では、やはり人材というものが重要であることでございます。知財本部におきましては、創造性を育む教育という観点につきましていいますと、教科ごとに実施をされているということで、連携が不十分である、あるいは、保護が中心で、活用の重要性も含めた理解が必要であるといった観点から、タスクフォースを設置したところでございます。
18ページ、19ページに今後の方向性を取りまとめております。表の下にございますが、国民一人一人が知財人材を目指した、発展段階に応じた系統的な教育を実施していこうということでございます。
それから、社会とのかかわりでございます。社会とのかかわり、知識を活用して「創造性の発展」のための仕掛けをつくっていこうということと、地域・社会との協働の実現、この3つの観点から、「今後取り組むべき施策」をまとめております。
第1に、まず「小中高等学校、大学等における知財教育の推進」といたしまして、小中高等学校においては、各学校における教科横断的なカリキュラムマネジメント、いろいろな強化がまたがっているのをうまくまとめてやっていこうというのが一つでございます。大学では、山口大学の先進的な取り組みでございます全学生に対する必修化、こういった取り組みを参考にしながら、その横展開を図っていこうということでございます。
「地域・社会と協同した学習支援体制の構築」といたしまして、まず、中央レベルで関係省庁、関係団体等から構成される「知財教育推進コンソーシアム」を設置する、さらに、地域レベルでは、地域コンソーシアムというもの、地域ごとに関係団体の参画を得て、地域社会と一体となった知財教育を展開しようということでございます。例えば教材についての横展開を図ったり、いろいろな関係者の参画を調整したりいくといったことを進めていくということにしているところでございます。
続きまして、「地方、中小企業、農林水産分野等における知財戦略の推進」でございます。知財戦略を意識して活用するという姿勢を幅広く関係者に浸透・普及していくことが我が国の競争力の底上げにとって非常に重要である、とりわけ、地域経済の担い手でもある中小企業、農水分野、こういったところについての知財活用の普及というのは、地域経済の活性化、あるいは地方創生にもつながるという問題意識のもとに整理をいたしております。
具体的な施策といたしましては24ページからまとめているところでございます。まず、知財活用途上型中小企業、これは、知財に対する問題意識が、これからの中小企業に対して更に知財の普及、相談窓口等の相談機能の強化といったものを通じて全国的に高めていこうというのが一点でございます。
2点目でございますけれども、知財を既に活用している知財活用挑戦型中小企業に対しましては、先ほど出ました橋渡し等をきちんとつなぐことによって、相談体制をさらに強化していく、あるいは、融資における知財活用を促進するといったところを盛り込んでいるところでございます。
また、標準化につきましても、中堅・中小企業の標準化の推進というものを枠組みのもとにやっていくということでございます。
さらに、27ページでございますけれども、海外展開の推進として一気通貫での支援を進めていこうといったところを盛り込んでいるところでありがとうございます。
27ページの下からでございますが、農水分野でのGIの活用等を含めて、更に農業分野での知財戦略を拡充していこうということでございます。
第3「コンテンツの新規展開の推進」でございます。問題意識は、先ほど大臣からもございましたとおり、コンテンツを非コンテンツとあわせてどんどん海外に展開していこうということでございます。
具体的な取り組みといたしましては、33ページ以降でございます。「クールジャパン官民連携プラットホーム」を昨年12月に発足させたところでございますけれども、この枠組みを通じまして、官民あるいは異業種の連携を推進するといったところ、それから、情報の発信拠点というものについてもそのネットワーク化を進めていこうということでございます。
「継続的なコンテンツ海外展開に向けた取り組み」というものを、35ページ以降に取りまとめをしております。
産業基盤の強化といたしましては、36ページ以降でございますが、人材の育成、37ページの下のほうでございますが、コンテンツ産業の資金調達等の制度的な課題についての検討といったところを盛り込んでいるところでございます。
続きまして、39ページから「アーカイブの利活用の促進」でございます。アーカイブの利活用については昨年来、取り組みをいろいろとしておりまして、関係省庁の連絡会議等も私どもが中心となって立ち上げたところでございます。
具体的には、41ページに「今後取り組むべき施策」といたしまして、アーカイブ、図書館、美術館等にあるアーカイブ間の連携を進めるということでございます。そのための統合ポータルを整備する、あるいは、例えば利活用促進のためのメタデータ、書誌情報等に対する取り組みを進めていこうということ、分野ごとの取り組みなども含めて取り組むことにしております。
最後でございますけれども、「知財システムの基盤整備」でございます。
知財紛争処理システムにつきましては、検討委員会で御議論をいただいた中身をまとめているところでございます。
具体的な取り組みの方向としては48ページからまとめております。まず、証拠収集手続につきましては、現行の書類提出命令を発令しやすくなるようにする。それから、第三者が被疑侵害者に対して査察を行う制度について具体的な検討を進めていこうと。法制度のあり方に関する一定の結論を得ていこうということでございます。
損害賠償につきましては、通常の実施量相当額を上回る損害額の算定がより容易にできるような考慮要素の明確化といったものについて、具体的な検討を進めて、法制度のあり方について一定の結論を得るということで、現在、調整をしているところでございます。
そのほか、中小企業に対する支援として、訴訟費用保険の具体化でありますとか、テレビ会議の活用等を盛り込んでおります。
最後でございますが、「世界をリードする審査の実現によるグローバル事業展開支援の強化」ということで、51ページ以降でございます。
取り組むべき課題としましては、53ページ以降でございます。特許審査の迅速化、品質の向上といったこと、職務発明制度の周知、1枚おめくりいただきまして、国際連携の推進といった項目を盛り込んでいるところでございます。
以上でございます。 - ○中村座長 では、この「知的財産推進計画2016」の素案について、委員の皆さんから御意見、コメントをいただければと思いますが、今日はたくさんの委員の方にお越しいただいておりまして、できるだけ多くの皆さんから御発言をいただきたいと思っておりますので、おひとり当たり2分半以内に御発言をいただければと思います。大変恐縮ですけれども、2分で1回、2分半で2回ベルを鳴らすと事務局が言っております。
私は遠くて見通せないかもしれませんので、もし、指し逃していましたら声でも上げていただければと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。
では、御意見のある方は挙手をお願いできますでしょうか。どなたからでも結構です。
では、林さんから。 - ○林委員 ありがとうございます。
3点申し上げたいと思います。
まず、第1のタイトル「第4次産業革命時代」とございます。現政府においてこの用語が使われていることはわかっているのですけれども、ドイツのインダストリー4.0の評価につきましても、いろいろ意見が分かれている昨今、どのような定義でこの「第4次産業革命時代」という言葉を使っているかについては、脚注において一言定義を入れてはいかがかと思っております。これが1点目です。
2点目ですが、47ページの第3段落の4行目、5行目に「実際には、経験豊かな弁理士や弁護士がなかなか紹介されない場合がある等の課題がある」と書かれておりますが、もし、ここで知財総合支援窓口などの課題を1点挙げるのであれば、これではないと私は思います。むしろ、実際には窓口が弁理士や弁護士などの専門家をなかなか紹介しない場合があるなどの課題があると言うべきであると思います。ヒアリングなどにおいて、もしかしたら経験不足な専門家であったという声があったかもしれませんが、それは多くの事例の中の本当にわずかでございまして、実際にINPITを通じてのヒアリングでも、むしろ私が申し上げたような窓口者が問題を取り込んでしまって、専門家によるヒアリングの機会がないということのほうが問題ではないかと思います。
最後、第3点ですが、49ページの3段落目のADRの拡充・活性化の部分でございます。2行目に「知財紛争の取扱事業者」という言葉がございます。リーガルな紛争を事業者が扱うという発想なのかどうかということが疑問でございます。むしろここは知財紛争専門の認証ADRである日本知的財産仲裁センターを含むという形に訂正していただけないかと思います。1998年から18年間にわたって日弁連と弁理士会が共同で行っております知財専門のADR機関をもっと活用していただけないかと思います。
以上です。 - ○中村座長 事務局、何かコメントありますか。いいですか。
ありがとうございます。
他にいかがでしょう。
では、荒井さん。 - ○荒井委員 今回、次世代知財システムとか、非常に新しい、世界的にも注目されるような議論がなされたことは画期的だと思います。新しい情報化時代に、著作権を取り巻く環境は非常に大きく変わっているということをしっかり示されたということだと思いますし、同時に、発明や特許の関係でも、だんだん営業秘密に比重が移ってきているとか、国内出願から外国出願に移って来ているとかということで、知財の現場が大きく変わってきているということで、5年後、10年後にはこの知財全体のいわばエコシステムというのでしょうか、全体の風景が相当変わっているということを、もう少し全体像についてもはっきり示すことが大事だということを、示していただいたらいいのではないかと思います。
これは、大臣が冒頭、おっしゃったように、日本再興戦略で知財戦略が貢献していくというときに、全体経済の中で、全体社会の中でどう知財が変わっていく、5年後、10年後にこう変わるのだということを政府の役割、プレーヤーである企業とか、大学、クリエーター、ユーザー、みんなが相当変わるわけですので、そういうものの変化、それから、同時に、知財に関連するビジネスが市場規模として、経済活動としてどのぐらいのものになっているかというようなことを推計することも必要だと思います。5年後、10年後の姿をしっかり示し、すっかり変わるということを示していただいて、今後の検討課題かもしれませんが、推進計画2016としては日本経済の発展あるいは世界経済の中で、きちんとした役割を果たすという決意を示していただくことが必要ではないかと思います。
以上です。 - ○中村座長 妹尾さん。
- ○妹尾委員 ありがとうございます。
いろいろ新しい試みをされようという意欲は大変いいと思うのですけれども、3点ほど申し上げさせていただきます。
第1は、それぞれのたてつけのヘッダーにあることをどう捉えるかです。林先生がおっしゃられた第4次産業革命、あるいは2番目に知財サイクルという言葉が入っているのですが、それが一体何を意味するか、ほとんど中には書かれていない。第4次産業革命というのは、もちろんインダストリー4.0ですけれども、世界の趨勢はインダストリアル・インターネットないしはコグニティブのほうですから、産業世界観とか、産業歴史観を我々は一体どう持っているのだということをきちっと表記しないと、単なる表向きの政策をやる枠組みとしてしか伝えられていないので、日本の考え方というのをきちっと出さなければいけないと思います。
第2番目に書かれている知財サイクルという言葉についても、従来は、2002年の小泉内閣のときに出てきた知財立国のときに使われた知的創造サイクルを暗に踏襲しているようですが、その途中で、その途中で、私が専門調査会の会長をさせていただいているときに言ったように、知的創造サイクルというサイエンスドリブン型だけでイノベーションが起こるのではない。ビジネスドリブン、事業創造型で、例えばアップルにしても何にしても世界は動いている。こちら側の逆回しのサイクルをどうするのだということを大変うたって、それを織り込んだはずなのです。ですから、従来どおりの創造、保護、活用というサイクルだけではなくて、価値の設計、ビジネスモデルの設計、知財を含めたリソーシングの設計という、このサイクルをどう見るのか。あるいはそれを教育の中でどのように体現していくのか。そこが書かれないといけないのではないかと思います。
2番目、その中の一つとして、今回、人材育成について学校教育にハイライトを当てられたことは大変すばらしいとは思うのですが、これはそれだけでかなり強くなってしまっているので、今、喫緊の課題であります、例えばビジネススクールの人たちに学んでもらうとか、あるいは、支援人材自身が枯渇しているとことの教育をどうするのだとか、そういうところにも目配りがどこかに書かれないといけないのではないかというのが2番目です。
3番目、同じくそこの項目の中に農林水産分野が入っています。これはTPPを初めとして、基本的に非常に重要なところなのですが、ここに書かれているのは、残念ながら、いわゆるブランド関係のみです。テクノロジーが恐ろしく世界では動いているということであります。その意味では、工業系と農林水産系はほとんど同じに動いているという認識を示さないといけないし、あるいは、シンジェンタのようなところが中国に買収されている。世界のアグリバイオが中国に買収されているときに、アグリテクノロジーがどうなるのだというところに対しての知財的な手当てをどうするのだということが書かれないといけない。例えば独法が今回、合同になります。例えば「知」の集積というプロジェクトが動きます。その中で知財をどのよう展開するのかという農林水産省の現在の動きが全然書かれていないので、これはぜひ農林水産省の頑張りを書いておいたほうがいいと私は思います。
最後に、時間がないので簡単に、大臣がお見えになっているのでお見せしたいのですが、ドラちゃんがいます。実はインドネシア語で書かれたドラちゃんです。これは、我々がインドネシアの結核撲滅のキャンペーンを手伝っているということで、この戦略事務局のお手伝いもいただき、あるいは藤子プロの御理解もいただき、こういうものが非常に親日の新興国に効果を及ぼしている。すなわち、ビジネスだけではなくて、文化だとか、あるいは外交的な手段としてコンテンツが非常に使えるということがわかってきたということなので、こういうコンテンツの動き方というのもぜひこの中に織り込んでいただくといいなという感じがします。
長くなりましたけれども、以上、3点です。 - ○中村座長 ありがとうございます。
奥村委員、お願いします。どうぞ。 - ○奥村委員 奥村です。幾つか気がついたところだけコメントさせていただきます。
1つには、人工知能とか、いろいろな今後、出てくるテクノロジーと知的財産にかかわる話に著作権の話が出ておりますが、恐らく、こういった人工知能というのはこれからサイエンスの分野も十分に考えられますので、発明もこれによってどう変わるか。まさに先ほどの荒井委員が言われたように、これから多分、知的財産の社会というか、組織、構造そのものが大きく変わると思いますので、そこも御検討いただきたいということと。次に、橋渡し人材のところでは、ぜひ産業界の人間として申し上げたいのは、産業界で働いていたOBも含めて現役も含めて、特に一本釣りでこの人を使うという意味合いで、人を選んでいただかないと、なかなかきちんと橋渡しができないのではないかと思っております。
もう一点、次は教育の分野なのです。学校教育に焦点を当てていただいたのは、私もとてもすばらしいと思いますが、どうしても理科系、文科系という区分けをして考えがちなところがございますが、やはり知的創造物というのはどちらにも属しない、もしくはどちらにも属するようなものが今後は重要になってくると考えております。ぜひそこのところを分けて考えるのではなくて、きちんと融合した、人の創造、クリエーティビティーというものについて、もう少し焦点を当てていただきたいと思います。
それから、紛争解決のところにつきましては、幾つか新しい、もう少し議論を進めて一定の結論を得るというのが幾つかの項目に書いていただいております。産業界も、この点につきましては、まだ実は議論が足りないのではないかと思っています。ただし、我々もこれを非常に強化することについては大きく期待をしておるところでございますので、拙速ではない、十分な議論をしていただきたいと考えております。
最後に、私、製薬会社でございますので、グローバルヘルスというものに関係しまして、最近、知的財産、特に特許制度の権利行使が新興国とか後進国においては不当に制限されるような動きがございます。一方で、先ほど妹尾委員に紹介していただきましたようないろいろな知財の使い方をすることによって、本当に貧しい国の患者さんに薬を届けることができる、そのためのツールとしても知財制度は使えるものだと考えております。そのあたりも日本政府からよくご支援いただきたいと思います。
それに関連して、最近の我々業界で考えております医薬品の特許期間延長制度につきましても、業界で特許庁様と一緒に検討させていただいております。この業界を守るためにとても重要な制度ですので、ぜひ一つ前向きに検討、改革のほうをお願い申し上げたいと思います。
以上です。 - ○中村座長 では、髙崎さん、お願いします。
- ○髙崎委員 髙崎です。中小企業の立場で感想を申し述べさせていただきます。
安倍内閣では一億総活躍社会を目標に掲げておられます。全労働者の3分の2が中小企業で就労しており、学校教育を終了した大半の卒業生が中小企業で働くというのが現実です。中小企業と大企業を比べたときの構造的な問題の一つが、知財教育が大学課程あるいは高校でもされていないということなのです。大企業に入社する研究者あるいは技術者は、本人が知財の知識がなくても、大企業の中に知財部がありますので、会社として知財戦略を組み立てることができます。一方、中小企業の場合は、社内に知財部がありません。弁理士さんも社内にはいませんので、当然、弁理士事務所、特許事務所の先生に相談することになります。しかし、先生とのコミュニケーションができないのです。知財のイロハを全く教育されてきていないので当然です。この構造的な問題が根っこにあって、ボリュームゾーンといいますか、知財活用途上型の多くの企業が共通して持っているネックであると確信しています。
長期的には、今回のこの素案の中で述べられている、教育制度における知財教育の拡充計画には大いに期待しています。今後、中小企業に入社する社員も基本的な知財教育を受けているということで、弁理士とのコミュニケーションも良くなってゆくと思います。しかしこれは、長期的な対策であって、10年あるいは20年ぐらいかかってしまいます。同時に、中期的な対策としては、国家資格である知的財産管理技能検定を活用すべしと素案でも推奨していただいていますので、こちらにも大いに期待したいとと思います。
最後に、中小企業にとって一番怖い存在でもあり、頼りになる存在でもあるのが金融機関です。金融機関と中小企業の関係は、知財融資という側面もありますが、金融機関の支店長、営業の担当者を通じて中小企業に知財マインドを届けるという効果も大きいと感じます。そのためには金融機関の方にも国家資格である知財検定を推奨していただくような動きがあれば、中小企業の知財活用が中期的に促進されると思っております。
ぜひこの素案の通りに、或いはそれ以上に実行していただければ、非常にありがたいと思います。以上です。 - ○中村座長 中冨さん、お願いします。
- ○中冨委員 全体を見ますと、非常に現状と課題が多くて、優先順位がわかりづらいというのもあるのですが、先ほどからお話になっている状況の中で、ゴールとミッションが余りはっきりしないのですね。5年、10年後を目指してどういったミッションがあるのかというのがはっきり明確にはわからないのが非常に残念なのですけれども、何かそういうことをきちっと書いたほうが、社会に対して責任の取り方がわかりやすいのではないかと思いますので、そこら辺を考えていただきたいと思います。よろしくお願いしたいと思います。
- ○中村座長 原山さん。
- ○原山委員 新機軸として次世代知財システムの検討が行われて、それが一番メインのところに入っていることは非常に革新的だと思うのですけれども、もうちょっとビッグピクチャーをイントロの部分で書いていただくことが重要だと思います。著作権という切り口から攻めているのですけれども、著作権でカバーされない部分がいろいろ起こってくる。例えばデータ駆動型イノベーションであれ、シェアエコノミーであれ、さまざまなイノベーションの起こし方そのものが変わっている中で、もう一回知財の意味づけというものを考えなくてはいけない。しかも、これまではつくる人がいて、使う人がいたのですが、必ずしもそれがクリアにならない世の中になったときに、オーナーシップというものがどうなるかという大きな課題が出てくるので、その辺の議論が欲しいと思っております。
そもそも、創作という活動そのものが人に由来するもののみではないという状況になったときにどのようにオーナーシップを考えるかということなのですけれども、同時に、このイノベーションという切り口なのですが、創作、創造という視点からいくと、サイエンスそのもののやり方も変わってくるという大きな流れがあって、その中で一つの箱としてオープンサイエンスのことを記述していただいています。この流れには、そもそもイノベーションの源泉となる知識をつくるプロセスそのものが変わってきていて、その中に一般の人も入ってくるという背景があります。必ずしもこれまでのようにクリアに研究者が研究所で研究して、そこで成果がペーパーとなって論文となってデータがという確実なものではないところも含むときに、知財とはどう捉えたらいいのか。その辺のところも、これからの議論なのですけれども、導入していただきたいと思っております。
特に世界的に一番の課題というのは研究データですけれども、シェアすることが非常に重要で、共有財産としてこれから持っていかなければいけないとする、データシェアリングの話が来るのですけれども、具体的なアプローチになると、途端に分野による違いが出てきて、いわゆるオーナーシップという形で、知財の話が出てくる。となると、ブロックしてしまって、先ほどのグローバルヘルスの中でも、いろいろな危機が起こるとアクションをとる形になっているのですけれども、システマチックなところは難しいので、データをどうするかということを、データベースをつくるだけではなく、使い方、運用に関してもこれから言及していただきたいと思っております。 - ○中村座長 山田さん。
- ○山田委員 地域の中小企業として一言意見を申し上げさせていただきたいと思います。
今回、地域の知財支援体制ですとか、相談機能の強化、事業化支援人材の強化、または中堅・中小企業の標準化の推進、新市場創造型という画期的な方法を取り入れていただいたり、中堅・中小企業の海外認証取得、そこまで支援を入れていただいているというのは、具体的な項目が入っていて、非常に地域の中小としては心強く、大変うれしいことだと思っています。
私、昨年からこの会議に出席させていただいているのですけれども、この会議で言われている国の施策の内容と、地方に戻ったときの温度差というものを非常に感じていて、ここで言われているもの、今日御説明されたものはすばらしいのですけれども、実際に地方でそれがどこまで実現されているかというところが、実現がまだまだかなという気がしているのが現状です。
ここ1年見ていても、先ほどありました、どこに行けばこういう支援が受けられるのかわからないとか、そもそも支援策があることすらわからないとか、どこに支援人材がいるのかとか、そういう具体的なところがまだ一般の地方の中小企業ではわからないという、余りその状況は変わっていないような気がしています。せっかくこのようにすばらしい計画を立てていただいたので、ぜひこれからこれをどのように実行していくか、全国津々浦々にこの効果があらわれるように、計画から実際に実行していって、進捗確認をして、見直しをする、PDCAをどのように回していくのかというところまで計画に入れていただけると、もうちょっと見えやすいのかなという気がします。
それと、ぜひ全国の中小企業の生の声を聞きに現場に行っていただいて、見ていただくということをお願いしたいと思います。
以上です。 - ○中村座長 宮河さん。
- ○宮河委員 では、コンテンツサイドから一つ。
私は、先週ドバイにコミックコンベンションがあって行ってきたのですが、コミックコンベンションの中で売られている商品の8割以上が模倣品だったのです。インターネットの普及によりアニメ、漫画の模倣品が地球規模というか、同時にリアルタイムに流れています。
模倣品対策に対して、私は2つあると思っているのですが、まず一つ、我々民間が正規品を出すこと。これが一番重要だと思っています。正直申し上げて、北米、ヨーロッパ、アジアは今、やっているのですが、まだなかなか中東まで行っていない。だけれども、我々民間がとにかく正規品を出すこと。
その次が、教育なのではないかと思っています。こちらにも書かれていますように、知的財産というか、コピーライト、模倣品はよくないよということを日本で教育するだけではなくて、日本がイニシアチブをとって、海外に対して、ここに啓発運動と書いてありますけれども、模倣品はよくないのだということをどう海外に日本が中心になって訴えていけるのなか、これが今後の日本のコピーライトを守る一番重要な要素なのかなと思っていますので、ぜひぜひ教育とコピーライト、しかもワールドワイドにどうそれを持っていくのかということを盛り込んでいただければと思っております。
以上です。 - ○中村座長 井上さん。
- ○井上委員 井上でございます。
今回の素案には、短期的な施策のみならず、長期的な視点での知財の基盤を強化するための戦略、施策が随所に盛り込まれており、大変心強い、意欲的な内容になっていると思います。
何点かコメントを申し上げます。
第1に、孤児著作物の問題、6ページの上のほうに書いてございます。TPPによる著作権の存続期間延長によって、この問題は今後一層深刻になります。権利不明著作物を対象とした日本の裁定制度は世界的に見て、孤児著作物対策の先駆的な制度でありましたが、社会的コストが高過ぎてうまく機能していませんでした。拡大集中許諾制度の導入ということもありましょうが、今回の案に盛り込まれた後払いの制度や、民間活用なども含めた検討をして、裁定制度を新たな制度に衣がえするぐらいの意気込みでの大胆な改革を実現していただきたいと思います。
第2に、教育のICT化、6ページ下に書いてあるものでございます。文科省における検討では、ICT活用教育に係る著作権問題の解決策の一つとして、補償金つきの権利制限規定の導入が議論されておりますが、学校や地域による格差が生じないよう、補償金の公費負担ということも視野に入れて検討していただきたいと思います。OECD加盟国の中で、日本の教育の公費負担割合が顕著に低いことは周知の事実ですが、人的資本論の観点からは、教育環境の充実は日本の成長戦略にも資することと考えます。
第3に、オープンサイエンス、これは7ページの中ごろのところに書いてございますが、この問題が科学技術イノベーション戦略、ひいては、広い意味の知財戦略にとって非常に重要な問題であることは、先ほどの原山先生の御発言にもあったとおりでございます。データにかかわる権利問題ですとか、契約についての考え方を検討し、法律問題がオープンサイエンス推進の阻害要因になってしまわないようにすることは重要なことです。
行政情報のオープンデータ戦略でも、スタートアップのときに著作権やライセンスの問題について集中的な議論がなされておりました。オープンサイエンスについても、スタートを切った今こそが重要で、例えば研究領域ごとの相違も踏まえた関連の法律や契約に関するガイドラインを作成するなどして、関連法制度に必ずしも明るくない学協会や大学等を適切にサポートしていく体制を構築していただきたいと思います。
第4に、デジタルアーカイブについてでございます。41ページ以下に記述がございます。アーカイブ連携という方向性は妥当だと考えますが、公文書館が表に出てこないことが若干気になります。MLS連携という用語の「A」、アーカイブは、一般に公文書館を指すものでありまして、現在、国立公文書館の機能について内閣府で検討が行われているところでございます。アーカイブ連携のところでは、国立公文書館を初めとする公文書館も積極的な役割を担っていく主体であることを明示してもよいのではないかと思います。
以上です。 - ○中村座長 斉藤さん。
- ○斉藤委員 著作権等のコンテンツを生業とする立場から一言申し上げますと、まだ調整中ということですが、柔軟性のある権利制限規定については、私たちも前向きに考える時代に入ってきたのだとは思いますけれども、誰が具体的にどのようなことで柔軟性のある権利制限規定を求めていて、かつ、それを主張活用していくのかというところの絵がどうも見えないものですから、私たちも不必要にそれに対しておびえるわけではありませんけれども、調整中といえども、もう少し具体的なニーズをはっきりさせていかないと、この件に対してはどうも後ろ向きに捉えるし、何となく消極的な発言が相次ぐと思いますので、ぜひこれを詰める必要があるということ。
私たちは、コンテンツを生業とする者の犠牲の上にコンテンツ以外のビジネスだけがどんどん発展していくというのはいささかバランスを欠いているかと思いますので、できるだけ早目に議論に参加して参りますので、私たち権利者としましては、コンテンツホルダーとしての意見も十分に取り入れていただければと思います。 - ○中村座長 杉村さん。
- ○杉村委員 杉村でございます。
大変力作な「知的財産推進計画(案)」を取りまとめていただき、事務局の皆様に改めて御礼を申し上げます。
ただ、この計画案は非常に盛りだくさんでございますので、これを読んだ一般の国民が容易に理解できないのではないかという点を危惧しております。
今後の対応といたしまして、できましたら、重点政策が一目で理解できるような概要ペーパーを作成していただけますと、民間、特に中小企業には「知的財産推進計画2016」が理解しやすいように思います。それが難しい場合には、例えば4つの柱を横断して、中小企業に関連した政策だけ、あるいは地域企業に関連した政策だけを別途抜き出した資料を作成するなどして、一般国民に計画をわかりやすく伝えることが必要だと思っております。
また、この場で言うのが適切かどうかわかりませんが、ぜひお願いをしたいことが1点ございます。現在、特許庁では今回の熊本・大分地震については既に特許庁に対する手続の特例を設けていただいておりますが、海外の特許庁におきましては、今回の日本の熊本・大分地震の被災企業等に対しまして、手続の特例等をまだ認めていないという状況にございます。ぜひ国が中心になって、今回のような熊本・大分地震に被災した企業等の手続につきましては、各国特許庁に特例を認めていただけるように働きかけをしていただきたいと思っております。 また、可能であれば、今後、特許庁が一元的に海外特許庁での特例についてまとめていただき、国民に情報を特許庁HPを通じて提供していただけると、被災企業にとって利便性が上がりますので、ぜひ御対応をいただきたくお願いしたいと思います。
以上です。 - ○中村座長 ありがとうございます。
それは特許庁に限らず、政府全体にいろいろなことを言えると思います。貴重なコメントありがとうございました。
瀬尾さん、お願いします。 - ○瀬尾委員 瀬尾でございます。
今回、かなり意欲的な内容がたくさん含まれていると思いますが、この中で幾つか申し上げたいと思います。
まず、1つはAIの利用です。AIの利用は思っていた以上に早く、そして、サービスの提供が多分早いと私は思っております。そして、AIの利用というのは、ビッグデータを活用したAIビジネスというのが非常に進み出していくでしょうし、これについて推進していくべきだと思っております。これについて推進していくべきなのですけれども、これに付随します柔軟な規定というのがここで出てきております。私は今回、はっきり申し上げますけれども、柔軟な規定に対して前向きに取り組んで、AIビジネスを阻害しないように進めていくことが重要だと思っております。
ただし、一層柔軟な規定については、日本とアメリカの状況を考えたときに、現状では必ずしも日本に有利な法制度ではないように思いますので、これをきちんとアメリカのような弁護士さん、弁理士さん、訴訟をサポートする体制、企業の意思がきちんと整っていかないと、今、出ていって同じ土俵で負けたらつまらないとことになると思います。ですので、ウインドウズやオフィスのアメリカのインフラの上に成り立っている我々の今のビジネスの上に、今のAIに関してはビッグデータを基にしたインフラをその上に構築して、違う土俵で勝っていくことが必要だと思いますし、検索エンジンについて、著作権法が検索エンジンをとめた、阻害したと言われますけれども、私もその感があるのかもしれないと思っています。これは、検索エンジンの悲劇と私は読んでいますけれども、そういうことをAIで絶対にまた起こさないように、しかし、やたらとやみくもに進むべきではなく、きちんと切り分けて進んでいくべきと思っております。
もう一点、これは先ほども出ました孤児作品のことでございます。これは小さな一項目の扱いですが、実は著作権に関していうと本当に大きな問題で、大げさに言えば日本のコンテンツの埋蔵金と言えるような大きなものです。これは決して一分野に落としていいものではなくて、官民合わせて取り組み、そして、きちんと民間の活動も支援をしていただく。これが解決することで、大げさに言いますが、著作権問題の半分は解決するはずです。ですので、これについては積極的にかつ迅速にお願いしたいと思いますし、民間でも、私のかかわっていることにつきましても、総力を挙げて取り組みたいと思いますので、これについての問題意識は大きく共有していただきたいと思います。
最後に一言だけ、特許から著作権に関する保護の全体の体系がきしんできているイメージがあります。これは新しいコンテンツ、状況に応じて、より全体的な視野で一度皆さんで保護の体系については議論していくことが必要ではないかということを感じました。最後のは雑感でございます。
以上です。 - ○中村座長 野坂さん、野間さんの順でお願いします。
- ○野坂委員 ありがとうございます。
私もこの素案を見まして、大変網羅的に次世代のイノベーションについてまとめた画期的な素案だと評価しております。
ただ、いろいろな委員が申し上げているように、ここで見えてこないのが時間軸なのです。まず、目先に何に取り組むのか、そして、将来的に5年、10年のタームでどういうことに取り組むのか。それが見えにくくなっている。これは1年ごとの計画の限界かもしれませんけれども、できるだけ何に重点的に取り組むのかということを出していくことが望ましいと思います。これが第1点です。
第2点は、イノベーション創出と知財保護のバランスの問題です。さまざまな形で次世代のイノベーションが進む中で、重要な点は、知財保護とのバランスだと思います。3番目のところにコンテンツの新規展開の推進、産業基盤の強化をうたっております。やはり日本にとってコンテンツをいかに創造していくか、制作力の強化というのは非常に宝でありまして、これを生かして非コンテンツとも絡めていく、大変重要なポイントだと思います。イノベーション創出とコンテンツの産業基盤の強化について、整合性を持って、バランスをとって取り組んでいただきたいと思っております。
3点目は、AI創造物という大変画期的な最近の動き、人工知能、あるいはビッグデータ、大変成長力を期待できる分野だと私も期待しております。一方で、これを使いこなすのは人材なわけでございまして、AI創造物をいかに生かして日本の成長につなげていくか、これが教育と絡んでくる。大変リンクした問題でありますので、全て国民一人一人が知財人材という観点に立って、そういう新しい分野での日本の成長のドライブになるように、しっかりした計画を立てていただきたいと思います。
以上です。 - ○中村座長 野間さん、お願いします。
- ○野間委員 36ページ目の「コンテンツ産業基盤強化のための取組み」というところで「コンテンツ産業の基盤となる人材の育成」という項目があります。これに関連してお話しいたします。たまたま2週間ほど前なのですが、私、ニュージーランドに行ってまいりまして、そこで私どもの漫画原作のハリウッド映画化が行われて、その撮影を見に行ってきたのです。そこにたまたまインターンシップで日本から来ている人がいたのです。その人の活動をいろいろ見ていますと、プロデューサーについて回ったり、監督について回ったり、我々とのつなぎ役のようなことをやってくれるわけですけれども、非常に有効だと思いました。これまで、いま一つ海外にインターンに行くということがどこまで役に立つのかわからなかったのですけれども、よく理解できました。まだ20代後半の若いかたなのですが、大いに勉強しているなということがわかりました。まだこういったインターンシップのかたは二、三人しかいないという話なのですけれども、ぜひこればどんどん進めていって、今後、海外でのコンテンツの展開というところで、共同制作を含め、将来プロデューサーとなり得るような人材の育成をお願いしたいと思います。
- ○中村座長 森永さん、山本さん、吉井さん。
- ○森永委員 放送事業者として一言申し上げさせていただきます。
多くのテーマがあるのですが、コンテンツの新規展開の推進のところで、コンテンツの海外展開ということで、展開のための権利処理の円滑化ということが書いてあるのですけれども、ここかデータベースの整備にとどまっておりまして、具体策がいま一つないと。
実は、先週14日から熊本県を中心に続いております大地震の報道におきまして、NHKと民放各社はネットでも放送と同じ内容をサイマルで送信する、いわゆる同時配信を行いました。今回のように、テレビ局が一斉に同時配信に取り組むことは初めてのことと思います。
この場限りということで申し上げますと、NHKの同時配信のサイトには、けさ7時までに延べ500万人を超える訪問者がありました。地震が発生した時間帯の14日の「ニュースウォッチ9」の関東地区の視聴率は16%、このまま全国にならしたとして、全世帯を約5,000万世帯とすると、視聴されていたのは約800万世帯ということになります。テレビ視聴の世帯数とネットアクセスの個人の訪問者数はもちろん一緒に比較できませんけれども、今回、500万を超える訪問者があったということは、同時配信のニーズと期待のあらわれと御理解いただけると思います。
しかし、今回は、災害報道ということで、同時配信を行いやすいということがありましたが、今の日本の環境下では、放送と同時配信を含めたネット配信については、別々に権利処理を行わなければならず、放送使用の著作権の許諾しかとっていないものも多い現状があります。そのため、同時配信を行う際は、許諾を得ていない映像及び音声にはふたをする作業が必要です。NHKでは、昨年秋、約4週間、朝の7時から夜11時まで同時配信を行う実験を行いました。そのうち約20%にふたをする作業が必要でした。これは人の手でやる部分が多く、相当の要員が必要で、また、ふたをすると映像も音声も見ることができず、多くの方が視聴をやめられました。
欧米の多くの国では、こうしたふたをする作業は必要ありません。同時配信は著作権法上放送と同じように扱われているからです。テレビのコンテンツを送信する伝送路が違うだけです。しかし、日本では、伝送手段の違いにより権利が異なっています。また、欧米の多くの国では、放送終了後1週間から1カ月程度と期間の違いはありますけれども、キャッチアップと呼ばれる見逃し視聴サービスも放送と同じように扱われています。
今、我が国ではさまざまなコンテンツの海外展開に力を入れていますけれども、放送分野では、この同時配信と見逃し視聴ができるという条件をつけないと展開が難しく、欧米でのコンテンツ展開の上で一つの障害になっています。欧米以外の地域でも、放送のデジタル化が進むと、放送内容はネットでも流されることになりまして、同様の障害となる懸念が出ています。
それだけではありませんで、5年ごとに行っております国民生活時間調査によりますと、国民のメディア接触に対してこの5年間にテレビの視聴頻度はやや減少し、ネットは急伸しておりまして、特に10代、20代、30代の若い世代ではその傾向が顕著であります。背景にはスマホの普及が約7,000万台に及びまして、視聴者が動画や情報を得るツールが、以前のリビングにあるテレビ中心からスマホやPCなどさまざまな端末に変わっていることがあります。
イギリスの公共放送BBCは、10年後、番組の多くはテレビ以外の端末で見られるようになると予想し、同時配信や見逃し視聴のサービスを既に10年近く前から始めています。フランスやドイツも同様ですし、アメリカでも多くのテレビ局が同じようなサービスを展開しているところであります。
まとめますと、現状のままで、テレビのコンテンツの視聴が若い世代を中心に徐々に右肩下がりで落ちていき、海外へのコンテンツを提供する上でもかなりのハンディを負った形が続くことになります。また、デジタルとIP等の通信の新しい技術の革新は目覚ましいものがあり、この技術革新を取り込んだ形で放送を進化させることに我が国は大きくおくれをとり、視聴者の皆さんにベストなサービスを提供できないことにもなりかねません。東京オリンピック、2020年を目指して、こうした最先端の技術革新を取り込んだ放送を提供したいと我々放送事業者は思っているところでございます。
もちろん、著作権の課題が全てではありませんが、少なくとも大きな課題であることは間違いありません。こうした話を進める上で、権利者の皆様を初め、関係される方々と話し合い、御理解を得て歩みだすことが必要だと思います。
ただ、技術進歩が早くて、放送を取り巻く環境も激動しておりますので、現実的な対応をスピード感を持って行っていただくこと、これを切にお願いしたいと思います。
以上です。 - ○中村座長 山本さん。
- ○山本委員 産学連携に携わる者としてちょっとお話をさせていただきます。
先ほど、中冨さんから、ゴールがやや不明確ではないかというのがありましたけれども、これは結構抽象度合いがばらばらというか、具体的な施策と、何となくみんなで頑張りましょうというのが混在しています。産学連携に関する部分は割と抽象的です。省庁がやる部分は具体的なのですが、大学と企業はよいプロデューサーがいれば何とかなるという感じが強くあって、何を申し上げたいかというと、例えばこの分科会でも議論していましたが、GAPファンドを創るというような具体策を明示して欲しいと思います。GAPファンドとかプルーフ・オブ・コンセプト・ファンドと言われていますが、事業化のための試作品づくりの予算を措置するということができれば、例えばここに書いてあるスタート事業、ベンチャー創出にもつながりますし、地域の産学連携、特に旧帝大とかはみずからGAPファンドは大学の中でつくれますが、地方の国公立大学とかはそういうものは設置できないので、そういうものを設置するだけで地方の産学連携が進む等々ということがありますので、例えばそのような具体的な施策も盛り込んでいただければと思っております。
以上です。 - ○中村座長 どうぞ。
- ○吉井委員 地方の中小企業の知財をいかに事業化するかということに注力してきた企業としてのコメントを一つさせてください。
2015年の戦略及び2016年の戦略は、地方の中小企業の知財に光を当てています。いろいろな表現についてはまだ改善する余地があるとは思いますけれども、このように中小企業の知財を本当に大切にして、中小企業を育てていくという明確なメッセージを出していただくということは、知財をベースに新しい事業をやっていくのはまだなかなか精神的についていけない中小企業人たちが多いので、そういうときにこういう明確なメッセージがあると非常に後押しをしてくれているものとして、現場ではとても役に立っております。ですから、本当にありがたく思っております。
あと一点、ニューヨークに行くと感じるのは、アメリカはオープン・イノベーションの世界になり、IoTの世界で製品と製品がつながるということになると、特許の流通がどんどんふえてくるわけです。流通がふえるということになると、通貨と同じようになってくる。そうすると、金融ビジネスがどんどん知財の世界に入ってくる。そういうアメリカの流れ、下手すると特許というものがまた金融の餌食にされてしまうという危惧も感じています。そういう流れに対して、日本として知財戦略をどうするのかという視点も持つべきものだと思っています。 - ○中村座長 では、佐田さんから。
- ○佐田委員 山口大学の佐田といいます。
地方大学からの声として、一つコメントさせていただきたいと思うのですけれども、この推進計画書というのは、我々地方大学においての一つのバイブルとしてずっと今まで発信されているのを活用させていただいておりました。
非常にマイナーな話で大変恐縮なのですけれども、12ページのところに「大学等の知財戦略強化」とあります。この中に、下から2つ目のパラグラフのところで「各大学・TLOから産学連携活動の評価指標に係るデータを継続的に収集・分析し、その結果」云々とあります。これは我々としても非常に貴重なデータにもなりますし、指標にもなると考えます。ただ、ここでちょっと知っていただきたいのは、データを収集する方はいいのですけれども、データを収集される側、我々大学法人ですけれども、データの収集が例えば11月、12月、1月に、雨あられのように降ってきます。これは例えば文科省、経産省、特許庁、JST、技術推進協議会、更には大学の研究室の研究テーマとかで、ありとあらゆるところからアンケートやヒアリングが来ます。地方大学においての知的財産を取り扱っている人間の数というのは、ほんの数人です。
そこで、こういった、非常にいいデータでありながらも、現実にはそこに入ってくるデータをどう現場で処理しているかといいますと、一部署では回答はできませんので、結局関係部署を全部走り回って個々に依頼し、更に回収して、まとめて最終的な稟議をかけ、決済後回答するという、実は物すごく手間がかかります。本当にこれをやり始めたら、一件の対応だけでも本来業務が数日間できなくなるということがございます。ですから、先ほど研究データのデータベース化とありましたけれども、できれば各大学のこういったデータをどこかで一元的に集めて、それを各省庁が使っていただけるというシステムがないものかなと、かねがね思っていたわけです。公表を旨としている大学ではデータは秘密にはしていませんし、聞かれればどんどん公開しています。ですから、そういったことも含めて、各省庁で聞いてくるフォーマットがみんな微妙に違うため、一から全部やり直さなければいけないという実情をぜひ知っていただければと思います。協力は全くやぶさかではないので、地方大学のどの大学もそういっていますので、そのことを知って頂きたいと思います。
以上です。 - ○中村座長 迫本さん、重村さん、お願いします。
- ○迫本委員 この案が非常にいい全体方向で進んでいると思いますので、申し上げたいことは2点で、いつも申し上げているのですけれども、知財マーケットのメカニズムにニュートラルで活性化させるために、税制度、会計制度の検討をもうちょっと踏み込んだ形で明記していただけたらというのが一点。
それから、前回、フェアユースの一般既定の早急な法制化に反対だということは申し上げたので、繰り返しませんけれども、私が申し上げたのは、映画会社だからということではなくて、著作権者のみの立場からではなくて、紛争処理コストという点からして、日本にふさわしくないのではないかと思っているからです。予測ができない技術革新へ対応していこうということは本当に重要なことだと思っているのですけれども、これに対して、アメリカ型のフェアユース一般既定を入れると全てが解決する、アメリカと同じ土俵に立てるというのは、余りにも乱暴な議論過ぎるのではないかと思っています。明らかな違反に対しての対策というのは非常に費用がかかるわけですし、インタラクティブなインターネットが非常に発達していた韓国で、映画の二次利用のマーケットがなくなって、それで一気に韓国の映画がダメージを食らったという例もあります。
明らかではなくて、グレーなところをどうするかということで、この参考資料1の12ページの脚注の19に出ていますけれども、カナダの出版事業のロイヤルティー収入が減ったということもありますし、それはお金と労力がかかるということがあると思います。
アメリカと違って、この間申し上げましたけれども、クラスアクションがない、懲罰的損害賠償がない、ディスカバリーがないという中で、この参考資料1のページ9に書いてありますけれども、アメリカでは150年以上の歴史でフェアユースの判例の積み重ねがあるわけで、判例法体系ではない日本がどうするかとなると、私も弁護士だから申し上げますけれども、弁護士の仕事はふえるかもしれませんが、アメリカの訴訟社会と違って、日本はそこにコストがなかったからこれまで発展してきたということも考慮しなければいけないのではないかと思います。企業はこのコストを必ず利用者に転嫁する形になりますし、個人で訴訟費用等々、これは労力もかかりますので、時間とお金のない人たちは泣き寝入りしなければいけないクリエーター、アーティストも出てくると思います。
しかも、規定が足りない個別規定を入れて、それを類推していくことによって対応できるのではないかと思うので、5ページに書いてありますアメリカ型の一般既定、より一層柔軟な規定の早急な法制化というものに対しては、反対の立場です。それは別に映画会社だからということではなくて、本当に日本の国益を考えた場合に、全体としての紛争処理がどうやってコストをセーブしてやるかという観点から申し上げたい。
以上です。 - ○中村座長 どうぞ。
- ○重村委員 全体に大変アグレッシブで具体的な提案が出ていると思います。特にコンテンツの海外展開をやっている者として、これまでの試みをポジティブに捉えていただいて、感謝しております。
ただ、一点、つけ加えたいと思うのは、今までコンテンツの海外展開というと、クールジャパン、ビジットジャパンという中で、放送コンテンツと、それに見合う経済波及効果という視点での見方をされてきたわけですけれども、実際やってみて、これから大事になるのは幼児向け、子供向けの教育教養番組を積極的にアジア、アフリカ、中南米などで展開していくべきなのではないかと感じております。
特に、今、韓国や中国は教育番組を輸出することに非常に力を入れています。子供の時代に親日的な意識を放送から子供たちに与えていくことは非常に重要なのではないかと思います。その点は、この中には書いていません。子供達の新日意識を高める幼児教育番組をコンテンツの海外展開の重要な要素としてつけ加えていただきたい。アメリカは、御存じのようにセサミストリート、イギリスは機関車トーマスというようにいろいろ海外に出している強い番組が多いですが日本もこの分野は得意ですから。
もう一つだけつけ加えますと、先ほどNHKの森永さんがおっしゃったことに関して、放送と通信の権利処理を簡単にする、同一化させるということに関しては反対ではないです。したがって、同時配信に関しても、積極的に推進していきたいのですが、今、放送の中で非常に大きい懸案として、東京の一極集中という問題があるわけです。その意味では、我々民放の立場から言いますと、それをやるには、NHKも民放も、ローカル制作比率が8.9%しかない現実をふまえて国は、地方創生、地方活性化と言っているわけですから、それをやる場合、どうやって地方の文化とか情報を担保するかということを十分配慮した上でお考えいただきたいと思います。
私のほうからは以上です。 - ○中村座長 どうぞ。
- ○近藤委員 素案の取りまとめ、どうもありがとうございます。
3点、私からコメントとお願いをさせていただきたいと思います。
まず、第1点目が、次世代知財システムのところですけれども、これは非常にいい観点で、これはぜひやっていかなければいけないと思っています。
ところが、書きぶりを見ますと、どうも著作権に比重が大きくいきすぎているところがありまして、ビジネスの観点からいくと、IoTなどが進んできますと、ボーダーレスでどこの国でどういう形で誰がやっているかというのはわからないような状況になっていきます。特許法みたいなものは国で閉じているものですから、そういうところでは対処できないという観点で、やはり著作権だけではなくて、発明やら特許というところも視野に入れて検討するというメッセージがあってしかるべきかなと。特に、日本国内だけで議論ができないのであれば、日本がリーダーシップをとって、世界に働きかけるなどというのも視野に入れたらどうかと思っています。
第2点目は、産学連携です。イノベーションを今、起こそうとすると、個社では太刀打ちできないような環境になっています。そういう中では、産学連携、あるいは業界を超えたような会社間の連携も含めた産産学連携みたいなものが非常に重要になってきていると思います。それを進めるに当たって、そこのマネジメントというのも非常に大事だと思いますので、具体的に申し上げますと、大学のよしあしというか、活動のよしあしを見る中に、特許からどれぐらいもうけたかという指標も今、取りざたされていると思うのですが、これが現場に行くと、本末転倒のような声も聞こえてきたりしますので、ここについては少しそこの観点の見直しなども含めて、産学連携がうまくいって、アカデミアの方たちが本当に社会実装に貢献できるような形で進めていただきたいと思います。
3点目は、紛争処理システムです。今後もいろいろな観点でイノベーションを創出すると、それを後押しするという観点で議論が進められると思っていますけれども、ここでお願いなのですが、ぜひとも紛争処理システムのユーザーであり、かつ、イノベーションを創出していかなければいけないという役割を担っている産業界の意見をしっかり聞いていただいて、これからもイノベーションがたくさん出てくるという社会になるような議論を、拙速な結論を出すというのではなく、じっくり議論をしていただきたいと思います。
以上です。 - ○中村座長 正木さん、どうぞ。
- ○正木委員代理 「知的財産推進計画2016」(素案)のお取りまとめ、ありがとうございます。非常に時代の変化を反映して、お取りまとめいただいていると考えております。
その中で、第1の1のところにありますデジタル・ネットワーク化に対応した次世代知財システムの構築に関連して、少しだけ述べさせていただきます。
先進国の中で、日本の科学技術が今後も国際社会の中で大きな存在感を発揮し続けるために、高度な科学技術イノベーション力の維持、向上、あるいはその適正な権利化、保護のルールが必要不可欠ということは言うまでもありませんが、昨今のICTの普及、発達により、まさに情報はボーダーレスとなったということで、技術情報の海外流出や、デジタル化された情報の所有権の問題などの多くの課題も生じています。 また、AI等を駆使して、著作物だけには限らないのかもしれないのですが、膨大に創作物が創り出されるということで、知財システムが濫用されるということも起こりかねません。こういうICTの発達によって生じる負の側面は、今後、我が国の企業の科学技術開発のモチベーション低下にも繋がりかねません。
ただ、この裏返しですが、ICTの正の側面というのは、国と国、地方と中央、大企業と中小企業、産官学の区別なく、デジタル・ネットワークで繋がる時代においては、地球規模で情報をどうやって収集し、解析し、あるいは競争戦略に結びつけるかというのが重要になってきています。さらに、翻訳技術の進化によって、特許のみならず、技術文献等も含めた膨大な情報を言語によらずに扱って、目的に応じて使いこなすことが可能になっていくものと考えます。
一方で、先端ICTの活用に対しては、知財権の取得というのは置いておいても、事業を早く立ち上げて、勝ち残らなければいけないという面もございます。
このように、ICT化の急速な変化が進んでいくことと、知財権との関係をどうするべきかを、早期に検討していくことが必要な時期にあると考えます。
この取り組みを、日本の競争力強化のためにも、日本が主導して頂きたいと考えております。
以上でございます。 - ○中村座長 相澤さん。
- ○相澤委員 知的財産制度というのは財産権として、現代社会の基礎となっていまして、現在の経済の発展というのは、財産権をきちんと保護するところに成り立っています。
将来に向けて、この知的財産制度をどうしていくかということが非常に重要でして、先ほど御指摘がありましたコンテンツの国際流通を含めまして、そういう国際的な展開を考えていかなければなりません。そこで、御指摘がありましたけれども、日本だけで保護しているのでは、これからの日本の利益は守れないわけですから、発展途上国、新興国における日本の財産的権利の保護を含めて制度展開を図っていかなければいけないと思います。
その中では、紛争処理において、最終的に財産権が実現されます。裁判所において、その権利の実現が担保されることが非常に重要です。日本にいては、特に特許権について今回、議論がありましたが、知的財産権についても財産的利益は十分に保護されることは必要でます。
制度改革に当たっては、知的財産権というのはビジネスを支える手段ですから、どうしたら企業などに収益が上がり、さらに発展することができるかという考え方の基に、制度設計がなされなければなりません。したがって、その機能に基づいた制度設計が必要です。もちろん、これは将来に向けての設計でありますから、既存の考え方のみで律することはできません。
それから、制度改革について、法律家は慎重という言葉が大好きでありますが、慎重にしていると、展開の早い現代社会で、時代おくれになります。社会全体が特急で走っているときに、知的財産制度の改革は各駅停車でいくということでは、日本の国策として立ち行かなくなるので、スピードアップをして制度改革をしていただきたいと思います。 - ○中村座長 宮川さん。
- ○宮川委員 知的財産権の紛争と模倣品対策に関与している弁護士として2点ほど申し上げたいと思います。
まず、一つは、この「知的財産推進計画2016」の中の第4「知財システム基盤整備」の中に「知財紛争処理システムの機能強化」という項目を入れていただき、そして、先般の「知財紛争処理システムの機能強化に向けた方向性について」ということで、検討委員会の中でいろいろな意見を出していただき、問題の洗い出しがさらに進んでいると理解いたしました。この件については、相澤先生がおっしゃったように、スピード感も大事だと思いますので、さらに引き続き、具体的な提案に向けて検討を進めていただけたらと思います。
そして、知財紛争のほかに「デジタル・ネットワーク時代の知財侵害対策」ということで、素案の7ページにございますが、やはりこのデジタル・ネットワークの時代は国境のない世界、インターネットを通じたコンテンツの流通ということが進んでおりますので、この時代に合った形で模倣品対策というのをさらに検討していただきたいと思っております。
そのために、ここにありますように、リーチサイト、オンライン広告の実態調査、そして、その対応、サイトブロッキング等、具体的な方策を挙げて検討していただいておりますので、このような方向性をさらに進めていただけたらと思っております。
もう一つ、最後に、5ページにあります「イノベーション促進に向けた権利制限規定等の検討」という点でございますが、ここの部分、「新たなイノベーションに柔軟に対応するとともに」という文章を読みましても、恐らく、この業界にいる人間であれば「一定の柔軟性のある権利制限規定」と「より一層柔軟な権利制限規定」の違いをわかる人は多いと思いますが、一般国民に向けた推進計画としては、いったい何のことか、ここを読んだだけでは恐らく理解できないと思いますし、結局、この2つを検討して、具体的にここに書いてあります柔軟性のある権利制限規定について、その内容の具体化を図ると言いましても、一体どういう方向を向いているのかということがにわかには理解できないと思います。そういう意味で、どこか前段で何か説明をするのかもしれませんが、もう少し明確にしたほうがいいのではないかと思います。事務局の方もまだ調整中ということで、いろいろなご配慮もあったことだと思いますが、やや一般の国民に向けてのメッセージとしては理解か難しいのではないかと懸念しております。
以上です。 - ○中村座長 御懸念ごもっともでございまして、調整中というところに事務局の悩ましさもあらわれているということで、もう少し調整をさせていただければと思います。
ほかにいかがでしょうか。
奥山さん、お願いします。 - ○奥山委員 ありがとうございます。
2点だけなのですけれども、1つは、知財人材のところで、今回、学習指導要領が改訂になるということで、学校教育に焦点を当てていただいて、大変いい方向性が出てきていると感謝申し上げます。
これまでやってきた取り組みを継続することも大切でして、教育ですから、1年、2年で結果が出るわけではないですね。
この本部に入れていただいたときには、高度な専門性のある知財人材の育成というのがテーマになっていたのですけれども、どうも、消えてしまったなという感じがします。難しいだろうとは思うのですけれども、やはり継続は力ということがありますし、長澤委員がおっしゃっている即戦力としての人材育成というのも非常に大事なのではないかと思っております。
知財紛争処理システムのことなのですけれども、委員会ができて議事録も拝見したのですけれども、非常に活発な議論がなされていて、今回、出てきた報告書も非常に積極的な方向性でいろいろ書いていただいて、大変感謝申し上げます。
この知財紛争処理システムの改革というのは、今、やらなければいけない大変重要なテーマだと思っています。それは2つ理由があって、1つは、特許庁さんがやっている出願の審査というのがいろいろな意味でよくなってきているということが一つあります。そうすると、当然、権利行使という部分も取り組んでいかなければいけないということになるわけです。
もう一つは、日本の社会が成熟してきて豊かになっているということがあると思うのですけれども、そのときのブースターとして、さらに一層の成長をするためには権利行使の分野というのが非常に重要になると思っていますので、ここで具体的な法案作成、それに向けた議論が始まるのだと思っています。現状維持を望む方も多いと思いますが、それを乗り越えてぜひ積極的に取り組んでいただきたいと心から思います。
以上です。 - ○中村座長 喜連川さん。
- ○喜連川委員 タイトルが「デジタル・ネットワーク化に対応した」なのですけれども、デジタルもネットワークも随分昔からあるのではないかという気がいたしまして、むしろここに書かれていますように、あらゆる情報が大量に蓄積されというような、あるいは情報の爆発的な増加を起こしているというような表現がありますように、むしろ根源的に世の中を、今、考えているのは、もとはデジタル・ネットワークかもしれませんが、現時点においてはビッグデータであり、それが今のAIのパワーを動かしているということもあるので、先ほどからいろいろなところでの一般の方々が読んでわかりやすいような文章という意味では、そういうほうが比較的いいのではないかという気がいたします。
加えまして、このビッグデータというのが、産にとっても非常に重要ですし、原山先生がおっしゃられたように、オープンサイエンスとしても今後、重要になってくる。これが今のところ、両論が2つ独立に書かれているような気がするのですけれども、今後の重要な方向感としてはこれをどうすり合わせていくのかというこなれ合いのところがむしろ重要になってくるのではないかと感じておる次第でございます。
また、先ほど瀬尾先生から検索エンジンの悲劇を繰り返してはならないということをおっしゃっていただいて、大変心強く感じたわけですけれども、このサービスというものが、コンピューターそのものを売っている会社よりも圧倒的に大きな存在感を出すようになってきた。したがって、そういうインダストリーを今後、日本が頑張ってつくっていくんだと、つまり、ちょっとやんちゃなこともやっていいんだというようなメッセージ感がこの中に含まれているとすごくいいのではないかと思います。
ただ、一方で、盛者必衰といいますか、IT化はどんどん動いてございますので、現在、ブラウザーを見る時間などというものは圧倒的に少なくなっておりまして、ほとんどがアプリです。そういう意味でいいますと、次に何を狙うのか。ここではAIがかなり強く書かれておりますけれども、AIそのものではなくて、IT総合的な、全体ITのパワーをむしろハイライトされたほうがいいのではないか。
最後に、教育の情報化と書いてありますけれども、我々からしますと、情報の教育をやっていただいたほうがありがたいと思います。
以上でございます。 - ○中村座長 ほかにいかがでしょうか。
吉沢さん、どうぞ。 - ○吉沢委員代理 代理ですけれども、吉沢です。
「新たな情報財の創出に対応した知財システムの構築」について、一言意見を述べさせていただきます。
7ページのところには、AI創作物等の創作性を認めにくいデータベースなどの新しい情報財について、知財保護のあり方について検討を行うと書かれております。
一方で、既に議論されていますように、新しい時代に合致した著作権法のあり方を検討して、権利者の許諾を不要とするような著作物の範囲とか、利用の形態について、踏み込んだ議論がなされていると認識しています。
それに先立ちまして、AI、人工知能による創作物、あるいは著作物について、突出した方向性を決めてしまうとすれば、ちょっと違和感がありますので、両方見ながら考えていただきたいということなのですけれども、検討委員会における報告書を読ませていただいて、22ページの下のほうに指摘があるのですけれども、人工知能はもちろん人間よりもはるかに多くの情報を処理できるわけですから、「人工知能を利用できる者(開発者、AI所有者等)による、膨大な情報や知識の独占」というものが起こり得るのではないかということもありますし、このような指摘を踏まえて、デジタル時代に合致する著作権制度のあり方、ひいては特許制度も含めてですけれども、全体的な方向を固めた上で専門家とか利害関係者を交えて議論いただきたいと思います。
要しますと、AI創作物の取り扱いというのは今後、議論が必要だという認識はあるのですけれども、その保護によって第三者が予想もしない制限を受けることにならないように、十分議論をいただければと思っております。よろしくお願いします。 - ○中村座長 ありがとうございます。
2分半という制約で、非常に窮屈な思いをしていただいた結果、これで多分皆さん、御発言なさったと思いますが、もう一回どうしても言いたいのだという方がおられましたら、まだちょっと時間がありますので、挙手いただければと思います。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
どうもありがとうございました。たくさん貴重な御意見をいただきまして、先ほどビッグピクチャーという声もありましたけれども、非常に大きな指摘もいただきましたし、タイトル名も含む具体的な御指摘もいただきました。また、今回の知財計画に盛り込むのは難しいかもしれないけれども、次のラウンドにはテーマになるなというような項目もお出しいただいておりますので、そのあたり含めて、全体さらに調整をさせていただきたいと思いますが、同時に、政府部内の全体の調整中でもありますので、そちらの調整も含めて取りまとめていただきたいと考えております。
いずれにしても、今日、皆さんからいただいた意見を踏まえまして、渡部座長、事務局と調整の上で、必要な修正を図って、本年度の計画に作業を迎えたいと思いますが、必要に応じまして、今日、さまざまな意見をいただきましたので、委員の皆様に個別に御相談をする可能性もあろうかと思います。しばしおつき合いをいただきたいと思います。どうもありがとうございました。
取りまとめに当たりまして、両座長から少しコメントをしたほうがいいかと思います。
私、コンテンツの分野を今回、担当いたしまして、この項目にありますような海外展開やアーカイブ、あるいはクールジャパンといった項目については、これまで政府の施策も非常に厚みを増してきておりますし、民間側で成果も出始めていると考えます。今回、それに加えて、次世代の知財システムを検討しようということになって、予想どおり、非常にこれまで激論を繰り返してきました。
10年ほど前の知財、コンテンツの議論というのは、パッケージのコンテンツをどうするのかという議論が中心だったのが、この5年ほど、スマホ、クラウド、ソーシャルネットワークによる、いわゆるスマート化にどう取り組むのかという議論が中心になってきたのですけれども、ここ一、二年でまたIoT、AI、ビッグデータといった新しいステージに世界的に動くぞ、さあどうしようという議論の中で、かくなる上は世界がまだ追いついていない、世界でも議論がされていない知財の分野、議論に取り組もうという意気込みで進めていきまして、何とか一つの方向性の取りまとめには至ったのかなという気がしております。
やはり、その部分今日の資料の中でも、政府内での調整中という項目が多くなっていることに見られますように、取り扱いの難しさを反映しております。まずは、今回、新しい環境に向けてのアクションのところで、政府に取り組んでもらうことを期待しながら、政府としてどのように進めてもらえるのかということを我々委員としても、検証・評価委員会でありますので、検証し、評価をしていければと考えております。
では、渡部さんからもお願いできますでしょうか。 - ○渡部座長 ありがとうございます。
産業財産権分野に関して、いろいろ御意見をいただき、委員の皆様には大変感謝申し上げます。
それから、今回、紛争検討委員会を開催したことで、産業財産権の側は少なくとも例年に比べると会議数が恐らく倍ぐらいやっているのではないかと思います。担当者数はどうなのかと聞くと、減っていますというようなことを聞いているので、恐らく相当忙しい中でまとめてきたということであります。事務局には大変感謝しております。
全体としては、今、中村座長も言及されましたけれども、IoT、BD、AIという最先端の分野におけるイノベーション促進のための知財ということで、非常に変化の速い分野において施策をまとめようとしたというチャレンジングなものだと思います。したがって、ビッグピクチャーの問題、あるいは全体像が少し足りないというようなこと、これはできるだけ直すとして、ただ、やはりそういう分野であるからこそ、方向性が決まっている施策はきちっとできるだけ早く実行するということが重要であろうと思います。
検討中、調整中というところは、早期に調整を終わって、実行に移すということだと思いますし、また、検討することが残っているということであれば、それを明らかにして、いつまでやるかということかと思います。
個別の話を今から始めるのは申しわけないのですけれども、その中で気になったところとして、例えば16ページのところ「産業構造の変化に対応した産業財産権制度等の構築」というところ、まさしく今、IoT、ビッグデータ、人工知能というところについて、総合的な知財戦略の検討ということが書いてあります。これは、先ほど近藤委員も、あるいは原山委員も御指摘されたと思いますけれども、著作権を中心にコンテンツのところを議論していますが、少し全体像で、特にノウハウとデータとごっちゃになって発生するものについての契約の問題というのが、今、まさに実務的には非常に有用なトピックになっています。ここのところ、先ほどデータ駆動型のグローバルなイノベーションに関する産業財産権制度の総合的なあり方とか、ちょっとここを少し強調させていただくといいかなと思いました。これが一点です。
あと、知財教育のところは、タスクフォースをさせていただいたのですけれども、20ページのところに、これは知財教育がリードして、社会と連携した地域における学習支援の対象をつくっていくと、これは今回、非常に重要なトピックであると思っています。この中で、知財教育推進コンソーシアムの設置、ここについては、上もそうですが、真ん中のところは文部科学省と明示的に入っているのですけれども、下の「地域コンソーシアム(仮称)の形成」というところが、文部科学省がわざわざ省かれているように見えるという、この辺がもう少し内容を詰めていく必要があるのではないか。これは、特に地域においても産学官の関係団体等の参画を得てということですが、地域にどうしても産業がまだ乏しい、企業が余りないところに関しては、大学の役割というのは非常に重要であります。日本の場合は各都道府県に必ず大学があり、そこには教育学部があるというような構造からして、そういう大学を核としてこういう地域のコンソーシアムを確立させていくということが重要な施策となると考えていますので、この辺をもう少し詰めて、文部科学省という言葉もここに入れられるようにしていくということ等お願いしたいと思います。いろいろございますけれども、そういうところをもう少し詰めていって、これを完成させる。最終的には工程表もつくらなければいけないと思いますので、そこまで進めていただければと存じます。
以上でございます。 - ○中村座長 では、最後に横尾局長から一言いただきたいと思います。
- ○横尾局長 事務局を代表して、まずは御礼を申し上げたいと思いますが、今日に至るまで、今日も含め、大変積極的かつ有意義な御意見を賜りまして、誠にありがとうございます。
今回の知財計画は、関係する人が読んでおもしろいものにしようと思いまして、佐田先生から先ほどございましたけれども、テキストとしてそれなりに耐え得るもの、したがって、中冨さんからはちょっと御指摘をいただいたのですが、現状と課題が比較的長くなっているのは、なるべくここを丁寧に説明しようというつもりのものでございました。
実は、次世代の報告書と紛争処理の報告書は、大変大部で、それをまだ圧縮が上手にできていないこともあるので、わかりにくいところもあるので、この点については今日の議論も踏まえて、もう少しわかりやすくと思っております。
同時に、杉村委員からもございましたが、全体を読むのは確かに他方でしんどいというのもあるので、わかりやすいパワーポイントの資料は、昨年も知財推進計画2015には本文のテキストの後にパワーポイントの資料をつけましたけれども、それは別途用意をこれからしたいと思っております。
それから、直す過程で今日、いただいた議論で、ビッグピクチャー、どこまで書けるかというのもあるのですけれども、全体を俯瞰するような視点をできれば、はじめにをまだ用意できていないのですけれども、今日の議論を踏まえて、はじめにという部分を書きたいと思っております。
今日の議論も踏まえて、何となく頭にありますのは、やはり今、時代が大きく変わっている、第4次産業革命という言葉がいいかどうかは別にして、IoT、ビッグデータ、AIという大きい変革の中で、一つは、知的財産の射程が拡大しているのだろうと、前もこの委員会で申し上げたかもしれませんが、知的財産基本法では、知的財産を定義しておりまして、それと別に知的財産権というのを定義して、知的財産の定義で、今も読めると思いますけれども、やはり情報というか、データというか、その重みがだんだん重くなっているというのが大きい全体の変化ではないか。その中でどう考えるかというのが一つと、まさにIoT時代で、つながること、シェアすること、掛け合わせることが一つ大事になってきて、そこがイノベーションを生む、オープン・イノベーションということもそういうことだと思いますけれども、そういうことが大事になっている中でどうするか。他方で、つながることによって、より流出してしまうという、そこにまさにオープン&クローズ戦略がより洗練された、より精緻なものになっていかないといけないと、そんなことではないかという気もしています。
そういったことを踏まえて、制度のあり方、それを支えるのは制度でありますし、人でありますので、そこをどう育てていくかということで、グローバルな視点、技術が変わるという視点も含めて、そんなことを考えているところでございます。
今日、いただいた意見の中で、時間軸というか、先ほど渡部座長からもありましたが、別途工程表というのをつけます、したがって、いついつまでにというのはなるべくやるということで、本文にもできる限りいつやるというのは、重要なものについては書きたいと思っています。それは必ずしもその時点までに全て拙速に結論を出そうということではないのですが、時間を区切って、そこまでに一定の結論を出して、そこに順次進めていくというのがアプローチとしては正しいだろうと思いますので、なるべく時間時間で一定のものは結論を出し、出ないものは継続的にということで、やっていくのがいいのではないかと思っております。
最後に、個別のテーマで、今日、いろいろな御意見をいただきましたので、できるだけ反映をさせたいと思いますし、新たに項目としては追加したほうがいいというのもありますのと、一方で、中村座長からありましたが、ちょっと今のタイミングでは加えられなくて、次の宿題だというのもあって、そこはちょっと仕分けをさせていただいて、両座長とも相談をしたいと思っております。
いずれにせよ、今回は政府全体のこういう検討のタイミングが非常に早いので、委員の皆様方にもいろいろ御面倒をおかけしたかもしれませんが、何とかいいものをつくって、政府全体での本部の決定に持ち込んでいきたいと思いますので、引き続きどうぞよろしくお願いしたいと思います - ○中村座長 以上で閉会といたします。どうもありがとうございました。